JP2011228783A - 音響用部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】エッジの成形後に切断作業を行う必要がなく、良好な製品特性が維持されたエッジを備えた音響用部材を得ること。
【解決手段】音響装置フレームFに装着されるガスケット3と、ガスケットに接合され且つガスケットを形成する材質よりも軟質材で形成されたエッジ4と、を備える音響用部材1の製造方法であって、エッジの射出成形時に、音響用部材の軸線O方向に開口し、且つガスケットとエッジとの接合面3aに向くピンゲート46から成形用金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出して、ガスケットに接合される接合部12の軸線方向の肉厚を、ガスケットよりも径方向の内側に配設される他の部分(10、11、13)の肉厚よりも厚く成形し、ガスケットの径方向の内側に連続し、且つピンゲートの開口方向の前方側に位置するエッジの面が、接合面と同一平面上、又は接合面よりもピンゲートの開口方向の前方側に位置している音響用部材の製造方法を提供する。
【選択図】図1
【解決手段】音響装置フレームFに装着されるガスケット3と、ガスケットに接合され且つガスケットを形成する材質よりも軟質材で形成されたエッジ4と、を備える音響用部材1の製造方法であって、エッジの射出成形時に、音響用部材の軸線O方向に開口し、且つガスケットとエッジとの接合面3aに向くピンゲート46から成形用金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出して、ガスケットに接合される接合部12の軸線方向の肉厚を、ガスケットよりも径方向の内側に配設される他の部分(10、11、13)の肉厚よりも厚く成形し、ガスケットの径方向の内側に連続し、且つピンゲートの開口方向の前方側に位置するエッジの面が、接合面と同一平面上、又は接合面よりもピンゲートの開口方向の前方側に位置している音響用部材の製造方法を提供する。
【選択図】図1
Description
本発明は、音響用部材の製造方法に関するものである。
一般的に音響用部材として、振動板と、振動板を径方向の外側から囲繞し且つ音響用フレームに装着される環状のガスケットと、これらの振動板及びガスケットに接合されて両者を連結し、且つ振動板及びガスケットを形成する材質よりも軟材質で形成された環状のエッジと、を備える構成が知られている。
このような音響用部材の製造方法としては、振動板及びガスケットを一次成形品とし且つエッジを二次成形品とする二色成形、又は振動板及びガスケットをインサート品としてエッジをインサート成形することが考えられる。
このような音響用部材の製造方法としては、振動板及びガスケットを一次成形品とし且つエッジを二次成形品とする二色成形、又は振動板及びガスケットをインサート品としてエッジをインサート成形することが考えられる。
いずれの方法であっても、エッジに関しては、一次成形品とされた振動板及びガスケットに対して、或いは、インサート品とされた振動板及びガスケットに対して、溶融樹脂を射出することで成形されるものである。
そして、エッジを射出成形する方法としては、2つの成形用金型が接近離間する方向に対して直交する方向、即ち音響用部材における径方向、に開口したサイドゲートにより溶融樹脂を射出して成形する方法や、2つの成形用金型が接近離間する方向に対して開口したピンゲートにより溶融樹脂を射出して成形する方法(例えば、特許文献1参照)が知られている。
ところで、射出された溶融樹脂は、一般的にゲートから離れるほど冷却が早く始まり、ゲートに近いほど冷却が遅い。そのため、ゲートの近傍では、最後まで溶融樹脂が流動化してしまい、成形後に残留ひずみが生じ易かった。よって、成形後のエッジのうち、ガスケットに接合され、且つゲートが当てられていた接合部に残留ひずみが残り易かった。
ところがこの残留ひずみは、接合部だけに留まらず、エッジにおけるそれ以外の他の部分にも広がってしまう可能性があった。そのため、エッジ全体の製品特性(例えば振動特性等)に影響がでてしまう恐れがあった。
ところがこの残留ひずみは、接合部だけに留まらず、エッジにおけるそれ以外の他の部分にも広がってしまう可能性があった。そのため、エッジ全体の製品特性(例えば振動特性等)に影響がでてしまう恐れがあった。
そこで、上記サイドゲートを利用する場合において、サイドゲートの開口位置をエッジが成形されるキャビティから離間させた状態で溶融樹脂を射出することで、成形後のエッジの接合部に上記残留ひずみを生じ難くさせる方法が考えられている。
