JP6914773B2 - 磁性キャリア、二成分系現像剤、補給用現像剤、及び画像形成方法 - Google Patents

磁性キャリア、二成分系現像剤、補給用現像剤、及び画像形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真法を用いて静電荷像を顕像化するための画像形成方法に使用される磁性キャリア、二成分系現像剤、補給用現像剤、及びそれを用いた画像形成方法に関するものである。
従来、電子写真方式の画像形成方法は、静電潜像担持体上に種々の手段を用いて静電潜像を形成し、この静電潜像にトナーを付着させて、静電潜像を現像する方法が一般的である。この現像に際しては、磁性キャリアと呼ばれる担体粒子をトナーと混合し、摩擦帯電させて、トナーに適当量の正又は負の電荷を付与し、その電荷をドライビングフォースとして現像させる二成分現像方式が広く採用されている。
二成分現像方式は、磁性キャリアに対して現像剤の撹拌、搬送、帯電などの機能を付与できるため、トナーとの機能分担が明確であり、このため現像剤性能の制御性が良いなどの利点がある。
一方、近年、電子写真分野の技術進化により、装置の高速化、高寿命化はもとより高精細化、画像品位の安定化を有することがますます厳しく要求されてきている。このような要求に応えるため、磁性キャリアの高性能化が求められている。
その中の1つに、長期使用における濃度変動を低減し、さらにフルカラーの場合は色味変動を低減する提案がなされている(特許文献1参照)。このキャリアは、磁性コア材に凹凸をつけ、樹脂を被覆しても凹凸を露出させることが特徴である。これにより、上記課題は改善の方向に向かうが、近年のように高速複写が求められる中では、磁性キャリア粒子の比重が重く、トナーに負荷がかかるため、現像剤の寿命が短くなり、高画質化、環境変化に対する追従性にはさらなる改善が求められた。
このような中で、磁性コア内部に空孔を有し、比重を小さくした、多孔質磁性コアを用いた提案がなされている(特許文献2〜8参照)。
特開平4−93954号公報 特開2012−173375号公報 特開2006−337579号公報 特開2009−175666号公報 特開2011−158830号公報 特許第4898959号公報 特開2015−007758号公報 特許第6031708号公報
特許文献2〜8の磁性キャリアにより、現像剤の寿命、白抜けやガサツキといった課題は改善された。
一方で、トナーの低温定着性の観点からトナー中に結晶性ポリエステルの添加、あるいは流動性や帯電調整の観点から、低抵抗の外添剤の多量添加といった技術が主流になりつつある。その結果、特に高湿環境下での放置後において画像濃度や細線再現性等が新たな課題として着目されるようになった。
そこで上記課題を満足する磁性キャリア、二成分系現像剤、及びそれを用いた画像形成
方法の開発が急務となっている。
本発明の目的は、上記のごとき問題点を解決した磁性キャリアを提供するものであり、高湿環境下での放置後においても、画像濃度の安定性、細線再現性に優れた磁性キャリアを提供することにある。また、該磁性キャリアを用いた二成分系現像剤、補給用現像剤、及び画像形成方法を提供する。
本発明者らは、多孔質磁性コアを使用し、下記に示すような断面の樹脂由来の組成と多孔質磁性コア由来の存在率を規定した磁性キャリアを使用することで、高湿環境下での放置後においても、画像濃度の安定性、細線再現性に優れた磁性キャリアが得られることを見出した。
すなわち、本発明は、多孔質磁性コアと、該多孔質磁性コアの空孔に存在する充填樹脂とを有する樹脂充填型磁性コア粒子、及び、
該樹脂充填型磁性コア粒子の表面に存在する樹脂被覆層、
を有する磁性キャリアであって、
該多孔質磁性コアの細孔径分布において、
0.1μm以上3.0μm以下の範囲における微分細孔容積が最大となるピーク細孔径が、0.20μm以上0.70μm以下であり、
0.1μm以上3.0μm以下の範囲における微分細孔容積の積分値である細孔容積が、20mm/g以上57mm/g以下であり、
該磁性キャリアは、以下のように定義される領域R1及び領域R2における元素分析により求められる元素の存在比率に関し
樹脂成分由来の組成の質量基準の割合をそれぞれJR1及びJR2とし、該多孔質磁性コア由来の組成の質量基準の割合をそれぞれFR1及びFR2とし、
さらにJR1/FR1をMR1、JR2/FR2をMR2としたとき、
該MR1と該MR2とが、
0.20≦MR2/MR1≦0.90
の関係を満たすことを特徴とする磁性キャリア。
(領域R1は、該磁性キャリアの断面画像において、該樹脂充填型磁性コア粒子の最大長となる線分を引き、該線分と平行であり、該線分と2.5μm離れた2本の直線を直線A及びBとし、
該線分と該樹脂充填型磁性コア粒子の輪郭線との交点を通り、該線分と直交する直線を直線Cとし、
該直線Cと平行であり、磁性キャリアの中心方向に向けて該直線Cから5.0μm離れた直線を直線Dとしたときに、
該樹脂充填型磁性コア粒子の輪郭線と、該直線A、B及びDとに囲まれ、かつ該直線Cに接している領域である。
領域R2は、該直線A、B、Dと、該直線Dと平行であり、磁性キャリアの中心方向に向けて該直線Dから5.0μm離れた直線Eとに囲まれた領域である。)
また、本発明は、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有するトナーと、磁性キャリアとを含有する二成分系現像剤であって、
該磁性キャリアが、上記磁性キャリアである二成分系現像剤に関する。
また、本発明は、静電潜像担持体を帯電する帯電工程、
該静電潜像担持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程、
該静電潜像を二成分系現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像工程、
該トナー像を中間転写体を介して又は介さずに、転写材に転写する転写工程、及び
転写された該トナー像を該転写材に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
該二成分系現像剤が、上記二成分系現像剤である画像形成方法に関する。
また、本発明は、現像器内の二成分系現像剤のトナー濃度の低下に応じて、補給用現像剤が該現像器に補給される画像形成方法であって、
該補給用現像剤が、磁性キャリアと、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有するトナーと、を含有し、
該補給用現像剤は、該磁性キャリア1質量部に対して該トナーを2質量部以上50質量部以下含有し、
該磁性キャリアは、上記磁性キャリアである画像形成方法に関する。
また、本発明は、上記画像形成方法に使用するための補給用現像剤である。
本発明の磁性キャリアを用いることにより、高湿環境下での放置後においても、画像濃度が安定し、優れた細線再現性を維持することができる。
本発明の磁性キャリアに係る領域R1とR2の説明図 画像形成装置の概略図 画像形成装置の概略図 GPC分子量分布曲線における被覆樹脂含有量規定方法の概略図 GPC分子量分布曲線における被覆樹脂含有量規定方法の概略図 本発明で用いた磁性キャリアの比抵抗の測定装置の概略図 本発明で用いた磁性キャリアの電流値の測定装置の概略図 飛び散り評価用画像の概略図
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○〜××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本発明の磁性キャリアは、多孔質磁性コアを使用した磁性キャリアであり、以下のように定義される領域R1とR2内の、樹脂成分由来の組成の質量基準の割合をそれぞれJR1及びJR2、多孔質磁性コア由来の組成の質量基準の割合をそれぞれFR1及びFR2とし、樹脂成分由来の組成の割合と多孔質磁性コア由来の組成の割合の比JR1/FR1をMR1、JR2/FR2をMR2としたとき、MR1とMR2とが、
0.20≦MR2/MR1≦0.90
であることが特徴である。
ここで、領域R1の定義を図1に基づき説明する。磁性キャリアの断面画像において、樹脂充填型磁性コア粒子の最大長となる線分と平行であり、該線分と2.5μm離れた2本の直線をA及びBとする。該線分と樹脂充填型磁性コア粒子の輪郭線との交点を通り、該線分と直交する直線Cと、直線Cと平行であり、磁性キャリアの中心方向に向けて直線Cから5.0μm離れた直線Dを想定する。
直線A・B間の樹脂充填型磁性コア粒子の輪郭線と、直線A、B及びDとに囲まれ、かつ直線Cに接している領域をR1とする。
また、領域R2は、直線A、B、Dと、直線Dと平行であり、磁性キャリアの中心方向に向けて直線Dから5.0μm離れた直線Eとに囲まれた領域である。
これは、樹脂充填型磁性コア粒子の表層付近の樹脂比率が、内部の樹脂比率よりも高いことを示している。この構成により、帯電緩和性と、被覆層の安定化が図れる。
本発明は、樹脂充填型磁性コア粒子の表層近傍の樹脂由来の組成の割合と多孔質磁性コア由来の組成の割合との比(MR1)が、その内側部の樹脂由来の組成の割合と多孔質磁性コア由来の組成の割合との比(MR2)よりも、大きいことが特徴である。つまり、表層の樹脂成分がその内側部に対して多い事を示している。
これまでの検討で、この「ガサツキ」と「白抜け」の抑制の両立は、キャリア表層近傍とその内側部の樹脂存在比率を特定の関係にすることで大きく改善された。しかし、省エネ化、画像の高精細化がますます進み、トナー中の結晶性ポリエステルの添加、あるいは低抵抗の外添剤の多量添加といった技術展開の中で、新たな課題に直面している。
それは現像剤の電荷維持能力の低下であり、特に高湿環境下において顕著に表れる課題である。これは凹凸をつけた樹脂充填型磁性コア材に樹脂を被覆すると、わずかながらコア材の凹凸に追従して被覆樹脂の膜厚にムラができてしまうことによるものであることが分かった。そこで鋭意検討の結果、本発明の構成に至った。
MR2/MR1を上記範囲にすることで膜厚のムラを低減できた理由としては、以下のように考えている。MR2/MR1が上記範囲であることは、磁性キャリア粒子の表層に充填樹脂がある一定量存在することを示している。そのため、被覆樹脂で被覆する際に被覆樹脂が磁性コア粒子表層から凹部へ浸透しても被覆樹脂の膜厚ムラがなく均一に樹脂を被覆することができたためであると考える。
MR2/MR1を上記範囲にすることで、「ガサツキ」と「白抜け」を悪化させることなく、さらに高湿環境下での電荷漏えいによる濃度変化の低減、細線再現性の向上が可能となる。
MR2/MR1が0.20未満では、帯電緩和性が少ないため、高湿、低湿両環境における濃度変化が大きく、細線再現性が低下する。MR2/MR1が0.90を超えると、電荷緩和性が大きくなりすぎ、高湿環境での電荷漏えいによる濃度変化が発生し、細線再現性が低下する。なお、MR2/MR1は、充填する樹脂の量や粘度などにより制御することができる。また、制御方法は後述の磁性キャリア製造方法でも説明する。MR2/MR1は、0.25≦MR2/MR1≦0.85であることが好ましく、より好ましいのは、0.30≦MR2/MR1≦0.75である。
本発明は、多孔質磁性コアの空孔に充填樹脂を含有する樹脂充填型磁性コア粒子と、該樹脂充填型磁性コア粒子の表面に存在する樹脂被覆層を有する磁性キャリアである。これにより磁性キャリアの帯電緩和性を制御でき、画像の濃度安定性、細線再現性が向上する。
多孔質磁性コアの細孔径分布における、0.1μm以上3.0μm以下の範囲での微分細孔容積の積分値である細孔容積は、20mm/g以上57mm/g以下であることが必要である。細孔容積が20mm/g未満の場合は、比重が大きくなることによるトナーへのダメージの影響と思われる、高湿、低湿両環境における濃度変化が生じ、細線再現性の低下が発生する場合がある。該細孔容積は、25mm3/g以上55mm3/g以下であることが好ましい。該細孔容積は、多孔質磁性コアの焼成温度や、焼成時間により制御することができる。例えば、焼成温度を高くすることで、細孔容積を小さくすることができる。
本発明で使用される多孔質磁性コアは、細孔径分布における、0.1μm以上3.0μm以下の範囲でのピーク細孔径が、0.20μm以上0.70μm以下であることが必要である。細孔径が0.20μm未満の場合は、電荷緩和が大きくなりすぎ、高湿環境での電荷漏えいによる濃度変化が発生し、細線再現性が低下する場合がある。一方、0.70μmを超える場合、帯電緩和性が少ないため、高湿、低湿両環境における濃度変化が生じ、細線再現性が低下し易くなる。
