JP6900807B2 - 内装品 - Google Patents
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Description
図1の乗物用シート2は、乗物室内の三列目に配置される乗物内装品であり、シートクッション4とシートバック6とヘッドレスト8を備えている。これらシート構成部材(4,6,8)は、各々、シート骨格をなすシートフレーム(4F,6F,8F)と、シート外形をなすシートパッド(4P,6P,8P)と、シートパッドを被覆するシートカバー(4S,6S,8S)を有する。そしてシートクッション4(詳細後述)の後部に、起立状態のシートバック6の下部が起倒可能に連結されている。また起立状態のシートバック6の上部にヘッドレスト8が配設されている。
シートクッション4は、乗員の着座が可能な上面視で略矩形の部材であり、図1〜図3を参照して、基本構成4F,4P,4Sと、玉縁30と、規制部材40を有している(各部材の詳細は適宜後述)。このシートクッション4では、シートパッド4P(詳細後述)が、シートフレーム4F上に配置されてシートカバー4S(詳細後述)で被覆されている。ここでシートフレーム4F(図示省略)は、典型的に上面視で略矩形の枠体であり、金属や硬質樹脂などの剛性に優れる素材にて形成できる。このシートフレーム4Fの上側には、板状のクッションパンCPが配設されており、このクッションパンCPがシートパッド4Pを下支えしている。
シートパッド4Pは、本発明のパッド材に相当する上面視で略矩形の部材であり、乗員を弾性的に支持できる。ここでシートパッド4Pの材質は特に限定しないが、ポリウレタンフォーム(密度:10kg/m3〜60kg/m3)等の発泡樹脂を例示できる。そしてシートパッド4Pの外観を構成する意匠面となるべき部分は、図2〜図4を参照して、天板メイン部4aと、左右の天板サイド部4bと、左右のカマチ部4cに区分けでき、さらに複数の溝部10,12が設けられている。ここで天板メイン部4aと左右の天板サイド部4bは、本発明の着座面に相当する部分であり、シートパッド4Pの上面をなして乗員の着座が可能である。天板メイン部4aは、シート幅方向である左右方向の中央に形成されている略平坦な部位であり、乗員の着座が可能な幅寸法を有して前後方向に延びている。また各天板サイド部4b(詳細後述)は、天板メイン部4aの左方と右方において相対的に上側に突出している部位であり、コーナリング走行時等に乗員の側方を支持することができる。また各カマチ部4cは、それぞれシート幅方向におけるシートクッション4の左右の側面をなす部位である。
そして右側の天板サイド部4bは、図4を参照して、上面視で前後方向に長尺な略矩形の部位であり、天板メイン部4aの右側に配置されている。また左側の天板サイド部4bは、右側の天板サイド部4bに比してやや幅狭であるとともに、後部寄りに設けられている矩形の切欠き部13によって、前方領域A1と後方領域A2に分割されている。なお切欠き部13には、図1に示すようにバックルBMなどの部材を配置しておくことができる。そして図4に示す前方領域A1には、図3に示すようにその左縁に沿って一段低い段差部14が連続的に設けられており、この段差部14の底面(好ましくは底面の左端)をなしているコーナー部16が左側のカマチ部4cにつながっている。このコーナー部16は、シートパッド4Pそのもので構成されて弾性的に伸縮可能とされている。そして本実施例においては、左側の天板サイド部4bの前方領域A1が、本発明の「パッド材の意匠面」に相当し、前方領域A1につながっている左側のカマチ部4cが、本発明の「パッド材の他の意匠面」に相当する。
