以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して、本発明の第1実施の形態におけるドラムヘッド10について説明する。図1(a)は、第1実施の形態におけるドラムヘッド10の上面図であり、図1(b)は、ドラムヘッド10の下面図である。図2(a)は、図1(a)のIIa−IIa線におけるドラムヘッド10の断面図であり、図2(b)は、図1(a)のIIb−IIb線におけるドラムヘッド10の断面図である。なお、図1(b)では、膜体11,12の外周部11b,12bの形状を2点鎖線で模式的に図示し、図2(a)及び図2(b)では、図面を簡素化して説明をわかりやすくするため、膜体11,12、ピン痕21a,ゲート痕22aの形状を模式的に図示している。
図1及び図2に示すように、ドラムヘッド10は、後述するドラム100(図3参照)を構成する部品の1つであり、伸縮可能な網状素材から構成される2枚の膜体11,12と、それら2枚の膜体11,12の外周部分に固着されると共に樹脂材料から構成される円環状の枠体20とを備え、膜体11,12と枠体20とが後述する金型50(図5参照)を用いた射出成形により一体的に形成されている。なお、ドラムヘッド10の製造方法については後述する。
膜体11,12は、演奏者により打撃される打撃面として構成される打面部11a,12aと、その打面部11a,12aの外周側に位置する外周部11b,12bとを備え、枠体20の内周側に打面部11a,12aを露出させた状態で外周部11b、12bが枠体20に固着されている。
2枚の膜体11,12は、平織り又は綾織りにより織られ、互いに織り目の方向が斜交するように積層されている。2枚の膜体11,12のうち、一方の膜体11は、他方の膜体12よりも外径が小さく設定され、他方の膜体12は、一方の膜体11よりも大きな弛みを持たせた状態で外周部12bが枠体20に固着されている。
膜体11,12は、外周部11b,12bの外縁部分が枠体20の内部に配置された状態で、即ち、外周部11b,12bの全体が枠体20の内部に配置された状態で枠体20に固着されている。よって、成形された枠体20の外側面から外周部11b,12bがはみ出ることを回避できる。即ち、枠体20を金型成形した後に、枠体20の外側面からはみ出た外周部11b,12bを切除する工程が不要なので、ドラムヘッド10の製造工数の低減を図ることができる。また、枠体20の外側面に外周部11b,12bを切除した痕跡が残存することを防止できるので、ドラムヘッド10の見栄えを良くすることができる。
膜体11,12の打面部11a,12aは、弛みなく広げた状態における形状が略真円となるように形成され、ドラム100の胴部30(図4(a)参照)の開口する上面側にドラムヘッド10を張設した場合に、打面部11a,12a全体に対して張力が均等に付与されるように構成されている。
枠体20は、その上面側に凹設された上肉盗み部21と、枠体20の下面側に凹設された下肉盗み部22とをそれぞれ複数備えている。これにより、金型成形(射出成形)された後の枠体20にヒケが発生することを抑制できると共に、枠体20の肉厚を薄くして射出成形後の樹脂材料が冷却されて固化されるまでの時間を短縮できる。
枠体20は、上肉盗み部21に複数のピン痕21aが形成されている。このピン痕21aは、金型成形時において金型50の上型70に設けられた固定ピン77(図7(a)参照)で外周部11b,12bの上面側を押さえつつ枠体20を射出成形したことにより残存する痕跡である。
なお、枠体20の下面側のうち、ピン痕21aが形成されている位置と対応する位置には下肉盗み部22が形成されている。
また、枠体20の下面側のうち、下肉盗み部22の内壁面にはゲート痕22aが形成されている。このゲート痕22aは、金型成形時において金型50の下型60に設けられたゲート69(図6(a)参照)と対応する位置に形成されており、ゲート69から樹脂材料から注入されたことにより残存する痕跡である。ゲート痕22aが下肉盗み部22の内壁面に形成されるので、ドラムヘッド10の外観上、ゲート痕22aを目立ちにくくすることができる。よって、ドラムヘッド10の見栄えを良くすることができる。
さらに、枠体20には、後述する締付ボルト40(図3参照)が係止可能な係止部23が周方向等間隔に6か所形成されており、各々の係止部23には締付ボルト40が挿通可能なボルト孔24が穿設されている。これにより、枠体20に対し、ボルト孔が形成された別の部材を枠体20に装着することが不要となるので、ドラム100(図3参照)の部品点数を減らすことができる。
なお、枠体20に使用される樹脂材料としては、ABSやポリカーボネートなどが例示される。また、本実施の形態では係止部23及びボルト孔24が6か所形成されているが、係止部23及びボルト孔24を5か所以下または7か所以上形成してもよい。
ここで、膜体11,12は、外周部11b,12bの外縁部分が複数のボルト孔24の中心を通る仮想円VCよりも外周側に配置されている。これにより、外周部11b,12bが枠体20に固着される部分を多く確保することができるので、膜体11,12と枠体20との固着強度を高めることができる。
さらに、枠体20のうち外周部11b,12bよりも外周側に位置する部分は、膜体11,12がない分、枠体20の上下の結合力が強固になるので、枠体20の強度を高めることができる。
また、膜体11,12には、外周部11b,12bのうちゲート痕22aが形成される位置と対応する位置に第1切除部11c,12cが切除形成され、外周部11b,12bのうちボルト孔24が形成される位置と対応する位置に第2切除部11d,12dが切除形成されている。
次に、図3及び図4を参照して、ドラムヘッド10を用いたドラム100について説明する。図3は、ドラム100の上面図である。図4(a)は、図3のIVa−IVa線におけるドラム100の断面図であり、図4(b)は、ドラム100の部分拡大断面図である。
図3及び図4に示すように、ドラム100は、アコースティックスネアドラムを模した打楽器であり、ドラムヘッド10と、そのドラムヘッド10が張設される胴部30と、その胴部30にドラムヘッド10を締付固定する締付ボルト40とを主に備えて構成されている。
胴部30は、ドラム100の骨格をなす部材であり、樹脂材料により略中空円筒状に形成されている。胴部30は、底面をなす底部31と、その底部31の外周縁に立設される円筒状の外周立設部32と、その外周立設部32の内側で底部31に立設される円筒状の内周立設部33と、それら外周立設部32及び内周立設部33の間に形成されるめねじ部34とを主に備えて構成されている。
外周立設部32は、胴部30の側壁を構成する部位であり、外周立設部32の上端は、演奏者がリムショット演奏を行う際に打撃するリム部として構成されている。なお、外周立設部32の上端には、ゴム状弾性体から構成されたリムカバー35が覆設されている。演奏者がリムショットを行う際には、外周立設部32の上端に覆設されたリムカバー35が打撃されるので、その打撃による衝撃で胴部30が破損することを回避できる。
内周立設部33は、膜体11,12の打面部11a,12aを支持する部位である。内周立設部33の外径は枠体20の内径よりも小さな寸法に設定され、内周立設部33の上端が外周立設部32の上端よりも下方に位置している。
めねじ部34は、締付ボルト40が螺合結合される部位である。めねじ部34は、胴部30の周方向等間隔に6か所形成され、胴部30の上下方向(図4(a)上下方向)に沿って穿設された孔の内周面に、締付ボルト40が螺合可能なめねじが配設されている。
締付ボルト40は、めねじ部34に螺合結合させることにより、膜体11,12の打面部11a,12aに張力を付与するための部材であり、枠体20の係止部23に係合可能に形成されている。
ドラムヘッド10は、枠体20のボルト孔24に挿通させつつ係止部23に係止させた締付ボルト40をめねじ部34に螺合結合させると、枠体20が下方へ押圧されると共に打面部11a,12aを構成する網状素材が伸張し、打面部11a,12aに張力が付与される。
ここで、他の膜体12は、打面部12aが一の膜体11の打面部11aよりも大きく弛みを持たせた状態で外周部12bが枠体20に固着されている。よって、ドラムヘッド10を胴部30に張設した状態において一の膜体11の打面部11aに付与される張力と他の膜体12の打面部12aに付与される張力とを異ならせることができる。
従って、打面部11a,12aが打撃されると、一の膜体11の打面部11aと他の膜体12の打面部12aとには異なる振動が発生する。このとき、一の膜体11の打面部11aと他の膜体12の打面部12aとが互いの振動を打消し合う。これにより、打面部11a,12aの振動を早期に減衰させることができるので、打面部11a,12aへの打撃により発生する打撃音を低減させることができる。
なお、本実施の形態では、枠体20の内径と内周立設部33の外径との寸法差または一の膜体11から枠体20の上面までの高さ寸法が、枠体20を押し下げて一の膜体11に適度な張力を付した状態において、枠体20の上面と内周立設部33に張設された一の膜体11とが略同一平面上に位置するように設定されている。
ここで、従来のドラムは、フィルムから構成された打面部を有するアコースティックドラムのドラムヘッドの製法に倣い、膜体の外縁部分に金属製のヘッド枠が固着されたドラムヘッドと、係止部およびボルト孔が形成された円環状のフープとが別々に形成され、胴部30の開口する上面側にドラムヘッドの打面部を載置し、ヘッド枠を介してドラムヘッドの外周部を円環状のフープで押圧することによって打面部に張力を付与していた。
これに対し、本実施の形態におけるドラムヘッド10では、枠体20に係止部23及びボルト孔24が形成されることによって、従来のドラムにおけるヘッド枠とフープとを枠体20に兼用させることができる。即ち、フープが枠体20と一体的に形成されているのでドラム100の部品点数を減らすことができる。
また、従来のドラムヘッドでは、膜体の外周部分が鉄芯に巻き付けられた状態で金属製のヘッド枠にかしめ固定されることにより製造されていた。これに対し、本実施の形態では、枠体20を樹脂材料から構成し、枠体20を金型成形する際に、膜体11,12の外周部11b,12bを枠体20に固着させることにより、打面部11a,12aと枠体20とが一体的に形成されたドラムヘッド10が製造される。
このように、ドラムヘッド10は、従来のドラムヘッドと比べて、製造工程を簡素化して製造コストを抑制することができるので、ドラムヘッド10及びそのドラムヘッド10を用いたドラム100の製造コストの抑制を図ることができる。
次に、図5から図9を参照して、金型50を用いたドラムヘッド10の製造方法について説明する。まず、図5を参照して、金型50の全体構造について説明する。図5は、金型50の分解斜視図である。
図5に示すように、金型50は、上下に型締めされる下型60及び上型70と、それら下型60及び上型70の内部に収容可能な一対の挟持部材80とを備えている。