該ピーク細孔径は、0.25μm以上0.65μm以下であることが好ましい。ピーク細孔径は、仮焼フェライト微粉砕品の粒度や多孔質磁性コアの焼成温度、焼成時間により制御することができる。例えば、仮焼フェライト微粉砕品の粒度を小さくすることで該ピーク細孔径を小さくすることができる。
磁性キャリアの充填樹脂の含有量は、多孔質磁性コア100質量部に対し1.0質量部以上6.0質量部以下であることが好ましく、2.0質量部以上5.0質量部以下であることがより好ましい。
充填樹脂量が1.0質量部以上であると、高湿環境での電荷漏えいによる濃度変化の発生、及び細線再現性の低下を抑制できる。一方、充填樹脂量が6.0質量部以下であると
、帯電緩和性が良好であり、高湿、低湿両環境における濃度変化の発生、及び細線再現性の低下を抑制できる。
樹脂被覆層を形成する被覆樹脂の含有量は、樹脂充填型磁性コア粒子100質量部に対し0.5質量部以上3.0質量部以下であることが好ましく、0.8質量部以上2.7質量部以下であることがより好ましい。
被覆樹脂量が0.5質量部以上であると、高湿環境での電荷漏えいによる濃度変化の発生、及び細線再現性の低下を抑制できる。一方、被覆樹脂量が3.0質量部以下であると、帯電緩和性が良好であり、高湿、低湿両環境における濃度変化の発生、及び細線再現性の低下を抑制できる。
磁性キャリアの500V印加時の電流値が10.0μA以上100.0μA以下であることが好ましく、13.0μA以上95.0μA以下であることがより好ましい。10.0μA以上であると、高湿、低湿両環境における濃度変化の発生、及び細線再現性の低下を抑制できる。一方、50.0μA以下であると、高湿環境での電荷漏えいによる濃度変化の発生、及び細線再現性の低下を抑制できる。電流値は、上記断面比率、キャリア中の総樹脂量、キャリア抵抗と相関があり、多孔質磁性コアの磁化量、充填樹脂や被覆樹脂の含有量により制御できる。例えば被覆樹脂の含有量を多くすることで、電流値を小さくすることができる。
磁性キャリアの電界強度2000V/cmにおける比抵抗値が、1.0×10Ω・cm以上1.0×1010Ω・cm以下であることが好ましく、2.1×10Ω・cm以上2.1×10Ω・cm以下であることがより好ましい。これにより、良好な濃度安定性が得られるようになる。該比抵抗値は、多孔質磁性コアの磁化量、充填樹脂や被覆樹脂の含有量により制御することができる。例えば被覆樹脂の含有量を多くすることで、比抵抗値を大きくすることができる。
多孔質磁性コアの電界強度300V/cmにおける比抵抗値が、5.0×10Ω・cm以上8.0×10Ω・cm以下であると良好な濃度安定性が得られるようになる為、好ましい。
次に、本発明の磁性キャリアの製造方法について説明する。
(多孔質磁性コアの製造方法)
多孔質磁性コアは、以下のような工程で製造することができる。
多孔質磁性コアの材質としては、マグネタイト又はフェライトが好ましい。さらに、多孔質磁性コアの材質は、フェライトであることが多孔質磁性コアの多孔質の構造を制御したり、抵抗を調整したりできるため、より好ましい。
フェライトは次の一般式で表される焼結体である。
(M1O)(M2O)(Fe
(式中、M1は1価、M2は2価の金属であり、x+y+z=1.0とした時、x及びyは、それぞれ0≦(x,y)≦0.8であり、zは、0.2<z<1.0である。)
式中において、M1及びM2としては、Li、Fe、Mn、Mg、Sr、Cu、Zn、Caからなる群から選ばれる1種類以上の金属原子を用いることが好ましい。
磁性キャリアでは、磁化量を適度に維持し、細孔径を所望の範囲にするため多孔質磁性コア表面の凹凸状態を好適にすることが求められる。また、フェライト化反応の速度を容易にコントロールでき、多孔質磁性コアの比抵抗と磁気力を好適にコントロールできることも求められる。以上の観点から、Mn元素を含有する、Mn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Mn−Mg−Sr系フェライト、Li−Mn系フェライトがより好ましい。
以下に、多孔質磁性コアとしてフェライトを用いる場合の製造工程の例を説明する。
・工程1(秤量・混合工程):
フェライトの原料を、秤量し、混合する。フェライト原料としては、例えば以下のものが挙げられる。Li、Fe、Mn、Mg、Sr、Cu、Zn、Caなどの金属粒子、並びにこれらの酸化物、水酸化物、炭酸塩、シュウ酸塩など。
混合する装置としては、例えば以下のものが挙げられる。配合する原料種として、水酸化物や炭酸塩を用いた方が、酸化物を用いた場合に比べて細孔容積は大きくなりやすい。ボールミル、遊星ミル、ジオットミル、振動ミル。特にボールミルが混合性の観点から好ましい。具体的には、ボールミル中に、秤量したフェライト原料、ボールを入れ、好ましくは0.1時間以上20.0時間以下、粉砕・混合する。
・工程2(仮焼成工程):
粉砕・混合したフェライト原料を、加圧成型機等を用いてペレット化した後、仮焼成を行う。上述したように、仮焼成工程が、本発明の磁性キャリアを得るために重要であるため、上述した条件で行うことが大切である。例えば、焼成温度1050℃以上1100℃以下の範囲で、2.5時間以上5.0時間以下仮焼成し、原料をフェライトにする。この際、フェライト化反応が十分に進行するように、仕込み量は適宜調整する。また、雰囲気調整、特に窒素雰囲気下など酸素濃度を下げることで、フェライト化反応がより進行しやすいため好ましい。焼成には、例えば以下の炉が用いられる。バーナー式焼成炉、ロータリー式焼成炉、電気炉などが挙げられる。
・工程3(粉砕工程):
工程2で作製した仮焼フェライトを粉砕機で粉砕する。粉砕機としては、所望の粒径が得られれば特に限定されない。しかし、上記のような方法で製造した仮焼成物は、従来の仮焼成物に対して、一部フェライト化反応を進行させた仮焼成物であるため、硬度が高くなっている。そのため、所望の粒径を得るためには、粉砕強度を強めることが好ましい。粉砕強度を強め、仮焼フェライトの微粉砕品の粒径を細かくし、粒径分布を制御することが好ましい。
仮焼フェライトの微粉砕品の粒径分布を制御するためには、例えば、ボールミルやビーズミルでは用いるボールやビーズの素材、運転時間を制御することが好ましい。具体的には、仮焼フェライトの粒径を小さくするためには、比重の重いボールを用いたり、粉砕時間を長くしたりすればよい。ボールやビーズの素材としては、所望の粒径・分布が得られれば、特に限定されない。例えば、以下のものがあげられる。
アルミナ(比重3.6g/cm3)、ジルコニア(比重6.0g/cm3)、スチール(比重7.9g/cm3)、ステンレス(比重8.0g/cm3)。
中でも、アルミナ、ジルコニア、ステンレスは、耐磨耗性に優れているために好ましい。ボールやビーズの粒径は、所望の粒径・分布が得られれば、特に限定されない。例えば、ボールとしては、直径4mm以上60mm以下のものが好適に用いられる。また、ビーズとしては直径0.03mm以上5mm以下のものが好適に用いられる。また、ボールミルやビーズミルは、乾式より湿式の方が、粉砕品がミルの中で舞い上がることがなく粉砕効率が高い。このため、乾式より湿式の方がより好ましい。
硬度の高い仮焼成物は、まず乾式による粗粉砕を行った後、湿式により微粉砕を行い、粒径を調整することがより好ましい。
・工程4(造粒工程):
仮焼フェライトの微粉砕品に対し、例えば、分散剤、水、バインダー、必要に応じて、孔調整剤を加える。孔調整剤としては、発泡剤や樹脂微粒子が挙げられる。バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコールが用いられる。工程3において、湿式で粉砕した
場合は、フェライトスラリー中に含まれている水も考慮し、バインダーと必要に応じて孔調整剤を加えることが好ましい。
得られたフェライトスラリーを、噴霧乾燥機を用い、好ましくは温度100℃以上200℃以下の加温雰囲気下で、乾燥・造粒する。噴霧乾燥機としては、所望の粒径が得られれば特に限定されない。例えば、スプレードライヤーが使用できる。
次に、造粒品を、好ましくは600℃以上800℃以下の温度で分散剤やバインダーを燃焼除去する。特に燃焼除去温度を700℃以上にすることで、多孔質磁性コアの細孔径を特定の範囲に調整し易いため、好ましい。
・工程5(本焼成工程):
その後、酸素濃度の制御できる電気炉で、酸素濃度を制御した雰囲気下で、好ましくは温度1000℃以上1300℃以下で1時間以上24時間以下焼成する。温度を制御することで、細孔容積を制御することができ、例えば、温度を高くすることで、細孔容積は小さくなる。なお、多孔質磁性コアの細孔容積が、20.0mm/g以上57.0mm/g以下であり、好ましくは25.0mm/g以上55.0mm/g以下である。
・工程6(選別工程):
焼成した粒子を解砕した後に、必要に応じて、磁力選鉱により低磁力品を分別する。風力分級や篩で篩分して粗大粒子や微粒子を除去してもよい。
・表面処理工程:
必要に応じて、表面を低温加熱することで酸化被膜処理を施し、抵抗調整を行うことができる。酸化被膜処理は、一般的なロータリー式電気炉、バッチ式電気炉等を用い、例えば300℃以上700℃以下で熱処理を行うことができる。
上記のようにして得られた多孔質磁性コアの体積分布基準50%粒径(D50)は、28.0μm以上78.0μm以下であることが好ましい。
(樹脂充填型磁性コア粒子の製造方法)
多孔質磁性コアの空孔に充填樹脂を充填させる方法として好ましいのは、充填樹脂を多孔質磁性コアの空孔に添加する方法である。充填樹脂は、好ましくは被覆樹脂の被覆時に溶媒を使用しても溶出しない熱硬化性樹脂である。より好ましくは、溶剤に希釈することなく充填できシリコーン樹脂である。これにより、溶剤除去中の樹脂成分の収縮が無く、MR2/MR1を所望の範囲に調整し易くなる。
シリコーン樹脂には、メチルシリコーンオリゴマーやメチルフェニルシリコーンオリゴマーなどのシリコーンオリゴマーや、メチルシリコーンレジンなどを用いることができる。
多孔質磁性コアの空孔に、樹脂を充填する方法としては、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、及び流動床のような塗布方法により多孔質磁性コアを樹脂溶液に含浸させる方法が挙げられる。
常圧で充填樹脂を含む充填樹脂組成物を多孔質磁性コアの孔へ充填させ、加温により硬化させる方法が好ましい。
また、硬化前の樹脂組成物としては、含浸性の高いものが好ましい。含浸性の高い樹脂組成物を用いることでMR2/MR1を調整し易くなり、安定性が向上する。含浸性の指標として、樹脂組成物そのものの動粘度が挙げられる。動粘度が比較的小さい樹脂組成物であることが好ましく、例えば、0.5mm/s以上200.0mm/s以下であることが、MR2/MR1を上記範囲に調整するうえで好ましい。
充填樹脂組成物を充填させた後、必要に応じて各種の方式によって加熱し、充填した充填樹脂組成物を多孔質磁性コアに密着させる。加熱方式としては、外部加熱方式又は内部加熱方式のいずれでもよく、例えば固定式又は流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バー
ナー炉でもよく、もしくはマイクロウェーブによる焼付けでもよい。
充填樹脂量は、多孔質磁性コアに対して、1.0質量部以上6.0質量部であることが、被覆樹脂組成物の被覆性の向上、電荷保持の観点から好ましい。
また、充填樹脂組成物が、シランカップリング剤を含有していることが好ましい。充填樹脂に対して、シランカップリング剤は相溶性が良好であり、多孔質磁性コアと充填樹脂との濡れ性及び密着性がより高まる。そのため、充填樹脂が、多孔質磁性コア内部の細孔から充填される。その結果、樹脂充填型磁性コア粒子表面は細孔による凹凸のある形状を有するため、上述した通り被覆樹脂組成物の表面張力の観点から好ましい。
例えば、充填樹脂組成物はシリコーンオリゴマーとシランカップリング剤を含むことが好ましい。また、メチルシリコーンレジン、トルエンなどの溶媒、及びシランカップリング剤を含むことが好ましい。充填樹脂は、これら充填樹脂組成物の熱硬化物であることが好ましい。
用いられるシランカップリング剤としては特に限定されないが、官能基が存在することで被覆樹脂組成物との親和性も良好になることから、アミノシランカップリング剤が好ましい。
