JP6950364B2 - 乗物用シート - Google Patents

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Description

本発明は、シート外形をなすシートパッドと、シートパッドを被覆するシートカバーとを備え、シートカバーの一部をなす縫合部がシートパッドの溝部内に配置されている乗物用シートに関する。
この種のシートカバーは、乗物用シートの意匠面となる面材であり、複数の表皮ピースを縫合することで形成されている。例えば特許文献1に開示の表皮は、本発明のシートカバーに相当する面材であり、本発明の表皮ピースに相当する複数の表皮シートを有している。これら各表皮シートは、皮革製の外皮シートとスラブシートとが積層された面材であり、皮革製の外皮シートによって意匠面を構成することができる。そして表皮の形成に際しては、各表皮シートの縫い代同士を中表状に重ねて縫合部を形成し、この縫合部において縫い代同士を縫合線で縫合する。また縫合部をなしている各縫い代は、互いに離れる方向に倒された状態で対応する表皮シートの裏側に飾りステッチ(アウトステッチ)で縫い付けられている。そして一対の表皮シートを、縫合線を基点に面状に展開することにより表皮を形成することができる。
ところでシートカバーは、例えば乗員を弾性的に支持するシートパッドに被覆されるのであるが、このとき縫合部を、シートパッドの溝部内に配置することがある。例えば特許文献1の表皮の場合、飾りステッチを省略することにより、表皮の裏側に縫合部を突出させておく。この状態でシートパッドを表皮で被覆しつつ、表皮の裏側で突出している縫合部を、シートパッドの溝部内に挿入して配置する。このように表皮の裏側に突出する縫合部を、溝部内に収まりよく配置しておくことにより、シートパッドに沿って表皮を見栄えよく配置しておくことができる。
特開2007−289284号公報
ところで上述の構成では、縫合部をなす縫い代同士が縫合線で縫合されているものの、縫合部の末端側では縫い代同士が単に重ねられて配置されているだけである。このため縫合部をなしている縫い代同士の端部側が縫合線を基点に互いに離れる向きに拡開することがあった。そして縫合部を溝部内に挿入する際に、拡開した縫い代が溝部に引っかかるなどして、縫合部を溝部内に収まりよく収容できず、表皮が部分的に盛り上がる(浮きが生じる)おそれがあった。本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、シートカバーの縫合部をシートパッドの溝部内により確実に収まりよく配置することにある。
上記課題を解決するための手段として、第1発明の乗物用シートは、シート外形をなすシートパッドと、シートパッドに設けられた溝部と、シートパッドを被覆するシートカバーとを備えている。またシートカバーは、隣り合う一対の表皮ピースと、一対の表皮ピースの裏側に取付けられた弾性的に伸縮可能な面状のワディングと、一対の表皮ピースの縫い代同士をワディングとともに中表状に重ねている縫合部と、縫合部で縫い代同士を縫合している縫合線とを有している。そしてシートカバーでシートパッドを被覆した状態において、一対の表皮ピースが縫合線を基点に面状に展開されているとともに縫合部が溝部内に係止されることなく挿入されている。この種のシート構成では、シートカバーの縫合部をシートパッドの溝部内により確実に収まりよく配置することが望まれる。そこで本発明の縫合部は、縫合部の末端をなす縫い代同士の端部側が縫合線を基点として互いに離れる向きに拡開することを規制している規制部を有している。本発明では、規制部によって縫い代同士の拡開を規制することにより、縫合部を溝部にスムーズに挿入して収まりよく配置しておくことが可能となる。
また本発明では、縫合部を、縫合線から縫合部の末端に向かう方向に二等分して、縫合線側の縫合部部分と末端側の縫合部部分に分けた場合、規制部は、末端側の縫合部部分に配置されている。このため本発明では、相対的に拡開しやすい縫合部の末端側に規制部を設けることで、縫い代同士の拡開をより確実に規制することができる。
