JP6398852B2 - ステッチ加飾付き内装部品及びその製造方法 - Google Patents
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Description
この場合、表皮材に糸の縫い目を形成したステッチ加飾部のない内装部品は、図13(a)〜(d)に示すように、基材成形工程、及び表皮成形同時基材接着工程によって簡単に製造することができる。
すなわち、図13(a)、(b)に示すように、射出成形機111から射出成形型112に溶融樹脂を注入し、射出成形によって所定の形状に賦形された基材113を形成する(基材成形工程)。そして、図13(c)、(d)に示すように、下面に接着剤を塗布した表皮材114を加熱装置115にて加熱した後に、真空成形型116にセットした基材113に表皮材114を重ね合わせて吸引することで、表皮材114を基材形状に沿わせる成形と、同時に、表皮材114と基材113とを接着する(表皮成形同時基材接着工程)。このように、表皮材にステッチ加飾部のない内装部品であれば、2型2工程で簡単に製造することができる。
すなわち、図14(a)、(b)に示すように、射出成形機111から射出成形型112に溶融樹脂を注入し、射出成形することによって所定の形状に賦形された基材113を形成する(基材成形工程)。また、図14(c)、(d)に示すように、表皮材114を加熱装置115で加熱した後に、真空成形型116にて基材113に相応する形状に表皮材114を賦形する(表皮成形工程)。その後、図14(e)に示すように、表皮材114の外端を切断したうえ、ミシン117にて糸を縫製して表皮材114にステッチ加飾部120を形成する(ステッチ加飾工程)。最後に、図14(f)に示すように、プレス圧着型118の雄型に基材113をセットして塗布機119にて接着剤を基材表面に塗布し、図14(g)に示すように、プレス圧着型118の雌型に吸着した表皮材114を、雄型にセットした基材113に押圧して、表皮材114と基材113とを接着する(基材接着工程)。このように、表皮材114にステッチ加飾部120を有する内装部品を製造するためには、3型4工程を要し、表皮材にステッチ加飾部のない内装部品に比べて型数及び工程数が大幅に増加することになっていた。そのため、表皮材にステッチ加飾部を形成した内装部品は、ステッチ加飾部のない内装部品に比較して、生産コストが大幅に増大する問題があった。
そのため、本出願人は、表皮材にステッチ加飾部を有する内装部品においても、表皮成形と基材接着とを同時に行う方法を検討し、以下の内容の特許出願(特許文献1)を行っている。当該特許出願には、基材を保持し真空吸引可能な基材保持型(上型)と、所要温度に加熱した表皮材を基材表面に押圧し真空吸引可能な表皮材押圧型(下型)とを備え、下型に形成した凹溝にステッチ加飾用の糸を予め挿入し、上下型を閉じて表皮材を基材に押圧した後に、ステッチ加飾の縫目に対応する位置に形成した突起部を有する入子を凹溝内で上方へスライドさせて、糸を部分的に表皮材側へ押し込むことによって、表皮成形と基材接着とステッチ加飾とを同一行程で行うステッチ加飾付き内装部品の製造方法が開示されている。
すなわち、特許文献1の技術は、ステッチ加飾用の糸を下型に形成した凹溝に挿入する必要があるが、ステッチ加飾用の糸は、一般に0.5〜1.0mm程度の外径であって細いので、糸を凹溝に挿入するときその位置がズレやすく、表皮材における所定の位置に安定してステッチ加飾部を形成しにくいという問題があった。
また、特許文献1のステッチ加飾部は、糸を部分的に表皮材側に押し込むことによって形成するので、糸を表皮材にミシン等によって縫製(以下、「本縫い」とも言う。)して形成する縫製感を出しにくく、また、引っ掻きや摩擦等によって糸が表皮材から剥がれる可能性があるという問題があった。
(1)基材の表面に表皮材が接着され、当該表皮材にステッチ加飾部が形成されたステッチ加飾付き内装部品であって、
前記ステッチ加飾部は、ステッチ加飾用の糸が本縫いされた長尺シート部材を前記表皮材の表面に接着して形成したことを特徴とする。
この場合、ステッチ加飾部が長手方向で湾曲して3次元的に形状が変化していても、これを2次元形状に展開した上で、平面状態の長尺シート部材を本縫いすることによって、表皮材の所定位置に本縫いの縫製感を備えたステッチ加飾部を形成することができ、本縫い作業や縫製装置を簡素化することもできる。
