JP2005125845A - 車両用表皮材、車両用座席並びに車両用表皮材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 車両用座席Sに用いられる車両用表皮材10であって、座席Sの少なくとも着座部を被覆する第一の表皮材1と、この第一の表皮材1の表面側に露見する部分2bを有し、第一の表皮材1に埋設され一体に接合された第二の表皮材2とを備えた構成とされている。
【選択図】 図1
Description
このように、耐候性のある表皮材でクッション材を被覆することにより、クッション材への雨水の浸入を防ぎ、クッション材が劣化する等の不都合を防止している。
従来の自動二三輪車用の座席は、屋外での使用に適した構成となっているが、その一方で外観は画一的なものとなっており、車体のデザインや乗員の好みに対応した、デザイン性の高い座席が要望されている。
また、デザイン性を確保するための他の手段としては、クッション材をボトムプレートに対して取り替え可能とし、クッション材の色彩やデザインを変えることにより、乗員の好みに合った座席とすることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
或いは、成形型の型面に絵柄インキ層を形成し、真空成形することにより、シート材に前記絵柄インキ層を転写する、シート材への加飾方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、上記技術では、自動二輪車のタイプに合わせて異なる形状のクッション材を準備する必要があった。また、クッション材自体が外部に露見する構成であるため、クッション材の材質が耐候性のある材質に限られてしまっていた。
また、上記特許文献2に開示された技術では、パッドにインキを転移させる工程と、このパッドを型面に押し付けてインキ層を形成する工程とが必要であり、製造工程における工数が多くなるという問題があった。
また、パッドや印刷装置などの装置を、真空成形装置以外に備える必要があった。
さらに、印刷層の転写であるため、耐候性に乏しく、経時により絵柄が薄くなったり、剥がれてしまう恐れがあり、屋外で使用される物品へ適用する際には不都合があった。
特に自動二輪車の座席等に用いた場合には、着座を繰り返すと、こすれにより絵柄が消えてしまうという問題があった。
また、インキの種類や濃度などの調整が必要であり、型面にインキが残った場合には清掃を行う必要があり、工程管理に手間がかかるという問題があった。
本発明の目的は、表面にデザイン性に優れた模様や文字などの形状を備え、特に、屋外に曝される座席に適用可能な、車両用表皮材、車両用座席並びに車両用表皮材の製造方法を提供することにある。
また、絵柄部が印刷等ではなく、第二の表皮材から構成され、しかも第二の表皮材は第一の表皮材に埋設されているので、経時によるかすれや剥がれ等が発生することなく、長期に渡って好適な外観を保つことが可能である。
また、第一の表皮材と第二の表皮材について、色,表面のシボ模様或いは材質を変えることにより、第二の表皮材により形成されるデザイン形状をより際だたせることが可能となる。
さらにまた、前記第一の表皮材に、表皮材を実際に縫製したものと同一外観を有するステッチ模様が転写によって形成されていると、複数枚の表皮材を実際に縫製で接合した外観とすることができ、高級感を得ることが可能となる。また、ステッチ模様によるデザインが呈されることにより、さらにバラエティに富んだ外観とすることが可能となる。
本発明に係る車両用座席は、前記請求項1乃至3いずれか記載の車両用表皮材で被覆されて形成されているので、一枚ものの表皮材で被覆された構成でありながら、複数の表皮材を縫製した高級感をもってデザイン性に富んだ座席とすることが可能となる。
すなわち、車両用座席に用いられる車両用表皮材であって、前記座席の少なくとも着座部を被覆する第一の表皮材と、該第一の表皮材の表面側に露見する部分を有し、前記第一の表皮材に埋設され一体に接合された第二の表皮材からなる車両用表皮材の製造方法であって、前記第二の表皮材の露見する部分以外の領域に接着剤を塗布する工程と、真空型に前記露見する部分が金型面に接するように前記第二の表皮材を配置する工程と、前記第一の表皮材を加熱する工程と、前記真空型に加熱された前記第一の表皮材を前記第二の表皮材を覆って配置する工程と、前記第一の表皮材及び第二の表皮材を真空引きする工程と、を備えたことを特徴とする。
このように、真空装置以外に特別な装置を用いることなく、表皮材を配設して真空引きするという簡単な工程により、絵柄が付された表皮材を製造することが可能となる。
