JP2015213697A - シートの表皮構造およびシートの表皮縫製方法 - Google Patents
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【課題】良好な外観意匠を得るためには、部品数が増加したり縫製以外の工程が必要となる。また、芯材及び縫製(ダブルステッチ)による複合的な装飾が施されたシートはない。【解決手段】シートクッションの2枚のトリムカバー片12−2a、12−2bは、トリムカバー片の端末(トリムカバー端末)12−2a’、12−2b’に折り返し部Fを残して、玉縁である芯材20を挟んで縫製される(第1の縫製部30)。そして、トリムカバー片の端末12−2a’、12−2b’を第1の縫製部30でそれぞれトリムカバー裏面に折り返し、重ねられた部分でトリムカバー片が縫製される(第2の縫製部32)。第2の縫製部32は芯材20を左右で挟んだダブルステッチとなる。【選択図】図2
Description
本発明は、シートパッド(発泡成形材)にトリムカバー(表皮材)を被覆してなるシートの表皮構造およびそのシートの表皮縫製方法に関する。
車両用シートは、骨格部材であるシートフレーム(シートクッションフレーム、シートバックフレーム)にウレタンフォーム等の発泡材からなるシートパッド(発泡成形材)を載せ、通気性のある複数のトリムカバー片(表皮片)を略袋状に縫製したトリムカバー(表皮材)でシートパッドを覆って形成されている。
トリムカバーは、それぞれの縫製部において2枚のトリムカバー片の端末(以下、適宜「トリムカバー端末」と略称する)どうしを縫製して成形される。しかし、トリムカバー片は通気性のある不織布等比較的柔らかい素材から形成されているため、縫製時にその表面が波打って縫製の方向が不安定となり、外観品質が低下する。また、大きな張力が加わると、縫製部が位置ずれして(蛇行して)、縫製がほつれやすい。すなわち、シートバックの前面中央部のように着座者の体重を直接受ける部分や、シートバックまたはシートクッションの左右縁部等のように三次元的に湾曲する部分においては、大きな張力がトリムカバーに生じて縫製部の位置がずれて、縫製がほつれやすい。そして、この部分(シートバックの前面中央部や、シートバックまたはシートクッションの左右縁部等)はシートの外観上目立ちやすい部分でもあり、縫製部の位置ずれや縫製のほつれがシートの外観品質に大きく影響する。
そのため、シートバックの前面中央部や、シートバックまたはシートクッションの左右縁部等において、トリムカバー端末の間に芯材を配置し、芯材を介在して2枚のトリムカバー端末を縫製する構成が知られている(たとえば、特開2008−213768号公報、実開平05−068400号公報、実開平03−094200号公報、特開平07−008359号公報)。
通常、芯材はプラスチック等からなる玉縁とされる。トリムカバー片よりも硬質の芯材(玉縁)がトリムカバー端末の間に位置することによって、トリムカバー端末の位置ずれが防止される。また、芯材をカバーで被覆し、カバーに設けた縫製片にトリムカバー端末が縫製されることによって、トリムカバー端末どうしの縫製よりも強く縫製されて、縫製の緩みが防止される。
通常、芯材はプラスチック等からなる玉縁とされる。トリムカバー片よりも硬質の芯材(玉縁)がトリムカバー端末の間に位置することによって、トリムカバー端末の位置ずれが防止される。また、芯材をカバーで被覆し、カバーに設けた縫製片にトリムカバー端末が縫製されることによって、トリムカバー端末どうしの縫製よりも強く縫製されて、縫製の緩みが防止される。
たとえば、特開2008−213768号公報では、芯材をそれぞれ被覆するトリムカバー端末が2つの芯材とともに縫製されて縫製部を形成し、2つの芯材の嵌合可能な溝をコンソールのパッドに形成している。そして、縫製部を芯材とともにコンソールの溝に嵌合させて縫製部を固定化することによって、縫製部の位置ずれ、縫製のほつれを防止している。なお、芯材として、厚い平坦片のみからなるものが使用されている。