つまり、サイドゲートの開口位置をエッジが成形されるキャビティから離間させることで、最後まで溶融樹脂が流動化する部分を、キャビティとサイドゲートとの間を繋ぐ流通路内に留まらせる方法である。この方法によれば、流通路内で成形された接続部分に残留ひずみを閉じ込めることが可能となり、キャビティ内で成形されたエッジの接合部に残留ひずみを残り難くさせることができる。
つまり、サイドゲートの開口位置をエッジが成形されるキャビティから離間させることで、最後まで溶融樹脂が流動化する部分を、キャビティとサイドゲートとの間を繋ぐ流通路内に留まらせる方法である。この方法によれば、流通路内で成形された接続部分に残留ひずみを閉じ込めることが可能となり、キャビティ内で成形されたエッジの接合部に残留ひずみを残り難くさせることができる。
しかしながらこの方法では、成形後に、キャビティ内で成形されたエッジから、流通路内で成形された接続部分を切断する工程が必要となってしまう。そのため、手間と時間がかかり、効率の良い製造を行うことが難しかった。また、切り離した接続部分が廃棄カスとなる不具合も新たに発生してしまう。
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、エッジの成形後に切断作業を行う必要がなく、良好な製品特性が維持されたエッジを備えた音響用部材の製造方法を提供することである。
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明に係る音響用部材の製造方法は、音響装置フレームに装着される環状のガスケットと、該ガスケットに接合され且つガスケットを形成する材質よりも軟質材で形成された環状のエッジと、を備える音響用部材の製造方法であって、前記ガスケットを一次成形品とし、且つ前記エッジを二次成形品とする二色成形、又は前記ガスケットをインサート品として前記エッジをインサート成形することにより形成され、前記エッジの射出成形時に、前記音響用部材の軸線方向に開口し、且つ前記ガスケットと該エッジとの接合面に向くピンゲートから成形用金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出して、ガスケットに接合される接合部の軸線方向の肉厚を、ガスケットよりも径方向の内側に配設される他の部分の肉厚よりも厚く成形し、前記ガスケットの径方向の内側に連続し、且つ前記ピンゲートの開口方向の前方側に位置する前記エッジの面が、前記接合面と同一平面上、又は該接合面よりも前記ピンゲートの開口方向の前方側に位置していることを特徴とする。
(1)本発明に係る音響用部材の製造方法は、音響装置フレームに装着される環状のガスケットと、該ガスケットに接合され且つガスケットを形成する材質よりも軟質材で形成された環状のエッジと、を備える音響用部材の製造方法であって、前記ガスケットを一次成形品とし、且つ前記エッジを二次成形品とする二色成形、又は前記ガスケットをインサート品として前記エッジをインサート成形することにより形成され、前記エッジの射出成形時に、前記音響用部材の軸線方向に開口し、且つ前記ガスケットと該エッジとの接合面に向くピンゲートから成形用金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出して、ガスケットに接合される接合部の軸線方向の肉厚を、ガスケットよりも径方向の内側に配設される他の部分の肉厚よりも厚く成形し、前記ガスケットの径方向の内側に連続し、且つ前記ピンゲートの開口方向の前方側に位置する前記エッジの面が、前記接合面と同一平面上、又は該接合面よりも前記ピンゲートの開口方向の前方側に位置していることを特徴とする。
本発明によれば、ピンゲートから成形用金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出してエッジを成形する際、ガスケットに接合される接合部の肉厚を他の部分の肉厚よりも厚くして大きく体積を確保しているので、ピンゲートの周辺に生じる残留ひずみを接合部内に閉じ込め易い。
しかも、ガスケットの径方向の内側に連続し、且つピンゲートの開口方向の前方側に位置するエッジの面が、ガスケットとの接合面と同一平面上、又は、接合面よりもピンゲートの開口方向の前方側に位置、即ち、接合面よりもピンゲートから離れた位置に位置している。そのため、成形時に最後まで溶融樹脂が流動化する部分をピンゲートの近傍に留まらせることが可能である。
しかも、ガスケットの径方向の内側に連続し、且つピンゲートの開口方向の前方側に位置するエッジの面が、ガスケットとの接合面と同一平面上、又は、接合面よりもピンゲートの開口方向の前方側に位置、即ち、接合面よりもピンゲートから離れた位置に位置している。そのため、成形時に最後まで溶融樹脂が流動化する部分をピンゲートの近傍に留まらせることが可能である。
