JP6388415B2 - 固体金ニッケル合金ナノ粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明は、固体金ニッケル合金ナノ粒子であって、上記固体金ニッケル合金ナノ粒子を、STEM-EDS分析を用いた直径0.2nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、分析点の50%以上で、金とニッケルとのモル比が、上記固体金ニッケル合金ナノ粒子のICP分析結果によって得られた金とニッケルとのモル比の±30%以内で検出されるものとして実施できる。
また、本発明は、金ニッケル合金に含まれるニッケルの濃度が2.0wt%から92.7wt%の範囲である固体金ニッケル合金ナノ粒子であり、上記固体金ニッケル合金ナノ粒子が金とニッケルとがナノレベルの微細な混在状態を示す金ニッケル合金を主体とするものとして実施できる。
また、本発明は、上記還元性を有する物質は、少なくとも2種類の還元性を有する物質であってもよい。
また、本発明は、上記少なくとも2種類の還元性を有する物質は、還元剤、還元性を示す分散剤、還元性を示す溶媒の群から選択される少なくとも1種であってもよく、上記還元剤として、ヒドラジン一水和物を例示できる。
また、本発明は、被処理流動体として第1、第2の、少なくとも2種類の流体を用いるものであり、上記第1の流体には、金イオンとニッケルイオンとを含むものであり、上記第1の流体と上記第2の流体のうちの少なくとも何れか一方の流体には、還元性を有する物質を含むものであり、上記の被処理流動体を上記薄膜流体中で混合するものとして実施してもよい。
また、本発明は、上記還元性を有する物質は少なくとも2種類の還元性を有する物質であり、少なくとも2種類の還元性を有する物質を用いることによって、金とニッケルとを同時に析出させるものとして実施してもよい。すなわち、金ニッケル合金ナノ粒子を構成する金とニッケルの析出時間を実質的に同一となるように制御し、金とニッケルとがそれぞれ単独で析出しないようにすることが望ましく、そのため、少なくとも2種類の還元性を有する物質を用いることによって、金とニッケルとの析出時間を制御して、金とニッケルとを実質的に同時に析出させることが容易となり、金とニッケルとがナノレベルの微細な混在状態を示す金ニッケル合金ナノ粒子として析出させることができる。勿論、1種類の還元性を有する物質を用いた場合にあっても、金とニッケルとがナノレベルの微細な混在状態を示す金ニッケル合金ナノ粒子を得ることは可能である。
また、本発明は、上記少なくとも2種類の還元性物質は、還元剤、還元性を示す分散剤、還元性を示す溶媒の群から選択される少なくとも1種であるものとして実施してもよい。
金ニッケル合金は、液体状態で完全に溶け合っているが、固体状態では一部分固溶し合あう。そのため、金ニッケル合金のモル比(割合)について(a+β)と記載された領域は、α相とβ相の2相に分離した状態であり、極微細なレベルではα相とβ相とは偏在する状態となっている。
これに対して、本発明の金ニッケル合金ナノ粒子にあっては、図4に示す金ニッケル合金の平衡状態図において、α+βの領域にあっても、合金を構成する金とニッケルとがナノレベルの微細な混在状態を示すものである。
本発明に係る固体金ニッケル合金ナノ粒子は、粒子径が500nm以下の金ニッケル合金ナノ粒子であり、好ましく100nm以下の金ニッケル合金ナノ粒子であり、さらに好ましくは50nm以下の金ニッケル合金ナノ粒子である。
EDS分析の数については特に限定されないが、3箇所以上が好ましく、より好ましくは10箇所以上、さらに好ましくは25箇所以上が好ましい。
本発明における金ニッケル合金ナノ粒子に含まれる金とニッケルの割合(モル比)については特に限定されない。金のモル比の方が高い金ニッケル合金ナノ粒子でも良いし、ニッケルのモル比の方が高い金ニッケル合金ナノ粒子でも良い。また、本出願においては、上記金ニッケル合金ナノ粒子に含まれる金とニッケルのモル比に関係なく、金とニッケルとを含む合金を金ニッケル合金と記載し、その金ニッケル合金のナノ粒子を金ニッケル合金ナノ粒子と記載する。
