JP4339967B2 - 座席用表皮材に線状の縫目模様を形成する方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、座席、特に二輪車、バギー、建設作業用車両、水上オートバイの座席(seat、シート、サドル)を作るときの表皮材に、線状の縫目模様を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
古くから、ソファーや乗り物用の座席には、表皮材とし皮革が用いられてきた。皮革を表皮材とする場合は、通常、皮革を裁断して、座席の座面を構成する部分と座席の側面(サイド)を構成する部分を作成し、次いでこれらの部分を縫製によって繋ぎ、その後クッション材を詰め込み、底部を設け、形を整えて製造している。また、皮革の代用として、織物、編物、不織布などの繊維基材の表面に軟質ポリ塩化ビニル層、アクリル系樹脂層、ポリオレフィン系エラストマー層などの合成樹脂層を積層したレザーが開発され、これらも座席の表皮材に使用されている。
【0003】
ところで、オートバイなどの二輪車の座席は、レザーを素材にした表皮材の場合には、所定の形状に裁断した一枚のレザーを手で引っ張りながら、すなわち張り込み成形によってクッション材を覆った後そのレザーの端部をボトムプレートの下面に固定したり、或は所定の形状に裁断した一枚のレザーを真空成形により座席の形状に立体的に成形し、これでクッション材を覆いその端部をボトムプレートの下面に固定したり、或は所定の形状に裁断した一枚のレザーを金型内に真空成形によって配置し、これに発泡性樹脂を注入し、その後発泡性樹脂を発泡させて表皮材と一体に成形する方法などで製造される。
【0004】
上記の製造法は簡単で能率よく行なえるが、皮革を素材としたときに形成されるような縫目がないため製品の高級感が乏しい。そこで高級感を出すためには、レザーを素材にした場合でも、皮革を素材とした場合と同様の製造方法がとられる。すなわち、まずレザーを裁断して、座席の座面を構成する部分と座席の側面を構成する部分を作り、次いでこれらを縫製によって繋ぎ合わせ、座席の形状の表皮材を作成する。そして、座席のボトムプレートの上に、座席の形状に成形した発泡樹脂などのクッション材を載置し、その上から全体を上記の座席形状の表皮材で覆い、この表皮材の下端部をボトムプレートの下面に固着する方法で製造する。
【0005】
上記の如くして製造した座面と側面の境目に縫目が存在する座席は、高級感があるため人気がある。そのため、特に高級な二輪車には、レザーを縫製で繋ぎ合わせて縫目を設けた表皮材が使われることが多い。このように製造や形状的には不要でも、デザイン上の観点から縫製による縫目が付けられることが多い。しかし、二輪車やトラクター等屋外で使われることが多い乗り物の座席の場合には、雨水がレザーの繋ぎ目の縫目からクッション材内に滲み込むので、雨上がり、晴れてから座ったときにクッション材に滲み込んだ水がにじみ出して服を濡らすことがあり、機能面での問題点がある。また、座席は、表面の状態例えばシボ模様、艶、色彩が異なった2種以上のレザーを用いて好みのデザイン或は高級感に仕上げることが行われているが、この際にも縫製によって繋ぎ合わせており、縫目が形成されるため上記の問題点がある。
本発明は、上記の事情に鑑みなされたもので、上記縫目による問題点を解消し、意匠性に優れた座席用表皮材の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、次の(1)〜(3)工程:
(1)繊維基材層及び合成樹脂層からなる座席用表皮材を座席よりやや大きめに裁断し、仮の縫目模様のラインを推定で記入し、この座席用表皮材を成形して座席を作成し、上記の仮の縫目模様のラインと上記の座席の座面と側面の境目ラインのずれを測定し、仮の縫目模様のラインを座席の座面と側面の境目ラインに合致するように補正して縫目模様のラインの位置を決定し、この決定した縫目模様のラインの位置で、繊維基材層及び合成樹脂層からなる座席用表皮材の2枚の端部を重ね合わせ、その重ね合わせた部分を線状の縫目に縫製して繋ぎ合わせる工程、