また第1発明の乗物用シートでは規制部は、縫い代同士を縫合している縫糸で構成されているとともに、ワディングを押しつぶすように縫い代同士を縫合して縫い代同士の端部側を閉じ状態としている。本発明では、シートカバーの性能向上の観点などから、表皮ピースの裏側にワディングを設けているのであるが、このワディングの弾性力により縫い代同士の端部側が拡開しやすい構成でもある。そこで本発明では、規制部にて、ワディングの弾性力に抗して縫い代同士の拡開を規制することで、縫合部を溝部に収まりよく配置しておくことが可能となる。また本発明では、縫糸で構成された規制部(比較的シンプルな構成の規制部)にて縫い代同士の拡開を規制することができる。
発明の乗物用シートは、第1発明の乗物用シートにおいて、一対の表皮ピースの少なくとも一方には、対応する表皮ピースを厚み方向に貫通する貫通孔が設けられているとともに、規制部は、縫合部の末端から貫通孔の径寸法以上離間して配置されている。本発明では、シートカバーの性能向上の観点などから、表皮ピースに貫通孔が設けられているのであるが、この貫通孔に規制部が嵌り込むなどして部分的に脱落するおそれがある。そこで本発明では、規制部を、縫合部の末端から貫通孔の径寸法以上離間して配置したことで、縫合部からの規制部の部分的な脱落を極力回避することができる。
本発明に係る第1発明によれば、シートカバーの縫合部をシートパッドの溝部内により確実に収まりよく配置することができる。また第発明によれば、シートカバーの性能向上を図りつつ、縫合部を溝部内により確実に収まりよく配置することができる。また第発明によれば、比較的シンプルな構成によって、縫合部を溝部内により確実に収まりよく配置することができる。また第発明によれば、縫合部を溝部内に更に確実に収まりよく配置することができる。そして第発明によれば、シートカバーの性能向上を図りつつ、縫合部を溝部内に更に確実に収まりよく配置することができる。
乗物用シートの斜視図である。 シートパッドの斜視図である。 シートカバー一部の概略裏面図である。 シートクッション一部の断面図である。 規制部を形成する前のシートカバー一部の断面図である。 変形例1にかかるシートカバー一部の斜視図である。 変形例1にかかるシートクッション一部の断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図7を参照して説明する。各図には、乗物用シートの前後方向と上下方向と左右方向を示す矢線を適宜図示する。またシートカバーだけが図示されている図では、シートカバーが乗物用シートに配設されている状態を基準として方向を示す矢線を図示する。図1の乗物用シート2は、シートクッション4と、シートバック6と、ヘッドレスト8を有する。これらシート構成部材(4,6,8)は、各々、シート骨格をなすシートフレーム(4F,6F,8F)と、シート外形をなすシートパッド(4P,6P,8P)と、シートパッドを被覆するシートカバー(4S,6S,8S)を有する。そしてシートクッション4(詳細後述)の後部にシートバック6の下部が起倒可能に連結するとともに、起立状態のシートバック6の上部にヘッドレスト8が配設される。
[シートクッション]
シートクッション4は、図1を参照して、シートパッド4P(詳細後述)を、シートフレーム4F(図示省略)上に配置したのちシートカバー4S(詳細後述)で被覆することで形成されている。ここでシートフレーム4Fは、典型的に上方視で略矩形の枠体であり、金属や硬質樹脂などの剛性に優れる素材にて形成できる。そしてシートカバー4Sでシートパッド4Pを被覆する際に、図2〜図4を参照して、シートカバー4Sの一部をなす縫合部32a等(詳細後述)を、シートパッド4Pの対応する溝部12a等(詳細後述)内に配置しておく。こうしてシートカバー4Sをシートパッド4Pに沿って見栄えよく配置するのであるが、このとき縫合部(32a等)が溝部(12a等)内に収まりよく配置されていないと、シートカバー4Sに部分的な盛り上がりが生ずる(浮きが生じる)おそれがある。そこで本実施例においては、後述する構成によって、シートカバー4Sの縫合部(32a等)をシートパッド4Pの溝部(12a等)内により確実に収まりよく配置することとした。以下、各構成について詳述する。
[シートパッド]