なお、アミノシランカップリング剤が多孔質磁性コアと充填樹脂との濡れ性及び密着性をより高め、被覆樹脂組成物との親和性を良好にする原因は以下のように考える。
アミノシランカップリング剤は、無機物と反応する部分と有機物と反応する部分を有しており、一般的に、アルコキシ基が無機物と、アミノ基を有する官能基が有機物と反応すると考えられている。よって、アミノシランカップリング剤のアルコキシ基が、多孔質磁性コアの部分と反応することで、濡れ性及び密着性を高め、アミノ基を有する官能基は、充填樹脂側に配向することで、被覆樹脂組成物との親和性も高めると考える。
添加するシランカップリング剤の量は、充填樹脂100質量部に対して、1.0〜20.0質量部であることが好ましい。より好ましくは、5.0〜10.0質量部である。上記範囲であると、多孔質磁性コアと充填樹脂との濡れ性及び密着性の向上の観点から好ましい。
(磁性キャリアの製造方法)
樹脂充填型磁性コア粒子の表面を樹脂被覆層で被覆する方法としては特に限定されない。被覆樹脂組成物を用いて、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、乾式法、及び流動床のような塗布方法により樹脂充填型磁性コア粒子の表面を処理する方法が挙げられる。
樹脂被覆層を形成する被覆樹脂としては、分子構造中に環式炭化水素基を有するビニル系モノマーと他のビニル系モノマーとの共重合体であるビニル系樹脂が好ましい。より好ましいのは、脂環式の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及びマクロモノマーを含むモノマーと共重合体(以後、被覆用樹脂Aとする)である。被覆用樹脂Aは、脂環式の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、該脂環式の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル以外のその他の(メタ)アクリル系モノマー、及びマクロモノマーの共重合体であることがより好ましい。
被覆用樹脂Aは、フェライト系芯材表面に被覆された樹脂層の塗膜面を平滑にする。その結果、磁性キャリアに対するトナー由来成分の付着を抑制し、帯電能低下を抑える働きがある。磁性キャリアに対するトナー由来成分の付着を抑制し、帯電能低下を抑える働きがある。また、マクロモノマーは、樹脂充填型磁性コア粒子との密着性を向上させ、画像濃度安定性が向上する。さらに本発明においては長期間高湿環境でコート薄層部分の電荷漏えいを低減でき、放置後の濃度、細線再現性も安定する。
上記脂環式の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル(モノマー)としては、例えば、アクリル酸シクロブチル、アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘプチル、アクリル酸ジシクロペンテニル、アクリル酸ジシクロペ
ンタニル、メタクリル酸シクロブチル、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸ジシクロペンテニル及びメタクリル酸ジシクロペンタニルなどが挙げられる。これらは、1種又は2種以上を選択して使用してもよい。
脂環式の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの使用量は、被覆用樹脂Aの全モノマーを基準として、好ましくは34.0質量%以上95.0質量%以下であり、より好ましくは40.0質量%以上90.0質量%以下である。
上記マクロモノマーとしては特に限定されないが、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、スチレン、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーの重合体であることが好ましい。
マクロモノマーの使用量は、被覆用樹脂Aの全モノマーを基準として、10〜50質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましい。
マクロモノマーの重量平均分子量Mwは、好ましくは2000以上10000以下であり、より好ましくは2500以上8000以下である。
被覆用樹脂Aの重量平均分子量(Mw)は、被覆の安定性から、20,000以上、120,000以下であることが好ましく、30,000以上、100,000以下であることがより好ましい。
また、上記脂環式の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル以外の、その他の(メタ)アクリル系モノマーとしては以下のものが挙げられる。
例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル(n−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチル又はtert−ブチル。以下同様)、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸又はメタクリル酸など。
該樹脂被覆層を2種類以上の樹脂組成物を使用する場合について説明する。
本発明では、上記被覆用樹脂Aと、特定の酸価を有する樹脂(以後、被覆用樹脂Bとする)とをブレンドして使用することが、被覆用樹脂A単独で使用するよりもさらに好ましく、被覆用樹脂Bは、少なくとも上記その他の(メタ)アクリル系モノマーを含むモノマーの重合体であることが好ましい。
これにより、電荷漏えい部分の減少と、樹脂被覆層の塗膜強度の向上が両立でき、より長期にわたり安定した画像を出力可能であり、放置後安定性も向上する。
樹脂被覆層に、被覆用樹脂A及び被覆用樹脂Bを用いる場合、その質量比(A:B)は、9:1〜1:9であることが好ましい。
樹脂被覆層の酸化は、0.1mgKOH/g以上10mgKOH/g以下であることが好ましい。
被覆用樹脂Aの酸価は、0.0mgKOH/g以上3.0mgKOH/g以下であることが好ましく、0mgKOH/g以上2.5mgKOH/g以下であることがより好ましい。
また、被覆用樹脂Bの酸価は、3.5mgKOH/g以上50.0mgKOH/g以下であることが好ましく、4.0mgKOH/g以上50.0mgKOH/g以下であることがより好ましい。
被覆用樹脂Bの重量平均分子量(Mw)は、被覆の安定性から、30,000以上、120,000以下であることが好ましく、40,000以上、100,000以下であることがより好ましい。
また、被覆樹脂組成物に、導電性を有する粒子や荷電制御性を有する粒子や材料を含有させて用いてもよい。導電性を有する粒子としては、カーボンブラック、マグネタイト、グラファイト、酸化亜鉛、酸化錫が挙げられる。
次に、好ましいトナーの構成を以下に詳述する。
トナーは結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有することが好ましい。結着樹脂としては、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でもビニル樹脂とポリエステル樹脂が帯電性や定着性でより好ましい。特にポリエステル樹脂が好ましい。
ビニル系モノマーの単重合体又は共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂等を、必要に応じて前述した結着樹脂に混合して用いることができる。
結着樹脂としては以下に示すポリエステル樹脂も好ましい。
酸価が90mgKOH/g以下であり、OH価が50mgKOH/g以下のポリエステル樹脂が好ましい。これは、分子鎖の末端基数が増えるとトナーの帯電特性において環境依存性が大きくなる為である。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は好ましくは50℃以上75℃以下である。数平均分子量(Mn)は好ましくは1,500以上50,000以下である。重量平均分子量(Mw)は好ましくは6,000以上100,000以下、より好ましくは10,000以上90,000以下である。
トナーの可塑効果を促進し、低温定着性を向上させる目的でトナーに下記のような結晶性ポリエステル樹脂を添加してもよい。
結晶性ポリエステルとしては、炭素数2以上22以下の脂肪族ジオールと、炭素数2以上22以下の脂肪族ジカルボン酸とを主成分として含む単量体組成物の重縮合体が例としてあげられる。
炭素数2以上22以下(より好ましくは炭素数6以上12以下)の脂肪族ジオールとしては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジオールであることが好ましい。これらの中でも、特にエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオールのような直鎖脂肪族、α,ω−ジオールが好ましく例示される。
アルコール成分のうち、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が、炭素数2以上22以下の脂肪族ジオールから選ばれるアルコールである。
一方、炭素数2以上22以下(より好ましくは炭素数6以上12以下)の脂肪族ジカルボン酸としては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。
結晶性ポリエステルの使用量は、結着樹脂100質量部に対して好ましくは0.1質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは0.5質量部以上20質量部以下であり、さらに好ましくは3質量部以上15質量部以下である。
着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調整したものが挙げられる。
マゼンタトナー用着色顔料しては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。
具体的には、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、150、163、166、169、177、184、185、202、206、207、209、220、221、238、254、269;C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35が挙げられる。
着色剤には、顔料単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点から好ましい。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.Iソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27、C.I.ディスパーバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28などの塩基性染料。
シアントナー用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、2、3、7、15:2、15:3、15:4、16、17、60、62、66;C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチルを1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料。
イエロー用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物。具体的には、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74,83、93、95、97,109、110、111、120、127、128、129、147、155、168、174、180、181、185、191;C.I.バットイエロー1、3、20が挙げられる。
また、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、ソルベントイエロー162などの染料も使用することができる。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部であり、より好ましくは0.5〜20質量部であり、さらに好ましくは3〜15質量部である。
