JP7070213B2 - 乗物用シート - Google Patents

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Description

本発明は、シートカバーと、他部材を収容可能な収容部とを備え、収容部は、シートカバーを利用して形成されたポケット状の部位である乗物用シートに関する。
この種の乗物用シートとして、座部となるシートクッションが、クッションパッドと、シートクッションカバーと、バックル収容用のポケットとを備えた乗物用シートが公知である(特許文献1を参照)。クッションパッドは、シート外形をなして乗員を弾性的に支持する部材であり、ポケット用の凹部が設けられている。この凹部は、上方視で概ね矩形の凹み部位であり、クッションパッドの着座面の左側後部に設けられている。またシートクッションカバーは、クッションパッドの着座面を覆う面材であり、凹部の右縁に沿うようにスリット状の開口が設けられている。そしてクッションパッドの着座面をシートクッションカバーで被覆する際には、このシートクッションカバーに適度なテンションをかけた状態として、シートクッションカバーの周縁端をクッションパッド側に係止しておく。
そしてポケットは、本発明の収容部に相当する部位であり、クッションパッドの凹部に設けられている。このポケットは、凹部の上方を覆っているシートクッションカバー部分と、樹脂製で平板状の芯板と、裏ポケット地とで形成されている。芯板は、凹部の直上に配置された状態で、シートクッションカバーの裏側に縫合されて取付けられている。また裏ポケット地は、凹部の底面に沿って配置されている面材である。この裏ポケット地の開口側の縁部は、凹部内に引き込まれたシートクッションカバー部分に縫合されており、裏ポケット地の前縁と後縁とは、芯板の対応する縁に縫合されている。こうして公知技術では、開口を備えたポケットが凹部の形成位置に設けられ、このポケットに、本発明の他部材に相当するバックルが収容される。
特許第3819142号明細書
ところで公知技術のポケット(収容部)は、シートクッションカバーのほかに芯板と裏ポケット地が必須となるため、シートの部品点数削減の観点などから、すんなり採用できる構成ではなかった。もっともシートクッションカバーを利用してポケットの裏表面を形成することも考えられるが、そうするとポケットの使い勝手が悪くなるおそれがあった。すなわち公知技術のシートクッションカバーは、面方向にテンションがかけられて適度に張った状態となっている。このような状態では、ポケットの開口をなす表側と裏側のシートカバー部分がともに張った状態となって互いに近づくため、ポケットの開口が自然と閉じ状態となってしまう。このためポケットにバックルを収容する際に、ポケットの開口を開く作業に手間取るなどして、バックルのスムーズな挿入が妨げられるおそれがあった。本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、シートの部品点数を極力増加させることなく、各種性能に優れる収容部をシートカバーに設けておくことにある。
上記課題を解決するための手段として、第1発明の乗物用シートは、シート外観をなすシートカバーと、シートカバーを利用して形成された収容部とを備え、収容部は、他部材を挿入可能な開口を有するポケット状の部位である。この種の構成では、シートの部品点数を極力増加させることなく、各種性能に優れる(例えば使い勝手の良い)収容部をシートカバーに設けておくことが望ましい。
そこで本発明のシートカバーは、第一表皮ピースと第二表皮ピースとを重ねた状態で有し、収容部は、第一表皮ピースと第二表皮ピースの開口を除く縁同志をステッチで縫合することで形成されている。そして第二表皮ピースが、収容部の形成位置において、シートカバーの面方向に第一表皮ピースよりも長尺とされていることにより、収容部の開口の配置位置において、第二表皮ピースが、第一表皮ピースから離れる方向に弛んだ状態となっている。本発明では、収容部を、シートカバーをなす第一表皮ピースと第二表皮ピースで形成しているため、シートの部品点数削減に資する構成となっている。さらに収容部の形成位置において第二表皮ピースを相対的に弛ませて、収容部の開口を適度な開き状態としておくことにより、他部材をよりスムーズに挿入して収容部内に収容することが可能となる。
さらに第1発明の乗物用シートは、シートカバーの外観をなす表側に配置されている第一表皮ピースには、収容部の開口をなす部分が概ね矩形に切欠かかれている切欠き部位が設けられている。そして切欠き部位には、開口をなす開口縁部と、開口縁部の両端で開口縁部と直交する向きに延びている一対の端側縁部とが設けられているとともに、開口縁部と一対の端側縁部とは、各々、第一表皮ピースの裏側に折り返された状態となって第二表皮ピースに縫合されている。本発明の第一表皮ピースは、シートカバーの外観をなす表側に配置されているとともに、収容部の開口周囲に配置された縁部分が内折り状態とされている。こうして収容部の開口側において、第一表皮ピースの表側の面以外の部分(断面や裏側の面など)の露出を極力回避することにより、収容部の意匠性の向上に資する構成となっている
そして第1発明の乗物用シートは、一対の端側縁部は、折り返し部分の基点となる箇所で別のステッチにて第二表皮ピースに縫合されている。そして各端側縁部は、シートカバーの表側に配置されている部分に、別のステッチで折り返された折り返し部位が重なっており、別のステッチは、対応する端側縁部の折り返し部位だけを貫通している。本発明では、各端側縁部の折り返し部分の基点となる箇所が、別のステッチにて第二表皮ピースに縫合されているため、当該箇所が、第二表皮ピースから不自然に浮き上がることを極力回避することができる。また別のステッチは、各端側縁部の裏側に配置された折り返し部位だけを貫通しているため、外部への露出が極力回避された状態となっている。このため収容部の意匠が、別のステッチによって過度に制約を受けるといった事態を極力回避でき、収容部の意匠性向上に資する構成となっている。
