JP5309811B2 - スピーカ用振動板とこれを用いたスピーカ、及びスピーカ用振動板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スピーカ用振動板とこれを用いたスピーカ、及びスピーカ用振動板の製造方法に関するものである。
近年、スピーカはオーディオ機器のみでなく、携帯電話や携帯型ゲーム機などの小型電子機器にも幅広く利用されており、小型でありながらも優れた音響特性を備えることが求められている。
一般にスピーカの音響特性を高いものとするためには、振動板を構成する部材のうち、ボディを硬く、エッジを柔らかくすることが望ましい。このように、ボディとエッジではそれぞれ求められる特性が異なるため、ボディとエッジとを同一の材料にて構成するフィックスドエッジタイプの振動板よりも、ボディとエッジとを異なる材料にて構成するフリーエッジタイプの振動板の方が、その音響特性の面においては優れるものであった。
しかしながら、フリーエッジタイプの振動板は、一般にボディとエッジを別々に成形した後、両者を接着剤にて接着して製造するため、接着剤の塗布、ボディとエッジの貼り付け、接着剤の乾燥といった接着剤に関する数々の工程が必要となるため、生産性やコスト面において優れるものではなかった。
この問題点に対し、特許文献1では2色成形法を用いてフリーエッジタイプの振動板を製造する方法が提案されていた。
すなわち、特許文献1に記載の製造方法では、ボディとエッジのいずれか一方を成形金型にて先に射出成形し、その後同一成形金型により他方を射出成形してボディとエッジの一体成形を行うものであった。
このように、特許文献1に記載の製造方法による振動板は、2色成形によりボディとエッジとが一体化されており、接着剤を用いる必要がないため生産性やコスト面において優れるものであった。
特開平7−15793号公報
特許文献1に記載の製造方法によるスピーカ用振動板は、確かにその生産性やコスト面において優れるものであったが、以下のような問題点が発生していた。
すなわち、2色成形を用いた振動板では、接着剤を使用せずに、成形材料同士の溶け込みのみでボディとエッジを接合しているため、実用に耐えるほどの接合強度を確保することが困難な場合があったのである。
また、携帯電話や携帯型ゲーム機などの小型電子機器に用いられる振動板のボディは通常極めて薄いものであるため、ボディ用の成形材料を射出用ピンゲートから射出した後、この射出用ピンゲートを成形材料から引き離す際に、成形材料が射出用ピンゲートに引っ張られて引き剥がされてしまい、成形されたボディに貫通孔が生じてしまうのであった。この結果、この貫通孔を埋めるための工程が必要となるという問題点も発生していた。
そこで、本発明では振動板のボディに発生する貫通孔を埋める必要がなく生産性に優れ、かつ、ボディとエッジとの十分な接合強度を有した振動板を提供することを目的とする。
そして、この目的を達成するために本発明におけるスピーカ用振動板は、樹脂製のボディと、前記ボディの周縁表面にその内周部裏面が重なり合うように結合されたエッジと、前記エッジに形成された突出部を備え、前記ボディの周縁には、前記ボディを貫通し、前記樹脂が前記ボディから剥離されて形成された剥離部を設け前記剥離部の径は、前記ボディの厚み寸法よりも大きくするとともに、前記剥離部の内周側面は前記剥離による凹凸を有する粗状態とし、前記突出部は、前記剥離部に嵌まり込むものである。
上記構成による本発明の振動板は、その生産性が高いものであるとともにボディとエッジとの十分な接合強度が確保されている。
これは、ボディとエッジとを結合する位置にあたるボディの周縁部分に、ボディを貫通し、内周側面に凹凸が形成された剥離部を設け、この剥離部にエッジの内周部に設けられた突出部が嵌まり込んだ構成としたことによる。
すなわち、本発明の振動板は、剥離部に突出部が嵌まり込むことによりボディとエッジとの間にアンカー効果が働き、十分な接合強度を確保できる。
ここで、剥離部、射出用ピンゲートを引き離す際に生じる貫通孔である。
すなわち、本発明の振動板は、剥離部をボディとエッジとの結合部分に設け、この剥離部をエッジを成形する際にエッジの材料となる樹脂にて埋めたものである。したがって、本発明の振動板では剥離部を埋めるための工程は不要であり、その生産性において優れたものである。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における振動板1の構造について図1、図2を用いて説明する。図1は振動板1の斜視図であり、図2は図1の点線AA´部分における振動板1の断面図である。