従って、上述したように残留ひずみを接合部内に閉じ込め易く、それ以外のエッジの他の部分に残留ひずみの影響が広がってしまうことを抑制できる。よって、エッジ全体の製品特性を設計通りの良好な特性にすることができ、最適な音響の発生に繋げることができる。
また、エッジの射出成形後に、従来行っていた切断作業等を新たに行う必要がないので、効率の良い製造を行える。更に、ピンゲートの開口方向である軸線方向に接合部の体積を大きくして成形品の外径が大きくなることを防ぐことができるので、音響用部材の外径が大型化してしまう恐れがない。
また、エッジの射出成形後に、従来行っていた切断作業等を新たに行う必要がないので、効率の良い製造を行える。更に、ピンゲートの開口方向である軸線方向に接合部の体積を大きくして成形品の外径が大きくなることを防ぐことができるので、音響用部材の外径が大型化してしまう恐れがない。
(2)また、上記本発明の音響用部材の製造方法において、前記ガスケットに、前記軸線方向に沿って延び、且つ前記接合部の径方向の外側に配設される延設部が設けられていても良い。
この場合には、エッジよりも硬い材質のガスケットの延設部がエッジの接合部の径方向の外側に配設されているので、エッジの過度の変形を該延設部によって抑制することが可能である。そのため、例えば音響装置フレームにガスケットを介して音響用部材を装着させる際、軸線方向に沿った外力がエッジに伝わったとしても軟材質のエッジが潰れるように変形することを延設部を利用して抑えることができる。従って、軸線方向に沿った音響用部材の位置決めをより正確に行い易く、組立性を向上することができる。
(3)また、上記本発明の音響用部材の製造方法において、前記ガスケットにおける前記接合部との接合面に、前記キャビティ内において前記軸線方向に沿って該接合部に向かう凸部が突設されていても良い。
この場合には、エッジの射出成形時、ピンゲートから射出された溶融樹脂によってガスケットの一部が溶融したとしても、凸部が遮断壁として機能し、溶融分がエッジにおける接合部以外の他の部分側に流動してしまうことを抑えることができる。仮に、ガスケットの溶融分が他の部分側に溶け出してしまった場合には、他の部分の表面に硬質の被膜が形成され、この被膜との界面部分に応力が集中して他の部分の耐久性を低下させる恐れがある。しかしながら、凸部によってガスケットの溶融分の溶け出しを抑えることができるので、このような不具合が生じ難い。
(4)また、上記本発明の音響用部材の製造方法において、前記ガスケットにおける前記接合部との接合面に、前記キャビティ内において該ガスケットよりも径方向の内側に突出する突出部が形成されていても良い。
この場合には、エッジの射出成形時、仮にガスケットが熱収縮して成形用金型との間に微小な隙間が生じてしまったとしても、この隙間の入口を突出部で塞ぐことができる。これにより、ピンゲートから射出された溶融樹脂が隙間に流れ込むことを防ぐことができ、ガスケットとエッジとの接合界面にバリが生じてしまうことを防ぎ易い。
本発明に係る音響用部材の製造方法によれば、エッジの成形後に切断作業を行う必要がなく、良好な製品特性が維持されたエッジを備える音響用部材を製造することができる。
以下、本発明に係る音響用部材の実施形態について図1から図5を参照して説明する。
(音響用部材)
本実施形態の音響用部材1は、図1に示すように、振動板2と、この振動板2を径方向の外側から囲繞し且つ音響装置フレームFに装着される環状のガスケット3と、これらの振動板2及びガスケット3に接合されて両者を連結する環状のエッジ4と、で構成されており、電気信号を受けて音響装置の外側に音波を放射する構成となっている。
本実施形態の音響用部材1は、図1に示すように、振動板2と、この振動板2を径方向の外側から囲繞し且つ音響装置フレームFに装着される環状のガスケット3と、これらの振動板2及びガスケット3に接合されて両者を連結する環状のエッジ4と、で構成されており、電気信号を受けて音響装置の外側に音波を放射する構成となっている。
なお、本実施形態では、ガスケット3及びエッジ4はそれぞれ共通軸と同軸に配設されている。以下、この共通軸を軸線Oといい、この軸線O方向に沿って音響装置の外側を上側、音響装置の内側を下側という。また、軸線Oに直交する方向を径方向といい、軸線Oを中心に周回する方向を周方向という。
振動板2は、上方に向けて膨出するドーム状の振動部2aと、この振動部2aの外周縁に上方に向けて延設された接合筒部2bと、を備え、例えばポリプロピレン等の合成樹脂材料により一体的に形成されている。
振動部2aは、平面視円形状に形成されると共に軸線Oと同軸に配設されている。また、この振動部2aは、電気信号を受けて振動するように形成されている。