(2)上記の線状の縫目に縫製して繋ぎ合わせた座席用表皮材を、線状の縫目を表面にして平板上に載置し、その上に型取り用シリコーンゴムを流し込み、次いで硬化させ、その後硬化したシリコーンゴムを剥離して反転型の押し型を成形する工程、
(3)繊維基材層及び合成樹脂層からなる座席用表皮材の合成樹脂層面に、上記反転型の押し型を押し当て加熱加圧して、反転型の押し型の凹凸を合成樹脂層の表面に転写する工程、
からなる座席用表皮材に線状の縫目模様を形成する方法である。
上記の方法において、(1)工程の2枚の座席用表皮材として、その合成樹脂層にシボ柄が施され、このシボ柄が互いに異なるものを用いるのが好ましい。また、(3)工程の転写を、反転型の押し型を再反転させて作製したエンボスロールを用いて行うのが好ましい。また、(3)工程の加熱を高周波加熱で行うのが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の方法の対象となる表皮材の素材は、繊維基材層と合成樹脂層とからなる。繊維基材層は織物、編物又は不織布であるが、編物は伸縮性があり、これが縫目やシボ柄の形成性、或は使用時における表皮材の伸縮変形性に影響するため、特に好ましい。編物としてはスムース編み、天竺編み、二重天竺編みが好ましい。また編織物は片面にパイルを有する編織物が風合、クッション性の観点から使われる場合があり、この場合パイルが存在しない面に合成樹脂層を設ける。
【0008】
繊維基材層の素材となる繊維は木綿、麻などの天然繊維;レーヨンなどの再生繊維;アセテートなどの半合成繊維;ナイロン6繊維などのポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などのポリエステル繊維、ポリアクリロニトリル繊維などのアクリル系繊維、ポリプロピレン繊維などのポリオレフィン系繊維及びビニロンなどの合成繊維が用いられる。繊維基材は上記繊維の長繊維から作られたものでも、短繊維から作られたものでもよく、また一種又は二種以上の繊維を混紡、交編織したものでもよい。特にウーリーナイロンなどの捲縮加工糸が好ましい。捲縮加工糸を用いた表皮材は、モジュラスが低く伸縮性に富むため、手で引っ張って行なう張り込み成形時、或は真空成形時の加工性が優れている。
【0009】
また、上記の合成樹脂層は、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂などである。これらの合成樹脂層には、必要に応じて可塑剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、無機充填剤等の各種添加剤を添加してもよい。合成樹脂層を繊維基材層に積層するには、例えば、合成樹脂をシートに成形し、この合成樹脂シートに繊維基材層を積層する。合成樹脂をシートに成形するには押出し成形でもカレンダー成形でもよい。また、積層加工は、合成樹脂を押出し成形やカレンダー成形でシーティングし繊維基材層に直接熱ラミネートしてもよいし、繊維基材の表面に例えばウレタン系接着剤や変性エチレン−酢酸ビニル共重合体の水性エマルジョン型接着剤を塗布した後に熱ラミネートしてもよい。斯くして繊維基材層及び合成樹脂層からなる座席用表皮材が得られる。
【0010】
また、この表皮材は、その合成樹脂層の表面に、例えばウレタン系塗料層、シリコーンウレタン塗料層などの表面処理層を有していてもよい。これらの表面処理層は上記の塗料を塗布して設ける。このウレタン系塗料層、シリコーンウレタン塗料層は一液型、二液型のいずれでもよいが、水酸基を持つポリオールを主剤とし有機ポリイソシアネートを硬化剤とする二液型のものが耐ガソリン性の点で好ましい。この二液の混合溶剤溶液をポリオレフィン系エラストマー層の表面に塗布し、乾燥して塗料層を設ける。これらの塗料層には必要に応じて帯電防止剤、老化防止剤、顔料などを添加配合してもよい。
