JP6147580B2 - 車両用の表皮一体発泡品とその製造方法 - Google Patents

車両用の表皮一体発泡品とその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、車両に利用されるヘッドレスト、アームレスト、シートなど車両用の表皮一体発泡品とその製造方法に関するものである。
従来、例えば、ヘッドレストには、所定形状に裁断した複数の表皮片を縫合、連結して袋状の表皮を形成し、該表皮内に発泡液を注入して発泡体製のパッドを表皮と一体成形してなるものがある。
そして、前記表皮における表皮片の縫合箇所に沿って、ヘッドレストの外観を向上させるために、玉縁を介在させたものがある(例えば特許文献1)。これは装飾材である玉縁を表皮片と別体に形成して表皮片間に縫合しなければならないため、工数を要する不具合がある。
そこで、斯かる不具合を除去するものとして、前記表皮における表皮片の縫合箇所に沿って、縫い目が外部に露出するステッチ縫いしたものが開示されている。これはステッチ縫いした部分によって、ヘッドレストの外観を向上させている。
そして、このステッチ縫いは、表皮片を縫合して連結した後、表皮片の両縫い代を一方の表皮片の内側に折り返して、その折り返し箇所と一方の表皮片とを縫い合わせたもの(シングルステッチ仕様)と、表皮片の両縫い代を各々の表皮片の内側に折り返して、その折り返し箇所と各々の表皮片とを縫い合わせたもの(ダブルステッチ仕様、たとえば、特許文献2)がある。
特開平11−221131号公報
ところで、このステッチ縫いした表皮を使用した表皮一体発泡品は、袋状の表皮内に注入した発泡液の発泡に伴う発泡圧力によって、表皮片の縫合箇所が開き、縫合する連結糸が外部から視覚され、製品の外観品質が損なわれる。そのため、連結糸は表皮の外面と同系色にして連結糸が目立つことがないようにしている。また、連結糸が外部に露出しないように、連結糸の縫いピッチを狭くしたり、連結糸の縫製時のテンションを上げている。
また、前記ステッチ縫いは前述の如く、表皮片を縫合して連結した後に、別工程で行う必要がある。
そこで、本発明は縫製構造が簡単で、加飾に優れた車両用の表皮一体発泡品とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、所定形状に裁断した複数の表皮片を縫合して袋状の表皮を形成し、該表皮内に発泡液を注入して発泡体製のパッドを表皮と一体成形してなる車両用の表皮一体発泡品において、
前記表皮片を連結糸で縫合することにより形成する連結縫製部の外側である表皮の外面側に、前記発泡液の発泡圧力によって前記連結縫製部に沿って形成された略V字状の溝の長さ方向に略直交状に架設されて表皮の外に露出する加飾糸からなる加飾縫製部を設けてなることを特徴とする。
この車両用の表皮一体発泡品において、表皮の外面に連結縫製部に沿って発泡液の発泡圧力によって略V字状の溝が形成され、この溝を跨ぐと共に該溝の長さ方向に,略直交状に加飾糸が架設され、加飾糸は外部に露出するため、加飾糸が表皮片の外面の色と異なる色などを採用した場合には、表皮における縫合箇所全体に渉って加飾が施され、外観に優れた車両用の表皮一体発泡品を提供できる。
また、前記加飾糸は前記連結縫製部を構成する連結糸に対して、低いテンションで縫製又は伸縮性が良い糸を使用するのが好ましい。
このような構成を採用すると、加飾糸が表皮の外面に露出し易くなり、表皮一体発泡品の外観品質を向上できる。
且つまた、前記加飾糸は前記連結縫製部を構成する連結糸に対して、太い糸を使用するのが好ましい。
このような構成を採用すると、表皮一体発泡品の加飾性を向上できる。
また、前記加飾糸からなる加飾縫製部の縫い目ピッチは、前記連結糸からなる連結縫製部の縫い目ピッチに対して大にしている。
このようにすることにより、加飾糸が表皮の外面に露出し易くなるし、連結縫製部からの発泡液の漏出を防止できる。
本発明方法は、所定形状に裁断した複数の表皮片を縫合して袋状の表皮を形成し、該表皮内に発泡液を注入して発泡体製のパッドを表皮と一体成形してなる車両用の表皮一体発泡品の製造方法において、前記複数の表皮片の端末同士を、前記発泡液の発泡圧力によって形成された前記連結縫製部に沿って略V字状の溝の長さ方向に略直交状に架設されて表皮の外に露出する加飾糸と、複数の表皮片の端末同士を実質的に連結する連結糸とによって、互いに縫合することを特徴とするもので、加飾縫製部と連結縫製部との縫製作業が効率よく行うことができる。
更に、前記加飾と前記連結は、2本針で、同時に縫製することにより、1工程で加飾縫製部と連結縫製部とを形成できるので縫製作業が簡単になる。
本発明に係る車両用の表皮一体発泡品によれば、表皮の外面に連結縫製部に沿って発泡液の発泡圧力によって形成されるV字状の溝に、加飾糸が架設され、加飾糸は表皮の外部に露出するため、加飾糸は表皮一体発泡品の装飾部材になり、表皮一体発泡品の外観品質を向上し得る。
本発明に係る車両用の表皮一体発泡品の製造方法によれば、加飾縫製部と連結縫製部は同時に1工程で、効率よく製造できる。
本発明に係る表皮一体発泡品の一実施形態を示す斜視図である。 図1のII−II線に沿う部分断面図である。 縫製状態を示す断面図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
図面に示す表皮一体発泡品は、車両用シートのヘッドレストであり、このヘッドレストの外表面を構成する表皮Bは、所定形状に裁断した複数の表皮片1,2を縫い合わせて袋状に形成されている。そして、この袋状の表皮B内にステー6,6を挿入した後、金型内において、発泡液を注入して発泡体製のパッド5を表皮Bと一体成形したものである。この一体成形時、表皮の外面に、連結縫製部に沿って発泡液の発泡圧力によって略V字状の溝Aが形成される。
この複数の表皮片1,2を縫い合わせ箇所に沿って形成された略V字状の溝Aには、図2に示すように、この溝Aを跨ぐように、溝の長さ方向に略直交状に加飾糸3が架設され、この加飾糸3はヘッドレストの外部に露出している。そのため、溝A全体に渉って加飾糸3が施されているため、ヘッドレストの外観品質を向上できる。
以上の複数の表皮片1,2は、図2に示すように、ヘッドレストの外表面に配置される表生地10,20と、この表生地10,20の内側に有するスラブウレタンフォムなどからなるワディング11,21及びワディングカバー12,22の積層体など表皮一体発泡品に使用されている発泡液が漏出しないものである。
以上の複数の表皮片1,2は、図3に示すように、端末同士を、使用時に表皮の外面に露出する加飾糸3と、複数の表皮片1,2の端末同士を連結する連結糸4とによって、互いに縫合することにより、縫製の作業性を向上させている。
加飾縫製部30は加飾糸3によって縫製され、連結縫製部40は連結糸4により縫製される。
加飾糸3は連結糸4に対して、低いテンションで縫製又は伸縮性が良い糸など前記発泡液の発泡圧力によって、図2に示すように、表皮片1,2を縫い合わせ箇所に沿って略V字状の溝Aが形成される共にこの溝Aに架設され且つこの溝Aより露出するようにしている。そして、加飾糸3は表皮片1,2の表生地10,20表面と異なる色の糸又は太い糸を採用してヘッドレストの外表面の加飾性を良好にしている。
また、加飾糸3からなる加飾縫製部30の縫い目ピッチは、前記連結糸4からなる連結縫製部40の縫い目ピッチに対して大にして、前記発泡液の発泡圧力によって、表皮片1,2を縫い合わせ箇所に沿って略V字状の溝Aが形成されるようにしても良い。
このようにすることにより、加飾糸3が表皮Bの外に露出し易くなる。
連結縫製部40は連結糸4により表皮片1,2の端末側に形成され、表皮片1,2の縫い合わせ箇所から前記発泡液が漏出することがないように、縫い目ピッチを狭くしたり、或いは、細い糸を連結糸4としている。
また、加飾糸3、連結糸4の各々の針孔及び表皮片1,2を縫い合わせ箇所からの前記発泡液の漏出を防止するため、それらを覆う当てフィルムを取り付けるようにするのが好ましい。
本発明は、表皮一体発泡品として、ヘッドレストを例示したが、アームレスト、車両用シートなどへの適用が可能である。
1,2…表皮片 3…加飾糸 4…連結糸 5…発泡体製パッド 30…加飾縫製部 40…連結縫製部 A…溝 B…表皮