シートパッド4Pは、図2を参照して、上面視で略矩形の部材であり、後述する複数種類の溝部(10a〜10c,12a,12b)を有している。ここでシートパッド4Pの素材は特に限定しないが、典型的に乗員を弾性的に支持可能な素材で構成されており、ポリウレタンフォーム(密度:10kg/m3〜60kg/m3)等の発泡樹脂を例示できる。そしてシートパッド4Pのシートの意匠面となるべき部分は、着座面をなしている天板メイン部4a及び左右の天板サイド部4bと、左右のカマチ部4cに区分けできる。天板メイン部4aは、シート幅方向である左右方向の中央に形成されている略平坦な部位であり、乗員の着座が可能な幅寸法を有して前後方向に延びている。また各天板サイド部4bは、天板メイン部4aの左方と右方において相対的に上側に突出している部位であり、コーナリング走行時等に乗員の側方を支持することができる。そして各カマチ部4cは、それぞれシート幅方向におけるシートクッション4の左右の側面をなす部位である。
[溝部]
また複数種類の溝部(複数の吊り溝部10a〜10c,左右一対の配置溝部12a,12b)は、図2を参照して、それぞれシートパッド4Pの着座面に設けられている線状の凹み部位である。ここで複数の吊り溝部10a〜10cは、上面視で概ねHをなすように設けられており、各吊り溝部10a〜10cの底部には、シートカバー4Sの一部を吊り込み状に係止可能なワイヤ材WM1が埋設されている。中央の吊り溝部10aは、天板メイン部4aを左右に横断する凹み部位であり、左右の吊り溝部10b,10cは、中央の吊り溝部10aを挟んで前後に延びている凹み部位である。そして右側の吊り溝部10bは、天板メイン部4aと右側の天板サイド部4bの間に設けられており、左側の吊り溝部10cは、天板メイン部4aと左側の天板サイド部4bの間に設けられている。
またシートパッド4Pには、図2を参照して、右側の天板サイド部4bを左右に横断する右側の配置溝部12aと、左側の天板サイド部4bを左右に横断する左側の配置溝部12bとが設けられている。これら左右の配置溝部12a,12bは、それぞれ本発明の溝部に相当する凹み部位であり、後述するように対応する縫合部(図3に示す各縫合部32a,32b)を挿入して配置しておくことができる。これら一対の配置溝部12a,12bは、左右対称となるように設けられているとともに、天板メイン部4aから離れるに従って次第に後方に向けて傾斜している。そして各配置溝部12a,12bの深さ寸法は対応する縫合部を配置可能な深さ寸法に設定されており、ワイヤ材WM1を埋設する必要がないことから典型的に各吊り溝部10a〜10cに比して浅くすることができる。
[シートカバー]
シートカバー4Sは、図1及び図3を参照して、シートの意匠面を構成する面材であり、複数の表皮ピース(第一表皮ピースSP1〜第六表皮ピースSP6等)と、後述する縫合部(30a〜30c、32a,32b)とを有している(図1では、便宜上、特定の表皮ピースに特定の符号SP1〜SP6を付し、その他の表皮ピースには共通の符号SPを付す)。第一表皮ピースSP1は、天板メイン部4aの前部を被覆する表皮ピースであり、第二表皮ピースSP2は、天板メイン部4aの後部を被覆する表皮ピースである。また第三表皮ピースSP3は、右側の天板サイド部4bの前部を被覆する表皮ピースであり、第四表皮ピースSP4は、右側の天板サイド部4bの後部を被覆する表皮ピースである。また第五表皮ピースSP5は、左側の天板サイド部4bの前部を被覆する表皮ピースであり、第六表皮ピースSP6は、左側の天板サイド部4bの後部を被覆する表皮ピースである。そして本実施例においては、第三表皮ピースSP3と第四表皮ピースSP4が本発明の一対の表皮ピースに相当し、また第五表皮ピースSP5と第六表皮ピースSP6も本発明の一対の表皮ピースに相当する。
ここで各表皮ピースSP1〜SP6等の素材として、シートの意匠面を構成可能な各種の面材を用いることができ、天然繊維又は合成繊維からなる布帛(織物,編物,不織布)や皮革(天然皮革,合成皮革)を例示できる。また各表皮ピースの裏側には、図4に示すワディング20を取付けることができる。このワディング20は、弾性的に伸縮可能な面状又はマット状の部材であり、ワディング20を取付けることにより着座性や意匠性などのシートカバー4Sの性能向上を図ることができる。なおワディング20の素材は特に限定しないが、スラブウレタン、綿材、3Dネット体(繊維を三次元状に編製してなる部材)を例示できる。またワディング20は、縫合や接着や融着などの手法で、各表皮ピースの裏側に積層状に取付けて一体化することができる。