第2発明の乗物用シートは、第1発明の乗物用シートにおいて、第一表皮ピースは、収容部の開口をなす縁で折り返されている重複部位を有し、重複部位は、収容部内でその奥行方向に延び且つ収容部の開口とは反対の底縁側で第二表皮ピースに縫合されている。本発明では、第一表皮ピースに重複部位を設けることにより、収容部の第一表皮ピース側の部分が二枚重ね状態となっている。そして収容部に収容された他部材を、第一表皮ピースの二枚重ねの部分と第二表皮ピースとで挟み付けるように保持することで、収容部内に他部材をより安定的に収容しておくことが可能となる。
発明の乗物用シートは、第発明又は第発明の乗物用シートにおいて、第一表皮ピースと第二表皮ピースは、各々、外部への露出が想定されている表面部位と、表面部位と異なった外観の裏面部位とを積層状態で有している。そして収容部では、第一表皮ピースと第二表皮ピースがそれぞれ表面部位側を外部に向けた状態で配置されている。本発明では、各表皮ピースが表裏で異なった外観を有していても、収容部の形成位置において両表皮ピースの表面部位側を露出させておくことにより、収容部の意匠性向上に資する構成となっている。
発明の乗物用シートは、第1発明~第発明のいずれかの乗物用シートにおいて、シートクッションと、シートクッションの後部に起倒可能に連結されているシートバックと、シートクッションの後面に設けられている収容部と、シートクッションの前側に軸連結され且つ乗物床面上に配設されている基点部とを備えている。そしてシートクッションは、基点部を中心とした回転動作によって、乗物床面に向けて倒れている基本姿勢と、シートクッションの後部を上方に向けるように乗物床面から跳ね上げられているタンブル姿勢との間で変位可能である。本発明では、シートクッションを基本姿勢からタンブル姿勢に変位可能とすることで、より使い勝手の良いシート構成となっている。そして各種性能に優れる収容部を、タンブル姿勢の際にシートクッションの後部とともに上方(他部材の出し入れが比較的容易な箇所)に配置することで、収容部の使い勝手を更に向上させることが可能となっている。
本発明に係る第1発明によれば、シートの部品点数を極力増加させることなく、各種性能に優れる収容部をシートカバーに設けておくことができる。また第発明によれば、意匠性に優れる収容部をシートカバーに設けておくことができる。また第発明によれば、各種性能に更に優れる収容部をシートカバーに設けておくことができる。また第2発明によれば、他部材の保持性能に優れる収容部をシートカバーに設けておくことができる。また第発明によれば、意匠性に更に優れる収容部をシートカバーに設けておくことができる。そして第発明によれば、シートカバーに収容部を使い勝手良く設けておくことができる。
基本姿勢の乗物用シートの後方斜視図である。 タンブル姿勢の乗物用シートの概略側面図である。 タンブル姿勢の乗物用シートの後方斜視図である。 基本姿勢における収容部を示すシートカバーの後面一部の正面図である。 図4に示すシートカバーの裏面図である。 図4に示すシートカバーのVI-VI線断面である。 図4に示すシートカバーのVII-VII線断面である。 展開状態の第一表皮ピースの正面図である。 展開状態の第二表皮ピースの正面図である。 展開状態の第一表皮ピースと第二表皮ピースの正面図である。 図10の各表皮ピースの仮縫い状態を示す透視正面図である。 図11に示す各表皮ピースのXII-XII線断面である。 収容部形成後の第一表皮ピースと第二表皮ピースの透視正面図である。 タンブル姿勢の乗物用シートの上方且つ後方斜視図である。 変形例の第一表皮ピースと第二表皮ピースの透視正面図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図1~図15を参照して説明する。各図には、乗物用シートの前後方向と上下方向と左右方向を示す矢線を適宜図示する。また図4~図13及び図15では、シートカバー(収容部)が基本姿勢の乗物用シートに配設されている状態を基準として、シートカバーの方向を示す矢線を図示する。そして図11~図13及び図15では、便宜上、第二表皮ピースを二点破線で図示し、さらに実線の第一表皮ピースを、二点破線の第二表皮ピースを透視した状態で図示している。
図1の乗物用シート2は、シートクッション4と、シートバック6と、ヘッドレスト8を有し、乗物床面FS上に設置されている。これらシート構成部材(4,6,8)は、各々、シート骨格をなすシートフレーム(4F,6F,8F)と、シート外形をなすシートパッド(4P,6P,8P)と、シートパッドを被覆するシートカバー(4S,6S,8S)を有する。そしてシートクッション4(詳細後述)の後部には、シートバック6の下部がリクライナRを介して連結されており、起立状態のシートバック6の上部にはヘッドレスト8が配設されている。ここでリクライナRは、シートクッション4に対してシートバック6を起倒可能に連結する部材であり、リクライナRの外側はシールド部材SMにて被覆されている。
[シートクッション]
図1に示すシートクッション4は、座部となる上方視で概ね矩形の部材であり、上述の基本構成4F,4P,4Sと、収容部30を有している(各部材及び収容部の詳細は後述)。このシートクッション4は、図1~図3を参照して、後述する基点部14,16を基点とした回転動作によって、図1の基本姿勢と、図3のタンブル姿勢の間で変位することができる。図1に示す基本姿勢のシートクッション4は、乗物床面FSに向けて倒れた状態(図1では概ね水平な状態)となっており、乗員の着座が可能な状態とされている。また図3に示すタンブル姿勢のシートクッション4は、前倒しされたシートバック6とともに前方且つ上方に跳ね上げられた状態となっている。
そして図1に示す収容部30(詳細後述)は、開口32を備えたポケット状の部位であり、シートクッション4の後面右側に設けられている。この収容部30内には、各種の他部材を収容しておくことができ、本実施例においてはシートクッション4の姿勢維持のためのストラップ部材9(他部材の一例)が収容されている。この種のシート構成では、収容部30の形成に要する部品点数が増加しないよう配慮しつつ、各種性能に優れる収容部30を設けておくことが望ましい。そこで本実施例では、後述するように、シートの部品点数を極力増加させることなく、各種性能に優れる収容部30をシートカバー4Sに設けておくこととした。以下、各構成について詳述する。
[シートパッド・シートフレーム]