また、上記トナーにおいて、結着樹脂に予め、着色剤を混合し、マスターバッチ化させたものを用いることが好ましい。そして、この着色剤マスターバッチとその他の原材料(結着樹脂及びワックス等)を溶融混練させることにより、トナー中に着色剤を良好に分散させることができる。
トナーは、その帯電性をさらに安定化させる為に必要に応じて荷電制御剤を用いることができる。荷電制御剤は、結着樹脂100質量部当り0.5〜10質量部使用するのが好ましい。0.5質量部以上であると、十分な帯電特性が得られやすい。一方、10質量部以下であると、他材料との相溶性が低下しにくく、低湿下における帯電過剰になりにくい。
荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
トナーを負荷電性に制御する負荷電性制御剤として、例えば有機金属錯体又はキレート化合物が有効である。モノアゾ金属錯体、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属錯体、芳香
族ジカルボン酸系の金属錯体が挙げられる。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸並びにその金属塩、その無水物、又はそのエステル類、あるいは、ビスフェノールなどのフェノール誘導体類が挙げられる。
トナーを正荷電性に制御する正荷電性制御剤としては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのキレート顔料として、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン酸、フェロシアン化合物等)、高級脂肪酸の金属塩として、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキシド等のジオルガノスズオキサイドやジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレートが挙げられる。
トナーは離型剤を含有することが好ましい。必要に応じて一種又は二種以上の離型剤を用いてもよい。離型剤としては次のものが挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスが好ましく使用できる。また、酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。
離型剤の量は、結着樹脂100質量部あたり、好ましくは0.1〜20質量部であり、より好ましくは0.5〜10質量部である。
また、該離型剤の示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の最大吸熱ピーク温度で規定される融点は、65〜130℃であることが好ましい。より好ましくは80〜125℃である。65℃以上であると、トナーの粘度が低下しにくく、感光体へのトナー付着が抑制できる。130℃以下であると、低温定着性が良好になる。
トナーは、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得る微粉体を流動性向上剤(外添剤)として用いてもかまわない。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末のようなフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカのような微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ等をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施し、疎水化処理したものであり、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すように処理したものが特に好ましい。
流動性向上剤は、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.2〜8質量部用いるのがよい。
本発明に係る磁性キャリアは、トナーと混合して二成分系現像剤として使用することが好ましい。その際のキャリア混合比率は、現像剤中のトナー濃度として、好ましくは2質量%以上15質量%以下、より好ましくは4質量%以上13質量%以下にすると通常良好な結果が得られる。2質量%以上であると画像濃度が低下しにくく、15質量%以下であるとカブリや機内飛散を抑制できる。
本発明の磁性キャリアを含む二成分系現像剤は、静電潜像担持体を帯電する帯電工程、該静電潜像担持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程、該静電潜像を二成分系現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像工程、該トナー像を中間転写体を介して
又は介さずに、転写材に転写する転写工程、及び転写された該トナー像を該転写材に定着する定着工程を有する画像形成方法に用いることができる。
また、該画像形成方法は、現像器に二成分系現像剤を有し、該現像器内の二成分系現像剤のトナー濃度の低減に応じて、補給用現像剤が該現像器に補給される構成を有していてもよい。本発明の磁性キャリアは、このような画像形成方法に使用するための補給用現像剤に用いることができる。該画像形成方法は、現像器内で過剰になった磁性キャリアが必要に応じて現像器から排出される構成を有してもよい。
また、現像器内の二成分系現像剤のトナー濃度の低下に応じて現像器に補給するための補給用現像剤は、磁性キャリア1質量部に対しトナーを2質量部以上50質量部以下含有することが好ましい。
次に、磁性キャリア、二成分系現像剤及び補給用現像剤を用いる現像装置を備えた画像形成装置について例を挙げて説明するが、これに限るものではない。
<画像形成方法>
図2において、静電潜像担持体1は図中矢印方向に回転する。静電潜像担持体1は帯電手段である帯電器2により帯電され、帯電した静電潜像担持体1表面には、静電潜像形成手段である露光器3により露光させ、静電潜像を形成する。現像器4は、二成分系現像剤を収容する現像容器5を有し、現像剤担持体6は回転可能な状態で配置され、且つ、現像剤担持体6内部に磁界発生手段をしてマグネット7を内包している。マグネット7の少なくとも一つは潜像担持体に対して対向の位置になるように設置されている。
二成分系現像剤は、マグネット7の磁界により現像剤担持体6上に保持され、規制部材8により、二成分系現像剤量が規制され、静電潜像担持体1と対向する現像部に搬送される。現像部においては、マグネット7の発生する磁界により磁気ブラシを形成する。その後、直流電界に交番電界を重畳してなる現像バイアスを印加することにより静電潜像はトナー像として可視像化される。静電潜像担持体1上に形成されたトナー像は、転写帯電器11によって記録媒体12に静電的に転写される。
ここで、図3に示すように、静電潜像担持体1から中間転写体9に一旦転写し、その後、転写材(記録媒体)12へ静電的に転写してもよい。その後記録媒体12は、定着器13に搬送され、ここで加熱、加圧されることにより、記録媒体12上にトナーが定着される。その後、記録媒体12は、出力画像として装置外へ排出される。なお、転写工程後、静電潜像担持体1上に残留したトナーは、クリーナー15により除去される。その後、クリーナー15により清掃された静電潜像担持体1は、前露光16からの光照射により電気的に初期化され、上記画像形成動作が繰り返される。
図3は、本発明の画像形成方法をフルカラー画像形成装置に適用した概略図の一例を示す。
図中のK、Y、C、Mなどの画像形成ユニットの並びや回転方向を示す矢印は何らこれに限定されるものではない。ちなみにKはブラック、Yはイエロー、Cはシアン、Mはマゼンタを意味している。図3において、静電潜像担持体1K、1Y、1C、1Mは図中矢印方向に回転する。各静電潜像担持体は帯電手段である帯電器2K、2Y、2C、2Mにより帯電され、帯電した各静電潜像担持体表面には、静電潜像形成手段である露光器3K、3Y、3C、3Mにより露光し、静電潜像を形成する。その後、現像手段である現像器4K、4Y、4C、4Mに具備される現像剤担持体6K、6Y、6C、6M上に担持された二成分系現像剤により静電潜像はトナー像として可視像化される。
さらに転写手段である中間転写帯電器10K、10Y、10C、10Mにより中間転写体9に転写される。さらに転写手段である転写帯電器11により、記録媒体12に転写され、記録媒体12は、定着手段である定着器13により加熱圧力定着され、画像として出力される。そして、中間転写体9のクリーニング部材である中間転写体クリーナー14は、転写残トナーなどを回収する。
現像方法としては、具体的には、現像剤担持体に交流電圧を印加して、現像領域に交番電界を形成しつつ、磁気ブラシが感光体に接触している状態で現像を行うことが好ましい。現像剤担持体(現像スリーブ)6と感光ドラムとの距離(S−D間距離)は、100μm以上1000μm以下であることが、キャリア付着防止及びドット再現性の向上において良好である。100μm以上であると現像剤の供給が十分になり、画像濃度が適切になる。1000μm以下であると磁極S1からの磁力線が広がりにくく磁気ブラシの密度が適切になり、ドット再現性が良好になる。また、磁性コートキャリアを拘束する力が適切になり、キャリア付着を抑制できる。
交番電界のピーク間の電圧(Vpp)は、好ましくは300V以上3000V以下、より好ましくは500V以上1800V以下である。また周波数は、好ましくは500Hz以上10000Hz以下、より好ましくは1000Hz以上7000Hz以下であり、それぞれプロセスにより適宜選択して用いることができる。この場合、交番電界を形成するための交流バイアスの波形としては三角波、矩形波、正弦波、あるいはDuty比を変えた波形が挙げられる。
トナー像の形成速度の変化に対応するためには、非連続の交流バイアス電圧を有する現像バイアス電圧(断続的な交番重畳電圧)を現像剤担持体に印加して現像を行うことが好ましい。印加電圧が300V以上であると十分な画像濃度が得られやすく、また非画像部のカブリトナーを良好に回収することができる。また、3000V以下であると磁気ブラシを介して、潜像を乱すことが少なく、画質低下が起きにくい。
良好に帯電したトナーを有する二成分系現像剤を使用することで、カブリ取り電圧(Vback)を低くすることができ、感光体の一次帯電を低めることができるため、感光体寿命を長寿命化できる。Vbackは、現像システムにも依るが好ましくは200V以下、より好ましくは150V以下である。コントラスト電位としては、十分な画像濃度が出るように100V以上400V以下が好ましく用いられる。
また、プロセススピードにも関係するが、静電潜像担感光体の構成としては、通常、画像形成装置に用いられる感光体と同じでよい。例えば、アルミニウム、SUS等の導電性基体の上に、順に導電層、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、必要に応じて電荷注入層を設ける構成の感光体が挙げられる。
導電層、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層は、通常、感光体に用いられるものでよい。感光体の最表面層として、例えば電荷注入層又は保護層を用いてもよい。
<磁性キャリア、多孔質磁性コア、磁性コアの比抵抗測定>
磁性キャリア及び多孔質磁性コアの比抵抗は、図6に概略される測定装置を用いて測定する。なお、磁性キャリアは電界強度2000(V/cm)、多孔質磁性コアは電界強度300(V/cm)における比抵抗を測定する。
抵抗測定セルAは、断面積2.4cmの穴の開いた円筒状容器(PTFE樹脂製)17、下部電極(ステンレス製)18、支持台座(PTFE樹脂製)19、上部電極(ステンレス製)20から構成される。支持台座19上に円筒状容器17を載せ、試料(磁性キャリア又は多孔質磁性コア)21を厚さ約1mmになるように充填し、充填された試料21に上部電極20を載せ、試料の厚みを測定する。図6(a)に示すように、試料のないときの間隙をd1とし、図6(b)に示すように、厚さ約1mmになるように試料を充填したときの間隙d2とすると、試料の厚みdは下記式で算出される。
d=d2−d1(mm)
この時、試料の厚みdが0.95mm以上1.04mm以下となるように試料の質量を適宜変える。