また、実開平05−068400号公報では、トリムカバー端末をその上に置かれた芯材の縫製片とともに縫製してから、芯材に沿って一方のトリムカバー端末が折り返されて芯材を被覆している。この構成では、縫製部が芯材の内側に設けられ、(折り返された)トリムカバー片で覆われて隠されるため、縫製部の位置ずれや縫製のほつれが生じても外観意匠を損なうおそれがない。
実開平03−094200号公報では、実開平05−068400号公報と同様にトリムカバー端末をその上に置かれた芯材の縫製片とともに縫製してから、芯材に沿ってトリムカバー端末を折り返して芯材を被覆する構成が記載されている。しかし、実開平05−068400号公報と異なり、芯材は平坦片からなるものが使用されており、そして、その芯材はトリムカバー端末の一方のみならず両端に縫製され、折り返されて被覆されている。縫製部が(折り返された)両端のトリムカバー片で覆われて隠されるため、実開平05−068400号の構成と同様に、縫製部の位置ずれや縫製のほつれが生じても外観意匠を損なうおそれがない。
さらに、特開平07−008359号公報では、芯材は両袖付であるとともに、その下面に補強布の収納される凹所が形成され、左または右の袖に覆ってからトリムカバー端末が折り返されている。そして、折り返されたトリムカバー端末が芯材下面の凹所内の補強片に芯材の袖を介して縫製されている。この構成では、芯材の存在によって縫製部の位置ずれが防止されるとともに、トリムカバー端末が芯材だけでなく補強布にも縫製されているため、強固な縫製が得られ、縫製のほつれが確実に防止される。
また、実開平05−068400号公報では、トリムカバー端末をその上に置かれた芯材の縫製片とともに縫製してから、芯材に沿って一方のトリムカバー端末が折り返されて芯材を被覆している。この構成では、縫製部が芯材の内側に設けられ、(折り返された)トリムカバー片で覆われて隠されるため、縫製部の位置ずれや縫製のほつれが生じても外観意匠を損なうおそれがない。
実開平03−094200号公報では、実開平05−068400号公報と同様にトリムカバー端末をその上に置かれた芯材の縫製片とともに縫製してから、芯材に沿ってトリムカバー端末を折り返して芯材を被覆する構成が記載されている。しかし、実開平05−068400号公報と異なり、芯材は平坦片からなるものが使用されており、そして、その芯材はトリムカバー端末の一方のみならず両端に縫製され、折り返されて被覆されている。縫製部が(折り返された)両端のトリムカバー片で覆われて隠されるため、実開平05−068400号の構成と同様に、縫製部の位置ずれや縫製のほつれが生じても外観意匠を損なうおそれがない。
さらに、特開平07−008359号公報では、芯材は両袖付であるとともに、その下面に補強布の収納される凹所が形成され、左または右の袖に覆ってからトリムカバー端末が折り返されている。そして、折り返されたトリムカバー端末が芯材下面の凹所内の補強片に芯材の袖を介して縫製されている。この構成では、芯材の存在によって縫製部の位置ずれが防止されるとともに、トリムカバー端末が芯材だけでなく補強布にも縫製されているため、強固な縫製が得られ、縫製のほつれが確実に防止される。
特開2008−213768号公報記載の構成では、縫製部、芯材がコンソールの溝に嵌合されて、縫製部の位置ずれ、縫製のほつれが防止される。しかし、被覆したトリムカバー端末とともに縫製された芯材の嵌合される溝をコンソールのパッド表面に形成して、その溝に芯材を溝に嵌合している。そして、トリムカバー端末、芯材の縫製に加えて縫製とは異なる別の行程(嵌合工程)が必要となり、作業工程が複雑化する。また、芯材が2つ必要となり、部材数が増える。さらに、2つの芯材がトリムカバー端末の間に介在されるため、縫製部が幅広となり、外観意匠上好ましくない。