本発明における金ニッケル合金ナノ粒子は、上記の通り、その粒子径が500nm以下であることが好ましい。より好ましくは、粒子径が100nm以下の金ニッケル合金ナノ粒子であり、さらに好ましくは50nm以下の金ニッケル合金ナノ粒子である。その理由は、ナノメートルサイズの粒子が、量子サイズ効果によって低融点化・低温焼結性といった特異的物性を示すためである。例えば、近年のナノテクノロジーの進展とともに塗布焼成のプロセスによってもプラスチック基板上に回路形成できる材料として、ナノ粒子を用いた電子回路形成用の導電性ペースト等が必要とされており、上記特異的物性によってその要求を満足できることなどが挙げられる。本発明においては、各図に示した金ニッケル合金を含め、得られる金ニッケル合金全てにおいて、その粒子径が500nm以下であり、100nm以下並びに50nm以下の金ニッケル合金ナノ粒子もあった。
本発明に係る金ニッケル合金ナノ粒子の製造方法としては、特に限定されない。金及びニッケルの化合物を熱分解する方法でも良いし、金及びニッケルのイオンを還元する方法でも良いが、金イオン及びニッケルイオンを含む流体と、還元剤を含む流体とを混合し、金ニッケル合金ナノ粒子を析出させる金ニッケル合金ナノ粒子の製造方法であることが好ましい。また、金イオンを含む流体と、ニッケルイオンを含む流体と、還元剤を含む流体とを混合し、金ニッケル合金ナノ粒子を析出させる金ニッケル合金ナノ粒子の製造方法であってもよい。上記還元剤を含む流体として、還元剤を少なくとも1種類含む第1還元剤流体と、第1還元剤流体に用いられた還元剤とは異なる還元剤を少なくとも1種類含む第2還元剤流体との2種類の流体を用いてもよい。
上記金イオン及びニッケルイオンを含む流体、または金イオンを含む流体とニッケルイオンを含む流体としては、特に限定されないが、金イオン及びニッケルイオンを含む溶液、または金イオンを含む溶液とニッケルイオンを含む溶液が好ましい。作製方法としては金またはニッケルの金属単体を塩酸や硝酸、王水などに溶解する方法や、金またはニッケルの化合物を溶媒に溶解させる方法などが挙げられる。また、金単体及び/または金化合物と、ニッケル単体及び/またはニッケル化合物とを一度に溶媒に溶解して金イオン及びニッケルイオンを含む流体を作製してもよいし、金単体及び/または金化合物を溶媒に溶解した金溶液と、ニッケル単体及び/またはニッケル化合物を溶媒に溶解したニッケル溶液とを混合して金イオン及びニッケルイオンを含む流体を作製してもよい。
上記の金またはニッケルの化合物としては、特に限定されないが、一例として金またはニッケルの塩、酸化物、窒化物、炭化物、錯体、有機塩、有機錯体、有機化合物などが挙げられる。金またはニッケルの塩としては、特に限定されないが、硝酸塩や亜硝酸塩、硫酸塩や亜硫酸塩、蟻酸塩や酢酸塩、リン酸塩や亜リン酸塩、次亜リン酸塩や塩化物、オキシ塩やアセチルアセトナート塩などが挙げられる。その他の化合物としては金またはニッケルのアルコキシドが挙げられる。
上記の金単体及び/または金化合物、及び/又は、ニッケル単体及び/またはニッケル化合物を溶媒に混合、好ましくは溶解(または分子分散)して、金イオン及びニッケルイオンを含む流体、または金イオンを含む流体とニッケルイオンを含む流体を作製することができる。また、上記金単体及び/または金化合物、及び/又は、ニッケル単体及び/またはニッケル化合物は、目的によって単数、または複数を選択して実施できる。上記金単体及び/または金化合物、及び/又は、ニッケル単体及び/またはニッケル化合物を溶解させるための溶媒としては、例えば、水や有機溶媒、またはそれらの複数からなる混合溶媒が挙げられる。前記水としては、水道水やイオン交換水、純水や超純水、RO水などが挙げられ、有機溶媒としては、アルコール化合物溶媒、アミド化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、二硫化炭素、脂肪族化合物溶媒、ニトリル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒、ハロゲン化合物溶媒、エステル化合物溶媒、イオン性液体、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物などが挙げられる。上記の溶媒はそれぞれ単独で使用しても良く、または複数以上を混合して使用しても良い。