一対の挟持部材80は、2枚の膜体11,12を固定した状態で下型60及び上型70の内部に収容するための治具であり、下型60側に配設される下挟持部材81と、上型70側に配設される上挟持部材82とを備えている。なお、一対の挟持部材80の詳細な構成については後述する。
ドラムヘッド10は、枠体20を金型成形する際に、2枚の膜体11,12の打面部11a,12aを露出させた状態で外周部11b,12bを枠体20に固着させることにより一体的に形成されるものであり、下型60と上型70との間に2枚の膜体11,12を配置した状態で金型50を型締めする。このとき、打面部11a,12aを一対の挟持部材80によって挟持固定し、一対の挟持部材80の外周側から露出する膜体11,12の外周部11b,12bを金型50のキャビティCA(図9参照)内に配置する。
その後、キャビティCA内に加熱溶融された樹脂材料を注入し、冷却して樹脂材料を固化させると、外周部11b,12bが枠体20に固着され、打面部11a,12aと枠体20とが一体的に形成されたドラムヘッド10が製造される。以下において詳細に説明する。
次に、図6を参照して、下型60について説明する。図6(a)は、下型60の斜視図であり、図6(b)は、下型60の上面図である。
図6に示すように、下型60は、下本体部61と、その下本体部61に着脱可能に嵌合される突出し体62とを備えている。
下本体部61は、その上面側(図6(b)紙面手前側)から視た外形が略正方形状に形成されており、下本体部61の外縁部分に位置する突出し体収容部63と、その突出し体収容部63の内周側に形成される上面視円環状の下キャビティ形成部64と、その下キャビティ形成部64の内周側に上方へ向けて凸設形成される下挟圧部65と、その下挟圧部65の内周側に下方へ向けて凹設形成される下挟持部材収容部66と、を備えている。
突出し体収容部63は、突出し体62が収容される部位であり、下キャビティ形成部64に連設される突出し体収容部63の外側面が上方(図6(b)紙面手前側)へ向けて縮径するテーパ状に形成されている。
下キャビティ形成部64は、下型60と上型70とを型締めした際にキャビティCA(図9参照)の一部を構成する部位である。下キャビティ形成部64には、周方向等間隔に並設された複数のボルト孔形成部67と、それら複数のボルト孔形成部67の間に並設された複数の下肉盗み形成部68とがそれぞれ凸設形成されている。
ボルト孔形成部67は、枠体20にボルト孔24(図1(a)参照)を形成するための部位であり、本実施の形態ではボルト孔形成部67が6個形成されている。
下肉盗み形成部68は、枠体20に下肉盗み部22(図1(b)参照)を形成するための部位であり、本実施の形態では、隣り合うボルト孔形成部67の間に下肉盗み形成部68が5個形成されている。
また、隣り合うボルト孔形成部67の間に形成された5個の下肉盗み形成部68のうちの1の下肉盗み形成部68には、射出成形時に樹脂材料をキャビティCA内に注入するためのゲート69が、上方へ向けて開口形成されている。
下挟圧部65は、金型50の型締めにおいて膜体11,12の打面部11a,12aの外縁部分を下面側から固定するための部位であり、下キャビティ形成部64からの下挟圧部65の上端面の高さ位置が、下キャビティ形成部64からのボルト孔形成部67及び下肉盗み形成部68の上端面の高さ位置とほぼ同等になるように設定されている。
下挟持部材収容部66は、下挟持部材81(図8(a)参照)が収容される部位であり、下挟持部材収容部66の深さ寸法(図6(b)紙面垂直方向の寸法)及び内径は、下挟持部材81の高さ寸法(図8(a)における上下方向の長さ寸法)及び外径(図8(a)における左右方向の長さ寸法)よりも大きな寸法に設定されている。
突出し体62は、射出成形された枠体20を離型する際に使用されるものであり、外形が下本体部61よりも大きな略正方形状に形成されると共に、突出し体62の中央部分には上面視円形状の貫通孔62aが開口形成されている。
貫通孔62aは、その内径が上方へ向けて縮径するテーパ状に形成され、下本体部61のうち突出し体収容部63よりも内周側に位置する部位が貫通孔62aに内嵌可能に構成されている。また、突出し体62は、その上端面における貫通孔62aの内径が枠体20(図1(b)参照)の外径よりも小さな寸法に設定されており、下本体部61に嵌合された状態において突出し体62の上端面が下キャビティ形成部64と面一になるように形成されている。
次に、図7を参照して、上型70について説明する。図7(a)は、上型70の斜視図であり、図7(b)は、上型70の下面図である。
図7に示すように、上型70は、その外形が下面側(図7(b)紙面手前側)から視て略正方形状に形成されており、上型70の下面側における外縁部分に位置する突出し体対向面71と、その突出し体対向面71の内周側に上方へ向けて凹設形成される下面視円環状の上キャビティ形成部72と、その上キャビティ形成部72の内周側に下方へ向けて凸設形成される下面視円環状の上挟圧部73と、その上挟圧部73の内周側に上方へ向けて凹設形成される下面視円形状の上挟持部材収容部74と、その上挟持部材収容部74の中央部分に埋設される電磁石75とを備えている。
突出し体対向面71は、金型50の型締め時において突出し体62(図6(b)参照)の上端面に当接される部位であり、突出し体対向面71の内径が突出し体62の上端面における貫通孔62aの内径よりも大きな寸法に設定されている。
上キャビティ形成部72は、金型50の型締め時においてキャビティCA(図9参照)の一部を構成する部位であり、上キャビティ形成部72の下面から下方へ向けて凸設形成されると共に周方向に沿って延設される複数の上肉盗み形成部76と、その上肉盗み形成部76の下端面から下方へ向けて突出する固定ピン77と、複数の上肉盗み形成部76の間に位置し上キャビティ形成部72の下面から下方へ向けて凸設形成される係止部形成体78と、を備えている。
上肉盗み形成部76は、枠体20に上肉盗み部21(図1(a)参照)を形成するための部位であり、本実施の形態では下面視円弧状の上肉盗み形成部76が6個形成されている。
固定ピン77は、金型50の型締め時において膜体11,12を外周部11b,12bの上面側から押さえる部位であり、本実施の形態では、1の上肉盗み形成部76に対し、5個の固定ピン77が周方向に沿って突出形成されている。なお、固定ピン77は、下型60の下肉盗み形成部68と対応する位置に配設されている。
係止部形成体78は、枠体20の上面に係止部23(図1(a)参照)を形成するための部位であり、係止部形成体78が下型60のボルト孔形成部67と対応する位置に配設されている。
上挟圧部73は、金型50の型締めにおいて膜体11,12を打面部11a,12aの外縁部分の上面側から固定するための部位であり、上挟圧部73の外径および内径は下挟圧部65(図6(b)参照)の外径および内径と略同等の寸法に設定されている。
上挟持部材収容部74は、上挟持部材82(図5参照)が収容される部位であり、上挟持部材収容部74の内径は、上挟持部材82の外径よりも大きな寸法に設定され、上挟持部材収容部74の内周面と上挟持部材82の外周面との間に隙間が形成される寸法に設定されている。なお、上挟持部材収容部74には、電磁石75を挟んだ両側に2つの位置決めピン79が突出形成されている。
次に、図8を参照して、一対の挟持部材80について説明する。図8(a)及び図8(b)は、一対の挟持部材80の断面図であり、図8(a)には、一対の膜体11,12を挟持固定する前における一対の挟持部材80が、図8(b)には、一対の膜体11,12を挟持固定した状態における一対の挟持部材80がそれぞれ図示されている。なお、図8(a)及び図8(b)には、後述する図9に対応する断面が図示されている。
図8(a)に示すように、一対の挟持部材80の下挟持部材81及び上挟持部材82は、熱伝導性の低い樹脂材料から構成されている。これにより、下型60及び上型70から膜体11,12への伝熱を抑制して、金型成形時における膜体11,12の熱収縮を防止することができる。なお、本実施の形態では、一対の挟持部材80がベーク板から構成されている。
下挟持部材81は、その下面側(図8(a)下面側)に凸設形成される取っ手部83と、下挟持部材81の上面側(図8(a)上面側)における中央部分に凹設される上面視円形状の膜体収容部84と、その膜体収容部84の外周側に埋設される磁性体として構成される複数の下磁石85とを備えている。
上挟持部材82は、その上面側における中央部分に埋設される磁性体として構成される第1上磁石86と、第1上磁石86を挟んだ両側に貫通形成された位置決め孔87と、上挟持部材82の下面側に埋設される磁性体として構成される複数の第2上磁石88とを備えている。
第1上磁石86は、上型70の電磁石75(図7(b)参照)と対応する位置に配設されており、電磁石75に電流を流して磁力を発生させると、第1上磁石86が電磁石75に磁着する。一対の挟持部材80を下型60及び上型70の内部に収容する際に、第1上磁石86を電磁石75に磁着させることで、上型70に対する一対の挟持部材80の位置決めを速やかに、かつ、的確に行うことができる。
位置決め孔87は、上型70の位置決めピン79(図7(b)参照)と対応する位置に配設されており、位置決めピン79が挿通可能に形成されている。位置決め孔87に位置決めピン79を挿通させることで、上型70に対する上挟持部材82の位置決めを円滑に行うことができる。
第2上磁石88は、下挟持部材81の下磁石85と対応する位置に配設されている。第2上磁石88と下磁石85とは、互いに引き合う磁性体として構成されており、第2上磁石88と下磁石85とを磁着させることにより、2枚の膜体11,12を一対の挟持部材80によって確実に挟持固定することができる。
なお、本実施の形態では、電磁石75によって一対の挟持部材80を金型50に対して固定できるので、金型50を立てた状態(図5参照)で使用することができる。
次に、2枚の膜体11,12を一対の挟持部材80によって挟持固定する工程について説明する。
まず、2枚の膜体11,12の外周部11b,12bに、複数の第1切除部11c,12c及び第2切除部11d,12dを切除形成する(図5参照)。
一の膜体11の第1切除部11c及び第2切除部11dの位置と他の膜体12の第1切除部12c及び第2切除部12dの位置とは、それぞれ対応する位置に形成されている。なお、一の膜体11の第1切除部11c及び第2切除部11dと他の膜体12の第1切除部12c及び第2切除部12dとの形成位置は、それら一の膜体11の第1切除部11c及び第2切除部11dと他の膜体12の第1切除部12c及び第2切除部12dとが一致するように2枚の膜体11,12を重ね合わせることで膜体11,12の互いの織り目の方向が斜交するように形成されている。これにより、2枚の膜体11,12を的確、かつ、速やかに重ね合わせることができる。
次に、図8(b)に示すように、治具(図示せず)を用いて、一の膜体11の第1切除部11c及び第2切除部11dの位置と他の膜体12の第1切除部12c及び第2切除部12dの位置とを一致させた状態で重ね合わされた2枚の膜体11,12の中央部分(打面部11a,12aを構成する部分の中央部分)を一対の挟持部材80で挟持固定する。