接合筒部2bは、円筒状に形成されると共に軸線Oと同軸に配設されている。この接合筒部2bの高さH1は、例えば振動部2aの厚さd1の約2倍から約20倍となっている。ガスケット3は、振動板2を形成する材質と同じ材質で円環状に形成されている。
振動部2aは、平面視円形状に形成されると共に軸線Oと同軸に配設されている。また、この振動部2aは、電気信号を受けて振動するように形成されている。
接合筒部2bは、円筒状に形成されると共に軸線Oと同軸に配設されている。この接合筒部2bの高さH1は、例えば振動部2aの厚さd1の約2倍から約20倍となっている。ガスケット3は、振動板2を形成する材質と同じ材質で円環状に形成されている。
エッジ4は、軸線O方向に円弧状に湾曲し且つ全周に亘って延びるロール部10と、このロール部10よりも径方向の内側に軸線Oと同軸に配設された筒部11と、ロール部10よりも径方向の外側に軸線Oと同軸に配設された接合部12と、を備え、例えばスチレン系の熱可塑性エラストマ等、射出成形可能で且つ振動板2及びガスケット3を形成する材質よりも軟質な樹脂材料で一体的に形成されている。
ロール部10は、上方に向けて膨出した円弧状に形成されている。そして、ロール部10の内周側部分の下端部が、全周に亘って連続して延びるフランジ状の段部13を介して筒部11の上端に接続されている。また、ロール部10の外周側部分の下端部が、接合部12の上端面12aのうちガスケット3よりも径方向の内側部分(ガスケット3の径方向の内側に連続し、且つ後述するピンゲート46の開口方向の前方側に位置するエッジ4の面)に接続されている。
エッジ4の筒部11の内周面は、振動板2の接合筒部2bの外周面に接合されている。そして、これら筒部11及び接合筒部2bの下方に、例えば図示しないコイルが軸線Oと同軸に配設されるようになっている。また、エッジ4の接合部12の上端面12aのうち径方向の外側部分とガスケット3の下端面(接合部12との接合面)3aとが全周に亘って接合されている。
なお、接合部12の下端面12bには、周方向に沿って間隔を開けて凹む凹部15が周方向に間隔を開けて複数形成されており、この凹部15の底面にゲート部分16が形成されている。このゲート部分16は、エッジ4の射出成形時に形成されるピンゲート46の痕であり、このピンゲート46から溶融樹脂が射出された部分である。
上記凹部15は、エッジ4の射出成形後、後述するコア金型31と二次キャビティ金型45とを離間させた際に生じる可能性がある切断残り17を収容するための凹部として機能している。
上記凹部15は、エッジ4の射出成形後、後述するコア金型31と二次キャビティ金型45とを離間させた際に生じる可能性がある切断残り17を収容するための凹部として機能している。
ところで、本実施形態のエッジ4のロール部10は、上述したように外周側部分の下端部が接合部12の上端面12aのうちガスケット3よりも径方向の内側部分に接続されている。よって、ガスケット3の径方向の内側に連続し、且つピンゲート46の開口方向の前方側に位置するエッジ4の面が、接合部12とガスケット3との接合面であるガスケットの下端面3aと同一平面上に位置している。つまり、エッジ4のロール部10は、軸線O方向に沿ってゲート部分16、即ち、射出成形時に用いられるピンゲート46よりもガスケット3に近い位置で接合部12に接続されている。
また、本実施形態のエッジ4の接合部12は、凹部15の凹み分を考慮したとしても、軸線O方向に沿った肉厚t1が、エッジ4の接合部12以外の他の部分(ガスケット3よりも径方向の内側に配設されている部分)の肉厚、例えばロール部10の肉厚t2、段部13の肉厚t3や筒部11の肉厚t4よりも厚く形成されている。
また、本実施形態のエッジ4の接合部12は、凹部15の凹み分を考慮したとしても、軸線O方向に沿った肉厚t1が、エッジ4の接合部12以外の他の部分(ガスケット3よりも径方向の内側に配設されている部分)の肉厚、例えばロール部10の肉厚t2、段部13の肉厚t3や筒部11の肉厚t4よりも厚く形成されている。
なお、接合部12の肉厚t1は、ロール部10の肉厚t2、段部13の肉厚t3や筒部11の肉厚t4よりも厚ければ良いが、2倍以上厚く形成されていることが好ましい。
(製造方法)
次に、上述したように構成された音響用部材1の製造方法について説明する。
なお、本実施形態では、振動板2及びガスケット3を一次成形品とし、且つ、エッジ4を二次成形品とする二色成形で製造する場合を例に挙げて説明する。
次に、上述したように構成された音響用部材1の製造方法について説明する。
なお、本実施形態では、振動板2及びガスケット3を一次成形品とし、且つ、エッジ4を二次成形品とする二色成形で製造する場合を例に挙げて説明する。