図1に示すように、振動板1の外周は矩形型の形状をなしており、長径は16mm、短径は8mmとなっている。この振動板1は、エッジ2及びボディ3にて構成され、エッジ2の内周部の裏面はボディ3の周縁部の表面と重なり合うように結合されている。この振動板1は、2色成形により成形されたため、エッジ2とボディ3は接着剤を用いることなく結合されている。
エッジ2は矩形型の形状をなしており、振動板1の外周部を構成している。エッジ2は図1、図2に示すように断面が略半円の上方向に突出したループ状凸部4を有しており、音声出力時には主にこのループ状凸部4が変形することによって、振動板1全体が上下に振動する。ただし、このループ状凸部4は上方向の突出に限るものではなく、エッジ2の応力負荷を分散させる構成(例えば下方向の突出)であればよい。
さらに、エッジ2は図2に示すように内周部において下方向に突出した突出部5を有している。この突出部5は図1の丸印で示す4点に配置されている。この突出部5は、エッジ2を形成する樹脂が後述する貫通孔7に充填し、固化することで形成されたものである。
ボディ3は、音声出力時に、空気を振動させ、音声を外部へと出力する部分である。ボディ3は中央部に断面が半楕円形状となるドーム形状部分6を有しており、その外周は、エッジ2と同様に矩形形状をなしている。また、ボディ3には図1の丸印で示す4点にボディ3の底部まで貫通した貫通孔7が存在し、前述したエッジ2の突出部5は貫通孔7に嵌まり込んでいる。また、この貫通孔7の内周面は、図2の断面図に示すようにエッジ2の突出部5の外周面と一体化した状態となっている。なお、突出部5の先端は貫通孔7の底部まで達している。
次に、この振動板1を用いたスピーカ8の構造と動作について、図3を用いて説明する。図3は、スピーカ8の断面図である。
図3に示すように、振動板1は、エッジ2及びボディ3によって構成される。そして、ボディ3の周縁部の裏面には矩形状のボイスコイル9が固定されて設けられており、エッジ2の外周部はフレーム10によって支持されている。フレーム10の底部中央には、磁気回路体11が支持されており、ボイスコイル9はこの磁気回路体11が形成する磁気ギャップ12に可動自在に配置されている。
このような構造のスピーカ8に音声信号を付加した交流電流を流すと、磁気回路体11が形成する磁気ギャップ12と反応し、ボイスコイル9には駆動力が発生する。この駆動方向はフレミング左手の法則に従い、ボイスコイル9は上下方向に振動する。そして、ボイスコイル9の振動が振動板1に伝わり、振動板1の特にボディ3が主となってスピーカ8外部の空気を動かし、音声が出力される仕組みとなっている。
以下、本発明の実施の形態1における振動板1の製造方法について図面を用いて説明する。
まず、図4を用いて振動板1の成形に用いる金型の説明をする。図4は成形金型の断面図である。
成形金型は、第1の金型13と第2の金型14とから構成される。
第1の金型13は、図4における上下方向に可動自在な金型であり、下面には所望の振動板の形状に成形できるよう、成形型13aと成形型13bが形取られている。
第1の金型13の成形型13a側には、振動板1のボディ3を形成するための樹脂を射出するゲートであるピンゲート15が4箇所設けられている(図示しているのは2箇所)。このピンゲート15は、第1の金型13の上面から下面へと貫通して設けられている。なお、本実施の形態ではピンゲート15の射出孔15aの形状を円形とし、その径を0.3mmとしているがこれに限定するものではない。例えば、射出孔15aの径は、0.3mm以上0.6mm以下の間の値であれば、射出する樹脂がピンゲート15に詰まることはなく、あるいは大量に射出されて成形に失敗することもなく、好適に振動板1の製造を行うことができる。
さらに、第1の金型13の成形型13b側の側面には、サイドゲート16が設けられている。このサイドゲート16の射出孔16aの形状は、短径が0.1mm、長径が1mmの長方形状としている。なお、本実施の形態では、第1の金型13の側面にサイドゲート16を1箇所設けた構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば第1の金型13の図4における手前の面及び奥の面に1箇所ずつの計2箇所設けた構成としてもよい。