このとき、膜体11,12の中央部分は、下磁石85と第2上磁石88とが磁着することにより挟持固定され、膜体11,12の外周部分(打面部11a,12aを構成する部分の外縁部分および外周部11b,12bを構成する部分)は、一対の挟持部材80の外周側から露出する。
2枚の膜体11,12を一対の挟持部材80で挟持固定した状態において、一の膜体11は、自然な状態(打面部11aに張力が付与されておらず、弛みも持たせていない状態)で一の膜体11の外周部分が保持されている。一方、他の膜体12は、一の膜体11よりも外径が大きな寸法に設定されており、下挟持部材81の膜体収容部84と上挟持部材82の下面側との間に形成された空間内において、他の膜体12の中央部分に弛みを持たせた状態で他の膜体12の外周部分が保持されている。
次に、図9及び図10を参照して、枠体20を射出成形する工程について説明する。図9及び図10は、金型50の断面図であり、膜体11,12が挟持固定された一対の挟持部材80を下型60及び上型70の内部に収容した状態で型締めした状態の金型50が図示されている。なお、図9には図1(a)のIIa−IIa線における断面に対応する断面が、図10には図1(a)のIIb−IIb線における断面に対応する断面がそれぞれ図示されている。
図9及び図10に示すように、膜体11,12が挟持固定された一対の挟持部材80は、下型60の下挟持部材収容部66と上型70の上挟持部材収容部74とによって形成される空間に収容される。
このとき、上挟持部材82の位置決め孔87に上型70の位置決めピン79を挿通させることによって、上型70に対する上挟持部材82の位置決めを的確、かつ、速やかに行うことができる。
一対の挟持部材80は、電磁石75に磁力を発生させると、上挟持部材82の第1上磁石86が電磁石75に磁着する。これにより、下型60及び上型70が型締めされた状態では、下挟持部材81と下挟持部材収容部66の内壁面との間に隙間を設けることができるので、下本体部61から下挟持部材81への伝熱を抑制できる。
さらに、下挟持部材81及び上挟持部材82が熱伝導性の低い樹脂材料から構成されている。よって、下型60及び上型70から膜体11,12の打面部11a,12aへの伝熱をより一層低減させることができるので、金型成形による打面部11a,12aの熱収縮を抑制できる。
金型50が型締めされると、一対の挟持部材80の外周側には下キャビティ形成部64、上キャビティ形成部72及び突出し体62によって円環状のキャビティCAが形成される。このキャビティCA内にゲート69から樹脂材料を注入し、射出成形することにより枠体20が成形される。
キャビティCA内には、膜体11,12の外周部11b,12bが配置される。外周部11b,12bをキャビティCA内に配置した状態で樹脂材料を注入することで、外周部11b,12bが枠体20(図1(a)参照)の内部に埋設された状態で樹脂材料が固化し、外周部11b,12bが枠体20に固着される。
ここで、膜体11,12は、一対の挟持部材80に挟持固定された状態における外径が、複数のボルト孔23aの中心を結ぶ仮想円VC(図1(b)参照)の直径よりも大きな寸法に設定され、膜体11,12の外縁部分がボルト孔形成部67及び下肉盗み形成部68より外周側に位置している。これにより、外周部11b,12bが下肉盗み形成部68の上端面に載置される。
また、膜体11,12の外縁部分をボルト孔形成部67及び下肉盗み形成部68よりも外周側に配置することで、枠体20に対して外周部11b,12bが固着される部分を多く確保することができるので、枠体20に対する膜体11,12の固着強度を高めることができる。
一方、膜体11,12は、一対の挟持部材80に挟持固定された状態において、外周部11b,12bの外縁部分が枠体20の内部に配置されている。よって、金型成形された枠体20の外側面から外周部11b,12bがはみ出ることを回避できる。
即ち、金型成形後に枠体20の外側面からはみ出た外周部11b,12bを切除する工程が不要なので、ドラムヘッド10(図1(a)参照)の製造工数の低減を図ることができる。また、枠体20の外側面に外周部を切除した痕跡が残存することを防止できるので、ドラムヘッド10の見栄えを良くすることができる。
また、枠体20のうち外周部11b,12bよりも外周側に位置する部分では、膜体11,12がない分、枠体20の上下の結合力が強固になるので、枠体20の強度を高めることができる。
さらに、上型70の固定ピン77が下型60の下肉盗み形成部68と対応する位置に形成され、それら固定ピン77と下肉盗み形成部68との間で外周部11b,12bの一部分が挟持固定される。よって、キャビティCA内において外周部11b,12bを固定することができるので、ゲート69から注入される樹脂材料の勢いに伴って外周部11b,12bがめくれ上がることを抑制できる。
従って、外周部11b,12bがめくれ上がった状態で枠体20に固着され、金型成形された枠体20の上面に外周部11b,12bが現れることを回避できる。
また、膜体11,12は、外周部11b,12bのうち下型60のゲート69の配置位置と対応する位置には第1切除部11c,12cが配置される。
よって、ゲート69から注入された樹脂材料の勢いに伴って外周部11b,12bがめくれ上がることを抑制できるので、金型成形された枠体20の上面に外周部11b,12bが現れた状態で固着されることを回避できる。
このように、ゲート69から樹脂材料を注入する際に外周部11b,12bがめくれ上がって枠体20の上面に現れることを抑制できるので、枠体20の見栄えを良くすることができる。
さらに、ゲート69から注入された樹脂材料を外周部11b,12bの上面側へ注入させることができるので、樹脂材料を外周部11b,12の上面側へ行き渡らせやすくすることができる。また、膜体11,12の上面側へ浸入した樹脂材料を、第1切除部11c,12cを通って膜体11,12の下面側へ流れこませることができるので、外周部11b,12bの下面側にも十分に樹脂材料を行き渡らせることができる。その結果、キャビティCA全体に樹脂材料を行き渡らせやすくすることができるので、枠体20の成形不良を抑制できる。
なお、ドラム100(図3参照)を使用する際には、ドラムヘッド10の上面側が目につきやすく、美観上、ドラムヘッド10の上面側の見栄えが重視される。
これに対し、本実施の形態では、ゲート69が上型70側へ向けて開口形成され、ゲート69から注入された樹脂材料を外周部11b,12bの上面側へ優先的に行き渡らせることができる。よって、枠体20の上面側における成形不良をより一層抑制できる。
また、下型60に形成されるゲート69は、隣接するボルト孔形成部67の中央よりも下型60の上面視における周方向一方側(図6(b)反時計回り方向側)に近接した位置に形成された下肉盗み形成部68に配設されている。これにより、枠体20に形成される係止部23及びボルト孔24(図1(a)参照)にウェルドライン(隣り合うゲート69から注入された樹脂材料の流れが合流した部分に発生する細い線)が発生することを防止することができる。その結果、締付ボルト40(図4(b)参照)を締付固定する際に係止部23が変形または破損することを回避しやすくすることができる。
また、上型70の係止部形成体78は、下型60のボルト孔形成部67と対応する位置に形成され、金型50が型締めされると、それらボルト孔形成部67の上端面と係止部形成体78の下端面とが当接する。これにより、ボルト孔形成部67の上端面と係止部形成体78の下端面との間へ樹脂材料が浸入せず、金型成形後の枠体20にボルト孔24(図1(a)参照)を貫通形成することができる。
よって、金型成形された枠体20に対してボルト孔24を形成する作業を不要とすることができるので、ドラムヘッド10の製造工程を簡素化できる。
また、外周部11b,12bには、ボルト孔形成部67と対応する位置に第2切除部11d、12dが切除形成されているので、成形後の枠体20に形成されたボルト孔24が外周部11b,12bによって塞がれることを防止できる。
よって、枠体20を金型成形した後にボルト孔24を塞ぐ外周部11b,12bを切除する作業が不要なので、ドラムヘッド10の製造工数の低減を図ることができる。
また、膜体11,12は、金型50が型締めされた状態において、一対の挟持部材80の外周側から露出した打面部11a,12aの外縁部分が下挟圧部65及び上挟圧部73によって挟圧される。
従って、キャビティCA内に注入された樹脂材料が打面部11a,12aへ浸入することを防止できるので、成形後のドラムヘッド10の見栄えを良くすることができる。
なお、膜体12の打面部12aは、略真円状に構成されている。即ち、打面部12aを切り取って弛みのない状態で広げた場合に、打面部12aの外形が略真円となるように他の膜体12が下挟圧部65及び上挟圧部73の間に挟圧されている。
また、金型50による成形時において、下挟圧部65及び上挟圧部73の温度上昇を抑制し、それら下挟圧部65及び上挟圧部73に挟圧される打面部11a,12aの外縁部分への伝熱を抑制することが望ましい。これにより、打面部11a,12aの熱収縮を抑制することができる。
次に、成形された枠体20を離型する工程について説明する。金型50の離型を行う場合、下型60の突出し体62を下本体部61から取り外しつつ、成形された枠体20の下面側を上方へ突き出すことにより、枠体20を下型60から取り外す。
ここで、突出し体62の中央部分には上面視円形状の貫通孔62aが形成されると共に、下本体部61が貫通孔62aに内嵌可能に構成されている。また、突出し体62が下本体部61に嵌合された状態では、突出し体62の上端面が下キャビティ形成部64と面一になるように形成され、金型50が型締めされた状態では突出し体62の上端面における内周縁部分がキャビティCAの一部を形成している。よって、枠体20を下型60から離型する際に、突出し体62の上端面における内周縁部分を枠体に当接させることができる。即ち、突出し体62によって枠体20を突き出す際に、枠体20に対する突出し体62の当接面積を広く確保することができるので、突出し体62の突出しに伴って下型60に付与される圧力は、成形された枠体20の下端面における外周縁部分全域に分散される。
よって、突出し体62から枠体20に対して圧力が局所的に集中して付与されることを防止できるので、成形後の枠体20が突出し体62による突出し圧力によって変形することを抑制できる。
なお、一の膜体11は、金型成形前において、張力が付与されず弛みもない自然な状態で外周部分が一対の挟持部材80に挟持固定されているが、射出成形された枠体20を離型して冷却すると収縮するため、枠体20の内径が小さくなる。その結果、一の膜体11は、打面部11aに弛みを持たせた状態で外周部11bが枠体20に固着された状態となり、他の膜体12は、打面部12aが一の膜体11の打面部11aよりも大きな弛みを有した状態で外周部12bが枠体20に固着される。
