JP6409204B2 - 固体金属合金 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な固体金属合金に関する。
近年、合金、特に金や銀などの貴金属を含む合金については、ハイテクやナノテクノロジーを応用できる技術分野において、種々の用途に用いられるものとして注目されている。
例えば、導電性ペーストや導電性インク、導電性微細配線などに用いる材料、または一酸化炭素や窒素酸化物(NO)の還元触媒や鉛フリーはんだなどに用いる材料として、銀と銅の合金粒子が注目されている。銀銅合金粒子中の銀と銅の割合によって特性を制御できる可能性があり、例えば比抵抗や耐酸化性に優れる銀と、銀のマイグレーションを抑制するための銅とを合金化させた、主に銀からなる銀銅合金粒子や、マグネットワイヤなどの配線用材料として、主に銅からなる銀銅合金粒子が注目されている。さらに、銀、銅それぞれにおける抗菌性にも注目されており、その他宝飾の用途など多くの応用が期待されているため、銀銅合金については、産業界において広い範囲で求められている材料である。マイグレーションは、多くの金属で発生するが、銀のマイグレーションは早く発生することが知られており、銅などの他の金属と合金化することでマイグレーションの発生を遅らせることができると言われている。しかし、銀と銅とは互いに均一に混ざり合わないため、銅の持つ酸化し易い性質の抑制や銀のマイグレーションの抑制など、銀銅合金として期待された特性が十分に発揮できていない場合が多い。
同様に、銀とニッケルの合金粒子についても、導電性ペーストや導電性インク、導電性微細配線、接点材料や電極材料、ヒューズや触媒などに用いる材料として注目されている。銀ニッケル合金粒子中の銀とニッケルの割合によって特性を制御できる可能性があり、例えば銀とニッケルとが均一に混ざっていない状態の銀ニッケル合金でさえ、単独の銀に比べて高いアーク放電侵食抵抗を発揮することや、耐熱性や耐摩耗性や耐溶着性、触媒性能、点火プラグとしての寿命などが向上することが知られている。そのため、銀ニッケル合金は、産業界において広い範囲で求められている材料である。しかし、銀とニッケルとは互いに均一に混ざり合わないため、上記の銀ニッケル合金として期待された特性が十分に発揮できていない場合が多い。
また同様に、金とニッケルの合金粒子については、磁気センサや電極材料、キャパシタや触媒、接点材料などに用いる材料として注目されている。金ニッケル合金粒子中の金とニッケルの割合によって特性を制御できる可能性があり、例えば金とニッケルとが均一に混ざっていない状態の金ニッケル合金でさえ、単独の金に比べて電子部品としてのコネクター、小型リレー、プリント配線板などの高信頼性電気接点材料としての性能を発揮することや、耐熱性や耐摩耗性、触媒性能などの性能が向上することが知られている。そのため、金ニッケル合金は、産業界において広い範囲で求められている材料である。しかし、金とニッケルは銀と銅との合金と同様に、共晶体を形成するため、均一に固溶させることが難しい。そのため上記の金ニッケル合金として期待された特性が十分に発揮できていない場合が多い。
また、銀アンチモン合金は、記録媒体や低温ろう材、超電導材や電極材などに用いる材料として、従来より注目されている。銀アンチモン合金中の銀(Ag)とアンチモン(Sb)との割合によってその特性を制御できる可能性があり、例えば、銀とアンチモンとが均一に混ざっていない状態の銀アンチモン合金でさえ、単独の銀に比べて耐摩耗性などが向上することが知られている。そのため、銀アンチモン合金は、産業界において広い分野で求められている材料である。しかし、銀とアンチモンとは、一定の濃度以上において共晶体または金属間化合物を形成し、互いに均一混ざり合わないため、上記の銀アンチモン合金として期待された特性が十分に発揮できていない場合が多い。
このように、少なくとも2種類の金属を含む固体の合金にあっては、種々の形態で2種の金属が存在するが、平衡状態図で、上記少なくとも2種類の金属が共晶構造をとったり、金属間化合物を形成するなどして、互いに混ざり合わずに、偏在する固相の特定領域があることが示されている。かかる特定領域では、合金を構成する2種以上の金属が、合金全体の成分比率と、上記2種類の金属がナノレベルの微細なレンジでの成分比率とが、大きく異なる偏在状態を示し、その結果合金として期待された特性が十分に発揮できていない場合が多い。
他方、今日知られている合金粒子の製造方法としては、粉末冶金法や液相還元法やアトマイズ法などがあるが、上記の偏在状態を克服した金属合金の報告は未だないのが現状である。
例えば、銀と銅の合金粒子の製造方法としては、特許文献1または特許文献2、特許文献3のような液相還元法やアトマイズ法などがあるが、上記いずれの方法において作製された銀銅合金もコアシェル型であるか、または共晶体を含むものであり、実質的に共晶体を含まない銀銅合金粒子及びその製造方法についてはこれまで開示されていない。特許文献1においては、銀コア銀銅シェルナノ微粒子が開示されており、シェルを構成する銀銅合金について、電子顕微鏡観察とエネルギー分散型蛍光X線測定を組み合わせた元素組成分析から述べられているが、シェル部分における銀と銅との、それぞれのマッピングが開示されていないなど、銀と銅が固溶体化していることについては疑問が残る。また、特許文献4には銅粒子表面に銀を被着して得られた銀被着銅粉を、非酸化性雰囲気中150〜600℃の温度で熱処理することで、銀を銅粒子に拡散させて得られた銀拡散銅粉が記載されている。しかし、金属銀の銅粒子表面からの拡散によって銀拡散銅粉を製造するため、銅粒子の中心部にまで銀を拡散させることは難しく、その粒子全体において、共晶体を含まない状態とすることが難しいだけで無く、ペーストとして用いるには粒子径が大きすぎる。さらに、銀拡散銅粉の分析方法についても、熱処理によって銅粒子表面に単体として存在した金属銀が、表面観察(SEM観察)によって確認できなくなっただけに過ぎず、粒子の中心部には単体の銅が存在している可能性もある。これらより上記銀銅合金は、マクロ的に見れば合金であるが、極微視的に見れば合金とは呼べない。
その他、金属銀と金属銅とを高温で相溶させた状態からから急冷することで、銀銅合金粒子の部分固溶体を得る方法などもあるが、固溶体等の非共晶構造を主体とする銀銅合金の開示はこれまで無く、また製造に際しては高いエネルギーを必要とするため、自ずとコストが大きくなりやすいなどの問題がある。
また、錫銀銅の合金については、特許文献6に記載されるような共晶合金の開示しかなく、実質的に共晶体を含まない非共晶構造を主体とする合金については、これまで開示されていなかった。
銀とニッケルの合金粒子の製造方法としては、従来より粉末冶金法が一般的であるが、特許文献7に記載されたような液相還元法や特許文献8に記載されたようなアトマイズ法などがある。しかし上記いずれの方法において作製された銀ニッケル合金も銀とニッケルとが均一に混ざり合ったものではなく、実質的に共晶体を含まない銀ニッケル合金粒子及びその製造方法についてはこれまで開示されていない。その他、金属銀と金属ニッケルとを高温で固溶させた状態からから急冷することで、銀ニッケル合金粒子の固溶体を得る方法などもあるが、高いエネルギーを必要とするため、自ずとコストが大きくなりやすいなどの問題がある。
金とニッケルの合金粒子の製造方法としては、従来より粉末冶金法が一般的であるが、特許文献9に記載された液相還元法や特許文献10に記載されたアトマイズ法などがある。しかし均一に金とニッケルとが混ざり合った金ニッケル合金、特に金ニッケル合金粒子及びその製造方法についてはこれまで開示されていない。その他、金属金と金属ニッケルとを高温で固溶させた状態からから急冷することで、金ニッケル合金粒子の固溶体を得る方法などもあるが、得られる金ニッケル合金粒子は不均一となりやすく、また高いエネルギーを必要とするため、自ずとコストが大きくなりやすいなどの問題がある。
銀とアンチモンとの合金の製造方法としては、従来より特許文献11に示すような合金メッキ法が一般的である。別の製造方法としては、特許文献12に示されたようなメカニカルアロイング処理を用いた、銀とアンチモンとの合金粒子を製造する方法などがある。しかし、これらの製造方法において作製された銀アンチモン合金は、共晶体または金属間化合物を含むものであり、均一に混ざりあった銀アンチモン合金についてはこれまで開示されていなかった。
別途、金属銀と金属アンチモンとを高温で溶融させた状態から冷却または急冷して、部分固溶体を得る方法なども考えられるが、固溶体等の非共晶構造を主体とする銀アンチモン合金の開示はこれまでに無く、また製造に際し溶融のための高いエネルギーを必要とするため、自ずと製造のコストが大きくなりやすいなど広い分野での製造方法には適しにくいといった問題がある。
本願出願人の出願である特許文献5において、銀銅合金粒子の製造方法が提供されたが、実施例で示された製造方法で得られた粒子を分析すると、後述の比較例A1〜A3に示すものと同種の、共晶体または単独の銀または銅が混在する銀銅合金粒子であり、実質的に共晶体を含まない銀銅合金粒子、特に固溶体銀銅合金粒子については、これまで開示されていなかった。
特許文献5に示された装置は、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2つの処理用面の間にできる薄膜流体中で、微小粒子を析出させるようにした装置であり、特にナノサイズの粒子の製造に活用されることが期待される装置である。本願発明者は、この装置を用いて種々のナノ粒子の製造を試みているが、その析出や反応の条件と結果との関係については、その全てが解明されたものではない。
詳しくは、固体金属合金粒子についても、白金パラジウム合金については1点のTEM−EDSの分析結果とICP分析結果とがほぼ一致していることを確認したが、白金パラジウム合金は、図4(A)に示すような全率固溶体型の金属であった。一方、銀銅合金については共晶体または単独の銀または銅が混在する銀銅合金粒子が得られていたに止まっていた。
より具体的には、図54〜図56に示すものと同様な銀銅合金粒子が得られていたものである。図54(A)はSTEM−HAADF像、図54(B)はEELSマッピング結果(Ag)、図54(C)はEELSマッピング結果(Cu)を示すものである。図54については、エネルギー分散型X線分析装置:Centurio(JEOL製)、原子分解能分析電子顕微鏡:JEM−ARM200F(JEOL製)加速電圧:200.0kV、倍率:6000000を用いたものである。図55(A)はSTEM−HAADF像、図55(B)はSTEMマッピング結果(Ag)、図55(C)はSTEMマッピング結果(Cu)を示すものである。図55については、日立Csコレクタ搭載超高分解能STEM分析装置(EDX搭載):HD−2700(日立ハイテクノロジーズ製)加速電圧:200.0kV、倍率:2200000を用いたものである。図56(A)はSTEM−HAADF像、図56(B)はSTEMマッピング結果(Ag)、図56(C)はSTEMマッピング結果(Cu)を示すものである。図56については、日立Csコレクタ搭載超高分解能STEM分析装置(EDX搭載):HD−2700(日立ハイテクノロジーズ製)加速電圧:80.0kV、倍率:2000000を用いたものである。
図54の銀銅合金粒子については、粒子の中心に銅(コア)、その周りに銀(シェル)、表面に銅が存在する銀銅合金粒子(粒子径約20nm)である。図54の(B)(C)より、銀または銅が存在しない部分つまり、銀が100%の部分、または銅が100%の部分があることがわかる。 図55の銀銅合金粒子については、一つの粒子において、銀と銅とが偏析している銀銅合金粒子(粒子径約15nm)である。特に(C)より、銅が存在しない部分つまり、銀が100%の部分があることがわかる。
図56の銀銅合金粒子については、一つの粒子において、半分が銀、つまり銀が100%の部分、もう半分が銅、つまり銅が100%の部分とからなる銀銅合金粒子(粒子径約15nm)である。
図57は、銀アンチモン合金粒子であり、図57の(A)はSTEM−HAADF像(B)はSTEMマッピング結果(Ag)、(C)はSTEMマッピング結果(Sb)を示すものであり、エネルギー分散型X線分析装置:Centurio(JEOL製)原子分解能分析電子顕微鏡:JEM−ARM200F(JEOL製)加速電圧:200.0kV、倍率:6000000を用いたものである。
この銀アンチモン合金粒子(粒子径約20nm)は、一つの粒子中に、2〜5nm銀粒子が存在するもので、銀粒子間には、銀が存在しない部分がある(EDS:アンチモン100%)。
特開2011−068936号公報 特開2006−183110号公報 特開2000−144203号公報 特開2008−057044号公報 国際公開WO2009/008390号パンフレット 特開2007−132654号公報 特開2009−197325号公報 特開2009−289587号公報 特開2011−122236号公報 特開2009−289587号公報 特開2004−84048号公報 特開2010−232161号公報
S.Hassam,Z.Bahari,B.Legendre,"Phase diagram of the Ag−Bi−Sb ternary system",Jounal of Alloys and Compounds,315(2001),p.212
本発明は、固体金属合金にあって、合金として期待された特性が十分に発揮できる新規な合金、並びに、当該合金のナノ微粒子を提供することを課題とする。
本発明は、合金を構成する少なくとも2種類の金属がナノレベルの微細な混在状態を示す固体金属合金を提供する。
本発明の固体金属合金は、平衡状態図で、非固溶体状態を示す固相の特定領域においても、上記2種類の金属がナノレベルの微細な混在状態を示す。ここで、非固溶体状態を示す固相の特定領域にあっては、上記少なくとも2種類の金属が偏在するものであり、上記少なくとも2種類の金属の種類によって異なるが、例えば、上記少なくとも2種類の金属の共晶体を含む領域であったり、上記少なくとも2種類の金属の共晶体及び金属間化合物を含む領域である。
この合金を構成する金属が偏在する領域とは、合金の全体において、合金を構成する金属の成分比率と、微小分析によるナノレベルの微小範囲内における合金を構成する金属の成分比率とに、±30%を越える差が生じる領域である。より具体的には、TEM−EDS分析を用いた直径5nmのビーム径による微小分析またはSTEM−EDS分析を用いた直径0.2nmのビーム径による微小分析において、TEM−EDS分析を用いた直径5nmのビーム径による微小分析またはSTEM−EDS分析を用いた直径0.2nmのビーム径による微小分析における上記2種類の金属のモル比の分析を行った結果、分析点の50%以上で、上記2種類の金属のモル比が、上記合金のICP分析結果によって得られた上記2種類の金属のモル比の±30%を越えて検出される混在状態である。従来の合金にあっては、これらの領域では、前記の図54〜図57に示したように、合金を構成する少なくとも2種の金属のうち、一方の金属が存在しない状態となっている。
これに対して、本発明に係る合金にあっては、合金を構成する少なくとも2種類の金属がナノレベルの微細な混在状態を示すものである。そして、望ましくは、本発明の金属合金にあっては、TEM−EDS分析を用いた直径5nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、すべての分析点で、上記少なくとも2種類の金属が共に検出されるものである。また、本発明の金属合金にあっては、STEM−EDS分析を用いた直径0.2nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、すべての分析点で、上記少なくとも2種類の金属が共に検出されるものである。
現在の技術水準では、上記のTEM−EDS分析又はSTEM−EDS分析を行なわなければ、得られた合金が固溶体か否かの正確な判断をなすことはできない。また、マッピングによって、元素の分布を確認することも重要である。本発明者は、前述の図54〜図56に示すものと同様な合金粒子のみが得られていた特許文献5に記載の装置を用いて、合金を構成する金属イオンを含む流体や還元剤を含む流体等の諸条件を鋭意研究することで、上記の少なくとも2種類の金属がナノレベルの微細な混在状態を示す合金の開発に成功したものである。
より望ましくは、本発明の金属合金は、TEM−EDS分析を用いた直径5nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、又は、STEM−EDS分析を用いた直径0.2nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、すべての分析点で、上記少なくとも2種類の金属が共に検出されるものである。
このように、本発明の合金並びに当該合金のナノ微粒子にあっては、合金を構成する上記2種類の金属がナノレベルの微細な混在状態を示すため、合金として期待された特性が十分に発揮できるものである。
本発明の合金、例えば、銀銅合金や銀銅錫合金や銀ニッケル合金並びに金ニッケル合金にあっては、上記合金が、上記少なくとも2種類の金属の共晶体を含まない非共晶構造を主体とするものであると考えられる。また、銀アンチモン合金にあっては、上記合金が、上記少なくとも2種類の金属の共晶体及び金属間化合物を含まない非共晶構造を主体とするものであると考えられる。
また本発明に係る固体金属合金は、金属合金を構成するなくとも2種類の金属の置換型固溶体を主体とするものであると考えられる。固溶体は、周知のとおり、侵入型固溶体と置換型固溶体とに大別されるが、本発明により得られた合金は、置換型固溶体であると認められる。置換型固溶体と侵入型固溶体との違いは、TEMやSTEMによる観察、XRD測定、熱分析などによって可能であるが、特にTEMやSTEMによる観察が有効である。置換型固溶体は、空間格子中の格子点の金属元素が、他の元素に置き換わった固溶体である。これによって、置換型固溶体は、特にTEMまたはSTEMによる合金の観察によって、格子縞が明確に観察され、また格子点の金属元素が他の元素に置き換わることによって、結晶格子が歪むことによる影響で、格子縞はうねりを持って観察される。それに対して、侵入型固溶体は、結晶格子の隙間に他の元素が侵入するため、TEMまたはSTEMによる合金の観察によって、置換型固溶体合金とは異なる状態で観察される。
本発明に係る合金は、周期表上の少なくとも2種類の金属元素の組み合わせからなる合金であって、合金の平衡状態図で、固溶体を形成しない特定領域を含むものである。その具体例を列挙する前に、かかる特定領域を示さない典型例を示すと、全率固溶型の合金がこれに該当する。具体的には、Ni-Cu系合金であり、その平衡状態図を図4(A)に示す。この種の全率固溶型の合金は、合金のモル比(割合)について全領域において、均一な固溶体を形成するものであり、非固溶体状態を示す固相の特定領域は存在しない。
特定領域を含むものの例を図4(B)〜図5(D)に示す。これらの図において、上記少なくとも2種類の金属が偏在する固相の特定領域を、ドットで示す。
まず、図4(B)は、Au-Si系合金平衡状態図であり、共晶反応型と呼ばれるものである。この種の合金平衡状態を示す合金は、液体状態で完全に溶け合っているが、固体状態では全く固溶し合わない。そのため、合金のモル比(割合)について、全領域において固溶体を形成しないため、全てのモル比の固体領域が上記の特定領域となる。
図4(C1)はAu-Ni系合金平衡状態図、図4(C2)はAu-Pt系合金平衡状態図、図4(C3)はこの種の代表図であり、共晶反応型と呼ばれるものであり、図4(C4)は包晶反応型と呼ばれるものの代表図である。この種の合金平衡状態を示す合金は、液体状態で完全に溶け合っているが、固体状態では一部分固溶し合あう。そのため、合金のモル比(割合)について(a+β)と記載された領域は、α相とβ相の2相に分離した状態であり、極微細なレベルではα相とβ相とは偏在する状態となっている。
図4(D)はCu-Pb系合金平衡状態図であり、偏晶反応型と呼ばれるものである。この種の合金平衡状態を示す合金では、液体状態では一部分溶け合っており、固体状態では全く固溶しないか、或いは、一部分が固溶し合う。そのため、合金中に含まれる2種の金属が、共に固体状態の領域においては、上記の図4(B)(C1)(C2)(C3)と同様、上記の特定領域となる。
図4(E1)はFe-Bi系合金平衡状態図であり、図4(E2)はAl-Tl系合金平衡状態図であり、この種の合金平衡状態を示す合金では、液体状態では全く溶け合わないか、あるいは溶け合いがわずかで、固体状態では全く固溶し合わない。そのため、合金中に含まれる2種の金属が、共に固体状態の領域においては、上記の図4(B)(C1)(C2)(C3)と同様、上記の特定領域となる。
図4(F)はAg-Sr系合金平衡状態図であり、この種の合金平衡状態を示す合金では、金属間化合物あるいは中間相が生成される場合である。この金属間化合物あるいは中間相が生成される領域は上記の特定領域となる。
また、上記以外に、合金の成分金属が温度や圧力に応じて結晶構造が変わる同素変態を持つものがあり、成分金属が同素変態をもつことで固体合金が格子変態をする。この場合の状態図においても上記と同様に、固溶体を形成しないモル比の固体領域が、上記の特定領域となる。
一例として、図5(A)〜図5(D)の代表図を示す。これらの図は、格子変態点より高温側では完全に固溶し合うが、低温側では一部固溶し合うかあるいは全く固溶し合わない場合の代表図である。図5(A)、図5(B)に示すものは、固体状態で上記共晶反応と同じ変化を行うもので、共析型と呼ばれる。図5(C)に示すものは、固体状態で、上記包晶反応と同じ反応が起こるため、包析型と呼ばれる。図5(D)は、合金中の一成分金属のみに同素変態点のある場合の一例であり、その同素変態点の存在のために、固溶度限が不連続に減少する場合の代表図である。上記図5(A)〜図5(D)の状態図について、(A+α)、(α+B)、(A+B)、(β+α)、(α+γ)、(β+γ)、(α+β)、(β+γ)、(γ+α)、と記載された領域は、少なくとも2相に分離した状態であり、極微細なレベルでは混じり合っておらず、モル比の固体領域が上記の特定領域となる。
本発明の金属合金は、その製造方法は問わないが、例えば、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2つの処理用面の間にできる薄膜流体中で、上記少なくとも2種類の金属のイオンと還元剤とを混合し、析出させることによって、製造され得る。具体的には、特許文献5において示された装置を用いることによって製造され得る。
この製造装置を用いて、本発明の発明者は、上記少なくとも2種類の金属のイオンを含む流体と、還元剤を含む流体とを混合して、析出させて得られたものであり、上記還元剤としては、特に種類を問わないが、ヒドラジン一水和物または水素化ホウ素ナトリウムを例示できる。さらに、上記の還元剤に加えて、ポリビニルピロリドンやオクチルアミン等の還元性を示す分散剤を用いることが好ましい。
この装置にあっては、少なくとも2種類の金属の還元反応を原子レベルで制御することができたため、処理用流体の種類やpH、金属イオンのモル比、処理用面の回転数等々、種々の条件を設定することによって、少なくとも2種類の金属の合金が原子の尺度で均一な混合状態を実現できたものと本発明の発明者は考える。
その際、合金を構成する少なくとも2種の金属の析出時間を実質的に同一となるように制御し、少なくとも2種の金属がそれぞれ単独で析出しないようにすることが望ましいと考えられる。そのため、上記の還元剤を含む流体としては、1種類の還元剤を含むものであってもよく、少なくとも2種類の還元剤(または還元性を示す物質)を含むものであってもよいが、少なくとも2種類の還元剤を含むことによって、合金を構成する少なくとも2種の金属の析出時間を制御して、合金を構成する少なくとも2種の金属を実質的に同時に析出させることが容易となり、ナノレベルの微細な混合状態を示す合金として析出させることができる。勿論、後述の実施例に示すように、1種類の還元剤を含むものにあっても、上記の合金を構成する上記2種類の金属がナノレベルの微細な混在状態を示す合金を得ることは可能である。
前記金属合金は、粒子径が500nm以下の粒子、望ましくは粒子径が100nm以下の粒子、さらに望ましくは粒子径が50nm以下の固体粒子から構成されるものとして製造され得る。かかる微細粒子にあっても、本発明に係る金属合金粒子は、合金を構成する少なくとも2種類の金属がナノレベルの微細な混在状態を示すものであるため、粒子の一つ一つが合金として期待された特性を十分に発揮することができる。
上記のように、本発明にあっては、合金として期待された特性が十分に発揮できる新規な固体金属合金、並びに、当該合金のナノ微粒子を提供することができたものである。
具体的には、銀銅合金にあっては、銅の持つ酸化し易い性質の抑制や銀のマイグレーションの抑制などの特性の顕著な発現が期待される。特に固溶体銀銅合金を提供することができたものであり、銅の持つ酸化し易い性質の抑制や銀のマイグレーションの抑制などの特性の発現が期待されるものである。また、本発明においては、銀と銅と銀銅以外の他の金属であるとの3種類の金属からなる固体合金であって、実質的に共晶体を含まない合金を提供することができたものであり、銅の持つ酸化し易い性質の抑制や銀のマイグレーションの抑制などの特性の発現が期待されるものである。
また、本発明に係る銀ニッケル合金は、銀ニッケル合金中の銀とニッケルとが実質的に混ざり合っているため、高いアーク放電侵食抵抗を発揮することや、耐熱性や耐摩耗性や耐溶着性、触媒性能、点火プラグとしての寿命など、銀ニッケル合金として期待された特性が十分に発揮されるものである。
本発明に係る固体金ニッケル合金は、金ニッケル合金中の金とニッケルとが実質的に混ざり合っているため、高信頼性電気接点材料としての性能を発揮することや、耐熱性や耐摩耗性、触媒性能など、金ニッケル合金として期待された特性が十分に発揮されるものである。
また、本発明においては、実質的に共晶体及び金属間化合物を含まない非共晶構造を主体とする銀アンチモン合金、特に銀とアンチモンとが実質的に混ざり合った固溶体銀アンチモン合金を提供することができたものであり、記録媒体や低温ろう材、超電導材や電極材としての性能や、耐摩耗性など、銀アンチモン合金として期待された特性の発現が見込まれるものである。
