JP7215463B2 - インダクタ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載されたようなインダクタは、外部電極の形状を略L字形状にした場合、素体の実装面に位置する外部電極がコイルの端部と素体に固着され、素体の側面に位置する外部電極が素体のみに固着される。このようなインダクタは、外部電極中の金属粒子とコイルの端部を接合することができるため、コイルの端部によって素体の実装面に位置する外部電極と素体の接続信頼性を向上させることができる。しかしながら、このようなインダクタは、素体の側面に位置する外部電極が外部電極中の樹脂によって素体のみに固定されているため、外部電極中の樹脂が劣化した場合、外部電極と素体の側面の接続信頼性が劣化するな。従って、従来のインダクタは、基板にはんだ付けされた後、インダクタに力が加わった場合、素体の側面に位置する外部電極が剥がれやすく、インダクタと基板との接合強度が不十分であった。
また、本発明の1態様に係るインダクタの製造方法は、コイルを形成する工程と、コイルを成型金型内に配置する工程と、素体を形成する工程と、を含み、コイルを形成する工程では、互いに対向する1対の幅広面を有する導線を、その両端部が最外周に位置する様に、幅広面が巻軸に平行な状態で、上下2段に巻軸の周囲に巻き回して巻回部を形成し、巻回部の最外周から巻回部の端部における中心線の延長線に対して鋭角をなす引き出し方向に導線を引き出して1対の引き出し部を形成し、1対の引き出し部をそれぞれ、引き出し方向に延在する軸を中心にねじり、ねじられた1対の引き出し部をそれぞれ、巻回部の一方の端面側に曲げて第1曲げ部を形成し、曲げられた1対の引き出し部の末端領域をそれぞれ、巻回部の巻軸側に曲げて第2曲げ部を形成し、コイルを成型金型内に配置する工程では、コイルを形成する工程で形成されたコイルを、磁性粉を含む第1の予備成型体とともに成型金型内に配置し、巻回部の一方の端面上であって、1対の引き出し部それぞれの第2曲げ部の間に、磁性粉を含む第2予備成型体を配置し、素体を形成する工程では、成型金型内に配置されたコイルを、末端領域側から圧縮して素体を形成する。
後述の実施形態や実施例では、前述と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態や実施例ごとには逐次言及しないものとする。
図1から図4を参照して、本発明の実施形態1に係るインダクタ1の説明を行う。
図1は、本発明の実施形態に係るインダクタの底面側から見た斜視図である。図2は、図1に示す素体の底面側から見た斜視図である。図3は、図1に示すインダクタの側面図である。図4は、図1に示すインダクタの底面図である。
他方の引き出し部(第2引き出し部)18の先端部28における一方の幅広面30は、素体2の実装面2aと、実装面2aに隣接する第2面2dと、実装面2aと第2面2dとの間の角部(第2角部)2hと、に露出している。素体2の表面に露出した引き出し部(第2引き出し部)18の先端部28の幅広面30は、導体が露出した状態で他方の外部電極4に覆われており、他方の外部電極4と電気的に接続している。
素体2は、コイル8と磁性部6とにより構成される。素体2は、外観形状が、長手方向xと短手方向yとを有する略直方体である。素体2は、底面を実装面2aとし、実装面2aに対向する上面2bと、短手方向yに延在する第1面2c及び第2面2dと、長手方向xに延在する第3面2e及び第4面2fとを有する。素体2の寸法は例えば、長手方向xの長さWが2.0mm以上5.0mm以下であり、短手方向yの長さDが1.2mm以上5.0mm以下であり、高さ方向zの長さHが0.65mm以上2mm以下である。
コイル8の導線を構成する導体は、例えば銅等で形成され、幅が150μm以上600μm以下、厚みが30μm以上200μm以下である。被覆層は、ポリアミドイミド等の絶縁性樹脂で形成され、厚みが例えば、2μm以上12μm以下、好ましくは6μmである。融着層は、巻回部10を構成する導線同士を固定できる様に自己融着成分を含む熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂等で形成され、厚みが、例えば1μm以上8μm以下、好ましくは4μmである。従って、導線の線幅方向の長さは、例えば156μm以上640μm以下であり、厚さは、例えば36μm以上240μm以下である。
また、図3に示すように、素体2の第1面2cに露出した幅広面24bの高さh1は、インダクタ1の高さHの半分以下であることが望ましい。