以上説明したように、金型50を用いることによって、枠体20と打面部11a,12aとが一体的に形成されたドラムヘッド10を製造することができるので、金属製のヘッド枠に膜体をかしめ固定したり、ヘッド枠に膜体を接着固定する従来のドラムヘッドと比べて、製造工程を簡素化できる。
また、一対の挟持部材80が下型60及び上型70に対して着脱可能に構成されているので、一の金型50を用いた枠体20の射出成形と並行して、一の金型50を用いた次の射出成形に備え、下型60及び上型70に収容する膜体11,12を一対の挟持部材80で挟持固定する作業を進めることができる。
即ち、一対の挟持部材80が下型60及び上型70に固定されている場合では、下型60及び上型70の射出成形が終了した後、型開きを行って先に製造したドラムヘッド10の枠体20を型抜きし、その後、次に製造するドラムヘッド10の膜体11,12を一対の挟持部材80で挟持固定を行うことになる。この場合、先の枠体20を射出成形が終了してから次の枠体20の射出成形を開始するまでの時間が長くなる。
これに対し、本実施の形態によれば、先に行った射出成形が終了した後、一対の挟持部材80ごと膜体11,12及び枠体20を型抜きし、その後、次に製造するドラムヘッド10の膜体11,12を予め挟持固定しておいた一対の挟持部材80を下型60及び上型70の内部に収容することで、次の枠体20の射出成形を開始することができる。
よって、先に行った射出成形が終了してから次の射出成形を行うまでの成形サイクルを短縮することができるので、ドラムヘッド10の製造の効率化を図ることができる。
また、一対の挟持部材80が熱伝導性の低い樹脂材料から構成され、下型60の下挟持部材収容部66の内壁面と下挟持部材81との間や上型70の上挟持部材収容部74の内周面と上挟持部材82の外周面との間に隙間が設けられているので、下型60及び上型70から膜体11,12の打面部11a,12aへの伝熱を抑制できる。
よって、打面部11a,12aの熱収縮を抑制できるので、熱収縮に起因する打面部11a,12aの鳴りに対する悪影響を防止できると共に、打面部11a,12aの真円度が低下することによって胴部30(図4(a)参照)に打面部11a,12aを張設した際に打面部11a,12aに対して均一に張力が付与されなくなることを回避できる。
なお、ドラムヘッド10にセンサを装着してもよい。例えば、2枚の膜体11,12の間に、膜体11,12の振動を検出するヘッドセンサを介設すると共に、枠体20が打撃されたことを検出するリムセンサを枠体20に装着し、枠体にヘッドセンサ及びリムセンサと外部の音源装置とを接続するジャックを設けることで、ドラムヘッド10が装着されたドラム100を電子ドラムとして使用することができる。
次に、第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、2枚の膜体11,12の中央部分を一対の挟持部材80で挟持固定した状態で金型成形を行う場合について説明したが、第2実施の形態では、膜体11と下型260及び上型270との間に隙間を設けた状態で金型成形を行う。なお、上記した第1実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
まず、図11(a)及び図11(b)を参照して、第2実施の形態におけるドラムヘッド210について説明する。図11(a)は、第2実施の形態におけるドラムヘッド210の上面図であり、図11(b)は、図11(a)のXIb−XIb線におけるドラムヘッド210の断面図である。
図11(a)及び図11(b)に示すように、ドラムヘッド210は、1枚の膜体11の外周部11bが枠体20に固着されることで、打面部11aと枠体20とが一体的に形成されている。なお、本実施の形態におけるドラムヘッド210は、膜体11が1枚である点を除き、第1実施の形態におけるドラムヘッド10と同等の構成を有する。
次に、図11(c)を参照して、ドラムヘッド210の製造に用いる金型250について説明する。図11(c)は、金型250の断面図であり、図11(b)の断面に対応する断面が図示されている。
図11(c)に示すように、金型250は、上下に型締めされる下型260及び上型270を備え、それら下型260及び上型270の型締めを行うことにより枠体20(図11(b)参照)を射出成形するための空間である円環状のキャビティCAが形成される。
下型260は、その上面側における外縁部分に位置する外縁部263と、下キャビティ形成部64と、下挟圧部65と、その下挟圧部65の内周側に下方へ向けて凹設形成される上面視円形状の下凹設部266とを備えている。
上型270は、その下面側における外縁部分に位置し、金型250の型締め時において下型260の外縁部263に当接される外縁部対向面271と、上キャビティ形成部72と、上挟圧部73と、その上挟圧部73の内周側に上方へ向けて凹設形成される下面視円形状の上凹設部274とを備えている。
下型260の下凹設部266と上型270の上凹設部274とは、それぞれ対応する位置に形成され、金型250が型締めされると、それら下凹設部266の内壁面と上凹設部274の内壁面との間に空間が形成される。
よって、金型250が型締めされた状態では、下凹設部266と上凹設部274との間に形成された空間内に膜体11の中央部分が配置され、その膜体11の中央部分と下型260及び上型270との間に隙間が形成される。これにより、下型260及び上型270から打面部11aへの伝熱を抑制して打面部11aの熱収縮を低減させることができる。
次に、図12(a)及び図12(b)を参照して、第3実施の形態について説明する。第2実施の形態では、打面部11aに弛みを持たせていない自然な状態で外周部11bが枠体20に固着されているのに対し、第3実施の形態では、打面部311aに弛みを持たせた状態で外周部311bが枠体20に固着されている。なお、上記した各実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
まず、図12(a)を参照して、第3実施の形態におけるドラムヘッド310について説明する。図12(a)は、第3実施の形態におけるドラムヘッド310の断面図であり、図11(b)に対応する断面が図示されている。
図12(a)に示すように、ドラムヘッド310は、膜体311の外周部311bが枠体20に固着されることで、打面部311aと枠体20とが一体的に形成されている。
膜体311は、打面部311aに弛みを持たせた状態で外周部311bが枠体20に固着されている。これにより、枠体20を押し下げてドラムヘッド310を内周立設部33(図4(b)参照)に張設して打面部311aに適度な張力を付与したときの打面部311aと枠体20との高さ方向の位置関係を適切に設定することができる。
なお、本実施の形態におけるドラムヘッド310は、打面部311aに弛みを持たせている点を除き、第2実施の形態におけるドラムヘッド210と同等の構成を有する。
次に、図12(b)を参照して、ドラムヘッド310の製造に用いる金型350について説明する。図12(b)は、金型350の断面図であり、図11(c)に示す断面に対応する断面が図示されている。
図12(b)に示すように、金型350は、上下に型締めされる下型360及び上型370と、それら下型360及び上型370の内部に収容される一対の挟持部材380とを備えている。
一対の挟持部材380は、熱伝導性の低い樹脂材料から構成されており、下型360の上面(図12(b)上側の面)における中央部分に収容される下挟持部材381と、上型370の下面(図12(b)下側の面)における中央部分に収容される上挟持部材382とを備えている。
下挟持部材381は、その上面における中央部分が下挟圧部65の上端面よりも上方へ向けて円錐台状に突出している。
上挟持部材382は、その下面が下挟持部材381の上面に嵌合可能に形成され、上挟持部材382の上面における中央部分が上挟圧部73の下端面よりも上方へ向けて凹んだ形状となっている。
なお、下挟持部材381の上面側には下磁石85(図示せず)が埋設されると共に、上挟持部材382の下面側には、第2上磁石88(図示せず)が埋設され、それら下磁石85及び第2上磁石88が互いに引き合う磁性体として構成されている。
金型350を型締めすると、膜体311の中央部分は、一対の挟持部材380の嵌合面(下挟持部材381の上面、上挟持部材382の下面)の形状に沿って変形した状態で挟持固定され、この状態でキャビティCA内に加熱溶融された樹脂材料が注入されることによって外周部311bが枠体20に固着される。
これにより、膜体311は、その中央部分、即ち、打面部311aを構成する部位に弛みを持たせた状態で外周部311bが枠体20に固着されるので、枠体20を下型360及び上型370から離型し、一対の挟持部材380による打面部311aの挟持固定を解除すると、打面部311aに弛みを持たせたドラムヘッド310が製造される。
このように、一対の挟持部材380により膜体311の中央部分を挟持固定した状態で外周部311bを枠体20に固着させることで、ドラムヘッド310の打面部311aに弛みを持たせることができるので、ドラムヘッド310を胴部30(図4(a)参照)に固定する際に、ドラムヘッド310を胴部30に張設して打面部311aに適度な張力を付与したときの打面部311aと枠体20との高さ方向の位置関係を適切に設定することができる。
次に、図12(c)を参照して、第4実施の形態について説明する。第3実施の形態では、一対の挟持部材380の嵌合面の中央部分が上方へ向けて円錐台状に突出している場合について説明したが、第4実施の形態では、一対の挟持部材480の嵌合面の中央部分が上方へ向けてドーム状に突出している。なお、上記した各実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図12(c)は、第4実施の形態における金型450の断面図であり、図12(b)に示す断面に対応する断面が図示されている。
図12(c)に示すように、金型450は、下型460及び上型470と、それら下型460及び上型470の内部に収容される一対の挟持部材480とを備えている。
一対の挟持部材480は、熱伝導性の低い樹脂材料から構成されており、下型460の上面側(図12(c)上面側)における中央部分に収容される下挟持部材481と、上型470の下面側(図12(c)下面側)における中央部分に収容される上挟持部材482とを備えている。
下挟持部材481は、その上面における中央部分が下挟圧部65の上端面よりも上方へ向けてドーム状に突出しており、上挟持部材482は、その下面が下挟持部材481の上面に嵌合可能に形成され、中央部分が上挟圧部73の下端面よりも上方へ向けて凹んだ形状となっている。
金型450を型締めすると、膜体311の中央部分は、一対の挟持部材480の嵌合面(下挟持部材481の上面、上挟持部材482の下面)の形状に沿って変形した状態で挟持固定される。その後、キャビティCA内に加熱溶融された樹脂材料が注入されることによって外周部311bが枠体20に固着される。