また図3を参照して、隣り合う表皮ピースの間には、これらの縫い代同士が中表状に重ねられた縫合部(30a〜30c、32a,32b)が設けられ、各縫合部をなす縫い代同士が縫合線(40a、40)で縫合されている。例えばシートカバー4Sには、複数の吊り込み用の縫合部(横縫合部30a,右縦縫合部30b,左縦縫合部30c)と、後述する一対の縫合部(右側縫合部32a、左側縫合部32b)が設けられている。ここで横縫合部30aは、第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2の間に設けられて左右に延びており、図2に示す中央の吊り溝部10aに沿って配置可能である。また右縦縫合部30bは、天板メイン部4a側の表皮ピースSP1,SP2と、右側の天板サイド部4b側の表皮ピースSP3,SP4の間に設けられて前後に延びており、図2に示す右側の吊り溝部10bに沿って配置可能である。また左縦縫合部30cは、天板メイン部4a側の表皮ピースSP1,SP2と、左側の天板サイド部4b側の表皮ピースSP5,SP6の間に設けられて前後に延びており、図2に示す左側の吊り溝部10cに沿って配置可能である。これら吊り込み用の各縫合部30a〜30cには、それぞれ吊り布35を介してワイヤ材WM2が取付けられており、このワイヤ材WM2は、図2に示すシートパッド側のワイヤ材WM1にホグリング止め可能である。そしてシートカバー4Sでシートパッド4Pを被覆する際には、図3に示す吊り込み用の各縫合部30a〜30cを、図2に示す対応する吊り溝部10a〜10c内に引き込みつつホグリング止めしておくことができる。
[縫合部]
またシートカバー4Sには、図3を参照して、本発明の縫合部に相当する右側縫合部32aと左側縫合部32bとが設けられている。右側縫合部32aは、第三表皮ピースSP3と第四表皮ピースSP4の間に設けられて左右に延びており、図2に示す右側の配置溝部12aに沿って配置可能である。また左側縫合部32bは、第五表皮ピースSP5と第六表皮ピースSP6の間に設けられて左右に延びており、図2に示す左側の配置溝部12bに沿って配置可能である。そして右側縫合部32aと左側縫合部32bは、左右対称に配置されている以外は略同一の基本構成を有していることから、以下に、右側縫合部32aを一例にその詳細を説明する。この右側縫合部32aは、図4を参照して、第三表皮ピースSP3の後縁をなす後縫い代22と、第四表皮ピースSP4の前縁をなす前縫い代24とで構成されているとともに、縫合線40と、規制部42を有している。縫合線40は、後縫い代22と前縫い代24を縫合している線状のステッチであり、右側縫合部32aに沿って連続的に設けられて左右方向に直線的に延びている。この縫合線40は、第三表皮ピースSP3と第四表皮ピースSP4を中表状に重ねた状態として、これらの縫い代22,24同士をミシンで直線縫いすることで形成できる。
[規制部]
規制部42は、図4を参照して、右側縫合部32aの末端(E)をなす後縫い代22と前縫い代24の端部側が縫合線40を基点として互いに離れる向きに拡開することを規制している部位である。この規制部42は、縫い代22,24同士の拡開(離間)を規制可能な各種の部材で構成でき、この種の部材として、縫糸、接着材や接着剤による接着樹脂層、ステープルなどの物理的な接合部材を例示できる。そして本実施例の規制部42は、後縫い代22と前縫い代24とを縫合している縫糸Yのステッチで構成されており、縫合線40と概ね平行となるように左右方向に直線的に延びている。そして規制部42としての縫糸Yの引き締め力によって、後縫い代22と前縫い代24の端部側の拡開がより確実に阻止されることとなる。こうして右側縫合部32aに規制部42を設けることで、右側縫合部32aの末端(E)の前後の幅寸法W1を、配置溝部12aの前後の開口寸法W2以下(好ましくは未満)に維持しておくことが可能となる。特に本実施例の規制部42は、右側縫合部32aをなす各縫い代22,24同士を、これらの裏側に配置するワディング20とともに貫通している。このため規制部42の引き締め力によって、ワディング20の弾性力に抗して縫い代22,24同士の拡開を規制することが可能となる。さらに右側縫合部32aは、縫合線40と規制部42にて縫合されることにより、シートカバー4Sの裏側で起立した状態で維持しやすくなる。