本発明の実施の形態に係る流体処理装置の略断面図である。 (A)は図1に示す流体処理装置の第1処理用面の略平面図であり、(B)は同装置の処理用面の要部拡大図である。 (A)は同装置の第2導入部の断面図であり、(B)は同第2導入部を説明するための処理用面の要部拡大図である。 いずれも合金平衡状態図であり、(A)はNi-Cu系合金平衡状態図、(B)はAu-Si系合金平衡状態図、(C1)はAu-Ni系合金平衡状態図、(C2)はAu-Pt系合金平衡状態図、(C3)は共晶型合金の平衡状態図の代表図、(C4)は包晶型合金の平衡状態図の代表図、(D)はCu-Pb系合金平衡状態図、(E1)はFe-Bi系合金平衡状態図、(E2)はAl-Tl系合金平衡状態図、(F)はAg-Sr系合金平衡状態図である。 いずれも合金平衡状態図であり、(A)(B)は共析型合金の平衡状態図の代表図、(C)は包析型合金の平衡状態図の代表図、(D)は、合金中の一成分金属のみに同素変態点のある場合の平衡状態図の一例である。 いずれも合金平衡状態図である。 実施例A2において作製された銀銅合金粒子の、(A)STEM−HAADF像、(B)EDSマッピング結果(Ag)、(C)EDSマッピング結果(Cu)である。 実施例A4において作製された銀銅合金粒子の、(A)STEM−HAADF像、(B)EDSマッピング結果(Ag)、(C)EDSマッピング結果(Cu)である。 実施例A8において作製された銀銅合金粒子の、(A)STEM−HAADF像、(B)EDSマッピング結果(Ag)、(C)EDSマッピング結果(Cu)である。 一般的なAg−Cu系合金平衡状態図である。 実施例A8において作製された銀銅合金粒子のHRTEM像及びそのHRTEM像の銀銅合金粒子におけるSTEM−EDS分析点(4点)である。 実施例A8において作製された銀銅合金粒子の、図11に示したSTEM−EDS各分析点にて測定したSTEM−EDS分析結果及びICP分析結果である。 実施例A10において作製された銀銅合金粒子のTEM像である。 実施例A6において作製された銀銅合金粒子のTEM像である。 実施例A10において作製された銀銅合金粒子のHRTEM像及びそのHRTEM像の銀銅合金粒子におけるTEM−EDS分析点(5点)を示す。 実施例A10において作製された銀銅合金粒子の、図15に示したTEM−EDS各分析点にて測定したTEM−EDS分析結果及びICP分析結果である。 実施例A2,A4,A10において作製された銀銅合金粒子の乾燥粉体を用いて行ったXRD測定結果並びに上記銀銅合金粒子の乾燥粉体を300℃、30分で熱処理した熱処理粉体を用いて行ったXRD測定結果である。 実施例A7において作製された銀銅合金粒子のTEM像である。 実施例A3において作製された銀銅合金粒子のTEM像である。 実施例A4において作製された銀銅合金粒子の低倍率におけるTEM像である。 実施例A2,A4,A10において作製された銀銅合金粒子の格子定数と、Vegard則から求めたAgCu固溶体の格子定数、ならびに急冷凝固にて作製されたAgCu固溶体での格子定数のCu比率に対する変化を示す図である。 実施例A10において作製された銀銅合金粒子の乾燥粉体を300℃、30分で熱処理した熱処理後の銀銅合金粒子のTEM像である。 実施例A2において作製された銀銅合金粒子の、窒素雰囲気下におけるTG−DTA測定結果である。 実施例A2,A4,A10において作製された銀銅合金粒子の乾燥粉体並びに実施例10の銀銅合金粒子の乾燥粉体を300℃、30分で熱処理した熱処理後の銀銅合金粒子を用いて行ったDSC測定結果である。 実施例A13において作製された銀銅合金粒子の、(A)STEM−HAADF像、(B)STEM−BF(明視野)像である((A)(B)共に倍率は1000万倍)。 実施例A13において作製された銀銅合金粒子の、(A)STEM−HAADF像、(B)STEM−BF(明視野)像である((A)(B)共に倍率は2000万倍)。 図26(A)(B)の各像と同じ視野において、Radial difference filter処理を施した、(A)STEM−HAADF像、(B)STEM−BF(明視野)像である((A)(B)共に倍率は2000万倍)。 実施例A13において作製された銀銅合金粒子の乾燥粉体を用いて行ったXRD測定結果である。 実施例A16において作製された錫銀銅合金粒子のTEM像である。 一般的なAg−Ni系合金平衡状態図である。 実施例B1において作製された銀ニッケル合金粒子のTEM像である。 実施例B2において作製された銀ニッケル合金粒子のSTEM像及びそのSTEM像の銀ニッケル合金粒子におけるSTEM−EDS分析点(4点)である。 実施例B3において作製された銀ニッケル合金粒子のTEM像及びそのTEM像の銀ニッケル合金微粒子におけるTEM−EDS分析点(4点)である。 実施例B2において作製された銀ニッケル合金粒子の、図32に示したSTEM−EDS各分析点にて測定したEDS分析結果及びICP分析結果である。 実施例B3において作製された銀ニッケル合金粒子の、図33に示したTEM−EDS各分析点にて測定したEDS分析結果及びICP分析結果である。 実施例B1において作製された銀ニッケル合金粒子の低倍率におけるTEM像である。 実施例B2において作製された銀ニッケル合金粒子の乾燥粉体を用いて行ったXRD測定結果である。 一般的なAu−Ni系合金平衡状態図である。 実施例C1において作製された金ニッケル合金粒子のTEM像である。 実施例C2において作製された金ニッケル合金粒子のSTEM像及びそのSTEM像の金ニッケル合金粒子におけるSTEM−EDS分析点(4点)である。 実施例C3において作製された金ニッケル合金粒子のTEM像及びそのTEM像の金ニッケル合金粒子におけるTEM−EDS分析点(5点)である。 実施例C2において作製された金ニッケル合金粒子の、図40に示したSTEM−EDS各分析点にて測定したEDS分析結果及びICP分析結果である。 実施例C3において作製された金ニッケル合金粒子の、図41に示したTEM−EDS各分析点にて測定したEDS分析結果及びICP分析結果である。 実施例C1において作製された金ニッケル合金粒子の低倍率におけるTEM像である。 一般的なAg−Sb系合金平衡状態図の一例である。 実施例D1において作製された銀アンチモン合金粒子のTEM像である。 実施例D2において作製された銀アンチモン合金粒子のSTEM像及びそのSTEM像の銀アンチモン合金粒子におけるSTEM−EDS分析点(4点)である。 実施例D3において作製された銀アンチモン合金粒子のTEM像及びそのTEM像の銀アンチモン合金粒子におけるTEM−EDS分析点(4点)である。 実施例D2において作製された銀アンチモン合金粒子の、図47に示したSTEM−EDS各分析点にて測定したEDS分析結果及びICP分析結果である。 実施例D3において作製された銀アンチモン合金粒子の、図48に示したTEM−EDS各分析点にて測定したEDS分析結果及びICP分析結果である。 実施例D1において作製された銀アンチモン合金粒子の低倍率におけるTEM像である。 実施例D3において作製された銀アンチモン合金粒子の、(A)STEM−HAADF像、(B)EDSマッピング結果(Ag)、(C)EDSマッピング結果(Sb)である。 実施例D3において作製された銀アンチモン合金粒子の、(A)STEM−HAADF像、(B)STEM−BF(明視野)像である((A)(B)共に倍率は1200万倍)。 従来の銀銅合金粒子の一例を示す電子顕微鏡による観察結果を示すもので、(A)STEM−HAADF像、(B)EELSマッピング結果結果(Ag)、(C)EELSマッピング結果結果(Cu)を示すものである。 従来の銀銅合金粒子の他の一例を示す電子顕微鏡による観察結果を示すもので、(A)STEM−HAADF像、(B)STEMマッピング結果(Ag)、(C)STEMマッピング結果(Cu)を示すものである。 従来の銀銅合金粒子のさらに他の一例を示す電子顕微鏡による観察結果を示すもので、(A)STEM−HAADF像、(B)STEMマッピング結果(Ag)、(C)STEMマッピング結果(Cu)を示すものである。 従来の銀アンチモン酸化物粒子他の一例を示す電子顕微鏡による観察結果を示すもので、(A)STEM−HAADF像、(B)STEMマッピング結果(Ag)、(C)STEMマッピング結果(Cu)(Sb)を示すものである。
以下に、本発明に係る金属合金とその製造方法について、詳細に説明する。
本発明において合金の種類は特に問わないが、合金の平衡状態図で、上記少なくとも2種類の金属が偏在する固相の特定領域において、上記2種類の金属がナノレベルの微細な混在状態を示すものである。
(合金の種類)具体的には、銀銅合金、銀銅錫合金、銀ニッケル合金、金ニッケル合金、銀アンチモン合金を例示できる。
これらの合金にあっては、合金を構成する少なくとも2種類の金属の共晶体を主体としたり、金属間化合物を含むものであったり、2種の金属の固溶体ではあっても不均一な固溶体であったりするといった、上記少なくとも2種類の金属が偏在する固相の特定領域が合金平衡状態図において示されている。
具体的には、前述の合金の平衡状態図を参照すると、図4(B)〜図5(D)にて、ドットで示す領域である。周知のとおり、合金の状態は温度によって変化するが、特定成分比率で固体の特定温度条件下にあっては、上記少なくとも2種類の金属が偏在する。これに対して、本発明の合金にあっては、図4(B)〜図5(D)にて、ドットで示す領域にあっても、合金を構成する金属がナノレベルの微細な混在状態を示すものである。
より具体的には、金、銀、ニッケル、アンチモン、錫、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、硫黄、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、インジウム、テルル、セシウム、バリウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、水銀、タリウム、鉛、ビスマス、ポロニウム、ラジウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、アクチニウム、トリウムから成る金属の内、少なくとも1種の金属を含む合金であり、さらに具体的には、銀銅、金銅、銀ニッケル、金ニッケル、銀アンチモン、金アンチモン、銀銅錫、金銅錫、銀ニッケル錫、金ニッケル錫、銀アンチモン錫、金アンチモン錫、コバルトニッケル、白金マンガン、銀チタン、ニオブジルコニウム、亜鉛マンガン、銅錫、金ケイ素、錫鉛、銀ケイ素、アルミニウム錫、アルミニウムベリリウム、カドミウムビスマス、金白金、白金パラジウム、カドミウム水銀、コバルト銅、銅鉛、亜鉛鉛、アルミニウムカドミウム、アルミニウムタリウム、マグネシウム鉛、金ビスマス、テルル鉛、ビスマス鉛、銀ストロンチウム、チタンジルコニウム、の組み合わせからなる合金や、ベリリウム、アルミニウム、ケイ素、リン、チタン、バリウム、クロム、ヒ素、モリブデン、錫、アンチモン、タングステン、鉛、ニッケル、コバルトから選ばれる1種と鉄との組み合わせが挙げられる。上記の合金の数例について、その平衡状態図を図6に挙げて、特定領域をドットで示す。
本発明の合金の製造方法は問わないが、合金を構成する少なくとも2種類の金属を溶媒に溶解又は分子分散させた一方の流体と、還元剤を含む他方の流体とを混合し、合金粒子を析出させる方法を例示することができる。
上記の還元剤としては、特に限定されないが、上記の合金を構成する少なくとも2種類の金属のイオンを還元することができる還元剤の全てが使用可能である。
上記の還元剤として、より具体的な一例を示せは、ヒドラジン類(ヒドラジン、ヒドラジン一水和物、フェニルヒドラジン、硫酸ヒドラジニウム等)、アミン類(ジメチルアミノエタノール、トリエチルアミン、オクチルアミン、ジメチルアミノボラン等)、有機酸類(クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、リンゴ酸、マロン酸、またはそれらの塩、ギ酸、ホルムアルデヒド等)アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ベンゾトリアゾール等)、ヒドリド類(水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化トリエチルホウ素リチウム等)、水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化トリブチル錫、水素化トリ(sec-ブチル)ホウ素リチウム、水素化トリ(sec-ブチル)ホウ素カリウム、水素化ホウ素亜鉛、アセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)、遷移金属の塩類(硫酸鉄、硫酸錫)、ピロリドン類(ポリビニルピロリドン、1-ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン、メチルピロリドン)などを挙げることができる。
これらの還元剤を1種用いることもできるが、これらの還元剤から選択された少なくとも2種の還元剤を用いることが、合金を構成する2種類の金属のイオンを略同時に還元する点で有利である。
また、上記のうち、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ベンゾトリアゾール等)などは溶媒としても用いることができ、他の還元剤と併用することができる。さらにまた、上記のうち、ピロリドン類(ポリビニルピロリドン、1-ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン、メチルピロリドン)や、アミン類(特にオクチルアミン)については、分散剤としての作用も果たすものであり、これらを他の還元剤と併用することができる。このように、還元剤と、他の作用を果たす還元性を有する物質とを併用して、合金を構成する2種類の金属のイオンを略同時に還元できるように、調製してもよい。その際、溶媒や分散剤としても作用する物質については、還元剤を含む流体のみならず、金属イオンを含む流体中に配合することもできる。
本発明は、(A)固体銀銅合金、(B)固体銀ニッケル合金、(C)固体金ニッケル合金、(D)固体銀アンチモン合金、あるいは、これらの合金を構成する金属以外の他の金属との少なくとも3種類の金属からなる固体金属合金に限定するものではないことは、上記の通りであるが、より具体的な理解を高めるために、(A)〜(D)の順に、それぞれの合金について説明する。
(A)固体銀銅合金
まず、本発明の実施の形態の一例である銀銅合金とその製造方法について、具体的に説明する。
(実質的に共晶体を含まない銀銅合金及びその粒子)
本発明に係る銀銅合金は、実質的に共晶体を含まない銀銅合金(AgCu合金)である。特にAg−Cu系合金平衡状態図(一例として、一般的なAg−Cu系合金平衡状態図を図10に示す。)における、固相α+βの領域の銀と銅との割合(重量比及びモル比)における固体銀銅合金である。一般的にこの領域(銀銅合金に含まれる銅の濃度が0.1wt%から99.94wt%の領域)において銀と銅は共晶体を形成するが、本発明においてはこの領域においても、共晶体を含まない非共晶構造を主体とする銀銅合金である。従って、本発明における固体銀銅合金は、銀銅合金に含まれる銅の濃度が0.1wt%から99.94wt%、好ましくは0.5wt%から99.50wt%、さらに好ましくは1.0wt%から99.00wt%である固体銀銅合金であり、上記固体銀銅合金は室温において共晶体を含まない非共晶構造を主体とする固体銀銅合金である。これによって銀のマイグレーション、特に銀のイオン化によって発生するイオンマイグレーションの抑制が可能であると推測される。本発明に係る銀銅合金は共晶体を含まない非共晶構造を主体とする銀銅合金であるが、本発明において「非共晶構造を主体とする銀銅合金」とは、本発明に係る銀銅合金の65容量%、さらに好ましくは80容量%以上が非共晶構造である銀銅合金とする。また、本発明における非共晶構造としては、固溶体やアモルファス等が挙げられる。
以上のように、本発明者は、本発明に係る銀銅合金を、室温下にて、種々の装置によって観察し、本発明に係る銀銅合金が共晶体を含まない非共晶構造を主体とする固体銀銅合金であるとした。
より詳しくは、室温下にある銀銅合金粒子を、後述する実施例において用いた顕微分析(TEM−EDS分析またはSTEM−EDS分析)の環境下に置き、加速電圧200kVの電子線を照射した状態において、共晶体を含まない非共晶構造を主体とする銀銅合金であることを確認した。その際、電子線を照射した試料自体の温度制御は行っていない。また、これらの観測を行なった銀銅合金粒子については、後述する実施例(A2、A4、A10)においてDSC測定を行い、室温〜180℃の温度領域において、それらの状態に変化がないことを確認している。
銀銅合金中の共晶体の存在に関する分析方法は特に限定されないが、顕微分析が好ましく、特に微小領域について、銀と銅との分布状態や、銀と銅との重量比またはモル比を分析できる分析手法が好ましい。例えば、透過型電子顕微鏡観察下でのエネルギー分散型X線分光分析(TEM−EDS)または走査型電子顕微鏡観察下でのエネルギー分散型X線分光分析(SEM−EDS)、高分解能TEM(HRTEM)、高角散乱環状暗視野走査透過顕微鏡法(HAADF−STEM)、走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いた元素マッピング、走査透過型電子顕微鏡観察下でのエネルギー分散型X線分光分析(STEM−EDS)、電子エネルギー損失分光法(EELS)などが挙げられる。その他の分析方法であっても良いが、銀銅合金が共晶体を含まない非共晶構造であることの証明のためには、顕微分析が好ましい。本発明における共晶体を含まない非共晶構造を主体とする銀銅合金として、図7、図8及び図9に示すSTEM―HAADF像(図7(A)、図8(A)及び図9(A))、及びそれらに対するEDSマッピング結果(図7(B)(C)、図8(B)(C)及び図9(B)(C)。それぞれ、(B)はAgのマッピング結果であり、(C)はCuのマッピング結果である。)のような銀銅合金粒子が挙げられる。
図7に示す銀銅合金粒子については、その銀銅合金粒子粉体のICP分析結果においてはAg:Cu=85.5:14.5(モル比)であり、言い換えると、銀銅合金に含まれる銅の濃度が9.1wt%である。また、図8に示す銀銅合金粒子については、その銀銅合金粒子粉体のICP分析結果においてはAg:Cu=69.9:30.1(モル比)であり、言い換えると、銀銅合金に含まれる銅の濃度が20.2wt%である。図9に示す銀銅合金粒子については、その銀銅合金粒子粉体のICP分析結果においてはAg:Cu=95.0:5.0(モル比)であり、言い換えると、銀銅合金に含まれる銅の濃度が3.0wt%である。上記の銀銅合金は、全てAg−Cu系合金平衡状態図において、固相α+βの領域である銀と銅との割合であるが、それぞれのEDSマッピング結果に見られるように、銀と銅が一つの粒子において明らかに偏析している様子は確認されず、銀のみの領域または銅のみの領域、銀のみの粒子または銅のみの粒子は確認されない。
本発明に係る銀銅合金は、TEM−EDS分析を用いた直径5nmのビーム径による微小範囲における銀と銅とのモル比の分析を行った結果、分析点の50%以上で、銀と銅とのモル比が、ICP分析結果によって得られた銀と銅とのモル比の±30%以内、好ましくは20%以内、より好ましくは10%以内で検出されることが望ましい。
図15に、銀銅合金粒子(Ag:Cu=50.3:49.7(モル比))のHRTEM像、並びにその粒子における直径5nmのビーム径による、TEM−EDS分析点(5点)、並びに図16に図15に示した各分析点にて測定したTEM−EDS分析結果を示す。図16に示した分析結果より、分析点の50%以上で、TEM−EDS分析における銀と銅とのモル比が、ICP分析結果によって得られた銀と銅とのモル比の±30%以内で検出されており、これを満たしている。
もしも、銀銅合金粒子において共晶体を含む場合、Agが100%、あるいはCuが100%の分析点や、α相やβ相の銀と銅との割合である分析点が多数検出されるはずである。つまり、上記の銀銅合金粒子が共晶体を含まない銀銅合金であることがわかる。
本発明に係る銀銅合金は、STEM−EDS分析を用いた直径0.2nmのビーム径による微小範囲における銀と銅とのモル比の分析を行った結果、分析点の50%以上で、銀と銅とのモル比が、ICP分析結果によって得られた銀と銅とのモル比の±30%以内で検出されることが望ましい。0.2nm径のビームは、銀及び銅の原子半径の大きさに近いが、実際の観察においては、深さ方向や周辺からの情報も取り込むため、実質的に銀や銅の原子サイズより大きい領域の情報を取り込むことが可能である。図11に、図9に示した銀銅合金粒子(Ag:Cu=95.0:5.0(モル比))のHRTEM像、並びにその粒子における直径0.2nmのビーム径による、STEM−EDS分析点(4点)、並びに図12に、図11に示した各分析点にて分析したSTEM−EDS分析結果を示す。図12に示した分析結果より、分析点の50%以上で、STEM−EDS分析における銀と銅とのモル比が、ICP分析結果によって得られた銀と銅とのモル比の±30%以内で検出されており、これを満たしている。もしも、銀銅合金粒子において共晶体を含む場合、Agが100%、あるいはCuが100%の分析点や、α相やβ相の銀と銅との割合である分析点が多数検出されるはずである。つまり、上記の銀銅合金粒子が共晶体を含まない銀銅合金であることがわかる。
また、図13に示す銀銅合金粒子(Ag:Cu=50.3:49.7(モル比)、銀銅合金に含まれる銅の濃度が36.8wt%)においては、格子縞(結晶中の原子配列)が一方向に観測され、図13に示す銀銅合金粒子には結晶粒界が無いことがわかる。
本発明において、上記EDS分析(エネルギー分散型X線分光分析)を用いる場合のビーム径は、用いる装置の能力などによって異なるが、例えば25nmであることが好ましく、より好ましくは10nm、さらに好ましくは5nmであることが好ましい。また分析装置によっては0.5nmであることがより好ましく、0.2nmであることがより好ましい。本発明における実施例においては、TEM−EDS分析の場合にビーム径を5nm、STEM−EDS分析の場合にビーム径を0.2nmとして実施した。また、本発明における、TEMまたはSTEMの観察条件としては、25万倍以上が好ましく、50万倍以上がより好ましい。
EDSの分析方法について、その分析箇所の決定については単数複数を問わず特に限定されないが、複数箇所について行うことが好ましく、分析の対象が粒子である場合には、複数個の粒子についてそれぞれEDS分析を行っても良いし、単独の粒子における、複数の箇所をEDS分析しても良い。例えば、粒子径が5nmであって、EDSのビーム径が5nmである場合には、複数個の粒子についてEDS分析を行う方法を用いても良いし、EDS分析におけるビームの照射位置を若干変更することによって、単独の粒子における、複数の箇所をEDS分析しても良い。また、粒子径が5nmであって、EDSのビーム径が0.2nmである場合に、単独の粒子における、複数の箇所をEDS分析しても良い。
EDS分析箇所の数については特に限定されないが、3箇所以上が好ましく、より好ましくは10個以上、さらに好ましくは25個以上が好ましい。
本発明に係る銀銅合金においては、TEM−EDS分析またはSTEM−EDS分析を用いた上記のビーム径による微小範囲における銀と銅とのモル比の分析を行った結果、分析点の50%以上、好ましくは65%以上、より好ましくは80%以上で、銀と銅とのモル比が、ICP分析結果によって得られた銀と銅とのモル比の±30%以内、好ましくは20%以内、より好ましくは10%以内で検出されることが望ましい。
しかし、分析点の50%以上で、ICP分析結果によって得られた銀と銅とのモル比の±30%を越える場合には、ICP分析によって得られた銀と銅とのモル比に対して、TEM−EDS分析またはSTEM−EDS分析によって得られた微小範囲分析結果における銀と銅とのモル比が大きく異なるため、均一な銀銅合金が作製できていない恐れがある。
このような分析が可能な装置としては特に限定されないが、例えば、透過型電子顕微鏡観察下でのエネルギー分散型X線分光分析(TEM−EDS)が可能な装置として、エネルギー分散型X線分析装置、JED−2300(JEOL製)を備えた、透過型電子顕微鏡、JEM−2100(JEOL製)や、走査透過型電子顕微鏡観察下でのエネルギー分散型X線分光分析(STEM−EDS)が可能な装置として、r−TEM EDS検出器(アメテック社製)を備えた高分解能分析電子顕微鏡、Titan80−300(FEI社製)または、エネルギー分散型X線分析装置、Centurio(JEOL製)を備えた、原子分解能分析電子顕微鏡、JEM−ARM200F(JEOL製)などが挙げられる。
(銀と銅の比率)
本発明における銀銅合金に含まれる銀と銅の比率(モル比)については特に限定されない。銀のモル比の方が高い銀銅合金でも良いし、銅のモル比の方が高い銀銅合金でも良い。また、本出願においては、上記銀銅合金に含まれる銀と銅のモル比に関係なく、銀と銅とからなる合金を銀銅合金と記載する。
(銀銅合金粒子の粒子径)
本発明における銀銅合金は、その粒子径が50nm以下の銀銅合金粒子であることが好ましい。より好ましくは粒子径が25nm以下の銀銅合金であり、さらに好ましくは10nm以下の銀銅合金粒子である。その理由は、ナノメートルサイズの粒子が、量子サイズ効果によって低融点化・低温焼結性といった特異的物性を示すためである。例えば、近年のナノテクノロジーの進展とともに塗布焼成のプロセスによってもプラスチック基板上に回路形成できる材料として、ナノ粒子を用いた電子回路形成用の導電性ペースト等が必要とされており、上記特異的物性によってその要求を満足できることなどが挙げられる。本発明においては、各図に示した銀銅合金を含め、得られる銀銅合金において、その粒子径が50nm以下であり、25nm以下並びに10nm以下の銀銅合金粒子もあった。
また、本発明に係る銀銅合金は、乾式での熱処理を要しない銀銅合金粒子である。
なお、多くの合金と同様に、本発明の銀銅合金も微量の不純物を含むこともあるために、本発明は、その銀銅合金中に、意図的に若しくは意図せずに、銀又は銅以外の元素を含めることを許容するものである。意図的に含める元素としては、錫元素を例示し得る。それらの元素の比率は、特に限定されないが、例えば、はんだを目的とする場合には、錫:銀:銅=95.0〜93.0:5.0〜3.0:2.0〜0.5(モル比)の範囲であることが好ましい。錫以外としては、特に限定されず、全ての元素が挙げられるが、一例を示すと、金、パラジウム、ニッケル、クロム、マンガン、バナジウム、鉄、モリブデンなどが挙げられる。その他の金属が意図せずに不純物として含まれると考えられる割合は、特に限定されないが、銀銅合金全体の0.05wt%未満、より好ましくは0.02wt%未満、さらに好ましくは、0.01wt%未満である。
(銀銅合金粒子の製造方法1:概要)
上記銀銅合金の製造方法としては、特に限定されない。銀及び銅の化合物を熱分解する方法でも良いし、銀及び銅のイオンを還元する方法でも良いが、銀イオン及び銅イオンを含む流体と、還元剤を含む流体とを混合し、銀銅合金の粒子を析出させる銀銅合金粒子の製造方法であることが好ましい。また、銀イオンを含む流体と、銅イオンを含む流体と、還元剤を含む流体とを混合し、銀銅合金の粒子を析出させる銀銅合金粒子の製造方法であってもよい。上記の還元剤を含む流体としては、1種類の還元剤を含むものであってもよく、少なくとも2種類の還元剤を含むものであってもよい。上記の還元剤を含む流体として少なくとも2種類の還元剤を含むことによって、銀及び銅の析出時間を制御でき、実質的に銀と銅とを同時に析出させることができるため、銀銅合金として析出させられる利点がある。還元剤を1種類しか用いない場合には、銀及び銅の析出時間を制御することが難しく、銀と銅とがそれぞれ単独で析出しやすいと考えられるが、本発明においては、上記の還元剤を含む流体として、1種類の還元剤を含む流体の使用を妨げるものではない。