第2の金型14は、図4における左右方向に回転可能な金型であり、第1の金型13と同様に、上面には所望の振動板の形状に成形できるよう、成形型14aと成形型14bが形取られている。なお、これら成形型14aと成形型14bは同じ形状の成形型である。
次に、図5及び図6を用いて、第1の工程について説明する。図5は、第1の金型13と第2の金型14を型締めした状態の断面図であり、図6は型締めした成形金型に第1の樹脂を射出した状態の断面図である。なお、図5及び図6では、図4で示した第1の金型13と第2の金型14の左半分(成形型13a側)のみを示している。
図5に示すように、第1の金型13と第2の金型14を型締めすると、第1の金型13と第2の金型14の間にキャビティー17が形成される。振動板1のボディ3はこのキャビティー17の形状に成形される。この時、ピンゲート15の射出孔15aは、このキャビティー17の周縁部に位置し、キャビティー17はこのピンゲート15を介して外部と連通している。
そしてキャビティー17に、図6に示すようにピンゲート15の射出孔15aから振動板のボディ3を形成する材料となる第1の樹脂を射出する。ピンゲート15の射出孔15aは成形されるボディ3の周縁部に配置されており、このボディ3の周縁部は後述する第3の工程にてエッジ2の内周部と結合される。なお、ボディ3は剛性に優れた材料を用いるのが好ましく、本実施の形態では、射出する第1の樹脂として、オレフィン系のポリプロピレンを用いた。また、第1の金型13と第2の金型14はキャビティー17以外の部分は密着しており、キャビティー17に射出した樹脂がキャビティー17以外の部分に流出することはない。
この結果、図6に示すように振動板のボディ3が成形される。なお、このボディ3の厚さは0.1mmとしているが、これに限定されることなくボディ3の厚さは0.3mm以下であればボディとしての用途を満たす。
次に、図7を用いて、第2の工程について説明する。図7は、第1の工程の後に離型させた第1の金型13と第2の金型14の断面図を示すものである。なお、図7に示す断面図も図4で示した第1の金型13と第2の金型14の左半分(成形型13a側)のみを示すものである。
第1の工程にて、第1の樹脂を射出成形し、第1の樹脂がボディ3の形状である程度固化した後に(一例として10秒以上待った後)、図7に示すように第1の金型13と第2の金型14を離型する。
この際、ピンゲート15の射出孔15aの径(0.3mm)に比べ、ボディの厚さ(0.1mm)は小さいため、必然的に射出孔15aの下部に残留した第1の樹脂はピンゲート15に引っ張られて引き剥がされてしまう。この結果、ボディ3周縁部の樹脂射出位置にあたる箇所に貫通孔7が形成されることになる。この貫通孔7の大きさは、射出孔15aとほぼ同じ大きさのものではあるが、射出孔15a部分の樹脂を引き剥がして形成したものであるため、射出孔3aと同じような円形になるとは限らない。また、貫通孔7の内周表面は破断面であり、凹凸が存在する粗い状態となっている。なお、このピンゲート15に引き剥がされて射出孔15aの先端についた残留樹脂18は、図8に示すようにピンゲート15内に残留した第1の樹脂とともに排出される。
次に、図9、図10、図11を用いて、第3の工程について説明する。図9は第2の工程の後に第2の金型14を180度回転させた状態の第1の金型13と第2の金型14の断面図、図10は第2の金型14を回転させた後で型締めした第1の金型13と第2の金型14の断面図、図11は型締めした成形金型に樹脂を射出した状態の断面図である。なお、図10及び図11は図9に示した第1の金型13と第2の金型14の右半分(成形型13b側)のみを示すものである。
第2の工程の後に第2の金型14を180度回転させると、成形型13aの下方にあったボディ3は図9に示すように成形型13bの下方へと移動する。
そして、図10に示すようにボディ3を第2の金型14に載荷した状態で第1の金型13と第2の金型14とを型締めすると、第1の金型13と第2の金型14、及びボディ3にて囲まれるキャビティー19が形成される。この際、サイドゲート16の射出孔16aはキャビティー19の側方に位置し、キャビティー19はこのサイドゲート16を介して外部と連通している。