ここで規制部42は、縫合線40と異なる種類の縫糸で形成できるが、同一種類の縫糸で形成することが望ましい。そして縫合線40と規制部42とを同一種類の縫糸で形成することにより、縫合線40の形成作業と規制部42の形成作業とを同一のミシンで手早く行う(2度縫いする)ことが可能となり、シートカバー4S形成時の作業性向上に資する構成となる。また縫糸Yは、天然繊維又は合成繊維製の線材であり、接着樹脂層やステープルに比して柔軟で柔らかい素材である。このため規制部42を縫糸Yで構成することにより、規制部42が過度に硬くなるなどの不具合を極力回避できる。なお規制部42をなす縫糸Yは、ミシンによる場合には上糸と下糸の総称であり、手縫いの場合には一本の糸材のことである。
また規制部42の配置位置は、対応する縫い代同士の拡開を規制できる位置であればよいが、右側縫合部32aの末端(E)側に設定することが望ましい。例えば本実施例においては、右側縫合部32aを、縫合線40から末端(E)に向かう方向(図4の上下方向)に二等分して、縫合線側の縫合部部分40Aと末端側の縫合部部分40Bに分けた場合、規制部42は、末端側の縫合部部分40Bに設けられている。このように規制部42を右側縫合部32aの末端(E)側に配置することにより、後縫い代22と前縫い代24の端部側の拡開をより確実に規制することができる。
[シートカバーによるシートパッドの被覆作業]
図1〜図3を参照して、シートパッド4Pを、シートフレーム4F上に配置したのちシートカバー4Sで被覆する。このとき吊り込み用の各縫合部30a〜30cを、対応する吊り溝部10a〜10c内に吊り込み状にホグリング止めしておく。また右側縫合部32aと左側縫合部32b(以下、右側縫合部32a等と呼ぶことがある)を対応する配置溝部12a,12b(以下、配置溝部12a等と呼ぶことがある)内に配置しておく。このとき右側縫合部32a等において、縫い代22,24の端部側が拡開するなどして配置溝部12a等内に収まりよく配置されない場合、シートカバー4Sに部分的な盛り上がりが生ずる(浮きが生じる)おそれがある。
例えば図5に示す右側縫合部32aにおいて、後縫い代22と前縫い代24とを縫合線40のみで縫合していた場合を想定する。このような状態では後縫い代22と前縫い代24が縫合線40を基点として端部に向かうにつれて次第に末広がり状に前後に拡開することが懸念される(図5の二点破線状態の縫い代を参照)。特に本実施例では、シートカバー4Sの性能向上の観点などから、各表皮ピースの裏側にワディング20を設けているのであるが、このワディング20の弾性力により縫い代22,24同士の端部側が拡開しやすい構成でもある。そして両縫い代22,24の端部側の拡開により、右側縫合部32aの末端(E)側の幅寸法W3が配置溝部12aの幅寸法W2より大きくなってしまう。この状態で右側縫合部32aを配置溝部12a内に配置しようとしても、右側縫合部32aの末端(E)側が配置溝部12aの周縁に引っかかるなどして、収まりよく配置できていない状態となってしまう。
そこで本実施例では、図3及び図4を参照して、右側縫合部32a等の適所に規制部42を設けている。そして規制部42にて、図4に示すように右側縫合部32a等の末端(E)をなす縫い代22,24同士の端部側が縫合線40を基点として互いに離れる向きに拡開することを規制している。このときシートカバー4Sにワディング20を設けていても、ワディング20の弾性力に抗して縫い代22,24同士の拡開を規制部42にて規制することができる。こうして右側縫合部32a等の末端(E)が規制部42にて適切な幅寸法W1で維持されていることにより、対応する配置溝部12a等(開口寸法W2:W2≧W1)にスムーズに挿入することができる。さらに右側縫合部32aは、縫合線40と規制部42にて縫合されることにより、シートカバー4Sの裏側で起立した状態で維持しやすくなっている。こうしてシートカバー4Sの裏側で右側縫合部32aを立たせておくことで、右側縫合部32aを配置溝部12aに入れやすくなり、作業性の向上に資する構成となる。こうして本実施例によれば、シートパッド4Pをシートカバー4Sで被覆する際に、右側縫合部32a等を、配置溝部12a等内にスムーズに挿入して、より確実に収まりよく配置することができる。こうして右側縫合部32a等を対応する配置溝部12a等内に収まりよく配置しておくことで、シートカバー4Sがシートパッド4Pに沿って見栄えよく配置され、シートの意匠性向上に資する構成となる。