また、上記の還元剤を含む流体として、還元剤を少なくとも1種類含む第1還元剤流体と、第1還元剤流体に用いられた還元剤とは異なる還元剤を少なくとも1種類含む第2還元剤流体との2種類の流体を用いてもよい。
(銀銅合金粒子の製造方法2:銀イオン及び銅イオンを含む流体、銀イオンを含む流体と銅イオンを含む流体)
上記銀イオン及び銅イオンを含む流体、または銀イオンを含む流体と銅イオンを含む流体としては、特に限定されないが、銀イオン及び銅イオンを含む溶液、または銀イオンを含む溶液と銅イオンを含む溶液が好ましい。作製方法としては銀または銅の金属単体を塩酸や硝酸、王水などに溶解する方法や、銀または銅の化合物を溶媒に溶解させる方法などが挙げられる。また、銀単体及び/または銀化合物と、銅単体及び/または銅化合物とを一度に溶媒に溶解して銀イオン及び銅イオンを含む流体を作製してもよいし、銀単体及び/または銀化合物を溶媒に溶解した銀溶液と、銅単体及び/または銅化合物を溶媒に溶解した銅溶液とを混合して銀イオン及び銅イオンを含む流体を作製してもよい。
(化合物)
上記銀または銅の化合物としては、特に限定されないが、一例として銀または銅の塩、酸化物、窒化物、炭化物、錯体、有機塩、有機錯体、有機化合物などが挙げられる。銀または銅の塩としては、特に限定されないが、硝酸塩や亜硝酸塩、硫酸塩や亜硫酸塩、蟻酸塩や酢酸塩、リン酸塩や亜リン酸塩、次亜リン酸塩や塩化物、オキシ塩やアセチルアセトナート塩などが挙げられる。その他の化合物としては銀または銅のアルコキシドが挙げられる。
(溶媒)
上記2種の金属及び/又はその化合物は、溶媒に混合、好ましくは溶解又分子分散させて、上記2種の金属のイオンの一方又は双方を含む流体を作製することができる。
銀と銅の合金の場合には、上記の銀単体及び/または銀化合物、及び/又は、銅単体及び/または銅化合物を溶媒に混合、好ましくは溶解または分子分散して、銀イオン及び銅イオンを含む流体、または銀イオンを含む流体と銅イオンを含む流体を作製することができる。また、上記銀単体及び/または銀化合物、及び/又は、銅単体及び/または銅化合物は、目的によって任意に単数又は複数を選択して用いることができる。上記銀単体及び/または銀化合物、及び/又は、銅単体及び/または銅化合物を溶解させるための溶媒としては、例えば、水や有機溶媒、またはそれらを混ぜた混合溶媒が挙げられる。前記水としては、水道水やイオン交換水、純水や超純水、RO水などが挙げられ、有機溶媒としては、アルコール化合物溶媒、アミド化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、二硫化炭素、脂肪族化合物溶媒、ニトリル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒、ハロゲン化合物溶媒、エステル化合物溶媒、イオン性液体、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物などが挙げられる。上記の溶媒はそれぞれ単独で使用しても良く、または複数を混合して使用しても良い。
(酸性物質及び塩基性物質)
その他、上記溶媒に塩基性物質または酸性物質を混合または溶解しても実施できる。塩基性物質としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの金属水酸化物、ナトリウムメトキシドやナトリウムイソプロポキシドのような金属アルコキシド、さらにトリエチルアミンやジエチルアミノエタノール、ジエチルアミンなどのアミン系化合物などが挙げられる。酸性物質としては、王水、塩酸、硝酸、発煙硝酸、硫酸、発煙硫酸などの無機酸や、ギ酸、酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸などの有機酸が挙げられる。これらの塩基性物質または酸性物質は、上記の通り各種溶媒と混合しても実施できるし、それぞれ単独でも使用できる。
(溶媒の詳しい説明)
上記の溶媒についてさらに詳しく説明すると、アルコール化合物溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノールなどが挙げられ、さらにn−ブタノールなどの直鎖アルコール、2−ブタノール、tert−ブタノール等の分枝状アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の多価アルコールや、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。ケトン化合物溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。エーテル化合物溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。芳香族化合物溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンが挙げられる。脂肪族化合物溶媒としては、例えば、ヘキサンなどが挙げられる。ニトリル化合物溶媒としては、例えば、アセトニトリルなどが挙げられる。スルホキシド化合物溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキド、ヘキサメチレンスルホキシド、スルホランなどが挙げられる。ハロゲン化合物溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロエチレン、ヨードホルムなどが挙げられる。エステル化合物溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、2−(1−メトキシ)プロピルアセテートなどが挙げられる。イオン性液体としては、例えば、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムとPF (ヘキサフルオロリン酸イオン)との塩などが挙げられる。アミド化合物溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどが挙げられる。カルボン酸化合物としては、例えば、2,2−ジクロロプロピオン酸、スクアリン酸などが挙げられる。スルホン酸化合物としては、例えば、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、クロロスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などが挙げられる。
(還元剤)
上記還元剤としては、特に限定されないが、上記の2種の金属(銀と銅の合金の場合には、銀及び/または銅)のイオンを還元することができる還元剤の全てが使用可能である。
銀と銅の合金の場合の一例を挙げると、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウムなどのヒドリド系還元剤や、ホルマリンやアセトアルデヒド等のアルデヒド類、亜硫酸塩類、蟻酸、蓚酸、クエン酸、コハク酸、アスコルビン酸等のカルボン酸類、又はその塩、あるいはラクトン類、エタノール、ブタノール、オクタノール等の脂肪族モノアルコール類、ターピネオール等の脂環族モノアルコール類等のモノアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の脂肪族ジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル類、ジエタノールアミンやモノエタノールアミン等のアルカノールアミン類、ハイドロキノン、レゾルシノール、アミノフェノール、ブドウ糖、あるいはクエン酸ナトリウム、次亜塩素酸またはその塩、遷移金属のイオン(チタンや鉄のイオンなど)やヒドラジン類やアミン類などが挙げられる。
(還元剤:ヒドラジン類またはアミン類)
本発明においては、上記還元剤のうちの少なくとも1種類を使用する。また、上記還元剤を少なくとも2種類を使用し、銀と銅の還元速度、または銀と銅の析出時間を制御することが好ましく、ヒドラジン類またはアミン類から選ばれる少なくとも2種を選択して用いることがより好ましく、ヒドラジン類から少なくとも1種及びアミン類から少なくとも1種を選択して用いることがさらに好ましい。上記ヒドラジン類としては、特に限定されないが、ヒドラジン、ヒドラジン一水和物、炭酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジニウム、フェニルヒドラジン、1−メチル−1−フェニルヒドラジン、1,1−ジフェニルヒドラジン塩酸塩などが挙げられる。アミン類としては、特に限定されないが、式:RNH;RNH;またはRN;[式中、R,RおよびRは同一またはそれぞれ異なる置換基を示し、RおよびRは互いに結合して隣接する窒素原子と環状アミノを形成していてもよい。]で表される化合物またはその塩などが挙げられる。一例を挙げると、トリエチルアミンやトリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノールなどが挙げられる。
少なくとも2種類の還元剤を用いることによって、上述の通り、銀と銅の還元速度、または銀と銅の析出時間を制御できる。そのメカニズムとしては、特に限定されないが、異なる特性の銀と銅、特に標準電極電位の異なる銀と銅(Cu2++2e⇔Cu:+0.337V、Ag+e⇔Ag:+0.799V)を、1種類の還元剤で還元させようと試みた場合には、より還元されやすい貴な金属である銀が、銅よりも先に還元、析出されやすく、銀と銅が単独、または共晶体を含む合金として析出しやすいが、少なくとも2種類の還元剤を用いることによって、銅の還元、析出を早めるか、もしくは銀の還元、析出を遅らせるか、もしくはその両方の効果によって、銀と銅を同時に析出させることができるためと本発明者は考えている。よって、本発明における銀銅合金粒子は、共晶体を含まない非共晶構造となりやすく、後述する、本願出願人の出願である、特許文献5に記載された流体処理装置を用いて、銀イオン及び銅イオンを含む流体と、還元剤を含む流体とを混合し、銀銅合金粒子を析出させることによって、後述する実施例にて確認された均一且つ均質な銀銅合金粒子を作製することが可能である。
(還元剤を含む流体)
上記還元剤を含む流体は、上記の還元剤を少なくとも1種類含むものであり、上記の還元剤が液体の状態、または溶媒に混合され、溶解または分子分散された状態であることが好ましい。上記溶媒については特に限定されない。先述した溶媒を目的に応じて用いることが可能である。上記の還元剤を含む流体には、分散液やスラリーなどの状態のものを含んでも実施できる。
また、上記還元剤を含む流体としては、上述のように、少なくとも2種類の還元剤を含んだものを用いてもよく、還元剤を少なくとも1種類含む第1還元剤流体と、第1還元剤流体に用いられた還元剤とは異なる還元剤を少なくとも1種類含む第2還元剤流体との2種類の流体を用いてもよい。
(pH:各流体の流体、混合後の流体)
本発明における各流体のpHについては特に限定されない。目的とする少なくとも2種の金属の合金粒子における2種の金属のモル比や粒子径、または結晶性などによって適宜変更することが可能である。2種の金属のイオンを含む流体または一方の金属のイオンを含む流体と他方の金属のイオンを含む流体、及び還元剤を含む流体のpH調整については、各流体に上記酸性物質または塩基性物質を含んでも実施できるし、用いる金属やその化合物の種類や還元剤の種類、また濃度によって変更することも可能である。
(pH:銀及び銅のイオンを含む流体または銀イオンを含む流体と銅のイオンを含む流体、還元剤を含む流体、混合後の流体)
さらに、上記銀イオン及び銅イオンを含む流体または銀イオンを含む流体と銅イオンを含む流体と還元剤を含む流体とを混合した後のpHについても特に限定されないが、7〜14であることが好ましく、8〜13であることがより好ましく、11〜13であることがさらに好ましい。より詳しくは、上記銀イオン及び銅イオンを含む流体または銀イオンを含む流体と銅イオンを含む流体と還元剤を含む流体とを混合した後の流体のpHが7以下である場合には、銀イオンまたは銅イオンの還元が不十分となり易く、また銀と銅の還元速度を制御することが難しくなる。また、混合した後の流体のpHが14よりも大きい場合には、銀や銅の酸素を含む化合物、例えば水酸化物や酸化物が発生しやすくなる。特に、混合した後の流体のpHが11〜13の範囲である場合には、作製される銀銅合金粒子における銀と銅の均一性が高くなりやすく、複数の粒子のそれぞれについても、個々の粒子内においても銀と銅の均一性が高くなりやすいため、好ましい。また、混合した後の流体のpHの調整方法については特に限定されない。混合した後の流体のpHが、上記pHの範囲となるように、各流体のpHを調整することや、各流体の流量を変更することによって実施できる。
なお、実施例においては、銀イオン及び銅イオンを含む流体と還元剤を含む流体とを混合した直後の流体のpHを測定することは困難なため、後述する流体処理装置の処理用面1,2間から吐出した吐出液のpHを測定した。
(温度)
本発明における各流体における温度については特に限定されない。pHと同様に、目的とする少なくとも2種の金属の合金粒子における2種の金属のモル比や粒子径、または結晶性などによって適宜変更することが可能である。
(分散剤等)
また、本発明においては、目的や必要に応じて各種の分散剤や界面活性剤を用いる事ができる。特に限定されないが、界面活性剤及び分散剤としては一般的に用いられる様々な市販品や、製品または新規に合成したものなどを使用できる。一例として、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤や、各種ポリマーなどの分散剤などを挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。分散剤の中には還元性を示すものがあり、その一例としてポリビニルピロリドンやn−オクチルアミン等が挙げられる。
上記の界面活性剤及び分散剤は、上記の2種の金属のイオンを含む流体、一方の金属のイオンを含む流体と他方の金属のイオンを含む流体、または還元剤を含む流体の内、金属合金粒子の作製に用いられる流体のいずれか、または用いる流体の複数に含まれていてもよい。また、上記の界面活性剤及び分散剤は、第3の流体に含まれていてもよい。ここで、第3の流体とは、上記の2種の金属のイオンを含む流体でもなく、一方の金属のイオンを含む流体でもなく、他方の金属イオンを含む流体でもなく、還元剤を含む流体でもない、流体を言う。特に分散性の向上のために、上記分散剤などは、予め上記の還元剤を含む流体、または2種の金属のイオンを含む流体もしくは一方の金属のイオンを含む流体と他方の金属のイオンを含む流体の、少なくとも何れか一種の流体に導入しておくことが好ましい。
(B)固体銀ニッケル合金
次に、本発明の他の実施の形態の一例である銀ニッケル合金とその製造方法について、具体的に説明する。
(銀ニッケル合金、実質的に共晶体の存在しない銀ニッケル合金及びその粒子)
本発明に係る銀ニッケル合金は、実質的に共晶体が存在しない銀ニッケル合金(AgNi合金)である。ここで、共晶体とは共晶組織を持っているものを言う。特に、Ag−Ni系合金平衡状態図(一例として、一般的なAg−Ni系合金平衡状態図を図30に示す。)における、固相領域の銀とニッケルとの割合(重量比及びモル比)における固体銀ニッケル合金である。一般的にこの領域(銀ニッケル合金に含まれるニッケルの濃度が0wt%より多い領域)において銀とニッケルとは混ざり合わないが、本発明においてはこの領域においても、両者が均一に混ざり合った合金であり、共晶体を含まない非共晶構造を主体とする銀ニッケル合金である。これによって高いアーク放電侵食抵抗を発揮することや、耐熱性や耐摩耗性や耐溶着性、触媒性能、点火プラグとしての寿命など、銀ニッケル合金として期待された特性の向上が可能である。本発明に係る銀ニッケル合金は、共晶体を含まない非共晶構造を主体とする銀ニッケル合金であるが、本発明において「非共晶構造を主体とする銀ニッケル合金」とは、本発明に係る銀ニッケル合金の50容量%以上が非共晶構造である銀ニッケル合金とする。また、本発明における非共晶構造としては、固溶体やアモルファス等が挙げられる。
銀ニッケル合金中の共晶体の存在(量)に関する分析方法は特に限定されないが、先の銀銅合金の場合と同様、顕微分析が好ましく、特に微小領域について、銀とニッケルとの分布状態や、重量比またはモル比を分析できる分析手法が好ましい。例えば、透過型電子顕微鏡観察下でのエネルギー分散型X線分光分析(TEM−EDS)または走査型電子顕微鏡観察下でのエネルギー分散型X線分光分析(SEM−EDS)、高分解能TEM(HRTEM)、高角散乱環状暗視野走査透過顕微鏡法(HAADF−STEM)、走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いた元素マッピング、走査透過型電子顕微鏡観察下でのエネルギー分散型X線分光分析(STEM−EDS)、電子エネルギー損失分光法(EELS)などが挙げられる。その他の分析方法であっても良いが、銀ニッケル合金が共晶体を含まない非共晶構造であることの証明のためには、顕微分析が好ましい。本発明における共晶体の存在しない非共晶構造を主体とする銀ニッケル合金として、図31〜図33に示すTEM像やSTEM像のような銀ニッケル合金粒子が挙げられる。
図31に示す銀ニッケル合金粒子については、銀ニッケル合金粒子粉体のICP分析結果においてはAg:Ni=50.3:49.7(モル比)であり、言い換えると、銀ニッケル合金に含まれるニッケルの濃度が35.0wt%である。また、図32に示す銀ニッケル合金粒子については、銀ニッケル合金粒子粉体のICP分析結果においてはAg:Ni=14.9:85.1(モル比)であり、言い換えると、銀ニッケル合金に含まれるニッケルの濃度が75.6wt%である。図33に示す銀ニッケル合金粒子については、銀ニッケル合金粒子粉体のICP分析結果においてはAg:Ni=84.9:15.1(モル比)であり、言い換えると、銀ニッケル合金に含まれるニッケルの濃度が8.8wt%である。上記の銀ニッケル合金は、全てAg−Ni系合金平衡状態図において、混ざり合わない領域である銀とニッケルとの割合であるが、後述する実施例において、それぞれ銀とニッケルとが一つの粒子において明らかに偏析している様子は確認されず、銀のみの領域またはニッケルのみの領域は確認できない。さらに図33には、その銀ニッケル合金粒子における直径0.2nmのビーム径による、STEM−EDS分析点(4点)を示し、図34に、図32に示した各分析点にて分析したEDS分析結果を示す。本発明に係る銀ニッケル合金は、STEM-EDS分析を用いた直径0.2nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、分析点の50%以上で、銀とニッケルとのモル比が、ICP分析結果によって得られた銀とニッケルとのモル比の±30%以内で検出されることが望ましいが、図34に示した分析結果より、分析点の50%以上で、STEM-EDS分析における銀とニッケルとのモル比が、ICP分析結果によって得られた銀とニッケルとのモル比の±30%以内で検出されており、これを満たしている。もしも、銀ニッケル合金粒子において共晶体を含む場合、Agが100%、あるいはNiが100%の分析点が多数検出されるはずである。つまり上記銀ニッケル合金粒子が共晶体を含まない銀ニッケル合金であることがわかる。また、さらに図33には、銀ニッケル合金粒子における直径5nmのビーム径による、TEM−EDS分析点(4点)を示し、図35に図33に示した各分析点にて測定したEDS分析結果を示す。本発明に係る銀ニッケル合金は、TEM-EDS分析を用いた直径5nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、分析点の50%以上で、銀とニッケルとのモル比が、ICP分析結果によって得られた銀とニッケルとのモル比の±30%以内で検出されことが望ましいが、図35に示した分析結果より、分析点の50%以上で、TEM-EDS分析における銀とニッケルとのモル比が、ICP分析結果によって得られた銀とニッケルとのモル比の±30%以内で検出されており、これを満たしている。
また、本発明においては上記のような分析を、直径50nm以下の領域において行うことが好ましい。また、本発明において、上記EDS分析(エネルギー分散型X線分光分析)を用いる場合のビーム径は、用いる装置の能力などによって異なるが、例えば25nmであることが好ましく、より好ましくは10nm、さらに好ましくは5nmであることが好ましい。また分析装置によっては0.5nmであることがより好ましく、0.2nmであることがより好ましい。本発明における実施例においては、TEM-EDS分析の場合にビーム径を5nm、STEM-EDS分析の場合にビーム径を0.2nmとして実施した。
EDSの分析方法について、その分析箇所の決定については特に限定されないが、複数箇所について行うことが好ましく、分析の対象が粒子である場合には、複数個の粒子についてそれぞれEDS分析を行っても良いし、単独の粒子における、複数の箇所をEDS分析しても良い。例えば、粒子径が5nmであって、EDSのビーム径が5nmである場合には、複数個の粒子についてEDS分析を行う方法を用いても良いし、EDS分析におけるビームの照射位置を若干変更することによって、単独の粒子における、複数の箇所をEDS分析しても良い。また、粒子径が5nmであって、EDSのビーム径が0.2nmである場合に、単独の粒子における、複数の箇所をEDS分析しても良い。本発明においては単独の粒子における、複数の箇所をEDS分析する方法が、より好ましい。
EDS分析箇所の数については特に限定されないが、3箇所以上が好ましく、より好ましくは10箇所以上、さらに好ましくは25箇所以上が好ましい。
本発明においては、TEM―EDS分析またはSTEM−EDS分析を用いた上記のビーム径による微小範囲分析を行った結果、複数の分析点における50%以上、好ましくは65%以上、より好ましくは80%以上で、銀とニッケルとのモル比が、ICP分析結果によって得られた銀とニッケルとのモル比の±30%以内、好ましくは20%以内、より好ましくは10%以内で検出されることが望ましい。
このような分析が可能な装置としては特に限定されないが、例えば、透過型電子顕微鏡観察下でのエネルギー分散型X線分光分析(TEM−EDS)が可能な装置として、エネルギー分散型X線分析装置、JED−2300(JEOL製)を備えた、透過型電子顕微鏡、JEM−2100(JEOL製)や、r−TEM EDS検出器(アメテック社製)を備えた高分解能分析電子顕微鏡、Titan80−300(FEI社製)などが挙げられる。
(銀とニッケルの比率)
本発明における銀ニッケル合金に含まれる銀とニッケルの比率(モル比)については特に限定されない。銀のモル比の方が高い銀ニッケル合金でも良いし、ニッケルのモル比の方が高い銀ニッケル合金でも良い。また、本出願においては、上記銀ニッケル合金に含まれる銀とニッケルのモル比に関係なく、銀とニッケルとからなる合金を銀ニッケル合金と記載する。
(銀ニッケル合金粒子:粒子径)
本発明における銀ニッケル合金は、その粒子径が50nm以下の銀ニッケル合金粒子であることが好ましい。より好ましくは粒子径が25nm以下の銀ニッケル合金粒子であり、さらに好ましくは10nm以下の銀ニッケル合金粒子である。その理由は、ナノメートルサイズの粒子が、量子サイズ効果によって低融点化・低温焼結性といった特異的物性を示すためである。例えば、近年のナノテクノロジーの進展とともに塗布焼成のプロセスによってもプラスチック基板上に回路形成できる材料として、ナノ粒子を用いた電子回路形成用の導電性ペースト等が必要とされており、上記特異的物性によってその要求を満足できることなどが挙げられる。本発明においては、各図に示した銀ニッケル合金を含め、得られる銀ニッケル合金全てにおいて、その粒子径が50nm以下であり、25nm以下並びに10nm以下の銀ニッケル合金粒子もあった。
なお、多くの合金がそうあるように、本発明に係る銀ニッケル合金にあっても微量の不純物を含むことがあり、本発明は、その銀ニッケル合金中に、意図的に若しくは意図せずに、銀又はニッケル以外の元素を含めることを許容する。
(銀ニッケル合金粒子の製造方法1:概要)
上記の銀ニッケル合金粒子の製造方法としては、特に限定されない。銀及びニッケルの化合物を熱分解する方法でも良いし、銀及びニッケルのイオンを還元する方法でも良いが、銀イオン及びニッケルイオンを含む流体と、還元剤を含む流体とを混合し、銀ニッケル合金を析出させる銀ニッケル合金粒子の製造方法であることが好ましい。また、銀イオン及びニッケルイオンを含む流体と、還元剤を含む流体とを混合し、銀ニッケル合金を析出させる銀ニッケル合金粒子の製造方法において、上記還元剤を含む流体として、還元剤を少なくとも1種類含む第1還元剤流体と、第1還元剤流体に用いられた還元剤とは異なる還元剤を少なくとも1種類含む第2還元剤流体との2種類の流体を用いてもよい。さらに、上記の銀ニッケル合金粒子の製造方法において、銀イオンを含む流体と、ニッケルイオンを含む流体と、還元剤を含む流体とを混合しても実施できる。
(銀ニッケル合金粒子の製造方法2:銀イオン及びニッケルイオンを含む流体、銀イオンを含む流体とニッケルイオンを含む流体)
上記銀イオン及びニッケルイオンを含む流体、または銀イオンを含む流体とニッケルイオンを含む流体としては、特に限定されないが、銀イオン及びニッケルイオンを含む溶液、または銀イオンを含む溶液とニッケルイオンを含む溶液が好ましい。作製方法としては銀またはニッケルの金属単体を塩酸や硝酸、王水などに溶解する方法や、銀またはニッケルの化合物を溶媒に溶解させる方法などが挙げられる。また、銀単体または銀化合物と、ニッケル単体またはニッケル化合物とを一度に溶媒に溶解して銀イオン及びニッケルイオンを含む流体を作製してもよいし、銀単体または銀化合物を溶媒に溶解した銀溶液と、ニッケル単体またはニッケル化合物を溶媒に溶解したニッケル溶液とを混合して銀イオン及びニッケルイオンを含む流体を作製してもよい。
(化合物)
上記の銀またはニッケルの化合物としては、特に限定されないが、一例として銀またはニッケルの塩、酸化物、窒化物、炭化物、錯体、有機塩、有機錯体、有機化合物などが挙げられる。銀またはニッケルの塩としては、特に限定されないが、硝酸塩や亜硝酸塩、硫酸塩や亜硫酸塩、蟻酸塩や酢酸塩、リン酸塩や亜リン酸塩、次亜リン酸塩や塩化物、オキシ塩やアセチルアセトナート塩などが挙げられる。その他の化合物としては銀またはニッケルのアルコキシドが挙げられる。
合金を構成する上記の2種の金属(この場合には、銀とニッケル)を混合、好ましくは溶解又は分子分散させる溶媒等については、前述の銀と銅の合金の説明、より詳しくは、(溶媒)(酸性物質及び塩基性物質)(溶媒の詳しい説明)(還元剤を含む流体)(pH:各流体の流体、混合後の流体)(温度)(分散剤等)に関する説明と同様であり、その記載を省略する。