また、印刷のように、インキの種類や濃度の調整等を行う必要がなく、また型面にインキが残ったりすることがないので、工程管理に手間がかからず、効率よく製造することが可能となる。
また、絵柄部が印刷等ではなく、表皮材から構成されており、しかもこの表皮材は埋設されているので、経時によるかすれや剥がれ等が発生することなく、長期に渡って好適な外観を保つことが可能である。
このため、例えば自動二輪車の座席のように、屋外に曝される物品にも好適に用いることが可能である。
また、表皮材であるため、座席のタイプや形状を問わず、どのような座席にも対応することが可能である。
図1は本実施形態に係る車両用表皮材を適用した車両用座席を示す斜視図、図2はステッチが付された第二の表皮材を示す説明図、図3は第二の表皮材に接着剤を塗布した状態を示す断面図、図4は真空型に第二の表皮材をセットした状態を示す説明図、図5は図4の要部拡大図、図6は真空型に第一の表皮材をセットした状態を示す説明図、図7は本実施形態に係る車両用表皮材の要部断面図、図8は本実施形態に係る車両用表皮材を適用し、表面に文字形状を備えた車両用座席を示す斜視図、図9乃至図21は表皮材に付されたステッチ模様を示す説明図である。
第一の表皮材1及び第二の表皮材2は、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂等から形成されている。なお、必要に応じて可塑剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、無機充填剤等の各種添加剤を添加しても良い。
さらに、第一の表皮材1を合成樹脂層と繊維基材層とから構成しても良い。繊維基材層は、織物、編物などの織布、または天然繊維や合成繊維などの不織布からなる。特に、編物等は伸縮性があり、第一の表皮材1の表面にステッチ模様やシボ模様を設けたときに追従するため好適である。
或いは、よりソフトな感触や高級感を出すために、第一の表皮材1の裏面に発泡層14を設けた構成としても良い。
第二の表皮材2は、第一の表皮材1の表面に配置されて幾何学模様や文字などのデザイン形状を形成するものであり、表皮材を所定形状に裁断することにより形成されている。第二の表皮材2は、例えば図1に示すように、炎をイメージしたデザイン形状に形成されている。
第二の表皮材2は、車両のデザインや乗員の好みに合わせて形成されるものであり、図1に示す形状に限らず、例えば図8に示すような文字形状としても良い。その他、円形,矩形,多角形,ストライプ,幾何学模様,植物や動物の形状など、自由な形状に形成することができる。
例えば、第一の表皮材1の色が黒である場合、第二の表皮材2を赤,黄,青,白などの色にすると良い。或いは、第二の表皮材2にストライプ模様や水玉模様が印刷されていても良い。
また、第一の表皮材1にシボ模様が付されている場合は、第二の表皮材2のシボ模様を異なるものとしたり、或いはシボ模様を付さない状態としても良い。
さらに、第二の表皮材2の材質として、第一の表皮材1の材質と異なるものとすると良い。例えば、第二の表皮材2として、樹脂製シートと樹脂発泡体の積層体、パール系レザー、本革、不織布または織布等の布材、布材に熱可塑性樹脂を含浸させたシート、布材に熱可塑性樹脂を積層した積層体等を用いると良い。
本例では、ステッチ2aは、第二の表皮材に実際の縫製を施すことにより付している。なお、実際の縫製によるステッチではなく、印刷、型押し、ウェルダー、真空成形によりステッチ模様を形成しても良い。
図4乃至図6では、表皮材の成形を行う真空型20と、この真空型20における成形工程が示されている。図4乃至図6は、図2に示す座席Sの表皮材において、A−A線部分の成形状態を示すものである。
先ず、第二の表皮材2に接着剤30を塗布する。接着剤30は、第二の表皮材2の外側に露見する面2bを除き、それ以外の領域に塗布される。すなわち、図3に示すように、接着剤30は、第一の表皮材1との接合面2cと、この接合面2cに連続する側面2dに塗布される。接着剤30としては熱可塑性接着剤が使用され、ポリウレタン系接着剤(例えば、ハイボンXA086−2;登録商標;日立化成ポリマー株式会社製)が使用されるのが好ましい。
なお、接着剤30は、上記例では、接合面2cの全ての面に塗布しているが、ルーズ感を出す場合には、接合強度を考慮して領域の一部に塗布するようにしても良い。