以上説明した通り本実施例では、規制部42によって縫い代22,24同士の拡開を規制することにより、縫合部(32a等)を溝部(12a等)にスムーズに挿入して収まりよく配置しておくことが可能となる。特に本実施例では、規制部42にて、ワディング20の弾性力に抗して縫い代22,24同士の拡開を規制することで、縫合部(32a等)を溝部(12a等)に収まりよく配置しておくことが可能となる。また本実施例では、縫糸Yで構成された規制部42(比較的シンプルな構成の規制部42)にて縫い代22,24同士の拡開を規制することができる。そして本実施例では、相対的に拡開しやすい縫合部(32a等)の末端側に規制部42を設けることで、縫い代22,24同士の拡開をより確実に規制することができる。このため本実施例によれば、シートカバー4Sの右側縫合部(32a等)をシートパッド4Pの溝部(12a等)内により確実に収まりよく配置することができる。
[変形例]
ここでシートカバー及び縫合部の構成は、上述の構成のほか、各種の構成を取り得る。例えば図6及び図7に示す変形例のシートカバー4Sは、実施例と同様に複数の表皮ピースSP1、SP3、SP4等(典型的に皮革製)を有し、さらに各表皮ピースSP1,SP3,SP4等には、複数の貫通孔50が適宜の間隔で形成されている(各図では、便宜上、一部の貫通孔に符号50を付し、その他の貫通孔の符号を省略する)。これら複数の貫通孔50は、対応する表皮ピースを厚み方向に貫通する孔部であり、いずれも概ね円形状の開口(径寸法:φ)を有している。このようにシートカバー4Sの適宜の位置に貫通孔50を設けることにより、シートカバー4Sの通気性等が向上し、さらに意匠性の向上に資する構成となる。
さらにシートカバー4Sには、図7に示す第三表皮ピースSP3と第四表皮ピースSP4の間に右側縫合部32aが設けられ、この右側縫合部32aは、縫合線40と規制部42を有している。そして本変形例では、第三表皮ピースSP3と第四表皮ピースSP4に貫通孔50が設けられているのであるが、この貫通孔50に規制部42(縫糸Y)が嵌り込むなどして部分的に脱落するおそれがある。そこで本変形例では、規制部42を、右側縫合部32aの末端(E)から貫通孔50の径寸法φ以上離間して配置している。すなわち右側縫合部32aでは、規制部42を、末端側の縫合部部分40Bに設け、さらに右側縫合部32aの末端(E)から貫通孔50の径寸法φ以上離間して配置している。このように右側縫合部32aの適所に規制部42を配置することで、規制部42をなす縫糸Yが、右側縫合部32aの末端(E)の貫通孔50に嵌まり込むことが好適に回避されている。こうして本変形例では、規制部42を、右側縫合部32aの末端(E)から貫通孔50の径寸法以上離間して配置したことで、右側縫合部32aからの規制部42の部分的な脱落を極力回避することができる。
本実施形態の乗物用シート2は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。本実施形態では、規制部42の構成(形状,寸法,形成位置,形成数等)を例示したが、規制部の構成を限定する趣旨ではない。例えば規制部を縫糸で形成する場合、対応する縫合部に沿って断続的に形成することができ、直線縫いのほかにもかがり縫いやジグザグ縫いなどの各種形状のステッチで形成することができる。また規制部は、対応する縫合部の末端に形成することもできる。また規制部は、縫合部の適宜の位置に設けることができ、縫合線側の縫合部部分と末端側の縫合部部分の少なくとも一方に形成でき、両縫合部部分に跨って形成することもできる。また規制部は、縫糸や接着樹脂層や接合部材を適宜組合わせて形成することもできる。