また、図3に示すように、素体2の第2面2dに露出した幅広面30bの高さh2は、インダクタ1の高さHの半分以下であることが望ましい。
磁性部6は、コイル8を埋設している。ただし、引き出し部16、18の先端部22、28の一方の幅広面24、30は、磁性部6から露出している。
磁性部6は、磁性粉と樹脂の混合物を加圧成型して形成される。混合物における磁性粉の割合は、例えば、60重量%以上であり、好ましくは80重量%以上である。磁性粉としては、Fe、Fe-Si-Cr、Fe-Ni-Al、Fe-Cr-Al、Fe-Si、Fe-Si-Al、Fe-Ni、Fe-Ni-Mo等の鉄系の金属磁性粉、他の組成系の金属磁性粉、アモルファス等の金属磁性粉、表面がガラス等の絶縁体で被覆された金属磁性粉、表面を改質した金属磁性粉、ナノレベルの微小な金属磁性粉末が用いられる。樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂又は、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられる。
1対の外部電極4は、素体2の表面に形成され、互いに離隔して配置されている。一方の外部電極4は、素体2の第1面2cと実装面2aとにまたがって配置されている。また、一方の外部電極4は、素体2から露出した幅広面24を覆っており、かつ幅広面24の導体と電気的に接続している。他方の外部電極4は、素体2の第3面2eと実装面2aとにまたがって配置されている。また、他方の外部電極4は、素体2から露出した幅広面30を覆っており、かつ幅広面30の導体と電気的に接続している。
次に、図5Aから図5Hを参照して、実施形態に係るインダクタの製造方法を説明する。図5A及び図5Bは、実施形態に係るインダクタの製造工程を説明する上面図である。
図5C~図5Hは、実施形態に係るインダクタの製造工程を説明する側面図である。
実施形態に係るインダクタの製造方法は、
(1)コイル8を形成する工程と、
(2)コイル8を成型金型内に配置する工程と、
(3)素体2を形成する工程と、
(4)外部電極4を形成する工程と、を含む。
以下、各工程の詳細を説明する。
本工程では、導体と、導体の表面に形成された絶縁性を有する被覆層と、被覆層の表面に形成された融着層を有し、互いに対向する幅広面を有する導線(いわゆる、平角線)を用いてコイル8を形成する。
本工程では、上記のように形作られたコイル8を第1の予備成型体50に取り付け、それらを成型金型60内に配置する(図5E参照)。第1の予備成型体50は、例えば、樹脂及び磁性粉を含む複合材料を成型して形成された成型体である。第1の予備成型体50は、例えば、基板と基板上に設けられた柱状部とを有する、断面がT形状の成型体や、基板と基板上に設けられた柱状部及び側壁部を有する、断面がE形状の成型体である。
コイル8は、第1の予備成型体50の柱状部に巻回部10を通すようにして配置される。
本工程では、2つの予備成型体50、52とその間に挟まされたコイル8を、第2の予備成型体52側から加圧して素体2を形成する(図5G参照)。このとき、加圧金型62は、最初に引き出し部16、18の末端領域23、27を加圧し始める。続いて、加圧金型62は、第2の予備成型体52を加圧する。これにより、第2の予備成型体52は、崩れて、第2の予備成型体52を形成していた材料が隙間に流れ込み、コイル8を覆う。また、末端領域23、27は、加圧金型62により折り曲げられて、一方の幅広面23a、27aが加圧金型62の表面と接した状態で加圧される。これにより、末端領域23、27の一方の幅広面23a、27aは、第2の予備成型体52を形成していた材料に覆われず、露出した状態のまま圧縮される。さらに加圧を続けると、第2曲げ部42を介して末端領域23、27から延びた領域21、25は、一方の幅広面21a、25aが成型金型6の側壁に押しつけられる(図5H参照)。この領域21、25は、後述の素体の第1面2c又は第2面2dにおいて、先端部22、28の幅広面24(24b)、30(30b)を露出させる部分に相当する。加圧により崩れた第2の予備成型体52の材料は、隙間に流れ込み続けて、幅広面21a、25a及び幅広面23a、27a以外を覆う。
素体から露出した先端部22、28の幅広面24又は30は、被覆層と融着層を剥離し、導体を露出させる。その後、素体の実装面2aと、実装面2aに隣接する面2c及び素体の実装面2aと、実装面2aに隣接する面2dに樹脂銀ペースト等を塗布することにより、当該部を覆う外部電極4を形成する。