その他、上記溶媒に塩基性物質または酸性物質を混合または溶解しても実施できる。塩基性物質としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの金属水酸化物、ナトリウムメトキシドやナトリウムイソプロポキシドのような金属アルコキシド、さらにトリエチルアミンやジエチルアミノエタノール、ジエチルアミンなどのアミン系化合物などが挙げられる。酸性物質としては、王水、塩酸、硝酸、発煙硝酸、硫酸、発煙硫酸などの無機酸や、ギ酸、酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸などの有機酸が挙げられる。これらの塩基性物質または酸性物質は、上記の通り各種溶媒と混合しても実施できるし、それぞれ単独でも使用できる。
上記の溶媒についてさらに詳しく説明すると、アルコール化合物溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノールなどが挙げられ、さらにn−ブタノールなどの直鎖アルコール、2−ブタノール、tert−ブタノール等の分枝状アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の多価アルコールや、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。ケトン化合物溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。エーテル化合物溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。芳香族化合物溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンが挙げられる。脂肪族化合物溶媒としては、例えば、ヘキサンなどが挙げられる。ニトリル化合物溶媒としては、例えば、アセトニトリルなどが挙げられる。スルホキシド化合物溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキド、ヘキサメチレンスルホキシド、スルホランなどが挙げられる。ハロゲン化合物溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロエチレン、ヨードホルムなどが挙げられる。エステル化合物溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、2−(1−メトキシ)プロピルアセテートなどが挙げられる。イオン性液体としては、例えば、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムとPF6 −(ヘキサフルオロリン酸イオン)との塩などが挙げられる。アミド化合物溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどが挙げられる。カルボン酸化合物としては、例えば、2,2−ジクロロプロピオン酸、スクアリン酸などが挙げられる。スルホン酸化合物としては、例えば、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、クロロスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などが挙げられる。
上記還元剤としては、特に限定されないが、金及び/またはニッケルのイオンを還元することができる還元剤の全てが使用可能である。一例を挙げると、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウムなどのヒドリド系還元剤や、ホルマリンやアセトアルデヒド等のアルデヒド類、亜硫酸塩類、蟻酸、蓚酸、コハク酸、アスコルビン酸等のカルボン酸類あるいはラクトン類、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、オクタノール等の脂肪族モノアルコール類、ターピネオール等の脂環族モノアルコール類等のモノアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等の脂肪族ジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル類、ジエタノールアミンやモノエタノールアミン等のアルカノールアミン類、ハイドロキノン、レゾルシノール、アミノフェノール、ブドウ糖、あるいはクエン酸ナトリウム、次亜塩素酸またはその塩、遷移金属のイオン(チタンや鉄のイオンなど)や、ヒドラジン類や、トリエチルアミンやトリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、オクチルアミン、ジメチルアミノボランなどのアミン類、ピロリドン類(ポリビニルピロリドン、1−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン、メチルピロリドン)などが挙げられる。