そして、図10の状態の成形金型にサイドゲート16の射出孔16aから第2の樹脂を射出すると、図11に示すように、第2の樹脂は、先に射出して成形したボディ3と接触し、さらにボディ3の周縁部に存在する貫通孔7に侵入し、充填する。この結果、ボディ3と一体化されたエッジ2が成形される。このように本実施の形態では2色成形を用いているため、ボディ3とエッジ2との接着工程は不要である。
なお、エッジ2には柔軟性に優れた材料を用いるのが好ましく、本実施の形態では第2の樹脂としてオレフィン系エラストマーを用いている。したがって、エッジ2は剛性に優れたオレフィン系ポリプロピレンを用いたボディ3に比べ、弾性率が低い(柔らかい)ものとなっている。ここで、第1の樹脂及び第2の樹脂は本実施の形態で使用したものに限定されるものではなく、例えば第1の樹脂としてABS樹脂などを用いてもよいが、本実施の形態のように第1の樹脂としてオレフィン系ポリプロピレン、第2の樹脂としてオレフィン系エラストマーを用いると樹脂同士の相性が良く、結合力が高まるという効果を有する。
この第3の工程の後、第1の金型13と第2の金型14を離型すると、図1に示したようなエッジ2とボディ3が一体化された振動板1を得ることができる。
以下、本実施の形態における振動板1の効果について説明する。
まず、本実施の形態における振動板1は、図2の断面図に示すように、エッジ2の突出部5がボディ3の貫通孔7に嵌まり込んだ構成を有している。この結果、従来の振動板に比べ、エッジ2とボディ3との接合強度がはるかに高いものとなっている。
これは、エッジ2とボディ3を形成する樹脂同士の結合力の他に、いわゆる「アンカー効果」が作用するためである。
すなわち、本実施の形態の製造方法による振動板1において例えばエッジ2とボディ3を剥離させようとした場合、エッジ2の裏面とボディ3の表面の樹脂同士の結合力に加え、突出部5の外周面と貫通孔7の内周面との結合をせん断方向(図2の矢印の方向)の力に抗して剥離させねばならない。ここで、一般的に結合したものを剥離させるのに要する力は、引張方向よりもせん断方向の方がはるかに大きい。つまり、本実施の形態における振動板1では、突出部5の外周面と貫通孔7の内周面の間にアンカー効果が作用するため、従来の振動板に比べはるかにエッジ2とボディ3の接合強度が高いものとなっている。ここで、上述したように貫通孔7の内周部は破断面であるため、凹凸が多く存在している。このことは、突出部5が貫通孔7からさらに外れにくいものとなるように作用している。
さらに、貫通孔7の位置は、エッジ2とボディ3との結合部分に配置されているため、その製造工程において貫通孔7は、エッジ2を形成する樹脂材料にて自動的に充填されることになる。したがって、振動板1は従来の振動板のようにボディにあいた貫通孔を埋める工程は不要であり、生産性の優れたものである。
なお、本実施の形態の振動板1では上記のようなアンカー効果を得るために、図1に示すように貫通孔7を4点設けたが、これに限るものではなく、貫通孔7を1点とした場合でもアンカー効果を得ることができる。
また、本実施の形態における振動板1は、突出部5の外周面と貫通孔7の内周面が一体化した構造となっているため、その接合強度はさらに高められたものとなっている。これは、振動板1の製造を2色成形にて行ったことによる。
なお、振動板1に貫通孔7を形成するためには、ボディ3の厚み寸法よりも射出孔15aの径が大きいことが望ましい。このようにすれば、射出孔15a部分の樹脂を引き剥がした際に、確実にボディ3に貫通孔7が生じるためである。したがって、振動板1において貫通孔7の径の寸法もボディ3の厚み寸法よりも大きいものとなっている。
また、エッジ2の形状が矩形形状やトラック形状である場合、エッジ2が円形である場合に比べ本発明はより一層の効果を奏することができる。すなわち、エッジ2が円形である場合はエッジ2とボディ3の結合部分にかかる応力は均等に分散されるが、エッジ2の形状が矩形形状やトラック形状である場合は、エッジ2とボディ3の結合部分にかかる応力は均等には分散されず、特に四隅のコーナー部分に集中しやすい。さらに、エッジ2の形状が矩形形状やトラック形状である場合は、長径側の接着強度が弱くなりやすい。このように、矩形形状やトラック形状の場合、必然的にエッジ2とボディ3とが剥離しやすい部位が生じ、本発明によるとこれらの部分に選択的に貫通孔7を配置することで、エッジ2とボディ3との接合強度を補強することができるからである。