また、外部電極は、素体の外部電極を形成する領域に、素体を構成する金属磁性粉を露出させ、金属磁性粉を露出させた領域に、引き出し部の幅広面を覆うように、銅によるメッキを施して銅で形成された下地層と、下地層の上にニッケルで形成された第1層と、第1層上にスズで形成された第2層を形成しても良い。この様に形成した場合、コイルの端部によって、導線中の銅と親和性の良い外部電極中の銅とコイルの端部を接合させることができるので、素体と外部電極の接続信頼性を向上させることができる。
2 素体
2a 実装面
2b 上面
2c 第1面
2d 第2面
2e 第3面
2f 第4面
4 外部電極
6 磁性部
8 コイル
10 巻回部
10a、10b 端部
10c 端面
12 上段
14 下段
16、18 引き出し部
16s、18s 開始部
16f、18f 終了部
20、26 ねじれ部
21、25 末端領域に連続する領域
21a、25a
22、28 先端部
23、27 末端領域
24、24a、24b、30、30a、30b 幅広面
40 第1曲げ部
42 第2曲げ部
50 第1の予備成型体
52 第2の予備成型体
60 成型金型
62 加圧金型
A0 巻軸
B0 短手方向に延在する面
L1 中心線の延長線
L2 中心線
Claims (2)
- 磁性粉を含有する磁性部、及び前記磁性部に埋設されるコイルを有し、外観形状が略直方体の素体と、
前記素体上に形成され、前記コイルに接続される1対の外部電極と、を備え、
前記素体は、短手方向と長手方向とを有する略直方体形状であり、
前記コイルは、
互いに対向する1対の幅広面を有する導線を上段と下段とに巻回して形成された巻回部と、
前記上段の最外周に位置する前記巻回部の一方の端部及び前記下段の最外周に位置する 前記巻回部の他方の端部から引き出された1対の引き出し部と、
を含み、
前記巻回部は、前記導線の幅広面が巻軸と平行になる様に巻回され、巻軸が前記素体の実装面に交差するように配置されており、
前記巻回部の前記端部は、前記巻回部の巻軸を含み、前記素体の短手方向に延在する面上又は該面の近傍に配置されており、
前記1対の引き出し部は、前記巻回部の前記端部と前記引き出し部の先端部との間に延在するねじれ部を備えており、
前記ねじれ部は、前記ねじれ部の巻回部側端部の幅広面が前記巻軸と略平行で、前記ねじれ部の先端側端部の幅広面が前記実装面と略平行になる様に形成され、かつ、
前記素体を実装面側から透視した場合、前記ねじれ部の巻回部側端部と先端側端部とを結ぶ直線と、前記巻回部の巻軸を含み、前記素体の短手方向に延在する面によって形成される角度のうち前記巻回部の巻軸側に形成される角度が鋭角に形成され、
前記1対の引き出し部のうち、
第1引き出し部の先端部は、一方の幅広面が、前記素体の実装面と、前記実装面に隣接する第1面と、前記実装面と前記第1面との間の角部において、素体から露出しており、
第2引き出し部の先端部は、一方の幅広面が、前記素体の実装面と、前記実装面に隣接する第2面と、前記実装面と前記第2面との間の角部において、素体から露出しており、
前記1対の外部電極はそれぞれ、前記素体の表面に露出した前記第1引き出し部の幅広 面及び前記第2引き出し部の幅広面を覆っていることを特徴とするインダクタ。 - コイルを形成する工程と、
コイルを成型金型内に配置する工程と、
素体を形成する工程と、を含み、
前記コイルを形成する工程では、
互いに対向する1対の幅広面を有する導線を、その両端部が最外周に位置する様に、 幅広面が巻軸に平行な状態で、上下2段に巻軸の周囲に巻き回して巻回部を形成し、
前記巻回の最外周から前記巻回部の前記端部における中心線の延長線に対して鋭角を なす引き出し方向に前記導線を引き出して1対の引き出し部を形成し、
1対の引き出し部をそれぞれ、前記引き出し方向に延在する軸を中心にねじり、
ねじられた前記1対の引き出し部をそれぞれ、前記巻回部の一方の端面側に曲げて第1曲げ部を形成し、
曲げられた前記1対の引き出し部の末端領域をそれぞれ、前記巻回部の巻軸側に曲げて第2曲げ部を形成し、
前記コイルを成型金型内に配置する工程では、
前記コイルを形成する工程で形成されたコイルの巻回部を、磁性粉を含む第1の予備成型体の柱状部に取り付けて成型金型内に配置し、
前記巻回部の一方の端面上であって、前記1対の引き出し部それぞれの前記第2曲げ部の間において、前記第2曲げ部の第1曲げ部側と前記第2曲げ部の引き出し部の末端領域側に挟み込まれる様に、磁性粉を含む板状の第2予備成型体を配置し、
前記素体を形成する工程では、
前記成型金型内に配置された前記コイルを、前記末端領域側から圧縮して素体を形成する、インダクタの製造方法。
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