はじめに、図2に基づいて、可動側型板30に固定されたコア金型31と、固定側型板40に固定された一次キャビティ金型41と、を用いて、一次成形品である振動板2及びガスケット3を成形する一次成形工程について説明する。
まず、図2(a)に示すように、可動側型板30を固定側型板40に向けて前進させて型締めを行い、コア金型31と一次キャビティ金型41との間に、振動板2及びガスケット3が成形される一次キャビティを形成する。
次いで、図2(b)に示すように、一次キャビティ金型41のキャビティ面に開口する2つのゲート42から、上記一次キャビティ内に溶融樹脂を射出して充満させることにより、一次成形品である振動板2及びガスケット3が成形される。
なお、一方のゲート42から射出された溶融樹脂によって主に振動板2が成形され、他方のゲート42から射出された溶融樹脂によって主にガスケット3が成形される。
次いで、図2(b)に示すように、一次キャビティ金型41のキャビティ面に開口する2つのゲート42から、上記一次キャビティ内に溶融樹脂を射出して充満させることにより、一次成形品である振動板2及びガスケット3が成形される。
なお、一方のゲート42から射出された溶融樹脂によって主に振動板2が成形され、他方のゲート42から射出された溶融樹脂によって主にガスケット3が成形される。
なお、音響用部材1において、エッジ4の筒部11がロール部10の内周側部分の下端から下方に突出しているので、一次キャビティ金型41に、コア金型31に向けて薄肉の中子を突設せずに、肉厚で剛性の高い中子41aだけを突設すれば足りる。
次いで、図2(c)に示すように、可動側型板30を固定側型板40から後退させて型開きを行う。このとき、一次成形品である振動板2及びガスケット3は、コア金型31に保持されて、一次キャビティ金型41内から離脱される。
なお、成形された振動板2の接合筒部2bが振動部2aの外周縁からコア金型31側に向けて突出していて、この接合筒部2b内にコア金型31の中子31aが嵌合されているので、型開き時に振動板2がコア金型31から脱落することが抑制される。
なお、成形された振動板2の接合筒部2bが振動部2aの外周縁からコア金型31側に向けて突出していて、この接合筒部2b内にコア金型31の中子31aが嵌合されているので、型開き時に振動板2がコア金型31から脱落することが抑制される。
次に、図3に基づいて、コア金型31と、固定側型板40に固定された二次キャビティ金型45と、を用いて、二次成形品であるエッジ4を成形する二次成形工程について説明する。
まず、図3(a)に示すように、コア金型31を二次キャビティ金型45に対向させた後、可動側型板30を固定側型板40に向けて前進させて型締めを行う。これにより、コア金型31と二次キャビティ金型45との間に、エッジ4が成形される二次キャビティが形成されると共に、振動板2及びガスケット3が配置される。
ここで、本実施形態では、エッジ4のうちガスケット3に接合される接合部12の軸線O方向に沿った肉厚が、エッジ4の接合部12以外の他の部分の肉厚よりも厚くなるように、上記二次キャビティが形成されるようになっている。
また、上記二次キャビティ金型45には、可動側型板30と固定側型板40との接近離間方向でもある音響用部材1の軸線O方向に開口したピンゲート46が設けられている。この際、ピンゲート46は、ガスケット3の下端面3aに向かい合うように、二次キャビティ金型45のキャビティ面に開口している。
また、上記二次キャビティ金型45には、可動側型板30と固定側型板40との接近離間方向でもある音響用部材1の軸線O方向に開口したピンゲート46が設けられている。この際、ピンゲート46は、ガスケット3の下端面3aに向かい合うように、二次キャビティ金型45のキャビティ面に開口している。
そして、図3(b)に示すように、このピンゲート46から二次キャビティ内に溶融樹脂を射出して充満させることにより、二次成形品であるエッジ4が形成されると共に、振動板2及びガスケット3に接合される。これにより、音響用部材1が形成される。
次いで、図3(c)に示すように、可動側型板30を固定側型板40から後退させて型開きを行う。このとき、音響用部材1は、コア金型31に保持されて二次キャビティ金型45内から離脱され、その後、可動側型板30に設けられた図示しないエジェクタピンにより突き出されることで、コア金型31から離型される。
その結果、図1に示す音響用部材1を得ることができる。これにより、音響用部材1の製造方法が終了する。
その結果、図1に示す音響用部材1を得ることができる。これにより、音響用部材1の製造方法が終了する。
なお、音響用部材1が二次キャビティ金型45内から離脱される際、ピンゲート46内で硬化した溶融樹脂が接合部12から切り離される。このときの切断痕が、ピンゲート46の痕、即ちゲート部分16となる。また、切り離されたときの切断残り17が接合部12側に残ってしまったとしても、凹部15内に確実に収容される。