シートクッション4は、図1を参照して、シートパッド4P(図示省略)を、シートフレーム4F(図示省略)上に配置したのちシートカバー4S(詳細後述)で被覆することで形成されている。ここでシートパッド4Pは、上面視で略矩形の部材であり、ポリウレタンフォーム(密度:10kg/m3~60kg/m3)等の発泡樹脂で形成できる。なおシートパッド4Pの着座面側は、図1に示す後述するシートカバー4Sで被覆されており、シートパッド4Pの下面側は、図3に示す面状のカーペット部材CM(シートカバーの構成の一部)で被覆されている。また図1のシートフレーム4Fは、典型的に上方視で略矩形の枠体(図示省略)であり、金属や硬質樹脂などの剛性に優れる素材にて形成できる。このシートフレーム4Fの下面には、図3に示すように左右一対の連結板部10,12が固定されている。これら各連結板部10(12)は、それぞれ側面視においてシートクッション4に沿う向き(図3では上下方向)に長尺な矩形の板材である。そして右側の連結板部10は、シートクッション4の下面の右縁に沿うように配置され、左側の連結板部12は、シートクッション4の下面の左縁に沿うように配置されている。
[基点部]
そして図3を参照して、シートクッション4の前部側には、シートクッション4の姿勢変位の基点となる一対の基点部14,16が軸連結されている。各基点部14,16は、乗物床面FS上に固定された側面視で矩形の部材であり、シートクッション4前部の左側と右側に分かれて配設されている。これら各基点部14,16は、左右に延びるパイプ状の補強材RMで連結されているとともに、各基点部14,16の上部側には、それぞれ左右方向を向いた連結軸Aが設けられている。そして各基点部14(16)は、対応する連結板部10(12)の前部に連結軸Aで軸連結されており、各連結板部10,12は、対応する連結軸Aの軸線周りに回転可能な状態となっている。こうしてシートクッション4は、各基点部14,16の連結軸Aを中心とした回転動作によって、基本姿勢からタンブル姿勢に変位することが可能となっている。なお各連結板部10(12)の後部にはロック部17a(17b)がそれぞれ設けられている。これら各ロック部17a,17bは、シートクッション4が基本姿勢にある場合に乗物床面FS側のストライカ(図示省略)に係止される部位であり、タンブル姿勢に移行する際にストライカから係脱される。
[シートカバー]
図1に示すシートカバー4Sは、シートクッション4の外観(シート外観)なす面材であり、複数の表皮ピースSPa~SPc,SP1,SP2を縫合することで形成されている。これら各表皮ピースは、複数の着座側表皮ピースSPaと、左右一対の側方表皮ピースSPb,SPcと、第一表皮ピースSP1及び第二表皮ピースSP2に大別できる(図1では、便宜上、各着座側表皮ピースに共通の符号SPaを付す)。複数の着座側表皮ピースSPaは、それぞれシートパッド4Pの着座面を覆う表皮ピースである。また右側の側方表皮ピースSPbは、シートパッド4Pの右面を覆う表皮ピースであり、左側の側方表皮ピースSPcは、シートパッド4Pの左面を覆う表皮ピースである。また第一表皮ピースSP1及び第二表皮ピースSP2は、シートパッド4Pの後面を覆う表皮ピースであり、後述する収容部30の形成に利用されている。そして第一表皮ピースSP1は、左右方向に長尺な表皮ピースであり、シートパッド4Pの後面を概ね網羅可能な寸法を有している。この第一表皮ピースSP1は、シートカバー4Sの外観をなす表側に配置されており、その右縁と左縁には、それぞれ対応する側方表皮ピースSPb,SPcが縫合されている。また第二表皮ピースSP2は、第一表皮ピースSP1の右部裏側に配置されている概ね矩形の表皮ピースであり、後述の収容部30に倣った寸法を有している。
[表皮ピースの素材(表面部位、裏面部位)]
ここで図1に示す各表皮ピースSPa~SPc,SP1,SP2の素材として、シートの外観(意匠面等)を構成可能な各種の面材を用いることができる。例えば各着座側表皮ピースSPaの素材として、天然繊維又は合成繊維からなる布帛(織物,編物,不織布)や皮革(天然皮革,合成皮革)を例示できる。また図4及び図5に示す第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2は、各着座側表皮ピースSPa等と同種の素材を用いることもできるが、本実施例では、二層構造を備えた不織布で形成されている。この種の二層構造を備えた不織布は、例えばニードルパンチ等にて重なった二枚の不織布を交絡させて積層状態で一体化する(プレニーパン等する)ことで形成できる。そして図4に示す第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2の外観をなすべき表側は、表側の不織布部分からなる表面部位20で形成されている。また図5に示す第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2の裏側は、裏側の不織布部分からなる裏面部位22で形成されており、この裏面部位22は、表面部位20と異なった外観を呈する。なお側方表皮ピースSPb,SPcの素材は、その他の表皮ピースSPa,SP1,SP2の素材のいずれかと同一とすることができる。
[収容部・ストラップ部材(他部材)]
図1~図4に示す収容部30は、開口32を備えた概ね矩形状のポケット状の部位であり、第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2を利用して形成されている(収容部の形成手法は後述)。そして収容部30は、奥行き方向である左右方向に長尺とされた概ね矩形状を有し、シートクッション4の後面右側に配置されている。また収容部30の右縁側には開口32(詳細後述)が設けられており、この開口32から、他部材としてのストラップ部材9を出し入れすることができる。ここでストラップ部材9は、図3に示す適度な長さ寸法を有する帯状の部材であり、一端側がシートクッション4側に固定され、他端側にはフック(符号省略)が設けられている。そして後述するようにストラップ部材9によって、シートクッション4のタンブル姿勢を維持することが可能となっている。なおストラップ部材9の一端側は、収容部30内や、収容部30付近のシートカバー4S部分に固定しておくことができる。
[アウトステッチ部(ステッチ)]