これにより、膜体311は、その中央部分、即ち、打面部311aを構成する部位に弛みを持たせた状態で外周部311bが枠体20に固着されるので、枠体20を下型460及び上型470から離型し、一対の挟持部材480による打面部311aの挟持固定を解除すると、打面部311aに弛みを持たせたドラムヘッド310が製造される。
このように、一対の挟持部材480により膜体311の中央部分を挟持固定した状態で外周部311bを枠体20に固着させることで、ドラムヘッド310の打面部311aに弛みを持たせることができるので、ドラムヘッド310を胴部30(図4(a)参照)に固定する際に、ドラムヘッド310を胴部30に張設して打面部311aに適度な張力を付与したときの打面部311aと枠体20との高さ方向の位置関係を適切に設定することができる。
なお、一対の挟持部材480の嵌合面がドーム状に形成されているので、打面部311aの一部分が局所的に変形した状態で一対の挟持部材480に挟持固定されることを回避できる。
即ち、膜体311は、負荷を加えていない状態では平坦な状態を維持しようとするため、膜体311を下挟持部材481の上面に沿った形状に変形させようとすると、膜体311には平坦な元の状態へ復元しようとする力が働く。従って、一対の挟持部材480の嵌合面をドーム状に形成し、その嵌合面に形成される曲面を全体的に緩やかな形状とすることで、膜体311の一部分が大きく伸張して膜体311の反発力が大きく働くことを防止できる。
その結果、膜体311を一対の挟持部材480に挟持固定する作業を簡素化できる。
次に、図13から図15を参照して、第5実施の形態について説明する。第3実施および第4実施の形態では、打面部311aに弛みを持たせた状態で外周部311bが枠体20に固着されているのに対し、第5実施の形態では、打面部511aに張力が付与された状態で外周部511bが枠体520に固着されている。なお、上記した各実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
まず、図13及び図14を参照して、第5実施の形態における消音ドラムヘッド510について説明する。図13は、第5実施の形態における消音ドラムヘッド510が装着されたバスドラム500の斜視図である。図14(a)は、消音ドラムヘッド510の上面図であり、図14(b)は、図14(a)のXIVb−XIVb線における消音ドラムヘッド510の断面図である。
図13に示すように、バスドラム500は、打面として構成されるバスドラムヘッド502を備えたアコースティック打楽器であり、フットペダル503の踏み込みに応じて回動するビータ504でバスドラムヘッド502を打撃することにより、バスドラム500特有の音色を鳴らすことができる。
図13に示すように、消音ドラムヘッド510は、バスドラムヘッド502に装着して演奏時に発生する音量を低減させるための器具であり、伸縮可能な網状素材から構成される膜体511と、その膜体511の外周部分に固着されると共に樹脂材料から構成される円環状の枠体520と、その枠体520をバスドラムヘッド502に吸着させる吸盤部材540とを主に備えている。
消音ドラムヘッド510は、バスドラムヘッド502に対して膜体511及び枠体520が吸盤部材540を介して吸着されており、演奏者によってフットペダル503が踏み込まれると、その踏み込みに伴ってビータ504が回動し、膜体511の打面部511aが打撃される。
図14に示すように、膜体511は、打面部511aに張力が付与された状態で外周部511bが枠体520に固着され、その枠体520に4つの吸盤部材540が連結されている。膜体511及び枠体520は、4つの吸盤部材540を介してバスドラムヘッド502に吸着されている。
これにより、バスドラム500に対する消音ドラムヘッド510の着脱作業を簡素化することができる。また、打面部511aに予め張力が付与されているので、打面部511aに張力を付与するための締付ボルトやその締付ボルトを螺合させるためのめねじ構造等を省略できるので、消音ドラムヘッド510の軽量化を図ることができる。
ここで、図15を参照して、消音ドラムヘッド510の製造に用いる金型550について説明する。図15(a)は、金型550の断面図であり、図15(b)は、金型成形後の消音ドラムヘッド510の断面図である。なお、図15(a)及び図15(b)には、図14(b)に示す断面に対応する断面が図示されている。
図15(a)に示すように、金型550は、上下に型締めされる下型560及び上型570と、それら下型560及び上型570の内部に着脱可能に収容される一対の挟持部材580とを備えている。
下型560は、その上面側における外縁部分に位置する外縁部563と、その外縁部563に下方へ向けて凹設形成される下挟持部材収容部563aと、外縁部563の内周側で下方へ向けて凹設形成された円環状の下キャビティ形成部564と、下挟圧部65と、下凹設部266と、を備えている。
上型570は、その下面側における外縁部分に位置し、金型550の型締め時において下型560の外縁部563に当接される外縁部対向面571と、その外縁部対向面571に上方へ向けて凹設形成される上挟持部材収容部571aと、外縁部対向面571の内周側に上方へ向けて凹設形成される上キャビティ形成部572と、上挟圧部73と、上凹設部274とを備えている。
一対の挟持部材580は、張力が付与された状態で膜体511を下型560及び上型570の内部に収容するための治具であり、下型560の下挟持部材収容部563aに収容可能に構成される円環状の下挟持部材581と、上型570の上挟持部材収容部571aに収容可能に構成される上挟持部材582とを備えている。
下挟持部材581は、上挟持部材582と対向する上面の径方向(図15(a)左右方向)における中央部分が外縁部563よりも下方へ凹んだ形状となっている。また、上挟持部材582は、その下面が下挟持部材581の上面と嵌合可能な形状に形成され、径方向における中央部分が外縁部対向面571よりも下方へ突出している。
次に、膜体511を一対の挟持部材580に挟持固定する工程について説明する。まず、一対の挟持部材580よりも外径が大きく設定された円環状の治具(図示せず)によって膜体511を自然に伸ばした状態(張力が付与されず、弛みも有しない状態)で固定し、その治具によって固定された膜体511を一対の挟持部材580で挟持固定する。
このとき、一対の挟持部材580の嵌合面(下挟持部材581の上面、上挟持部材582の下面)が、径方向における中央部分が下方へ突出した形状に形成されているので、一対の挟持部材580に挟持固定された膜体511は、一対の挟持部材580の内周側に張力が付与された状態となる。
次に、一対の挟持部材580よりも外径が大きく設定された円環状の治具(図示せず))を取り外し、膜体511が挟持固定された一対の挟持部材580を下挟持部材収容部563a及び上挟持部材収容部571aの内部に収容し、下型560及び上型570の型締めを行った後、加熱溶融された樹脂材料をキャビティCA内に注入し、枠体520の射出成形を行う。
ここで、加熱溶融された樹脂材料は、冷却されると収縮する。そのため、樹脂材料が十分に冷却される前に枠体520を下型560及び上型570から離型すると、枠体520が収縮して枠体520の内径が小さくなり、その結果、打面部511に付与されていた張力が小さくなる。
そこで、本実施の形態では、射出成形後、すぐには枠体520の型抜きは行わず、金型550を十分に冷却し、樹脂材料を固化させた後に枠体520の型抜きを行う。これにより、打面部511aに所望の張力が付与された状態で膜体511を枠体520に固着させることができる。
図15(b)に示すように、型抜きし、一対の挟持部材580が取り外された枠体520には、その外側面から外周部511bがはみ出ているので、そのはみ出た外周部511bを切除した後、枠体520に吸盤部材540(図14(b)参照)を連結する。
ここで、本実施の形態では、樹脂材料を固化させた後に枠体520の型抜きを行うことで、打面部511aに付与された張力が小さくなることを防止しているが、その代わりに、金型成形後の冷却による枠体520の収縮を見越し、下挟持部材収容部563a及び上挟持部材収容部571aに収容する前の膜体511に対し、完成後の消音ドラムヘッド510の打面部511aに付与すべき所望の張力よりも大きな張力を付与しておいてもよい。これにより、射出成形を終了してから枠体520を構成する樹脂材料が固化されるまでの待ち時間が不要となるので、金型550による消音ドラムヘッド510の成形サイクルの短縮化を図ることができる。
次に、図16及び図17を参照して、第6実施の形態について説明する。第1実施の形態では、リムショット演奏を行う際に打撃されるリム部を胴部30に形成する場合について説明したが、第6実施の形態では、リム部を枠体620に形成する。なお、上記した各実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図16(a)は、第6実施の形態におけるドラムヘッド610の斜視図であり、図16(b)は、ドラムヘッド610の上面図である。図17(a)は、図16(b)のXVIIa−XVIIa線におけるドラムヘッド610の断面図であり、図17(b)は、ドラム600の部分拡大断面図である。なお、図17(b)には図4(b)に示す断面に対応する断面が図示されている。
図16に示すように、ドラムヘッド610は、打面部611a及び外周部611bを有する膜体611と、その膜体611の外周部611bに固着される円環状の枠体620とを備え、膜体611は打面部611aに弛みを持たせた状態で外周部611bが枠体620に固着されている。
図17(a)に示すように、枠体620は、その上端部分(図17(a)上側部分)が打面部611aよりも上方へ突出しており、後述する締付ボルト640(図17(b)参照)が係止される係止部623が周方向外側へ向けて張出形成されると共に、その係止部623には締付ボルト640が挿通可能なボルト孔624が形成されている。
なお、枠体620は、リムショットによる打撃に耐えうる弾性を有する樹脂材料から構成されている。枠体620に使用される樹脂材料としては、例えば、ガラス繊維強化プラスチック等が例示される。
図17(b)に示すように、ドラム600は、ドラムヘッド610と、円筒状に形成された胴部630と、締付ボルト640とを備え、胴部630の外周面には、締付ボルト640が螺合可能なめねじが内周面に配設された孔を有するめねじ部634が配設されている。
ドラムヘッド610は、枠体620のボルト孔624に挿通させつつ係止部623に係止させた締付ボルト640をめねじ部634に螺合結合させると、枠体620が下方へ押圧されると共に膜体611の打面部611aが伸張し、打面部611aに張力が付与される。
ドラムヘッド610が胴部630に張設された状態では、枠体620の上端が打面部611aよりも上方に位置しているので、演奏者がリムショット演奏を行う際に、枠体620の上端を打撃しやすくすることができる。
このように、ドラム600では、リム部に相当する構成を胴部630に形成することが不要となるので、胴部630の形状を簡素化できる。