特に、上記製造方法によれば、ピンゲート46により溶融樹脂を射出してエッジ4を成形する際、図4に示すように、ガスケット3に接合される接合部12の肉厚を他の部分の肉厚よりも厚くして大きく体積を確保している。そのため、ピンゲート46の周辺に生じる残留ひずみ(図4に示す点線Aで囲む部分)を接合部12内に閉じ込め易くすることができる。
しかも、接合部12に接続されているロール部10は、軸線O方向に沿ってピンゲート46よりもガスケット3に近い位置で接続され、その接続部分がガスケット3の下端面3aと同一平面上に位置しているので、成形時に最後まで溶融樹脂が流動化する部分をロール部10側ではなく、ピンゲート46の近傍に留まらせておくことが可能である。
しかも、接合部12に接続されているロール部10は、軸線O方向に沿ってピンゲート46よりもガスケット3に近い位置で接続され、その接続部分がガスケット3の下端面3aと同一平面上に位置しているので、成形時に最後まで溶融樹脂が流動化する部分をロール部10側ではなく、ピンゲート46の近傍に留まらせておくことが可能である。
従って、上述したように残留ひずみを接合部12内に閉じ込め易く、ロール部10等のエッジ4の他の部分に、残留ひずみの影響が広がってしまうことを抑制することができる。よって、エッジ4全体の製品特性(振動特性等)を設計通りの良好な特性にすることができ、振動板2を適正に振動させて、最適な音響の発生に繋げることができる。
また、本実施形態の製造方法によれば、エッジ4の射出成形後に、従来行っていた切断作業(サイドゲートを利用した射出成形時に行っていた接続部分の切断作業)等を新たに行う必要がないので、効率の良い製造を行うことができる。
更に、ピンゲート46の開口方向である軸線O方向に、エッジ4の接合部12の体積を大きくして成形品の外径が大きくなることを防いでいるので、音響用部材1の外径が大型化してしまう恐れがなく、コンパクト化を図り易い。
更に、ピンゲート46の開口方向である軸線O方向に、エッジ4の接合部12の体積を大きくして成形品の外径が大きくなることを防いでいるので、音響用部材1の外径が大型化してしまう恐れがなく、コンパクト化を図り易い。
ところで、上記実施形態において、図5に示すように、ガスケット3の一部を、軸線方向Oに沿って下方に延ばし、エッジ4における接合部12の径方向の外側に配設される延設部50としても構わない。この場合、接合部12を全周に亘って径方向の外側から囲むように延設部50を環状に形成しても構わないし、接合部12に沿って周方向に間隔を開けて配設されるように延設部50を形成しても構わない。
なお、図示の例では、ガスケット3の下端面3aにおける径方向の外側部分に全周に亘って下向きに延設部50を突設し、該延設部50の内周面が接合部12の外周面に接合している場合を例にしている。また、延設部50の内周面は、上側から下側に向かって漸次拡径したテーパ面とされており、例えばガスケット3を射出成形で製造する場合の良好な離型性を確保している。
なお、図示の例では、ガスケット3の下端面3aにおける径方向の外側部分に全周に亘って下向きに延設部50を突設し、該延設部50の内周面が接合部12の外周面に接合している場合を例にしている。また、延設部50の内周面は、上側から下側に向かって漸次拡径したテーパ面とされており、例えばガスケット3を射出成形で製造する場合の良好な離型性を確保している。
このようにすることで、エッジ4よりも硬い材質のガスケット3の延設部50が該エッジ4の接合部12を径方向の外側から囲んでいるので、エッジ4の過度の変形をガスケット3の延設部50を利用して抑制することが可能となる。そのため、例えば音響装置フレームFにガスケット3を介して音響用部材1を装着させる際、軸線O方向に沿った外力がエッジ4に伝わったとしても軟材質のエッジ4が潰れるように変形することをガスケット3によって抑えることができる。
従って、軸線O方向に沿った音響用部材1の位置決めをより正確に行い易く、組立性を向上することができる。
従って、軸線O方向に沿った音響用部材1の位置決めをより正確に行い易く、組立性を向上することができる。
なお、延設部50を形成する場合、該延設部50を凹部15の開口付近まで下方に長く延設させても構わないし、これとは逆に長さを短くしても構わない。いずれにしても、接合部12の径方向の外側に配設されていれば良い。
更に、延設部50に加え、図6に示すように、ガスケット3の下端面3aに、コア金型31と二次キャビティ金型45との間に画成されるキャビティ内において、軸線O方向に沿って接合部12に向かう段差部(凸部)51を突設しても構わない。図示の例では、段差部51がガスケット3の下端面3aにおける径方向の内側部分に全周に亘って下向きに突設されている。