電極間に直流電圧を印加し、そのときに流れる電流を測定することによって試料の比抵抗を求めることができる。測定には、エレクトロメーター22(ケスレー6517A ケスレー社製)及び制御用に処理コンピュータ23を用いる。
制御用の処理コンピュータにナショナルインスツルメンツ社製の制御系と制御ソフトウエア(LabVEIW ナショナルインスツルメンツ社製)を用いる。
測定条件として、試料と電極との接触面積S=2.4cm、試料の厚み0.95mm以上1.04mm以下になるように実測した値dを入力する。また、上部電極の荷重270g、最大印加電圧1000Vとする。
比抵抗(Ω・cm)=
(印加電圧(V)/測定電流(A))×S(cm)/d(cm)
電界強度(V/cm)=印加電圧(V)/d(cm)
磁性キャリア及び多孔質磁性コアの前記電界強度における比抵抗は、グラフ上の前記電界強度における比抵抗をグラフから読み取る。
<磁性キャリア、多孔質磁性コアの体積平均粒径(D50)の測定方法>
粒度分布測定は、レーザー回折・散乱方式の粒度分布測定装置「マイクロトラックMT3300EX」(日機装社製)にて測定を行う。
磁性キャリア、多孔質磁性コアの体積平均粒径(D50)の測定には、乾式測定用の試料供給機「ワンショットドライ型サンプルコンディショナーTurbotrac」(日機装社製)を装着して行う。Turbotracの供給条件として、真空源として集塵機を用い、風量約33L/sec、圧力約17kPaとする。制御は、ソフトウエア上で自動的に行う。粒径は体積平均の累積値である50%粒径(D50)を求める。制御及び解析は付属ソフト(バージョン10.3.3−202D)を用いて行う。測定条件は下記の通りである。
SetZero時間 :10秒
測定時間 :10秒
測定回数 :1回
粒子屈折率 :1.81%
粒子形状 :非球形
測定上限 :1408μm
測定下限 :0.243μm
測定環境 :23℃、50%RH
<磁化量の測定>
磁化量は、理研電子(株)製の振動磁場型磁気特性自動記録装置BHV−30を用いて、以下の手順で測定する。
円筒状のプラスチック容器に試料を十分に密に充填し、一方で79.6(kA/m)(1000エルステッド)の外部磁場を作り、この状態で容器に充填された試料の磁化モーメントを測定する。さらに、該容器に充填した試料の実際の質量を測定して、試料の磁化の強さ(Am/kg)を求める。
<多孔質磁性コアの細孔径及び細孔容積の測定>
多孔質磁性コアの細孔径分布は、水銀圧入法により測定される。
測定原理は、以下の通りである。
本測定では、水銀に加える圧力を変化させ、その際の細孔中に浸入した水銀の量を測定する。細孔内に水銀が浸入し得る条件は、圧力P、細孔直径D、水銀の接触角と表面張力をそれぞれθとσとすると、力の釣り合いから、PD=−4σcosθで表せる。接触角と表面張力を定数とすれば、圧力Pとそのとき水銀が浸入し得る細孔直径Dは反比例することになる。このため、圧力Pとそのときに浸入液量Vを、圧力を変えて測定し得られる、P−V曲線の横軸Pを、そのままこの式から細孔直径に置き換え、細孔分布を求めている。
測定装置としては、株式会社 島津製作所社のオートポアIV9520を用いて、下記条件・手順にて測定を行う。
測定条件
測定環境 20℃
測定セル 試料体積 5cm3、圧入体積 1.1cm3、用途 粉体用
測定範囲 2.0psia(13.8kPa)以上、59989.6psia(413.7kPa)以下
測定ステップ 80ステップ
(細孔径を対数で取った時に、等間隔になるようにステップを刻む)
圧入パラメータ 排気圧力 50μmHg
排気時間 5.0min
水銀注入圧力 2.0psia(13.8kPa)
平衡時間 5secs
高圧パラメータ 平衡時間 5secs
水銀パラメータ 前進接触角 130.0degrees
後退接触角 130.0degrees
表面張力 485.0mN/m(485.0dynes/cm)
水銀密度 13.5335g/mL
測定手順
(1)多孔質磁性コアを、約1.0g秤量し試料セルに入れる。
秤量値を入力する。
(2)低圧部で、2.0psia(13.8kPa)以上、45.8psia(315.6kPa)以下の範囲を測定。
(3)高圧部で、45.9psia(316.3kPa)以上、59989.6psia(413.6kPa)以下の範囲を測定。
(4)水銀注入圧力及び水銀注入量から、細孔径分布を算出する。
(2)、(3)、(4)は、装置付属のソフトウエアにて、自動で行う。
上記の様にして計測した細孔径分布から、0.1μm以上3.0μm以下の細孔径の範囲における微分細孔容積が最大となるピーク細孔径を読み取る。
また、0.1μm以上3.0μm以下の細孔径の範囲における微分細孔容積を積分した細孔容積を、付属のソフトウエアを用いて算出し、細孔容積とする。
<酸価の測定方法>
酸価は、試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。すなわち、試料1g中に含有されている遊離脂肪酸及び樹脂酸などを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を酸価という。
本発明において酸価は、JIS K 0070−1992に準じて測定する。具体的には以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mLの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガスなどに触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/L塩酸25mLを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/L塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作製されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
試料2.0gを200mLの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノ
ールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を添加しない(すなわち、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)酸価の算出
得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
AV=[(B−A)×f×5.61]/S
ここで、AV:酸価(mgKOH/g)、A:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、B:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
<磁性キャリアからの樹脂被覆層の分離及び樹脂被覆層中の被覆用樹脂A及びBの分取>
磁性キャリアから樹脂被覆層を分離する方法としては、磁性キャリアをカップに取り、トルエンを用いて被覆用樹脂を溶出させる方法がある。
溶出させた樹脂を、乾固させたのち、テトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、以下の装置を用いて分取する。
[装置構成]
LC−908(日本分析工業株式会社製)
JRS−86(同社;リピートインジェクタ)
JAR−2(同社;オートサンプラー)
FC−201(ギルソン社;フラクッションコレクタ)
[カラム構成]
JAIGEL−1H〜5H(20φ×600mm:分取カラム)(日本分析工業株式会社製)
[測定条件]
温度:40℃
溶媒:THF
流量:5ml/min.
検出器:RI
被覆用樹脂の分子量分布に基づき、下記方法で特定した樹脂構成を用いて、被覆用樹脂A、被覆用樹脂Bのピーク分子量(Mp)となる溶出時間を予め測定し、その前後でそれぞれの樹脂成分を分取する。その後溶剤を除去し、乾燥させ、被覆用樹脂A、被覆用樹脂Bを得る。
なお、フーリエ変換赤外分光分析装置(Spectrum One:PerkinElmer社製)を用いて吸光波数から原子団を特定し、被覆用樹脂A、被覆用樹脂Bの樹脂構成を特定することができる。
<磁性キャリアからの多孔質磁性コアの分離>
例えば熱可塑性樹脂を充填・被覆している磁性キャリアの場合、磁性キャリアから以下の方法で、多孔質磁性コアを分離し、ピーク細孔径などを測定することができる。
A 100mlビーカーに磁性キャリア約5gを入れる。
B トルエン約50mlをビーカーに入れ、超音波振とう機で5分間振とうする。
C 振盪終了後数分静置し、ビーカー内の試料を、ネオジム磁石で20回ビーカー底部をなぞる様に攪拌した後、被覆樹脂及び充填樹脂の溶解したトルエン溶液のみを廃液として流す。
D ビーカー内の試料を外側からネオジム磁石で保持したまま、再度トルエン約50mlをビーカーに入れ、上記B、Cの操作を10回繰り返す。
E 溶媒をクロロホルムに変えてさらに上記B、Cの操作を1回行う。
F ビーカーごと真空乾燥機に投入し、溶媒を乾燥除去させる(真空乾燥機は溶剤トラッ
プのついたものを用い、温度50℃、真空度−0.093Mpa以下、乾燥時間12時間で実施する)。
G 真空乾燥機からビーカーを取り出し、約20分間放置して冷却する。
<樹脂被覆層における、被覆用樹脂A、被覆用樹脂B及び被覆用樹脂の重量平均分子量(Mw)、ピーク分子量(Mp)及び含有量比の測定>
被覆用樹脂A、被覆用樹脂B、及び被覆用樹脂の重量平均分子量(Mw)及びピーク分子量(Mp)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、以下の手順で測定した。
まず、測定試料は以下のようにして作製した。
試料(磁性キャリアから分離した被覆用樹脂、分取装置で分取した被覆用樹脂A及び被覆用樹脂B)と、テトラヒドロフラン(THF)とを5mg/mlの濃度で混合し、室温にて24時間静置して、試料をTHFに溶解する。その後、サンプル処理フィルター(マイショリディスクH−25−2 東ソー社製)を通過させたものをGPCの試料とする。
次に、GPC測定装置(HLC−8120GPC 東ソー社製)を用い、前記装置の操作マニュアルに従い、下記の測定条件で測定する。
(測定条件)
装置:高速GPC「HLC8120 GPC」(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液 :THF
流速 :1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量 :0.10ml
また、試料の重量平均分子量(Mw)及びピーク分子量(Mp)の算出にあたって、検量線は、標準ポリスチレン樹脂(東ソー社製TSK スタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500)により作成した分子量較正曲線を使用する。
また、含有量比については、分子量分布測定のピーク面積比により求める。図4のように、領域1と領域2が完全に分かれているものは、それぞれの領域の面積比から、樹脂の含有量比を求めた。図5のように、それぞれの領域が重なる場合は、GPC分子量分布曲線の変極点から垂直に横軸に降ろした線で分割し、図5に示す領域1と領域2の面積比から含有量比を求める。
<電流値の測定>
磁性キャリアを800g秤量し、温度20〜26℃、湿度50〜60%RHの環境に15分以上暴露する。その後、図7に示すマグネットローラーとAl素管を電極とし、その間隔を4.5mmに配置した電流値測定装置を用いて印加電圧500Vにて電流値を測定する。
<磁性キャリア断面のMR1、MR2の測定>
1、断面の切り出し
磁性キャリアの断面加工には、集束イオンビーム加工観察装置(FIB)、FB−2100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いる。FIB用試料台(金属メッシュ)上にカーボンペーストを塗り、その上に磁性キャリアを1粒子ずつ独立して存在するように少量固着させ、導電膜として白金蒸着することで試料を作製する。試料をFIB装置にセットし、加速電圧40kV、Gaイオン源を用いて、粗加工し(ビーム電流39nA)、続いて仕上げ加工(ビーム電流7nA)を行い、試料であるキャリア断面を削り出す。
なお、測定サンプルとして選択する磁性キャリア断面は、キャリア粒子断面の最大長と