また、芯材を被覆するトリムカバー端末の縫製は外観上視認されるため、縫製(ステッチ)による意匠効果(装飾)はあるが、芯材はトリムカバー端末に覆われるため、芯材(玉縁)による意匠効果は期待できない。
また、芯材を被覆するトリムカバー端末の縫製は外観上視認されるため、縫製(ステッチ)による意匠効果(装飾)はあるが、芯材はトリムカバー端末に覆われるため、芯材(玉縁)による意匠効果は期待できない。
実開平05−068400号公報、実開平03−094200号公報記載の構成では、縫製部がトリムカバー片で覆われて隠されるため、縫製部の位置ずれや縫製のほつれが生じても外観意匠を損なうおそれがない。しかし、トリムカバー端末を芯材の縫製片とともにトリムカバー端末を縫製してから芯材に沿って一方または両端のトリムカバー端末が折り返されて芯材を被覆しているため、折り返されたトリムカバー端末に大きな張力が作用すると、芯材が牽引されてその縫製片が湾曲し、芯材の位置がずれて、外観品質を低下させるおそれがある。また、芯材及び芯材の縫製がトリムカバー端末に被覆されるため、芯材、縫製(ステッチ)による意匠効果が期待できない。さらに、実開平05−068400号公報では、2つのトリムカバー端末は一方のみが折り返され、折り返しが左右対称でないため、良好な外観意匠が得られない。
そして、特開平07−008359号公報記載の構成では、芯材により縫製部の位置ずれが防止されるとともに補強布により強固に縫製され、縫製のほつれが確実に防止される。しかし、芯材は、両袖付でその下面に凹所を持つ特殊な形状であるため、安価な市販の芯材が使用できないとともに、補強布も必要となって部品数が増える。そして、左右2枚のトリムカバー端末に挟まれた芯材は外観上視認されるため、芯材による意匠効果はあるが、芯材の縫製はトリムカバー端末に被覆されるため、縫製(ステッチ)による意匠効果が期待できない。
そして、特開平07−008359号公報記載の構成では、芯材により縫製部の位置ずれが防止されるとともに補強布により強固に縫製され、縫製のほつれが確実に防止される。しかし、芯材は、両袖付でその下面に凹所を持つ特殊な形状であるため、安価な市販の芯材が使用できないとともに、補強布も必要となって部品数が増える。そして、左右2枚のトリムカバー端末に挟まれた芯材は外観上視認されるため、芯材による意匠効果はあるが、芯材の縫製はトリムカバー端末に被覆されるため、縫製(ステッチ)による意匠効果が期待できない。
本発明は、部品数を増やすことなくトリムカバー端末を縫製して、芯材(玉縁)及び縫製(ステッチ)により良好な外観意匠が得られるシートの表皮構造の提供を目的としている。
また、本発明は、部品数を増やしたり縫製以外の工程を必要とすることなくトリムカバー端末を縫製できるシートの表皮縫製方法の提供を目的としている。
また、本発明は、部品数を増やしたり縫製以外の工程を必要とすることなくトリムカバー端末を縫製できるシートの表皮縫製方法の提供を目的としている。
本発明では、2枚のトリムカバー片の端末の間に芯材を挟んで一体的に縫製するだけではなく、各トリムカバー片の端末を裏面に折り返し、重ねられた部分と一体的に縫製した二重縫製としている。
すなわち、請求項1に係る本発明によれば、芯材を介してトリムカバー片の端末を縫製して形成されたトリムカバーでシートパッドを覆ってシートの表皮としたシートの表皮構造において、トリムカバー片が芯材を挟んで縫製された第1の縫製部と、トリムカバー片の端末を第1の縫製部でトリムカバー裏面に折り返し、重ねられた部分でトリムカバー片が縫製された第2の縫製部と、を備えている。
すなわち、請求項1に係る本発明によれば、芯材を介してトリムカバー片の端末を縫製して形成されたトリムカバーでシートパッドを覆ってシートの表皮としたシートの表皮構造において、トリムカバー片が芯材を挟んで縫製された第1の縫製部と、トリムカバー片の端末を第1の縫製部でトリムカバー裏面に折り返し、重ねられた部分でトリムカバー片が縫製された第2の縫製部と、を備えている。
