JP6403816B2 - 磁性キャリア、二成分系現像剤、補給用現像剤、及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
これらの諸要求を満たすキャリア粒子として高速化、連続化によってもトナーを壊すことのない比重2.0〜5.0程度の軽量の複合体粒子が広く使用されている。
キャリア粒子の特性向上の要求はとどまることがなく、特にフルカラー画像の高画質化を達成するためには、小粒径のトナーに対して磁性キャリアとしての帯電性に優れていることが要求される。
すなわち、トナーに対して均一な帯電量を与え、かつ、長時間の使用によっても帯電量が変化せず、また、環境の変化によっても帯電量が変化しないことが重要である。このような諸特性を満たす磁性キャリアは、さらに耐久性に優れていることも強く要求される。
従来、磁性キャリアの耐久性を向上させるために、(1)磁性芯材粒子表面をアミノシランカップリング剤で処理し、さらに樹脂を被覆した磁性キャリアがある(特許文献1、2、3、4、及び5参照)。
しかしながら、耐久性が優れている磁性キャリアは、現在最も要求が高く、さらなる耐久性の向上が望まれている。
また、軽量の複合体粒子を形成するために、磁性キャリアコア粒子は、磁性体成分及び樹脂成分から構成されるものが一般的である。製法の容易さや安価である樹脂成分を使用することで起こる懸念の一つに、帯電の環境による影響が挙げられる。
このような中で、磁性キャリア粒子の水分吸着量を規定した例がある(特許文献6、7、及び8参照)。これにより、磁性キャリア粒子の水分吸着量を抑制することができるが、さらなる改善が必要である。
また、該磁性キャリアを含有する二成分系現像剤、及び該磁性キャリアを含有する補給
用現像剤を提供するものである。
さらに、該二成分系現像剤又は補給用現像剤を用いた画像形成方法を提供するものである。
該中間層は、アミノ基を有する化合物を含有し、
該樹脂被覆層は、脂環式の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーの重合体である被覆用樹脂Aを含有し、
該中間層中の該アミノ基を有する化合物の含有量が、該フェライト系芯材粒子100質量部に対して、0.010質量部以上0.090質量部以下であり、
該磁性キャリア粒子中の該樹脂被覆層の含有量が、該フェライト系芯材粒子及び該中間層の合計質量100質量部に対して、0.5質量部以上5.0質量部以下、であり、
該樹脂被覆層は、
(i)脂環式の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも含むモノマーの重合体であり、酸価が0.0mgKOH/g以上3.0mgKOH/g以下の被覆用樹脂A、及び、
(ii)(メタ)アクリル酸を含むモノマーの重合体であり、酸価が3.5mgKOH/g以上50.0mgKOH/g以下の被覆用樹脂B
を含有することを特徴とする磁性キャリアである。
(2)本発明は、上記磁性キャリア及びトナーを含有する二成分系現像剤である。
(3)本発明は、上記磁性キャリア及びトナーを含有する補給用現像剤である。
(4)本発明は、上記二成分系現像剤又は補給用現像剤を用いた画像形成方法である。
本発明の磁性キャリアは、フェライト系芯材粒子、該フェライト系芯材粒子上の中間層、及び該中間層上の樹脂被覆層を有する磁性キャリア粒子を有する磁性キャリアであって、
該中間層は、アミノ基を有する化合物を含有し、
該樹脂被覆層は、脂環式の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーの重合体である被覆用樹脂Aを含有し、
該中間層中の該アミノ基を有する化合物の含有量が、該フェライト系芯材粒子100質量部に対して、0.010質量部以上0.090質量部以下であり、
該磁性キャリア粒子中の該樹脂被覆層の含有量が、該フェライト系芯材粒子及び該中間層の合計質量100質量部に対して、0.5質量部以上5.0質量部以下である、ことを特徴とする。
以下、上記フェライト系芯材粒子及び上記中間層を合わせて「フェライト系芯材」とも表記する。また、上記アミノ基を有する化合物を「アミノ基を有するプライマー化合物」又は「プライマー化合物」とも表記する。
しかし、常温低湿環境下での帯電能は向上するが、高温高湿環境下での帯電能向上は見られず、環境の違いにより画像濃度の差が拡大するという課題があった。
また、フッ素含有アクリル樹脂や、シリコーン樹脂の場合、フェライト系芯材との間にプライマー層(中間層)として使用しても、思うような帯電能向上効果は得られなかった。
しかし、環境変動や連続出力など、過酷な使用条件で複写機を使用し続けた場合、被覆樹脂の削れや剥がれなどが発生し、画像品質に支障をきたすことがあった。これはフッ素含有アクリル樹脂や、シリコーン樹脂が硬くて脆い性質であるが故であった。
こういった中で、アクリル系樹脂やポリエステル系樹脂を被覆樹脂として用いることが行われている例がある。フッ素含有アクリル樹脂やシリコーン樹脂に比べ、硬さはないが脆さもなく、樹脂の削れや剥がれが起きにくく、フェライト系芯材を被覆し易い特徴がある。
本発明の磁性キャリアは、フェライト系芯材、及び該フェライト系芯材の表面に存在する樹脂被覆層を有する磁性キャリアであって、該フェライト系芯材は、磁性を有するフェライト系芯材粒子、及びアミノ基を有するプライマー化合物を含有する。
また、該樹脂被覆層は、脂環式の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも含むモノマーの重合体である被覆用樹脂を含有する。
該構成を採用することで、本発明の磁性キャリアは、常温低湿環境下での帯電能は必要以上に向上させずに高温高湿環境下での帯電能を向上させることができた。
これは、プライマー化合物のアミノ基の一部が、高湿環境下の水分でアンモニウムイオン化し、磁性キャリアのポジ帯電能を向上させているものと推察する。
一方、低湿環境下では、アミノ基がアンモニウムイオン化しにくく、帯電能は必要以上に向上しない。
鋭意検討の結果、その効果を最大限に発揮する被覆用樹脂は、脂環式の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーの重合体であることを、本発明者らは見出した。ここで、(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを意味する。
これについて詳細は定かではないが、本発明者らは以下のように考える。脂環式の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、通常の(メタ)アクリル酸エステルに対して極性が低く撥水性が高い。ゆえにプライマー化合物を有するフェライト系芯材上に本発明に係る被覆用樹脂を被覆すると、極性の低い脂環式の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル部分は、磁性キャリア表層に配向し易くなる。
よりも内側に取り込まれた水分は、キャリアから放出されにくいため、プライマー化合物のアミノ基の効果で、高湿環境下でのポジ帯電能を向上させているものと考える。
一方、キャリア表層の脂環式の炭化水素基は、大気中の水分の出入りを低減させるため、湿度による電荷緩和を低減し、高温高湿環境下放置前後での画像濃度の変化を低減できるものと考える。
実際の検証では、フッ素含有アクリル樹脂やシリコーン樹脂では水分を通さないため、また、ポリエステル樹脂や、脂環式の炭化水素基を有さないアクリル樹脂では、水分の出入りが多過ぎるため、本発明の効果は得られなかった。
脂環式の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも含むモノマーの重合体(被覆用樹脂A)は、フェライト系芯材表面に被覆された樹脂層の塗膜面を平滑にする。その結果、磁性キャリアに対するトナー由来成分の付着を抑制し、帯電能低下を抑える働きがある。
また、本発明では、水分の吸脱着頻度を低減する効果も有しており、高湿環境下において特徴的にプライマー化合物の帯電付与効果を向上させることが可能となる。また、放置による帯電能緩和も低減することができ、高温高湿環境下放置前後での画像濃度差を低減させることができる。
さらに、樹脂被覆層が該被覆用樹脂Aを含有しない場合、樹脂被覆層の劣化が起こり、ハーフトーンの濃度再現性が低下する。
また、被覆用樹脂Aには、上記脂環式の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル以外の、その他の(メタ)アクリル系モノマーをモノマーとして用い、共重合体としてもよい。
その他の(メタ)アクリル系モノマーとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル(n−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチル又はtert−ブチル。以下同様)、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸又はメタクリル酸などが挙げられる。
脂環式の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル(モノマー)は、被覆用樹脂Aの全モノマーを100質量部としたとき、50.0質量部以上95.0質量部以下(より好ましくは50.0質量部以上90.0質量部以下)で含有されていることが、本発明に係るプライマー化合物との相乗効果を得やすいという点で好ましい。
本発明に用いられる被覆用樹脂Aの重量平均分子量(Mw)は、被覆の安定性の点から、20,000以上、120,000以下であることが好ましく、30,000以上、100,000以下であることがより好ましい。
プライマー化合物の量は、多過ぎても少な過ぎても、帯電能の制御が難しい。したがって、環境の違いによる画像濃度差や、高温高湿環境下放置前後の画像濃度差を低減させるには、適切な量でなければならない。
該プライマー化合物は、フェライト系芯材粒子表面に反応、固着させることが好ましい。これにより、より長期的に安定した磁性キャリアを得ることができる。
フェライト系芯材粒子の表面部分にプライマー化合物を反応、固着させる方法としては、例えば、フェライト系芯材粒子と、プライマー化合物とを加熱しながら攪拌する方法などが挙げられる。
一般的に、磁性を有するフェライト系芯材粒子のヒドロキシ基と上記プライマー化合物が反応することで固着することが知られている。これまで上記化合物をプライマーとして使用する例は多数みられるが、過剰である場合が多いため、プライマーとしての効果は高いが、高温高湿環境下のみの帯電能を向上させたり、高温高湿環境下放置前後での帯電能を維持させることが困難であった。
該樹脂被覆層の含有量は、多過ぎても少な過ぎても、帯電能の制御が難しく、環境の違いによる画像濃度差や、高温高湿環境下放置前後の画像濃度差を低減させるには、適切な量でなければならない。
樹脂被覆層にマクロモノマーを使用しない場合に比べ、環境の違いによる画像濃度差や高温高湿環境下放置前後の画像濃度差の低減により効果があり、さらに画像濃度の安定性も向上する。
該マクロモノマーを生成し得るモノマーとしては、その他の(メタ)アクリル系モノマーとして前述したモノマーに加え、スチレン、アクリロニトリル、又はメタクリロニトリルなどを用いることができる。
また、マクロモノマーは、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル(n−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチル又はtert−ブチル)、メタクリル酸ブチル(n−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチル又はtert−ブチル)、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、スチレン、アクリロニトリル、及びメタクリロニトリルからなる群より選ばれる1種又は2種以上のモノマーの重合体であることが好ましい。
