JP2007174603A - スピーカ用エッジの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エッジ成形用金型303は、少なくとも雄型303Aと雌型303Bとを含み、型閉め状態にて金型303内部に該スピーカ用エッジ12の形状に対応した環状のキャビティ3030を備え、環状のキャビティ3030内の外周側面の略中央部に周方向に沿って、雄型303Aと雌型303Bの分割面により分割線が形成される。そしてこの金型303内に基材121Bを装着し、その工程の前又は後にエッジ成形用金型303内にエッジ成形材102A’を装填し、基材121B及びエッジ成形材121Aをエッジ成形用金型303内で加熱加圧処理する。この際、基材121Bの外端部を、金型303の分割線近傍よりも規定距離離れた位置に配置する。
【選択図】図6
Description
ところで、例えばサブウーハのようにハイパワー高出力型のスピーカでは、振動板20の振幅が大きくなりスピーカキャビネット内の負圧が増加することによって、外側に向けて凸状のロール形状に保持されるべきエッジ形状が、内側に引き込まれる、いわゆる「吸い込み」が発生する場合がある。この「吸い込み」が発生すると振動板変位の直線性、振動板の横揺れ防止、エッジ自身の固有振動防振等のために設定されたエッジ形状が崩れてしまい、振動板20が異常振動を起こすと共にエッジ自身の固有共振が生じ、低音域における歪や異音の発生を起こす等の不具合が生じる場合がある。
例えば特許文献2には、エッジ成形部材中に布や繊維等からなる基材を配備して、エッジの剛性を高めて、上記不具合を低減したエッジが知られている。例えば図1に示したエッジ21を、単純にインサート成形により製造する方法を図面を参照しながら説明する。
そして図3(b)に示すように、雄型203Aと雌型203Bとを矢印のように型閉めして加熱加圧成形することにより、図3(c)に示すように、基材201Bがエッジ成形部材201A内に配置されたスピーカ用エッジ21’が得られる。
請求項1に記載の発明は、内端部がスピーカ用振動板に接続し、外端部がエッジ外周より内側に向けて形成され、前記外端部がスピーカフレームの取付面に装着し、エッジ成形部材中に略エッジ形状に形成保持された基材が配置された環状のスピーカ用エッジの製造方法であって、エッジ成形用金型は、少なくとも第1及び第2の金型を含み、型閉め状態にて金型内部に該スピーカ用エッジの形状に対応した環状のキャビティを備え、前記環状のキャビティ内の外周側面の略中央部に周方向に沿って、前記第1及び第2の金型の分割面により分割線が形成され、前記基材を前記エッジ成形用金型内に装着する工程と、前記工程の前又は後に前記エッジ成形用金型内にエッジ成形材を装填する工程と、前記基材及び前記エッジ成形材を前記エッジ成形用金型内で加熱加圧処理して前記エッジを得る工程と、を有し、前記基材を前記エッジ成形用金型内に装着する場合に、前記基材の外端部を、前記金型の前記分割線近傍よりも予め規定された距離だけ離れた位置に配置することを特徴とする。
基材をエッジ成形用金型内に装着する工程と、工程の前又は後にエッジ成形用金型内にエッジ成形材を装填する工程と、基材及びエッジ成形材をエッジ成形用金型内で加熱加圧処理してエッジを得る工程と、を有する。この際、基材をエッジ成形用金型内に装着する場合に、基材の外端部を、金型の分割線近傍よりも予め規定された距離だけ離れた位置に配置する。
上記製造方法によれば、第1の金型及び第2の金型の分割線に対応する位置に形成される、パーティングラインから基材の端部がはみ出ることがなくなり、その部分からエッジが割れるなどの不具合を防止することができる。
また例えばパーティングラインから基材がはみ出ないので、インサート成形後、はみ出た基材をカッター等で切り取る等の余計な工程を行うことがない。また余計な工程を省略することで製造時間を短縮することができる。また製造コストを低減することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態に係るスピーカ用エッジ部の製造方法を説明する。
図4は、本発明の第1実施形態に係るスピーカを説明するための図である。図4(a)は平面図であり、図4(b)は図4(a)に示したA−A線に沿った断面図である。図5(a)は図4(b)に示したエッジ付近の拡大図であり、図5(b)は図4(a)に示したB−B線に沿った断面図である。図1(a),(b),図2に示したスピーカと同じ構成や機能については説明を省略する。