(還元剤)
なお、還元剤については、少し異なる点もあるため、下記にその全体を記載する。
上記還元剤としては、特に限定されないが、銀及び/またはニッケルのイオンを還元することができる還元剤の全てが使用可能である。一例を挙げると、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウムなどのヒドリド系還元剤や、ホルマリンやアセトアルデヒド等のアルデヒド類、亜硫酸塩類、蟻酸、蓚酸、クエン酸、コハク酸、アスコルビン酸等のカルボン酸類、又はその塩、あるいはラクトン類、エタノール、ブタノール、オクタノール等の脂肪族モノアルコール類、ターピネオール等の脂環族モノアルコール類等のモノアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の脂肪族ジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル類、ジエタノールアミンやモノエタノールアミン等のアルカノールアミン類、ハイドロキノン、レゾルシノール、アミノフェノール、ブドウ糖、あるいはクエン酸ナトリウム、次亜塩素酸またはその塩、遷移金属のイオン(チタンや鉄のイオンなど)や、ヒドラジン類や、トリエチルアミンやトリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノールなどのアミン類などが挙げられる。
(還元剤:ヒドラジン類)
本発明においては、上記還元剤のうちの少なくとも1種類を使用する。また、上記還元剤のうち2種類以上を使用すると、銀とニッケルの還元速度、または銀とニッケルの析出時間を制御できる可能性がある。上記還元剤としては、ヒドラジン類を用いることが好ましい。上記ヒドラジン類としては、特に限定されないが、ヒドラジン、ヒドラジン一水和物、炭酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジニウム、フェニルヒドラジン、1-メチル-1-フェニルヒドラジン、1,1-ジフェニルヒドラジン塩酸塩などが挙げられる。
例えば、還元剤を2種類以上用いることによって、上述の通り、銀とニッケルの還元速度、または銀とニッケルの析出時間を制御できる可能性がある。そのメカニズムとしては、特に限定されないが、異なる特性の銀とニッケル、特に標準電極電位の異なる銀とニッケル(Ni2++2e⇔Ni:−0.228V、Ag+e⇔Ag:+0.799V)を、1種類の還元剤で還元させようと試みた場合には、より還元されやすい貴な金属である銀が、ニッケルよりも先に還元、析出されやすく、銀とニッケルが単独、または不均一な合金として析出しやすいと考えられるが、還元剤を2種類以上用いることによって、ニッケルの還元、析出を早めるか、もしくは銀の還元、析出を遅らせるか、もしくはその両方の効果によって、銀とニッケルを同時に析出させることができると考えられる。
(C)固体金ニッケル合金
次に、本発明の他の実施の形態の一例である金ニッケル合金とその製造方法について、具体的に説明する。
(固体金ニッケル合金粒子、2種類の金属がナノレベルの微細な混在状態を示す固溶された金ニッケル合金及びそのナノ粒子)
本発明に係る固体金ニッケル合金粒子は、粒子径が500nm以下の金ニッケル合金粒子であり、好ましく100nm以下の金ニッケル合金粒子であり、さらに好ましくは50nm以下の金ニッケル合金粒子である。
また、本発明に係る固体金ニッケル合金粒子は、金ニッケル合金に含まれるニッケルの濃度が2.0wt%から92.7wt%、好ましくは3.0wt%から90.0wt%の範囲である固体金ニッケル合金のナノ粒子であり、金とニッケルとの2種類の金属がナノレベルの微細な混在状態を示す固溶された金ニッケル合金(AuNi合金)を主体とするナノ粒子である。一般的なAu−Ni系合金平衡状態図を図38に示すが、従来の合金では一般的に、α相とβ相とが混在している状態となっている。本発明においては、この領域においても、均一な金ニッケル合金であり、これらの2種類の金属がナノレベルの微細な混在状態を示すように固溶された合金を主体とする金ニッケル合金である。これによって電子部品としてのコネクター、小型リレー、プリント配線板などの高信頼性電気接点材料としての性能を発揮することや、耐熱性や耐摩耗性、触媒性能など、金ニッケル合金として期待された特性を発揮することが可能である。本発明に係る金ニッケル合金は、上述の通り、2種類の金属がナノレベルの微細な混在状態を示すように固溶された合金を主体とする金ニッケル合金である。また、本発明における2種類の金属がナノレベルの微細な混在状態を示すように固溶された合金として、アモルファス等も挙げられる。
金ニッケル合金中の金とニッケルとの均一さ並びに金ニッケル合金が2種類の金属がナノレベルの微細な混在状態を示すように固溶された合金を主体とするものであるかどうかに関する分析方法は特に限定されないが、顕微分析が好ましく、特に微小領域について、金とニッケルとの分布状態や、重量比またはモル比を分析できる分析手法が好ましい。例えば、透過型電子顕微鏡観察下でのエネルギー分散型X線分光分析(TEM−EDS)または走査型電子顕微鏡観察下でのエネルギー分散型X線分光分析(SEM−EDS)、高分解能TEM(HRTEM)、高角散乱環状暗視野走査透過顕微鏡法(HAADF−STEM)、走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いた元素マッピング、走査透過型電子顕微鏡観察下でのエネルギー分散型X線分光分析(STEM−EDS)、電子エネルギー損失分光法(EELS)などが挙げられる。その他の分析方法であっても良いが、金ニッケル合金中の金とニッケルとの均一さ並びに金ニッケル合金が2種類の金属がナノレベルの微細な混在状態を示すように固溶された合金を主体とするものであるかどうかの証明のためには、顕微分析が好ましい。本発明における均一な金ニッケル合金並びに2種類の金属がナノレベルの微細な混在状態を示すように固溶された合金を主体とする金ニッケル合金として、図39、図40及び図41に示すTEM像やSTEM像のような金ニッケル合金粒子が挙げられる。
図39に示す金ニッケル合金粒子については、金ニッケル合金粒子粉体のICP分析結果においてはAu:Ni=50.1:49.9(モル比)であり、言い換えると、金ニッケル合金に含まれるニッケルの濃度が22.9wt%である。また、図40に示す金ニッケル合金粒子については、金ニッケル合金粒子粉体のICP分析結果においてはAu:Ni=14.9:85.1(モル比)であり、言い換えると、金ニッケル合金に含まれるニッケルの濃度が63.0wt%である。図41に示す金ニッケル合金粒子については、金ニッケル合金粒子粉体のICP分析結果においてはAu:Ni=74.1:25.9(モル比)であり、言い換えると、金ニッケル合金に含まれるニッケルの濃度が9.4wt%である。上記の金ニッケル合金粒子は、全てAu−Ni系合金平衡状態図(図4(C1))において、α+βの領域である金とニッケルとの割合であるが、それぞれ金とニッケルとが一つのナノ粒子において明らかに偏析している様子は確認されず、金のみの領域またはニッケルのみの領域は確認できない。さらに図40には、金ニッケル合金粒子における、直径0.2nmのビーム径による、STEM−EDS分析点(4点)を示し、図42に、図40に示した各分析点にて分析したEDS分析結果を示す。本発明に係る金ニッケル合金粒子を、STEM-EDS分析を用いた直径0.2nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、分析点の50%以上で、金とニッケルとのモル比が、ICP分析結果によって得られた金とニッケルとのモル比の±30%以内で検出されることが望ましいが、図42に示した分析結果より、分析点の50%以上で、STEM-EDS分析における金とニッケルとのモル比が、ICP分析結果によって得られた金とニッケルとのモル比の±30%以内で検出されており、これを満たしている。もしも、金ニッケル合金粒子が不均一であったり、2種類の金属がナノレベルの微細な混在状態を示すように固溶されていない部位を含む場合、金ニッケル合金粒子中の金とニッケルとの割合が、αまたはβそれぞれの金とニッケルの割合である分析点が多数検出されるはずである。つまり上記金ニッケル合金粒子が均一な金ニッケル合金であって、2種類の金属がナノレベルの微細な混在状態を示すように固溶された金ニッケル合金であることがわかる。また、さらに図41には、その金ニッケル合金粒子における直径5nmのビーム径による、TEM−EDS分析点(5点)を示し、図43に、図41に示した各分析点にて測定したEDS分析結果を示す。本発明に係る金ニッケル合金粒子を、TEM-EDS分析を用いた直径5nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、分析点の50%以上で、金とニッケルとのモル比が、ICP分析結果によって得られた金とニッケルとのモル比の±30%以内、好ましくは20%以内、より好ましくは10%以内で検出されることが望ましいが、図43に示した分析結果より、分析点の50%以上で、TEM-EDS分析における金とニッケルとのモル比が、ICP分析結果によって得られた金とニッケルとのモル比の±30%以内で検出されており、これを満たしている。本発明において、「均一な金ニッケル合金」とは、金ニッケル合金中の金とニッケルとの割合が所定の割合である金ニッケル合金であり、具体的には、1個の金ニッケル合金粒子中において、EDS分析によって得られた金とニッケルとの割合(モル比)が、ICP分析結果によって得られた金とニッケルとの割合(モル比)の±30%以内である金ニッケル合金粒子であって、複数の金ニッケル合金粒子についても同様の結果が得られるものをいう。そして、上記の「均一な金ニッケル合金」は、金とニッケルとが均一に混ざりあった金ニッケル合金である。
図39に示す金ニッケル合金ナノ粒子については、金ニッケル合金ナノ粒子粉体のICP分析結果においてはAu:Ni=50.1:49.9(モル比)であり、言い換えると、金ニッケル合金に含まれるニッケルの濃度が22.9wt%である。また、図40に示す金ニッケル合金ナノ粒子については、金ニッケル合金ナノ粒子粉体のICP分析結果においてはAu:Ni=14.9:85.1(モル比)であり、言い換えると、金ニッケル合金に含まれるニッケルの濃度が63.0wt%である。図41に示す金ニッケル合金ナノ粒子については、金ニッケル合金ナノ粒子粉体のICP分析結果においてはAu:Ni=74.1:25.9(モル比)であり、言い換えると、金ニッケル合金に含まれるニッケルの濃度が9.4wt%である。上記の金ニッケル合金ナノ粒子は、全てAu−Ni系合金平衡状態図4(C1)(図38)において、α+βの領域である金とニッケルとの割合であるが、それぞれ金とニッケルとが一つのナノ粒子において明らかに偏析している様子は確認されず、金のみの領域またはニッケルのみの領域は確認できない。さらに図40には、金ニッケル合金ナノ粒子における、直径0.2nmのビーム径による、STEM−EDS分析点(4点)を示し、図42に、図40に示した各分析点にて分析したEDS分析結果を示す。本発明に係る金ニッケル合金ナノ粒子を、STEM-EDS分析を用いた直径0.2nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、分析点の50%以上で、金とニッケルとのモル比が、ICP分析結果によって得られた金とニッケルとのモル比の±30%以内、好ましくは20%以内、より好ましくは10%以内で検出されることが望ましいが、図42に示した分析結果より、分析点の50%以上で、STEM-EDS分析における金とニッケルとのモル比が、ICP分析結果によって得られた金とニッケルとのモル比の±30%以内で検出されており、これを満たしている。もしも、金ニッケル合金ナノ粒子が不均一であったり、2種類の金属がナノレベルの微細な混在状態を示すように固溶されていない部位を含む場合、金ニッケル合金ナノ粒子中の金とニッケルとの割合が、αまたはβそれぞれの金とニッケルの割合である分析点が多数検出されるはずである。つまり上記金ニッケル合金ナノ粒子が均一な金ニッケル合金であって、2種類の金属がナノレベルの微細な混在状態を示すように固溶された金ニッケル合金であることがわかる。また、さらに図41には、その金ニッケル合金ナノ粒子における直径5nmのビーム径による、TEM−EDS分析点(5点)を示し、図43に、図41に示した各分析点にて測定したEDS分析結果を示す。本発明に係る金ニッケル合金ナノ粒子を、TEM−EDS分析を用いた直径5nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、分析点の50%以上で、金とニッケルとのモル比が、ICP分析結果によって得られた金とニッケルとのモル比の±30%以内で検出されことが望ましいが、図43に示した分析結果より、分析点の50%以上で、TEM-EDS分析における金とニッケルとのモル比が、ICP分析結果によって得られた金とニッケルとのモル比の±30%以内で検出されており、これを満たしている。本発明において、「均一な金ニッケル合金」とは、金ニッケル合金中の金とニッケルとの割合が所定の割合である金ニッケル合金であり、具体的には、1個の金ニッケル合金ナノ粒子中において、EDS分析によって得られた金とニッケルとの割合(モル比)が、ICP分析結果によって得られた金とニッケルとの割合(モル比)の±30%以内である金ニッケル合金ナノ粒子であって、複数の金ニッケル合金ナノ粒子についても同様の結果が得られるものをいう。そして、上記の「均一な金ニッケル合金」は、金とニッケルとが均一に混ざりあった金ニッケル合金である。
また、本発明においては上記のような分析を、直径50nm以下の領域において行うことが好ましい。また、本発明において、上記EDS分析(エネルギー分散型X線分光分析)を用いる場合のビーム径は、用いる装置の能力などによって異なるが、例えば25nmであることが好ましく、より好ましくは10nm、さらに好ましくは5nmであることが好ましい。また分析装置によっては0.5nmであることがより好ましく、0.2nmであることがより好ましい。本発明における実施例においては、TEM-EDS分析の場合にビーム径を5nm、STEM-EDS分析の場合にビーム径を0.2nmとして実施した。
EDSの分析方法について、その分析箇所の決定については特に限定されないが、複数箇所について行うことが好ましく、分析の対象が粒子である場合には、複数個の粒子についてそれぞれEDS分析を行っても良いし、単独の粒子における、複数の箇所をEDS分析しても良い。例えば、粒子径が5nmであって、EDSのビーム径が5nmである場合には、複数個の粒子についてEDS分析を行う方法を用いても良いし、EDS分析におけるビームの照射位置を若干変更することによって、単独の粒子における、複数の箇所をEDS分析しても良い。また、粒子径が5nmであって、EDSのビーム径が0.2nmである場合に、単独の粒子における、複数の箇所をEDS分析しても良い。本発明においては、単独の粒子における、複数の箇所をEDS分析する方法が、より好ましい。
EDS分析の数については特に限定されないが、3箇所以上が好ましく、より好ましくは10箇所以上、さらに好ましくは25箇所以上が好ましい。
本発明においては、本発明に係る金ニッケル合金ナノ粒子を、TEM−EDS分析またはSTEM−EDS分析を用いた上記のビーム径による微小範囲分析を行った結果、複数の分析点における50%以上、好ましくは65%以上、より好ましくは80%以上で、金とニッケルとのモル比が、ICP分析結果によって得られた金とニッケルとのモル比の±30%以内、好ましくは20%以内、より好ましくは10%以内で検出されることが望ましい。
このような分析が可能な装置としては特に限定されないが、例えば、透過型電子顕微鏡観察下でのエネルギー分散型X線分光分析(TEM−EDS)が可能な装置として、エネルギー分散型X線分析装置、JED−2300(JEOL製)を備えた、透過型電子顕微鏡、JEM−2100(JEOL製)や、r−TEM EDS検出器(アメテック社製)を備えた高分解能分析電子顕微鏡、Titan80−300(FEI社製)などが挙げられる。
(金とニッケルの割合)
本発明における金ニッケル合金ナノ粒子に含まれる金とニッケルの割合(モル比)については特に限定されない。金のモル比の方が高い金ニッケル合金ナノ粒子でも良いし、ニッケルのモル比の方が高い金ニッケル合金ナノ粒子でも良い。また、本出願においては、上記金ニッケル合金ナノ粒子に含まれる金とニッケルのモル比に関係なく、金とニッケルとを含む合金を金ニッケル合金と記載し、その金ニッケル合金のナノ粒子を金ニッケル合金ナノ粒子と記載する。
(金ニッケル合金ナノ粒子:粒子径)
本発明における金ニッケル合金ナノ粒子は、上記の通り、その粒子径が500nm以下であることが好ましい。より好ましくは、粒子径が100nm以下の金ニッケル合金ナノ粒子であり、さらに好ましくは50nm以下の金ニッケル合金ナノ粒子である。その理由は、ナノメートルサイズの粒子が、量子サイズ効果によって低融点化・低温焼結性といった特異的物性を示すためである。例えば、近年のナノテクノロジーの進展とともに塗布焼成のプロセスによってもプラスチック基板上に回路形成できる材料として、ナノ粒子を用いた電子回路形成用の導電性ペースト等が必要とされており、上記特異的物性によってその要求を満足できることなどが挙げられる。本発明においては、各図に示した金ニッケル合金を含め、得られる金ニッケル合金全てにおいて、その粒子径が500nm以下であり、100nm以下並びに50nm以下の金ニッケル合金ナノ粒子もあった。
(金ニッケル合金ナノ粒子の製造方法1:概要)
本発明に係る金ニッケル合金ナノ粒子の製造方法としては、特に限定されない。金及びニッケルの化合物を熱分解する方法でも良いし、金及びニッケルのイオンを還元する方法でも良いが、金イオン及びニッケルイオンを含む流体と、還元剤を含む流体とを混合し、金ニッケル合金ナノ粒子を析出させる金ニッケル合金ナノ粒子の製造方法であることが好ましい。また、金イオンを含む流体と、ニッケルイオンを含む流体と、還元剤を含む流体とを混合し、金ニッケル合金ナノ粒子を析出させる金ニッケル合金ナノ粒子の製造方法であってもよい。上記還元剤を含む流体として、還元剤を少なくとも1種類含む第1還元剤流体と、第1還元剤流体に用いられた還元剤とは異なる還元剤を少なくとも1種類含む第2還元剤流体との2種類の流体を用いてもよい。
(金ニッケル合金ナノ粒子の製造方法2:金イオン及びニッケルイオンを含む流体、金イオンを含む流体とニッケルイオンを含む流体)
上記金イオン及びニッケルイオンを含む流体、または金イオンを含む流体とニッケルイオンを含む流体としては、特に限定されないが、金イオン及びニッケルイオンを含む溶液、または金イオンを含む溶液とニッケルイオンを含む溶液が好ましい。作製方法としては金またはニッケルの金属単体を塩酸や硝酸、王水などに溶解する方法や、金またはニッケルの化合物を溶媒に溶解させる方法などが挙げられる。また、金単体及び/または金化合物と、ニッケル単体及び/またはニッケル化合物とを一度に溶媒に溶解して金イオン及びニッケルイオンを含む流体を作製してもよいし、金単体及び/または金化合物を溶媒に溶解した金溶液と、ニッケル単体及び/またはニッケル化合物を溶媒に溶解したニッケル溶液とを混合して金イオン及びニッケルイオンを含む流体を作製してもよい。
(化合物)
上記の金またはニッケルの化合物としては、特に限定されないが、一例として金またはニッケルの塩、酸化物、窒化物、炭化物、錯体、有機塩、有機錯体、有機化合物などが挙げられる。金またはニッケルの塩としては、特に限定されないが、硝酸塩や亜硝酸塩、硫酸塩や亜硫酸塩、蟻酸塩や酢酸塩、リン酸塩や亜リン酸塩、次亜リン酸塩や塩化物、オキシ塩やアセチルアセトナート塩などが挙げられる。その他の化合物としては金またはニッケルのアルコキシドが挙げられる。
合金を構成する上記の2種の金属(この場合には、金とニッケル)を混合、好ましくは溶解又は分子分散させる溶媒等については、前述の銀と銅の合金の説明、より詳しくは、(溶媒)(酸性物質及び塩基性物質)(溶媒の詳しい説明)(還元剤を含む流体)(pH:各流体の流体、混合後の流体)(温度)(分散剤等)に関する説明と同様であり、その記載を省略する。
(還元剤)
なお、還元剤については、少し異なる点もあるため、下記にその全体を記載する。
上記還元剤としては、特に限定されないが、金及び/またはニッケルのイオンを還元することができる還元剤の全てが使用可能である。一例を挙げると、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウムなどのヒドリド系還元剤や、ホルマリンやアセトアルデヒド等のアルデヒド類、亜硫酸塩類、蟻酸、蓚酸、クエン酸、コハク酸、アスコルビン酸等のカルボン酸類、又はその塩、あるいはラクトン類、エタノール、ブタノール、オクタノール等の脂肪族モノアルコール類、ターピネオール等の脂環族モノアルコール類等のモノアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の脂肪族ジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル類、ジエタノールアミンやモノエタノールアミン等のアルカノールアミン類、ハイドロキノン、レゾルシノール、アミノフェノール、ブドウ糖、あるいはクエン酸ナトリウム、次亜塩素酸またはその塩、遷移金属のイオン(チタンや鉄のイオンなど)や、ヒドラジン類や、トリエチルアミンやトリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノールなどのアミン類などが挙げられる。
(還元剤:ヒドラジン類)
本発明においては、上記還元剤のうちの少なくとも1種類を使用する。また、上記還元剤のうち2種類以上を使用すると、金とニッケルの還元速度、または金とニッケルの析出時間を制御できる可能性がある。上記の還元剤としては、ヒドラジン類を用いることが好ましい。ヒドラジン類としては、特に限定されないが、ヒドラジン、ヒドラジン一水和物、炭酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジニウム、フェニルヒドラジン、1-メチル-1-フェニルヒドラジン、1,1-ジフェニルヒドラジン塩酸塩などが挙げられる。
上述の通り、還元剤を2種類以上用いることによって、金とニッケルの還元速度、または金とニッケルの析出時間を制御できる可能性がある。そのメカニズムとしては、特に限定されないが、異なる特性の金とニッケル、特に標準電極電位の異なる金とニッケル(Ni2++2e⇔Ni:−0.228E/V、Au+e⇔Au:+1.68E/Vまたは[AuCl] +3e⇔Au+4Cl:1.002E/V、または[AuCl]+e⇔Au+2Cl:1.154E/V)を、1種類の還元剤で還元させようと試みた場合には、より還元されやすい貴な金属である金が、ニッケルよりも先に還元、析出されやすく、金とニッケルが単独、または不均一な合金として析出しやすいが、還元剤を2種類以上用いることによって、ニッケルの還元、析出を早めるか、もしくは金の還元、析出を遅らせるか、もしくはその両方の効果によって、金とニッケルを同時に析出させることができるためと考えられる。
(D)銀アンチモン合金
次に、本発明の他の実施の形態の一例である銀アンチモン合金とその製造方法について、具体的に説明する。
(銀アンチモン合金、実質的に共晶体及び金属間化合物を含まない銀アンチモン合金及びその粒子)
本発明に係る銀アンチモン合金は、共晶体及び金属間化合物を実質的に含まない銀アンチモン合金(AgSb合金)である。ここで、共晶体とは共晶組織を持っているものを言い、本発明においては、金属間化合物を含む場合も共晶体を含むと表現する場合がある。一般的なAg−Sb系合金平衡状態図を図45に示す(図45の出典:非特許文献1)。Ag−Sb系合金平衡状態図において、702.5℃における、Sb濃度が7.2at.%(8.05wt%)未満の領域は、銀を主体とするα固溶体相であるが、Sb濃度が8.05wt%以上、100wt%未満の領域では、金属間化合物ζまたはε、もしくは共晶体を含む領域である。一般的にこの領域(銀アンチモン合金に含まれるアンチモンの濃度が8.05wt%以上、100wt%未満の領域)において銀とアンチモンとは混ざり合わないが、本発明においてはこの領域においても、両者が均一に混ざり合った合金、つまり共晶体及び金属間化合物を含まない非共晶構造を主体とする銀アンチモン合金であり、言い換えると、銀アンチモン合金に含まれるアンチモンの濃度が2種類の金属がナノレベルの微細な混在状態を示すように固溶された銀アンチモン合金を主体とする銀アンチモン合金である。
本発明における固体銀アンチモン合金は、銀アンチモン合金に含まれるアンチモンの濃度が、8.05wt%以上、100wt%未満、好ましくは9.0wt%から95wt%の範囲である固体銀アンチモン合金として実施することができ、上記固体銀アンチモン合金は室温において共晶体及び金属間化合物を含まない非共晶構造を主体とする銀アンチモン合金である。
これによって記録媒体や低温ろう材、超電導材や電極材としての性能や、耐摩耗性など、銀アンチモン合金として期待された特性の現出が可能であると推測される。本発明に係る銀アンチモン合金は共晶体及び金属間化合物を含まない非共晶構造を主体とする銀アンチモン合金であるが、本発明において「非共晶構造を主体とする銀アンチモン合金」とは、本発明に係る銀アンチモン合金の65容量%以上、好ましくは80容量%以上が非共晶構造である銀アンチモン合金とする。また、本発明における非共晶構造としては、固溶体やアモルファス等が挙げられる。
以上のように、本発明者は、本発明に係る銀アンチモン合金を、室温下にて、種々の装置によって観察した結果、本発明に係る銀アンチモン合金が共晶体及び金属間化合物を含まない非共晶構造を主体とする固体銀アンチモン合金であるとした。
より詳しくは、室温下にある銀アンチモン合金粒子を、後述する実施例において用いた顕微分析(TEM−EDS分析またはSTEM−EDS分析)の環境下に置き、加速電圧200kVの電子線を照射した状態において、共晶体を含まない非共晶構造を主体とする銀アンチモン合金であることを確認した。その際、電子線を照射した試料自体の温度制御は行っていない。
また、室温下にある銀アンチモン合金粒子を、後述する実施例において用いたXRD測定の環境下に置き、X線を照射してXRD(X線回折法)測定したところ、そのチャートに金属間化合物に由来するピークが出現しないことから、金属間化合物を含まない銀アンチモン合金であることを確認した。その際、X線を照射した試料自体の温度制御は行っていない。