次に、図18を参照して、第7実施の形態について説明する。第1実施の形態では、2枚の膜体11,12が打面部11a,12aに弛みを持たせた状態で外周部11b,12bが枠体20に固着されているのに対し、第7実施の形態では、2枚の膜体711,712の打面部711a,712aが成形された状態で外周部711b,712bが枠体720に固着されている。なお、上記した各実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
まず、図18(a)および図18(b)を参照して、第7実施の形態におけるドラムヘッド710について説明する。図18(a)は、第7実施の形態におけるドラムヘッド710の上面図であり、図18(b)は、図18(a)のXVIIIb−XVIIIb線におけるドラムヘッド710の断面図である。
図18(a)及び図18(b)に示すように、ドラムヘッド710は、打面部711a,712a及び外周部711b,712bを有する膜体711,712と、その膜体711,712の外周部711b,712bが固着される枠体720とを備えている。
ドラムヘッド710は、打面部711a,712aをドラムの胴部(図示せず)に載置した状態で円環状のフープ(図示せず)を枠体720の上面から覆うように被せ、フープに形成されたボルト孔に締付ボルト(図示せず)を挿通させつつ、その締付ボルトを胴部に形成されためねじに螺合結合させることで、フープにより外周部711b,712bが枠体720を介して下方へ押圧され、打面部711a,712aが胴部に張設される。
膜体711,712は、アコースティックドラムに用いられるフィルム製のドラムヘッドと同様に、打面部711a,712aの外縁部分が外周部711b,712bよりも上方へ向けて突出した形状に成形され、打面部711a,712aの中央部分が胴部30(図4(b)参照)の外径と略同等の平坦な円形状に形成されている。これにより、胴部30にドラムヘッド710を装着する際に、打面部711a,712aを胴部30に安定的に載置することができるので、胴部30に対するドラムヘッド710の装着作業を円滑に行うことができる。さらに、ドラムヘッド710を胴部30に張設して打面部711a,712aに適度な張力を付与したときの打面部711a,712aと枠体720との高さ方向の位置関係を適切に設定することができる。
次に、図18(c)を参照して、ドラムヘッド710の製造に用いる金型750について説明する。図18(c)は、金型750の断面図であり、図18(b)に示す断面に対応する断面が図示されている。
図18(c)に示すように、金型750は、上下に型締めされる下型760及び上型770と、それら下型760及び上型770の内部に収容可能な一対の挟持部材780とを主に備えている。
下型760は、外縁部263と、その外縁部263の内周側に位置すると共にキャビティCAの一部を構成する上面視円環状の下キャビティ形成部764と、その下キャビティ形成部764の内周側に上方(図18(c)上方)へ向けて凸設形成される上面視円環状の下挟圧部765と、下挟持部材収容部66と、を備えている。
下挟圧部765は、金型750の型締めにおいて膜体711,712の打面部711a,712aの外縁部分を下面側から固定する部位であり、下挟圧部765の上面側における外縁部分は、下型760の水平方向(図18(c)前後左右方向)に垂直な断面形状が円弧状に形成されている。
上型770は、外縁部対向面271と、その外縁部対向面271の内周側に上方へ向けて凹設形成される下面視円環状の上キャビティ形成部772と、その上キャビティ形成部772の内周側に上方へ向けて凹設形成される下面視円環状の上挟圧部773と、上挟持部材収容部74と、電磁石75とを備えている。
上挟圧部773は、金型750の型締めにおいて膜体711,712の打面部711a,712aの外縁部分を上面側から固定する部位であり、上挟圧部773の外径および内径は下挟圧部765の外径および内径と略同等の寸法に設定されている。また、上挟圧部773の下面が下挟圧部765の上面と嵌合可能に形成されている。
一対の挟持部材780は、下挟持部材781と上挟持部材82とから構成されている。なお、下挟持部材781は、上面に膜体収容部が形成されていない点を除き、第1実施の形態における下挟持部材81と同等の構成を有している。
次に、金型750によるドラムヘッド710の製造方法について説明する。ドラムヘッド710は、枠体720を金型成形する際に、2枚の膜体711,712の外周部711b,712bを枠体720に固着させることにより一体的に形成されるものであり、下型760と上型770との間に2枚の膜体711,712を配置した状態で型締めする。
このとき、打面部711a,712aを一対の挟持部材780によって挟持固定し、一対の挟持部材780の外周側に露出した外周部711b,712bが金型750のキャビティCA内に配置されると共に、一対の挟持部材780の外周側から露出した打面部711a,712aの外縁部分が下挟圧部765と上挟圧部773との間で挟圧される。
この状態で金型成形を行うことにより、打面部711a,712aの外縁部分に下型760及び上型770からの熱が伝わり、その熱によって打面部711a,712aの外縁部分が下挟圧部765及び上挟圧部773の嵌合面に沿った形状に成形される。
このように、ドラムヘッド710を金型成形により製造することができるので、枠体を金属材料から構成し、膜体の外縁部分を枠体にかしめや接着により固定した従来のドラムヘッドと比べて、製造工程を簡素化してドラムヘッド710の製造コストを抑制できる。
次に、図19を参照して、第8実施の形態について説明する。第7実施の形態では、フープを枠体720の上面から覆うように被せ、そのフープと胴部とを締付ボルト640により螺合結合する場合について説明したが、第8実施の形態では、枠体820に係止部材823を係止し、その係止部材823と胴部とを締付ボルト640により螺合結合する。なお、上記した各実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図19(a)は、第8実施の形態におけるドラムヘッド810の断面図であり、図19(b)は、ドラムヘッド810の斜視図である。なお、図19(a)には、図18(b)に示す断面に対応する断面が図示されている。
図19(a)に示すように、ドラムヘッド810は、膜体711と、その膜体711の外周部711bが固着される枠体820とを備えており、枠体820の上端面が打面部711aよりも上方に位置している。
図19(b)に示すように、枠体820には、締付ボルト640が係止可能な係止部材823が着脱可能に構成されており、各々の係止部材823には締付ボルト640が挿通可能なボルト孔824が穿設されている。
よって、ドラムの胴部(図示せず)に対してドラムヘッド810を装着する際には、枠体820に係止部材823を係止させ、ドラムヘッド810を胴部の開口する上面に載置した後、ボルト孔824に締付ボルト640を挿通させつつ係止部材823に係止させ、その締付ボルト640を胴部に形成されためねじに螺合結合させる。これにより、打面部711aが胴部に張設される。
なお、ドラムヘッド810をバスドラムに使用する場合には、打面部711aのうちビータが打撃される位置に対し、打面部711aを補強するためのパッチをダブルモールド(2色成形)により一体成形してもよい。この場合、打面部711aにパッチを後付けで貼着等する場合と比べて、使用時におけるパッチの脱落を防止できる。なお、パッチとして使用する素材としては、膜体711と一体成形可能な弾性材料、例えば、熱可塑性エラストマなどが例示される。
次に、第9実施の形態について説明する。第7実施の形態では、2枚の膜体711,712の外周部711b,712bが、その外縁部分を枠体720の内部に配置した状態で枠体720に固着される場合について説明したが、第9実施の形態では、1枚の膜体911の外周部911bが、その外縁部分を枠体920から外周側へはみ出させた状態で枠体920に固着される。なお、上記した各実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
まず、図20及び図21(a)を参照して、ドラムヘッド910について説明する。図20は、第9実施の形態におけるドラムヘッド910の上面図であり、図21(a)は、図20のXXIa−XXIa線におけるドラムヘッド910の断面図である。
図20及び図21(a)に示すように、ドラムヘッド910は、本願出願人が先に出願した特願2013−084682に記載のドラムに用いるヘッドとして使用されるものであり、打面部911a及び外周部911bを有する膜体911と、その膜体911の外周部911bに固着される円環状の枠体920とを主に備えている。なお、本実施の形態におけるドラムに関する詳細については、その記載を省略する。
膜体911は、打面部911aの外縁部分が外周部911bよりも上方へ向けて突出した形状に成形され、打面部911aの中央部分が平坦な円形状に形成されている。
枠体920は、その厚さ寸法(図21(a)上下方向における寸法)が枠体920の径方向における寸法(図21(a)左右方向における寸法)よりも小さな寸法に設定された薄肉状に形成されており、組立ネジ(図示せず)が嵌められるボルト孔924が枠体920の厚さ方向に沿って貫通形成されている。
ここで、枠体920の下面側にはゲート痕(図示せず)が形成されている。また、膜体911は、外周部911bのうちゲート痕が形成される位置と対応する位置に第1切除部(図示せず)が切除形成され、外周部911bのうちボルト孔924が形成される位置と対応する位置に第2切除部911dが切除形成されている。
なお、第2切除部911dは、膜体911の上面視において略円形状に形成されており、第2切除部911dの内径が後述する下型960のボルト孔形成部967が挿通可能な寸法に設定されている。
次に、図21(b)を参照して、ドラムヘッド910の製造に用いる金型950について説明する。図21(b)は、金型950の断面図であり、図21(a)に示す断面に対応する断面が図示されている。
図21(b)に示すように、金型950は、上下に型締めされる下型960及び上型970と、それら下型960及び上型970の内部に収容可能な一対の挟持部材780とを主に備えている。
下型960は、その上面側における外縁部分に位置する外縁部963と、その外縁部963の内周側に下方へ向けて凹設されると共にキャビティCAの一部を構成する上面視円環状の下キャビティ形成部964と、その下キャビティ形成部964の内周側に上方(図21(b)上方)へ向けて凸設形成される上面視円環状の下挟圧部965と、下挟持部材収容部66と、を備えている。
下キャビティ形成部964には、その凹設底面に周方向等間隔に並設された複数のボルト孔形成部967が凸設形成され、下キャビティ形成部964の凹設底面のうち複数のボルト孔形成部967の間に位置する部位にはゲート(図示せず)が開口形成されている。