次いで、図示しないヒータにより第一の表皮材1を加熱する工程を行い、さらに図6に示すように、真空型20に、加熱された第一の表皮材1を、第二の表皮材2を覆って配置する。成形を行う際は、第一の表皮材1の端末部1aが、クランプ装置等により真空型20の周縁部に固定される。
第二の表皮材2がセットされている部分では、加熱により軟化した第一の表皮材1が第二の表皮材2を被覆しながら金型面20aに吸い付けられ、第二の表皮材2の厚さ分だけ第一の表皮材1が凹んで成形され、第二の表皮材2が第一の表皮材1に食い込んで成形される。
このとき、第一の表皮材1の熱により、第二の表皮材2に塗布された接着剤が活性化され、さらに真空引きにより第一の表皮材1と第二の表皮材2とが圧着され、第一の表皮材1と第二の表皮材2とが接合される。
このようにして、第一の表皮材1と第二の表皮材2が一体に成形された表皮材10が得られる。
表皮材10は、図7に示すように、第二の表皮材2が第一の表皮材1に埋設されて一体に成形されているので、表面側から見ると、第一の表皮材1の表面に、第二の表皮材2の形状によるデザイン形状が付された外観となっている。
したがって、第二の表皮材の形状や色,表面の模様,材質,配設箇所を変えることにより、様々なデザインの表皮材10を得ることが可能となる。
このとき、図7に示すように、ステッチ模様13の部分にアンダーカット部を設けることにより、ステッチ模様13を際だたせ、ステッチ模様13と表皮材表面とが別体であるような外観となり、実際に糸で縫った状態をより本物らしく表現することができる。
図9乃至図21に示す例では、表皮材は、表皮10aと、ワディング材10bと、裏面材10cとから構成されている。表皮10aは、合成樹脂層11と繊維基材層12とから構成されている。
表皮材10には、転写により、縫製糸模様21、縫い目穴模様22、接合部模様23、縫製糸が表皮材に食い込んだ状態を示す模様24が形成されている。
上記各形状の表皮材10への転写は、ウェルダー、型押し、真空成形または圧空成形、インジェクション成形、ブロー成形等の従来公知の方法により行われ、特にその製法は問わないものである。
このように、接合部模様23が凹凸形状とされることにより、表皮材10において、二枚の表皮材が重ねられた状態が表現される。
接合部模様23の上には、縫製糸模様21が形成されている。縫製糸模様21により、接合部において二枚の表皮材が縫い合わされた状態が表現される。
縫製糸模様21の間には、縫い目穴模様22が形成されている。縫い目穴模様22は、縫い目穴に縫製糸の端部が入り込んだ外観となるように形成されている。
アンダーカット部25を設けることにより、接合部模様23が、下側に位置する表皮材10の一般面16へ向けてせり出した外観となり、接合部模様23と下側に位置する表皮材10とが別体のように見えるようになり、二枚の表皮材が重なった状態を、より本物らしく表現することが可能となる。
アンダーカット部25は、図11に示すように縫製糸模様の一方側に設けても良く、或いは図12に示すように、縫製糸模様の両側に設けても良い。また、全ての縫製糸模様21にアンダーカット部25を設けるのではなく、一つおきに設けたり、ランダムに設けても良い。
ワディング材10bとしては、例えばポリウレタンフォーム、PVC(ポリ塩化ビニル)フォーム、TPO(オレフィン系熱可塑性エラストマー)フォーム、PP(ポリプロピレン)フォーム、PE(ポリエチレン)フォームなどからなるものを使用する。
ワディング材10bは、縫製糸模様21等の縫い目部分以外の領域に配設される。ワディング材10bは、配設箇所の形状に裁断され、縫い目部分にかからない大きさに形成される。ワディング材10bを配設することにより、縫い目を境に、表面にふっくらとした質感を出すことが可能となる。
裏面材10cは、伸縮性を有するシート材からなり、例えばポリ塩化ビニル樹脂からなる樹脂製シート材が使用される。或いは、天然繊維や合成繊維からなる織布、編布、不織布などが採用される。
裏面材10cが設けられていることにより、ワディング材10bが表皮10aに密着して、表面側でのふっくら感が効果的に得られ、また、表皮10aの縫い目部分は裏面材10cに密着してくっきりした谷が形成されるので、表面の凹凸形状をより際だたせることが可能となる。
図14及び図15では、真空成形により表皮10aへの模様の転写が行われた例が示されている。ワディング材10bを取り付ける際は、表皮10aとワディング材10bのいずれか又は両方に接着剤を塗布し、表皮10aにワディング材10bを貼着する。
次に、ワディング材10b、ワディング材10bが配設されていない部分の表皮10a、裏面材10cのいずれか又は全てに接着剤を塗布し、図15に示すように、表皮10a及びワディング材10bに裏面材10cを貼着する。