銀アンチモン合金中の共晶体または金属間化合物の存在に関する分析方法は特に限定されない。銀アンチモン合金中の共晶体の存在に関する分析方法については、顕微分析が好ましく、特に微小領域について、銀とアンチモンとの分布状態や、重量比またはモル比を分析できる分析手法が好ましい。例えば、透過型電子顕微鏡観察下でのエネルギー分散型X線分光分析(TEM−EDS)または走査型電子顕微鏡観察下でのエネルギー分散型X線分光分析(SEM−EDS)、高分解能TEM(HRTEM)、高角散乱環状暗視野走査透過顕微鏡法(HAADF−STEM)、走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いた元素マッピング、走査透過型電子顕微鏡観察下でのエネルギー分散型X線分光分析(STEM−EDS)、電子エネルギー損失分光法(EELS)などが挙げられる。また、銀アンチモン合金中の金属間化合物の存在に関する分析方法については、示差熱・熱重量同時測定(TG−DTA)や示差走査熱量測定(DSC)などの熱分析のほか、XRD測定が挙げられる。その中でもXRD測定は、結晶物質の結晶相の同定などの定性的及び定量的な分析、並びに非晶質と結晶の割合の評価も可能であるため好ましい。
その他の分析方法であっても良いが、銀アンチモン合金が共晶体及び金属間化合物を含まない非共晶構造を主体とするものであることの証明のためには、顕微分析とXRD測定とを組み合わせて用いることが好ましい。本発明における共晶体及び金属間化合物を含まない非共晶構造を主体とする銀アンチモン合金として、図46〜図48に示すTEM像やSTEM像、図52(A)に示すSTEM−HAADF像及びそれらに対するEDSマッピング結果(図52(B)(C)、(B)はAgのマッピング結果であり、(C)はSbのマッピング結果である。)のような銀アンチモン合金粒子が挙げられる。
また、銀アンチモン粉体中の銀とアンチモンとのモル比が得られる分析としては、特に限定されないが、原子吸光分光分析や、蛍光X線を用いた元素分析、誘導結合プラズマ発光分光分析(以下、ICP分析と記載する)等が挙げられる。ICP分析は、銀とアンチモンとのモル比を高い精度で定量的に分析できるため好ましい。
図46に示す銀アンチモン合金粒子については、銀アンチモン合金粒子粉体のICP分析結果においてはAg:Sb=51.0:49.0(モル比)であり、言い換えると、銀アンチモン合金に含まれるアンチモンの濃度が52.0wt%である。また、図47に示す銀アンチモン合金粒子については、銀アンチモン合金粒子粉体のICP分析結果においてはAg:Sb=24.7:75.3(モル比)であり、言い換えると、銀アンチモン合金に含まれるアンチモンの濃度が77.5wt%である。図48、図52に示す銀アンチモン合金粒子については、銀アンチモン合金粒子粉体のICP分析結果においてはAg:Sb=91.5:8.5(モル比)であり、言い換えると、銀アンチモン合金に含まれるアンチモンの濃度が9.5wt%である。上記の銀アンチモン合金は、全てAg−Sb系合金平衡状態図において、共晶体または金属間化合物を含む領域である銀とアンチモンとの割合であるが、TEM−EDS分析またはSTEM−EDS分析において、それぞれ銀とアンチモンとが一つの粒子において明らかに偏析している様子は確認されず、銀のみの領域またはアンチモンのみの領域、または銀のみの粒子またはアンチモンのみの粒子は確認できない。図52(B)(C)に示すEDSマッピング結果からも、その点は明らかである。
また、図47には、その銀アンチモン合金粒子における直径0.2nmのビーム径による、STEM−EDS分析点(4点)を示し、図49に、図47に示した各分析点にて分析したEDS分析結果を示す。本発明に係る銀アンチモン合金は、STEM−EDS分析を用いた直径0.2nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、分析点の50%以上で、銀とアンチモンとのモル比が、ICP分析によって得られた銀とアンチモンとのモル比の±30%以内、好ましくは20%以内、より好ましくは10%以内で検出されることが望ましいが、図49に示した分析結果より、分析点50%以上で、STEM−EDS分析により得られた銀とアンチモンとのモル比が、ICP分析によって得られた銀とアンチモンとのモル比の±30%以内で検出されており、これを満たしている。0.2nm径のビームは、銀及びアンチモンの原子半径の大きさに近いが、実際の観察においては、深さ方向や周辺からの情報も取り込むため、実質的に銀やアンチモンの原子サイズより大きい領域の情報を取り込むことが可能である。もしも、銀アンチモン合金粒子に共晶体を含む場合、Agが100%、あるいはSbが100%の分析点や、α固溶体相の銀とアンチモンとの割合である分析点が多数検出されるはずである。つまり、上記銀アンチモン合金粒子が共晶体を含まない銀アンチモン合金であることがわかる。
また、図48には、銀アンチモン合金粒子における直径5nmのビーム径による、TEM−EDS分析点(4点)を示し、図50に図48に示した各分析点にて測定したEDS分析結果を示す。本発明に係る銀アンチモン合金は、TEM−EDS分析を用いた直径5nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、分析点の50%以上で、銀とアンチモンとのモル比が、ICP分析によって得られた銀とアンチモンとのモル比の±30%以内で検出されることが望ましいが、図50に示した分析結果より分析点の50%以上で、TEM−EDS分析により得られた銀とアンチモンとのモル比が、ICP分析によって得られた銀とアンチモンとのモル比の±30%以内で検出されており、これを満たしている。もしも、銀アンチモン合金粒子において共晶体を含む場合、Agが100%、あるいはSbが100%の分析点や、α固溶体相の銀とアンチモンとの割合である分析点が多数検出されるはずである。つまり、上記銀アンチモン合金粒子が共晶体を含まない銀アンチモン合金であることがわかる。
本発明においては上記のような分析を、直径50nm以下の領域において行うことが好ましい。また、本発明において、上記EDS分析(エネルギー分散型X線分光分析)に用いるビーム径は、用いる装置の能力などによって異なるが、例えば25nmであることが好ましく、より好ましくは10nm、さらに好ましくは5nmであることが好ましい。また分析装置によっては0.5nmであることがより好ましく、0.2nmであることがより好ましい。本発明における実施例においては、TEM−EDS分析の場合にビーム径を5nm、STEM−EDS分析の場合にビーム径を0.2nmとして実施した。また、本発明における、TEMまたはSTEMの観察条件としては、25万倍以上が好ましく、50万倍以上がより好ましい。
EDSの分析方法について、その分析箇所の決定については単数複数を問わず特に限定されないが、複数箇所について行うことが好ましく、分析の対象が粒子である場合には、複数個の粒子についてそれぞれEDS分析を行っても良いし、単独の粒子における、複数の箇所をEDS分析しても良い。例えば、粒子径が5nmであって、EDSのビーム径が5nmである場合には、複数個の粒子についてEDS分析を行う方法を用いても良いし、EDS分析におけるビームの照射位置を若干変更することによって、単独の粒子における、複数の箇所をEDS分析しても良い。また、粒子径が5nmであって、EDSのビーム径が0.2nmである場合に、単独の粒子における、複数の箇所をEDS分析しても良い。
EDS分析箇所の数については特に限定されないが、3箇所以上が好ましく、より好ましくは10箇所以上、さらに好ましくは25箇所以上が好ましい。
本発明に係る銀アンチモン合金においては、TEM―EDS分析またはSTEM−EDS分析を用いた上記のビーム径による微小範囲分析における銀とアンチモンとのモル比の分析を行った結果、分析点の50%以上、好ましくは65%以上、より好ましくは80%以上で、銀とアンチモンとのモル比が、ICP分析結果によって得られた銀とアンチモンとのモル比の±30%以内、好ましくは20%以内、より好ましくは10%以内で検出されることが望ましい。
しかし、分析点の50%以上で、ICP分析結果によって得られた銀とアンチモンとのモル比の±30%を越える場合には、ICP分析によって得られた銀とアンチモンとのモル比に対して、TEM−EDS分析またはSTEM−EDS分析によって得られた微小範囲分析結果における銀とアンチモンとのモル比が大きく異なるため、均一な銀アンチモン合金が作製できていない恐れがある。
このような分析が可能な装置としては特に限定されないが、例えば、透過型電子顕微鏡観察下でのエネルギー分散型X線分光分析(TEM−EDS)が可能な装置として、エネルギー分散型X線分析装置、JED−2300(JEOL製)を備えた、透過型電子顕微鏡、JEM−2100(JEOL製)や、走査透過型電子顕微鏡観察下でのエネルギー分散型X線分光分析(STEM−EDS)が可能な装置として、r−TEM EDS検出器(アメテック社製)を備えた高分解能分析電子顕微鏡、Titan80−300(FEI社製)、または、エネルギー分散型X線分析装置、Centurio(JEOL製)を備えた、原子分解能分析電子顕微鏡、JEM−ARM200F(JEOL製)などが挙げられる。
(銀とアンチモンとの比率)
本発明における銀アンチモン合金に含まれる銀とアンチモンの比率(モル比)については特に限定されない。銀のモル比の方が高い銀アンチモン合金でも良いし、アンチモンのモル比の方が高い銀アンチモン合金でも良い。また、本出願においては、上記銀アンチモン合金に含まれる銀とアンチモンのモル比に関係なく、銀とアンチモンとからなる合金を銀アンチモン合金と記載する。
(銀アンチモン合金粒子の粒子径)
本発明における銀アンチモン合金は、その粒子径が50nm以下の銀アンチモン合金粒子であることが好ましい。より好ましくは粒子径が25nm以下の銀アンチモン合金粒子であり、さらに好ましくは10nm以下の銀アンチモン合金粒子である。その理由は、ナノメートルサイズの粒子が、量子サイズ効果によって低融点化・低温焼結性といった特異的物性を示すためである。例えば、近年のナノテクノロジーの進展とともに塗布焼成のプロセスによってもプラスチック基板上に回路形成できる材料として、ナノ粒子を用いた電子回路形成用の導電性ペースト等が必要とされており、上記特異的物性によってその要求を満足できることなどが挙げられる。本発明においては、各図に示した銀アンチモン合金粒子を含め、得られる銀アンチモン合金粒子において、その粒子径が50nm以下の銀アンチモン合金粒子もあり、粒子径が25nm以下の銀アンチモン合金粒子や粒子径が10nm以下の銀アンチモン合金粒子もあった。しかし本発明においては、50nm以上の銀アンチモン合金粒子を除くものでは無い。
上記固体銀アンチモン合金粒子を用いて、上述のプラスチック基板を含む基体上に塗布し、固化することで均一な銀アンチモン合金の塗膜形成が可能である。
また、上記銀アンチモン合金粒子を集積し、固化することによって均一な固体の形成が、可能である。
なお、多くの合金と同様に、本発明の銀アンチモン合金も微量の不純物を含むこともあるために、本発明は、その銀アンチモン合金中に、意図的に若しくは意図せずに、銀又はアンチモン以外の元素を含めることを許容するものである。意図的に含める元素としては特に限定されず、全ての元素が挙げられるが、一例を示すと、金、パラジウム、ニッケル、クロム、マンガン、バナジウム、鉄、モリブデン、錫、コバルトなどが挙げられる。その他の金属が意図せずに不純物として含まれると考えられる割合は、特に限定されないが、銀アンチモン合金全体の0.05wt%未満、より好ましくは0.02wt%未満、さらに好ましくは、0.01wt%未満である。
(銀アンチモン合金の製造方法1:概要)
上記銀アンチモン合金の製造方法としては、特に限定されない。銀及びアンチモンの化合物を熱分解する方法でも良いし、銀及びアンチモンのイオンを還元する方法でも良いが、銀イオン及びアンチモンイオンを含む流体と、還元剤を含む流体とを混合し、銀アンチモン合金の粒子を析出させる製造方法であることが好ましい。また、銀イオンを含む流体と、アンチモンイオンを含む流体と、還元剤を含む流体とを混合し、銀アンチモン合金の粒子を析出させる製造方法であってもよい。上記還元剤を含む流体として、還元剤を少なくとも1種類含む第1還元剤流体と、第1還元剤流体に用いられた還元剤とは異なる還元剤を少なくとも1種類含む第2還元剤流体との2種類の流体を用いてもよい。
(銀アンチモン合金の製造方法2:銀イオン及びアンチモンイオンを含む流体、銀イオンを含む流体とアンチモンイオンを含む流体)
上記銀イオン及びアンチモンイオンを含む流体、または銀イオンを含む流体とアンチモンイオンを含む流体としては、特に限定されないが、銀イオン及びアンチモンイオンを含む溶液、または銀イオンを含む溶液とアンチモンイオンを含む溶液が好ましい。作製方法としては銀またはアンチモンの金属単体を塩酸や硝酸、王水などに溶解する方法や、銀またはアンチモンの化合物を溶媒に溶解させる方法などが挙げられる。また、銀単体及び/または銀化合物と、アンチモン単体及び/またはアンチモン化合物とを一度に溶媒に溶解して銀イオン及びアンチモンイオンを含む流体を作製しても良いし、銀単体及び/または銀化合物を溶媒に溶解した銀溶液と、アンチモン単体及び/またはアンチモン化合物を溶媒に溶解したアンチモン溶液とを混合して銀イオン及びアンチモンイオンを含む流体を作製してもよい。
(化合物)
上記銀またはアンチモンの化合物としては、特に限定されないが、一例として銀またはアンチモンの塩、酸化物、窒化物、炭化物、錯体、有機塩、有機錯体、有機化合物などが挙げられる。銀またはアンチモンの塩としては、特に限定されないが、硝酸塩や亜硝酸塩、硫酸塩や亜硫酸塩、蟻酸塩や酢酸塩、リン酸塩や亜リン酸塩、次亜リン酸塩や塩化物、オキシ塩やアセチルアセトナート塩などが挙げられる。その他の化合物としては銀またはアンチモンのアルコキシドが挙げられる。
合金を構成する上記の2種の金属(この場合には、銀とアンチモン)を混合、好ましくは溶解又は分子分散させる溶媒等については、前述の銀と銅の合金の説明、より詳しくは、(溶媒)(酸性物質及び塩基性物質)(溶媒の詳しい説明)(還元剤を含む流体)(pH:各流体の流体、混合後の流体)(温度)(分散剤等)に関する説明と同様であり、その記載を省略する。
(還元剤)
なお、還元剤については、少し異なる点もあるため、下記にその全体を記載する。
上記還元剤としては、特に限定されないが、銀及び/またはアンチモンのイオンを還元することができる還元剤の全てが使用可能である。一例を挙げると、水素化ホウ素ナトリウムや水素化ホウ素リチウムなどのヒドリド系還元剤や、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒド等のアルデヒド類、亜硫酸塩類、蟻酸、蓚酸、クエン酸、コハク酸、アスコルビン酸等のカルボン酸類またはその塩、あるいはラクトン類、エタノール、ブタノール、オクタノール等の脂肪族モノアルコール類、ターピネオール等の脂環族モノアルコール類等のモノアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の脂肪族ジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル類、ジエタノールアミンやモノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリエチルアミン等のアミン類、ハイドロキノン、レゾルシノール、アミノフェノール、ブドウ糖、次亜塩素酸またはその塩、遷移金属のイオン(チタンや鉄のイオンなど)、ヒドラジン、ヒドラジン一水和物、炭酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジニウム、フェニルヒドラジン、1-メチル-1-フェニルヒドラジン、1,1-ジフェニルヒドラジン塩酸塩などのヒドラジン類などが挙げられる。
本発明においては、上記還元剤のうちの少なくとも1種類を使用する。その際、銀とアンチモンとの還元性の観点から、ヒドリド系還元剤を選択して用いることが好ましい。
また、上記還元剤を2種類以上使用することによって、銀とアンチモンの還元速度、または銀とアンチモンの析出時間を制御できる可能性がある。そのメカニズムとしては、特に限定されないが、異なる特性の銀とアンチモン、特に標準電極電位の異なる銀とアンチモン(Sb3++3e⇔Sb:+0.21V、Ag+e⇔Ag:+0.799V)を、1種類の還元剤で還元させようと試みた場合には、より還元されやすい貴な金属である銀が、アンチモンよりも先に還元、析出されやすく、銀とアンチモンが単独、または不均一な合金として析出しやすいが、還元剤を2種類以上用いることによって、アンチモンの還元、析出を早めるか、もしくは銀の還元、析出を遅らせるか、もしくはその両方の効果によって、銀とアンチモンを同時に析出させることができるためと本願出願人は考えている。上記還元剤を2種類以上使用する場合、そのうちの少なくとも1種類はヒドリド系還元剤を選択して用いることが好ましい。
(流体処理装置)
本発明においては、上記の2種の金属のイオンを含む流体と、還元剤を含む流体とを、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面の間にできる、薄膜流体中で混合し、目的の合金粒子を析出させることが好ましく、本願出願人の出願である、特許文献5に記載された流体処理装置を用いて混合し、目的の合金粒子を析出させることが好ましい。
従来の製造方法においては、少なくとも2種類の金属の共晶体や金属間化合物、少なくとも2種類の金属の固溶体の混合物を含んだ金属合金となりやすかったが、本願においては、下記流体処理装置を用い、かつ、固相の特定領域の混合状態を得ることによって、少なくとも2種類の金属の共晶体及び金属間化合物を含まない非共晶構造を主体とする金属合金粒子や少なくとも2種類の金属がナノレベルの微細な混在状態を示すように固溶された合金粒子を得ることが可能となった。これは、少なくとも2種類の金属の還元反応を原子レベルで制御することができたため、少なくとも2種類の金属の合金が原子の尺度で均一な混合状態を実現できたものと本願出願人は考える。
しかしながら、後述する流体処理装置による固体金属合金粒子の作製は一例であって、少なくとも2種類の金属の還元反応を原子レベルで制御できる装置又は方法であればよい。
以下、図面を用いて上記流体処理装置の実施の形態について説明する。
(装置の説明)
図1〜図3に示す流体処理装置は、特許文献5に記載の装置と同様であり、接近・離反可能な少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する処理用部における処理用面の間で被処理物を処理するものであって、被処理流動体のうちの第1の被処理流動体である第1流体を処理用面間に導入し、前記第1流体を導入した流路とは独立し、処理用面間に通じる開口部を備えた別の流路から被処理流動体のうちの第2の被処理流動体である第2流体を処理用面間に導入して処理用面間で上記第1流体と第2流体を混合・攪拌して処理を行う装置である。なお、図1においてUは上方を、Sは下方をそれぞれ示しているが、本発明において上下前後左右は相対的な位置関係を示すに止まり、絶対的な位置を特定するものではない。図2(A)、図3(B)においてRは回転方向を示している。図3(B)においてCは遠心力方向(半径方向)を示している。
この装置は、被処理流動体として少なくとも2種類の流体を用いるものであり、そのうちで少なくとも1種類の流体については被処理物を少なくとも1種類含むものであり、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面を備え、これらの処理用面の間で上記の各流体を合流させて薄膜流体とするものであり、当該薄膜流体中において上記の被処理物を処理する装置である。この装置は、上述のとおり、複数の被処理流動体を処理することができるが、単一の被処理流動体を処理することもできる。
この流体処理装置は、対向する第1及び第2の、2つの処理用部10,20を備え、少なくとも一方の処理用部が回転する。両処理用部10,20の対向する面が、夫々処理用面となる。第1処理用部10は第1処理用面1を備え、第2処理用部20は第2処理用面2を備える。
両処理用面1,2は、被処理流動体の流路に接続され、被処理流動体の流路の一部を構成する。この両処理用面1,2間の間隔は、適宜変更して実施することができるが、通常は、1mm以下、例えば0.1μmから50μm程度の微小間隔に調整される。これによって、この両処理用面1,2間を通過する被処理流動体は、両処理用面1,2によって強制された強制薄膜流体となる。
この装置を用いて複数の被処理流動体を処理する場合、この装置は、第1の被処理流動体の流路に接続され、当該第1被処理流動体の流路の一部を形成すると共に、第1被処理流動体とは別の、第2被処理流動体の流路の一部を形成する。そして、この装置は、両流路を合流させて、処理用面1,2間において、両被処理流動体を混合し、反応させるなどの流体の処理を行なう。なお、ここで「処理」とは、被処理物が反応する形態に限らず、反応を伴わずに混合・分散のみがなされる形態も含む。
具体的に説明すると、上記の第1処理用部10を保持する第1ホルダ11と、第2処理用部20を保持する第2ホルダ21と、接面圧付与機構と、回転駆動機構と、第1導入部d1と、第2導入部d2と、流体圧付与機構pとを備える。
図2(A)に示す通り、この実施の形態において、第1処理用部10は、環状体であり、より詳しくはリング状のディスクである。また、第2処理用部20もリング状のディスクである。第1、第2処理用部10、20の材質は、金属、カーボンの他、セラミックや焼結金属、耐磨耗鋼、サファイア、その他金属に硬化処理を施したものや、硬質材をライニングやコーティング、メッキなどを施工したものを採用することができる。この実施の形態において、両処理用部10,20は、互いに対向する第1、第2の処理用面1、2の少なくとも一部が鏡面研磨されている。
この鏡面研磨の面粗度は、特に限定されないが、好ましくはRa0.01〜1.0μm、より好ましくはRa0.03〜0.3μmとする。
少なくとも一方のホルダは、電動機などの回転駆動機構(図示せず)にて、他方のホルダに対して相対的に回転することができる。図1の50は、回転駆動機構の回転軸を示しており、この例では、この回転軸50に取り付けられた第1ホルダ11が回転し、この第1ホルダ11に支持された第1処理用部10が第2処理用部20に対して回転する。もちろん、第2処理用部20を回転させるようにしてもよく、双方を回転させるようにしてもよい。また、この例では、第1、第2ホルダ11、21を固定しておき、この第1、第2ホルダ11、21に対して第1、第2処理用部10、20が回転するようにしてもよい。
第1処理用部10と第2処理用部20とは、少なくとも何れか一方が、少なくとも何れか他方に、接近・離反可能となっており、両処理用面1,2は、接近・離反できる。
この実施の形態では、第1処理用部10に対して、第2処理用部20が接近・離反するもので、第2ホルダ21に設けられた収容部41に、第2処理用部20が出没可能に収容されている。但し、これとは、逆に、第1処理用部10が、第2処理用部20に対して接近・離反するものであってもよく、両処理用部10,20が互いに接近・離反するものであってもよい。
この収容部41は、第2処理用部20の、主として処理用面2側と反対側の部位を収容する凹部であり、平面視において、円を呈する、即ち環状に形成された、溝である。この収容部41は、第2処理用部20を回転させ得る十分なクリアランスを持って、第2処理用部20を収容する。なお、第2処理用部20は軸方向に平行移動のみが可能なように配置してもよいが、上記クリアランスを大きくすることにより、第2処理用部20は、収容部41に対して、処理用部20の中心線を、上記収容部41の軸方向と平行の関係を崩すように傾斜して変位できるようにしてもよく、さらに、第2処理用部20の中心線と収容部41の中心線とが半径方向にずれるように変位できるようにしてもよい。
このように、3次元的に変位可能に保持するフローティング機構によって、第2処理用部20を保持することが望ましい。
上記の被処理流動体は、各種のポンプや位置エネルギーなどによって構成される流体圧付与機構pによって圧力が付与された状態で、第1導入部d1と、第2導入部d2から両処理用面1、2間に導入される。この実施の形態において、第1導入部d1は、環状の第2ホルダ21の中央に設けられた通路であり、その一端が、環状の両処理用部10、20の内側から、両処理用面1、2間に導入される。第2導入部d2は、第1の被処理流動体と反応させる第2の被処理流動体を処理用面1,2へ供給する。この実施の形態において、第2導入部d2は、第2処理用部20の内部に設けられた通路であり、その一端が、第2処理用面2にて開口する。流体圧付与機構pにより加圧された第1の被処理流動体は、第1導入部d1から、両処理用部10,20の内側の空間に導入され、第1処理用面1と第2処理用面2との間を通り、両処理用部10,20の外側に通り抜けようとする。これらの処理用面1,2間において、第2導入部d2から流体圧付与機構pにより加圧された第2の被処理流動体が供給され、第1の被処理流動体と合流し、混合、攪拌、乳化、分散、反応、晶出、晶析、析出などの種々の流体処理がなされ、両処理用面1,2から、両処理用部10,20の外側に排出される。なお、減圧ポンプにより両処理用部10,20の外側の環境を負圧にすることもできる。
上記の接面圧付与機構は、第1処理用面1と第2処理用面2とを接近させる方向に作用させる力を、処理用部に付与する。この実施の形態では、接面圧付与機構は、第2ホルダ21に設けられ、第2処理用部20を第1処理用部10に向けて付勢する。
前記の接面圧付与機構は、第1処理用部10の第1処理用面1と第2処理用部20の第2処理用面2とが接近する方向に押す力(以下、接面圧力という)を発生させるための機構である。この接面圧力と、流体圧力などの両処理用面1、2間を離反させる力との均衡によって、nm単位ないしμm単位の微小な膜厚を有する薄膜流体を発生させる。言い換えれば、上記力の均衡によって、両処理用面1、2間の間隔を所定の微小間隔に保つ。
図1に示す実施の形態において、接面圧付与機構は、上記の収容部41と第2処理用部20との間に配位される。具体的には、第2処理用部20を第1処理用部10に近づく方向に付勢するスプリング43と、空気や油などの付勢用流体を導入する付勢用流体導入部44とにて構成され、スプリング43と上記付勢用流体の流体圧力とによって、上記の接面圧力を付与する。このスプリング43と上記付勢用流体の流体圧力とは、いずれか一方が付与されるものであればよく、磁力や重力などの他の力であってもよい。この接面圧付与機構の付勢に抗して、流体圧付与機構pにより加圧された被処理流動体の圧力や粘性などによって生じる離反力によって、第2処理用部20は、第1処理用部10から遠ざかり、両処理用面間に微小な間隔を開ける。このように、この接面圧力と離反力とのバランスによって、第1処理用面1と第2処理用面2とは、μm単位の精度で設定され、両処理用面1,2間の微小間隔の設定がなされる。上記離反力としては、被処理流動体の流体圧や粘性と、処理用部の回転による遠心力と、付勢用流体導入部44に負圧を掛けた場合の当該負圧、スプリング43を引っ張りスプリングとした場合のバネの力などを挙げることができる。この接面圧付与機構は、第2処理用部20ではなく、第1処理用部10に設けてもよく、双方に設けてもよい。
