JP2004084048A - 電解合成用の陰極 - Google Patents

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Keiko Mitome
三留 圭子
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Abstract

【解決課題】電解合成用の陰極において、効率的な電解が可能であり、電解時間を短縮できる新たな電極を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、電解合成の際の陰極側溶液に浸漬し、前記陰極側溶液を電解する陰極において、少なくとも接液面がAg−Sb合金より形成されてなることを特徴とする電解合成用の陰極である。この電極の好ましい態様は、銀等の導電性材料からなる基材と、少なくとも接液面を被覆するAg−Sb合金層とからなるものであり、Ag−Sb合金のSb含有量は、0.01〜10重量%とするのが好ましい。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の化合物の合成方法の一つである電解合成法において、陰極側溶液に浸漬され、陰極側溶液を電解する陰極に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より各種の化合物を合成製造する方法として、電解合成法が知られている。例えば、ビタミン保護剤や染髪剤の原料として用いられるL−システインは、L−シスチンを含む電解質を電解して還元することにより製造されている。また、フェノール、ナフトール等のフェノール類化合物の製造方法として、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族化合物を電解質中で電解することにより芳香族化合物と酸素とを反応させる方法もある。
【0003】
図1は、電解合成法によるL−システインの製造装置10について図示するものである。図1では、イオン交換膜11により隔たれた陽極室12と陰極室13とを有する電解槽10が用いられる。L−システインの製造においては、陰極室にL−シスチンの塩酸溶液14を、陽極室に硫酸溶液15を充填し、陽極16及び陰極17により所定の電位、電流密度で電解することで、陰極室13中のL−シスチンは還元されてL−システインとなる。そして、電解終了後陰極室13から液回収してL−システインを回収、精製するのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この電解合成法による化合物製造工程は、基本的にバッチ処理により行なわれ、原料電解液の充填、電解、液回収を1バッチとしてこれが繰り返し行なわれている。従って、目的とする化合物を効率的に製造するためには、1回あたりの電解時間を如何に短縮することができるかによる。しかし、電解時間の短縮を図るとしても、単純に電解条件を操作したところでその目的が十分達成できるものではない。例えば、電流密度、電解電位を上昇させることは反応速度を上昇させることができると考えられるが、場合によっては電解液の温度上昇による電解液組成の分解が生じることも考えられるし、また、電流密度、電解電位を上昇させることにより電解工程のコスト上昇を招くことが予想される。
【0005】
そこで、電解時間の短縮の一手法として、電解装置の改良、特に、電極材質の変更が考えられる。ここで、電解合成法において使用される電極としては各種有り、特に陽極について完成度の高いものが数多く知られている。従って、陽極室において電解合成が行われる場合においてはさほど問題はない。一方、例えば、上記したL−システインの電解合成は、陰極において合成反応が行われており、その電極(陰極)としては、従来から銀電極が用いられており、陰極についてもいくつかの種類が知られているものの、改良の余地がまだ多く、これまでより効率的な電解が可能なものが求められてきた。
【0006】
本発明は以上のような背景の下になされたものであり、電解合成用の陰極において、電解時間の短縮が可能とすべく、改良された新たな電極を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