また、請求項2に係る本発明によれば、シートパッドを覆ってシートの表皮となるトリムカバーが芯材を介して2枚のトリムカバー片の端末を縫製して形成されるシートの表皮縫製方法において、トリムカバー片が芯材を挟んで縫製されて第1の縫製部を形成する縫製工程と、トリムカバー片の端末を第1の縫製部でトリムカバー裏面に折り返し、重ねられた部分でトリムカバー片が縫製されて第2の縫製部を形成する別の縫製工程と、を備えている。
請求項1に係る本発明では、トリムカバー端末に挟まれた芯材(玉縁)と、芯材の両側に縫製された左右対称のダブルステッチとによる複合的な装飾が施され、良好な外観意匠を得ることができる。2枚のトリムカバー端末を、芯材(玉縁)を挟んで縫製するとともに裏面に折り返して重ねられた部分で縫製しており、縫製が強固になり、トリムカバー端末に張力が作用してもトリムカバー端末間の芯材が一方向に偏って牽引されることはなくその位置が安定し、良好な外観品質が得られる。
また、芯材は1つで足り、補強布等は不要であり、部品数を増すことなく、安価な市販の芯材を使用してトリムカバー端末を強固に縫製できる。
請求項2に係る発明では、トリムカバー端末に挟まれた芯材(玉縁)と、芯材の両側で縫製された左右対称のダブルステッチとによる複合的な装飾が簡単な方法で施され、良好な外観意匠を得ることができる。芯材を挟んでトリムカバー端末を縫製するとともに、トリムカバー端末を折り返して重ねられた部分を縫製しており、縫製とは異なる別の工程(嵌合工程)等を必要とすることなく2つの縫製工程だけでトリムカバー端末を縫製できる。また、芯材は1つで足り、補強布等は不要であり、部品数を増すことなく、安価な市販の芯材を使用してトリムカバー端末を縫製できる。
芯材を介してトリムカバー片の端末を縫製して形成されたトリムカバーでシートパッドを覆ってシートの表皮としたシートの表皮構造において、トリムカバー片が芯材を挟んで縫製された第1の縫製部と、トリムカバー片の端末を第1の縫製部でトリムカバー裏面に折り返し、重ねられた部分でトリムカバー片が縫製された第2の縫製部と、を備えている。
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施例に係るシートの表皮構造を持つ車両用シートの斜視図を示す。図2(A−1)は図1の線A−Aに沿ったシートの表皮の拡大部分断面図、(A−2)は第1の縫製部が形成されたトリムカバー端末、芯材の横断面図、(A−3)は第1、第2の縫製部が形成されたトリムカバー端末、芯材の横断面図をそれぞれ示し、(B−1)は別形状の芯材を使用したシートであって、図1の線B−Bに沿ったシートの表皮の拡大部分断面図を示す。
なお、前後左右はドライバーシートに着座したドライバーから見た方向をいい、Fr、Rr、L、Rで示す。
なお、前後左右はドライバーシートに着座したドライバーから見た方向をいい、Fr、Rr、L、Rで示す。
図1に示すように、車両用シート10は、シートクッション12と、シートクッションの後端に設けられたシートバック14とを有して構成され、ヘッドレスト16がシートバック14の上面に設けられている。
シートクッション12、シートバック14の基本的な構造は周知であり、たとえば、シートクッションは、左右のサイドフレームの上部を連結パイプ等で連結した略コ字形形状のシートクッションフレーム(図示しない)に、図2(A−1)に示すように、ウレタンフォーム等の発泡成形材からなるシートパッド12−1を載せ、通気性のあるトリムカバー12−2でシートパッドを覆って形成されている。シートバック14も同様に、シートクッションフレームに載せたシートパッド14−1をトリムカバー14−2で覆って形成されている。