内端部12Cは、例えば略平坦状に形成され、裏面側又は表面側に、振動板20の外周端が接続されている。円弧状部12Bは、例えば上側(前方)に向けて凸形状に、詳細には断面弧形状に形成されている。外端部12Aは、エッジ12の外端に形成され、スピーカフレーム10の外周縁10aの内側に形成される取付面10b上に取り付けられる。この外端部12Aは、例えばウレタンやゴム等の規定材料による加圧成形等によって形成されるものであり、所望の肉厚を有しており、エッジ外周より内側に向けて形成されている。そして、その底面12Dがスピーカフレーム10の取付面10bに装着され、その外周面12aがスピーカフレーム10の外周縁10aの内側に当接される。
エッジ成形部材121Aは、例えばゴム系材料を型成形してなるものであり、ゴム系材料としては、例えばブチルゴム(IIR),ニトリルゴム(NBR),スチレン−ブタジエンゴム(SBR),エチレン−プロピレンゴム(EPDM),クロロプレンゴム,イソプレンゴム,エチレンプロピレンゴム,ポリノルボルネンゴム,シリコンゴム,エピクロルヒドリンゴム等の合成ゴム、或いは天然ゴムの中のうちの少なくとも1種を主材料とするものが用いられている。
基材121Bは、例えば綿,アラミド繊維等の繊維からなる布材にフェノール等の熱硬化性樹脂を含浸させて、これを加熱加圧処理して予め規定されたエッジ形状に形成保持したものである。この布材としては、例えば折り目が六角形状をなす亀甲織りの布材を用いることが好ましい。上記構成に強度の大きいエッジを形成することができる。
以下、金型303の各構成要素について一実施形態を説明する。
この際、金型303が型閉め状態にて、雄型303Aと雌型303Bの分割面3032A,3033Bにより、金型303の分割線が形成される。また、この分割線は、中空の環状のキャビティ3033内の外周側面の略中央部に周方向に沿って形成されている。
次に、エッジ成形部材121A’上に、基材121Bを配置する。この際、基材121Bの外端部121cを、雄型303Aと雌型303Bとの境界面部3032A,3033B(分割線に相当する)からはみ出ないように、分割線から予め規定された距離だけ離れた位置に配置する。本実施形態では基材121Bの外端部121cが、分割線よりも低い位置に位置するように、基材121Bを配置する。上述したように基材121Bを配置したことにより、加圧成形時に、基材121Bの外端部121cが、パーティングライン304からはみ出ることを防止することができる。
上述したエッジ12の製造方法では、図7(a)〜(c)に示すように、特に取付ネジ部14近傍のエッジ12のパーティングライン304から、基材121Bがはみ出ていないので、パーティングライン304における割れ等の不具合を防止することができる。またエッジ強度の低下を防止することができる。
図8(a),(b)は、本発明の第2実施形態に係るスピーカ100aのエッジを説明するための断面図である。第1実施形態と構成や機能が略同一の構成や機能については説明を省略する。詳細には図8(a)は図4(a)に示した本発明の第2実施形態に係るスピーカ100aのA−A線に沿った断面図であり、図8(b)は図4(a)に示した本発明の第2の実施形態に係るスピーカ100aのB−B線に沿った断面図である。
本実施形態に係るエッジ12gは、図8(a),(b)に示すように、基材121B’の湾曲側の外端部121c’が、エッジ12gの湾曲部の外側面に周方向に沿って形成されたパーティングライン304よりも、外端部12A側にまで位置するような形状に形成されている。
上記構成のエッジ12gでは、エッジ成形部材121A内に配備された基材121B’の外端部121c’がパーティングライン304よりも、外端部12A側にまで位置するように形成されているので、第1実施形態と比べてエッジの強度が大きい。
図12は、本発明の第3実施形態に係るスピーカのエッジを説明するための図である。図12(a)はスピーカ用エッジの製造方法を説明するための図であり、図12(b)は図12(a)に示したスピーカ用エッジの製造方法により製造されるスピーカ用エッジを説明するための図である。
本実施形態に係るスピーカ用エッジの製造方法では、エッジの内周側端部とスピーカ用振動板20の外周端部とが樹脂等のエッジ成形材により一体成形されている。他の実施形態と略同様な構成や機能、動作等については説明を省略する。先ず図12(a)に示すように、金型303内に振動板20と、エッジ成形部材121A’とを配置する。詳細には、振動板20の外周端部20aとエッジ成形材121A’の内周端部1215とを重ねて配置する。この際、振動板20とエッジ成形部材121A’の上下の位置関係は適宜設定する。次に、上記状態で加熱加圧処理を行うことにより、図12(b)に示すように、本実施形態に係るエッジ12gを得ることができる。