本発明においては、上記還元剤のうちの少なくとも1種類を使用する。また、上記還元剤のうち2種類以上を使用すると、金とニッケルの還元速度、または金とニッケルの析出時間を制御できる可能性がある。上記の還元剤としては、ヒドラジン類を用いることが好ましい。ヒドラジン類としては、特に限定されないが、ヒドラジン、ヒドラジン一水和物、炭酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジニウム、フェニルヒドラジン、1-メチル-1-フェニルヒドラジン、1,1-ジフェニルヒドラジン塩酸塩などが挙げられる。
上述の通り、還元剤を2種類以上用いることによって、金とニッケルの還元速度、または金とニッケルの析出時間を制御できる可能性がある。そのメカニズムとしては、特に限定されないが、異なる特性の金とニッケル、特に標準電極電位の異なる金とニッケル(Ni2++2e⇔Ni:−0.228E○/V、Au++e⇔Au:+1.68E○/Vまたは[AuCl4] −+3e⇔Au+4Cl−:1.002E○/V、または[AuCl2]−+e⇔Au+2Cl−:1.154E○/V)を、1種類の還元剤で還元させようと試みた場合には、より還元されやすい貴な金属である金が、ニッケルよりも先に還元、析出されやすく、金とニッケルが単独、または不均一な合金として析出しやすいが、還元剤を2種類以上用いることによって、ニッケルの還元、析出を早めるか、もしくは金の還元、析出を遅らせるか、もしくはその両方の効果によって、金とニッケルを同時に析出させることができるためと考えられる。
また、上記のうち、モノアルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、オクタノール、ターピネオール等)や脂肪族ジオール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等)、多価アルコール類(グリセリン、トリメチロールプロパン等)などは溶媒としても用いることができ、他の還元剤と併用することができる。さらにまた、上記のうち、ピロリドン類(ポリビニルピロリドン、1−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン、メチルピロリドン)や、アミン類(特にオクチルアミン)については、分散剤としての作用も果たすものであり、これらを他の還元剤と併用することができる。このように、還元剤と、他の作用を果たす還元性を有する物質とを併用して、金のイオンとニッケルのイオンを略同時に還元できるように、調製してもよい。その際、溶媒や分散剤としても作用する還元性を有する物質については、還元剤を含む流体のみならず、金イオン及びニッケルイオンを含む流体、金イオンを含む流体とニッケルイオンを含む流体に配合することもできる。
上記還元剤を含む流体は、上記の還元剤を含むものであり、上記の還元剤が液体の状態、または溶媒に混合され、溶解または分子分散された状態であることが好ましい。上記溶媒については特に限定されない。上述した溶媒を目的に応じて用いることが可能である。上記の還元剤を含む流体には、分散液やスラリーなどの状態のものも含んでも実施できる。
また、上記還元剤を含む流体としては、上述のように、2種類以上の還元剤を含む流体を用いてもよく、上記還元剤を含む流体として、還元剤を少なくとも1種類含む第1還元剤流体と、第1還元剤流体に用いられた還元剤とは異なる還元剤を少なくとも1種類含む第2還元剤流体との2種類の流体を用いてもよい。
本発明における各流体のpHについては特に限定されない。目的とする金ニッケル合金ナノ粒子における金とニッケルのモル比や粒子径、または結晶性などによって適宜変更することが可能である。例えば、金及びニッケルのイオンを含む流体または金イオンを含む流体とニッケルのイオンを含む流体、及び還元剤を含む流体のpH調整については、各流体に上記の酸性物質または塩基性物質を含んでも実施できるし、用いる金またはニッケルの化合物の種類や還元剤の種類、またそれらの濃度によって変更することも可能である。さらに、上記金イオン及びニッケルイオンを含む流体または金イオンを含む流体とニッケルのイオンを含む流体と還元剤を含む流体とを混合し、金ニッケル合金ナノ粒子を析出させた後の流体のpHについても特に限定されない。