シートクッションのトリムカバー12−2は、シートパッド12−1を覆う形状に、それぞれの縫製部で2枚のトリムカバー片を縫製して成形され、シートクッションの縁部、つまりシートクッションの上面12Up、側面12S(図1では左側面)の交差部においては、2枚のトリムカバー片12−2a、12−2bの端末(以下、適宜「トリムカバー端末」と略称する)12−2a’、12−2b’が芯材20に縫製されて、縫製部が形成される。そして、シートクッションの上面12Up、側面12Sの交差部においては、図2(A−1)に示すように、トリムカバー片12−2a、12−2b(正確にいえばその端末)が芯材20とともに縫製されてシートパッド12−1の三次元的に湾曲する部分に芯材が配置されることにより、縫製部からなる縁取りがシートクッションの上面、側面(の交差部)に形成されている。
つまり、シートクッションの上面12Up、側面12Sの交わる交差部のトリムカバー12−2においては、シートクッションの側面12Sを覆う左のトリムカバー片12−2a、シートクッションの上面12Upを覆う右のトリムカバー片12−2bが、芯材20を両側(左右)から挟んで芯材とともに縫製されている。
図2(A−2)に示すように、芯材20はたとえば、プラスチック等からなる断面円形形状の玉縁とされる。左右2枚のトリムカバー片12−2a、12−2bはその端末(トリムカバー端末)12−2a’、12−2b’から折り返し部Fをそれぞれ残して芯材(玉縁)20を挟んで縫製され、第1の縫製部30が形成される。トリムカバー端末12−2a’、12−2b’は、トリムカバーの裏面で第1の縫製部30を中心に図2(A−2)の矢視方向に折り返される。
図2(A−3)に示すように、折り返された左右のトリムカバー片12−2a、12−2bは、トリムカバー端末12−2a’、12−2b’と重ねられた部分で縫製されて、芯材20の延びる方向と平行な第2の縫製部32が形成される。第2の縫製部32は、芯材20を挟んで左右対称に形成された縫製(ダブルステッチ)となる。
すなわち、折り返し部を残して2枚のトリムカバー端末12−2a’、12−2b’を芯材20に縫製して第1の縫製部30を形成するとともに、トリムカバー端末を第1の縫製部30でそれぞれトリムカバーの裏面に折り返し、重ねられた部分のトリムカバーをさらに縫製して第2の縫製部を形成し、トリムカバー上に芯材、縫製部(第2の縫製部)による装飾が施される。いうまでもなく、第1の縫製部30も芯材20の延びる方向と平行に形成されている。
すなわち、折り返し部を残して2枚のトリムカバー端末12−2a’、12−2b’を芯材20に縫製して第1の縫製部30を形成するとともに、トリムカバー端末を第1の縫製部30でそれぞれトリムカバーの裏面に折り返し、重ねられた部分のトリムカバーをさらに縫製して第2の縫製部を形成し、トリムカバー上に芯材、縫製部(第2の縫製部)による装飾が施される。いうまでもなく、第1の縫製部30も芯材20の延びる方向と平行に形成されている。
左右のトリムカバー片12−2a、12−2bに縫製された芯材20は、たとえばシートクッションのシートパッド12−1の上面12Up、側面12Sの交わる交差部に置かれ、芯材を中心としてトリムカバー片がシートパッドの形状に沿って左右に延ばされ、トリムカバーとしてシートパッドを被覆する。トリムカバー12−2がシートパッド12−1上に張設されるため、芯材20はシートパッド表面に押圧されてシートパッドを圧縮変形させ、沈んだ状態でシートパッド表面に配置される。
上記のように、トリムカバー端末12−2a’、12−2b’、芯材20を縫製して第1の縫製部30が形成されるとともに、芯材20の延びる方向と平行な第2の縫製部32が芯材を挟んで左右対称に形成(ダブルステッチ)されている。そのため、トリムカバー片12−2a、12−2bに張力が作用しても、芯材20が一方向に偏って牽引されることはなく芯材の位置がトリムカバー端末間で安定して位置し、外観品質が向上する。
また、トリムカバー12−2は、芯材20、ダブルステッチ(第2の縫製部32)の組合せによる複合的な装飾が施されている。そのため、芯材(玉縁)または縫製のいずれかひとつのみが採用されたシートと比較して装飾性が向上する。この点からも外観品質が向上する。