そして収容部30は、図4~図7を参照して、アウトステッチ部ST1と、重複部位40と、開口32となる切欠き部位46(開口縁部47、各端側縁部48,49、各折り返し部位48a,49a、各インステッチ部ST2,ST3)とを有している。ここでアウトステッチ部ST1は、本発明のステッチに相当する縫目であり、収容部30の外形をなすように第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2を縫合する。このアウトステッチ部ST1は、概ねコ字をなすように収容部30の上縁と下縁と左縁に沿って設けられているが、開口32が位置する収容部30の右縁には設けられていない。そしてアウトステッチ部ST1は、第一表皮ピースSP1の表面部位20に露出しており、収容部30の意匠の一部を構成している。
[切欠き部位、開口]
ここで開口32を含む収容部30の右部分には、図4~図7を参照して、第一表皮ピースSP1の切欠き部位46と、切欠き部位46から露出する第二表皮ピースSP2部分が配置されている。切欠き部位46は、第一表皮ピースSP1を概ね矩形に切り欠いた部分であり、開口縁部47と、一対の端側縁部(上端側縁部48,下端側縁部49)とを有している。ここで図4に示す開口縁部47は、第一表皮ピースSP1の右側で上下に直線的に延びている縁部である。また上端側縁部48は、開口縁部47の上端から右方(開口縁部と直交する向き)に延長している縁部であり、下端側縁部49は、開口縁部47の下端から右方に延長している縁部である(各端側縁部の詳細は後述)。そして本実施例では、図6に示すように開口縁部47と、それに対応する第二表皮ピースSP2部分の間に、ストラップ部材9を挿入可能な開口32が形成されている。この開口32は、収容部30の配置位置において第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2の寸法に差が設けられることで適度に開いた状態とされている。すなわち第一表皮ピースSP1は、収容部30の形成位置において面方向に適度なテンションがかけられた状態で配置されている。また第二表皮ピースSP2は、収容部30の配置位置において第一表皮ピースSP1に比して左右方向に長寸とされて、開口縁部47から離れる方向(図6では前方)に弛んだ状態となっている。このため収容部30の開口32は、第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2が適度に離間することで自然と開いた状態となり、後述するようにストラップ部材9をスムーズに挿入することが可能となっている。
[重複部位]
また図4及び図6に示す第一表皮ピースSP1には重複部位40が設けられており、重複部位40は、第一表皮ピースSP1の一部を開口縁部47で裏側に折り返している部分である。この重複部位40は、左右方向(収容部30の奥行方向)に長尺とされている帯状の部位であり、開口縁部47から収容部30の底縁側である左縁に向けて延びている。そして重複部位40は、開口縁部47付近で上下の幅寸法が引き締められたのち、適度な幅寸法を持って左方に延長している。そして重複部位40の自由端となる左縁は、収容部30の底側(左縁側)でアウトステッチ部ST1にて第二表皮ピースSP2に縫合されている。このため収容部30の内部には、第一表皮ピースSP1の外観をなす部分と重複部位40とが重なった二枚重ねの部分が設けられ、この二枚重ねの部分が第二表皮ピースSP2に対面状に配置されている。そして開口縁部47では、第一表皮ピースSP1が表面部位20を外部に露出させた状態で折り返されているため、表面部位20以外の部分(裏面部位22や断面等)の外部露出が極力回避された状態となっている。
[折り返し部位]
図4及び図7に示す切欠き部位46には、上端側縁部48と下端側縁部49が設けられており、これら各端側縁部48,49は、上下対称となっている以外は概ね同一の基本構成を有している。例えば上端側縁部48では、第一表皮ピースSP1が表面部位20を外部に向けた状態で折り返された状態となっており、上側折り返し部位48aと、後述する上側インステッチ部ST2とが設けられている。上側折り返し部位48aは、第一表皮ピースSP1の外観をなす部分の裏側に配置されている部分である。この上側折り返し部位48aは、概ね矩形状の部分であって、その左縁が、左方に向かうにつれて次第に下方に傾斜している。そして上側折り返し部位48aは、第一表皮ピースSP1の外観をなす部分に重なった状態で配置されているとともに、上側折り返し部位48aの上縁側が、アウトステッチ部ST1にて第二表皮ピースSP2に縫合されている。こうして上端側縁部48では、第一表皮ピースSP1が表面部位20を外部に向けた状態で折り返されているため、表面部位20以外の部分(裏面部位22や断面等)の外部露出が極力回避された状態となっている。
[インステッチ部(別のステッチ)]
また上側折り返し部位48aの下縁には、図5及び図7に示す上側インステッチ部ST2が設けられている。この上側インステッチ部ST2は、本発明の別のステッチに相当する縫目であり、上端側縁部48の下縁部分を第二表皮ピースSP2に縫合している。すなわち上側インステッチ部ST2は、上端側縁部48の折り返しの基点となる上側折り返し部位48aの下縁を第二表皮ピースSP2に縫合しており、この上側インステッチ部ST2を基点に上側折り返し部位48aが折り返されている。こうして上端側縁部48の折り返しの基点を、上側インステッチ部ST2にて第二表皮ピースSP2に縫合しておくことで、上端側縁部48が、第二表皮ピースSP2から不自然に浮き上がることを極力回避できる。また上側インステッチ部ST2は、上側折り返し部位48aだけを貫通しており、極力外部に露出しない構成となっている。
また図4及び図7に示す下端側縁部49においても、第一表皮ピースSP1が表面部位20を外部に向けた状態で折り返された状態となっており、下側折り返し部位49aと、下側インステッチ部ST3とが設けられている。下側折り返し部位49aは、上側折り返し部位48aと上下対称となるように配置されており、下側折り返し部位49aの下縁側が、アウトステッチ部ST1にて第二表皮ピースSP2に縫合されている。また下側折り返し部位49aの折り返しの基点となる上縁には下側インステッチ部ST3が設けられている。この下側インステッチ部ST3も、本発明の別のステッチに相当する縫目であり、上側インステッチ部ST2と上下対称となるように設けられている。そして下端側縁部49においても、第一表皮ピースSP1が表面部位20を外部に向けた状態で折り返されているため、表面部位20以外の部分(裏面部位22や断面等)の外部露出が極力回避された状態となっている。