本発明における各流体の温度については特に限定されない。本発明における各流体のpHと同様に、目的とする金ニッケルナノ合金粒子における金とニッケルのモル比や粒子径、または結晶性などによって適宜変更することが可能である。
また、本発明においては、目的や必要に応じて各種分散剤や界面活性剤を用いる事ができる。特に限定されないが、界面活性剤及び分散剤としては一般的に用いられる様々な市販品や、製品または新規に合成したものなどを使用できる。一例として、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤や、各種ポリマーなどの分散剤などを挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。分散剤の中には還元性を示すものがあり、その一例としてポリビニルピロリドンやn−オクチルアミン等が挙げられる。
上記の界面活性剤及び分散剤は、上記金イオン及びニッケルイオンを含む流体もしくは金イオンを含む流体とニッケルのイオンを含む流体、または還元剤を含む流体、またはその両方に含まれていてもよい。また、上記の界面活性剤及び分散剤は、金イオン及びニッケルイオンを含む流体とも金イオンを含む流体とニッケルのイオンを含む流体とも還元剤を含む流体とも異なる第3の流体に含まれていてもよい。特に分散性の向上のために、上記分散剤などは、予め上記の還元剤を含む流体、または金とニッケルのイオンを含む流体もしくは金イオンを含む流体とニッケルのイオンを含む流体の少なくとも何れか一方に導入しておくことが好ましい。
本発明においては、上記金イオン及びニッケルイオンを含む流体と、還元剤を含む流体とを、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面の間にできる、薄膜流体中で混合し、金ニッケル合金ナノ粒子を析出させることが好ましく、本出願人の出願である、特許文献3、4に記載された流体処理装置を用いて混合し、金ニッケル合金ナノ粒子を析出させることが好ましい。以下、図面を用いて上記流体処理装置の実施の形態について説明する。
図1〜図3に示す流体処理装置は、特許文献3、4に記載の装置と同様であり、接近・離反可能な少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する処理用部における処理用面の間で被処理物を処理するものであって、被処理流動体のうちの第1の被処理流動体である第1流体を処理用面間に導入し、前記第1流体を導入した流路とは独立し、処理用面間に通じる開口部を備えた別の流路から被処理流動体のうちの第2の被処理流動体である第2流体を処理用面間に導入して処理用面間で上記第1流体と第2流体を混合・攪拌して処理を行う装置である。なお、図1においてUは上方を、Sは下方をそれぞれ示しているが、本発明において上下前後左右は相対的な位置関係を示すに止まり、絶対的な位置を特定するものではない。図2(A)、図3(B)においてRは回転方向を示している。図3(B)においてCは遠心力方向(半径方向)を示している。
この鏡面研磨の面粗度は、特に限定されないが、好ましくはRa0.01〜1.0μm、より好ましくはRa0.03〜0.3μmとする。
このように、3次元的に変位可能に保持するフローティング機構によって、第2処理用部20を保持することが望ましい。
P=P1×(K−k)+Ps
なお、図示は省略するが、近接用調整面24を離反用調整面23よりも広い面積を持ったものとして実施することも可能である。
この凹部13の先端と第1処理用面1の外周面との間には、凹部13のない平坦面16が設けられている。
なお、本願の実施例それぞれの電子顕微鏡(TEM、STEM)観察において、明らかな格子欠陥は確認されなかった。
さらに、第1、第2流体等の被処理流動体の温度を制御したり、第1流体と第2流体等との温度差(即ち、供給する各被処理流動体の温度差)を制御することもできる。供給する各被処理流動体の温度や温度差を制御するために、各被処理流動体の温度(処理装置、より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前の温度)を測定し、処理用面1,2間に導入される各被処理流動体の加熱又は冷却を行う機構を付加して実施することも可能である。