Claims (5)

  1. 所定形状に裁断した複数の表皮片を縫合してから裏返すことにより袋状の表皮を形成し、該表皮内に発泡液を注入して発泡体製のパッドを表皮と一体成形してなる車両用の表皮一体発泡品において、
    隣接する前記表皮片を、それら端末を揃えて重ねた状態で、前記端末に沿って連結糸で縫合することにより形成された連結縫製部と、
    隣接する前記表皮片を、前記連結縫製部よりも端末から離間した位置で、前記端末に沿って加飾糸で縫合することにより形成された加飾縫製部とを有し、
    縫合した表皮片を裏返して袋状にした状態で発泡液を注入し、前記発泡液の発泡圧力により、前記表皮に前記連結縫製部を底部とする断面視略V字状の溝が形成されることによって、前記加飾糸が前記連結縫製部に対して、略直交状に隣接する表皮片間で架設されて外部に露出することにより表皮一体発泡品の外面加飾を施してなる車両用の表皮一体発泡品。
  2. 前記加飾糸は前記連結糸に対して、低いテンションで縫製された又は伸縮性が良い糸である請求項1記載の車両用の表皮一体発泡品。
  3. 前記加飾糸は前記連結糸に対して、太い糸である請求項1記載の車両用の表皮一体発泡品。
  4. 前記加飾糸からなる加飾縫製部の縫い目ピッチは、前記連結糸からなる連結縫製部の縫い目ピッチに対して大である請求項1又は2又は3記載の車両用の表皮一体発泡品。
  5. 所定形状に裁断した複数の表皮片を縫合してから裏返すことにより袋状の表皮を形成し、該表皮内に発泡液を注入して発泡体製のパッドを表皮と一体成形してなる車両用の表皮一体発泡品の製造方法において、
    隣接する前記表皮片を、それら端末を揃えて重ねた状態で、前記端末に沿って連結糸で縫合することにより連結縫製部を形成するとともに
    隣接する前記表皮片を、前記連結縫製部よりも端末から離間した位置で、加飾糸で前記端末に沿って縫合し、
    縫合した表皮を裏返して袋状にした状態で発泡液を注入し、前記発泡液の発泡圧力により、前記表皮に前記連結縫製部を底部とする断面視略V字状の溝が形成されることによって、前記加飾糸が前記連結縫製部に対して、略直交状に隣接する表皮片間で架設されて外部に露出する車両用の表皮一体発泡品の製造方法。
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