上記の離反力について、具体的に説明すると、第2処理用部20は、上記の第2処理用面2と共に、第2処理用面2の内側(即ち、第1処理用面1と第2処理用面2との間への被処理流動体の進入口側)に位置して当該第2処理用面2に隣接する離反用調整面23を備える。この例では、離反用調整面23は、傾斜面として実施されているが、水平面であってもよい。被処理流動体の圧力が、離反用調整面23に作用して、第2処理用部20を第1処理用部10から離反させる方向への力を発生させる。従って、離反力を発生させるための受圧面は、第2処理用面2と離反用調整面23とになる。
さらに、この図1の例では、第2処理用部20に近接用調整面24が形成されている。この近接用調整面24は、離反用調整面23と軸方向において反対側の面(図1においては上方の面)であり、被処理流動体の圧力が作用して、第2処理用部20を第1処理用部10に接近させる方向への力を発生させる。
なお、第2処理用面2及び離反用調整面23に作用する被処理流動体の圧力、即ち流体圧は、メカニカルシールにおけるオープニングフォースを構成する力として理解される。処理用面1,2の接近・離反の方向、即ち第2処理用部20の出没方向(図1においては軸方向)と直交する仮想平面上に投影した近接用調整面24の投影面積A1と、当該仮想平面上に投影した第2処理用部20の第2処理用面2及び離反用調整面23との投影面積の合計面積A2との、面積比A1/A2は、バランス比Kと呼ばれ、上記オープニングフォースの調整に重要である。このオープニングフォースについては、上記バランスライン、即ち近接用調整面24の面積A1を変更することで、被処理流動体の圧力、即ち流体圧により調整できる。
摺動面の実面圧P、即ち、接面圧力のうち流体圧によるものは次式で計算される。
P=P1×(K−k)+Ps
ここでP1は、被処理流動体の圧力即ち流体圧を示し、Kは上記のバランス比を示し、kはオープニングフォース係数を示し、Psはスプリング及び背圧力を示す。
このバランスラインの調整により摺動面の実面圧Pを調整することで処理用面1,2間を所望の微小隙間量にし、被処理流動体による流動体膜を形成させ、生成物などの処理された被処理物を微細とし、また、均一な反応処理を行うのである。
なお、図示は省略するが、近接用調整面24を離反用調整面23よりも広い面積を持ったものとして実施することも可能である。
被処理流動体は、上記の微小な隙間を保持する両処理用面1,2によって強制された薄膜流体となり、環状の両処理用面1、2の外側に移動しようとする。ところが、第1処理用部10は回転しているので、混合された被処理流動体は、環状の両処理用面1,2の内側から外側へ直線的に移動するのではなく、環状の半径方向への移動ベクトルと周方向への移動ベクトルとの合成ベクトルが被処理流動体に作用して、内側から外側へ略渦巻き状に移動する。
なお、回転軸50は、鉛直に配置されたものに限定するものではなく、水平方向に配位されたものであってもよく、傾斜して配位されたものであってよい。被処理流動体は両処理用面1,2間の微細な間隔にて処理がなされるものであり、実質的に重力の影響を排除できるからである。また、この接面圧付与機構は、前述の第2処理用部20を変位可能に保持するフローティング機構と併用することによって、微振動や回転アライメントの緩衝機構としても機能する。
第1、第2処理用部10、20は、その少なくともいずれか一方を、冷却或いは加熱して、その温度を調整するようにしてもよく、図1では、第1、第2処理用部10、20に温調機構(温度調整機構)J1,J2を設けた例を図示している。また、導入される被処理流動体を冷却或いは加熱して、その温度を調整するようにしてもよい。これらの温度は、処理された被処理物の析出のために用いることもでき、また、第1、第2処理用面1、2間における被処理流動体にベナール対流若しくはマランゴニ対流を発生させるために設定してもよい。
図2に示すように、第1処理用部10の第1処理用面1には、第1処理用部10の中心側から外側に向けて、即ち径方向について伸びる溝状の凹部13を形成して実施してもよい。この凹部13の平面形状は、図2(B)へ示すように、第1処理用面1上をカーブして或いは渦巻き状に伸びるものや、図示はしないが、真っ直ぐ外方向に伸びるもの、L字状などに屈曲あるいは湾曲するもの、連続したもの、断続するもの、枝分かれするものであってもよい。また、この凹部13は、第2処理用面2に形成するものとしても実施可能であり、第1及び第2の処理用面1,2の双方に形成するものとしても実施可能である。この様な凹部13を形成することによりマイクロポンプ効果を得ることができ、被処理流動体を第1及び第2の処理用面1,2間に吸引することができる効果がある。
この凹部13の基端は第1処理用部10の内周に達することが望ましい。この凹部13の先端は、第1処理用面1の外周面側に向けて伸びるもので、その深さ(横断面積)は、基端から先端に向かうにつれて、漸次減少するものとしている。
この凹部13の先端と第1処理用面1の外周面との間には、凹部13のない平坦面16が設けられている。
前述の第2導入部d2の開口部d20を第2処理用面2に設ける場合は、対向する上記第1処理用面1の平坦面16と対向する位置に設けることが好ましい。
この開口部d20は、第1処理用面1の凹部13からよりも下流側(この例では外側)に設けることが望ましい。特に、マイクロポンプ効果によって導入される際の流れ方向が処理用面間で形成されるスパイラル状で層流の流れ方向に変換される点よりも外径側の平坦面16に対向する位置に設置することが望ましい。具体的には、図2(B)において、第1処理用面1に設けられた凹部13の最も外側の位置から、径方向への距離nを、約0.5mm以上とするのが好ましい。特に、流体中から微粒子を析出させる場合には、層流条件下にて複数の被処理流動体の混合と、微粒子の析出が行なわれることが望ましい。開口部d20の形状は、図2(B)や図3(B)に実線で示すように円形状であってもよく、図2(B)に点線で示すように、リング状ディスクである処理用面2の中央の開口を取り巻く同心円状の円環形状であってもよい。
円環形状の開口部d20を処理用面2の中央の開口を取り巻く同心円状に設けた場合、処理用面1,2間に導入する第2流体を同一条件で円周方向に広範囲に導入することができるため、より均一な拡散・反応・析出等の流体処理を行うことができる。微粒子を量産するには、開口部d20を円環形状とすることが好ましい。また、円環形状の開口部d20を処理用面2の中央の開口を取り巻く同心円状に設けなくてもよい。さらに、開口部を円環形状とした場合、その円環形状の開口部は連続していてもよいし、不連続であってもよい。
この第2導入部d2は方向性を持たせることができる。例えば、図3(A)に示すように、上記の第2処理用面2の開口部d20からの導入方向が、第2処理用面2に対して所定の仰角(θ1)で傾斜している。この仰角(θ1)は、0度を超えて90度未満に設定されており、さらに反応速度が速い反応の場合には1度以上45度以下で設置されるのが好ましい。
また、図3(B)に示すように、上記の第2処理用面2の開口部d20からの導入方向が、上記の第2処理用面2に沿う平面において、方向性を有するものである。この第2流体の導入方向は、処理用面の半径方向の成分にあっては中心から遠ざかる外方向であって、且つ、回転する処理用面間における流体の回転方向に対しての成分にあっては順方向である。言い換えると、開口部d20を通る半径方向であって外方向の線分を基準線gとして、この基準線gから回転方向Rへの所定の角度(θ2)を有するものである。この角度(θ2)についても、0度を超えて90度未満に設定されることが好ましい。
この角度(θ2)は、流体の種類、反応速度、粘度、処理用面の回転速度などの種々の条件に応じて、変更して実施することができる。また、第2導入部d2に方向性を全く持たせないこともできる。
上記の被処理流動体の種類とその流路の数は、図1の例では、2つとしたが、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。図1の例では、第2導入部d2から処理用面1,2間に第2流体を導入したが、この導入部は、第1処理用部10に設けてもよく、双方に設けてもよい。また、一種類の被処理流動体に対して、複数の導入部を用意してもよい。また、各処理用部に設けられる導入用の開口部は、その形状や大きさや数は特に制限はなく適宜変更して実施し得る。また、上記第1及び第2の処理用面間1、2の直前或いはさらに上流側に導入用の開口部を設けてもよい。
なお、処理用面1,2間にて上記処理を行う事が出来れば良いので、上記とは逆に、第1導入部d1より第2流体を導入し、第2導入部d2より第1流体を導入するものであっても良い。つまり、各流体における第1、第2という表現は、複数存在する流体の第n番目であるという、識別のための意味合いを持つに過ぎないものであり、第3以上の流体も存在し得る。
上記装置においては、析出・沈殿または結晶化のような処理が、図1に示すように、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1、2の間で強制的に均一混合しながら起こる。処理された被処理物の粒子径や単分散度は処理用部10、20の回転数や流速、処理用面1,2間の距離や、被処理流動体の原料濃度、または被処理流動体の溶媒種等を適宜調整することにより、制御することができる。
以下、上記の装置を用いて行う銀銅合金粒子の製造方法の具体的な態様について、一例を説明する。
上記の銀銅合金粒子の析出反応は、本願の図1に示す装置の、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間で強制的に均一混合しながら起こる。
まず、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として銀イオン及び銅イオンを含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体から構成された薄膜流体である第1流体膜を作る。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として還元剤を含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記のように、被処理流動体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を固定された処理用面1,2間にて、第1流体と第2流体とが混合され、銀銅合金粒子の析出反応を行う事が出来る。
なお、処理用面1,2間にて上記反応を行う事が出来れば良いので、上記とは逆に、第1導入部d1より第2流体を導入し、第2導入部d2より第1流体を導入するものであっても良い。つまり、各流体における第1、第2という表現は、複数存在する流体の第n番目であるという、識別のための意味合いを持つに過ぎないものであり、第3以上の流体も存在し得る。
銀のマイグレーションは、銀がイオン化し、その銀イオンが水に含まれる水酸基(OH)イオンと反応して水酸化銀となる可逆反応を繰り返しながら固体中を移動して銀として析出、偏析する現象であると言われているが、上記に示した装置を用いることによって、銀銅合金における格子欠陥の少ない緻密な結晶粒子を作製できるため、これまで以上にマイグレーションを抑制可能な銀銅合金粒子を作製できることも利点である。
なお、本願の実施例それぞれの電子顕微鏡(TEM)観察において、明らかな格子欠陥は確認されなかった。
前述のように、第1導入部d1、第2導入部d2以外に第3導入部を処理装置に設けることもできるが、この場合にあっては、例えば各導入部から、第1流体として銀イオンを含む流体、第2流体として銅イオンを含む流体、第3流体として還元剤を含む流体をそれぞれ別々に処理装置に導入することが可能である。そうすると、各流体の濃度や圧力を個々に管理することができ、銀銅合金粒子の析出反応をより精密に制御することができる。同じく、第1導入部d1、第2導入部d2以外に、第3導入部と第4導入部を処理装置に設けることもできるが、この場合にあっては、例えば各導入部から、第1流体として銀イオンを含む流体、第2流体として銅イオンを含む流体、第3流体として還元剤を少なくとも1種類含む第1還元剤流体、第4流体として第1還元剤流体に用いられた還元剤とは異なる還元剤を少なくとも1種類含む第2還元剤流体をそれぞれ別々に処理装置に導入することが可能である。なお、各導入部へ導入する被処理流動体(第1流体〜第4流体)の組み合わせは、任意に設定できる。第5以上の導入部を設けた場合も同様であって、このように処理装置へ導入する流体を細分化できる。この場合、還元剤を含む流体と合流するまでに銀イオンを含む流体と銅イオンを含む流体とが合流していることが望ましく、また、銀イオン及び銅イオンを含む流体と合流するまでに第1還元剤流体と第2還元剤流体とが合流していることが望ましい。
さらに、第1、第2流体等の被処理流動体の温度を制御したり、第1流体と第2流体等との温度差(即ち、供給する各被処理流動体の温度差)を制御することもできる。供給する各被処理流動体の温度や温度差を制御するために、各被処理流動体の温度(処理装置、より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前の温度)を測定し、処理用面1,2間に導入される各被処理流動体の加熱又は冷却を行う機構を付加して実施することも可能である。
次に、上記の装置を用いて行う銀ニッケル合金粒子の製造方法の具体的な態様について、一例を説明する。
上記の銀ニッケル合金粒子の析出反応は、本願の図1に示す装置の、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間で強制的に均一混合しながら起こる。
まず、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として少なくとも銀イオン及びニッケルイオンを含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体から構成された薄膜流体である第1流体膜を作る。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として還元剤を含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記のように、被処理流動体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を固定された処理用面1,2間にて、第1流体と第2流体とが混合され、銀ニッケル合金粒子の析出反応を行う事が出来る。
なお、処理用面1,2間にて上記反応を行う事が出来れば良いので、上記とは逆に、第1導入部d1より第2流体を導入し、第2導入部d2より第1流体を導入するものであっても良い。つまり、各流体における第1、第2という表現は、複数存在する流体の第n番目であるという、識別のための意味合いを持つに過ぎないものであり、第3以上の流体も存在し得る。
銀のマイグレーションは、銀がイオン化し、その銀イオンが水に含まれる水酸基(OH−)イオンと反応して水酸化銀となる可逆反応を繰り返しながら固体中を移動して銀として析出、偏析する現象であると言われているが、上記に示した装置を用いることによって、銀ニッケル合金における格子欠陥の少ない緻密な結晶粒子を作製できるため、これまで以上にマイグレーションを抑制可能な銀ニッケル合金粒子を作製できることも利点である。
前述のように、第1導入部d1、第2導入部d2以外に第3導入部を処理装置に設けることもできるが、この場合にあっては、例えば各導入部から、第1流体として銀イオンを含む流体、第2流体としてニッケルイオンを含む流体、第3流体として還元剤を含む流体をそれぞれ別々に処理装置に導入することが可能である。そうすると、各溶液の濃度や圧力を個々に管理することができ、銀ニッケル合金粒子の析出反応をより精密に制御することができる。同じく、第1導入部d1、第2導入部d2以外に、第3導入部を処理装置に設けることもできるが、この場合にあっては、例えば各導入部から、第1流体として還元剤を少なくとも1種類含む第1還元剤流体、第2流体として第1還元剤流体に用いられた還元剤とは異なる還元剤を少なくとも1種類含む第2還元剤流体、第3流体として銀イオン及びニッケルイオンを含む流体をそれぞれ別々に処理装置に導入することが可能である。なお、各導入部へ導入する被処理流動体(第1流体〜第3流体)の組み合わせは、任意に設定できる。第4以上の導入部を設けた場合も同様であって、このように処理装置へ導入する流体を細分化できる。この場合、還元剤を含む流体と合流するまでに銀イオンを含む流体とニッケルイオンを含む流体とが合流していることが望ましく、また、銀イオン及びニッケルイオンを含む流体と合流するまでに第1還元剤流体と第2還元剤流体とが合流していることが望ましい。
さらに、第1、第2流体等の被処理流動体の温度を制御したり、第1流体と第2流体等との温度差(即ち、供給する各被処理流動体の温度差)を制御することもできる。供給する各被処理流動体の温度や温度差を制御するために、各被処理流動体の温度(処理装置、より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前の温度)を測定し、処理用面1,2間に導入される各被処理流動体の加熱又は冷却を行う機構を付加して実施することも可能である。
次に、上記の装置を用いて行う金ニッケル合金ナノ粒子の製造方法の具体的な態様について、一例を説明する。
上記の金ニッケル合金ナノ粒子の析出反応は、本願の図1に示す装置の、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間で強制的に均一混合しながら起こる。
まず、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として少なくとも金イオン及びニッケルイオンを含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体から構成された薄膜流体である第1流体膜を作る。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として還元剤を含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記のように、被処理流動体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を固定された処理用面1,2間にて、第1流体と第2流体とが混合され、金ニッケル合金ナノ粒子の析出反応を行う事が出来る。
なお、処理用面1,2間にて上記反応を行う事が出来れば良いので、上記とは逆に、第1導入部d1より第2流体を導入し、第2導入部d2より第1流体を導入するものであっても良い。つまり、各流体における第1、第2という表現は、複数存在する流体の第n番目であるという、識別のための意味合いを持つに過ぎないものであり、第3以上の流体も存在し得る。
前述のように、第1導入部d1、第2導入部d2以外に第3導入部を処理装置に設けることもできるが、この場合にあっては、例えば各導入部から、第1流体として金イオンを含む流体、第2流体としてニッケルイオンを含む流体、第3流体として還元剤を含む流体をそれぞれ別々に処理装置に導入することが可能である。そうすると、各流体の濃度や圧力を個々に管理することができ、金ニッケル合金ナノ粒子の析出反応をより精密に制御することができる。同じく、第1導入部d1、第2導入部d2以外に、第3導入部を処理装置に設けることもできるが、この場合にあっては、例えば各導入部から、第1流体として金イオン及びニッケルイオンを含む流体、第2流体として還元剤を少なくとも1種類含む第1還元剤流体、第3流体として第1還元剤流体に用いられた還元剤とは異なる還元剤を少なくとも1種類含む第2還元剤流体をそれぞれ別々に処理装置に導入することが可能である。なお、各導入部へ導入する被処理流動体(第1流体〜第3流体)の組み合わせは、任意に設定できる。第4以上の導入部を設けた場合も同様であって、このように処理装置へ導入する流体を細分化できる。この場合、薄膜流体中で還元剤を含む流体と合流するまでに金イオンを含む流体とニッケルイオンを含む流体とが合流していることが望ましく、また、薄膜流体中で金イオン及びニッケルイオンを含む流体と合流するまでに第1還元剤流体と第2還元剤流体とが合流していることが望ましい。
さらに、第1、第2流体等の被処理流動体の温度を制御したり、第1流体と第2流体等との温度差(即ち、供給する各被処理流動体の温度差)を制御することもできる。供給する各被処理流動体の温度や温度差を制御するために、各被処理流動体の温度(処理装置、より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前の温度)を測定し、処理用面1,2間に導入される各被処理流動体の加熱又は冷却を行う機構を付加して実施することも可能である。
以下、上記の装置を用いて行う銀アンチモン合金粒子の製造方法の具体的な態様について、一例を説明する。
上記の銀アンチモン合金粒子の析出反応は、本願の図1に示す装置の、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間で強制的に均一混合しながら起こる。
まず、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として少なくとも銀イオン及びアンチモンイオンを含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体から構成された薄膜流体である第1流体膜を作る。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として還元剤を含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記のように、被処理流動体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を固定された処理用面1,2間にて、第1流体と第2流体とが混合され、銀アンチモン合金粒子の析出反応を行う事が出来る。
なお、処理用面1,2間にて上記反応を行う事が出来れば良いので、上記とは逆に、第1導入部d1より第2流体を導入し、第2導入部d2より第1流体を導入するものであっても良い。つまり、各流体における第1、第2という表現は、複数存在する流体の第n番目であるという、識別のための意味合いを持つに過ぎないものであり、第3以上の流体も存在し得る。
処理用面1,2間にて上記反応を行って銀アンチモン合金粒子を析出させる際に、銀アンチモン合金粒子含まれるアンチモンの濃度が8.05wt%以上、100wt%未満となるよう、第1流体と第2流体の濃度を調整する。
銀イオン及びアンチモンイオンを含む流体と還元剤を含む流体とを混合して銀アンチモン合金粒子を析出させる際の、銀イオン及びアンチモンイオンを含む流体と還元剤を含む流体のそれぞれの濃度は特に限定されず、使用する化合物などによっても異なるが、銀イオン及びアンチモンイオンを含む流体の銀イオンの濃度は0.001〜2.000M(mol/L)、銀イオン及びアンチモンイオンを含む流体のアンチモンイオンの濃度は0.0010〜2.000M(mol/L)、還元剤を含む流体の還元剤の濃度は0.050〜4.000M(mol/L)の範囲であることが好ましい。
また、上記に示した装置を用いることによって、銀アンチモン合金における格子欠陥の少ない緻密な結晶粒子を作製できるため、期待された特性を示す銀アンチモン合金粒子を作製できることも利点である。
なお、本願の実施例それぞれの電子顕微鏡(TEM、STEM)観察において、明らかな格子欠陥は確認されなかった。
また、上記に示した装置を用いることによって、原子レベルでの均一な混合、反応が可能であることから、銀アンチモン合金において、これまでは不可能であった濃度の固溶体が均一に作製できたものと考える。
前述のように、第1導入部d1、第2導入部d2以外に第3導入部を処理装置に設けることもできるが、この場合にあっては、例えば各導入部から、第1流体として銀イオンを含む流体、第2流体としてアンチモンイオンを含む流体、第3流体として還元剤を含む流体をそれぞれ別々に処理装置に導入することが可能である。そうすると、各溶液の濃度や圧力を個々に管理することができ、銀アンチモン合金粒子の析出反応をより精密に制御することができる。同じく、第1導入部d1、第2導入部d2以外に、第3導入部を処理装置に設けることもできるが、この場合にあっては、例えば各導入部から、第1流体として銀イオン及びアンチモンイオンを含む流体、第2流体として還元剤を少なくとも1種類含む第1還元剤流体、第3流体として第1還元剤流体に用いられた還元剤とは異なる還元剤を少なくとも1種類含む第2還元剤流体をそれぞれ別々に処理装置に導入することが可能である。なお、各導入部へ導入する被処理流動体(第1流体〜第4流体)の組み合わせは、任意に設定できる。第4以上の導入部を設けた場合も同様であって、このように処理装置へ導入する流体を細分化できる。この場合、還元剤を含む流体と合流するまでに銀イオンを含む流体とアンチモンイオンを含む流体とが合流していることが望ましく、また、銀イオン及びアンチモンイオンを含む流体と合流するまでに第1還元剤流体と第2還元剤流体とが合流していることが望ましい。
さらに、第1、第2流体等の被処理流動体の温度を制御したり、第1流体と第2流体等との温度差(即ち、供給する各被処理流動体の温度差)を制御することもできる。供給する各被処理流動体の温度や温度差を制御するために、各被処理流動体の温度(処理装置、より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前の温度)を測定し、処理用面1,2間に導入される各被処理流動体の加熱又は冷却を行う機構を付加して実施することも可能である。
以下、本発明に係る固体金属合金とその製造方法について、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。しかし、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例において、「中央から」というのは、図1に示す処理装置の「第1導入部d1から」という意味であり、第1流体は、第1導入部d1から導入される、前述の第1被処理流動体を指し、第2流体は、図1に示す処理装置の第2導入部d2から導入される、前述の第2被処理流動体を指す。また、第2導入部d2の開口部d20として、図2(B)に点線で示すように、処理用面2の中央の開口を取り巻く同心円状の円環形状のものを用いた。
(A)銀銅合金に係る実施例及び比較例は、実施例及び比較例の番号の前に「A」を付して、(B)銀ニッケル合金に係る実施例及び比較例は、実施例及び比較例の番号の前に「B」を付して、(C)金ニッケル合金に係る実施例及び比較例は、実施例及び比較例の番号の前に「C」を付して、(D)銀アンチモン合金に係る実施例及び比較例は、実施例及び比較例の番号の前に「D」を付して、それぞれの実施例を特定する。但し、表1〜表17においては、「A」「B」「C」「D」を省略する。