このようにして、図16に示すように、ワディング材10b及び裏面材10cを備えた表皮材10が形成される。
また、表皮10aにワディング材10b及び裏面材10cを予め取り付けておき、その後、表皮10aへの転写を行うようにしても良い。
また、表皮10aと裏面材10cとの接合部分について、ウェルダーによる溶着を行っても良い。
上記のように、接合部模様23の部分の合成樹脂層11を厚くした場合においても、図18に示すように、接合部模様23の部分にアンダーカット部25を設けた構成とすると、二枚の表皮材が重なった状態をよりリアルに表現することができ好適である。
そして、表面側から付けられたステッチは、縫製糸模様21として表皮材10の上面に形成されている。
さらに、表皮材10において、接合部模様23を境にして、異なるしぼ模様が賦形された構成としても良い。例えば、座面を被覆する部分と、側面を被覆する部分と、後方側面を被覆する部分とで異なる模様となるように構成すると良い。
例えば、図20に示す表皮材10には、アンダーカット部25が設けられた接合部模様23が形成され、さらに、接合部模様23に隣接して、アンダーカット部25が設けられた縫製糸模様21が形成されている。そして、縫製糸模様21の間には、縫い目穴模様22が形成される。また、しぼ模様についても、上記した構成に限らず、他の模様としたり、異なる艶としたり、或いはしぼ模様を付けない部分を有する構成としても良い。
この場合は、表皮材に、接合部の表皮材重ね合わせの凹凸形状が転写されて接合部模様が形成される。なお、ウェルダー溶着加工による接合部模様を形成した場合においても、必要に応じてアンダーカット部を設け、接合部模様と下側に位置する表皮材とが別体のように見える構成とすると良い。
本例の表皮材10では、第二の表皮材2が第一の表皮材1に埋設され、一体に形成されているので、第二の表皮材2のめくれ等がなく、良好な外観を得ることが可能となる。
さらに、第二の表皮材2は第一の表皮材1に埋設されているので、第一の表皮材1は一枚ものの状態を保つこととなり、クッション材を被覆したときに、クッション材へ雨水等が浸入することがない。従って、自動二輪車等の座席のように、屋外に曝される座席にも適用可能である。
さらに、絵柄部が印刷等ではなく、第二の表皮材2から構成されているので、経時によるかすれや剥がれ等が発生することなく、長期に渡って好適な外観を保つことが可能である。
なお、図1では、座席1の後部側に第二の表皮材2が配設され、所定のデザイン形状が付された構成が示されているが、これに限らず、座席1の前方や座面部或いは側面に第二の表皮材2が配設され、それぞれデザイン形状が付された構成としても良いことは勿論である。
このように、第二の表皮材2として、周縁部が薄く形成されたものを用いた場合は、接着剤30を第一の表皮材1との接合面2cにだけ塗布すれば良い。
Claims (6)
- 車両用座席に用いられる車両用表皮材であって、
前記座席の少なくとも着座部を被覆する第一の表皮材と、該第一の表皮材の表面側に露見する部分を有し、前記第一の表皮材に埋設され一体に接合された第二の表皮材と、を備えたことを特徴とする車両用表皮材。 - 前記第一の表皮材と第二の表皮材とは、色,表面の模様,材質のうち少なくとも一つが異なることを特徴とする請求項1記載の車両用表皮材。
- 前記第二の表皮材の端部側に糸目模様が付されていることを特徴とする請求項1記載の車両用表皮材。
- 前記第一の表皮材には、表皮材を実際に縫製したものと同一外観を有するステッチ模様が転写によって形成されたことを特徴とする請求項1記載の車両用表皮材。
- 前記請求項1乃至4のいずれか記載の車両用表皮材で被覆されたことを特徴とする車両用座席。
- 車両用座席に用いられる車両用表皮材であって、前記座席の少なくとも着座部を被覆する第一の表皮材と、該第一の表皮材の表面側に露見する部分を有し、前記第一の表皮材に埋設され一体に接合された第二の表皮材からなる車両用表皮材の製造方法であって、
前記第二の表皮材の露見する部分以外の領域に接着剤を塗布する工程と、
真空型に前記露見する部分が金型面に接するように前記第二の表皮材を配置する工程と、
前記第一の表皮材を加熱する工程と、
前記真空型に加熱された前記第一の表皮材を前記第二の表皮材を覆って配置する工程と、
前記第一の表皮材及び第二の表皮材を真空引きする工程と、を備えたことを特徴とする車両用表皮材の製造方法。
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