TEM−EDS分析による、金ニッケル合金ナノ粒子中の金とニッケルの定量には、エネルギー分散型X線分析装置、JED−2300(JEOL製)を備えた、透過型電子顕微鏡、JEM−2100(JEOL製)を用いた。直径5nmのビーム径を用いて分析し、金ニッケル合金ナノ粒子中の金とニッケルとのモル比を算出した。具体的には、得られた金ニッケル合金ナノ粒子10個それぞれに図7に示す5つの分析点を設け、各分析点にて金とニッケルとのモル比を算出し、その平均値を用いた。
なお、使用した透過型電子顕微鏡で金ニッケル合金ナノ粒子に照射する電子線の加速電圧は数百kV程度までの任意の設定が可能である。
STEM−EDS分析による、金ニッケル合金ナノ粒子中の金とニッケルの元素マッピング及び定量には、r−TEM EDS検出器(アメテック社製)を備えた高分解能分析電子顕微鏡、Titan80−300(FEI社製)、または、エネルギー分散型X線分析装置、Centurio(JEOL製)を備えた、原子分解能分析電子顕微鏡、JEM−ARM200F(UHR)(JEOL製)を用いた。直径0.2nmのビーム径を用いて分析し、金ニッケル合金ナノ粒子中の金とニッケルとのモル比を算出した。具体的には、得られた金ニッケル合金ナノ粒子10個それぞれに図6に示す4つの分析点を設け、各分析点にて金とニッケルとのモル比を算出し、その平均値を用いた。
なお、使用したこれら電子顕微鏡で金ニッケル合金ナノ粒子に照射する電子線の加速電圧は数百kV程度までの任意の設定が可能である。
誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)による、金ニッケル合金ナノ粒子中の乾燥粉体中に含まれる金とニッケルの定量には、島津製作所製のICP8100を用いた。
2 第2処理用面
10 第1処理用部
11 第1ホルダ
20 第2処理用部
21 第2ホルダ
d1 第1導入部
d2 第2導入部
d20 開口部
Claims (11)
- 固体金ニッケル合金ナノ粒子であって、
上記合金ナノ粒子は、上記金とニッケルの共晶体を含まない非共晶構造を50容量%以上含むものであり、
上記金とニッケルの平衡状態図で、非固溶体状態を示す固相の特定領域において、
上記金とニッケルが固溶体を形成し、
上記固体金ニッケル合金ナノ粒子を、TEM-EDS分析を用いた直径5nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、
検出された金(Au)とニッケル(Ni)それぞれの合金全体に対するモル比の値をAu:Ni=Q:Rとし、
上記固体金ニッケル合金ナノ粒子のICP分析結果によって得られた金(Au)とニッケル(Ni)のそれぞれの上記固体金ニッケル合金ナノ粒子全体に対するモル比の値をAu:Ni=Ia:Inとすると、
分析点の50%以上で、
Ia×0.7≦Q≦Ia×1.3
In×0.7≦R≦In×1.3
が成立するQとRとなる混在状態であることを特徴とする金ニッケル合金ナノ粒子。 - 固体金ニッケル合金ナノ粒子であって、
上記合金ナノ粒子は、上記金とニッケルの共晶体を含まない非共晶構造を50容量%以上含むものであり、
上記金とニッケルの平衡状態図で、非固溶体状態を示す固相の特定領域において、
上記金とニッケルが固溶体を形成し、
上記固体金ニッケル合金ナノ粒子を、STEM-EDS分析を用いた直径0.2nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、
検出された金(Au)とニッケル(Ni)それぞれの合金全体に対するモル比の値をAu:Ni=S:Tとし、
上記固体金ニッケル合金ナノ粒子のICP分析結果によって得られた金(Au)とニッケル(Ni)のそれぞれの上記固体金ニッケル合金ナノ粒子全体に対するモル比の値をAu:Ni=Ia:Inとすると、
分析点の50%以上で、
Ia×0.7≦S≦Ia×1.3
In×0.7≦T≦In×1.3
が成立するSとTとなる混在状態であることを特徴とする金ニッケル合金ナノ粒子。 - 金ニッケル合金に含まれるニッケルの濃度が2.0wt%から92.7wt%の範囲である固体金ニッケル合金ナノ粒子であることを特徴とする、請求項1または2に記載の金ニッケル合金ナノ粒子。