下挟圧部965は、金型950の型締めにおいて膜体911の打面部911aの外縁部分を下面側から固定する部位である。また、下挟圧部965は、その上面側における外縁部分が下型960の水平方向(図21(b)前後左右方向)に垂直な断面形状が円弧状に形成されると共に、下挟圧部965の下端部分(下キャビティ形成部964と連設する部位)の下キャビティ形成部964からの高さ寸法が、外縁部963の下キャビティ形成部964からの高さ寸法と略同等に設定されている。
上型970は、その下面側における外縁部分に位置し、金型950の型締め時において下型960の外縁部963に当接される外縁部対向面971と、その外縁部対向面971の内周側に上方へ向けて凹設されると共にキャビティCAの一部を構成する下面視円環状の上キャビティ形成部972と、その上キャビティ形成部972の内周側に形成される下面視円環状の上挟圧部973と、上挟持部材収容部74と、電磁石75とを備えている。
上挟圧部973は、金型950の型締めにおいて膜体911の打面部911aの外縁部分を上面側から固定する部位であり、上挟圧部973の外径および内径は下挟圧部965の外径および内径と略同等の寸法に設定されている。また、上挟圧部973の下面が下挟圧部965の上面と嵌合可能に形成されている。
続いて、金型950によるドラムヘッド910の製造方法について説明する。まず、枠体920の外径よりも大きな直径に設定された膜体911に対し、第1切除部および第2切除部911dを切除形成し、その後、第1切除部および第2切除部911dが切除形成された膜体911の中央部分を一対の挟持部材780によって挟持固定する。
次に、膜体911が挟持固定された一対の挟持部材780を、下挟持部材収容部66と上挟持部材収容部74とにより形成される空間に収容し、下型960と上型970とを型締めする。
このとき、金型950の内部では、下キャビティ形成部964と上キャビティ形成部972とにより円環状のキャビティCAが形成される。また、ボルト孔形成部967が膜体911の外周部911bに形成された第2切除部911dに挿通され、ボルト孔形成部967の上端が上キャビティ形成部の凹設底面に当接する。
また、膜体911は、その直径がキャビティCAの外径(即ち、枠体20の外径)よりも大きな寸法に設定されており、外周部911bの一部が下型960の外縁部963と上型970の外縁部対向面971との間で挟持固定される。これにより、外周部911bのうちキャビティCAの内部に位置する部位を、そのキャビティCAの上下方向(図21(b)上下方向)における中央部分に配置された状態で保持することができる。
この状態で金型成形を行うと、膜体911のうち下挟圧部965と上挟圧部973とにより挟圧された部分には、下型960及び上型970からの熱が伝わり、その熱によって下挟圧部965及び上挟圧部973の嵌合面に沿った形状に成形される。その結果、打面部911aの外縁部分が外周部911bよりも上方へ向けて突出した形状に成形されたドラムヘッド910を金型成形により製造することができる。
また、ボルト孔形成部967の上端を上キャビティ形成部972に当接させた状態で加熱溶融された樹脂材料がキャビティCA内に注入されるので、射出成形された枠体920にボルト孔924を一体的に形成することができる。よって、射出成形された後の枠体920に対してボルト孔924を貫通形成する、といった作業が不要なので、ドラムヘッド910の製造工程を簡素化できる。
なお、本実施の形態では、ボルト孔形成部967が下型960の下キャビティ形成部964の凹設底面から上方へ向けて凸設形成されているが、ボルト孔形成部を上型970の上キャビティ形成部972の凹設底面から下方へ向けて凸設形成してもよい。
さらに、膜体911には、外周部911bに第2切除部911dが切除形成されているので、ボルト孔924が外周部911bに塞がれることを防止できる。即ち、射出成形された後の枠体920に対しボルト孔924を塞ぐ外周部911bを切除する、といった作業が不要なので、ドラムヘッド910の製造工程を簡素化できる。
また、射出成形時において、膜体911は、外周部911bの一部が外縁部963と外縁部対向面971との間で挟持固定され、外周部911bのうちキャビティCA内に位置する部位がキャビティCAの上下方向における中央部分に配置された状態で保持されている。よって、ゲートから注入された樹脂材料の勢いに伴って外周部911bがめくれ上がることを防止して枠体920の上面または下面に外周部911bが現れることを回避できるので、ドラムヘッド910の見栄えを良くすることができる。
また、枠体920の厚さ方向(図20(a)上下方向)における中央部分に外周部911bを埋設させた状態で膜体911を枠体920に固着させることができるので、枠体920の厚さ寸法が小さく設定されたドラムヘッド910であっても、膜体911を枠体920に対して強固に固着できる。よって、ドラムヘッド910を胴部(図示せず)の上面に配置した状態で打面部911aに張力を付与する際に、外周部911bが枠体920から剥離または分離することを抑制できる。
なお、射出成形された枠体920を金型950から離型し、膜体911から一対の挟持部材780が取り外された状態では、枠体920の外側面から外周部911bがはみ出ているので、そのはみ出た外周部911bを切除する。
このように、ドラムヘッド910を金型成形により製造することができるので、例えば、円環状に形成された一対の部材の間に膜体911の外周部911bを挟持した状態で一対の部材を接着または溶着する場合と比べて、製造工程を簡素化してドラムヘッド910の製造コストを抑制できる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記各実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記各実施の形態では、ドラムヘッド10,210,310,410,510,610,710,810,910がスネアドラムを模したドラム100,600を構成する部品として用いられる場合や、バスドラム500に装着される消音ドラムヘッド又は特願2013−084682に記載のドラムに使用されるヘッドとして用いられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ドラムヘッド10,210,310,410,510,610,710,810,910をタムタム、フロアタム及びバスドラムを模した打楽器を構成する部品やバスドラム500以外の打楽器に装着される消音ドラムヘッドとして使用してもよい。
上記各実施の形態では、膜体11,12,311,511,611,711,712,911が伸縮可能な網状素材から構成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、膜体が他の膜状素材から構成されていてもよい。なお、他の膜状素材としては、アコースティックドラムに用いられる樹脂フィルムや、その樹脂フィルムに多数の貫通孔を形成することにより伸縮性および通気性を有したもの等が例示される。また、膜体がアコースティックドラムに用いられる樹脂フィルム等から構成される場合には、枠体20,520,620,720,820,920に固定される膜体の周縁部分に予め孔を穿設しておくことで、膜体と枠体20,520,620,720,820,920とを一体成形する際に膜体の孔に樹脂材料を浸入させることができ、その結果、膜体と枠体20,520,620,720,820,920との接合強度を高めることができる。
上記第1実施の形態では、ドラムヘッド10が胴部30に張設された状態において、膜体11の打面部11aと枠体20の上面とが略同一平面上に配置される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、打面部11aが使用に伴って伸びることを考慮し、枠体20の上面が膜体11よりも上方に配置されていてもよい。
上記第1から第4実施の形態では、係止部23が枠体20に形成されると共に、締付ボルト40に螺合可能なめねじが胴部30に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、係止部23を胴部30に形成すると共に、めねじを枠体20に形成し、締付ボルト40を胴部30から枠体20へ向けて螺合結合させるように構成してもよい。
上記第6実施の形態では、枠体620がリムショットによる打撃に耐えうる弾性を有する樹脂材料から構成され、演奏者がリムショット演奏を行う際には、枠体620の上端を直接打撃するように構成されている場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、枠体よりも弾性が高いゴム状弾性体またはウレタン樹脂等を枠体の上部に接着、装着またはダブルモールド(2色成形)により枠体620に一体成形してもよい。これにより、打撃による衝撃によって胴部630が破損することを防止できる。また、上記したゴム状弾性体またはウレタン樹脂等をダブルモールドにより枠体620に一体成形した場合には、接着または装着する場合と比べて、ゴム状弾性体またはウレタン樹脂等を枠体620に対して強固に装着できると共に、ドラムヘッド610の製造工程を簡素化できる。なお、この場合、枠体620がリムショットによる打撃に耐えうる弾性を有する樹脂材料から構成される必要はなく、他の樹脂材料から構成されていてもよい。
上記第1実施および第9実施の形態では、金型50,950が型締めされた状態において、膜体11,12,911の第1切除部11c,12cがゲート69と対応する位置に配置され、成形された枠体20,920には第1切除部11c,12cと対応する位置にゲート痕22aが形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1切除部11c,12cをゲート69とは異なる位置に配置し、第1切除部11c,12cがゲート痕22aと異なる位置に形成されていてもよい。これにより、キャビティCA内に注入される樹脂材料を第1切除部11c,12cから外周部11b,12b,911bの上面側および下面側の双方に行き渡らせることができる。即ち、樹脂材料をキャビティCA内全体に行き渡らせることができるので、枠体20,920の成形不良を抑制できる。
また、上記第1実施および第9実施の形態では、下型60,960に形成されるゲート69の数と膜体11,12,911に形成される第1切除部11c,12cの数とが同数である場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ゲート69の数と第1切除部11c,12cの数とが異なっていてもよい。
上記第1実施および第9実施の形態では、膜体11,12,911の外周部11b,12b,911bに第2切除部11d,12d,911dが形成され、その第2切除部11d,12d,911dが金型50,950の型締め時においてボルト孔形成部67,967と対応する位置に配置される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第2切除部11d,12d,911dを省略してもよい。