このようにすることで、エッジ4の射出成形時、ピンゲート46から射出された溶融樹脂によってガスケット3の一部が溶融したとしても、上記段差部51が遮断壁として機能し、溶融分がエッジ4の接合部12以外の他の部分側、例えばロール部10側に流動してしまうことを抑えることができる。
仮に、ガスケット3の溶融分がロール部10側に溶け出してしまった場合には、該ロール部10の表面に硬質の被膜が形成され、この被膜との界面部分に応力が集中してロール部10の耐久性を低下させる恐れがある。しかしながら、段差部51によってガスケット3の溶融分の溶け出しを抑えることができるので、このような不具合が生じ難い。
仮に、ガスケット3の溶融分がロール部10側に溶け出してしまった場合には、該ロール部10の表面に硬質の被膜が形成され、この被膜との界面部分に応力が集中してロール部10の耐久性を低下させる恐れがある。しかしながら、段差部51によってガスケット3の溶融分の溶け出しを抑えることができるので、このような不具合が生じ難い。
しかも、図6に示す段差部51は、ガスケット3よりも径方向の内側に突出する突出部として機能するように形成されている。
従って、エッジ4の射出成形時、仮にガスケット3が熱収縮して、例えばコア金型31との間に微小な隙間Dが生じてしまったとしても、この隙間Dの入口を塞ぐことができる。これにより、ピンゲート46から射出された溶融樹脂が隙間Dに流れ込んでしまうことを防ぐことができ、ガスケット3とエッジ4との接合界面にバリ等が生じてしまうことを防ぎ易い。
従って、エッジ4の射出成形時、仮にガスケット3が熱収縮して、例えばコア金型31との間に微小な隙間Dが生じてしまったとしても、この隙間Dの入口を塞ぐことができる。これにより、ピンゲート46から射出された溶融樹脂が隙間Dに流れ込んでしまうことを防ぐことができ、ガスケット3とエッジ4との接合界面にバリ等が生じてしまうことを防ぎ易い。
なお、図6では、延設部50と同時に段差部51をガスケット3に形成した場合を例にしたが、延設部50に関係なく段差部51を形成しても構わない。また、ガスケット3よりも径方向の内側に突出するように段差部51を形成し、上記隙間Dを塞ぐ突出部としての機能を該段差部51に持たせる構成としたが、段差部51とは別個に突出部を形成しても構わない。
また、ガスケット3に延設部50を形成しない場合には、ガスケット3よりも径方向の外側に突出するように、ガスケット3の下端面3aにおける径方向の外側部分に全周に亘って突出部を形成しても構わない。
また、ガスケット3に延設部50を形成しない場合には、ガスケット3よりも径方向の外側に突出するように、ガスケット3の下端面3aにおける径方向の外側部分に全周に亘って突出部を形成しても構わない。
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、音響用部材1を二色成形により形成したが、これに代えて、振動板2及びガスケット3をインサート品とし、これに対してエッジ4をインサート成形することで音響用部材1を製造しても構わない。
また、上記実施形態では、電気信号を音波に変換する音響用部材1を例にしたが、これに限られず、例えば音波を受けて振動して電気信号に変換する音響用部材に適用しても構わない。
また、上記実施形態では、電気信号を音波に変換する音響用部材1を例にしたが、これに限られず、例えば音波を受けて振動して電気信号に変換する音響用部材に適用しても構わない。
また、上記実施形態では、ガスケット3の径方向の内側に連続し、且つピンゲート46の開口方向の前方側に位置するエッジ4の面が、接合部12とガスケット3との接合面であるガスケット3の下端面3aと同一平面上に位置するように、接合部12とロール部10とを接続した構成としたが、下端面3aよりもピンゲート46の開口方向の前方側、即ち、ピンゲート46から離間する上方側に位置するように構成しても構わない。
こうすることで、エッジ4の射出成形時、ピンゲート46の周辺に生じる残留ひずみがロール部10側に広がってしまうことをより効果的に抑制することができる。
こうすることで、エッジ4の射出成形時、ピンゲート46の周辺に生じる残留ひずみがロール部10側に広がってしまうことをより効果的に抑制することができる。
また、上記実施形態では、エッジ4に段部13を設けたが、該段部13を設けずに、ロール部10と筒部11とを直接接続しても構わない。また、エッジ4にロール部10を設けたが、このロール部10は必須なものではなく設けなくても構わない。なお、ロール部10を設ける場合には、下方に向けて膨出させても構わない。