[収容部の形成手法]
図4に示す収容部30の形成に際しては、図8及び図9を参照して、所定形状の第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2を生地から切り出して用意する。ここで図8に示す展開状態の第一表皮ピースSP1の右縁側には、切欠き部位46となるべき部分と、後述する複数のノッチ(第一ノッチN1~第四ノッチN4等)が設けられている(図8では、便宜上、切欠き部位の形成位置を二点破線で図示する)。なお各ノッチN1~N4等は、対応する縁に形成された切欠き又は突起であり、典型的には三角形状等の多角形状や半円状とされている。そして第一表皮ピースSP1の切欠き部位46部分には、折り返し前の重複部位40と、折り返し前の各折り返し部位48a,49aと、上側スリット部50と、下側スリット部51とが設けられている。折り返し前の重複部位40は、左右方向に長尺とされた略矩形の部分(左右方向の寸法L1)であり、第一表皮ピースSP1の右縁から部分的に突出している。そして折り返し前の各折り返し部位48a,49aは、折り返し前の重複部位40を挟んで上下対称となるように配置されている。
また図8に示す上側スリット部50と下側スリット部51は、第一表皮ピースSP1を厚み方向に貫通する線状の切目であり、折り返し前の重複部位40を挟んで上下対称となるように設けられている。上側スリット部50は、折り返し前の重複部位40の上縁に沿って設けられており、右から左に向けて直線的に延びたのち左側で上方に向けて傾斜している。この上側スリット部50によって、折り返し前の重複部位40と、折り返し前の上側折り返し部位48aとが分割された状態となっている。また下側スリット部51は、折り返し前の重複部位40の下縁に沿って設けられており、右から左に向けて直線的に延びたのち左側で下方に向けて傾斜している。この下側スリット部51によって、折り返し前の重複部位40と、折り返し前の下側折り返し部位49aとが分割された状態となっている。そして一対のスリット部50,51の下端を結ぶ線上に、切欠き部位46の開口縁部47が形成されることとなる。
また図8に示す第一表皮ピースSP1の右縁には、複数のノッチ(第一ノッチN1~第四ノッチN4)が設けられている。第一ノッチN1は、上端側縁部48(上側インステッチ部)の形成位置を示す箇所である。すなわち第一ノッチN1と上側スリット部50の下端を結ぶ線上に、上端側縁部48(上側インステッチ部)が形成される。また第二ノッチN2は、下端側縁部49(下側インステッチ部)の形成位置を示す箇所である。すなわち第二ノッチN2と下側スリット部51の下端を結ぶ線上に、下端側縁部49(下側インステッチ部)が形成される。また第三ノッチN3は、アウトステッチ部ST1の上縁の形成箇所を示す部分であり、第一ノッチN1の上方に設けられている。そして第四ノッチN4は、アウトステッチ部ST1の下縁の形成箇所を示す部分であり、第二ノッチN2の下方に設けられている。
また図9に示す展開状態の第二表皮ピースSP2は、収容部30の外形に倣った略矩形をなし、その上縁と下縁と左縁にはアウトステッチ部ST1用の縫い代Mが設定されている。そして第二表皮ピースSP2の各縁には、複数のノッチ(第五ノッチN5~第十ノッチN10)が設けられている。例えば第二表皮ピースSP2の右縁には第五ノッチN5と第六ノッチN6が設けられ、これら各ノッチN5(N6)は、図9及び図10を参照して、上端側縁部48(下端側縁部49)の形成位置を示している。すなわち第二表皮ピースSP2と第一表皮ピースSP1を重ねた状態では、第五ノッチN5が第一ノッチN1に重ねられ、第六ノッチN6が第二ノッチN2に重ねられる。また第二表皮ピースSP2の左縁には第九ノッチN9と第十ノッチN10が設けられ、これら各ノッチN9,N10は、図11を参照して、折り返し状態の重複部位40の配置位置を示している。
そして図9に示す第二表皮ピースSP2の上縁(下縁)には第七ノッチN7(第八ノッチN8)が上下対称に設けられている。これら第七ノッチN7と第八ノッチN8は、図9及び図10を参照して、開口縁部47(重複部位40の折り返し基点)の位置を示している。すなわち第七ノッチN7と第八ノッチN8を結ぶ仮想線VLを想定した場合、第二表皮ピースSP2と第一表皮ピースSP1を重ねた状態では、この仮想線VL上に開口縁部47が配置される。さらに本実施例では、この仮想線VLを基に、第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2の面方向の寸法を設定することができる。すなわち図10を参照して、重複部位40の左右の寸法L1と、第二表皮ピースSP2の仮想線VLから左縁までの寸法L2を規定する。そして本実施例では、第二表皮ピースSP2の仮想線VLから左縁までの寸法L2を基準寸法とし、重複部位40の左右の寸法L1を基準寸法(L2)よりも短くなるように設定している。
[収容部の形成手法]
図10~図13を参照して、第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2を重ねてこれらを位置決めしたのち、両表皮ピースSP1,SP2をアウトステッチ部ST1で縫合する。ここで両表皮ピースSP1,SP2の位置決めの手法は特に限定しないが、本実施例では、図11に示すように各インステッチ部ST2,ST3と、後述の仮縫いステッチ部ST4にて位置決めすることができる。すなわち第一表皮ピースSP1の右縁と第二表皮ピースSP2の右縁を位置合わせしたのち、各インステッチ部ST2,ST3を形成することで、両表皮ピースSP1,SP2の右縁側を位置合わせしておくことができる。このとき両表皮ピースSP1,SP2の右縁側を中表状に重ねつつ第一ノッチN1と第五ノッチN5を重ねておく。そしてこれら両ノッチN1(N5)と第七ノッチN7を目印として上側インステッチ部ST2を形成することができる。また同様に第二ノッチN2と第六ノッチN6を重ねたのち、これら両ノッチN2(N6)と第八ノッチN8を目印として下側インステッチ部ST3を形成することができる。そして各インステッチ部ST2(ST3)を基点として、各折り返し部位48a(49a)を裏側に折り返しておくことにより、切欠き部位46の各端側縁部48(49)が形成されることとなる。