00以下であり、より好ましくは3,000以上8,000以下である。
マクロモノマーの含有量は、被覆用樹脂Aの全モノマーを100質量部としたとき、5.0質量部以上50.0質量部未満であることが好ましく、5.0質量部以上40.0質量部以下であることがより好ましい。
本発明では、i)脂環式の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル(モノマー)、並びに、必要に応じてその他の(メタ)アクリル系モノマー及びマクロモノマーを含むモノマーの(共)重合体(被覆用樹脂A)と、ii)特定の酸価を有する被覆用樹脂Bと、をブレンドして使用することも可能である。なお、被覆用樹脂Bは、少なくとも前記その他の(メタ)アクリル系モノマーを含むモノマーの重合体であることが好ましい。
これにより、樹脂被覆層の塗膜強度が向上し、より長期にわたり安定した画像を出力可能であり、環境追従性も向上する。
樹脂被覆層に、被覆用樹脂A及び被覆用樹脂Bを用いる場合、その質量比(A:B)は、9:1〜1:9であることが好ましい。
また、少なくとも前記その他の(メタ)アクリル系モノマーを含むモノマーの重合体を被覆用樹脂Bとした場合、該被覆用樹脂Bの酸価は、3.5mgKOH/g以上50.0mgKOH/g以下であることが好ましく、4.0mgKOH/g以上50.0mgKOH/g以下であることがより好ましく、さらに好ましくは、4.5mgKOH/g以上40.0mgKOH/g以下である。
樹脂被覆層に2種類以上の被覆用樹脂を使用する場合、上記酸価の範囲内であることで、環境の違いによる画像濃度差や高温高湿環境下放置前後の画像濃度差の低減効果が向上する。なお、樹脂の酸価は用いるモノマーによって制御することができる。
被覆用樹脂Bの重量平均分子量(Mw)は、被覆の安定性から、30,000以上、120,000以下であることが好ましく、40,000以上、100,000以下であることがより好ましい。
該樹脂被覆層の最小膜厚が上記範囲にあることで、プライマー化合物の帯電付与能効果を制御しやすくなり、環境の違いによる画像濃度差や高温高湿環境下放置前後の画像濃度差の低減が容易になる。なお、樹脂被覆層の最小膜厚は、被覆樹脂量により制御することができる。
本発明において、前記樹脂被覆層が、アミノ基を有するプライマー化合物を含有していないことが本発明の効果をより顕著に得る上で好ましい。しかし帯電能調整が必要な場合は、少量含有していてもよい。前記樹脂被覆層中の該プライマー化合物の含有量は、0.0質量%以上4.0質量%以下であることが好ましく、0.0質量%以上3.0質量%以下であることがより好ましい。
磁性を有するフェライト系芯材粒子としては、マグネタイト又はフェライトが例示できるが、フェライトが好適に例示できる。
また、フェライト系芯材粒子は、空孔を有する多孔質粒子、及び該空孔に充填されてい
る樹脂を有する粒子であることが、磁性キャリアの比重を低減でき、画像の長期安定性を向上させる上で好ましい。
フェライトは次の一般式で表される焼結体である。
(M12O)x(M2O)y(Fe2O3)z
(式中、M1は1価、M2は2価の金属であり、x+y+z=1.0とした時、x及びyは、それぞれ0≦(x,y)≦0.8であり、zは、0.2<z<1.0である)
また、式中において、M1及びM2としては、Li、Fe、Mn、Mg、Sr、Cu、Zn、Ca、からなる群から選ばれる1種類以上の金属原子を用いることが好ましい。そのほかにも、Ni、Co、Ba、Y、V、Bi、In、Ta、Zr、B、Mo、Na、Sn、Ti、Cr、Al、Si、希土類なども用いることができる。
<工程1(秤量及び混合工程)>
上記フェライトの原料を、秤量し、混合する。
フェライト原料としては、例えば、上記金属元素の金属粒子、又はその酸化物、水酸化物、シュウ酸塩、炭酸塩などが挙げられる。
上記フェライト原料を粉砕及び混合する装置としては、例えば以下のものが挙げられる。ボールミル、遊星ミル、ジェットミル、振動ミル。特にボールミルが混合性の観点から好ましい。
具体的には、ボールミル中に、秤量したフェライト原料、ボールを入れ、0.1時間以上20.0時間以下、粉砕及び混合する。
粉砕及び混合したフェライト原料を、大気中又は窒素雰囲気下で焼成温度700℃以上1200℃以下の範囲で、0.5時間以上5.0時間以下仮焼成し、フェライト化する。焼成には、例えば以下の炉が用いられる。バーナー式焼却炉、ロータリー式焼成炉、電気炉。
<工程3(粉砕工程)>
工程2で作製した仮焼フェライトを粉砕機で粉砕し、仮焼フェライト粉砕品を得る。
粉砕機としては、所望の粒径及び粒度分布が得られれば特に限定されない。
例えば、以下のものがあげられる。クラッシャーやハンマーミル、ボールミル、ビーズミル、遊星ミル、ジェットミル。
仮焼フェライト粉砕品を所望の粒径にするために、例えば、ボールミルやビーズミルでは用いるボールやビーズの素材、粒径、運転時間を制御することが好ましい。具体的には、仮焼フェライト粉砕品の粒径を小さくするためには、比重の重いボールを用いたり、粉砕時間を長くしたりすればよい。また、仮焼フェライト粉砕品の粒度分布を広くするためには、比重の重いボールやビーズを用い、粉砕時間を短くすることで得ることができる。また、粒径の異なる複数の仮焼フェライト粉砕品を混合することでも分布の広い仮焼フェライト粉砕品を得ることができる。
また、ボールミルやビーズミルは、乾式より湿式の方が、粉砕品がミルの中で舞い上がることがなく粉砕効率が高い。このため、乾式より湿式の方がより好ましい。
得られた仮焼フェライト粉砕品に対し、水、バインダーと、必要に応じて、細孔調整剤を加えるとよい。
細孔調整剤としては、発泡剤や樹脂微粒子が挙げられる。発泡剤として、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸アンモニウムが挙げられる。樹脂微粒子として、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチ
レン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体のようなスチレン共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂;脂肪族多価アルコール、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジアルコール類及びジフェノール類から選択されるモノマーを構造単位として有するポリエステル樹脂;ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油樹脂、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂の微粒子が挙げられる。
上記バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコールが用いられる。
工程3において、湿式で粉砕した場合は、仮焼フェライト粉砕品のスラリー(フェライトスラリー)中に含まれている水も考慮し、バインダーと必要に応じて細孔調整剤を加えることが好ましい。
得られたフェライトスラリーを、噴霧乾燥機を用い、100℃以上200℃以下の加温雰囲気下で、乾燥及び造粒する。
噴霧乾燥機としては、所望のフェライト系芯材粒子の粒径が得られれば特に限定されない。例えば、スプレードライヤーが使用できる。
次に、得られた造粒品を800℃以上1500℃以下で1時間以上24時間以下焼成するとよい。
焼成温度を上げたり、焼成時間を長くしたりすることで、フェライト系芯材粒子の焼成が進み、その結果、細孔径は小さく、かつ、細孔の数も減る。焼成温度を上げ、焼成時間を長くすることで、空孔の無いフェライト系芯材を調整することもできる。また、焼成する雰囲気をコントロールすることで、フェライト系芯材粒子の抵抗を好ましい範囲にコントロールすることができる。好ましくは酸素濃度が0.1体積%以下、より好ましくは0.01体積%以下、さらには還元雰囲気(水素存在下)とすることで、フェライト系芯材粒子の300V/cmにおける比抵抗を所望の範囲(1.0×106Ω・cm〜1.0×109Ω・cmが好ましい)にすることができる。
<工程6(選別工程)>
以上の様に焼成した粒子を解砕した後に、必要に応じて、分級や篩で篩分して粗大粒子や微粒子を除去してもよい。
フェライト系芯材粒子の体積分布基準50%粒径(D50)は、18.0μm以上68.0μm以下であることが、画像へのキャリア付着や高画質のため好ましい。
本発明において、フェライト系芯材粒子は、フェライト系芯材粒子の空孔の少なくとも一部に、樹脂が充填された粒子であることが好ましい。
フェライト系芯材粒子は、内部の細孔容積によっては物理的強度が低くなることがあり、磁性キャリアとしての物理的強度を高めるために、フェライト系芯材粒子の空孔の少なくとも一部に樹脂を充填することが好ましい。
フェライト系芯材粒子の空孔に充填される樹脂の量としては、フェライト系芯材粒子100質量部に対して、2質量部以上15質量部以下であることが好ましい。
磁性キャリア毎の樹脂含有量にバラつきが少なければ、内部空孔の一部にのみ樹脂が充填されていても、フェライト系芯材粒子の表面近傍の空孔にのみ樹脂が充填され内部に空孔が残っていても、内部空孔が完全に樹脂で充填されていてもよい。
フェライト系芯材粒子の空孔に、樹脂を充填する方法としては、特に限定されないが、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、及び流動床のような塗布方法により、樹脂と溶剤を混
合した樹脂溶液をフェライト系芯材粒子に含浸させ、その後、溶剤を揮発させる方法が挙げられる。
上記溶剤は、樹脂を溶解できるものであればよい。有機溶剤に可溶な樹脂である場合は、有機溶剤として、トルエン、キシレン、セルソルブブチルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノールが挙げられる。また、水溶性の樹脂又はエマルジョンタイプの樹脂である場合には、溶剤として水を用いればよい。
上記樹脂溶液における樹脂固形分の量は、好ましくは1質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上30質量%以下である。
上記充填する樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のどちらを用いてもかまわない。フェライト系芯材粒子に対する親和性が高いものであることが好ましく、親和性が高い樹脂を用いた場合には、フェライト系芯材粒子の空孔への樹脂の充填時に、同時にフェライト系芯材粒子表面も樹脂で覆うこともできる。
上記充填する樹脂として、熱可塑性樹脂としては、以下のものが挙げられる。ノボラック樹脂、飽和アルキルポリエステル樹脂、ポリアリレート、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。
また、上記熱硬化性樹脂としては、以下のものが挙げられる。フェノール系樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メチルフェニルシリコーンレジン及びメチルシリコーンレジンなどのシリコーン樹脂、などが挙げられる。
粒子の空孔の少なくとも一部に樹脂を充填したフェライト系芯材粒子の真密度は、常温低湿環境下での帯電上昇の防止、環境安定性、及びハーフトーンの濃度再現性の観点から、3.4g/cm3以上4.7g/cm3以下であることが好ましい。
トナーは、トナー粒子と、必要に応じて外添剤を有する。また、トナー粒子は、結着樹脂、並びに、必要に応じて着色剤及び離型剤を含有する。