(A)銀銅合金
まず、銀銅合金について、実施例を挙げて具体的に説明する。
(TEM−EDS分析)
TEM−EDS分析による、銀銅合金粒子中の銀及び銅の元素マッピング及び定量には、エネルギー分散型X線分析装置、JED−2300(JEOL製)を備えた、透過型電子顕微鏡、JEM−2100(JEOL製)を用いた。直径5nmのビーム径を用いて分析し、銀銅合金粒子中の銀と銅とのモル比を算出した。具体的には、得られた銀銅合金粒子10個それぞれに図15に示すような5つの分析点を設け、各分析点にて銀と銅とのモル比を算出し、その平均値を用いた。
TEM観察、TEM−EDS分析の具体的な条件としては、室温の環境にて透過型電子顕微鏡に銀銅合金粒子の試料を搭載し、加速電圧200kVで銀銅合金粒子の試料に電子線照射を行った。その際、前記試料の温度制御を行わなかった。また、低加速電圧を用いた観察や、加速電圧200KVでの観察によって、前記電子線照射により銀銅合金粒子に変化が無いことを確認した。
なお、使用した透過型電子顕微鏡で銀銅合金粒子に照射する電子線の加速電圧は数百kV程度までの任意の設定が可能である。
(STEM−EDS分析)
STEM−EDS分析による、銀銅合金粒子中の銀及び銅の元素マッピング及び定量には、r−TEM EDS検出器(アメテック社製)を備えた高分解能分析電子顕微鏡、Titan80−300(FEI社製)、または、エネルギー分散型X線分析装置、Centurio(JEOL製)を備えた、原子分解能分析電子顕微鏡、JEM−ARM200F(JEOL製)を用いた。直径0.2nmのビーム径を用いて分析し、銀銅合金粒子中の銀と銅とのモル比を算出した。具体的には、得られた銀銅合金粒子10個それぞれに図11に示すような4つの分析点を設け、各分析点にて銀と銅とのモル比を算出し、その平均値を用いた。
STEM観察、HRTEM観察、STEM−EDS分析の具体的な条件としては、室温の環境にて走査透過型電子顕微鏡に銀銅合金粒子の試料を搭載し、加速電圧200kVで銀銅合金粒子の試料に電子線照射を行った。その際、前記試料の温度制御を行わなかった。また、低加速電圧を用いた観察や、加速電圧200kVでの観察によって、前記電子線照射により銀銅合金粒子に変化が無いことを確認した。
なお、使用したこれら電子顕微鏡で銀銅合金粒子に照射する電子線の加速電圧は数百kV程度までの任意の設定が可能である。
(ICP分析)
誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)による、銀銅合金粒子の乾燥粉体中に含まれる銀と銅の定量には、島津製作所製のICPS−8100を用いた。
(XRD測定)
X線回折測定には、粉末X線回折測定装置X‘Pert PRO MPD(XRD スペクトリス PANalytical事業部製)を使用した。測定条件は、Cu対陰極、管電圧45kV、管電流40mA、走査速度1.6°/min.である。また解析にはHigh Score Plusソフトウエアを用いた。Rietvelt解析及びWilliamson―Hall法においてPseudo Voigt関数を使用し、非対称性を加えて計算をした。
(pH測定)
pH測定には、pH試験紙またはpHメーター(HORIBA製、型番D−51)を用いた。
(DSC測定)
示差走査熱量計(DSC)測定には、示差走査熱量計(島津製作所製,DSC―60)を用いた。サンプル試料セルはアルミクリンプセル(φ5.8mm×t1.5mm)、参照試料にはαアルミナを使用し、測定試料には銀銅合金粒子5mgを用いた。測定条件はNフロー(30ml/min.)、室温〜400℃の温度範囲、昇温速度20 ℃/min.である。
(TG−DTA同時測定)
示差熱−熱重量(TG−DTA)同時測定には、高温型示差熱熱重量同時測定装置、TG/DTA6300(SII製)を用いた。測定条件は、参照試料にαアルミナ粉末5.5mgを用い、窒素雰囲気下、30〜500℃の温度範囲、昇温速度30℃/min.である。
実施例A1〜A15として、中央から第1流体として銀イオン及び銅イオンを含む流体または還元剤を含む流体を、供給圧力=0.50MPaGで送液しながら、第2流体として、銀イオン及び銅イオンを含む流体または還元剤を含む流体のうち、第1流体とは異なる流体を処理用面1,2間に導入し、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合した。第1流体並びに第2流体の送液温度は、第1流体と第2流体のそれぞれの温度を処理装置導入直前(より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前)にて測定した。銀銅合金粒子分散液が処理用面1,2間より吐出された。吐出された銀銅合金粒子分散液を遠心分離処理(20000G)し、銀銅合金粒子を沈降させ、上澄み液を除去した後に、メタノールにて洗浄する作業を3回行い、得られたウェットケーキを25℃で大気圧にて乾燥し、銀銅合金粒子の乾燥粉体を作製した。また、銀銅合金粒子の粒子径の確認は、TEM観察によって行い、その一次粒子径にて判断した。TEM観察の観察条件としては、観察倍率を25万倍以上とし、3箇所の最小値と最大値とを用いた。表1に第1流体の処理条件、表2に第2流体の処理条件、及び表3に処理用面1の回転数と、処理用面1,2間より吐出された銀銅合金粒子分散液(吐出液)のpH、STEM−EDSとTEM−EDS分析結果により得られた銀銅合金粒子における銀と銅の割合(モル比)、STEM−EDSとTEM−EDS分析における、銀のみ(銀100%)または銅のみ(銅100%)が検出される分析点(表3では測定点と表記)の有無、銀銅合金粒子の乾燥粉体を用いて行ったICP分析結果による銀銅合金粒子における銀と銅の割合(モル比)、銀銅合金粒子に含まれる銅の濃度(wt%)を示す。表1、2における、略記号は、EG:エチレングリコール、Toluene:トルエン、AgNO:硝酸銀、CHCOOAg:酢酸銀、Cu(NO・3HO:硝酸銅三水和物、Cu(COOCH・HO:酢酸銅一水和物、Cu(COOCH:無水酢酸銅、HMH:ヒドラジン一水和物、DMAE:ジメチルアミノエタノール、PH:フェニルヒドラジン、PVP:ポリビニルピロリドン、OA:オクチルアミン、KOH:水酸化カリウム、NaBH:水素化ホウ素ナトリウム、MeOH:メタノール、EtOH:エタノール、SK08:チオカルコール08(花王製界面活性剤)、PW:純水である。なお、表3に示した「AgまたはCuが100%検出できる測定点」には、銀のみ(銀100%)または銅のみ(銅100%)が検出される分析点のほか、固相αまたは固相βの銀と銅の割合(モル比)である分析点を含む。また、実施例A13及び実施例A15の銀銅合金粒子分散液(吐出液)のpHは、処理用面1,2間より吐出された銀銅合金粒子分散液を水で10倍に希釈してから測定した。
比較例A1〜A3についても実施例A1〜A15と同様の方法で実施した。
なお、実施例A1〜A12、A16及び比較例A1〜A4においては、優先権主張元の出願に記載した実施例のデータを全て見直し、見直し後の実施例のデータを記載した。
全ての分析点においてTEM−EDS分析及びSTEM−EDS分析を行ったところ、実施例において得られた銀銅合金粒子は、銀銅合金に含まれる銅の濃度が0.1wt%から99.94wt%の範囲、つまり、Ag−Cu系合金平衡状態図における固相α+βの領域の範囲の銀銅合金粒子であることを確認した。また、実施例において得られた銀銅合金粒子中の銀と銅との割合(モル比)が、Ag−Cu系合金平衡状態図における固相αまたは固相βでの銀と銅の割合(モル比)である分析点や、銀が100%あるいは銅が100%である分析点は検出されなかった。
図7に実施例A2において得られた銀銅合金粒子のSTEM−HAADF像(A)及びEDSマッピング結果((B):Ag、(C):Cu)、及び図8に実施例A4において得られた銀銅合金粒子のSTEM−HAADF像(A)及びEDSマッピング結果((B):Ag、(C):Cu)、図9に実施例A8において得られた銀銅合金粒子のSTEM−HAADF像(A)及びEDSマッピング結果((B):Ag、(C):Cu)を示す。図11に実施例A8において得られた銀銅合金粒子のHRTEM像及びSTEM−EDS分析点(4点)を示し、図11に示した各分析点でのSTEM−EDS分析結果を図12に示す。図15に実施例A10において得られた銀銅合金粒子のHRTEM像及びTEM−EDS分析点(5点)を示し、図15に示した各分析点でのTEM−EDS分析結果を図16に示す。図13に実施例A10で得られた銀銅合金粒子のTEM像、及び図14に実施例A6で得られた銀銅合金粒子のTEM像、及び図18に実施例A7で得られた銀銅合金粒子のTEM像、及び図19に実施例A3で得られた銀銅合金粒子のTEM像、図20に実施例A4において得られた銀銅合金粒子の低倍率におけるTEM像を示す。
図12のSTEM−EDS分析結果は、実施例A8で作製された銀銅合金粒子の一例であるが、EDS分析を行った10個の銀銅合金粒子それぞれにおいて、4つの分析点の50%以上で、STEM−EDS分析における銀と銅とのモル比が、ICP分析によって得られた銀と銅とのモル比の±30%以内で検出された。また、表3に示す他の実施例で同様のSTEM−EDS分析を行った結果、いくつかの分析点でのSTEM−EDS分析における銀と銅とのモル比の値が、各実施例のICP分析によって得られた銀と銅とのモル比の値に対して最大±30%である分析点が存在した。さらに、EDSマッピングを用いた分析において、それらの分析点の観察で銀と銅とが明らかに偏析している様子などは見られなかった。
図16のEDS分析結果は、実施例A10で作製された銀銅合金粒子の一例であるが、TEM−EDS分析を行った10個の銀銅合金粒子それぞれにおいて、5つの分析点の50%以上で、TEM−EDS分析における銀と銅とのモル比が、ICP分析によって得られた銀と銅とのモル比の±30%以内で検出された。また、表3に示す他の実施例で同様のTEM−EDS分析を行った結果、いくつかの分析点でのTEM−EDSにおける銀と銅とのモル比の値が、各実施例のICP分析によって得られた銀と銅とのモル比に対して最大±30%である点が存在した。
また、実施例A2、A4、A10で得られたそれぞれの銀銅合金粒子の乾燥粉体並びにそれらの銀銅合金粒子を300℃で30分の熱処理した熱処理粉体のXRD測定結果を図17に示す。実施例A2、A4、A10で得られたそれぞれの銀銅合金粒子の乾燥粉体を300℃で30分加熱したものを熱処理粉体とした。以下、実施例で得られた銀銅合金粒子の乾燥粉体を「熱処理前(又は未処理)の銀銅合金粒子」、実施例で得られた銀銅合金粒子の乾燥粉体を上記の条件で熱処理したものを「熱処理後の銀銅合金粒子」と記載する。比較の為に参照試料として、試薬のAgとCuの回折パターンを合わせて示す。熱処理前の銀銅合金粒子の回折線は、広幅化していることが伺える。また熱処理前の銀銅合金粒子は、いずれも参照試料として用いたAgの回折位置に近いことが分かる。その回折パターンから、熱処理前の銀銅合金粒子はFCC構造のAgが母構造であると考えられた。FCC構造のAgの[111]である38.2 °付近に見られるピークについて、熱処理前の銀銅合金粒子のピークは銀銅合金粒子中のCuの比率が増加するにつれてわずかに高角度側にシフトしていることが確認された。更に、熱処理後の銀銅合金粒子のそれぞれの回折ピークは鋭くなり、FCC構造のCuの回折ピークと一致するピークを含み、CuとAgとの混合体のように各々の回折パターンが分離したように見られた。Cuの回折ピークと一致する熱処理後の銀銅合金粒子のピークは、銀銅合金中のCuの比率が増加するにつれて(実施例A2、A4、A10の順に)、その相対強度が強くなった。
図17に示すXRD測定結果を元にRietvelt解析及びWilliamson−Hall法を用いて求めた格子定数、結晶子サイズ並びに歪みについて表4に示す。熱処理後の銀銅合金粒子については、AgとCuの二相として解析を行った。熱処理前の銀銅合金粒子について、いずれもAgの格子定数[4.086(Å)]](文献1:R. K. Linde: In Partial Fulfillment of the Requirements For the Degree of Doctor of Philosophy, California Institute of Technology , 1964)と比較して格子定数が大きくなっている。また、上記の方法で求めた熱処理前の銀銅合金粒子の結晶子サイズはおよそ5−6nm程度であり、また歪んでいることが分かる。格子定数の広がりの一つの可能性として、結晶子サイズ並びに歪みの影響に加えて、粒子内部におけるAgとCuのランダムな分布による複合的な影響によるものであると考えられる。
また、格子定数の変化について、図21に、文献1に示されたVegard則から求めたAgCu固溶体の格子定数と急冷凝固にて作製されたAgCu固溶体の格子定数の図中に、実施例A2、A4、A10における各熱処理前の銀銅合金粒子の格子定数を適用したものを示す。熱処理前の銀銅合金粒子についても、銀銅合金粒子中のCuの比率が増加するにつれて、その格子定数は小さくなる傾向が見られた。
熱処理後の銀銅合金粒子の格子定数は、表4に示した様にAgとCu[3.615(Å)](文献1)との格子定数とほぼ一致した。
また、上記のXRD測定結果より、熱処理後の銀銅合金粒子中に含まれる銀と銅の定量結果を表5に示す。表3に示した、熱処理前の銀銅合金粒子におけるAg:Cuモル比率とほぼ一致する値が得られた。図22に代表例として実施例A10の熱処理後の銀銅合金粒子のTEM像を示す。この像から明らかな様に、熱処理後においても粒子径は10−20nm程度であり、熱処理前後での銀銅合金粒子の粒子径の変化は見られなかった。また、熱処理前の銀銅合金粒子と同様に、TEM−EDS分析を用いて熱処理後の銀銅合金粒子の定量分析を行い、熱処理前後における銀銅合金粒子のAg:Cu比率に変化がないことを確認している。さらに、図23に実施例A2において得られた銀銅合金粒子の、窒素雰囲気下におけるTG−DTA測定結果を示す。図23より、300℃までの熱処理では、銀銅合金粒子の重量に変化が無いことを確認した。同図の450℃付近から500℃までの重量減少及び発熱については、PVPに起因するものである。よって熱処理後の銀銅合金粒子は、同一粒子中でAgとCuは相分離、つまり明らかに共晶体または単独の銀及び銅が発生しているものと考えられる。言い換えると、熱処理前の銀銅合金粒子が、共晶体を含まない固溶体であることがわかる。
図24に実施例A2、A4、A10において作製された銀銅合金粒子の乾燥粉体、並びに300℃、30分で熱処理した実施例A10の銀銅合金粒子の乾燥粉体のDSC測定結果を示す。第1流体または第2流体に含まれるPVPによる保護膜の形成が考えられるため、DSC測定結果にPVPのDSC測定結果を併せて示した。測定範囲において、PVPについては、特にピークは確認されなかった。実施例において作製した銀銅合金粒子については、180−350℃付近に非常にブロードな発熱ピークが確認された。これは固溶したAg−Cu末端の分解と成長によるものと考えられる(文献2:H.W.Sheng, G.Wilde, E. Ma : Acta. Materialia,50,475(2002)、文献3:Klassen T,Herr U, Averback RS. : Acta. Mater.,49,453(1997))。実施例A10の熱処理後の銀銅合金粒子のDSC測定結果では特にピークは見られず、不可逆的な変化が起こっていることがわかる。また、表4に示した様に、XRD測定から求めた熱処理後の銀銅合金粒子の結晶子サイズは銀、銅のいずれか又は、両方が大きくなっており、歪みは小さくなっていることが分かる。よって、300℃、30分の熱処理によって、熱処理前の銀銅合金粒子を構成する固溶体相が分解し、AgとCuがそれぞれで成長しながら共晶体または単独の銀及び銅が発生したものと考えられる。
次に、実施例A13において得られた銀銅合金粒子のSTEM像を図25((A)HAADF像、(B)BF(明視野)像)に示す(倍率は、1000万倍)。図25(A)(B)に示されたように、銀銅合金粒子に格子縞が観察された。更に、実施例A13の銀銅合金粒子を2000倍で観察したSTEM像を図26((A)HAADF像、(B)BF(明視野)像)に示す。また、図26(A)(B)の各像と同じ視野において、Radial difference filter処理により、銀銅合金粒子を乗せているコロジオン膜の影響などを除したSTEM像を図27((A)HAADF像、(B)BF(明視野)像)に示す(倍率は、2000万倍)。図26(A)(B)、図27(A)(B)に示した像の全てにおいて、格子縞が、うねっている様子が確認された。なお、銀銅合金粒子に関する他の実施例(実施例A1〜A12及び実施例A14〜実施例A15)においても、同様の格子縞が確認された。また、錫銀銅に関する実施例A16においても、同様の格子縞が確認された。
銀と銅とがそれぞれ単独で結晶子を構成している場合には、それら結晶子の粒界において不整合としてうねりが見られる場合もあるが、実施例A13の銀銅合金粒子に観測されたうねりは、結晶子内において観測されたものであり、銀と銅が固溶体化することによって、それらの原子半径の差異により結晶格子が歪むことによるうねりと考えられる。加えて、図28に示した実施例A13の銀銅合金粒子の粉末X線回折測定結果ではFCC型の銀に近しい回折パターンのみが確認され、銅由来の結晶性の回折は見られないため、図26、図27のSTEM像に見られたうねりがFCC型の銀構造中に銅が固溶していることを裏付けるものと考える。また、実施例A13の銀銅合金粒子の乾燥粉体を300℃、30分で熱処理した粉体のXRD測定と、実施例A13の銀銅合金粒子の乾燥粉体及び同乾燥粉体を300℃、30分で熱処理した粉体のDSC測定では、実施例A2、A4、A10と同様の結果が得られ、実施例A13の銀銅合金粒子のTG−DTA同時測定では、実施例A2と同様の結果が得られた。
以上の結果より、実施例A1〜A15によって得られた銀銅合金粒子が、実質的に共晶体を含まない、固溶体銀銅合金粒子、特に置換型固溶体合金粒子であることがわかった。
以上より、本発明に係る銀銅合金は、実質的に共晶体を含まない銀銅合金であり、その銀銅合金が固溶体であることがわかった。
また、本発明に係る銀銅合金は、銀イオン及び銅イオンを含む流体と、還元剤流体とを、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2つの処理用面間にできる薄膜流体中で混合し、実質的に共晶体を含まない銀銅合金の粒子を析出させて製造できることがわかった。
その際、還元剤を含む流体として、1種類の還元剤を含むものを用いても、2種類の還元剤を含むものを用いても、同じように、実質的に共晶体を含まない銀銅合金の粒子を作製できることが確認できた。このような実質的に共晶体を含まない銀銅合金の粒子を作製できるメカニズムは明らかではないが、還元剤や還元性を示す分散剤の種類や量により、それらが銀銅合金粒子の作製に及ぼす影響が異なるためと考えている。
また、銀イオン及び銅イオンを含む流体と還元剤流体とを薄膜流体中で混合した後の流体のpHを7以上、より好ましくは8以上とすることが、実質的に共晶体を含まない銀銅合金の粒子を作製する点で好ましいことがわかった。
(錫銀銅合金の製造)
実施例A16では、中央から第1流体として銀イオン、銅イオン、及び錫(Sn)イオンを含む流体を、供給圧力=0.30MPaGで送液しながら、第2流体として、還元剤を含む流体を処理用面1,2間に導入し、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合した。第1流体並びに第2流体の各送液温度は、第1流体と第2流体のそれぞれを処理装置に導入する直前(より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前)に測定した。処理用面1,2間より吐出された錫銀銅合金粒子分散液を遠心分離処理(21000G)し、錫銀銅合金粒子を沈降させ、上澄み液を除去した後に、メタノールにて洗浄する作業を3回行い、得られたウェットケーキを25℃で−0.095MPaGの条件にて乾燥し、錫銀銅合金粒子の乾燥粉体を作製した。また、錫銀銅合金粒子の粒子径の確認は、TEM観察によって行い、その一次粒子径にて判断した。TEM観察の観察条件としては、観察倍率を25万倍以上、好ましくは50万倍以上とし、3箇所の最小値と最大値とを用いた。表6に第1流体の処理条件、表7に第2流体の処理条件、及び表8に処理用面1の回転数と、錫銀銅合金粒子分散液(吐出液)のpH、TEM−EDS分析結果により得られた錫銀銅合金粒子における錫と銀と銅の比率(モル比)、TEM−EDS分析における、錫のみ、銀のみ(銀100%)または銅のみ(銅100%)が検出される分析点(表8では測定点と表記)の有無、錫銀銅合金粒子の乾燥粉体を用いて行ったICP分析結果による錫と銀と銅のモル比を示す。表6、表7における、略記号は、EG:エチレングリコール、AgNO:硝酸銀、Cu(NO・3HO:硝酸銅三水和物、PVP:ポリビニルピロリドン、KOH:水酸化カリウム、NaBH:水素化ホウ素ナトリウム、PW:純水、SnCl:塩化錫、T.A.:酒石酸、NH:アンモニアである。なお、TEM−EDS分析については、実施例A1〜A15と同様の方法を用いて、錫銀銅合金粒子中の錫、銀及び銅の定量を行い、ICP分析についても、実施例A1〜A15と同様の方法を用いて、錫銀銅合金粒子の乾燥粉体中の銀と銅との定量を行った。
比較例A4についても実施例A16と同様の方法で実施した。
実施例A16の全ての分析点においてTEM−EDS分析を行ったところ、実施例A16の錫銀銅合金粒子中の錫と銀と銅との割合(モル比)が、錫が100%、銀が100%あるいは銅が100%である分析点は検出されなかった。また、EDS分析を行った実施例16の10個の錫銀銅合金粒子それぞれにおいて、5つの分析点の50%以上で、TEM−EDS分析における錫と銀と銅とのモル比が、ICP分析によって得られた錫と銀と銅とのモル比の±30%以内で検出された。
なお、STEM−EDS分析においても、分析点の50%以上で、錫と銀と銅とのモル比が、ICP分析によって得られた錫と銀と銅とのモル比の±30%以内で検出された。また、XRD測定においては、錫に由来するピークが確認され、単独の銀または銅については、確認されなかった。
以上のことから、これまでに開示された錫銀銅合金は共晶合金であったが、実施例A16は実質的に共晶体を含まない錫銀銅合金粒子であると確認できた。
以上より、実施例A16においては、錫イオン、銀イオン及び銅イオンを含む流体と、少なくとも2種類の還元剤を含む流体(水素化ホウ素ナトリウム、並びに本件においてはPVP及びエチレングリコールを還元剤として作用させた)とを、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2つの処理用面間にできる薄膜流体中で混合する事によって、好ましくは、上記混合した後の流体のpHを8以上とすることによって、共晶体を含まない錫銀銅合金粒子を作製できる事がわかった。また実施例16の組成比(ICP分析結果において錫:銀:銅=96.6:2.9:0.5(モル比)、97.0:2.7:0.3(重量比))は、一般的にはんだに用いることが可能な合金である。一般的なはんだの融点は217℃であるが、実施例16において作製した合金は、DSC測定において(装置:示差走査熱量:DSC−60(島津製作所))、昇温速度:10℃/min.(40℃−230℃)、雰囲気:窒素、測定試料の量:5.4mgで測定した結果、吸熱ピークの開始温度が195.68℃であり、融点降下を確認した。実施例A16において得られた粒子のTEM写真を図29に示す。
(B)銀ニッケル合金
次に、銀ニッケル合金について、実施例を挙げて具体的に説明する。
(TEM−EDS分析)
TEM−EDS分析による、銀ニッケル合金粒子中の銀とニッケルの定量には、エネルギー分散型X線分析装置、JED−2300(JEOL製)を備えた、透過型電子顕微鏡、JEM−2100(JEOL製)を用いた。直径5nmのビーム径を用いて分析し、銀ニッケル合金粒子中の銀とニッケルとのモル比を算出した。具体的には、得られた銀ニッケル合金粒子10個それぞれに図33に示す4つの分析点を設け、各分析点にて銀とニッケルとのモル比を算出し、その平均値を用いた。
(STEM−EDS分析)
STEM−EDS分析による、銀ニッケル合金粒子中の銀とニッケルの定量には、r−TEM EDS検出器(アメテック社製)を備えた高分解能分析電子顕微鏡、Titan80−300(FEI社製)を用いた。直径0.2nmのビーム径を用いて分析し、銀ニッケル合金粒子中の銀とニッケルとのモル比を算出した。具体的には、得られた銀ニッケル合金粒子10個それぞれに図32に示す4つの分析点を設け、各分析点にて銀とニッケルとのモル比を算出し、その平均値を用いた。
(ICP分析)
誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)による、銀ニッケル合金粒子中の乾燥粉体中に含まれる銀とニッケルの定量には、島津製作所製のICP8100を用いた。
(XRD測定)
X線回折測定には、粉末X線回折測定装置X‘Pert PRO MPD(XRD スペクトリス PANalytical事業部製)を使用した。測定条件は,Cu対陰極,管電圧45 kV,管電流40 mA,走査速度1.6 °/minである。
実施例B1〜B10として、中央から第1流体として銀イオン及びニッケルイオンを含む流体を、供給圧力=0.50MPaGで送液しながら、第2流体として還元剤を含む流体を処理用面1,2間に導入し、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合した。第1流体並びに第2流体の送液温度は、第1流体と第2流体のそれぞれの温度を処理装置導入直前(より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前)にて測定した。銀ニッケル合金粒子分散液が処理用面1,2間より吐出された。吐出された銀ニッケル合金粒子分散液を遠心分離処理(20000G)し、銀ニッケル合金粒子を沈降させ、上澄み液を除去した後に、メタノールにて洗浄する作業を3回行い、得られたウェットケーキを25℃の条件で大気圧にて乾燥し、銀ニッケル合金粒子の乾燥粉体を作製した。また、銀ニッケル合金粒子の粒子径の確認は、TEM観察によって行い、その一次粒子径を判断した。TEM観察の観察条件としては、観察倍率を5万倍以上とし、3箇所の平均値を用いた。表9に第1流体の処理条件、表10に第2流体の処理条件、及び表11に処理用面1の回転数と、STEM−EDSまたはTEM−EDS分析結果により得られた銀ニッケル合金粒子における銀とニッケルの比率(モル比)、STEM−EDSとTEM−EDS分析における、銀のみ(銀100%)またはニッケルのみ(ニッケル100%)が検出される分析点(表11では測定点と表記)の有無、銀ニッケル合金粒子の乾燥粉体を用いて行ったICP分析結果による銀ニッケル合金粒子における銀とニッケルのモル比、銀ニッケル合金粒子の粒子径を示す。表9、10における、略記号は、EG:エチレングリコール、AgNO:硝酸銀、Ni(NO・6HO:硝酸ニッケル六水和物、HMH:ヒドラジン一水和物、PVP:ポロビニルピロリドン、KOH:水酸化カリウム、PW:純水である。