また、ステッチ加飾部は、ステッチ加飾用の糸が本縫いされた長尺シート部材を表皮材の所定位置に接着して形成したので、ステッチ加飾用の糸は、縫製された長尺シート部材を介して表皮材と接着し、その接着強度を増加させることができる。そのため、引っ掻きや摩擦等によって、ステッチ加飾用の糸が表皮材から剥がれることを抑制することができる。
よって、本発明によれば、表皮成形と基材接着とステッチ加飾とを一工程ででき、本縫いの縫製感を備えたステッチ加飾部を表皮材の所定位置に安定して形成できるステッチ加飾付き内装部品を提供することができる。
前記ステッチ加飾部は、複数のステッチ部を有し、各ステッチ部におけるステッチ加飾用の糸が本縫いされた長尺シート部材を前記表皮材の表面に接着して形成したことを特徴とする。
前記長尺シート部材の幅方向外縁部は、前記表皮材表面に形成された凹状溝内に接着されていることを特徴とする。
前記凹状溝は、前記長尺シート部材の幅方向外縁部に隣接した位置で前記表皮材をその表面側へ膨出させて形成したことを特徴とする。
前記基材を保持する基材保持型と、前記長尺シート部材と前記表皮材とを前記基材に押圧する表皮材押圧型と、当該表皮材押圧型に前記ステッチ加飾用の上糸を挿入可能に形成された糸溝とを備え、前記糸溝には前記長尺シート部材に予め本縫いされた前記ステッチ加飾用の上糸を挿入した状態で、前記基材と前記表皮材とを所定位置にそれぞれセットした後、前記基材保持型と前記表皮材押圧型とを型閉じさせて、前記基材表面に前記表皮材を接着させ、かつ前記長尺シート部材を前記表皮材表面に接着させることを特徴とする。
また、糸溝には長尺シート部材に予め本縫いされたステッチ加飾用の上糸を挿入した状態で、長尺シート部材を表皮材表面に接着させるので、長尺シート部材に本縫いされた上糸が糸溝に位置規制されて、ステッチ加飾部を表皮材の所定位置に安定して形成することができる。
よって、本発明によれば、表皮成形と基材接着とステッチ加飾とを一工程ででき、本縫いの縫製感を備えたステッチ加飾部を表皮材の所定位置に安定して形成できるステッチ加飾付き内装部品の製造方法を提供することができる。
前記長尺シート部材に本縫いされた上糸を前記糸溝に形成した糸吸引孔から真空吸引した状態で、前記基材保持型と前記表皮材押圧型とを型閉じさせることを特徴とする。
前記長尺シート部材に本縫いされた上糸を前記糸溝に埋設した糸固定装置によって固定した状態で、前記基材保持型と前記表皮材押圧型とを型閉じさせることを特徴とする。
まず、本実施形態のステッチ加飾付き内装部品の構造を、図1〜図6を用いて説明する。図1に、本発明に係る実施形態のステッチ加飾付き内装部品の斜視図を示す。図2に、図1に示すステッチ加飾部(シングルステッチ)を表すA−A断面図を示す。図3に、図2に示すステッチ加飾用の糸が本縫いされた長尺シート部材の断面図を示す。図4に、図3に示すB−B断面図を示す。図5に、図1に示すステッチ加飾部(ダブルステッチ)を表すA−A断面図を示す。図6に、図5に示すステッチ加飾用の糸が本縫いされた長尺シート部材の断面図を示す。図6(a)は、長尺シート部材にインナステッチ部を縫製したときの断面図を示し、図6(b)は、長尺シート部材にアウトステッチ部を縫製したときの断面図を示す。
図2〜図4に示すように、第1実施例のステッチ加飾部2は、シングルステッチとして、予めステッチ加飾用の糸21、22が幅方向中央部230に1列状に本縫いされた長尺シート部材23を表皮材3の表面に押圧し、接着することによって形成されている。長尺シート部材23は、本縫いされたステッチ加飾用の糸21、22の外径より僅かに大きい所定の幅寸法で長手方向に延設されている。長尺シート部材23が接着される表皮材表面には、長尺状の凹状溝321が形成される。長尺シート部材23の幅方向外縁部231は、ステッチ加飾用の上糸21の外周面に沿って湾曲し、表皮材表面に形成された凹状溝321内に接着されている。凹状溝321は、長尺シート部材23が表皮材表面に押圧され、かつ、表皮材3が表面側へ真空吸引されることによって、長尺シート部材23の幅方向外縁部231に隣接した位置で表皮材3を表面側へ膨出させて形成されている。表皮材3を表面側へ膨出させた表皮材膨出部322は、長尺シート部材23の幅方向外縁部231と表皮材3との境界線を外部から見え難くさせている。
