JP6950364B2 - 乗物用シート - Google Patents
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Description
また本発明では、縫合部を、縫合線から縫合部の末端に向かう方向に二等分して、縫合線側の縫合部部分と末端側の縫合部部分に分けた場合、規制部は、末端側の縫合部部分に配置されている。このため本発明では、相対的に拡開しやすい縫合部の末端側に規制部を設けることで、縫い代同士の拡開をより確実に規制することができる。
シートクッション4は、図1を参照して、シートパッド4P(詳細後述)を、シートフレーム4F(図示省略)上に配置したのちシートカバー4S(詳細後述)で被覆することで形成されている。ここでシートフレーム4Fは、典型的に上方視で略矩形の枠体であり、金属や硬質樹脂などの剛性に優れる素材にて形成できる。そしてシートカバー4Sでシートパッド4Pを被覆する際に、図2〜図4を参照して、シートカバー4Sの一部をなす縫合部32a等(詳細後述)を、シートパッド4Pの対応する溝部12a等(詳細後述)内に配置しておく。こうしてシートカバー4Sをシートパッド4Pに沿って見栄えよく配置するのであるが、このとき縫合部(32a等)が溝部(12a等)内に収まりよく配置されていないと、シートカバー4Sに部分的な盛り上がりが生ずる(浮きが生じる)おそれがある。そこで本実施例においては、後述する構成によって、シートカバー4Sの縫合部(32a等)をシートパッド4Pの溝部(12a等)内により確実に収まりよく配置することとした。以下、各構成について詳述する。
シートパッド4Pは、図2を参照して、上面視で略矩形の部材であり、後述する複数種類の溝部(10a〜10c,12a,12b)を有している。ここでシートパッド4Pの素材は特に限定しないが、典型的に乗員を弾性的に支持可能な素材で構成されており、ポリウレタンフォーム(密度:10kg/m3〜60kg/m3)等の発泡樹脂を例示できる。そしてシートパッド4Pのシートの意匠面となるべき部分は、着座面をなしている天板メイン部4a及び左右の天板サイド部4bと、左右のカマチ部4cに区分けできる。天板メイン部4aは、シート幅方向である左右方向の中央に形成されている略平坦な部位であり、乗員の着座が可能な幅寸法を有して前後方向に延びている。また各天板サイド部4bは、天板メイン部4aの左方と右方において相対的に上側に突出している部位であり、コーナリング走行時等に乗員の側方を支持することができる。そして各カマチ部4cは、それぞれシート幅方向におけるシートクッション4の左右の側面をなす部位である。
また複数種類の溝部(複数の吊り溝部10a〜10c,左右一対の配置溝部12a,12b)は、図2を参照して、それぞれシートパッド4Pの着座面に設けられている線状の凹み部位である。ここで複数の吊り溝部10a〜10cは、上面視で概ねHをなすように設けられており、各吊り溝部10a〜10cの底部には、シートカバー4Sの一部を吊り込み状に係止可能なワイヤ材WM1が埋設されている。中央の吊り溝部10aは、天板メイン部4aを左右に横断する凹み部位であり、左右の吊り溝部10b,10cは、中央の吊り溝部10aを挟んで前後に延びている凹み部位である。そして右側の吊り溝部10bは、天板メイン部4aと右側の天板サイド部4bの間に設けられており、左側の吊り溝部10cは、天板メイン部4aと左側の天板サイド部4bの間に設けられている。
シートカバー4Sは、図1及び図3を参照して、シートの意匠面を構成する面材であり、複数の表皮ピース(第一表皮ピースSP1〜第六表皮ピースSP6等)と、後述する縫合部(30a〜30c、32a,32b)とを有している(図1では、便宜上、特定の表皮ピースに特定の符号SP1〜SP6を付し、その他の表皮ピースには共通の符号SPを付す)。第一表皮ピースSP1は、天板メイン部4aの前部を被覆する表皮ピースであり、第二表皮ピースSP2は、天板メイン部4aの後部を被覆する表皮ピースである。また第三表皮ピースSP3は、右側の天板サイド部4bの前部を被覆する表皮ピースであり、第四表皮ピースSP4は、右側の天板サイド部4bの後部を被覆する表皮ピースである。また第五表皮ピースSP5は、左側の天板サイド部4bの前部を被覆する表皮ピースであり、第六表皮ピースSP6は、左側の天板サイド部4bの後部を被覆する表皮ピースである。そして本実施例においては、第三表皮ピースSP3と第四表皮ピースSP4が本発明の一対の表皮ピースに相当し、また第五表皮ピースSP5と第六表皮ピースSP6も本発明の一対の表皮ピースに相当する。