- 上記固溶体が置換型固溶体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金ニッケル合金ナノ粒子。
- 上記金ニッケル合金ナノ粒子は、粒子径が500nm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金ニッケル合金ナノ粒子。
- 上記金ニッケル合金ナノ粒子は、粒子径が100nm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の金ニッケル合金ナノ粒子。
- 固体金ニッケル合金ナノ粒子であって、
上記固体金ニッケル合金ナノ粒子を、TEM-EDS分析を用いた直径5nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、
検出された金(Au)とニッケル(Ni)それぞれの合金全体に対するモル比の値をAu:Ni=Q:Rとし、
上記固体金ニッケル合金ナノ粒子のICP分析結果によって得られた金(Au)とニッケル(Ni)のそれぞれの上記固体金ニッケル合金ナノ粒子全体に対するモル比の値をAu:Ni=Ia:Inとすると、
分析点の50%以上で、
Ia×0.7≦Q≦Ia×1.3
In×0.7≦R≦In×1.3
が成立するQとRとなる混在状態である金ニッケル合金ナノ粒子を生成させる方法であって、
接近・離反可能、且つ相対的に変位する処理用面の間に被処理流動体を供給し、
当該被処理流動体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力とを含む接近方向への力と離反方向への力とのバランスによって処理用面間の距離を微小間隔に維持し、
この微小間隔に維持された少なくとも2つの処理用面間を被処理流動体の流路とすることによって、被処理流動体が薄膜流体を形成し、
この薄膜流体中において上記金ニッケル合金ナノ粒子の析出を行うものであり、
被処理流動体として第1、第2の、少なくとも2種類の流体を用いるものであり、
上記第1の流体には、金イオンとニッケルイオンを含むものであり、
上記第1の流体と第2の流体のうち少なくとも何れか一方の流体には、少なくとも2種類の還元性を有する物質を含むものであり、
上記の被処理流動体を上記薄膜流体中で混合するものであり、
上記少なくとも2種類の還元性を有する物質を用いることによって、金とニッケルの析出時間を制御して、上記金ニッケル合金ナノ粒子を得ることを特徴とする金ニッケル合金ナノ粒子の製造方法。 - 固体金ニッケル合金ナノ粒子であって、
上記固体金ニッケル合金ナノ粒子を、STEM-EDS分析を用いた直径0.2nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、
検出された金(Au)とニッケル(Ni)それぞれの合金全体に対するモル比の値をAu:Ni=S:Tとし、
上記固体金ニッケル合金ナノ粒子のICP分析結果によって得られた金(Au)とニッケル(Ni)のそれぞれの上記固体金ニッケル合金ナノ粒子全体に対するモル比の値をAu:Ni=Ia:Inとすると、
分析点の50%以上で、
Ia×0.7≦S≦Ia×1.3
In×0.7≦T≦In×1.3
が成立するSとTとなる混在状態である金ニッケル合金ナノ粒子を生成させる方法であって、
接近・離反可能、且つ相対的に変位する処理用面の間に被処理流動体を供給し、
当該被処理流動体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力とを含む接近方向への力と離反方向への力とのバランスによって処理用面間の距離を微小間隔に維持し、
この微小間隔に維持された少なくとも2つの処理用面間を被処理流動体の流路とすることによって、被処理流動体が薄膜流体を形成し、
この薄膜流体中において上記金ニッケル合金ナノ粒子の析出を行うものであり、
被処理流動体として第1、第2の、少なくとも2種類の流体を用いるものであり、
上記第1の流体には、金イオンとニッケルイオンとを含むものであり、
上記第1の流体と上記第2の流体のうちの少なくとも何れか一方の流体には、少なくとも2種類の還元性を有する物質を含むものであり、
上記の被処理流動体を上記薄膜流体中で混合するものであり、