トナー粒子に用いられる結着樹脂としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中でも、帯電性や定着性の観点から、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。
2種以上の樹脂を混合して、トナー粒子の結着樹脂として用いる場合、分子量の異なる樹脂を混合して用いることが好ましい。
結着樹脂のガラス転移温度は、45℃以上80℃以下であることが好ましく、55℃以上70℃以下であることがより好ましい。
結着樹脂の数平均分子量(Mn)は、2,500以上50,000以下であることが好ましい。
結着樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10,000以上1,000,000以下であることが好ましい。
ポリエステル樹脂の酸価は、90mgKOH/g以下であることが好ましく、50mgKOH/g以下であることがより好ましい。また、ポリエステルの水酸基価は、50mgKOH/g以下であることが好ましく、30mgKOH/g以下であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価が上記範囲であることで、トナーの帯電特性の環
境依存性が小さくなる傾向があるためである。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、50℃以上75℃以下であることが好ましく、55℃以上65℃以下であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、1,500以上50,000以下であることが好ましく、2,000以上20,000以下であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6,000以上100,000以下であることが好ましく、10,000以上90,000以下であることがより好ましい。
より具体的には、四三酸化鉄(Fe3O4)、三二酸化鉄(γ−Fe2O3)、酸化鉄亜鉛(ZnFe2O4)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe5O12)、酸化鉄カドミウム(CdFe2O4)、酸化鉄ガドリニウム(Gd3Fe5O12)、酸化鉄銅(CuFe2O4)、酸化鉄鉛(PbFe12O19)、酸化鉄ニッケル(NiFe2O4)、酸化鉄ネオジム(NdFe2O3)、酸化鉄バリウム(BaFe12O19)、酸化鉄マグネシウム(MgFe2O4)、酸化鉄マンガン(MnFe2O4)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)などが挙げられる。
磁性トナー粒子中の磁性体の含有量は、磁性トナー粒子中の結着樹脂100質量部に対して、20質量部以上150質量部以下であることが好ましく、50質量部以上130質量部以下であることがより好ましい。さらに好ましくは、60質量部以上120質量部以下である。
ブラックトナー用着色剤としては、例えば、カーボンブラック、並びに、下記イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤を用いて黒色に調整したものなどが挙げられる。
具体的には、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、150、163、166、169、177、184、185、202、206、207、209、220、221、238、254、269、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35などの顔料が挙げられる。
ト1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28などの塩基性染料なども挙げられる。
イエロートナー用着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物などの顔料が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74,83、93、95、97,109、110、111、120、127、128、129、147、155、168、174、180、181、185、191、C.I.バットイエロー1、3、20などが挙げられる。
また、イエロートナー用着色剤として、例えば、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、C.I.ソルベントイエロー162などの染料も挙げられる。
トナー粒子中の着色剤の含有量は、トナー粒子中の結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。さらに好ましくは、3質量部以上15質量部以下である。
また、トナー粒子の製造において、結着樹脂にあらかじめ着色剤を混合し、マスターバッチ化させたもの(着色剤マスターバッチ)を用いることが好ましい。そして、この着色剤マスターバッチとその他の原材料(結着樹脂及び離型剤など)とを溶融混練することにより、トナー粒子中に着色剤を良好に分散させることができる。
トナー粒子中の荷電制御剤の含有量は、トナー粒子中の結着樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。0.5質量部以上であれば、より十分な帯電特性が得られる。10質量部以下であれば、他材料との相溶性が低下しにくく、低湿環境下において帯電過剰になりにくい。
トナー粒子を負荷電性に制御する負荷電性制御剤としては、例えば、有機金属錯体、キレート化合物などが挙げられる。具体的には、モノアゾ金属錯体、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属錯体、芳香族ジカルボン酸系の金属錯体などが挙げられる。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノカルボン酸若しくは芳香族ポリカルボン酸、又は、それらの金属塩、それらの無水物、それらのエステル類、あるいは、ビスフェノールのフェノール誘導体類などが挙げられる。
れる。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスなどが挙げられる。
また、離型剤としては、例えば、酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物、カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したものなども挙げられる。
トナー粒子中の離型剤の含有量は、トナー粒子中の結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
また、離型剤の示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の最大吸熱ピーク温度で規定される融点は、65℃以上130℃以下であることが好ましく、80℃以上125℃以下であることがより好ましい。融点が65℃以上であれば、トナーの粘度が低下しにくく、電子写真感光体へのトナー付着が発生しにくくなる。融点が130℃以下であれば、十分な低温定着性が得られる。
結晶性ポリエステルは、炭素数6〜12の脂肪族ジオール及び炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸の縮重合により得られるものが好ましい。該脂肪族ジオール及び脂肪族ジカルボン酸は、飽和のものが好ましく、また直鎖であることが好ましい。なお、結晶性とは、示差走査型熱量計(DSC)による比熱変化測定の可逆比熱変化曲線において、明確な吸熱ピークが観測されることを意味する。
外添剤としては、例えば、フッ化ビニリデン粒子、ポリテトラフルオロエチレン粒子などのフッ素原子含有樹脂粒子、湿式製法シリカ粒子、乾式製法シリカ粒子などのシリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子などの無機粒子が挙げられる。
無機粒子は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルなどにより表面処理を施し、疎水化処理したものが好ましい。具体的には、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が、30以上80以下の範囲の値を示すように処理した無機酸化物粒子が好ましい。
トナーに含まれる外添剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上8質量部以下であることがより好ましい。
本発明の磁性キャリアをトナーと混合して二成分系現像剤として使用する場合、二成分系現像剤中のトナーの含有量(トナー濃度)は、2質量%以上15質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、4質量%以上13質量%以下である。2質量%以上であれば、出力画像の濃度が低下しにくく、15質量%以下であれば、出力画像におけるカブリや画像形成装置内でのトナーの飛散(機内飛散)が発生しにくい。
本発明の磁性キャリアを含む二成分系現像剤は、静電潜像担持体を帯電する帯電工程、該静電潜像担持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程、該静電潜像を二成分系
現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像工程、該トナー像を中間転写体を介して又は介さずに、転写材に転写する転写工程、及び転写された該トナー像を該転写材に定着する定着工程を有する画像形成方法に用いることができる。
また、本発明の磁性キャリアは、該画像形成方法において、該現像器内の二成分系現像剤のトナー濃度の低減に応じて、該現像器に補給される補給用現像剤に用いることができる。該画像形成方法は、現像器内で過剰になった磁性キャリアが必要に応じて現像器から排出される構成を有してもよい。
また、該補給用現像剤は、磁性キャリアと、結着樹脂、必要に応じて着色剤及び離型剤を含有するトナー粒子を有するトナーと、を含有する。
該補給用現像剤は、本発明の磁性キャリア1質量部に対して、トナーを2質量部以上50質量部以下含有する。なお、補給用現像剤は、磁性キャリアを有さず、トナーのみであってもよい。
<画像形成方法>
図1において、静電潜像担持体である電子写真感光体1は、図1中の矢印方向に回転する。電子写真感光体1の表面は、帯電手段である帯電器2により帯電され、帯電した電子写真感光体1の表面には、像露光手段(静電潜像形成手段)である像露光器3により像露光光が照射され、静電潜像が形成される。現像手段である現像器4は、二成分系現像剤を収容する現像容器5を有する。
現像器4中の現像剤担持体6は、回転可能な状態で配置される。現像剤担持体6は、その内部に磁界発生手段としてマグネット7を内包している。マグネット7の少なくとも1つは電子写真感光体1に対して対向の位置になるように設置されている。二成分系現像剤は、マグネット7の磁界により現像剤担持体6上に保持され、規制部材8により、二成分系現像剤量が規制され、電子写真感光体1と対向する現像部に搬送される。現像部においては、マグネット7の発生する磁界により磁気ブラシが形成される。