また上述の作業に前後して、図11に示すように第一表皮ピースSP1の重複部位40を折り返したのち、この重複部位40の左縁と第二表皮ピースSP2の左縁を位置合わせしておく。このとき重複部位40の左縁を、第九ノッチN9と第十ノッチN10を目印として、第二表皮ピースSP2の左縁の概ね中央に配置しておく。この状態で重複部位40の左縁を、仮縫いステッチ部ST4で第二表皮ピースSP2の左縁に縫合する。こうして重複部位40が折り返されることで、切欠き部位46の開口縁部47が形成されることとなる。そして本実施例では、図11及び図12を参照して、第二表皮ピースSP2の仮想線VLから左縁までの寸法L2(基準寸法)よりも重複部位40の左右の寸法L1が短くなるように設定している。このため仮縫いステッチ部ST4の形成後に、重複部位40を左右に引っ張って突っ張らせた状態では、第二表皮ピースSP2が相対的に弛んだ状態となる。
つぎに図13を参照して、第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2とをアウトステッチ部ST1で縫合することにより収容部30を形成する。このとき第二表皮ピースSP2の上縁と下縁に沿って形成されたアウトステッチ部ST1によって、第一表皮ピースSP1とその裏側の各折り返し部位48a,49aが第二表皮ピースSP2に縫合される。また第二表皮ピースSP2の左縁に沿って形成されたアウトステッチ部ST1によって、第一表皮ピースSP1の重複部位40の左縁が、収容部30の底側となる左縁側で第二表皮ピースSP2に縫合される。このとき本実施例では、重複部位40を左右に引っ張って突っ張らせた状態でアウトステッチ部ST1を形成することにより、第二表皮ピースSP2が相対的に弛んだ状態で縫合されることとなる。こうして本実施例では、第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2を利用して収容部30が形成され、さらに第二表皮ピースSP2が、収容部30の開口32側において第一表皮ピースSP1から離れる方向に弛んだ状態となる。
[シートカバーの形成作業]
そして図1を参照して、第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2を、その他の表皮ピースSPa,SPb、SPcに縫合することでシートカバー4Sが形成される。このとき隣り合う表皮ピースの縁同士を中表状に重ねて縫合したのち、隣り合う表皮ピース同士を、これらの縫合部分(縫い代)を基点に面状に展開しておく。例えば図4及び図5を参照して、第一表皮ピースSP1及び第二表皮ピースSP2の右縁は、右側の側方表皮ピースSPbの左縁に縫合されている。また図5に示すように、第一表皮ピースSP1及び第二表皮ピースSP2と、右側の側方表皮ピースSPbとは、これらの縫合部分SXを境に面状に展開されている。そして残りの表皮ピースも同様に縫合することでシートカバー4Sが形成され、このシートカバー4Sの後面右側に収容部30が配置されることとなる。
[シートクッションの形成作業]
図1に示すシートクッション4の形成に際しては、シートパッド4Pを、シートフレーム4F上に配置したのちシートカバー4Sで被覆する。このときシートカバー4Sは、面方向に適度なテンションがかけられた状態とされているとともに、シートカバー4Sの周縁側が、シートパッド4P又はシートフレーム4F側に係止される。そしてシートクッション4の後部右側には収容部30が配置され、この収容部30に、他部材としてのストラップ部材9を収容しておく。そして本実施例では、シートの部品点数削減の観点から、シートカバー4Sを利用して収容部30を形成するのであるが、この種の構成では、収容部30の各種性能が低下することは極力回避すべきである。例えば本実施例では、シートカバー4Sにかかるテンションなどが原因となって、収容部30の使い勝手が悪化するおそれがある。すなわちシートカバー4Sのテンションが原因で、収容部30の開口32が閉じ状態となることにより、ストラップ部材9のスムーズな挿入が妨げられるおそれがある。
そこで本実施例のシートカバー4Sは、図4~図6を参照して、第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2とを重ねた状態で有し、収容部30は、第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2の開口32を除く縁同志をアウトステッチ部ST1で縫合することで形成されている。そして図6を参照して、第二表皮ピースSP2が、収容部30の形成位置において、シートカバー4Sの面方向(図6では左右方向)に第一表皮ピースSP1よりも長尺とされている。このため収容部30の開口32の配置位置において、第二表皮ピースSP2が、第一表皮ピースSP1から離れる方向に弛んだ状態となっている。すなわち本実施例では、第二表皮ピースSP2が、第一表皮ピースSP1から離れる方向(図6では前方)に弛んだ状態となっているため、収容部30の開口32が自然と開き状態となっている。こうして収容部30の開口32を開き状態としておくことにより、図1に示すストラップ部材9をよりスムーズに挿入して収容部30内に収容することができる。また収容部30では、図4~図6を参照して、第一表皮ピースSP1に重複部位40が設けられ、収容部30の第一表皮ピースSP1側の部分が二枚重ね状態となっている。このため図1の収容部30内のストラップ部材9は、第一表皮ピースSP1の二枚重ねの部分と第二表皮ピースSP2とで挟み付けるように保持されるため、収容部30内に安定的に収容された状態となっている。
また本実施例では、図4に示す収容部30の開口32を目立ちやすくするため、第一表皮ピースSP1の切欠き部位46に開口32を設けている。すなわち収容部30の開口32をなす開口縁部47の上下端には、右方に延びている各端側縁部48,49が配置されているため、これら各端側縁部48,49を目印として開口32の位置を認識しやすい構成となっている。そして図6及び図7を参照して、開口縁部47と各端側縁部48,49では、第一表皮ピースSP1が表面部位20を外部に向けた状態で折り返されている。このため開口32付近では、表面部位20以外の部分(裏面部位22や断面等)の外部露出が極力回避された状態となっており、収容部30の意匠性の向上に資する構成となっている。