またシートカバー4Sには、図3を参照して、本発明の縫合部に相当する右側縫合部32aと左側縫合部32bとが設けられている。右側縫合部32aは、第三表皮ピースSP3と第四表皮ピースSP4の間に設けられて左右に延びており、図2に示す右側の配置溝部12aに沿って配置可能である。また左側縫合部32bは、第五表皮ピースSP5と第六表皮ピースSP6の間に設けられて左右に延びており、図2に示す左側の配置溝部12bに沿って配置可能である。そして右側縫合部32aと左側縫合部32bは、左右対称に配置されている以外は略同一の基本構成を有していることから、以下に、右側縫合部32aを一例にその詳細を説明する。この右側縫合部32aは、図4を参照して、第三表皮ピースSP3の後縁をなす後縫い代22と、第四表皮ピースSP4の前縁をなす前縫い代24とで構成されているとともに、縫合線40と、規制部42を有している。縫合線40は、後縫い代22と前縫い代24を縫合している線状のステッチであり、右側縫合部32aに沿って連続的に設けられて左右方向に直線的に延びている。この縫合線40は、第三表皮ピースSP3と第四表皮ピースSP4を中表状に重ねた状態として、これらの縫い代22,24同士をミシンで直線縫いすることで形成できる。
規制部42は、図4を参照して、右側縫合部32aの末端(E)をなす後縫い代22と前縫い代24の端部側が縫合線40を基点として互いに離れる向きに拡開することを規制している部位である。この規制部42は、縫い代22,24同士の拡開(離間)を規制可能な各種の部材で構成でき、この種の部材として、縫糸、接着材や接着剤による接着樹脂層、ステープルなどの物理的な接合部材を例示できる。そして本実施例の規制部42は、後縫い代22と前縫い代24とを縫合している縫糸Yのステッチで構成されており、縫合線40と概ね平行となるように左右方向に直線的に延びている。そして規制部42としての縫糸Yの引き締め力によって、後縫い代22と前縫い代24の端部側の拡開がより確実に阻止されることとなる。こうして右側縫合部32aに規制部42を設けることで、右側縫合部32aの末端(E)の前後の幅寸法W1を、配置溝部12aの前後の開口寸法W2以下(好ましくは未満)に維持しておくことが可能となる。特に本実施例の規制部42は、右側縫合部32aをなす各縫い代22,24同士を、これらの裏側に配置するワディング20とともに貫通している。このため規制部42の引き締め力によって、ワディング20の弾性力に抗して縫い代22,24同士の拡開を規制することが可能となる。さらに右側縫合部32aは、縫合線40と規制部42にて縫合されることにより、シートカバー4Sの裏側で起立した状態で維持しやすくなる。
図1〜図3を参照して、シートパッド4Pを、シートフレーム4F上に配置したのちシートカバー4Sで被覆する。このとき吊り込み用の各縫合部30a〜30cを、対応する吊り溝部10a〜10c内に吊り込み状にホグリング止めしておく。また右側縫合部32aと左側縫合部32b(以下、右側縫合部32a等と呼ぶことがある)を対応する配置溝部12a,12b(以下、配置溝部12a等と呼ぶことがある)内に配置しておく。このとき右側縫合部32a等において、縫い代22,24の端部側が拡開するなどして配置溝部12a等内に収まりよく配置されない場合、シートカバー4Sに部分的な盛り上がりが生ずる(浮きが生じる)おそれがある。