この場合、第1実施の形態では、金型50の型締め時においてボルト孔形成部67の上端面と係止部形成体78の下端面とによって外周部11b,12bを挟持固定することで、射出成形時において外周部11b,12bがめくれ上がることをより一層防止できる。
また、第9実施の形態の場合は、下型960のボルト孔形成部の下キャビティ形成部964からの高さ寸法を小さくして下挟圧部965の下キャビティ形成部964からの高さ寸法と略同等の寸法に設定すると共に、上型970の上キャビティ形成部972の凹設底面から下方へ向けてボルト孔形成部を凸設形成し、金型950の型締め時において下キャビティ形成部964に突出形成されたボルト孔形成部の凸設先端面と上キャビティ形成部972に突出形成されたボルト孔形成部の凸設先端面とが当接するように構成する。これにより、枠体920にボルト孔924を一体的に形成できると共に、外周部911bのうちキャビティCA内に位置する部位をボルト孔形成部によって挟持固定することができるので、射出成形時において外周部911bがめくれ上がることをより一層防止できる。
なお、枠体20,920が成形された状態では、ボルト孔24,924が外周部11b,12b,911bに塞がれるが、そのボルト孔24,924を塞ぐ外周部11b,12b,911bを切除することによってボルト孔24,924に締付ボルト40を挿通可能な状態とすることができる。
上記第1実施の形態では、一対の挟持部材80に挟持固定された状態における膜体11,12の外径が、複数のボルト孔23aの中心を結ぶ仮想円VCの直径よりも大きな寸法に設定され、膜体11,12の外縁部分が下型60のボルト孔形成部67及び下肉盗み形成部68より外周側に位置している場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、一対の挟持部材80に挟持固定された状態における膜体11,12の外径を、仮想円VCの直径よりも小さくしてもよい。
この場合、外周部11b,12bの一の内縁部分からの径方向(図9左右方向)における長さ寸法を、その一の内縁部分から枠体20の上表面(本第1実施の形態では上肉盗み部21が成形される部位)までの最短距離よりも小さな寸法に設定することが望ましい。これにより、金型成形時において注入された樹脂材料によって外周部がめくれあがった場合であっても、成形された枠体20の上表面に外周部が現れることを回避できる。よって、ドラムヘッドの見栄えを良くすることができる。
上記第1実施の形態では、2枚の膜体11,12のうち上面側に配置される一の膜体11が下面側に配置される他の膜体12よりも直径が小さい場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、2枚の膜体11,12の直径が同等であってもよく、一の膜体11が他の膜体12のよりも直径が大きくてもよい。
また、上記第1実施の形態では、上面側に配置された一の膜体11の打面部11aと下面側に配置された他の膜体12の打面部12aとの双方に弛みを持たせ、他の膜体12の打面部12aを一の膜体11の打面部11aよりも大きく弛ませる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、一の膜体11の打面部11aを他の膜体12の打面部12aよりも大きく弛ませてもよく、一の膜体11の打面部11a又は他の膜体12の打面部12aのいずれか一方の打面部にのみ弛みを持たせ、他方の打面部を自然な状態としてもよい。
上記第1実施の形態では、ゲート痕22aが下肉盗み部22の内壁面に形成される場合について説明したが、必ずこれに限られるものではなく、下肉盗み部22の外壁面や底面または下肉盗み部22以外の枠体20の他の位置に形成されていてもよい。また、上記第1実施の形態では、ゲート69が下肉盗み形成部68の上面に開口形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ゲート69が下肉盗み形成部68の側面や下キャビティ形成部64の上面に開口形成されていてもよい。
上記第1実施の形態では、ドラムヘッド10が2枚の膜体11,12を備えるばあいについて説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、膜体を3枚以上備えていてもよい。
上記第1実施から第4実施の形態では、ボルト孔形成部67が下型60に凸設形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ボルト孔形成部67が上型70に形成された係止部形成体78の下側から下方へ向けて凸設形成されていてもよい。
なお、各実施の形態で説明した各構成を、他の実施の形態で説明した各構成と入れ替えてもよく、また、各実施の形態で説明した各構成に、他の実施の形態で説明した各構成を組み合わせたり、追加したりしてもよい。例えば、第3実施の形態で説明した打面部311aに弛みを持たせた膜体311や第5実施の形態で説明した打面部511aに張力が付与された膜体511を、第7実施の形態で説明した膜体711と入れ替えもよい。
以下に、本発明のドラム及びドラムヘッドに加えて、上記実施形態に含まれる各種発明の概念を示す。
演奏者に打撃される打撃面として構成される打面部およびその打面部の外周側に位置する外周部を有すると共に網状素材から構成される複数の膜体と、それら複数の膜体の外周部が固着されると共に樹脂材料から構成される円環状の枠体とを備えたドラムヘッドの製造に用いる金型であって、下型と、その下型との間で円環状のキャビティを形成する上型と、そのキャビティの内周側に形成された空間である収容部と、その収容部および前記キャビティの間に形成され前記打面部の外縁部分を挟圧可能に構成された挟圧部と、前記収容部に着脱可能に収容されると共に前記膜体を挟持可能に構成された一対の挟持部材と、備えていることを特徴とする金型A1。
金型A1によれば、打面部の外縁部分が挟圧部によって挟圧されるので、キャビティ内に注入された樹脂材料が収容部に浸入することを防止できる。即ち、製造されるドラムヘッドの打面部に樹脂材料が浸入することを防止できるので、ドラムヘッドの見栄えを良くすることができる。
また、一対の挟持部材が着脱可能に構成されているので、一の金型を用いた枠体の射出成形と並行して、一の金型を用いて行う次の射出成形に備え、下型及び上型の内部に収容する膜体を一対の挟持部材で挟持固定する作業を進めることができる。これにより、先に行った射出成形が終了してから次の射出成形を行うまでの成形サイクルを短縮することができるので、ドラムヘッドの製造の効率化を図ることができる。
金型A1において、前記下型は、前記上型に対向する上面側のうち前記キャビティの一部を形成する部位に突出形成される下肉盗み部を複数備え、その下肉盗み部には外部から注入される樹脂材料を前記キャビティ内へ注入するためのゲートが開口形成されていることを特徴とする金型A2。
金型A2によれば、金型A1の奏する効果に加え、下肉盗み部にゲートが形成されているので、ゲートから樹脂材料が注入されることによって成形された後の枠体に残存するゲート痕を、下肉盗み部の内壁面に形成することができる。これにより、ドラムヘッドの外観上、ゲート痕を目立ちにくくすることができるので、ドラムヘッドの見栄えを良くすることができる。
金型A2において、前記上型は、前記下肉盗み部と対応する位置に突出される固定ピンを備え、前記下型および前記上型が型締めされた状態では、前記膜体の外周部が前記固定ピンと前記下肉盗み部との間で挟持固定されることを特徴とする金型A3。
金型A3によれば、金型A2の奏する効果に加え、下型と上型とが型締めされた状態では、外周部が固定ピンと下肉盗み部との間で挟持固定されるので、射出成形時においてゲートから注入される樹脂材料の勢いによって外周部がめくれ上がることを抑制できる。これにより、射出成形時にめくれ上がった外周部が、成形された後の枠体の表面に現れることを防止できる。
金型A1からA3において、前記下型および前記上型が型締めされた状態では、前記下型または前記上型と前記一対の挟持部材との間に隙間が形成されることを特徴とする金型A4。
金型A4によれば、金型A1からA3の奏する効果に加え、下型および上型が型締めされた状態では、下型または上型と一対の挟持部材との間に隙間が形成されるので、金型成形時における下型または上型の熱が一対の挟持部材に伝わることを抑制できる。その結果、下型または上型から膜体の打面部への伝熱を抑制できるので、金型成形時における打面部の熱収縮を防止することができる。
金型A1からA4において、前記下型は、前記上型に対向する上面側のうち前記キャビティの一部を形成する部位に突出形成されるボルト孔形成部を備え、そのボルト孔形成部の上端面が前記上型に当接していることを特徴とする金型A5。
金型A5によれば、金型A1からA4の奏する効果に加え、下型にはキャビティの一部を形成する位置にボルト孔形成部が突出形成され、そのボルト孔形成部の上端面が上型に当接しているので、締付ボルトが挿通可能なボルト孔を枠体に一体的に形成することができる。ドラムヘッドをドラムの胴部に装着する場合に、ドラムヘッドを胴部に固定するためのフープが不要となるので、ドラムの部品点数を減らすことができる。
金型A1からA5において、前記下型は、本体部と、その本体部に着脱可能に形成されると共に型抜き時において成形された前記枠体を離型する際に前記下型から突き出される突出し体とを備え、その突出し体は、その中央部分に円形状に開口形成された貫通孔を備え、その貫通孔に前記本体部が内嵌可能に構成されると共に、型締めされた状態において、前記突出し体の内周縁部分が前記キャビティの一部を構成していることを特徴とする金型A6。
金型A6によれば、金型A1からA5の奏する効果に加え、本体部が貫通孔に内嵌可能に構成され、突出し体の内周縁部分がキャビティの一部を構成しているので、枠体を下型から離型する際に、突出し体の内周縁部分を枠体に当接させることができる。即ち、突出し体によって枠体を突き出す際に、枠体に対する突出し体の当接面積を広く確保して、突出し体からの突出し圧力が枠体に対して局所的に集中することを防止できるので、その突出し圧力によって成形後の枠体が変形することを抑制できる。よって、ドラムヘッドの打面部に付与される張力が不均一になることを抑制することができる。
金型A1からA6のいずれかに記載の金型を用いたドラムヘッドの製造方法であって、前記一対の挟持部材に前記複数の膜体を挟持固定する挟持工程と、その挟持工程により前記複数の膜体が挟持固定された一対の挟持部材を、前記下型および前記上型の内部に収容する収容工程と、収容工程により一対の挟持部材が収容された下型および上型を型締めし、前記キャビティ内に樹脂材料を注入して前記枠体および膜体を一体成形する成形工程と、成形工程により成形された前記枠体、前記膜体および前記一対の挟持部材を、前記金型から離型する型抜き工程と、その型抜き工程により離型された前記複数の膜体に対する一対の挟持部材の挟持固定を解除する固定解除工程と、を備えていることを特徴とするドラムヘッドの製造方法A7。
ドラムヘッドの製造方法A7によれば、金型A1と同様の効果を奏する。