ここで各表皮ピースSP1〜SP3等は、図3及び図6を参照して、外部に露出する外面をなす表材4Saと、この表材4Saの裏側に積層されている弾性材4Sbを有している(図3では、便宜上、第二表皮ピースの表材と弾性材にのみ符号を付す)。この種の表材4Saの素材として、例えば布帛(織物,編物,不織布)や皮革(天然皮革,合成皮革)を用いることができ、本実施例では、合成皮革製の表材4Saを用いている。また弾性材4Sbの素材として、ウレタンラミなどの弾性的に伸縮可能な発泡樹脂を用いることができる。そして表材4Saと弾性材4Sbは、例えばフレームラミネーションなどの手法で積層状に一体化することができる。このとき表材4Saは、加熱による収縮(ヒケ)などが原因で硬くなることがあるが、裏側の弾性材4Sbが適度な弾性を有しているため、表材4Saの硬さを弾性材4Sbの弾性力で補完することが可能である。
そして隣り合う表皮ピースは、互いの縫い代同士が中表状に重ねられた縫合部で縫合されている。ここで各表皮ピースの縫合手法は概ね同一であるため、以下に、図6に示す第二表皮ピースSP2と第三表皮ピースSP3を一例にその縫合手法を説明する。すなわち第二表皮ピースSP2には、その左縁に沿って形成された左側縫い代22aが設けられており、この左側縫い代22aは、本発明の第一縫い代に相当する。また第三表皮ピースSP3には、その上縁に沿って形成された上側縫い代23が設けられている。そしてこれら表皮ピースを縫合するに際しては、第二表皮ピースSP2と第三表皮ピースSP3の縫い代同士を中表状に重ねて縫合部20を形成し、この縫合部20において縫い代同士を縫合する縫目SEWを形成する。この縫目SEWは、第二表皮ピースSP2と第三表皮ピースSP3の間で前後方向に延びており、後述する玉縁30が共縫いされて取付けられている。
玉縁30は、図3に示すように第二表皮ピースSP2の裏側に配置される部材であり、頭部32と脚部34を一体で有している。頭部32は、図3及び図5を参照して、縫目SEWに沿って前後方向に延びている円柱状の部位であり、専ら第二表皮ピースの盛り上げに寄与する部分である。また脚部34は、頭部32から延びている板状の部位であり、図3に示す縫合部20にあてがわれた状態で縫目SEWに共縫いされる部分である。この脚部34は、頭部32に一体化されている根元部34aが相対的に肉厚とされており、根元部34aから末端に至る部分は相対的に薄肉とされている。そして脚部34には、頭部32の軸線32A方向において適宜の間隔をあけて分断部位36が複数設けられている。この分断部位36は、脚部34の下端から上方に延びている側面視で略三角形状の切欠きであり、頂点側が、根元部34aの下端に一致する位置に配置されている。そして玉縁30を適宜の向きに湾曲させる際には、脚部34に生じる周長差を対応する分断部位36で吸収することができる。このため脚部34を適宜の向きに湾曲させながら縫目SEWに沿って配置することが可能となり、玉縁30の使い勝手の向上に資する構成となる。
規制部材40は、図3を参照して、玉縁30の脚部34の倒れ方向を規制する部材であり、縫合部20に取付けられてその末端Eから突出している。この規制部材40は、適度な可撓性を備えた帯状の面材であり、縫合部20に沿って配置可能である。そして規制部材40は、図6を参照して、加熱により溶融したのち固化する接着部42を有しており、対応する表皮ピースの裏側に接着して固定可能である。ここで規制部材40(本体)の材質として、表材4Saや玉縁30で例示の素材を用いることができ、接着部42として、熱可塑性樹脂や熱固化性樹脂などの有機系の接着成分や、ケイ素系やカルシウム系などの無機系の接着成分を用いることができる。そして本実施例の規制部材40は、ポリウレタン樹脂製の帯材であり、ポリウレタン系のホットメルトタイプの接着部42を有している。そこで図6に示すように、規制部材40の左端部を、縫合部20の第三表皮ピース側に接着して取付けつつ、規制部材40の右側を縫合部20の末端Eから突出させる。そして規制部材40にて、玉縁30の脚部34と縫合部20を第二表皮ピース側に倒しつつ、この規制部材40の右端部を、第二表皮ピースSP2の裏側に接着して固定しておく。こうして規制部材40を、各表皮ピースの適切な位置に接着して固定する(比較的簡便な手法で取付ける)ことにより、玉縁30の脚部34の倒れる方向をより確実に一定にしておくことが可能となる。