したがって、図1に示すように、貫通孔7はボディ3の長径側に配置されることが好ましい。これは、上述したようにエッジ2とボディ3の接合強度は特に長径側において弱く、これを突出部5と貫通孔7のアンカー効果によって補強することで振動板1の故障の可能性を低減することができるからである。また、図1に示した貫通孔7の配置以外にも、ボディ3の四隅のコーナー部分に設けると良い。これは、上述したように、振動板1の振動時にはボディ3の四隅のコーナー部分がもっとも応力負荷が大きいからである。すなわち、これら四隅のコーナー部分の接合強度をアンカー効果によって高めておくことで振動板1の故障の可能性を低減することができる。
なお、本実施の形態では貫通孔7の形状を円形としたが、これに限られるものではなく、例えば正方形、長方形、多角形、楕円形などの円形以外の形状とした場合においても十分なアンカー効果を得ることができる。
また、振動板1ではボディ3とエッジ2はそれぞれ第1の樹脂と第2の樹脂にて形成されており、材料が異なるものである。これにより、ボディ3とエッジ2の弾性率を異なるように設定できる。具体的には、ボディ3は弾性率を大きく(硬く)、エッジ2は弾性率を低く(柔らかく)設定でき、一般的に振動板に求められる特性を満たすことができる。
以下、本実施の形態の振動板1の製造方法による効果について説明する。
まず、本実施の形態における振動板1の製造方法は、振動板の生産性を向上させることができる。
例えば携帯電話や携帯型ゲーム機などの小型電子機器のスピーカに用いる振動板のボディのように非常に薄いボディを製造する場合、2色成形による振動板の製造方法では、ボディの材料である樹脂を射出後、金型を離型すると、ピンゲートの射出孔の径に比べ成形するボディの厚みが小さいため、射出孔部分の樹脂が引っ張られて剥がされてしまい、ボディに貫通孔があいてしまう。したがって、薄型のボディを成形するためには、従来の振動板の製造方法では、成形後に貫通孔を埋める工程が必要となっていた。
一方、本実施の形態における振動板1の製造方法では、ボディ3の材料である第1の樹脂を射出するピンゲート15の射出孔15aをボディ3とエッジ2の結合する位置に配置したことにより、生産性を向上させることができる。すなわち、第2の工程で発生する貫通孔7はその後のエッジ2の成形工程である第3の工程にて自動的にエッジ2の材料である第2の樹脂にて埋められ、完成品としての振動板1では貫通孔7はエッジ2の内周部にて覆われており、外部に露出した構成とはならない。したがって、貫通孔7を埋める工程を必要とすることなく、振動板1を完成させることができる。この結果、振動板の生産性を高めることができる。
以上、述べたように本実施の形態によると振動板の生産性を高めるとともにエッジ2とボディ3との接合強度を高めることができる。したがって、この振動板1を用いたスピーカ8は、駆動時においてもエッジ2とボディ3とが剥離する可能性が低く、信頼性の高いスピーカ8となっている。
特に、携帯電話や携帯型ゲーム機などの小型電子機器に用いられるスピーカは、通常のホームオーディオに用いられるスピーカのように、インサート成形によりボディの両面をエッジにて挟む構成などとして強固に結合することは難しい。すなわち、通常小型電子機器に用いられるスピーカは上述したような2色成形あるいは接着剤による接着にて、ボディとエッジの片面同士を結合させた構成が一般的であり、その接合強度は弱くなりがちである。しかしながら、本実施の形態の製造方法による振動板1ではエッジ2とボディ3との面同士の結合力に加え、アンカー効果を利用して接合強度を向上させることができる。したがって、本実施の形態の製造方法による振動板1は、携帯電話や携帯型ゲーム機などの小型電子機器のスピーカの振動板として好適に採用し得る。
(実施の形態2)
以下、本実施の形態の振動板21の構造について図12を用いて説明する。図12は、振動板21の断面図である。なお、本実施の形態の振動板21では実施の形態1の振動板1と同じ構成については同じ番号を付し、説明を省略する。
本実施の形態の振動板21は、係止部22を有している点において実施の形態1の振動板1と異なる。
具体的には、図12に示すように振動板21はボディ3の裏面側、すなわちエッジ2とボディ3との結合部分とは逆の面側において、エッジ2の突出部5の先端にあたる部分にボディ3の裏面から突出した鍔状の係止部22を有している。