ここで、図2に示すように、トナー像は、電子写真感光体1から中間転写体9に一旦転写(一次転写)され、その後、記録媒体12へ静電的に転写(二次転写)されてもよい。その後、記録媒体12は、定着手段である定着器13に搬送され、ここで加熱及び加圧されることにより、記録媒体12上にトナーが定着される。その後、記録媒体12は、出力画像として画像形成装置の外へ排出される。転写工程後、電子写真感光体1の表面に残留したトナー(転写残トナー)は、クリーニング手段であるクリーナー15により除去される。その後、クリーナー15により清掃された電子写真感光体1の表面には、前露光手段である前露光器16からの前露光光が照射されることにより、電気的に初期化され、上記画像形成動作が繰り返される。
図2中のKはブラック、Yはイエロー、Cはシアン、Mはマゼンタを意味している。図2において、電子写真感光体1K、1Y、1C、1Mは、図2中矢印方向に回転する。各色用の電子写真感光体1K、1Y、1C、1Mの表面は、それぞれ、帯電手段である帯電器2K、2Y、2C、2Mにより帯電される。帯電した各色用の電子写真感光体1K、1Y、1C、1Mの表面には、それぞれ、像露光手段(静電潜像形成手段)である像露光器3K、3Y、3C、3Mにより像露光光が照射され、静電潜像が形成される。その後、現
像手段である現像器4K、4Y、4C、4Mに具備される現像剤担持体6K、6Y、6C、6M上に担持された二成分系現像剤により、それぞれの静電潜像はトナー像として現像(可視像化)される。トナー像は、一次転写手段である一次転写帯電器10K、10Y、10C、10Mにより中間転写体9に転写(一次転写)される。さらに、トナー像は、二次転写手段である二次転写帯電器11により、記録媒体12に転写(二次転写)される。
その後、記録媒体12は、定着手段である定着器13に搬送され、加熱及び加圧されることにより、記録媒体12上にトナーが定着される。その後、記録媒体12は、出力画像として画像形成装置の外へ排出される。二次転写工程後、中間転写体9のクリーニング手段である中間転写体クリーナー14は、転写残トナーなどを除去する。なお、一次転写工程後、電子写真感光体1K、1Y、1C、1Mの表面に残留したトナーは、クリーニング手段であるクリーナー15K、15Y、15C、15Mにより除去される。
交番電界のピーク間の電圧(Vpp)は、300V以上3000V以下であることが好ましく、500V以上1800V以下であることがより好ましい。また、交播電界の周波数は500Hz以上10000Hz以下であることが好ましく、1000Hz以上7000Hz以下であることがより好ましい。この場合、交番電界を形成するための交流バイアスの波形としては、三角波、矩形波、正弦波、Duty比を変えた波形などが挙げられる。トナー像の形成速度の変化に対応するためには、非連続の交流バイアス電圧を有する現像バイアス電圧(断続的な交番重畳電圧)を現像剤担持体に印加して現像を行うことが好ましい。印加電圧が300V以上であれば、十分な画像濃度が得られやすく、非画像部のカブリトナーを回収しやすくなる。また、3000V以下であれば、磁気ブラシによる静電潜像の乱れが起きにくい。
また、周波数が500Hz以上であれば、通常の画像形成装置(電子写真装置)に用いられる電子写真感光体を用いることができる。電子写真感光体としては、例えば、アルミニウム、SUSなどの導電性の支持体の上に導電層、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層をこの順に設けてなる構成の電子写真感光体が挙げられる。電荷輸送層の上には、必要に応じて、保護層を設けることもできる。
導電層、下引き層、電荷発生層及び電荷輸送層としては、通常、電子写真感光体に採用されるものを採用することができる。
粒度分布などは、レーザー回折・散乱方式の粒度分布測定装置(商品名:マイクロトラックMT3300EX、日機装(株)製)を用いて測定を行った。
磁性キャリアなどの体積平均粒径(D50)の測定には、乾式測定用の試料供給機(商品名:ワンショットドライ型サンプルコンディショナー Turbotrac、日機装(
株)製)を装着して行った。Turbotracの供給条件として、真空源として集塵機を用い、風量33L/秒、圧力17kPaとした。制御は、ソフトウェア上で自動的に行った。粒径は、体積平均の累積値である50%粒径(D50)を求めた。制御及び解析は、付属ソフト(バージョン10.3.3−202D)を用いて行った。測定条件は、以下のとおりである。
Set Zero時間:10秒
測定時間:10秒
測定回数:1回
粒子屈折率:1.81%
粒子形状:非球形
測定上限:1408μm
測定下限:0.243μm
測定環境:温度23℃/湿度50%RH
トナーの重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置(商品名:コールター・カウンター Multisizer 3、ベックマン・コールター社製)、及び、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト(商品名:ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51、ベックマン・コールター社製)を用いた。実効測定チャンネル数は2万5千チャンネルとし、測定データの解析を行い、算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1質量%となるようにしたもの(商品名:ISOTON II、ベックマン・コールター社製)を使用した。
なお、測定及び解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行った。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回とし、Kd値を「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値に設定した。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定した。また、カレントを1600μAに設定し、ゲインを2に設定し、電解液を「ISOTON II」に設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れた。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に設定し、粒径ビンを256粒径ビンに設定し、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定した。
具体的な測定法は、以下のとおりである。
(1)「Multisizer 3」専用のガラス製250mL丸底ビーカーに上記電解水溶液200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで回転速度24回転/秒の条件にて行った。専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておいた。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに上記電解水溶液30mLを入れた。この中に分散剤(商品名:コンタミノンN、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で3倍(質量比)に希釈した希釈液を0.3mL加えた。「コンタミノンN」は、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液である。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器(商品名:Ultrasonic Dispersion System Tetra150、日科機バイオス(株)製)の水槽内にイオン交換水を入れた。この水槽中に「コンタミノンN」を2mL添加した。
(4)上記(2)のビーカーを上記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波
分散器を作動させた。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整した。
(5)上記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー10mgを少量ずつ上記電解水溶液に添加し、分散させた。そして、60秒間超音波分散処理を継続した。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となるように調節した。
(6)サンプルスタンド内に設置した上記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した上記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整した。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行った。
(7)測定データを装置付属の上記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)を算出した。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が、重量平均粒径(D4)である。専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、分析/個数統計値(算術平均)画面の「平均径」が、個数平均粒径(D1)である。
酸価は、試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。すなわち、試料1g中に含有されている遊離脂肪酸及び樹脂酸などを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を酸価という。
本発明において酸価は、JIS K 0070−1992に準じて測定する。具体的には以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mLの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1Lとする。炭酸ガスなどに触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/L塩酸25mLを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/L塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作製されたものを用いる。(2)操作
(A)本試験
試料2.0gを200mLの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を添加しない(すなわち、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)酸価の算出
得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
AV=[(B−A)×f×5.61]/S
ここで、AV:酸価(mgKOH/g)、A:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、B:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
磁性キャリアから樹脂被覆層を分離する方法としては、磁性キャリアをカップに取り、トルエンを用いて被覆用樹脂を溶出させる方法がある。
溶出させた樹脂を、以下の装置を用いて分取する。
[装置構成]
LC−908(日本分析工業株式会社製)
JRS−86(同社;リピートインジェクタ)
JAR−2(同社;オートサンプラー)
FC−201(ギルソン社;フラクッションコレクタ)
[カラム構成]
JAIGEL−1H〜5H(20φ×600mm:分取カラム)(日本分析工業株式会社製)
[測定条件]
温度:40℃
溶媒:THF
流量:5mL/min.