さらに図7を参照して、各端側縁部48(49)の折り返しの基点となる箇所は、対応するインステッチ部ST2(ST3)にて第二表皮ピースSP2に縫合されている。このため各端側縁部48(49)が、第二表皮ピースSP2から浮き上がってストラップ部材9等に引っかかったり、引っかかりが原因となって破損したりすることを極力回避することができる。また各インステッチ部ST2(ST3)は、各端側縁部48(49)の裏側に配置されている各折り返し部位48a(49a)だけを貫通しているため、外部への露出が極力回避された状態となっている。このため収容部30の意匠が、各インステッチ部ST2,ST3によって過度に制約を受けるといった事態を極力回避でき、収容部30の意匠性向上に資する構成となっている。
[シートクッションの姿勢変位]
シートクッション4は、図1~図3を参照して、後述する基点部14,16を基点とした回転動作によって、図1の基本姿勢と、図3のタンブル姿勢の間で変位することができる。そして図3に示すタンブル姿勢のシートクッション4は、前倒しされたシートバック6とともに前方且つ上方に跳ね上げられた状態となっている。このため乗物用シート2の後方に適度なスペースを設けておくことができ、使い勝手の良いシート構成となっている。そして図3及び図14を参照して、シートクッション4をタンブル姿勢とすることで、収容部30が、シートクッション4の後部とともに上方に配置される。このように収容部30を上方位置に配置しておくことで、収容部30が目立ちやすい場所に配置される。このとき収容部30は、各表皮ピースSP1,SP2の表面部位20側が外部に露出した見栄えの良い構成であるため、シートの意匠性を適切に維持することができる。また収容部30を上方位置に配置することで、乗員が極端に屈み込むことのない自然な姿勢で、ストラップ部材9を収容部30に出し入れすることが可能となる。そこでストラップ部材9を収容部30から取り出したのち、このストラップ部材9(フック)を、シートクッション4の前側に位置する別の乗物用シートや乗物室内の別部材に係止しておく。こうすることでシートクッション4が、ストラップ部材9の係止力によってタンブル姿勢で安定的に保持されることとなる。
以上説明した通り本実施例では、収容部30を、シートカバー4Sをなす第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2で形成しているため、シートの部品点数削減に資する構成となっている。さらに収容部30の形成位置において第二表皮ピースSP2を相対的に弛ませて、収容部30の開口32を適度な開き状態としておくことにより、他部材(9)をよりスムーズに挿入して収容部30内に収容することが可能となる。また本実施例では、第一表皮ピースSP1に重複部位40を設けることにより、収容部30の第一表皮ピースSP1側の部分が二枚重ね状態となっている。そして収容部30に収容された他部材(9)を、第一表皮ピースSP1の二枚重ねの部分と第二表皮ピースSP2とで挟み付けるように保持することで、収容部30内に他部材(9)を安定的に収容しておくことが可能となる。
また本実施例の第一表皮ピースSP1は、シートカバー4Sの外観をなす表側に配置されているとともに、収容部30の開口周囲に配置された縁部分(47,48,49)が内折り状態とされている。こうして収容部30の開口側において、第一表皮ピースSP1の表側の面(20)以外の部分(断面や裏側の面など)の露出を極力回避することにより、収容部30の意匠性の向上に資する構成となっている。また本実施例では、各端側縁部48,49の折り返し部分の基点となる箇所が、別のステッチ(ST2,ST3)にて第二表皮ピースSP2に縫合されているため、当該箇所が、第二表皮ピースSP2から不自然に浮き上がることを極力回避することができる。また別のステッチ(ST2,ST3)は、各端側縁部48,49の裏側に配置された折り返し部位48a,49aだけを貫通しているため、外部への露出が極力回避された状態となっている。このため収容部30の意匠が、別のステッチ(ST2,ST3)によって過度に制約を受けるといった事態を極力回避でき、収容部30の意匠性向上に資する構成となっている。また本実施例では、各表皮ピースPS1,SP2が表裏で異なった外観を有していても、収容部30の形成位置において両表皮ピースの表面部位20側を露出させておくことにより、収容部30の意匠性向上に資する構成となっている。そして本実施例では、シートクッション4を基本姿勢からタンブル姿勢に変位可能とすることで、より使い勝手の良いシート構成となっている。そして各種性能に優れる収容部30を、タンブル姿勢の際にシートクッション4の後部とともに上方(他部材の出し入れが比較的容易な箇所)に配置することで、収容部30の使い勝手を更に向上させることが可能となっている。このため本実施例によれば、シートの部品点数を極力増加させることなく、各種性能に優れる収容部30をシートカバー4Sに設けておくことができる。
[変形例]
ここで収容部の構成は、上述の構成のほか、各種の構成を取り得る。例えば図15に示す変形例1の収容部30Aでは、第二表皮ピースSP2を上下方向(面方向の一例)に相対的に長尺としておくことで、第一表皮ピースSP1から離れる方向に緩ませておくことができる。すなわち本変形例では、第一表皮ピースSP1の第三ノッチN3と第四ノッチN4の間の寸法L3を基準寸法とした場合、第二表皮ピースSP2の上縁から下縁の長さ寸法L4を基準寸法(L3)よりも長くしている。そして収容部30の形成の際に、第二表皮ピースSP2を上下に予め弛ませた状態で第二表皮ピースSP2に縫合する。こうすることで収容部30の開口32の配置位置において、第二表皮ピースSP2が、第一表皮ピースSP1から離れる方向に弛んだ状態となり、収容部30の開口32を自然と開き状態とすることができる。そして本変形例の構成は、実施例の構成を組み合わせることもできる。すなわち第二表皮ピースSP2の上下方向と左右方向の双方に弛みを持たせることにより、相対的に大きな他部材をスムーズに収容部30に挿入して収容しておくことが可能となる。