また、トリムカバー12−2は、芯材20、ダブルステッチ(第2の縫製部32)の組合せによる複合的な装飾が施されている。そのため、芯材(玉縁)または縫製のいずれかひとつのみが採用されたシートと比較して装飾性が向上する。この点からも外観品質が向上する。
芯材20は1つで足り、部品数を増すことなく、安価な市販の芯材を使用してトリムカバー端末を強固に縫製できる。もちろん、1つの芯材をトリムカバー端末の間に介在させているにすぎないため、縫製部が幅広となることもなく、良好な外観意匠が得られる。
トリムカバー端末12−2a’、12−2b’、芯材20を縫製するとともに、トリムカバー端末を折り返し、芯材を挟んで左右対称に縫製(ダブルステッチ)するだけで足り、縫製とは異なる別の工程(嵌合工程)等を必要とせず、トリムカバーの作業工程が簡略化される。そして、2つの縫製だけで強固に縫製でき、良好な外観意匠が得られる。
芯材(玉縁)20の形状は断面円形に限定されず、トリムカバー端末12−2a’、12−2b’が左右から挟んで容易に縫製できる形状であれば足りる。
図2(B−1)は、別形状の芯材を使用したシートであって、図1の線B−Bに沿ったシートの表皮の拡大部分断面図を示す。
ここでは、シートバック14における縫製を示す。
図2(B−1)は、別形状の芯材を使用したシートであって、図1の線B−Bに沿ったシートの表皮の拡大部分断面図を示す。
ここでは、シートバック14における縫製を示す。
図2(B−1)に示すように、たとえば、芯材120は断面矩形形状であることを除けば、上記の芯材20と同様の形状に成形され、2枚のトリムカバー片が同様の方法で芯材を介在して縫製される。
芯材120は、たとえば、プラスチック等からなる断面矩形形状の玉縁とされる。図1を見るとわかるように、シートバック14の前面中央は、たとえば上部、中央部、下部に三分割されている。たとえば、三分割されたシートバックの前面上部14Up、前面中央部14Cの交わる交差部のトリムカバー14においては、シートバックの前面上部14Upを覆う上のトリムカバー片14−2a、シートバックの前面中央部14Cを覆う下のトリムカバー片14−2bが、芯材120を上下から挟んで芯材とともに縫製されている。
そして、上下のトリムカバー片14−2a、14−2bが、折り返し部Fを残して2枚のトリムカバー端末14−2a’、14−2b’を芯材120に縫製して第1の縫製部130を形成するとともに、トリムカバー端末をそれぞれトリムカバーの裏面に折り返し、重ねられた部分のトリムカバーをさらに縫製して第2の縫製部132を形成している。
芯材120は、たとえば、プラスチック等からなる断面矩形形状の玉縁とされる。図1を見るとわかるように、シートバック14の前面中央は、たとえば上部、中央部、下部に三分割されている。たとえば、三分割されたシートバックの前面上部14Up、前面中央部14Cの交わる交差部のトリムカバー14においては、シートバックの前面上部14Upを覆う上のトリムカバー片14−2a、シートバックの前面中央部14Cを覆う下のトリムカバー片14−2bが、芯材120を上下から挟んで芯材とともに縫製されている。
そして、上下のトリムカバー片14−2a、14−2bが、折り返し部Fを残して2枚のトリムカバー端末14−2a’、14−2b’を芯材120に縫製して第1の縫製部130を形成するとともに、トリムカバー端末をそれぞれトリムカバーの裏面に折り返し、重ねられた部分のトリムカバーをさらに縫製して第2の縫製部132を形成している。
芯材120が断面矩形形状であっても、良好な外観意匠が得られ、玉縁が断面円形形状における場合と同様の効果が得られる。