検出器:RI
分取方法は、被覆用樹脂の分子量分布を下記方法で、被覆用樹脂A、被覆用樹脂Bのピーク分子量(Mp)となる溶出時間を予め測定し、その前後でそれぞれの樹脂成分を分取する。その後溶剤を除去し、乾燥させ、被覆用樹脂A、被覆用樹脂Bを得た。なお、樹脂構成は、フーリエ変換赤外分光分析装置(Spectrum One:PerkinElmer社製)を用いて吸光波数から原子団を特定し、被覆用樹脂A、被覆用樹脂Bを特定した。
被覆用樹脂A、被覆用樹脂B、及び被覆用樹脂の重量平均分子量(Mw)及びピーク分子量(Mp)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、以下の手順で測定した。
まず、測定試料は以下のようにして作製した。
試料(磁性キャリアから分離した被覆用樹脂、分取装置で分取した被覆用樹脂A及び被覆用樹脂B)と、テトラヒドロフラン(THF)とを5mg/mLの濃度で混合し、室温にて24時間静置して、試料をTHFに溶解した。その後、サンプル処理フィルター(マイショリディスクH−25−2 東ソー社製、エキクロディスク25CR ゲルマン サイエンスジャパン社製)を通過させたものをGPCの試料とした。
次に、GPC測定装置(HLC−8120GPC 東ソー社製)を用い、前記装置の操作マニュアルに従い、下記の測定条件で測定した。
(測定条件)
装置:高速GPC「HLC8120 GPC」(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液 :THF
流速 :1.0mL/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量 :0.10mL
また、試料の重量平均分子量(Mw)及びピーク分子量(Mp)の算出にあたって、検量線は、標準ポリスチレン樹脂(東ソー社製TSK スタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500)により作成した分子量較正曲線を使用した。
また、含有量比については、分子量分布測定のピーク面積比により求めた。図3のように、領域1と領域2が完全に分かれているものは、それぞれの領域の面積比から、樹脂の含有量比を求めた。図4のように、それぞれの領域が重なる場合は、GPC分子量分布曲
線の変極点から垂直に横軸に降ろした線で分割し、図4に示す領域1と領域2の面積比から含有量比を求めた。
フェライト系芯材粒子の細孔径、細孔容積及び細孔径分布は、水銀圧入法により測定した。
測定原理は、以下の通りである。本測定では、水銀に加える圧力を変化させ、その際の細孔中に浸入した水銀の量を測定する。細孔内に水銀が浸入し得る条件は、圧力P、細孔直径D、水銀の接触角と表面張力をそれぞれθとσとすると、力の釣り合いから、PD=−4σCOSθで表せる。接触角と表面張力を定数とすれば、圧力Pとそのとき水銀が浸入し得る細孔直径Dは反比例することになる。このため、圧力Pとそのときに浸入液量Vを、圧力を変えて測定し得られる、P−V曲線の横軸Pを、そのままこの式から細孔直径に置き換え、細孔分布を求めて、細孔容積を算出した。
測定装置としては、ユアサアイオニクス社製、全自動多機能水銀ポロシメータPoreMasterシリーズ・PoreMaster−GTシリーズや、島津製作所社製、自動ポロシメータオートポアIV 9500 シリーズなどを用いて測定することができる。
具体的には、株式会社 島津製作所社のオートポアIV9520を用いて、下記条件及び手順にて測定を行った。
(測定条件)
測定環境 20℃
測定セル 試料体積 5cm3、圧入体積 1.1cm3、用途 粉体用
測定範囲 2.0psia(13.8kPa)以上、59989.6psia(413.7kPa)以下
測定ステップ 80ステップ
(細孔径を対数で取った時に、等間隔になるようにステップを刻む)
低圧パラメータ 排気圧力 50μmHg、排気時間 5.0min 水銀注入圧力 2.0psia(13.8kPa) 平衡時間 5secs
高圧パラメータ 平衡時間 5secs
水銀パラメータ 前進接触角 130.0degrees 後退接触角 130.0degrees
表面張力 485.0mN/m(485.0dynes/cm)
水銀密度 13.5335g/mL
(測定手順)
(1)フェライト系芯材粒子を、約1.0g秤量し試料セルに入れる。そして、秤量値を入力する。
(2)低圧部で、2.0psia(13.8kPa)以上、45.8psia(315.6kPa)以下の範囲を測定。
(3)高圧部で、45.9psia(316.3kPa)以上、59989.6psia(413.6MPa)以下の範囲を測定。
(4)水銀注入圧力及び水銀注入量から、細孔径分布を算出した。
(2)、(3)、(4)は、装置付属のソフトウエアにて、自動で行った。
上記の様にして計測した細孔径分布から、0.10μm以上3.00μm以下の細孔径の範囲における微分細孔容積が最大となる細孔径を読み取り、それをもって、微分細孔容積が極大となる細孔径(本発明における細孔径)とする。
また、0.1μm以上3.0μm以下の細孔径の範囲における微分細孔容積を積分した細孔容積を、付属のソフトウエアを用いて算出し、細孔容積とした。
比抵抗は、図5に概略される測定装置を用いて測定する。
なお、磁性キャリアは電界強度2000(V/cm)、フェライト系芯材粒子は電界強
度300(V/cm)における比抵抗を測定する。
抵抗測定セルAは、断面積2.4cm2の穴の開いた円筒状容器(PTFE樹脂製)17、下部電極(ステンレス製)18、支持台座(PTFE樹脂製)19、上部電極(ステンレス製)20から構成される。支持台座19上に円筒状容器17を載せ、試料(磁性キャリアなど)21を厚さ約1mmになるように充填し、充填された試料21に上部電極20を載せ、試料の厚みを測定する。図5(a)に示すように、試料のないときの間隙をd1とし、図5(b)に示すように、厚さ約1mmになるように試料を充填したときの間隙をd2とすると、試料の厚みdは下記式で算出される。
d=d2−d1(mm)
この時、試料の厚みdが0.95mm以上1.04mm以下となるように試料の質量を適宜変える。
電極間に直流電圧を印加し、そのときに流れる電流を測定することによって試料の比抵抗を求めることができる。測定には、エレクトロメーター22(ケスレー6517A ケスレー社製)及び制御用に処理コンピュータ23を用いる。
制御用の処理コンピュータにナショナルインスツルメンツ社製の制御系と制御ソフトウエア(LabVEIW ナショナルインスツルメンツ社製)を用いる。
測定条件として、試料と電極との接触面積S=2.4cm2、試料の厚み0.95mm以上1.04mm以下になるように実測した値dを入力する。また、上部電極の荷重270gとする。
比抵抗(Ω・cm)=(印加電圧(V)/測定電流(A))×S(cm2)/d(cm)電界強度(V/cm)=印加電圧(V)/d(cm)
試料の上記電界強度における比抵抗は、グラフ上の上記電界強度における比抵抗をグラフから読み取る。
樹脂被覆層の膜厚は、磁性キャリアの断面を透過電子顕微鏡(TEM)(各50,000倍)で観察し、樹脂被覆層の厚みを計測した。
具体的には、アルゴンイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名E−3500)を用い、磁性キャリアをイオンミリングし、透過電子顕微鏡(TEM)(各50,000倍)にて磁性キャリア断面の樹脂被覆層厚みを任意に10点測定した。
磁性キャリア100点に対して上記と同様の測定を行い、得られた樹脂被覆層の厚みの測定値1000点の中から最小値及び最大値を選出し、最小膜厚(μm)及び最大膜厚(μm)とした。イオンミリング測定条件は下記の通りである。
ビーム径 :400μm(半値幅)
イオンガン加速電圧 :5kV
イオンガン放電電圧 :4kV
イオンガン放電電流 :463μA
イオンガン照射電流量 :90μA/cm3/1min
真密度は、乾式自動密度計オートピクノメータ(ユアサアイオニクス社製)を用いて測定した。
磁化量は、理研電子(株)製の振動磁場型磁気特性自動記録装置BHV−30を用いて、以下の手順で測定する。
円筒状のプラスチック容器に試料を十分に密に充填し、一方で79.6(kA/m)(1000エルステッド) の外部磁場を作り、この状態で容器に充填された試料の磁化モ
ーメントを測定する。さらに、該容器に充填した試料の実際の質量を測定して、試料の磁化の強さ(Am2/kg)を求める。
フェライト系芯材中のプライマー化合物の含有量は、まず、下記樹脂被覆層の含有量の測定のように磁性キャリア粒子から樹脂被覆層を剥がし、次に、樹脂被覆層を剥がしたフェライト系芯材に対し、飛行時間型二次イオン質量分析装置(FIB−TOF−SIMS)を用いて構造を同定する。次に、JIS K 0102 45.1によりフェライト系芯材表面の全窒素量を測定することで、プライマー化合物の含有量を算出する。
A 100mLビーカーを精秤(測定値1)した後、測定対象となる試料(磁性キャリア)約5gを入れ、試料とビーカーとの合計質量を精秤する(測定値2)。
B トルエン約50mLをビーカーに入れ、超音波振盪機で5分間振盪する。
C 振盪終了後数分静置し、ビーカー内の試料を、ネオジム磁石で20回ビーカー底部をなぞる様に攪拌した後、被覆樹脂の溶解したトルエン溶液のみを廃液として流す。
D ビーカー内の試料を外側からネオジム磁石で保持したまま、再度トルエン約50mLをビーカーに入れ、上記B、Cの操作を10回繰り返す。