上記少なくとも2種類の還元性を有する物質を用いることによって、金とニッケルの析出時間を制御して、上記金ニッケル合金ナノ粒子を得ることを特徴とする金ニッケル合金ナノ粒子の製造方法。 - 接近・離反可能、且つ相対的に変位する処理用面の間に、第1、第2の、少なくとも2種類の流体を含む被処理流動体を供給し、
当該被処理流動体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力とを含む接近方向への力と離反方向への力とのバランスによって処理用面間の距離を微小間隔に維持し、
この微小間隔に維持された少なくとも2つの処理用面間を被処理流動体の流路とすることによって、被処理流動体が薄膜流体を形成し、
この薄膜流体中において、金イオン、ニッケルイオン及び還元性を有する物質を混合して、金ニッケル合金ナノ粒子の析出を行い、金ニッケル合金ナノ粒子を生成させる金ニッケル合金ナノ粒子の製造方法において、
金イオン及びニッケルイオンは上記第1の流体に含まれているか、又は、金イオン及びニッケルイオンは上記第2の流体に含まれているものであり、
上記還元性を有する物質は、少なくとも2種類の還元性を有する物質であり、
上記少なくとも2種類の還元性を有する物質を用いることによって、金とニッケルの析出時間を制御して、上記金ニッケル合金ナノ粒子を得るものであり、
上記金ニッケル合金ナノ粒子は固体金ニッケル合金ナノ粒子であって、
上記固体金ニッケル合金ナノ粒子を、TEM-EDS分析を用いた直径5nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、
検出された金(Au)とニッケル(Ni)それぞれの合金全体に対するモル比の値をAu:Ni=Q:Rとし、
上記固体金ニッケル合金ナノ粒子のICP分析結果によって得られた金(Au)とニッケル(Ni)のそれぞれの上記固体金ニッケル合金ナノ粒子全体に対するモル比の値をAu:Ni=Ia:Inとすると、
分析点の50%以上で、
Ia×0.7≦Q≦Ia×1.3
In×0.7≦R≦In×1.3
が成立するQとRとなる混在状態であることを特徴とする金ニッケル合金ナノ粒子の製造方法。 - 接近・離反可能、且つ相対的に変位する処理用面の間に、第1、第2の、少なくとも2種類の流体を含む被処理流動体を供給し、
当該被処理流動体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力とを含む接近方向への力と離反方向への力とのバランスによって処理用面間の距離を微小間隔に維持し、
この微小間隔に維持された少なくとも2つの処理用面間を被処理流動体の流路とすることによって、被処理流動体が薄膜流体を形成し、
この薄膜流体中において、金イオン、ニッケルイオン及び還元性を有する物質を混合して、金ニッケル合金ナノ粒子の析出を行い、金ニッケル合金ナノ粒子を生成させる金ニッケル合金ナノ粒子の製造方法において、
金イオン及びニッケルイオンは上記第1の流体に含まれているか、又は、金イオン及びニッケルイオンは上記第2の流体に含まれているものであり、
上記還元性を有する物質は、少なくとも2種類の還元性を有する物質であり、
上記少なくとも2種類の還元性を有する物質を用いることによって、金とニッケルの析出時間を制御して、上記金ニッケル合金ナノ粒子を得るものであり、
上記金ニッケル合金ナノ粒子は固体金ニッケル合金ナノ粒子であって、
上記固体金ニッケル合金ナノ粒子を、STEM-EDS分析を用いた直径0.2nmのビーム径による微小範囲分析を行った結果、
検出された金(Au)とニッケル(Ni)それぞれの合金全体に対するモル比の値をAu:Ni=S:Tとし、
上記固体金ニッケル合金ナノ粒子のICP分析結果によって得られた金(Au)とニッケル(Ni)のそれぞれの上記固体金ニッケル合金ナノ粒子全体に対するモル比の値をAu:Ni=Ia:Inとすると、
分析点の50%以上で、
Ia×0.7≦S≦Ia×1.3
In×0.7≦T≦In×1.3
が成立するSとTとなる混在状態であることを特徴とする金ニッケル合金ナノ粒子の製造方法。 - 上記少なくとも2種類の還元性を有する物質は、還元剤、還元性を示す分散剤、還元性を示す溶媒の群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の金ニッケル合金ナノ粒子の製造方法。
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