本実施形態の乗物用シートは、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。本実施形態では、収容部30の構成(形状,寸法,形成位置,形成数など)を例示したが、収容部の構成を限定する趣旨ではない。例えば収容部は、収容すべき他部材やシート構成を考慮して、シートの適宜の位置に設けることができる。また収容部の開口の配置位置や形成数も適宜設定可能であり、例えば収容部の右縁側と左縁側にそれぞれ開口を設けることもできる。また収容部の開口は、第一表皮ピースと第二表皮ピースの少なくとも一方を緩ませることで開き状態としておくことが可能である。なお第一表皮ピースと第二表皮ピースの表面部位は、同一の外観を有していてもよく、異なる外観(例えば異なる配色)を有していてもよい。
また本実施形態では、開口32の一部となる切欠き部位46の構成(形状,寸法,形成位置,各縁部の構成など)を例示したが、切欠き部位の構成を限定する趣旨ではない。例えば切欠き部位の各縁部は、各々、折り返し状態となっていてもよく、折り返し状態となっていなくともよい(断面が露出した状態となっていてもよい)。また各端側縁部の折り返し部分の基点は、別のステッチで縫合されていてもよく、縫合されていなくともよい。なお上記基点は、接着や融着などの手法で第二表皮ピースに固定しておくことも可能である。また開口縁部に重複部位を設ける場合、この重複部位は、第一表皮ピース側に縫合されていてもよい。また第一表皮ピースから切欠き部位を省略したり、開口縁部から重複部位を省略したりすることも可能である。なお重複部位を第二表皮ピースに設けることもできる。
また本実施形態では、シートクッション4を一例に説明したが、本実施例の構成は、シートバック6やヘッドレスト8やアームレストなどの各種シート構成部材に適用できる。そしてシートカバーの構成は、適用されるべきシート構成部材に応じて適宜変更可能であり、第一表皮ピースと第二表皮ピースのいずれかをシートカバーの外観をなす表側に配置することができる。また乗物用シートの構成も適宜変更可能であり、姿勢変位不能な構成とされていてもよい。また他部材として、ストラップ部材のほか、乗物用シートの各種装着品や小物類や書籍などを例示できる。そして本実施形態の構成は、車両や航空機や電車や船舶などの乗物用シート全般に適用できる。
FS 乗物床面
2 乗物用シート
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
R リクライナ
SM シールド部材
9 ストラップ部材(本発明の他部材)
4P シートパッド
4F シートフレーム
10,12 連結板部
14,16 基点部
A 連結軸
RM 補強材
17a,17b 各ロック部
4S シートカバー
SPa 着座側表皮ピース
SPb,SPc 側方表皮ピース
SP1 第一表皮ピース
SP2 第二表皮ピース
20 表面部位
22 裏面部位
30 収容部
32 開口
40 重複部位
46 切欠き部位
47 開口縁部
48 上端側縁部
48a 上側折り返し部位
49 下端側縁部
49a 下側折り返し部位
50 上側スリット部
51 下側スリット部
ST1 アウトステッチ部(本発明のステッチ)
ST2 上側インステッチ部(本発明の別のステッチ)
ST3 下側インステッチ部(本発明の別のステッチ)
ST4 仮縫いステッチ部
N1~N10 ノッチ
SX 縫合部分
VL 仮想線
CM カーペット部材

Claims (4)

  1. シート外観をなすシートカバーと、前記シートカバーを利用して形成された収容部とを備え、前記収容部は、他部材を挿入可能な開口を有するポケット状の部位である乗物用シートにおいて、
    前記シートカバーは、第一表皮ピースと第二表皮ピースとを重ねた状態で有し、前記収容部は、前記第一表皮ピースと前記第二表皮ピースの前記開口を除く縁同志をステッチで縫合することで形成され、
    前記第二表皮ピースが、前記収容部の形成位置において、前記シートカバーの面方向に前記第一表皮ピースよりも長尺とされていることにより、前記収容部の前記開口の配置位置において、前記第二表皮ピースが、前記第一表皮ピースから離れる方向に弛んだ状態となっており、
    前記シートカバーの外観をなす表側に配置されている前記第一表皮ピースには、前記収容部の前記開口をなす部分が概ね矩形に切欠かかれている切欠き部位が設けられており、
    前記切欠き部位には、前記開口をなす開口縁部と、前記開口縁部の両端で前記開口縁部と直交する向きに延びている一対の端側縁部とが設けられているとともに、前記開口縁部と前記一対の端側縁部とは、各々、前記第一表皮ピースの裏側に折り返された状態となって前記第二表皮ピースに縫合されており、
    前記一対の端側縁部は、折り返し部分の基点となる箇所で別のステッチにて前記第二表皮ピースに縫合されており、
    各端側縁部は、前記シートカバーの表側に配置されている部分に、前記別のステッチで折り返された折り返し部位が重なっており、前記別のステッチは、対応する端側縁部の折り返し部位だけを貫通している乗物用シート。
  2. 前記第一表皮ピースは、前記収容部の前記開口をなす縁で折り返されている重複部位を有し、前記重複部位は、前記収容部内でその奥行方向に延び且つ前記収容部の前記開口とは反対の底縁側で前記第二表皮ピースに縫合されている請求項1に記載の乗物用シート。
  3. 前記第一表皮ピースと前記第二表皮ピースは、各々、外部への露出が想定されている表面部位と、前記表面部位と異なった外観の裏面部位とを積層状態で有しているとともに、前記収容部では、前記第一表皮ピースと前記第二表皮ピースがそれぞれ表面部位側を外部に向けた状態で配置されている請求項1又は2に記載の乗物用シート。
  4. シートクッションと、前記シートクッションの後部に起倒可能に連結されているシートバックと、前記シートクッションの後面に設けられている前記収容部と、前記シートクッションの前側に軸連結され且つ乗物床面上に配設されている基点部とを備え、
    前記シートクッションは、前記基点部を中心とした回転動作によって、前記乗物床面に向けて倒れている基本姿勢と、前記シートクッションの後部を上方に向けるように前記乗物床面から跳ね上げられているタンブル姿勢との間で変位可能である請求項1~3のいずれか一項に記載の乗物用シート。
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