電解合成では、陰極室において、通常、目的化合物の生成反応(例えば、L−システインの製造の場合にはL−シスチンの還元反応が該当する。以下、この目的化合物の生成反応を主反応という)が支配的である。そして、電解の進行に伴い原料化合物濃度は減少するが、より速やかに電解(主反応)を完了するためには、原料化合物濃度が減少する中で、如何に主反応が支配的である状態を維持するかにある。しかし、実際には原料化合物の濃度が減少すると、水素発生反応(水素イオンの還元反応)が生じ、これが支配的となり主反応の進行を阻害し、その結果、目的とする化合物の合成が遅れることとなる。
【0008】
ここで、水素発生反応の生じやすさは、電極の水素過電圧と密接に関連し、水素過電圧が大きい電極においては水素発生反応が生じ難くなる(以上及び以下において、水素過電圧とは、特に断らない限りその絶対値を意味するものである)。
【0009】
従って、主反応の支配的状態を維持し、より短時間で電解を完了させるためには、水素過電圧の大きい電極を適用し、水素発生反応が生じないようにすることが必要である。そこで、本発明者等は、水素過電圧の大きい電極を見出すべく鋭意検討を行ない、銀合金の1つであるAg−Sb合金を見出した。
【0010】
即ち、本発明は、原料化合物を含有する溶液に浸漬し、前記溶液を電解する電解合成用の陰極において、少なくとも接液面がAg−Sb合金よりなることを特徴とする電解合成用の陰極である。
【0011】
本発明に係る陰極は、上記した銀電極と比べて水素過電圧が大きい。具体的には、銀電極と比較すると約50mV大きい値を示すことが確認されている。従って、本発明に係る陰極によれば、電解合成の際により容易に水素発生を抑制しつつ電解が可能であり、短時間で目的化合物の製造が可能である。また、本発明に係る陰極は、銀系の合金であり、基本的に電気導電性が良好であることから、ロスの少ない電解が可能である。
【0012】
そして、Ag−Sb合金のSb濃度としては、0.01〜10重量%のものを適用するのが好ましい。0.01重量%未満のSb含有量では、水素過電圧を好ましいものとすることができず効果がないからである一方で、10重量%以上Sbを含有すると、電解液中にSbが溶出するおそれがあり、合成する化合物を汚染する可能性があるからである。
【0013】
ここで、本発明に係る陰極においては、電解液と接触する面がAg−Sb合金により構成されていれば良い。水素過電圧の問題は電解質と電極表面との界面における問題だからである。従って、陰極全体をAg−Sb合金により構成しても良いが、電極の構造を2層構造とし導電材料からなる基材とこの基材の接液面についてAg−Sb合金からなる被覆層とから構成しても良い。
【0014】
また、後者のように電極の構造を2層構造とする場合は、基材となる導電材料としては、銀が好ましい。導電性及びAg−Sb合金との密着性に加えて、原料溶液に対してある程度の耐食性を有するものであり、Ag−Sb合金層の局所的な剥離が生じても電極を摩耗させることなく電解を継続することができるからである。更に、Ag−Sb合金層の厚さとしては、1〜200μmの範囲とするのが好ましい。合金層があまりに薄いと電極の寿命が短期間となるからであるが、200μm以上の厚い合金層を形成するのは困難であり、板状の合金を製造するのと同じであるからである。この合金層の厚さのより好ましい範囲としては10〜100μmである。
【0015】
そして、Ag−Sb層を有する2層構造の陰極の製造において、基材上にAg−Sb層を形成する方法としては、めっき法によるのが好ましい。合金層の形成が容易であり、密着性も十分なものが得られるからである。そして、めっき法によるAg−Sb層の形成においては、Ag、Sbの金属塩を含む合金めっき液によるのが好ましい。この際のAg−Sb層の形成においては、市販のめっき液が使用できるが、合金層の厚さ、組成(Sb)濃度は、めっき時の電流密度により調整可能である。めっき時の好ましい電流密度としては、めっき液の種類にもよるが、全般的に1.0〜2.0A/dmの範囲でめっきを行うと膜厚、組成の調整が行い易くなる。
【0016】
本発明に係る陰極は、各種電解合成に対して適用可能であるが、L−システインの合成に特に効果的である。ここで、L−システインの合成方法においては、陰極室の溶液として、L−シスチンを0.5〜1.5mol/dm含む塩酸溶液が用いられ、電解条件としては、電圧2〜5V、電流密度0.1〜30A/dmとして電解する。また、液温は20〜50℃の範囲で電解するのが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を比較例と共に説明する。