図1〜図3を参照して、シートパッド4Pを、シートフレーム4F上に配置してシートカバー4Sで被覆する。このとき図3に示すように第一表皮ピースSP1で天板メイン部4aの前部を覆い、第二表皮ピースSP2で左側の天板サイド部4bを覆い、第三表皮ピースSP3で左側のカマチ部4cを覆う。そして本実施例では、第二表皮ピースSP2の折り返し部分(表皮部分4SX)を、玉縁30の頭部32で盛り上げた状態として、左側の天板サイド部4bの左縁に設けられたコーナー部16に沿って配置する。この種の構成では、盛り上がった表皮部分4SXを、玉縁30の脚部34をより安定的に倒した状態で、シートパッド4Pの天板サイド部4bの左縁に沿って配置することが望ましい。
ここで規制部材の固定手法は、上述の接着固定方法のほか、各種の構成を取り得る。例えば図7に示す変形例1の規制部材40Aは、第二表皮ピースSP2を左右に横断可能な幅寸法を有する面材であるとともに、接着部42を有していない点が実施例1と異なっている。そして本変形例では、規制部材40Aの左端部を、縫合部20の縫目SEWに共縫いして取付けつつ、規制部材40Aの右側を縫合部20の末端Eから突出させる。そして規制部材40Aを、第二表皮ピースSP2の裏側にあてがうように配置しながら、規制部材40Aの右端部を右側縫い代22b側(他の縫合部20Aの左右のいずれか)に共縫いして固定しておく。こうして本変形例では、規制部材40Aの両端側を、シートカバー4Sの対応する縫い代22a,22bに縫合して比較的強固に取付けることにより、玉縁30の脚部34の倒れる方向をより確実に一定にしておくことが可能となる。そして他の縫合部20Aは、吊布26の吊ワイヤW1を介して、縦溝部10内の固定ワイヤW2にホグリング止めされている。このため規制部材40Aが左方に引っ張られたとしても、規制部材40Aの右端部が他の縫合部20でしっかりと位置固定されているため、規制部材40Aを元の適切な位置に戻すことができる。
実施例2の乗物用シート2Aでは、実施例1の乗物用シートとほぼ同一の基本構成を備える構成については、対応する符号を付す等して詳細な説明を省略する。この実施例2の乗物用シート2Aは、図8に示す背凭れとなるシートバック6Aが、玉縁30にて盛り上がった表皮部分6SXを有している点が実施例1の乗物用シートと異なっている。このシートバック6Aの外形形状及び基本構成は、実施例1の図1に示すシートバック6と概ね同一である。そしてシートバック6Aのシートパッド(図示省略)には、意匠面となる天板サイド部6b及び上面部6d及び後面部6eと、他の意匠面となる左側のカマチ部6cとが設けられている。そして天板サイド部6bと上面部6dと後面部6eに、これらの左縁をなすコーナー部16Aが概ね逆U字をなすように連続して設けられ、さらにコーナー部16Aがカマチ部6cにつながっている。このコーナー部16Aは、図9を参照して、上面部6d等の左縁をなす凸曲面状の部分であり、隣接している左側のカマチ部6cにつながっている。
ここで「玉縁にて盛り上がった表皮部分」の配置位置は、上述の位置のほか、シートバック等の適宜の位置に設定することができる。例えば図10及び図11に示す変形例2の乗物用シート2Bは、シートクッション4Bと、シートバック6Bと、ヘッドレスト8Bを有し、これら各シート構成部材は、実施例1又は2の対応する部材と概ね同一の基本構成を有している。ここでシートバック6Bでは、意匠性向上の観点などから、左右の天板サイド部が上下に分けられている。そして天板サイド部の上部6bbの下端は、右から左に向かうにつれて次第に上方に傾斜しており、天板サイド部の下部6baの上部につながっている。そして本変形例では、玉縁30にて盛り上がった表皮部分6SXが、シートバック6の天板サイド部(6ba,6bb)を左右に横切りつつ、さらに上面部6dの左端と後端に渡って配置されている点が実施例2と異なっている。