なる線分の長さをHとしたときに、D50×0.9≦H≦D50×1.1である磁性キャリアを対象とし、この範囲となる断面サンプルを100個準備する。
2、磁性キャリアの多孔質磁性コア由来の成分と樹脂成分の分析
走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、S4700)を用い、上記磁性キャリア断面サンプルの磁性成分及び樹脂成分の元素を、走査型電子顕微鏡に付属の元素分析手段(エネルギー分散型X線分析装置 EDAX社製)を用いて解析する。
観察倍率を10000倍以上にして、磁性成分のみで構成された領域に対し、加速電圧20kV、取り込み時間100secで観測を行い、多孔質磁性コア由来の成分中の元素を特定する。同様にして、樹脂成分中の元素も特定する。
多孔質磁性コア由来の成分とは、上記で特定した元素であるが、酸素に関しては、多孔質磁性コア由来の成分、樹脂成分のどちらにも含有されており、含有比率を特定するのは困難な為、多孔質磁性コア由来の成分から排除する。つまり本発明における多孔質磁性コア由来の成分とは、多孔質磁性コアを構成するフェライト中の金属元素とする。
樹脂成分とは、上記で特定した元素であるが、酸素に関しては、磁性成分、樹脂成分のどちらにも含有されており、含有比率を特定するのは困難な為、樹脂成分から排除する。また、本発明で用いたエネルギー分散型X線分析装置では、水素を特定することができない為、水素も樹脂成分から排除する。つまり本発明においては、炭素、水素、酸素で構成されたアクリル系樹脂を用いる場合、その樹脂成分となる元素は、炭素のみとする。またシリコーン樹脂の場合は、炭素とケイ素とする。
3、断面の金属成分存在率と樹脂存在率の測定
走査型電子顕微鏡を用い、上記磁性キャリア断面を2000倍に拡大して観察する。
得られた断面画像において、樹脂充填型磁性コア粒子の最大長となる線分と平行であり、前記線分と2.5μm離れた2本の直線をA及びBとする。前記線分と樹脂充填型磁性コア粒子の輪郭線との交点を通り、前記線分と直交する直線Cと、前記直線Cと平行であり、磁性キャリアの中心方向に向けて前記直線Cから5.0μm離れた直線Dを想定する。
前記直線A・B間の樹脂充填型磁性コア粒子の輪郭線と、直線A、B及びDとに囲まれ、かつ直線Cと接している領域をR1とする。
このように領域を区切ることで、被覆樹脂成分の影響を極力抑えた条件で測定できる。
また、前記直線A、B、Dと、前記直線Dと平行であり、磁性キャリアの中心方向に向けて前記直線Dから5.0μm離れた直線Eとに囲まれた領域をR2とする。
それぞれ、R1、R2の領域に対し、元素分析手段を用い、加速電圧20kV、取り込み時間100secで元素の質量比率(質量%)を測定する。
例えば、磁性コア粒子の成分がMn−Mg−Sr系フェライトであり、シリコーン樹脂が充填され、アクリル系樹脂が被覆された磁性キャリアの場合、金属成分の元素は鉄、マンガン、マグネシウム、ストロンチウムであり、樹脂成分の元素は、炭素とケイ素となる。この時のR1領域の炭素とケイ素の元素の質量比率(質量%)の合計質量比率がJR1であり、鉄、マンガン、マグネシウム、ストロンチウムの元素の質量比率(質量%)の合計質量比率がFR1となる。また、R2領域の炭素とケイ素の元素の質量比率(質量%)の合計質量比率がJR2となり、鉄、マンガン、マグネシウム、ストロンチウムの元素の質量比率(質量%)の合計質量比率がFR2となる。
以上の値から磁性キャリア1粒子のMR2/MR1を算出し、100粒子の断面測定のうち上下10点をカットした80粒子分の相加平均値を磁性キャリア断面のMR2/MR1とする。
<重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター M
ultisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いた。実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行った。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れる。この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、分析/個数統計値(算術平均)画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<微粉量の算出方法>
トナー中の個数基準の微粉量(個数%)は、以下のようにして算出する。
例えば、トナー中の4.0μm以下の粒子の個数%は、前記のMultisizer 3の測定を行った後、(1)専用ソフトでグラフ/個数%に設定して測定結果のチャートを個数%表示とする。(2)書式/粒径/粒径統計画面における粒径設定部分の「<」に
チェック、その下の粒径入力部に「4」を入力する。そして、(3)分析/個数統計値(算術平均)画面を表示したときの「<4μm」表示部の数値が、トナー中の4.0μm以下の粒子の個数%である。
<粗粉量の算出方法>
トナー中の体積基準の粗粉量(体積%)は、以下のようにして算出する。
例えば、トナー中の10.0μm以上の粒子の体積%は、前記のMultisizer
3の測定を行った後、(1)専用ソフトでグラフ/体積%に設定して測定結果のチャートを体積%表示とする。(2)書式/粒径/粒径統計画面における粒径設定部分の「>」にチェック、その下の粒径入力部に「10」を入力する。そして、(3)分析/体積統計値(算術平均)画面を表示したときの「>10μm」表示部の数値が、トナー中の10.0μm以上の粒子の体積%である。
<磁性キャリアの充填樹脂の量の測定>
例えば、被覆樹脂がトルエンに溶解せず、充填樹脂として熱可塑性樹脂を用いている場合、磁性キャリアから以下の方法で充填樹脂の量を測定することができる。
A 測定対象となる試料を約5g秤量し、乳鉢で十分にすりつぶす。
B 100mlビーカーを精秤(測定値1)した後、測定対象となる試料約5gを入れ、試料とビーカーとの合計質量を精秤する(測定値2)。
C トルエン約50mlをビーカーに入れ、超音波振とう機で5分間振とうする。
D 振盪終了後数分静置し、ビーカー内の試料を、ネオジム磁石で20回ビーカー底部をなぞる様に攪拌した後、充填樹脂の溶解したトルエン溶液のみを廃液として流す。
E ビーカー内の試料を外側からネオジム磁石で保持したまま、再度トルエン約50mlをビーカーに入れ、上記B、Cの操作を10回繰り返す。
F 溶媒をクロロホルムに変えてさらに上記B、Cの操作を1回行う。
G ビーカーごと真空乾燥機に投入し、溶媒を乾燥除去させる(真空乾燥機は溶剤トラップのついたものを用い、温度50℃、真空度−0.093Mpa以下、乾燥時間12時間で実施する)。
H 真空乾燥機からビーカーを取り出し、約20分間放置して冷却した後、質量を精秤する(測定値3)。
I 以上のようにして得られた測定値から、下記式にしたがって、充填量(質量%)
を算出する。
充填樹脂量=(初期試料重量−充填樹脂溶解後試料重量)/試料重量×100
上記式中、試料重量は(測定値2−測定値1)を、充填樹脂溶解後試料重量は(測定値3−測定値1)を、それぞれ計算することで求められる。
<磁性キャリアの被覆樹脂の量の測定>
例えば、充填樹脂がトルエンに溶解せず、被覆樹脂として熱可塑性樹脂を用いている場合、磁性キャリアから以下の方法で被覆樹脂の量を測定することができる。
A 100mlビーカーを精秤(測定値1)した後、測定対象となる試料約5gを入れ、試料とビーカーとの合計質量を精秤する(測定値2)。
B トルエン約50mlをビーカーに入れ、超音波振とう機で5分間振とうする。
C 振盪終了後数分静置し、ビーカー内の試料を、ネオジム磁石で20回ビーカー底部をなぞる様に攪拌した後、被覆樹脂の溶解したトルエン溶液のみを廃液として流す。
D ビーカー内の試料を外側からネオジム磁石で保持したまま、再度トルエン約50mlをビーカーに入れ、上記B、Cの操作を10回繰り返す。
E 溶媒をクロロホルムに変えてさらに上記B、Cの操作を1回行う。
F ビーカーごと真空乾燥機に投入し、溶媒を乾燥除去させる(真空乾燥機は溶剤トラップのついたものを用い、温度50℃、真空度−0.093Mpa以下、乾燥時間12時間で実施する)。
G 真空乾燥機からビーカーを取り出し、約20分間放置して冷却した後、質量を精秤する(測定値3)。
H 以上のようにして得られた測定値から、下記式にしたがって、被覆樹脂量(質量%)を算出する。
被覆樹脂量=(初期試料質量−被覆樹脂溶解後試料質量)/試料質量×100
上記式中、試料質量は(測定値2−測定値1)を、被覆樹脂溶解後試料質量は(測定値3−測定値1)を、それぞれ計算することで求められる。
以下、実施例を参照して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。以下の処方において、部は特に断りのない限り質量基準である。
<多孔質磁性コア1〜10、及び磁性コア1の製造例>
工程1(秤量・混合工程)
Fe 69.3質量%
MnCO3 27.5質量%
Mg(OH) 1.7質量%
SrCO 1.5質量%
上記フェライト原材料を秤量し、フェライト原料80部に水20部を加え、その後、直径(φ)10mmのジルコニアを用いてボールミルで3時間湿式混合しスラリーを調製した。スラリーの固形分濃度は、80質量%とした。
工程2(仮焼成工程)
混合したスラリーをスプレードライヤー(大川原化工機社製)により乾燥した後、バッチ式電気炉で、窒素雰囲気下(酸素濃度1.0体積%)、温度1070℃で3.0時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。
工程3(粉砕工程)
仮焼フェライトをクラッシャーで0.5mm程度に粉砕した後に、水を加え、スラリーを調製した。スラリーの固形分濃度を70質量%とした。1/8インチのステンレスビーズを用いた湿式ボールミルで3.5時間粉砕し、スラリーを得た。さらにこのスラリーを直径1mmのジルコニアを用いた湿式ビーズミルで4時間粉砕し、体積基準の50%粒子径(D50)が1.1μm仮焼フェライトスラリーを得た。
工程4(造粒工程)
上記仮焼フェライトスラリー100部に対し、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0部、バインダーとしてポリビニルアルコール1.5部を添加した後、スプレードライヤー(大川原化工機社製)で球状粒子に造粒、乾燥した。得られた造粒物に対して、粒度調整を行った後、ロータリー式電気炉を用いて720℃で2時間加熱し、分散剤やバインダー等の有機物を除去した。
工程5(焼成工程)
窒素雰囲気下(酸素濃度1.0体積%)で、室温から焼成温度(1100℃)になるまでの時間を1.7時間とし、温度1180℃で4.5時間保持し、焼成した。その後、8時間をかけて温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
工程6(選別工程)
凝集した粒子を解砕した後に、目開き150μmの篩で篩分して粗大粒子を除去、風力分級を行い微粉を除去し、さらに磁力選鉱により低磁力分を除去して多孔質磁性コア1を得た。得られた多孔質磁性コア1は、多孔質状で孔を有していた。物性を表1に示す。
多孔質磁性コア1の製造例のうち、各工程の焼成温度、または焼成時間を変更して多孔質磁性コア2〜10を製造した。また、磁性コア1を、工程5の焼成温度を調整して作製した。得られた多孔質磁性コア2〜10、及び磁性コア1の物性を表1に示す。
Figure 0006914773
<樹脂組成物(充填樹脂)1〜4の製造>
樹脂成分としてメチルシリコーンオリゴマー(KR−400:信越シリコーン(株)社製)を、添加剤としてγ―アミノプロピルトリエトキシシラン(KBM−903:信越シリコーン(株)社製)を用い、表2に記載の比率で混合することで、充填樹脂1を得た。
また、メチルシリコーンオリゴマー(KR−400:信越シリコーン(株)社製)のみの充填樹脂を充填樹脂2とした。
樹脂成分としてメチルフェニルシリコーンオリゴマー(KR−401:信越シリコーン(株)社製)を用いること以外は充填樹脂1と同様にして、充填樹脂3を得た。
また、樹脂成分としてメチルシリコーンレジン(KR−251:信越シリコーン(株)社製)を用い、溶媒成分としてトルエンを用いること以外は充填樹脂1と同様にして、充填樹脂4を得た。
<被覆樹脂A−1〜A−3の製造>