E 溶媒をクロロホルムに変えてさらに上記B、Cの操作を1回行う。
F ビーカーごと真空乾燥機に投入し、溶媒を乾燥除去させる(真空乾燥機は溶剤トラップのついたものを用い、温度50℃、真空度−0.093Mpa以下、乾燥時間12時間で実施する)。
G 真空乾燥機からビーカーを取り出し、約20分間放置して冷却した後、質量を精秤する(測定値3)。
H 以上のようにして得られた測定値から、下記式にしたがって、樹脂被覆量(質量)を算出する。
樹脂被覆量質量=(試料質量−樹脂被覆層剥離後試料質量)
試料質量は(測定値2−測定値1)を、樹脂被覆剥離後試料質量は(測定値3−測定値1)を、それぞれ計算することで求められる。
上記樹脂被覆層の含有量の測定で剥がした樹脂被覆層の樹脂成分を、FIB−TOF−SIMSにより同定する。樹脂成分に窒素が含まれていない場合は、剥がした樹脂被覆層をJIS K 0102 45.1により、樹脂被覆層中のプライマー化合物の含有量を算出する。
表1に記載の原料を、還流冷却器、温度計、窒素吸い込み管及びすり合わせ方式撹拌装置を配した4ツ口フラスコに入れ、更にトルエン100質量部、メチルエチルケトン100質量部、アゾビスイソバレロニトリル2.4質量部を加え、窒素気流下80℃で10時間保ち、被覆用樹脂A−1溶液(固形分35質量%)を得た。
また、表1に記載の原料を用いて、同様にして被覆用樹脂A−2〜A−13を得た。
なお、被覆用樹脂A−14は、ポリエステル樹脂(ビスフェノールA70モル%、テレフタル酸20モル%、無水トリメリット酸10モル%で構成され、ガラス転移温度は70℃)を用い、被覆用樹脂A−15は、ストレートシリコーン樹脂((株)タナック社製、TSR102)を用いた。物性を表1に示す。
表2に記載の原料を、還流冷却器、温度計、窒素吸い込み管及びすり合わせ方式撹拌装置を配した4ツ口フラスコに入れ、更にトルエン50質量部、メチルエチルケトン100質量部、アゾビスイソバレロニトリル2.4質量部を加え、窒素気流下80℃で10時間保ち、被覆用樹脂B−1溶液(固形分40質量%)を得た。
また、表2に記載の原料を用いて、同様にして被覆用樹脂B−2〜B−5を得た。物性を表2に示す。
表1及び表2に示す被覆用樹脂A及び被覆用樹脂Bを、表3に示す質量部(固形分量)で混合した。続いて樹脂成分の総量100質量部に対してトルエン900質量部を入れて、樹脂成分が十分に溶融するまで混合し、被覆用樹脂溶液1〜33を調製した。
工程1(秤量及び混合工程)
Fe2O3 67.5質量%
MnCO3 29.2質量%
Mg(OH)2 2.0質量%
SrCO3 1.3質量%
上記フェライト原材料を秤量し、フェライト原材料80質量部に水20質量部を加えて粉砕し、スラリーを調製した。スラリーの固形分濃度は、80質量%とした。
工程2(仮焼成工程)
得られたスラリーをスプレードライヤー(大川原化工機社製)により乾燥した後、バッチ式電気炉で、窒素雰囲気下(酸素濃度1.0体積%)、温度1030℃で3.0時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。
工程3(粉砕工程)
得られた仮焼フェライトをクラッシャーで0.5mm程度に粉砕した後に、水を加え、スラリーを調製した。スラリーの固形分濃度を70質量%とした。該スラリーを、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた湿式ボールミルで3時間粉砕し、さらに直径1mmのジルコニアを用いた湿式ビーズミルで4時間粉砕し、体積基準の50%粒子径(D50)が1.3μm仮焼フェライトスラリーを得た。
工程4(造粒工程)
上記仮焼フェライトスラリーに、仮焼フェライト100質量部に対して、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0質量部、バインダーとしてポリビニルアルコール1.5質量部を添加した後、スプレードライヤー(大川原化工機社製)で球状粒子に造粒、乾燥した。得られた造粒物に対して、粒度調整を行った後、ロータリー式電気炉を用いて750℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーなどの有機物を除去した。
工程5(焼成工程)
窒素雰囲気下(酸素濃度1.0体積%)で、室温から焼成温度(1100℃)になるまでの時間を2時間とし、温度1100℃で4時間保持し、焼成した。その後、8時間をかけて温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
工程6(選別工程)
凝集した粒子を解砕した後に、目開き150μmの篩で篩分して粗大粒子を除去、風力分級を行い、微粉を除去し、さらに磁力選鉱により低磁力分を除去してフェライト系芯材粒子を得た。得られたフェライト系芯材粒子は、多孔質状で空孔を有していた。
工程7(充填工程)
得られたフェライト系芯材粒子100質量部を混合撹拌機(ダルトン社製の万能撹拌機NDMV型)の撹拌容器内に入れ、60℃に温度を保ち、2.3kPaまで減圧しながら窒素を導入した。そこにメチルフェニルシリコーンレジン50質量部に対し、トルエン50質量部をマルチブレンダーミキサーで10分間攪拌したものをフェライト系芯材粒子に
滴下した。滴下量はフェライト系芯材粒子100質量部に対して、樹脂成分の固形分として5.0質量部となるように調整した。
滴下終了後2.5時間そのまま撹拌を続けた後、70℃まで温度を上げ、減圧下で溶剤を除去して、フェライト系芯材粒子の粒子内に上記樹脂組成物を充填した。
冷却後、得られたフェライト系芯材粒子を回転可能な混合容器内に、スパイラル羽根を有する混合機(杉山重工業社製のドラムミキサーUD−AT型)に移し、窒素雰囲気下で、2℃/分の昇温速度で、撹拌機の設定温度220℃に昇温した。この温度で1.0時間加熱撹拌を行い、樹脂を硬化させ、さらに1.0時間、200℃を保持しながら撹拌を続けた。
その後室温まで冷却し、樹脂が充填、硬化されたフェライト系芯材粒子を取り出し、磁力選鉱機を用いて、非磁性物を取り除いた。さらに、振動篩にて粗大粒子を取り除き樹脂が充填されたフェライト系芯材粒子1を得た。フェライト系芯材粒子1の体積分布基準の50%粒径(D50)は、37.7μmであった。物性を表4に示す。
フェライト系芯材粒子1の製造例の、工程4〜7の製造条件、及び工程7の充填樹脂種を表4に記載のものに変更すること以外は、フェライト系芯材粒子1の製造例と同様にして、フェライト系芯材粒子2、3を得た。物性を表4に示す。
フェライト系芯材粒子1の製造例の、工程5の焼成条件により、空孔を無くし、工程7を行わなかった以外は、フェライト系芯材粒子1の製造例と同様にして、フェライト系芯材粒子4を得た。物性を表4に示す。
表5に示すフェライト系芯材粒子(表中では、芯材粒子No.1〜4と表記した)100質量部に対し、表5に示すプライマー化合物を、表5に示す質量部になるようにプライマー層(中間層)を形成し、フェライト系芯材1〜33(表中では、芯材No.1〜33と表記した)を製造した。表5に物性を示す。
なお、プライマー層の形成は、芯材粒子100質量部を遊星運動型混合機(ホソカワミクロン社製のナウタミキサVN型)に投入し、スクリュー状の撹拌羽根を、公転を1分間に3.5回転させ、自転を1分間に100回転させながら撹拌し、窒素を流量0.1m3/minでフローさせ、減圧下(75mmHg)になるよう調整した。温度70℃に加熱した後、トルエンで10倍に希釈したプライマー化合物を投入した。20分間塗布操作を行い、その後回転可能な混合容器内にスパイラル羽根を有する混合機(杉山重工業社製のドラムミキサーUD−AT型)に移し、混合容器を1分間に10回転させて撹拌しながら、窒素雰囲気下に温度150℃で2時間熱処理した。
フェライト系芯材1(100.0質量部)、及び、固形分比が10%になるようにトルエンで希釈した被覆用樹脂溶液1を、フェライト系芯材100質量部に対する樹脂被覆層の含有量が表3の「樹脂成分の総量(質量部)」になるように、減圧下(1.5kPa)、温度60℃で維持されている遊星運動型混合機(ホソカワミクロン社製のナウタミキサVN型)に投入した。なお、磁性キャリア7〜8、20〜22、24、及び32においては、フェライト系芯材で使用したプライマー化合物を、樹脂被覆層中のプライマー化合物の含有量が、表6に示す質量%分になるようにプライマー化合物を同時に投入した。
投入の仕方として、まず、フェライト系芯材に対し、1/2の量の樹脂溶液を投入し、30分間溶媒除去及び塗布操作を行った。次いで、さらに1/2の量の樹脂溶液を投入し、30分間溶媒除去及び塗布操作を行った。
その後、被覆樹脂組成物で被覆された磁性キャリアを回転可能な混合容器内にスパイラ
ル羽根を有する混合機(杉山重工業社製のドラムミキサーUD−AT型)に移した。混合容器を1分間に10回転させて撹拌しながら、窒素雰囲気下に温度120℃で2時間熱処理した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口150μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、磁性キャリア1を得た。
フェライト系芯材2〜33に対し、被覆用樹脂溶液2〜33を、それぞれフェライト系芯材100質量部に対する樹脂被覆層の含有量が表3の「樹脂成分の総量(質量部)」になるように用いて、磁性キャリア1と同様にして、磁性キャリア2〜33を得た。得られた磁性キャリア1〜33の各物性値を表6に示す。