以上説明したように、本実施形態に係るスピーカ用エッジの製造方法では、エッジ成形時に、スピーカ用エッジとスピーカ用振動板の外周端部とをエッジ成形材にて一体成形するので、例えばエッジと振動板とを接着する工程を省略することができ、製造時間を短縮することができる。
上述した実施形態では、断面円弧形状のスピーカ用エッジを説明したが、この形態に限られるものではない。例えば下向きに断面V字形状、断面波型形状など規定形状のスピーカ用エッジに本発明を採用してもよい。
また、上述した実施形態ではコーン形状の振動板20に接続されるエッジを説明したが、この形態に限られるものではない。例えば、ドーム型振動板、平板型振動板など各種形状の振動板に接続されるエッジに採用してもよい。
こうすることで、金型の分割線に対応して形成されるエッジ12のパーティングラインにおける割れ等の不具合を防止することができる。また、雄型303A、及び雌型303Bの分割線から基材121Bの端部がはみ出ることがなくなり、その部分からエッジが割れるなどの不具合を防止することができる。また例えばパーティングライン204から基材121Bがはみ出ていないので、インサート成形後、はみ出た基材をカッター等で切り取る等の余計な工程を行うことがなく、製造工程を短縮することができる。また製造時間の短縮化を実現することができ、また製造コストを低減することができる。
2 マグネット
3 下部プレート
4 上部プレート
5 センターポール
6 コイルボビン
7 ボイスコイル
12 エッジ
12A 外端部
12B 円弧状部
12C 内端部
100,100a スピーカ
121A エッジ成形部材
121B 基材
303A 雄型
3031A 内周側平坦部
3032A 分割面部
303B 雌型
3031B 内周側平坦部
3032B 凹形状部
3033B 分割面部
303C 中子
3031C 下部平坦部
3032C 湾曲面部
3033C 傾斜面部
3034C 上部平坦部
Claims (6)
- 内端部がスピーカ用振動板に接続し、外端部がエッジ外周より内側に向けて形成され、前記外端部がスピーカフレームの取付面に装着し、エッジ成形部材中に略エッジ形状に形成保持された基材が配置された環状のスピーカ用エッジの製造方法であって、
エッジ成形用金型は、少なくとも第1及び第2の金型を含み、型閉め状態にて金型内部に該スピーカ用エッジの形状に対応した環状のキャビティを備え、前記環状のキャビティ内の外周側面の略中央部に周方向に沿って、前記第1及び第2の金型の分割面により分割線が形成され、
前記基材を前記エッジ成形用金型内に装着する工程と、
前記工程の前又は後に前記エッジ成形用金型内にエッジ成形材を装填する工程と、
前記基材及び前記エッジ成形材を前記エッジ成形用金型内で加熱加圧処理して前記エッジを得る工程と、を有し、
前記基材を前記エッジ成形用金型内に装着する場合に、前記基材の外端部を、前記金型の前記分割線近傍よりも予め規定された距離だけ離れた位置に配置することを特徴とするスピーカ用エッジの製造方法。 - 前記基材の外端部が前記金型の分割線よりも低い位置に配置した状態で、前記第1及び第2の金型を型閉めしてインサート成形を行うことを特徴とする請求項1に記載のスピーカ用エッジの製造方法。
- 前記エッジ成形用金型は、前記第1及び第2の金型間に配置され、前記キャビティの内周側に位置する第3の金型を有し、
前記基材の内端部が、前記第2の金型と第3の金型間に位置し、前記基材の外端部が前記第1の金型と前記第3の金型間に位置するように、前記金型内に前記基材を配置することを特徴とする請求項1に記載のスピーカ用エッジの製造方法。 - 前記基材の外端部が、前記キャビティ内において前記分割線よりも上部側に配置されることを特徴とする請求項3に記載のスピーカ用エッジの製造方法。
- 前記基材は、前記第3の金型の側面部に沿って配置されることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のスピーカ用エッジの製造方法。
- 前記エッジ成形時に、前記スピーカ用エッジとスピーカ用振動板の外周端部とを前記エッジ成形材にて一体成形することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一に記載のスピーカ用エッジの製造方法。
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