比較例B1,B2,B3として、上記還元反応を、ビーカーを用いて行った。実施例B1,B2,B3と同じ銀イオン及びニッケルイオンを含む流体を130℃で攪拌しながら、実施例B1,B2,B3と同じ20℃の還元剤を含む流体をビーカーに投入して両者を混合した。実施例B1〜B3と同様の作業にて得られた粒子を回収し、STEM−EDS分析、TEM−EDS分析、ICP分析、TEM観察を行った。
図31に実施例B1において得られた銀ニッケル合金粒子のTEM像を示す。図36に実施例B1において得られた銀ニッケル合金粒子の低倍率におけるTEM像を示す。
また、図32には実施例B2において得られた銀ニッケル粒子のSTEM像とその粒子について直径0.2nmのビーム径によるSTEM-EDS分析点(4点)を示し、図34に図32に示した各分析点にて測定したEDS分析結果を示した。図34のEDS分析結果は、実施例B2で作製された銀ニッケル合金粒子の代表例である。図34に示した分析結果より、分析点の50%以上で、STEM-EDS分析における銀とニッケルとのモル比が、ICP分析結果によって得られた銀とニッケルとのモル比の±30%以内で検出された。図34のEDS分析結果は、実施例B2で作製された銀ニッケル合金粒子の一例であるが、EDS分析を行った10個の銀ニッケル合金粒子それぞれにおいて、分析点の50%以上で、STEM−EDS分析における銀とニッケルとのモル比が、ICP分析結果によって得られた銀とニッケルとのモル比の±30%以内で検出された。
また、実施例B2で得られた銀ニッケル合金粒子の乾燥粉体を用いて行ったXRD測定結果を図37に示す。比較の為、参照試料として試薬のAgの回折パターンとニッケルの回折パターンを合わせて示す。実施例B1〜B10全てのTEM観察において、結晶の干渉縞が確認されたが、XRD測定の結果、試薬のニッケルと一致する回折ピークは見受けられず、試薬の銀のピークがブロード化している様子が見受けられた。
また、図33には実施例B3において得られた銀ニッケル粒子のTEM像とその粒子について5nmのビーム径による、TEM−EDS分析点(4点)を示し、図35に図33に示した各分析点にて測定したEDS分析結果を示した。図35のEDS分析結果は、実施例B3で作製された銀ニッケル合金粒子の代表例である。図35に示した分析結果より、分析点の50%以上で、銀とニッケルとのモル比が、ICP分析結果によって得られた銀とニッケルとのモル比の±30%以内で検出された。
図35のEDS分析結果は、実施例B3で作製された銀ニッケル合金粒子の一例であるが、EDS分析を行った10個の銀ニッケル合金粒子それぞれにおいて、分析点の50%以上で、TEM−EDS分析における銀とニッケルとのモル比が、ICP分析結果によって得られた銀とニッケルとのモル比の±30%以内で検出された。
よって、実施例において得られた銀ニッケル合金粒子が共晶体を含まない銀ニッケル合金、特に置換型固溶体合金粒子であることがわかった。
以上より、実施例B1〜B10においては、TEM−EDS分析及びSTEM−EDS分析結果から、共晶体を含まない非共晶構造である銀ニッケル合金粒子が作製されていることを確認した。また、これらの銀ニッケル合金粒子の実施例B1〜B10についても、銀銅合金粒子に関する実施例と同様、STEM像にて、結晶子内において、うねっている格子縞が観測された。
(C)金ニッケル合金ナノ粒子
次に、金ニッケル合金ナノ粒子について、実施例を挙げて具体的に説明する。
(TEM−EDS分析)
TEM−EDS分析による、金ニッケル合金ナノ粒子中の金とニッケルの定量には、エネルギー分散型X線分析装置、JED−2300(JEOL製)を備えた、透過型電子顕微鏡、JEM−2100(JEOL製)を用いた。直径5nmのビーム径を用いて分析し、金ニッケル合金ナノ粒子中の金とニッケルとのモル比を算出した。具体的には、得られた金ニッケル合金ナノ粒子10個それぞれに図41に示す5つの分析点を設け、各分析点にて金とニッケルとのモル比を算出し、その平均値を用いた。
(STEM−EDS分析)
STEM−EDS分析による、金ニッケル合金ナノ粒子中の金とニッケルの定量には、r−TEM EDS検出器(アメテック社製)を備えた高分解能分析電子顕微鏡、Titan80−300(FEI社製)を用いた。直径0.2nmのビーム径を用いて分析し、金ニッケル合金ナノ粒子中の金とニッケルとのモル比を算出した。具体的には、得られた金ニッケル合金ナノ粒子10個それぞれに図40に示す4つの分析点を設け、各分析点にて金とニッケルとのモル比を算出し、その平均値を用いた。
(ICP分析)
誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)による、金ニッケル合金ナノ粒子中の乾燥粉体中に含まれる金とニッケルの定量には、島津製作所製のICP8100を用いた。
実施例C1〜C6として、中央から第1流体として金イオン及びニッケルイオンを含む流体を、供給圧力=0.50MPaGで送液しながら、第2流体として、還元剤を含む流体を処理用面1,2間に導入し、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合した。第1流体並びに第2流体の送液温度は、第1流体と第2流体のそれぞれの温度を処理装置導入直前(より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前)にて測定した。金ニッケル合金ナノ粒子分散液が処理用面1,2間より吐出された。吐出された金ニッケル合金ナノ粒子分散液を遠心分離処理(20000G)し、金ニッケル合金ナノ粒子を沈降させ、上澄み液を除去した後に、メタノールにて洗浄する作業を3回行い、得られたウェットケーキを25℃の条件で大気圧にて乾燥し、金ニッケル合金ナノ粒子の乾燥粉体を作製した。また、金ニッケル合金ナノ粒子の粒子径の確認は、TEM観察によって行い、その一次粒子径を判断した。TEM観察の観察条件としては、観察倍率を5万倍以上とし、3箇所の平均値を用いた。表12に第1流体の処理条件、表13に第2流体の処理条件、及び表14に処理用面1の回転数と、STEM−EDSとTEM−EDS分析結果により得られた金ニッケル合金ナノ粒子における金とニッケルの割合(モル比)、STEM−EDSとTEM−EDS分析における、金ニッケル合金ナノ粒子中の金とニッケルとの割合が、αまたはβそれぞれの金とニッケルの割合である分析点(表14では測定点と表記)の有無、金ニッケル合金ナノ粒子の乾燥粉体を用いて行ったICP分析結果による金ニッケル合金ナノ粒子における金とニッケルの割合(モル比)と金ニッケル合金に含まれるニッケルの濃度(wt%)を示す。表12、表13における、略記号は、EG:エチレングリコール、HAuCl・4HO:塩化金酸四水和物、NiCl・6HO:塩化ニッケル六水和物、HMH:ヒドラジン一水和物、PVP:ポロビニルピロリドン、KOH:水酸化カリウム、PW:純水である。
比較例C1〜C3として、第1流体と第2流体との混合を、ビーカーを用いて行った。実施例C1〜C3と同じ金イオン及びニッケルイオンを含む流体を130℃で攪拌しながら、実施例C1〜C3と同じ20℃の還元剤を含む流体をビーカーに投入して両者を混合した。実施例C1〜C3と同様の作業にて得られた粒子を回収し、STEM−EDS分析、TEM−EDS分析、ICP分析を行った。
全ての分析点においてTEM−EDS分析及びSTEM−EDS分析をしたところ、実施例において得られた金ニッケル合金ナノ粒子が、金ニッケル合金に含まれるニッケルの濃度が2.0wt%から92.7wt%の範囲(全てAu−Ni系合金平衡状態図におけるα+βの領域)の金ニッケル合金ナノ粒子であることを確認した。また、実施例において得られた金ニッケル合金ナノ粒子中の金とニッケルとの割合(モル比)が、αまたはβそれぞれの金とニッケルの割合(モル比)である分析点は検出されなかった。
図39に実施例C1において得られた金ニッケル合金ナノ粒子のTEM像を、図40に実施例C2において得られた金ニッケル合金ナノ粒子のSTEM像を、図41に実施例C3において得られた金ニッケル合金ナノ粒子のTEM像をそれぞれ示す。また、図44に実施例C1において得られた金ニッケル合金ナノ粒子の低倍率におけるTEM像を示す。図39〜図41に示すように、実施例において得られた金ニッケル合金ナノ粒子において、金とニッケルとが明らかに偏析している様子は確認できなかった。
また図40に実施例C2において得られた金ニッケル合金ナノ粒子について直径0.2nmのビーム径によるSTEM-EDS分析点(4点)を示し、図42に図40に示した各分析点にて測定したEDS分析結果を示した。図42に示した分析結果より、分析点の50%以上で、STEM-EDS分析における金とニッケルとのモル比が、ICP分析結果によって得られた金とニッケルとのモル比の±30%以内で検出された。図42のEDS分析結果は、実施例C2で作製された金ニッケル合金ナノ粒子の一例であるが、EDS分析を行った10個の金ニッケル合金ナノ粒子それぞれにおいて、分析点の50%以上で、STEM−EDS分析における金とニッケルとのモル比が、ICP分析結果によって得られた金とニッケルとのモル比の±30%以内で検出された。
また、図41には実施例C3において得られた金ニッケルナノ粒子について5nmのビーム径による、TEM−EDS分析点(5点)を示し、図43に図41に示した各分析点にて測定したEDS分析結果を示した。図43に示した分析結果より、分析点の50%以上で、金とニッケルとのモル比が、ICP分析結果によって得られた金とニッケルとのモル比の±30%以内で検出された。図43のEDS分析結果は、実施例C3で作製された金ニッケル合金ナノ粒子の一例であるが、EDS分析を行った10個の金ニッケル合金ナノ粒子それぞれにおいて、分析点の50%以上で、TEM−EDS分析における金とニッケルとのモル比が、ICP分析結果によって得られた金とニッケルとのモル比の±30%以内で検出された。
以上より、実施例C1〜C6においては、均一な金ニッケル合金ナノ粒子であって、2種類の金属がナノレベルの微細な混在状態を示すに固溶された金ニッケル合金ナノ粒子、特に置換型固溶体合金粒子が作製されていることを確認した。
なお、上記の金ニッケル合金粒子の各実施例(実施例C1〜C6)においても、STEM像にて、銀銅合金粒子に関する他の実施例と同様のうねっている状態の格子縞が観測された。
(D)銀アンチモン合金
次に、銀アンチモン合金について、実施例を挙げて具体的に説明する。
(TEM−EDS分析)
TEM−EDS分析による、銀アンチモン合金粒子中の銀及びアンチモンの定量には、エネルギー分散型X線分析装置、JED−2300(JEOL製)を備えた、透過型電子顕微鏡、JEM−2100(JEOL製)を用いた。直径5nmのビーム径を用いて分析し、銀アンチモン合金粒子中の銀とアンチモンとのモル比を算出した。具体的には、得られた銀アンチモン合金粒子10個それぞれに図48に示す4つの分析点を設け、各分析点にて銀とアンチモンとのモル比を算出し、その平均値を用いた。
TEM観察、TEM−EDS分析の具体的な条件としては、室温の環境にて透過型電子顕微鏡に銀アンチモン合金粒子の試料を搭載し、加速電圧200kVで銀アンチモン合金粒子の試料に電子線照射を行った。その際、上記試料の温度制御を行わなかった。また、低加速電圧を用いた観察や、加速電圧200KVでの観察によって、上記電子線照射により銀アンチモン合金粒子に変化が無いことを確認した。
なお、使用した透過型電子顕微鏡で銀アンチモン合金粒子に照射する電子線の加速電圧は数百kV程度までの任意の設定が可能である。
(STEM−EDS分析)
STEM−EDS分析による、銀アンチモン合金粒子中の銀及びアンチモンの元素マッピングとその定量には、r−TEM EDS検出器(アメテック社製)を備えた高分解能分析電子顕微鏡、Titan80−300(FEI社製)、または、エネルギー分散型X線分析装置、Centurio(JEOL製)を備えた、原子分解能分析電子顕微鏡、JEM−ARM200F(JEOL製)を用いた。直径0.2nmのビーム径を用いて分析し、銀アンチモン合金粒子中の銀とアンチモンとのモル比を算出した。具体的には、得られた銀アンチモン合金粒子10個それぞれに図47に示す4つの分析点を設け、各分析点にて銀とアンチモンとのモル比を算出し、その平均値を用いた。
STEM観察、TEM観察、STEM−EDS分析の具体的な条件としては、室温の環境にて走査透過型電子顕微鏡に銀アンチモン合金粒子の試料を搭載し、加速電圧200kVで銀アンチモン合金粒子の試料に電子線照射を行った。その際、上記試料の温度制御を行わなかった。また、低加速電圧を用いた観察や、加速電圧200kVでの観察によって、上記電子線照射により銀アンチモン合金粒子に変化が無いことを確認した。
なお、使用したこれら電子顕微鏡で銀アンチモン合金粒子に照射する電子線の加速電圧は数百kV程度までの任意の設定が可能である。
(ICP分析)
誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)による、銀アンチモン合金粒子の乾燥粉体中に含まれる銀とアンチモンの定量には、島津製作所製のICP8100を用いた。
(XRD測定)
X線回折測定には、粉末X線回折測定装置X‘Pert PRO MPD(XRD スペクトリス PANalytical事業部製)を使用した。測定条件は,Cu対陰極,管電圧45 kV,管電流40 mA,走査速度1.6 °/minである。
XRD測定の具体的な条件としては、室温の環境にてX線回折装置に銀アンチモン合金粒子の試料を搭載し、銀アンチモン合金粒子の試料にX線照射を行った。その際、上記試料の温度制御を行わなかった。また、上記X線照射により銀アンチモン合金粒子に変化が無いことを確認した。
(pH測定)
pH測定には、pH試験紙またはpHメーター(HORIBA製、型番D−51)を用いた。
実施例D1〜D10として、中央から第1流体として銀イオン及びアンチモンイオンを含む流体を、供給圧力=0.50MPaGで送液しながら、第2流体として還元剤を含む流体を処理用面1,2間に導入し、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合した。第1流体並びに第2流体の送液温度は、第1流体と第2流体のそれぞれの温度を処理装置導入直前(より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前)にて測定した。銀アンチモン合金粒子分散液が処理用面1,2間より吐出された。吐出された銀アンチモン合金粒子分散液を遠心分離処理(20000G)し、銀アンチモン合金粒子を沈降させ、上澄み液を除去した後に、エタノールにて洗浄する作業を3回行い、得られたウェットケーキを25℃の条件で大気圧にて乾燥し、銀アンチモン合金粒子の乾燥粉体を作製した。また、銀アンチモン合金粒子の粒子径の確認は、TEM観察によって行い、その一次粒子径にて判断した。TEM観察の観察条件としては、観察倍率を25万倍以上とし、3箇所の最小値と最大値の幅を用いた。表15に第1流体の処理条件、表16に第2流体の処理条件、及び表17に処理用面1の回転数と、STEM−EDS分析とTEM−EDS分析により得られた銀アンチモン合金粒子における銀とアンチモンの割合(モル比)、STEM−EDS分析とTEM−EDS分析における、銀のみ(銀100%)またはアンチモンのみ(アンチモン100%)が検出される分析点(表17では測定点と表記)の有無、銀アンチモン合金粒子の乾燥粉体を用いて行ったICP分析による銀アンチモン合金粒子における銀とアンチモンとの割合(モル比)、銀アンチモン合金に含まれるアンチモンの濃度(wt%)、XRD測定における、銀とアンチモンの金属間化合物由来のピークの有無を示す。表15、16における、略記号は、EG:エチレングリコール、AgCHCOO:酢酸銀、Sb(CHCOO):酢酸アンチモン、TA:酒石酸、NH aq.(30%):アンモニア水(30%)、NaBH:水素化ホウ素ナトリウム、OA:オクチルアミン、PVP:ポロビニルピロリドン、EtOH:エタノール、NaOH:水酸化ナトリウム、PW:純水、Citric Acid:クエン酸である。また、表15,表16に記載のpHについては、小数点以下一桁の数値にて記載しているものについてはpHメーターにて測定した結果、整数の範囲にて記載しているものについては、pH試験紙にて測定した結果である。なお、表17に示した「AgまたはSbが100%検出できる測定点」には、銀のみ(銀100%)またはアンチモンのみ(アンチモン100%)が検出される分析点のほか、α固溶体相の銀とアンチモンの割合(モル比)である分析点を含む。
比較例D1,D2,D3として、第1流体と第2流体との混合を、ビーカーを用いて行った。実施例D1,D2,D3と同じ銀イオン及びアンチモンイオンを含む流体を実施例D1,D2,D3と同じ温度で攪拌しながら、実施例D1,D2,D3と同じ温度の還元剤を含む流体をビーカーに投入して両者を混合した。実施例D1,D2,D3と同様の作業にて得られた粒子を回収し、STEM−EDS分析、TEM−EDS分析、ICP分析、XRD測定を行った。
全ての分析点においてTEM−EDS分析及びSTEM−EDS分析を行ったところ、実施例において得られた銀アンチモン合金粒子が、銀アンチモン合金に含まれるアンチモンの濃度が8.05wt%以上、100wt%未満の範囲、つまり、Ag−Sb系合金平衡状態図におけるα固溶体相の領域以外の範囲の銀アンチモン合金粒子であることを確認した。また、実施例において得られた銀アンチモン合金粒子中の銀とアンチモンとの割合(モル比)が、Ag−Sb系合金平衡状態図におけるα固溶体相の銀とアンチモンの割合(モル比)である分析点や、銀が100%あるいはアンチモンが100%である分析点は検出されなかった。
図46に実施例D1において得られた銀アンチモン合金粒子のTEM像を、図47に実施例D2において得られた銀アンチモン合金粒子のSTEM像とSTEM−EDS分析点(4点)を、図48に実施例D3において得られた銀アンチモン合金粒子のTEM像とTEM−EDS分析点(4点)をそれぞれ示す。図51に実施例D1において得られた銀アンチモン合金粒子の低倍率におけるTEM像を示す。
また、図49に図47に示した各分析点にて分析したEDS分析結果を示す。実施例で得られた銀アンチモン合金粒子は、STEM−EDS分析を用いた直径0.2nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、分析点の50%以上で、銀とアンチモンとのモル比が、ICP分析によって得られた銀とアンチモンとのモル比の±30%以内で検出された。図49のEDS分析結果は、実施例D2で作製された銀アンチモン合金粒子の一例であるが、EDS分析を行った10個の銀アンチモン合金粒子それぞれにおいて、4つの分析点の50%以上で、STEM−EDS分析における銀とアンチモンとのモル比が、ICP分析によって得られた銀とアンチモンとのモル比の±30%以内で検出された。また、表17に示す他の実施例で同様のSTEM−EDS分析を行った結果、いくつかの分析点でのSTEM−EDS分析における銀とアンチモンとのモル比の値が、各実施例のICP分析によって得られた銀とアンチモンとのモル比の値に対して最大±30%である分析点が存在した。
また、図50に図48に示した各分析点にて測定したEDS分析結果を示す。本発明に係る銀アンチモン合金粒子は、TEM−EDS分析を用いた直径5nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、分析点の50%以上で、銀とアンチモンとのモル比が、ICP分析結果によって得られた銀とアンチモンとのモル比の±30%以内で検出された。図50のEDS分析結果は、実施例D3で作製された銀アンチモン合金粒子の一例であるが、EDS分析を行った10個の銀アンチモン合金粒子それぞれにおいて、4つの分析点の50%以上で、TEM−EDS分析における銀とアンチモンとのモル比が、ICP分析によって得られた銀とアンチモンとのモル比の±30%以内で検出された。また、表17に示す他の実施例で同様のTEM−EDS分析を行った結果、いくつかの分析点でのTEM−EDS分析における銀とアンチモンとのモル比の値が、各実施例のICP分析によって得られた銀とアンチモンとのモル比に対して最大±30%である点が存在した。
図52に実施例D3において得られた銀アンチモン合金粒子のSTEM−HAADF像(A)及びEDSマッピング結果((B):Ag、(C):Sb)を示す。EDSマッピングを用いた分析において、銀とアンチモンとが一つの粒子において明らかに偏析している様子などは見られなかった。
また、実施例において得られた全ての銀アンチモン合金粒子のXRD測定において、金属間化合物由来のピークは確認されなかった。
次に、実施例D3において得られた銀アンチモン合金粒子のSTEM像を図53((A)HAADF像、(B)BF(明視野)像)に示す(倍率は、1200万倍)。図53(A)(B)に示されたように、銀アンチモン合金粒子に格子縞が観察され、その格子縞がうねっている様子が確認された。また、銀アンチモン粒子に関する他の実施例(実施例D1、D2及び実施例D4〜実施例D10)においても、同様の格子縞が確認された。
銀とアンチモンとがそれぞれ単独で結晶子を構成している場合には、それら結晶子の粒界が見られ、その粒界において不整合としてうねりが見られる場合もある。しかし、実施例D3の銀アンチモン合金粒子に観測されたうねりは、結晶子内において観測されたものであり、銀とアンチモンとが固溶体化することによって、それらの原子半径の差異により結晶格子が歪むことによるうねりと考えられる。加えて、実施例D3の銀アンチモン合金粒子の粉末X線回折測定結果においても、銀のみまたはアンチモンのみの結晶性の回折や金属間化合物由来の回折は見られないため、図53(A)(B)のSTEM像に見られたうねりが銀とアンチモンとが固溶していることを裏付けるものと考える。
以上の結果より、実施例D1〜D10によって得られた銀アンチモン合金粒子が共晶体及び金属間化合物を含まない固溶体銀アンチモン合金粒子であることがわかった。
以上より、本発明に係る銀アンチモン合金は、TEM−EDS分析及びSTEM−EDS分析、XRD測定の結果から、共晶体及び金属間化合物を含まない非共晶構造である銀アンチモン合金粒子が作製されていることを確認した。また、図46〜図48に示すTEM像より、銀アンチモン合金粒子に格子縞が観察され、図53(A)(B)に示すようにその格子縞がうねっている様子が確認されたことから、銀アンチモン合金粒子が固溶体、特に置換型固溶体合金粒子であることが分かった。
1 第1処理用面
2 第2処理用面
10 第1処理用部
11 第1ホルダ
20 第2処理用部
21 第2ホルダ
d1 第1導入部
d2 第2導入部
d20 開口部

Claims (6)

  1. 銀とニッケル又は銀と銅の、2種類の金属からなる固体の合金の粒子であって、
    上記合金の粒子は、上記2種類の金属の共晶体を含まない非共晶構造を65容量%以上含むものであり、
    上記合金の平衡状態図で、非固溶体状態を示す固相の特定領域中の室温下において、
    上記2種類の金属が固溶体を形成しているものであり
    上記2種類の金属の混在状態は、上記合金の粒子に対して、TEM−EDS分析を用いた直径5nmのビーム径による微小分析またはSTEM−EDS分析を用いた直径0.2nmのビーム径による微小分析における、上記合金の粒子中の上記2種類の金属のモル比の分析を行った結果、分析点の50%以上で検出された、上記2種類の金属のそれぞれのモル比の値が、上記合金の粒子のICP分析結果によって得られた上記2種類の金属のそれぞれのモル比の値の±30%以内となる混在状態であり、
    上記合金の粒子は、粒子径が50nm以下の粒子であることを特徴とする金属合金粒子。
  2. 銀と銅と錫の、3種類の金属からなる固体の合金の粒子であって、
    上記合金の粒子は、上記3種類の金属の共晶体を含まない非共晶構造を65容量%以上含むものであり、
    上記合金の平衡状態図で、非固溶体状態を示す固相の特定領域中の室温下において、
    上記3種類の金属が固溶体を形成しているものであり
    上記3種類の金属の混在状態は、上記合金の粒子に対して、TEM−EDS分析を用いた直径5nmのビーム径による微小分析における、上記合金の粒子中の上記3種類の金属のモル比の分析を行った結果、分析点の50%以上で検出された、上記3種類の金属のそれぞれのモル比の値が、上記合金の粒子のICP分析結果によって得られた上記3種類の金属のそれぞれのモル比の値の±30%以内となる混在状態であり、
    上記合金の粒子は、粒子径が50nm以下の粒子であることを特徴とする金属合金粒子。
  3. 銀とアンチモンの、2種類の金属からなる固体の合金の粒子であって、
    上記合金の粒子が、上記2種類の金属の共晶体及び金属間化合物を含まない非共晶構造を65容量%以上含むものであり、
    上記合金の平衡状態図で、非固溶体状態を示す固相の特定領域中の室温下において、
    上記2種類の金属が固溶体を形成しているものであり
    上記2種類の金属の混在状態は、上記合金の粒子に対して、TEM−EDS分析を用いた直径5nmのビーム径による微小分析またはSTEM−EDS分析を用いた直径0.2nmのビーム径による微小分析における、上記合金の粒子中の上記2種類の金属のモル比の分析を行った結果、分析点の50%以上で検出された、上記2種類の金属のそれぞれのモル比の値が、上記合金の粒子のICP分析結果によって得られた上記2種類の金属のそれぞれのモル比の値の±30%以内となる混在状態であり、
    上記合金の粒子は、粒子径が50nm以下の粒子であることを特徴とする金属合金粒子。
  4. 上記金属合金粒子が、上記2種類又は3種類の金属の置換型固溶体であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の金属合金粒子。
  5. 上記金属合金粒子は、TEM−EDS分析を用いた直径5nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、すべての分析点で、上記2種類又は3種類の金属が共に検出されることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の金属合金粒子。
  6. 上記金属合金粒子は、STEM−EDS分析を用いた直径0.2nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、すべての分析点で、上記2種類又は3種類の金属が共に検出されることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の金属合金粒子。
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