図5、図6に示すように、第2実施例のステッチ加飾部2Bは、ダブルステッチとして、予めステッチ加飾用の糸21BI、22BI、21BO、22BOが幅方向中央部と幅方向外縁部とにそれぞれ1列状に本縫いされた長尺シート部材23Bを表皮材3Bの表面に押圧し、接着することによって形成されている。長尺シート部材23Bは、2分割された長尺シート片23B1、23B2から構成されている。2つの長尺シート片23B1、23B2には、重ね合わせてその外縁部にインナステッチ用の糸21BI、22BIが縫製され(図6(a)参照)、その後、インナステッチ用の糸21BI、22BIを裏面側とし、これを中心に2つの長尺シート片23B1、23B2を幅方向へ開いてその両幅方向外縁部にそれぞれアウトステッチ用の糸21BO、22BOが縫製されている(図6(b)参照)。その結果、長尺シート部材23Bには、幅方向中央部に本縫いされた糸21BI、22BIによってインナステッチ部2BIが裏面側に形成され、両幅方向外縁部に本縫いされた糸21BO、22BOによってアウトステッチ部2BOが表面側に形成されている(図5参照)。
次に、本実施形態に係るステッチ加飾付き内装部品を製造する製造装置の構造を、図7〜図8を用いて説明する。図7に、図1に示すステッチ加飾付き内装部品を形成する真空成形型の模式的断面図を示す。図8に、図7に示す糸溝(吸引孔形成部)の詳細断面図を示す。図9に、図7に示す糸溝(針装着部)の詳細断面図を示す。ステッチ加飾付き内装部品を製造する製造装置には、表皮材と長尺シート部材とを基材に押圧して真空成形する真空成形型の他に、基材の射出成形型、表皮材の把持装置、表皮材の加熱装置、長尺シート部材の切断装置、及び長尺シート部材に加飾用の糸を縫製するミシン装置等を備えているが、ここでは、本願の特徴部分に大きく関係する真空成形型を中心に説明する。
図7〜図9に示すように、本真空成形型5は、基材4を保持する基材保持型(上型)51と、長尺シート部材23と表皮材3とを基材4に押圧する表皮材押圧型(下型)52と、当該下型52にステッチ加飾用の上糸21を挿入可能に形成された糸溝526とを備えている。また、糸溝526には、長尺シート部材23に本縫いされた上糸21を糸溝内に固定する糸固定装置53が埋設されている。
次に、他の実施形態に係るステッチ加飾付き内装部品の製造方法を、図10〜図12を用いて説明する。図10に、図3に示す長尺シート部材を裁断する前の原反にステッチ加飾用の糸を複数列縫製したときの平面図を示す。図11に、図7に示す真空成形型を用いて本ステッチ加飾付き内装部品を製造する製造工程を表す模式的断面図を示す。図12に、本発明に係る他の実施形態に係るステッチ加飾付き内装部品の製造方法を表すフローチャート図を示す。
S1に示すように、予め加飾用の糸21、22を本縫いした長尺シート部材23を形成する。ステッチ加飾用の糸21、22を本縫いした長尺シート部材23は、幅広の原反シート23Gにステッチ加飾用の糸21、22を縫製しながら、所定の幅に裁断して形成する(図10参照)。この場合、本ステッチ加飾付き内装部品1のステッチ加飾部2が、長手方向で湾曲して3次元的に形状が変化していても、これを2次元形状に展開した上で、平面状態の原反シート23Gにステッチ加飾用の糸21、22を縫製することができる。
最後に、S8に示すように、真空成形型5を型開き状態にして、製品を真空成形型5から取り出す。
以上のように、工程S1〜S8に示すように、表皮成形と基材接着とステッチ加飾とを一工程ででき、本縫いのステッチ加飾部2を表皮材3の所定位置に安定して形成できる。
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係るステッチ加飾付き内装部品によれば、ステッチ加飾部2、2Bは、ステッチ加飾用の糸21、22、21BI、22BI、21BO、22BOが本縫いされた長尺シート部材23、23Bを表皮材3、3Bの表面に接着して形成したので、基材4に相応する形状に賦形した表皮材の成形品に本縫いすることなく、表皮材3、3Bにステッチ加飾部2、2Bが形成されたステッチ加飾付き内装部品1、1Bを簡単に形成することができる。すなわち、予めステッチ加飾用の糸21、22、21BI、22BI、21BO、22BOが本縫いされた長尺シート部材23、23Bを形成した上で、当該長尺シート部材を表皮材3、3Bとともに基材4に押圧して、表皮材3、3Bを基材4に相応する形状に賦形すると同時に、長尺シート部材23、23Bを表皮材3、3Bの所定位置に接着させることによって、表皮材3、3Bにステッチ加飾部2、2Bが形成されたステッチ加飾付き内装部品1、1Bを形成することができる。