・結着樹脂 100質量部
(Tg:58℃、酸価:15mgKOH/g、水酸基価:15mgKOH/gのポリエステル)
・C.I.ピグメントブルー15:3 5.5質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
・ノルマルパラフィンワックス(融点:78℃) 6質量部
上記の処方の材料を、ヘンシェルミキサー(FM−75J型、三井鉱山(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した2軸混練機(商品名:PCM−30型、池貝鉄鋼(株)製)にて10kg/hrのFeed量で混練(吐出時の混練物温度は150℃)した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗砕した後、機械式粉砕機(商品名:T−250、ターボ工業(株)製)にて15kg/hrのFeed量で微粉砕した。そして、重量平均粒径が5.5μmであり、粒径4.0μm以下の粒子を55.6個数%含有し、粒径10.0μm以上の粒子を0.8体積%含有する粒子を得た。
得られた粒子を回転式分級機(商品名:TTSP100、ホソカワミクロン(株)製)にて、微粉及び粗粉をカットする分級を行った。重量平均粒径が6.4μmであり、粒径4.0μm以下の粒子の存在率が25.8個数%、かつ粒径10.0μm以上の粒子の存在率が2.5体積%であるシアントナー粒子1を得た。
さらに、下記材料をヘンシェルミキサー(商品名:FM−75型、日本コークス工業(株)製)に投入し、回転羽根の周速を35.0(m/秒)とし、混合時間3分で混合することにより、シアントナー粒子1の表面に、シリカ粒子と酸化チタン粒子を付着させてシアントナー1を得た。
・シアントナー粒子1: 100質量部
・シリカ粒子: 3.5質量部
(ゾルゲル法で作製したシリカ粒子にヘキサメチルジシラザン1.5質量%で表面処理した後、分級によって所望の粒度分布に調整したもの)
・酸化チタン粒子: 0.5質量部
(アナターゼ形の結晶性を有するメタチタン酸をオクチルシラン化合物で表面処理したもの。)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、1,6−ヘキサンジオール1200部、デカン二酸1200部、触媒としてジブチル錫オキサイド0.4部を入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスで不活性雰囲気とし、機械攪拌により180rpmで4時間攪拌を行った。その後、減圧下で210℃まで徐々に昇温して1.5時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷して反応を停止させ[結晶性ポリエステル樹脂]を得た。
・結着樹脂 90質量部
(Tg:58℃、酸価:15mgKOH/g、水酸基価:15mgKOH/gのポリエステル)
・上記結晶性ポリエステル樹脂 10質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5.5質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
・ノルマルパラフィンワックス(融点:78℃) 6質量部
上記の処方の材料を用いる以外は、シアントナー1の製造例と同様にして、シアントナー2を得た。
90質量部の磁性キャリア1に対して、シアントナー1又はシアントナー2を10質量部加え、振とう機(YS−8D型:(株)ヤヨイ製)にて振とうし、二成分系現像剤300gを調製した。振とう機の振幅条件は200rpm、2分間とした。
この二成分系現像剤を用いて以下の評価を行った。
画像形成装置として、キヤノン(株)製のカラー複写機(商品名:imageRUNNER ADVANCE C9075 PRO)の改造機を用いた。
各色現像器に二成分系現像剤を入れ、補給用現像剤を入れた補給用現像剤容器をセットし、画像を形成し、各種評価を行った。
複写機での環境評価は、温度23℃/湿度50%RH(以下、N/N)、温度23℃/湿度5%RH(以下、N/L)、温度30℃/湿度80%RH(以下、H/H)で行った。
出力画像の種類や出力枚数は、各評価項目によって変更した。
条件:
紙:レーザービームプリンター用紙(商品名:CS−814(81.4g/m2、キヤノンマーケティングジャパン(株)製)
画像形成速度:A4サイズの紙をフルカラーで80枚/分で出力できるように改造した。
現像条件:現像コントラストを任意値で調整可能にし、本体による自動補正が作動しないように改造した。
補給用現像剤容器にはトナーのみを充填したものを、補給用現像剤として使用した。
各評価項目を以下に示す。
シアントナー1を用いて評価した
「N/N」で、各色単色の紙上のベタ画像反射濃度が1.50となるように、現像コントラストを調整し、シアンベタ画像を1000枚出力した。その後N/Nで設定した現像コントラストのまま複写機本体をN/L、H/Hの各環境に24時間放置後、各環境でシアンベタ画像を10枚出力した。
測定は、10枚出力した画像の、1枚目、5枚目、10枚目の画像中の任意の5点の反射濃度を測定してその平均値を求めた。なお、反射濃度は、分光濃度計500シリーズ(X−Rite社製)を使用した。
評価は、N/Nに対するH/Hの反射濃度差の絶対値を評価V、N/Nに対するN/Lの反射濃度差の絶対値を評価Wとした。
評価V、Wの判定基準は以下のとおりである。
A(10点):0.06未満
B(8点) :0.06以上0.10未満
C(6点) :0.10以上0.14未満
D(4点) :0.14以上0.18未満
E(2点) :0.18以上
シアントナー1を用いて評価した。
初期設定で、各パターンを以下に示す濃度に設定した画像を、N/L環境下で、5000枚通紙直後に出力し、初期と5000枚通紙直後の階調性のズレを確認した。画像はX−Riteカラー反射濃度計(Color reflection densitometer X−Rite 404A)によりそれぞれの画像濃度を測定することにより判断した。評価はシアン単色で行った(評価X)。
パターン1:0.10〜0.13
パターン2:0.25〜0.28
パターン3:0.45〜0.48
パターン4:0.65〜0.68
パターン5:0.85〜0.88
パターン6:1.05〜1.08
パターン7:1.25〜1.28
パターン8:1.45〜1.48
判断基準は、以下の通りである。
A(5点):すべてのパターン画像が上記の濃度範囲を満足する
B(4点):一つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる
C(3点):二つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる
D(2点):三つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる
E(1点):四つ以上のパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる
シアントナー2を用いて評価した。
H/H環境下で72時間調湿後、ベタ画像反射濃度が1.50となるように現像コントラストを調整し、ベタ画像を5000枚出力した。その後そのままの状態で放置し、9日後にベタ画像を1枚出力した。分光濃度計500シリーズ(X−Rite社製)により画像濃度を測定し、放置前後の濃度差(放置前の画像濃度−放置後の画像濃度)を評価した(評価Y)。
さらにその後、連続して9枚ベタ白画像を出力し、1枚ベタ画像を出力する工程を繰り返した。この工程の中で、1枚のベタ画像反射濃度が1.50±0.02となるのに要した工程の回数を測定し、判断した(評価Z)。
評価Yの判定基準は以下のとおりである。
A(10点):0.06未満
B(8点) :0.06以上0.10未満
C(6点) :0.10以上0.14未満
D(4点) :0.14以上0.18未満
E(2点) :0.18以上
評価Zの判定基準は以下のとおりである。
A(5点):1工程以上2工程以下
B(4点):3工程以上5工程以下
C(3点):6工程以上8工程以下
D(2点):9工程以上12工程以下
E(1点):13工程以上
上記評価Vから評価Zにおける評価ランクを数値化し、合計値を以下の基準により判定を行った。
A:38以上40以下
B:31以上37以下
C:23以上30以下
D:19以上22以下
E:18以下
なお、実施例1〜22では、それぞれ磁性キャリア1〜22を用い、比較例1〜11では、それぞれ磁性キャリア23〜33を用いた。また、実施例16〜18および22は、それぞれ参考例16〜18および22とする。
実施例6では、芯材粒子の真密度が大きい例であり、N/Lで帯電上昇が起こり易く、環境安定性やハーフトーンの濃度再現性に若干の影響が出やすくなる。評価結果を表7、8に示す。
実施例7では、樹脂被覆層にアミノ基を有するプライマー化合物が少量含まれている例
であり、N/Lでの帯電上昇で、環境安定性や放置前後の画像濃度差に若干の影響が出やすくなる。評価結果を表7、8に示す。
実施例8では被覆層の膜厚がやや薄い例であり、N/Lでの帯電上昇で、環境安定性や放置前後の画像濃度差に若干の影響が出た。実施例9では被覆層の膜厚がやや厚い例であり、アミノ基含有のプライマー化合物の効果が低下する傾向にあり、放置前後の画像濃度差に若干の影響が出やすくなる。評価結果を表7、8に示す。