ここでシートカバー及び縫合部の構成は、上述の構成のほか、各種の構成を取り得る。例えば図6及び図7に示す変形例のシートカバー4Sは、実施例と同様に複数の表皮ピースSP1、SP3、SP4等(典型的に皮革製)を有し、さらに各表皮ピースSP1,SP3,SP4等には、複数の貫通孔50が適宜の間隔で形成されている(各図では、便宜上、一部の貫通孔に符号50を付し、その他の貫通孔の符号を省略する)。これら複数の貫通孔50は、対応する表皮ピースを厚み方向に貫通する孔部であり、いずれも概ね円形状の開口(径寸法:φ)を有している。このようにシートカバー4Sの適宜の位置に貫通孔50を設けることにより、シートカバー4Sの通気性等が向上し、さらに意匠性の向上に資する構成となる。
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
4F シートフレーム
4S シートカバー
4P シートパッド
4a 天板メイン部
4b 天板サイド部
4c カマチ部
10a〜10c 吊り溝部
12a,12b 配置溝部(本発明の溝部)
20 ワディング
22 後縫い代(本発明の縫い代)
24 前縫い代(本発明の縫い代)
30a 横縫合部
30b 右縦縫合部
30c 左縦縫合部
32a 右側縫合部(本発明の縫合部)
32b 左側縫合部(本発明の縫合部)
40A 縫合線側の縫合部部分
40B 末端側の縫合部部分
35 吊り布
40 縫合線
42 規制部
50 貫通孔
SP1 第一表皮ピース
SP2 第二表皮ピース
SP3 第三表皮ピース(本発明の表皮ピースの)
SP4 第四表皮ピース(本発明の表皮ピース)
SP5 第五表皮ピース(本発明の表皮ピース)
SP6 第六表皮ピース(本発明の表皮ピース)
SP 表皮ピース
WM1,WM2 ワイヤ材
Claims (2)
- シート外形をなすシートパッドと、前記シートパッドに設けられた溝部と、前記シートパッドを被覆するシートカバーとを備え、前記シートカバーは、隣り合う一対の表皮ピースと、前記一対の表皮ピースの裏側に取付けられた弾性的に伸縮可能な面状のワディングと、前記一対の表皮ピースの縫い代同士を前記ワディングとともに中表状に重ねている縫合部と、前記縫合部で縫い代同士を縫合している縫合線とを有し、前記シートカバーで前記シートパッドを被覆した状態において、前記一対の表皮ピースが前記縫合線を基点に面状に展開されているとともに前記縫合部が前記溝部内に係止されることなく挿入されている乗物用シートにおいて、
前記縫合部は、前記縫合部の末端をなす縫い代同士の端部側が前記縫合線を基点として互いに離れる向きに拡開することを規制している規制部を有し、
前記縫合部を、前記縫合線から前記縫合部の末端に向かう方向に二等分して、縫合線側の縫合部部分と末端側の縫合部部分に分けた場合、前記規制部は、前記末端側の縫合部部分に配置されており、
前記規制部は、前記縫い代同士を縫合している縫糸で構成されているとともに、前記ワディングを押しつぶすように前記縫い代同士を縫合して前記縫い代同士の端部側を閉じ状態としている乗物用シート。 - 前記一対の表皮ピースの少なくとも一方には、対応する表皮ピースを厚み方向に貫通する貫通孔が設けられているとともに、
前記規制部は、前記縫合部の末端から前記貫通孔の径寸法以上離間して配置されている請求項1に記載の乗物用シート。
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JP2017164410A Active JP6950364B2 (ja) | 2017-08-29 | 2017-08-29 | 乗物用シート |
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JP7273602B2 (ja) * | 2019-04-18 | 2023-05-15 | 株式会社タチエス | 乗物用シート |
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- 2017-08-29 JP JP2017164410A patent/JP6950364B2/ja active Active
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