表3に記載の原料(合計109.0部)を、還流冷却器、温度計、窒素吸い込み管及びすり合わせ方式撹拌装置を配した4ツ口フラスコに添加し、更にトルエン100部、メチルエチルケトン100部、アゾビスイソバレロニトリル2.4部を加え、窒素気流下80℃で10時間保ち、被覆用樹脂A−1溶液(固形分35質量%)を得た。
また、表3に記載の原料を用いて、同様にして被覆用樹脂A−2〜A−3を得た。物性を表3に示す。
<被覆樹脂B−1〜B−7の製造>
表4に記載の原料(合計101.6部)を、還流冷却器、温度計、窒素吸い込み管及びすり合わせ方式撹拌装置を配した4ツ口フラスコに添加し、更にトルエン50部、メチルエチルケトン100部、アゾビスイソバレロニトリル2.4部を加え、窒素気流下80℃で10時間保ち、被覆用樹脂B−1溶液(固形分40質量%)を得た。
また、表4に記載の原料を用いて、同様にして被覆用樹脂B−2〜B−7を得た。物性を表4に示す。
<磁性キャリア1〜22の製造例>
工程1(充填工程)
多孔質磁性コア1を、100部混合撹拌機(ダルトン社製の万能撹拌機NDMV型)の
撹拌容器内に入れ、60℃に温度を保ち、常圧で表2に示す樹脂組成物1を、多孔質磁性コアに滴下した。
滴下終了後、時間を調整しながら撹拌を続け、70℃まで温度を上げ、多孔質磁性コアの粒子内に樹脂組成物を充填した。
冷却後得られた樹脂充填型磁性コア粒子を、回転可能な混合容器内にスパイラル羽根を有する混合機(杉山重工業社製のドラムミキサーUD−AT型)に移し、窒素雰囲気下で、2℃/分の昇温速度で、攪拌しながら表2に示す樹脂組成物1の硬化温度まで上昇させた。その後、表2に示す硬化温度のまま、表2に示す硬化時間で加熱撹拌を続けた。
その後室温まで冷却し、樹脂が充填、硬化されたフェライト粒子を取り出し、磁力選鉱機を用いて、非磁性物を取り除いた。さらに、振動篩にて粗大粒子を取り除き樹脂が充填された樹脂充填型磁性コア粒子を得た。
工程2(樹脂被覆工程)
表3、及び表4に示す被覆用樹脂(A−1及びB−1)を、表5に示す比率で、樹脂成分が5%になるようにトルエンで希釈し、充分に攪拌された樹脂溶液を準備した。その後温度60℃で維持されている遊星運動型混合機(ホソカワミクロン社製のナウタミキサVN型)に、樹脂充填型磁性コア粒子100部に対して、上記樹脂成分の固形分として表6に示す被覆樹脂量になるように樹脂溶液を投入した。投入の仕方として、1/2の量の樹脂溶液を投入し、30分間溶媒除去及び塗布操作を行った。次いで、さらに1/2の量の樹脂溶液を投入し、40分間溶媒除去及び塗布操作を行った。
その後被覆樹脂組成物で被覆された磁性キャリアを回転可能な混合容器内にスパイラル羽根を有する混合機(杉山重工業社製のドラムミキサーUD−AT型)に移した。混合容器を1分間に10回転させて撹拌しながら、窒素雰囲気下に温度120℃で2時間熱処理した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口150μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、磁性キャリア1を得た。
表6に記載の磁性コア及び樹脂組成物(充填樹脂)を用い、さらに表5及び6に示す処方で被覆樹脂層の形成を行った以外は同様にして、磁性キャリア2〜22を得た。なお、磁性キャリア22は工程1を行わなかった。得られた磁性キャリアの各物性値を表6に示す。
Figure 0006914773
Figure 0006914773
Figure 0006914773
Figure 0006914773
Figure 0006914773
[結晶性ポリエステル樹脂の合成]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、1,6−ヘキサンジオール1200部、デカン二酸1200部、触媒としてジブチル錫オキサイド0.4部を入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスで不活性雰囲気とし、機械攪拌により180rpmで4時間攪拌を行った。その後、減圧下で210℃まで徐々に昇温して1.5時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷して反応を停止させ[結晶性ポリエステル樹脂]を得た。
〔シアントナーの製造例〕
・上記結晶性ポリエステル樹脂 7部
・結着樹脂 93部
(Tg:57℃、酸価:12mgKOH/g、水酸基価:15mgKOH/gのポリエステル(2価アルコール成分:ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 0.20モル
多価カルボン酸成分:テレフタル酸 0.17モル 無水トリメリット酸 0.01モル))
・C.I.ピグメントブルー15:3 5.5部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.2部
・ノルマルパラフィンワックス(融点:78℃) 6部
上記の処方の材料を、ヘンシェルミキサー(FM−75J型、三井鉱山(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した2軸混練機(商品名:PCM−30型、池貝鉄鋼(株)製)にて10kg/hrのFeed量で混練(吐出時の混練物温度は150℃)した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗砕した後、機械式粉砕機(商品名:T−250、ターボ工業(株)製)にて15kg/hrのFeed量で微粉砕した。そして、重量平均粒径が5.5μmであり、粒径4.0μm以下の粒子を55.6個数%含有し、粒径10.0μm以上の粒子を0.8体積%含有する粒子を得た。
得られた粒子を回転式分級機(商品名:TTSP100、ホソカワミクロン(株)製)にて、微粉及び粗粉をカットする分級を行った。重量平均粒径が6.0μmであり、粒径4.0μm以下の粒子の存在率が27.8個数%、かつ粒径10.0μm以上の粒子の存在率が2.2体積%であるシアントナー粒子1を得た。
さらに、下記材料をヘンシェルミキサー(商品名:FM−75型、日本コークス工業(株)製)に投入し、回転羽根の周速を35.0(m/秒)とし、混合時間3分で混合することにより、シアントナー粒子1の表面に、外添剤を付着させてシアントナー1を得た。・シアントナー粒子1: 100部
・シリカ粒子: 3.5部
(ゾルゲル法で作製したシリカ粒子にヘキサメチルジシラザン1.5質量%で表面処理した後、分級によって所望の粒度分布に調整したもの)
・酸化チタン粒子: 0.9部
(アナターゼ形の結晶性を有するメタチタン酸をオクチルシラン化合物で表面処理したもの。)
・チタン酸ストロンチウム粒子: 1.0部
(オクチルシラン化合物で表面処理したもの。)
<実施例1〜17、及び比較例1〜5>
91部の磁性キャリア1に対し、シアントナー1を9部加え、振とう機(YS−8D型:(株)ヤヨイ製)にて振とうし、二成分系現像剤200gを調製した。振とう機の振幅条件は200rpm、2分間とした。
一方、5部の磁性キャリア1に対し、シアントナー1を95部加え、常温常湿23℃/50%RHの環境において、V型混合機により5分間混合し、補給用現像剤を得た。
同様にして、それぞれ磁性キャリア2〜17を用いて実施例2〜17の現像剤を得た。また、それぞれ磁性キャリア18〜22を用いて比較例1〜5の磁性キャリアを得た。
これらの二成分系現像剤及び補給用現像剤を用いて以下の評価を行った。
画像形成装置として、キヤノン製カラー複写機imageRUNNER ADVANCE C3330改造機を用いた。
現像器に二成分系現像剤を入れ、補給用現像剤を入れた補給用現像剤容器をセットし、画像を形成し、耐久試験前後での各種評価を行った。
耐久試験として、温度30℃/湿度80RH%(以下「H/H」)の印刷環境の下では、画像比率5%のFFH出力のチャートを、3枚間欠で出力した。また、温度23℃/湿度5RH%(以下「N/L」)の印刷環境の下では、画像比率1%のFFH出力のチャートを、3枚間欠で出力した。
FFHとは、256階調を16進数で表示した値であり、00hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFHが256階調の256階調目(ベタ部)である。
画像出力枚数は、各評価項目によって変更した。また1日の出力枚数を1000枚とした。
(条件)
紙:レーザービームプリンター用紙CS−680(68.0g/m)(キヤノンマーケティングジャパン株式会社)
画像形成速度:A4サイズ、35(枚/min)で出力(3枚間欠出力)
現像条件:現像コントラストを任意値で調整可能にし、本体による自動補正が作動しないように改造した。シアン単色で画像が出力できるように改造した。未定着画像が出力できるように改造した。
各評価項目を以下に示す。
(1)20000枚耐久前後の階調の変化
初期設定で、各パターンを以下に示す濃度に設定した画像を出力した。そして、上記HH環境下での、20000枚の耐久試験直後に同様の画像を出力し、初期と20000枚耐久試験直後の階調性のズレを確認した。画像はX−Riteカラー反射濃度計(Color reflection densitometer X−Rite 504)によりそれぞれの画像濃度を測定することにより判断した。評価はシアン単色で行った。
パターン1:0.10〜0.13
パターン2:0.25〜0.28
パターン3:0.40〜0.43
パターン4:0.55〜0.58
パターン5:0.70〜0.73
パターン6:0.85〜0.88
パターン7:1.00〜1.03
パターン8:1.15〜1.18
パターン9:1.30〜1.33
パターン10:1.45〜1.48
判断基準は、以下の通りである。
A:すべてのパターン画像が上記の濃度範囲を満足する。
B:一つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
C:二つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
D:三つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
E:四つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
F:五つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
G:六つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
H:七つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
I:八つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
J:九つ以上のパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
(2)HH耐久後、7日放置前後の階調の変化
(1)の評価におけるHH環境下での20000枚耐久試験の後、7日間HH環境で放置し、同様のパターン画像を出力した。放置前後の階調性のズレを確認した。画像はX−Riteカラー反射濃度計(Color reflection densitometer X−Rite 504)によりそれぞれの画像濃度を測定することにより判断した。評価はシアン単色で行った。
判断基準は、以下の通りである。
A:すべてのパターン画像が上記の濃度範囲を満足する。
B:一つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
C:二つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
D:三つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
E:四つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
F:五つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
G:六つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
H:七つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