実施例10〜13では、プライマー化合物の量を変更している。プライマー化合物の量が少ないとH/Hでの帯電低下、多いとN/Lの帯電上昇で環境安定性に影響が出やすくなる。また放置前後の画像濃度差に若干の影響が出やすくなる。評価結果を表7、8に示す。
実施例14〜18では、樹脂被覆層の樹脂を変更している。樹脂にマクロモノマーを使用することで、環境安定性の向上や放置前後の画像濃度差低減効果を高めることができる。また、被覆用樹脂2種使用する場合、酸価の範囲を適正にすることで、耐久時の濃度安定性にも効果がある。評価結果を表7、8に示す。
実施例19では、プライマー化合物を少なく添加した例である。H/Hでの帯電低下で環境安定性に影響が出やすくなる。また放置前後の画像濃度差に影響が出やすくなる。
評価結果を表7、8に示す。
実施例20では、プライマー化合物を多く添加した例である。N/Lの帯電上昇で環境安定性に影響が出やすくなる。また放置前後の画像濃度差に影響が出やすくなる。
評価結果を表7、8に示す。
実施例21では、樹脂被覆量が少ない例であり、N/L、H/Hともに環境安定性や放置前後の画像濃度差に影響が出ている。評価結果を表7、8に示す。
実施例22では、樹脂被覆量が多い例であり、プライマー化合物の効果が得られにくくなり、放置前後の画像濃度差に影響が出やすくなる。評価結果を表7、8に示す。
比較例1では、プライマー処理量が少な過ぎる例であり、プライマー化合物の効果が得られておらず、環境安定性、放置前後の画像濃度差に影響が出ている。評価結果を表7、8に示す。
比較例2では、プライマー処理量が多過ぎる例であり、プライマー化合物の過剰な帯電付与により、環境安定性は低下する。また放置前後の画像濃度差が拡大傾向にある。評価結果を表7、8に示す。
比較例3では、樹脂被覆量が少な過ぎる例であり、N/Lでの帯電上昇で、環境安定性や放置前後の画像濃度差に影響が出ている。評価結果を表7、8に示す。
比較例4では、樹脂被覆量が多い例であり、プライマー化合物の効果が得られにくくなり、放置前後の画像濃度差が拡大した。評価結果を表7、8に示す。
比較例5〜10では、脂環式の炭化水素基を有しない被覆用樹脂を使用した例であり、それぞれ、脂環式炭化水素基特有の表面平滑性が得られず、濃度安定性やハーフトーンの濃度再現性が低下した。また、環境安定性や放置前後の画像濃度差に影響が出ている。評価結果を表7、8に示す。
比較例11では、アミノ基を有しないプライマー化合物を使用した例である。本発明の効果が発揮することなく、環境安定性や放置前後の画像濃度差に影響が出ている。評価結果を表7、8に示す。
Claims (13)
- 磁性を有するフェライト系芯材粒子、該フェライト系芯材粒子上の中間層、及び該中間層上の樹脂被覆層を有する磁性キャリア粒子を有する磁性キャリアであって、
該中間層は、アミノ基を有する化合物を含有し、
該樹脂被覆層は、脂環式の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーの重合体である被覆用樹脂Aを含有し、
該中間層中の該アミノ基を有する化合物の含有量が、該フェライト系芯材粒子100質量部に対して、0.010質量部以上0.090質量部以下であり、
該磁性キャリア粒子中の該樹脂被覆層の含有量が、該フェライト系芯材粒子及び該中間層の合計質量100質量部に対して、0.5質量部以上5.0質量部以下であり、
該樹脂被覆層は、
(i)脂環式の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも含むモノマーの重合体であり、酸価が0.0mgKOH/g以上3.0mgKOH/g以下の被覆用樹脂A、及び、
(ii)(メタ)アクリル酸を含むモノマーの重合体であり、酸価が3.5mgKOH/g以上50.0mgKOH/g以下の被覆用樹脂B
を含有する、
ことを特徴とする磁性キャリア。 - 前記被覆用樹脂Aは、脂環式の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及びマクロモノマーを含むモノマーの共重合体を含有し、
該マクロモノマーは、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、スチレン、アクリロニトリル、及びメタクリロニトリルからなる群より選ばれる1種以上のモノマーの重合体である、請求項1に記載の磁性キャリア。 - 前記中間層中の前記アミノ基を有する化合物の含有量が、前記フェライト系芯材粒子100質量部に対して、0.010質量部以上0.080質量部以下である、請求項1または2に記載の磁性キャリア。
- 前記中間層中の前記アミノ基を有する化合物の含有量が、前記フェライト系芯材粒子1
00質量部に対して、0.010質量部以上0.060質量部以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁性キャリア。 - 前記中間層中の前記アミノ基を有する化合物の含有量が、前記フェライト系芯材粒子100質量部に対して、0.020質量部以上0.080質量部以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁性キャリア。
- 前記樹脂被覆層の最小膜厚が、0.010μm以上4.000μm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁性キャリア。
- 前記樹脂被覆層が、前記アミノ基を有する化合物を含有し、
前記樹脂被覆層中の前記アミノ基を有する化合物の含有量が、4.0質量%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁性キャリア。 - 前記フェライト系芯材粒子が、
空孔を有する多孔質粒子、及び
該空孔に充填されている樹脂
を有する粒子である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁性キャリア。 - 結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーと、磁性キャリアと、を含有する二成分系現像剤であって、
該磁性キャリアが、請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁性キャリアであることを特徴とする二成分系現像剤。 - 前記トナー粒子が、結晶性ポリエステルを含有する、請求項9に記載の二成分系現像剤。
- 静電潜像担持体を帯電する帯電工程、該静電潜像担持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程、該静電潜像を二成分系現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像工程、該トナー像を中間転写体を介して又は介さずに、転写材に転写する転写工程、及び転写された該トナー像を該転写材に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
該二成分系現像剤が、請求項9又は10に記載の二成分系現像剤であることを特徴とする画像形成方法。 - 静電潜像担持体を帯電する帯電工程、該静電潜像担持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程、該静電潜像を現像器内の二成分系現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像工程、該トナー像を中間転写体を介して又は介さずに、転写材に転写する転写工程、転写された該トナー像を該転写材に定着する定着工程を有し、該現像器内の二成分系現像剤のトナー濃度の低減に応じて、補給用現像剤が該現像器に補給される画像形成方法に使用するための補給用現像剤であって、
該補給用現像剤が、磁性キャリアと、結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーと、を含有し、
該補給用現像剤が、該磁性キャリア1質量部に対して、該トナーを2質量部以上50質量部以下で含有し、
該磁性キャリアは、請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁性キャリアであることを特徴とする補給用現像剤。 - 静電潜像担持体を帯電する帯電工程、該静電潜像担持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程、該静電潜像を現像器内の二成分系現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像工程、該トナー像を中間転写体を介して又は介さずに、転写材に転写する転写
工程、転写された該トナー像を該転写材に定着する定着工程を有し、該現像器内の二成分系現像剤のトナー濃度の低減に応じて、補給用現像剤が該現像器に補給される画像形成方法であって、
該補給用現像剤が、磁性キャリアと、結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーと、を含有し、
該補給用現像剤が、該磁性キャリア1質量部に対して、該トナーを2質量部以上50質量部以下で含有し、
該磁性キャリアが、請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁性キャリアであることを特徴とする画像形成方法。
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