この係止部22は円柱形で、径が0.5mm程度であり、貫通孔7の径(約0.3mm)よりも大きいものとなっている。
以下、本実施の形態の振動板21の製造方法について説明する。特に係止部22の製造方法について説明する。
まず、本実施の形態の製造方法に用いられる成形金型について説明する。なお、本実施の形態の成形金型では実施の形態1の成形金型と同じ構成については同じ番号を付し、説明を省略する。
図13に示すように、本実施の形態の成形金型は第2の金型14にコアバック式の第3の金型23が備えられている点において実施の形態1の成形金型と異なる。この第3の金型23は、その上端部23aの位置が、第2の工程においてボディ3に形成される貫通孔7のちょうど下方となるように配置されている。ここで、上端部23aの上端面の径は形成される貫通孔7の径よりも大きい。なお、本実施の形態において第3の金型23の形状は円柱形状としたが、これに限らず例えば角柱形状などとしてもよい。
次に、本実施の形態の振動板製造方法について図14を用いて説明する。図14は本実施の形態の第3の工程における成形金型の状態を示す断面図である。
第1の工程及び第2の工程は実施の形態1の振動板製造方法と同様に行われ、これらの工程を経て貫通孔7を周縁部に有するボディ3が成形される。なお、第1の工程及び第2の工程では、第3の金型23はコアバックしていない状態(図13に示す状態)となっている。
第3の工程においては、図14に示すように第3の金型23はコアバックした状態(下方に下がった状態)となっており、この状態でサイドゲート16から第2の樹脂が射出される。したがって、第2の樹脂はボディ3に形成された貫通孔7を通過した後、ボディ3の下面、第2の金型14、及び第3の金型23の上端面にて形成されるチャンバー24に侵入し、充填する。そして、第2の樹脂をチャンバー24及び貫通孔7に充填した状態で固化させ、成形金型を離型すると図12で示したような係止部22を有する振動板21が得られる。なお、この第3の工程において第3の金型23がコアバックした距離(下方に移動した距離)は係止部22の厚みと同じである。
以下、本実施の形態における振動板21及びその製造方法の効果について説明する。
振動板21のエッジ2は、突出部5の先端に鍔状の係止部22を有しており、この係止部22によりエッジ2はボディ3を挟持した構造となっている。このため、振動板21では係止部22によってエッジ2とボディ3の絡まりが強化されることになる。この結果、振動板21は振動板1に比べさらに接合強度を増したものとなっている。
また、係止部22の径は貫通孔7の径以上の大きさであるため、係止部22が貫通孔7から抜けない限りエッジ2とボディ3とが剥離することはない。
なお、この係止部22はこの振動板21を製造する第3の工程において、エッジ2とボディ3との結合部分とは逆の面に存在するチャンバー24に第2の樹脂を充填することによって形成される。したがって、このチャンバー24の径も貫通孔7の径よりも大きいものとなっている。
以上、述べたように本実施の形態の製造方法ではアンカー効果に加え、係止部22によりエッジ2とボディ3の絡まりが強化され、より接合強度の高い振動板21を製造することが可能となる。
なお、振動板21にボイスコイル9を接着する際は、係止部22と重なる位置は避け、係止部22の外側あるいは内側に接着するとよい。
本発明におけるスピーカ用振動板は、エッジとボディとの接合強度が高く、またその生産性にも優れている。したがって、本発明におけるスピーカ用振動板は、携帯電話や携帯型ゲーム機といった小型電子機器において有用なものである。
実施の形態1における振動板の斜視図 実施の形態1における振動板の断面図 実施の形態1における振動板を用いたスピーカの断面図 実施の形態1の製造方法に用いる金型の断面図 実施の形態1の製造方法の第1の工程における金型の断面図 実施の形態1の製造方法の第1の工程における金型の断面図 実施の形態1の製造方法の第2の工程における金型の断面図 実施の形態1の製造方法の第2の工程における金型の断面図 実施の形態1の製造方法の第3の工程における金型の断面図 実施の形態1の製造方法の第3の工程における金型の断面図 実施の形態1の製造方法の第3の工程における金型の断面図 実施の形態2における振動板の断面図 実施の形態2の製造方法に用いる金型の断面図 実施の形態2の製造方法の第3の工程における金型の断面図