I:八つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
J:九つ以上のパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
(3)HH耐久後、7日放置前後の画像の飛び散り性
(1)の評価におけるHH環境下での20000枚耐久試験直後に、図8に示す画像(ライン数19本、ライン幅100μm、間隔300μm、ライン長さ1.0cm)を未定着画像で3枚出力し、100℃のオーブンに3分間放置して定着させた。
この画像のラインを、ルーペを用いて観察し、ライン部分以外に、トナーが付着している飛び散りの個数をカウントした。3枚のうちの平均値を評価Zとした。評価基準は次の通りである。
A:飛び散りが19個以下
B:20個以上24個以下
C:25個以上29個以下
D:30個以上34個以下
E:35個以上39個以下
F:40個以上44個以下
G:45個以上49個以下
H:50個以上54個以下
I:55個以上59個以下
J:60個以上
(4)20000枚耐久前後の階調の変化
初期設定で、各パターンを以下に示す濃度に設定した画像を出力した。そして、上記NL環境下での、20000枚耐久試験直後に、同様の画像を出力し、初期と20000枚耐久試験直後の階調性のズレを確認した。画像はX−Riteカラー反射濃度計(Color reflection densitometer X−Rite 404A)によりそれぞれの画像濃度を測定することにより判断した。評価はシアン単色で行った。
パターン1:0.10〜0.13
パターン2:0.25〜0.28
パターン3:0.40〜0.43
パターン4:0.55〜0.58
パターン5:0.70〜0.73
パターン6:0.85〜0.88
パターン7:1.00〜1.03
パターン8:1.15〜1.18
パターン9:1.30〜1.33
パターン10:1.45〜1.48
判断基準は、以下の通りである。
A:すべてのパターン画像が上記の濃度範囲を満足する。
B:一つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
C:二つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
D:三つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
E:四つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
F:五つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
G:六つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
H:七つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
I:八つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
J:九つ以上のパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる。
(5)総合判定
上記評価Sから評価Zにおける評価ランクを数値化し(A=10、B=9、C=8、D=7、E=6、F=5、G=4、H=3、I=2、J=1)、合計値について以下の基準により判定を行った。
A:38以上40以下
B:34以上37以下
C:28以上33以下
D:22以上27以下
E:21以下
結果を表7に示す。
Figure 0006914773
1、1K、1Y、1C、1M:静電潜像担持体、2、2K、2Y、2C、2M:帯電器
、3、3K、3Y、3C、3M:露光器、4、4K、4Y、4C、4M:現像器、5:現像容器、6、6K、6Y、6C、6M:現像剤担持体、7:マグネット、8:規制部材、9:中間転写体、10K、10Y、10C、10M:中間転写帯電器、11:転写帯電器、12:転写材(記録媒体)、13:定着器、14:中間転写体クリーナー、15、15K、15Y、15C、15M:クリーナー、16:前露光、17:円筒状容器、18:下部電極、19:支持台座、20:上部電極、21:磁性キャリア又は多孔質磁性コア、22:エレクトロメーター、23:処理コンピュータ、d1:試料が無い時の間隙、d2:試料を充填した時の間隙

Claims (14)

  1. 多孔質磁性コアと、該多孔質磁性コアの空孔に存在する充填樹脂とを有する樹脂充填型磁性コア粒子、及び、
    該樹脂充填型磁性コア粒子の表面に存在する樹脂被覆層、
    を有する磁性キャリアであって、
    該多孔質磁性コアの細孔径分布において、
    0.1μm以上3.0μm以下の範囲における微分細孔容積が最大となるピーク細孔径が、0.20μm以上0.70μm以下であり、
    0.1μm以上3.0μm以下の範囲における微分細孔容積の積分値である細孔容積が、20mm/g以上57mm/g以下であり、
    該磁性キャリアは、以下のように定義される領域R1及び領域R2における元素分析により求められる元素の存在比率に関し
    樹脂成分由来の組成の質量基準の割合をそれぞれJR1及びJR2とし、該多孔質磁性コア由来の組成の質量基準の割合をそれぞれFR1及びFR2とし、
    さらにJR1/FR1をMR1、JR2/FR2をMR2としたとき、
    該MR1と該MR2とが、
    0.20≦MR2/MR1≦0.90
    の関係を満たすことを特徴とする磁性キャリア。
    (領域R1は、該磁性キャリアの断面画像において、該樹脂充填型磁性コア粒子の最大長となる線分を引き、該線分と平行であり、該線分と2.5μm離れた2本の直線を直線A及びBとし、
    該線分と該樹脂充填型磁性コア粒子の輪郭線との交点を通り、該線分と直交する直線を直線Cとし、
    該直線Cと平行であり、磁性キャリアの中心方向に向けて該直線Cから5.0μm離れた直線を直線Dとしたときに、
    該樹脂充填型磁性コア粒子の輪郭線と、該直線A、B及びDとに囲まれ、かつ該直線Cに接している領域である。
    領域R2は、該直線A、B、Dと、該直線Dと平行であり、磁性キャリアの中心方向に向けて該直線Dから5.0μm離れた直線Eとに囲まれた領域である。)
  2. 前記充填樹脂の含有量が、前記多孔質磁性コア100質量部に対して、1.0質量部以上6.0質量部以下である請求項1に記載の磁性キャリア。
  3. 前記樹脂被覆層を形成する被覆樹脂の含有量が、前記樹脂充填型磁性コア粒子100質量部に対して、0.5質量部以上3.0質量部以下である請求項1又は2に記載の磁性キャリア。
  4. 前記磁性キャリアの500V印加時の電流値が、10.0μA以上100.0μA以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁性キャリア。
  5. 前記樹脂被覆層は、少なくとも脂環式の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、該脂環式の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル以外のその他の(メタ)アクリル系モノマー、及びマクロモノマーの共重合体であり、
    該マクロモノマーは、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルから選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体である請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁性キャリア。
  6. 前記樹脂被覆層は、
    i)脂環式の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及びマクロモノマーを含むモノマーの共重合体であって、酸価が0.0mgKOH/g以上3.0mgKO
    H/g以下の被覆用樹脂Aと、
    ii)該脂環式の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル以外の、その他の(メタ)アクリル系モノマーの重合体であって、酸価が3.5mgKOH/g以上50.0mgKOH/g以下の被覆用樹脂Bと、を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁性キャリア。
  7. 前記磁性キャリアの電界強度2000V/cmにおける比抵抗が、1.0×10Ω・cm以上1.0×1010Ω・cm以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載の磁性キャリア。
  8. 前記充填樹脂がシリコーン樹脂である請求項1〜7のいずれか一項に記載の磁性キャリア。
  9. 結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有するトナーと、磁性キャリアとを含有する二成分系現像剤であって、
    該磁性キャリアが、請求項1〜8のいずれか一項に記載の磁性キャリアである二成分系現像剤。
  10. 前記トナーが、結晶性ポリエステルを含有する、請求項9に記載の二成分系現像剤。
  11. 静電潜像担持体を帯電する帯電工程、
    該静電潜像担持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程、
    該静電潜像を二成分系現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像工程、
    該トナー像を中間転写体を介して又は介さずに、転写材に転写する転写工程、及び
    転写された該トナー像を該転写材に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
    該二成分系現像剤が、請求項9又は10に記載の二成分系現像剤である画像形成方法。
  12. 現像器内の二成分系現像剤のトナー濃度の低下に応じて、補給用現像剤が該現像器に補給される画像形成方法であって、
    該補給用現像剤が、磁性キャリアと、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有するトナーと、を含有し、
    該補給用現像剤は、該磁性キャリア1質量部に対して該トナーを2質量部以上50質量部以下含有し、
    該磁性キャリアは、請求項1〜8のいずれか一項に記載の磁性キャリアである画像形成方法。
  13. 静電潜像担持体を帯電する帯電工程、
    該静電潜像担持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程、
    該静電潜像を現像器内の二成分系現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像工程、
    該トナー像を中間転写体を介して又は介さずに、転写材に転写する転写工程、及び
    転写された該トナー像を該転写材に定着する定着工程を有し、
    該現像器内の該二成分系現像剤のトナー濃度の低下に応じて、補給用現像剤が該現像器に補給される画像形成方法に使用するための補給用現像剤であって、
    該補給用現像剤は、磁性キャリアと、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有するトナーと、を含有し、
    該補給用現像剤は、該磁性キャリア1質量部に対して該トナーを2質量部以上50質量部以下含有し、
    該磁性キャリアは、請求項1〜8のいずれか一項に記載の磁性キャリアである補給用現像剤。
  14. 静電潜像担持体を帯電する帯電工程、
    該静電潜像担持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程、
    該静電潜像を現像器内の二成分系現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像工程、
    該トナー像を中間転写体を介して又は介さずに、転写材に転写する転写工程、及び
    転写された該トナー像を該転写材に定着する定着工程を有する請求項12に記載の画像形成方法。
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