上記のように、本発明によれば、部品数を増やすことなくトリムカバー端末を縫製して良好な外観意匠が得られる。また、部品数を増やしたり縫製以外の工程を必要とすることなくトリムカバー端末を縫製できる。そして、トリムカバー端末に挟まれた芯材(玉縁)と、芯材の両側に左右対称に縫製されたダブルステッチとによる複合的な装飾が施され、さらに良好な外観意匠を得ることができる。
上述した実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を何等限定するものでなく、本発明の技術範囲内で変形、改造等の施されたものも全て本発明に包含されることはいうまでもない。
たとえば、実施例では車両用シートのトリムカバーを例示したが、同様に車両の内装品であるコンソールにおいても本発明の構造を適用することができる。すなわち、コンソール本体を被覆する表皮材(トリムカバー)に、本発明による芯材及びダブルステッチ(第2の縫製部)による複合的な装飾が施すことができる。
本発明は、バス、乗用車、航空機等の通常の車両用シートに限定されず、シートパッド(発泡成形材)にトリムカバー(表皮材)を被覆してなるシート全般、たとえば、事務で使用されるシート(事務用椅子)、公民館、劇場、映画館、スポーツ施設等に設置されるシート等にも広範囲に応用できる。
10 車両用シート
12 シートクッション
12−1 シートクッションのパッド(シートパッド)
12−2 シートクッションのトリムカバー
12−2a、12−2b 左右のトリムカバー片
12−2a’、12−2b’ 左右のトリムカバー端末
14 シートバック
14−1 シートバックのパッド(シートパッド)
14−2 シートバックのトリムカバー
14−2a、14−2b 上下のトリムカバー片
14−2a’、14−2b’ 上下のトリムカバー端末
20、120 芯材
30、130 第1の縫製部
32、132 第2の縫製部
12 シートクッション
12−1 シートクッションのパッド(シートパッド)
12−2 シートクッションのトリムカバー
12−2a、12−2b 左右のトリムカバー片
12−2a’、12−2b’ 左右のトリムカバー端末
14 シートバック
14−1 シートバックのパッド(シートパッド)
14−2 シートバックのトリムカバー
14−2a、14−2b 上下のトリムカバー片
14−2a’、14−2b’ 上下のトリムカバー端末
20、120 芯材
30、130 第1の縫製部
32、132 第2の縫製部
Claims (2)
- 芯材を介してトリムカバー片の端末を縫製して形成されたトリムカバーでシートパッドを覆ってシートの表皮としたシートの表皮構造において、
前記トリムカバー片が前記芯材を挟んで縫製された第1の縫製部と、前記トリムカバー片の端末を前記第1の縫製部で前記トリムカバー裏面に折り返し、重ねられた部分で前記トリムカバー片が縫製された第2の縫製部と、
を備えたシートの表皮構造。 - シートパッドを覆ってシートの表皮となるトリムカバーが芯材を介して2枚のトリムカバー片の端末を縫製して形成されるシートの表皮縫製方法において、
前記トリムカバー片が前記芯材を挟んで縫製されて第1の縫製部を形成する縫製工程と、
前記トリムカバー片の端末を前記第1の縫製部で前記トリムカバー裏面に折り返し、重ねられた部分で前記トリムカバー片が縫製されて第2の縫製部を形成する別の縫製工程と、
を備えたシートの表皮縫製方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019018607A (ja) * | 2017-07-12 | 2019-02-07 | トヨタ紡織株式会社 | 乗物用シート |
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- 2014-05-13 JP JP2014099813A patent/JP2015213697A/ja active Pending
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