符号の説明
1 振動板
2 エッジ
3 ボディ
4 ループ状凸部
5 突出部
6 ドーム形状部分
7 貫通孔
8 スピーカ
9 ボイスコイル
10 フレーム
11 磁気回路体
12 磁気ギャップ
13 第1の金型
14 第2の金型
15 ピンゲート
15a 射出孔
16 サイドゲート
16a 射出孔
17 キャビティー
18 残留樹脂
19 キャビティー
21 振動板
22 係止部
23 第3の金型
23a 上端部
24 チャンバー

Claims (11)

  1. 樹脂製のボディと、前記ボディの周縁表面にその内周部裏面が重なり合うように結合されたエッジと、前記エッジに形成された突出部を備え、前記ボディの周縁には、前記ボディを貫通し、前記樹脂が前記ボディから剥離されて形成された剥離部を設け前記剥離部の径は、前記ボディの厚み寸法よりも大きくするとともに、前記剥離部の内周側面は前記剥離による凹凸を有する粗状態とし、前記突出部は、前記剥離部に嵌まり込むスピーカ用振動板。
  2. 前記剥離部は前記スピーカ用振動板の成型金型のゲートに対応する位置に形成された請求項1に記載のスピーカ用振動板。
  3. 前記内周側面は、前記突出部の外周側面と一体化された請求項1に記載のスピーカ用振動板。
  4. 前記エッジの形状は矩形形状あるいはトラック形状であり、前記剥離部は前記ボディのコーナー部分に配置した請求項1に記載のスピーカ用振動板。
  5. 前記エッジの形状は矩形形状あるいはトラック形状であり、前記剥離部は前記ボディの長径側に配置した請求項に記載のスピーカ用振動板。
  6. 前記剥離部に嵌まり込んだ前記突出部の先端に、前記ボディの裏面側に突出し、かつ、前記貫通孔の径よりも大きい径に形成された鍔状の係止部を前記突出部と一体で設けた請求項1に記載のスピーカ用振動板。
  7. 前記エッジは、前記ボディの樹脂材料とは異なる樹脂材料にて形成された請求1〜に記載のスピーカ用振動板。
  8. フレームと、
    前記フレームにより支持される磁気回路体と、
    前記磁気回路体が形成する磁気ギャップに可動自在に配置されるボイスコイルと、
    前記ボイスコイルが固定される振動板とを備え、
    前記振動板は、樹脂製のボディと、
    前記ボディの周縁表面にその内周部裏面が重なり合うように結合されたエッジと、前記エッジに形成された突出部を有し、
    前記ボディの周縁には、前記ボディを貫通し、前記樹脂が前記ボディから剥離されて形成された剥離部を設け前記剥離部の径は、前記ボディの厚み寸法よりも大きくするとともに、前記剥離部の内周側面は前記剥離による凹凸を有する粗状態とし、前記突出部は、前記剥離部に嵌まり込むスピーカ。
  9. ゲートから、型締めされた第1の成形型と第2の成形型の間に形成された第1のキャビティーへ第1の樹脂を射出することにより、ボディを成形する第1の工程と、
    前記第1の工程の後で、前記第1の成形型を離型する第2の工程と、
    前記第2の工程の後で、前記ボディを載荷した前記第2の成形型に前記エッジを成形するための第3の成形型を型締めし、前記第2の成形型と前記第3の成形型の間に形成された第2のキャビティーへ第2の樹脂を射出することにより、前記ボディの周縁と前記エッジの内周部とが重なり合うようにして結合される第3の工程を含むスピーカ用振動板の製造方法において、
    前記ゲートは、ボディとエッジを結合する位置に配置されており、
    前記第2の工程では、前記第1の成形型が離型されることによって、前記ゲートの射出孔部分に残留した前記第1の樹脂が前記ボディから引き剥がされて、前記ボディに貫通孔が形成されるとともに、前記貫通孔の内周側面に破断面が形成されて、前記貫通孔の内周側面が凹凸を形成するスピーカ用振動板の製造方法。
  10. 前記第3の工程において、前記第2の樹脂は前記貫通孔に充填されるとともに、前記貫通孔を通じて前記ボディの前記エッジの結合部分とは逆の面側に存在するチャンバーに充填される請求項に記載のスピーカ用振動板の製造方法。
  11. 前記チャンバーの径は前記貫通孔の径よりも大きい請求項10に記載のスピーカ用振動板の製造方法。
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