また、エッジ4の筒部11は、ロール部10の内周側部分の下端から上方に突出しても良い。
また、エッジ4の筒部11に代えて、例えばロール部10の内周側部分に径方向の内側に全周に亘って突設されたフランジ部を採用し、且つ、振動板2の接合筒部2bに代えて、例えば振動板2の外周縁に径方向の外側に全周に亘って突設されたフランジ部を採用し、これらフランジ部同士を接合しても良い。
また、エッジ4の筒部11に代えて、例えばロール部10の内周側部分に径方向の内側に全周に亘って突設されたフランジ部を採用し、且つ、振動板2の接合筒部2bに代えて、例えば振動板2の外周縁に径方向の外側に全周に亘って突設されたフランジ部を採用し、これらフランジ部同士を接合しても良い。
また、振動板2の振動部2aは、上記実施形態に代えて、例えば平面視楕円形状や多角形状、その他の形状であっても良く、或いは平板状であっても良く、さらには下側から上側に向けて漸次拡径されたテーパ筒状であっても良い。
更に、振動板2の振動筒部11は、振動部2aの外周縁から下方に向けて延設しても良い。
更に、振動板2の振動筒部11は、振動部2aの外周縁から下方に向けて延設しても良い。
F…音響装置フレーム
O…軸線
1…音響用部材
3…ガスケット
3a…ガスケットの下端面(接合部との接合面)
4…エッジ
12…エッジの接合部
46…ピンゲート
50…ガスケットの延設部
51…段差部(凸部、突出部)
O…軸線
1…音響用部材
3…ガスケット
3a…ガスケットの下端面(接合部との接合面)
4…エッジ
12…エッジの接合部
46…ピンゲート
50…ガスケットの延設部
51…段差部(凸部、突出部)
Claims (4)
- 音響装置フレームに装着される環状のガスケットと、
該ガスケットに接合され且つガスケットを形成する材質よりも軟質材で形成された環状のエッジと、を備える音響用部材の製造方法であって、
前記ガスケットを一次成形品とし、且つ前記エッジを二次成形品とする二色成形、又は前記ガスケットをインサート品として前記エッジをインサート成形することにより形成され、
前記エッジの射出成形時に、前記音響用部材の軸線方向に開口し、且つ前記ガスケットと該エッジとの接合面に向くピンゲートから成形用金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出して、ガスケットに接合される接合部の軸線方向の肉厚を、ガスケットよりも径方向の内側に配設される他の部分の肉厚よりも厚く成形し、
前記ガスケットの径方向の内側に連続し、且つ前記ピンゲートの開口方向の前方側に位置する前記エッジの面は、前記接合面と同一平面上、又は該接合面よりも前記ピンゲートの開口方向の前方側に位置していることを特徴とする音響用部材の製造方法。 - 請求項1に記載の音響用部材の製造方法であって、
前記ガスケットには、前記軸線方向に沿って延び、且つ前記接合部の径方向の外側に配設される延設部が設けられていることを特徴とする音響用部材の製造方法。 - 請求項1又は2に記載の音響用部材の製造方法であって、
前記ガスケットにおける前記接合部との接合面には、前記キャビティ内において前記軸線方向に沿って該接合部に向かう凸部が突設されていることを特徴とする音響用部材の製造方法。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の音響用部材の製造方法であって、
前記ガスケットにおける前記接合部との接合面には、前記キャビティ内において該ガスケットよりも径方向の内側に突出する突出部が形成されていることを特徴とする音響用部材の製造方法。
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JP2010094013A JP2011228783A (ja) | 2010-04-15 | 2010-04-15 | 音響用部材の製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013214874A (ja) * | 2012-04-02 | 2013-10-17 | Onkyo Corp | スピーカー振動板およびこれを用いたスピーカー |
KR20200123630A (ko) | 2019-04-22 | 2020-10-30 | 주식회사 서연이화 | 차량 내장재용 이중사출 성형금형 및 이중사출 성형금형을 이용한 차량용 내장재의 성형방법 |
-
2010
- 2010-04-15 JP JP2010094013A patent/JP2011228783A/ja active Pending
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