【0018】
第1実施形態:ここでは、まず小型の板状の銀にAg−Sb合金をめっきして電極とし、この電極の水素過電圧を測定することとした。寸法10×10mm、厚さ0.5mmの銀板に合金めっき液によりめっきを行なった。使用したメッキ液は、市販の銀メッキ液(商品名:SILVREX400、日本エレクトロプレイティング エンジニヤース(株)製)を用いた。また、めっき条件は、以下のようにした。
【0019】
めっき条件
電流密度:1.5A/dm
液温:室温
めっき時間:40min
【0020】
めっき後のAg−Sb合金層の組成はSbが1.3重量%であった。また、Ag−Sb合金層の厚さは38μmであった。
【0021】
そして、この電極について水素過電圧の測定を行った。水素過電圧の測定は、3電極法により行い以下の条件にて行った。
【0022】
電解液:10重量%塩酸
電解液温度:30℃
陰極面積:1.0cm2
参照電極:銀/塩化銀電極
対極:白金めっきチタン電極
【0023】
この水素過電圧測定試験により、本実施形態に係る陰極の水素過電圧は−473mV(vs.銀/塩化銀電極)であった。これに対し、めっきをしない銀電極について同様の方法で水素過電圧を測定したところ、−427mV(vs.銀/塩化銀電極)であった。従って、本実施形態に係る陰極は銀電極と比較して水素過電圧が約50mV大きいことが確認された。
【0024】
第2実施形態:本実施形態では、L−システインの電解合成を行うべく、Ag−Sb合金層を表面に形成した陰極を製造し、電解合成を行いその効率の向上を確認した。ここでの電極のサイズは、90×100mmであるが、これはこの寸法の銀板に、第1実施形態と同様の条件にてAg−Sb合金層をめっきしたものである。
【0025】
そして、この電極を用いて図1と同様の装置にてL−システインの電解合成を行った。ここでは、陰極室に1mol/dmのL−シスチン溶液と2mol/dm塩酸との混合液を原料用液として充填し、陽極室には1mol/dmの硫酸溶液を充填した。また、陽極には白金めっきチタン電極を用いた。電解条件は、電流密度50mA/dm、電圧3.0Vとした。そして、電解の終了は陰極室の溶液中のL−システインの濃度を逐次分析し、十分なL−システインが回収されていたときに電解の終了とした。
【0026】
この方法により電解を行った所、従来の電極を用いたときよりも約2割短い時間でL−システインの回収率が95%を超えた。従って、本実施形態の電極の適用により電解時間の短縮を図ることができることが確認された。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る陰極は水素過電圧が従来のものよりも大きく、電解進行により溶液の希薄に伴い生じる水素発生を抑制し主反応の支配的状態を維持させることができる。これにより短時間で目的の化合物を電解合成することができ、その効率的製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】L−システインの電解合成のための一般的な装置を概略示す図。
【符号の説明】
10 電解槽
11 イオン交換膜
12 陽極室
13 陰極室
14 L−シスチン塩酸溶液
15 硝酸溶液
16 陽極
17 陰極

Claims (6)

  1. 電解合成の際の陰極側溶液に浸漬し、前記陰極側溶液を電解する陰極において、
    少なくとも接液面がAg−Sb合金より形成されてなることを特徴とする電解合成用の陰極。
  2. Ag−Sb合金のSb含有量は、0.01〜10重量%である請求項1記載の電解合成用の陰極。
  3. 導電性材料からなる基材と、少なくとも接液面を被覆するAg−Sb合金層とからなる請求項1又は請求項2記載の電解合成用の陰極。
  4. 基材を構成する導電性材料は銀である請求項3記載の電解合成用の陰極。
  5. Ag−Sb合金層の厚さは1〜200μmである請求項3又は請求項4記載の電解合成用の陰極。
  6. Ag−Sb合金層は、めっき法により形成されたものである請求項3〜請求項5記載の電解合成用の陰極。
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