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
4F シートフレーム
4P シートパッド(本発明のパッド材)
4a 天板メイン部(本発明の着座面)
4b 天板サイド部(本発明の着座面)
A1 天板サイド部の前方領域(本発明の意匠面)
A2 天板サイド部の後方領域
4c カマチ部(本発明の他の意匠面)
4S シートカバー
4SX 玉縁で盛り上がった表皮部分(本発明の縫目で折返された表皮部分)
SP1 第一表皮ピース
SP2 第二表皮ピース(本発明の一方の表皮)
SP3 第三表皮ピース(本発明の他方の表皮)
4Sa 表材
4Sb 弾性材
14 段差部
16 コーナー部
20 縫合部
21 メイン側縫い代
22a 左側縫い代
22b 右側縫い代
23 上側縫い代
26 吊布
30 玉縁
32 頭部
34 脚部
34a 根元部
36 分断部位
40 規制部材
42 接着部
E 縫合部の末端
SEW 縫目
W1 吊ワイヤ
W2 固定ワイヤ
Claims (7)
- 弾性的に伸縮可能なパッド材と、前記パッド材を被覆する一対の表皮と、前記一対の表皮の縫い代同士が中表状に重ねられた縫合部と、前記縫合部で前記縫い代同士を縫合している縫目と、前記一対の表皮のいずれか一方の表皮の裏側に配置された玉縁とを備え、
前記玉縁は、前記縫目に沿って延びる柱状の頭部と、前記頭部に一体化された板状の脚部とを有し、前記一方の表皮の前記縫目で折返された表皮部分に前記頭部を配置した状態で、前記縫合部の一方の表皮側にあてがわれた前記脚部が前記縫目に共縫いされ、
前記パッド材は、内装品の外形の少なくとも一部をなしているとともに、前記一方の表皮にて被覆されている意匠面と、前記一方とは異なる他方の表皮にて被覆されている他の意匠面と、前記意匠面の縁をなして前記他の意匠面につながっているコーナー部とを有している内装品において、
前記玉縁の脚部の倒れ方向を規制する規制部材が、前記縫合部の他方の表皮側に取付けられて前記縫合部の末端から突出しており、
前記規制部材が、前記コーナー部に押し当てられた状態で、前記縫合部に共縫いされた前記玉縁の脚部とともに前記一方の表皮に向けて倒れていることにより、前記一方の表皮の前記縫目で折返された表皮部分が、前記玉縁の頭部にて盛り上がった状態で、前記コーナー部上の前記縫合部に重なって配置されている内装品。 - 前記規制部材が、可撓性を備えた面状の部材であって、前記縫合部の他方の表皮側にあてがわれて固定されている請求項1に記載の内装品。
- 前記規制部材が、前記縫合部の他方の表皮側に接着されて固定されているとともに、前記縫合部から突出している前記規制部材の端部が前記一方の表皮の裏側に接着されて固定されている請求項2に記載の内装品。
- 前記一方の表皮が、前記他方の表皮に縫合される第一縫い代と、前記第一縫い代とは反対側に設けられて別の表皮に縫合される第二縫い代とを有し、
前記規制部材が、前記縫合部の他方の表皮側に縫合されて固定されているとともに、前記縫合部から突出している前記規制部材の端部が、前記第二縫い代側に縫合されて固定されている請求項2に記載の内装品。 - 前記内装品は、乗物室内に設置される乗物用シートである請求項1〜4のいずれか一項に記載の内装品。
- 前記パッド材の意匠面は、前記乗物用シートの乗員の着座が可能な着座面である請求項5に記載の内装品。
- 前記一対の表皮は、各々、前記内装品の外面をなす合成皮革製の表材と、弾性的に伸縮可能な弾性材とを積層した状態で有している請求項1〜6のいずれか一項に記載の内装品。
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