また本実施形態では、各表皮ピースSP1〜SP6等と縫合部32a,32b等の構成を例示したが、シートカバーは、適宜の枚数の表皮ピースで形成でき、縫合部の形成箇所も適宜変更可能である。また同様にシートパッドの溝部の構成も適宜変更可能である。例えばシートパッドの溝部の形成位置に応じて、本発明の縫合部に相当する縫合部をシートカバーに設けることができる。また縫合部の一部だけを溝部内に配置し、その他の部分を、溝部内に吊り込み状にホグリング止めすることもできる。なお縫合部は、ホグリング止めのほか、各種の部材を用いて溝部の底側に係止しておくことができる。また各表皮ピースの裏側の全面又は一部にワディングを取付けることができ、必要に応じてワディングを省略することもできる。またワディングは、隣り合う一対の表皮ピースの一方にのみ取付けることができる。また貫通孔は、複数の表皮ピースの全てに形成することができ、一部の表皮ピースにのみ形成することもできる。なお本変形例では、各貫通孔50の径寸法を同一に設定したが、貫通孔ごとに径寸法や形状が異なっていてもよい(異形とされていてもよい)。そして異形の貫通孔をシートカバーに複数形成する場合には、最も大きい貫通孔の径寸法や開口寸法(外形寸法)を基準に規制部の位置を設定することが望ましい。
また本実施形態では、乗物用シート2の構成(形状,寸法,構成部材など)を例示したが、乗物用シートの構成を限定する趣旨ではなく、複数人用の乗物用シートであってもよい。また本実施形態の構成は、シートクッションのほか、シートバックやヘッドレストやアームレストなどの各種シート構成部材に適用できる。そして本実施形態の構成は、車両や航空機や電車などの乗物用シート全般に適用できる。
2 乗物用シート
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
4F シートフレーム
4S シートカバー
4P シートパッド
4a 天板メイン部
4b 天板サイド部
4c カマチ部
10a〜10c 吊り溝部
12a,12b 配置溝部(本発明の溝部)
20 ワディング
22 後縫い代(本発明の縫い代)
24 前縫い代(本発明の縫い代)
30a 横縫合部
30b 右縦縫合部
30c 左縦縫合部
32a 右側縫合部(本発明の縫合部)
32b 左側縫合部(本発明の縫合部)
40A 縫合線側の縫合部部分
40B 末端側の縫合部部分
35 吊り布
40 縫合線
42 規制部
50 貫通孔
SP1 第一表皮ピース
SP2 第二表皮ピース
SP3 第三表皮ピース(本発明の表皮ピースの)
SP4 第四表皮ピース(本発明の表皮ピース)
SP5 第五表皮ピース(本発明の表皮ピース)
SP6 第六表皮ピース(本発明の表皮ピース)
SP 表皮ピース
WM1,WM2 ワイヤ材

Claims (2)

  1. シート外形をなすシートパッドと、前記シートパッドに設けられた溝部と、前記シートパッドを被覆するシートカバーとを備え、前記シートカバーは、隣り合う一対の表皮ピースと、前記一対の表皮ピースの裏側に取付けられた弾性的に伸縮可能な面状のワディングと、前記一対の表皮ピースの縫い代同士を前記ワディングとともに中表状に重ねている縫合部と、前記縫合部で縫い代同士を縫合している縫合線とを有し、前記シートカバーで前記シートパッドを被覆した状態において、前記一対の表皮ピースが前記縫合線を基点に面状に展開されているとともに前記縫合部が前記溝部内に係止されることなく挿入されている乗物用シートにおいて、
    前記縫合部は、前記縫合部の末端をなす縫い代同士の端部側が前記縫合線を基点として互いに離れる向きに拡開することを規制している規制部を有し、
    前記縫合部を、前記縫合線から前記縫合部の末端に向かう方向に二等分して、縫合線側の縫合部部分と末端側の縫合部部分に分けた場合、前記規制部は、前記末端側の縫合部部分に配置されており、
    前記規制部は、前記縫い代同士を縫合している縫糸で構成されているとともに、前記ワディングを押しつぶすように前記縫い代同士を縫合して前記縫い代同士の端部側を閉じ状態としている乗物用シート。
  2. 前記一対の表皮ピースの少なくとも一方には、対応する表皮ピースを厚み方向に貫通する貫通孔が設けられているとともに、
    前記規制部は、前記縫合部の末端から前記貫通孔の径寸法以上離間して配置されている請求項1に記載の乗物用シート。
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