よって、本実施形態によれば、表皮成形と基材接着とステッチ加飾とを一工程ででき、本縫いの縫製感を備えたステッチ加飾部2、2Bを表皮材3、3Bの所定位置に安定して形成できるステッチ加飾付き内装部品1、1Bを提供することができる。
よって、本他の実施形態によれば、表皮成形と基材接着とステッチ加飾とを一工程ででき、本縫いの縫製感を備えたステッチ加飾部2、2Bを表皮材3、3Bの所定位置に安定して形成できるステッチ加飾付き内装部品1、1Bの製造方法を提供することができる。
例えば、上記実施形態では、糸固定装置53には、長尺シート部材23に本縫いされた上糸21を貫通する針部531を備えているが、糸を固定する手段は、必ずしも針部に限らなくてもよい。例えば、上糸21を係止する爪部でもよい。
2、2B ステッチ加飾部
2BI インナステッチ部(ステッチ部)
2BO アウトステッチ部(ステッチ部)
3、3B 表皮材
4 基材
5 真空成形型
21、21BO 糸(上糸)
22、22BO 糸(下糸)
21BI、22BI 糸
23、23B 長尺シート部材
51 基材保持型(上型)
52 表皮材押圧型(下型)
53 糸固定装置
231、231B 幅方向外縁部
321、321BO 凹状溝
332、322B 表皮材膨出部
526 糸溝
527 糸吸引孔
531 針部
Claims (6)
- 基材の表面に表皮材が接着され、当該表皮材にステッチ加飾部が形成されたステッチ加飾付き内装部品であって、
前記ステッチ加飾部は、ステッチ加飾用の糸が本縫いされた長尺シート部材を前記表皮材の表面に接着して形成したこと、
前記ステッチ加飾用の糸は、前記長尺シート部材の表面側に縫製される上糸と、前記長尺シート部材の裏面側に縫製される下糸とからなり、前記長尺シート部材の幅方向外縁部は、前記上糸に隠蔽されるように、前記上糸の下方の外周面に沿って湾曲し、表皮材表面に形成された凹状溝内に接着されていることを特徴とするステッチ加飾付き内装部品。 - 請求項1に記載されたステッチ加飾付き内装部品において、
前記ステッチ加飾部は、複数のステッチ部を有し、各ステッチ部におけるステッチ加飾用の糸が本縫いされた長尺シート部材を前記表皮材の表面に接着して形成したことを特徴とするステッチ加飾付き内装部品。 - 請求項1又は請求項2に記載されたステッチ加飾付き内装部品において、
前記凹状溝は、前記長尺シート部材の幅方向外縁部に隣接した位置で前記表皮材をその表面側へ膨出させて形成したことを特徴とするステッチ加飾付き内装部品。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載されたステッチ加飾付き内装部品の製造方法であって、
前記基材を保持する基材保持型と、前記長尺シート部材と前記表皮材とを前記基材に押圧する表皮材押圧型と、当該表皮材押圧型に前記ステッチ加飾用の上糸を挿入可能に形成された糸溝とを備え、前記糸溝には前記長尺シート部材に予め本縫いされた前記ステッチ加飾用の上糸を挿入した状態で、前記基材と前記表皮材とを所定位置にそれぞれセットした後、前記基材保持型と前記表皮材押圧型とを型閉じさせて、前記基材表面に前記表皮材を接着させ、かつ前記長尺シート部材を前記表皮材表面に接着させることを特徴とするステッチ加飾付き内装部品の製造方法。 - 請求項4に記載されたステッチ加飾付き内装部品の製造方法であって、
前記長尺シート部材に本縫いされた上糸を前記糸溝に形成した糸吸引孔から真空吸引した状態で、前記基材保持型と前記表皮材押圧型とを型閉じさせることを特徴とするステッチ加飾付き内装部品の製造方法。 - 請求項4又は請求項5に記載されたステッチ加飾付き内装部品の製造方法であって、
前記長尺シート部材に本縫いされた上糸を前記糸溝に埋設した糸固定装置によって固定した状態で、前記基材保持型と前記表皮材押圧型とを型閉じさせることを特徴とするステッチ加飾付き内装部品の製造方法。
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