【0011】
本発明において、凹凸で構成された線状の縫目模様は、繊維基材層及び合成樹脂層からなる座席用表皮材の合成樹脂層面に形成させる。図1は本発明方法で製造した座席用表皮材の一例で、1枚の長方形のレザー(繊維基材層と合成樹脂層とからなるレザー)から表皮材を裁断して二輪車の運転座席を作成する例を示してある。1は表皮材である。2は二輪車の運転座席の座面になる部分であり、この例の場合は2の部分には小さな凹凸のシボ柄が施され艶消しされている。3は二輪車の運転座席の側面(サイド)になる部分であり、この例では大きなシボパターンが施され艶がある。4は縫目模様部分で、線状に連なっており、この例ではシングルステッチの縫目模様で、繋ぎ目模様部5と糸目模様部6が存在する。
【0012】
図2は、図1の縫目模様部分の一部を拡大した斜視図である。7はレザーの合成樹脂層、8はレザーの繊維基材層である。4はレザーの合成樹脂層7面に設けた線状の縫目模様部分であり、この縫目模様部分4には、繋ぎ目模様部分5と糸目模様部分6が存在し、またこの例の場合には線状の縫目模様部分4は座面部2及び側面部3より、合成樹脂層7が厚くなっている。このように縫目模様部分4を盛り上がらせると、実際の縫目に酷似するようになる。盛り上がりの程度は、座面部2や側面部3よりも0.1〜0.5mm厚くなる程度が好ましい。
【0013】
本発明の線状の縫目模様形成方法を、図1に示す二輪車用座席の表皮材を例にして説明する。この表皮材は、二輪車の座席作成に必要な大きさに裁断したレザーの合成樹脂層面に、型押しによって縫目模様、更には必要に応じシボ柄を形成させて製造する。このように型押し加工で縫目模様、シボ柄を形成するには押し型が必要であるが、この押し型は例えば次のようにして作成する。
【0014】
先ず、繊維基材層と合成樹脂層とからなるレザーを、座席の座面を形成する部分と座席の側面を形成する部分との2枚に裁断する。この2枚のレザーをシングルステッチ縫によって繋ぎ合わせる。図5はシングルステッチ縫で繋いだ部分の部分拡大斜視図である。22は座席の座面を形成する部分で細かなシボ柄を有し、艶消しされたレザーである。23は座席の側面を形成する部分で大きなシボ柄からなり、艶があるレザーである。この2枚のレザーを、実際にシングルステッチ縫製24して繋ぎ合わせる。すなわち、繋ぎ合わせる座面部分のレザー22と側面部分のレザー23の2枚のレザーの端部を揃えて重ね合わせ、先ずその内側を縫い(糸目27)、次いでレザーを糸目27の位置で折り返し、この折り返し部25を縫って(糸目26)、繋ぎ合わせたものである。レザー22とレザー23との繋ぎ合わせは、上記の如く平面的に繋ぎ合わせる縫製によって行なうが、縫製した表皮材を真空成形で図3に示すごとき立体形状に成形したとき、或は張り込み成形で立体にしたとき、その縫目ラインが丁度座面と側面の境に来るように調整するのが好ましい。また、デザイン上の理由で縫目模様をキャラクターラインとして任意の位置に入れる場合にも、レザーを座席形状に立体的に成形したときに縫目模様が所定の位置に来るように調整する。
【0015】
上記の如く実際に縫製して作った表皮材をマスターモデルとして押し型を作成する。すなわち、上記の表皮材を、適宜高さの外枠を備えた平面板の上に拡げ、その上から型取り用シリコーンRTVゴム(常温加硫ゴム)を注入し、次いで該ゴムを硬化させる。硬化したゴムを表皮材から剥離する。斯くしてシリコーンゴム製の反転型の押し型が得られる。この押し型は、縫目模様部分、シボ柄が忠実にネガティブに複写されている。
【0016】
上記の押し型を表皮材(レザー)に転写させるには次のようにする。繊維基材層及び合成樹脂層からなるレザーを、座席に必要な所定の大きさに切断する。このレザーの合成樹脂層面に上記シリコーンゴム製の押し型を載置し、加熱加圧する。これによって押し型の凹凸がレザーの合成樹脂層に転写され、図1に示すごとき本発明の座席用の表皮材が得られる。また、上記の反転型を再反転させてシリコーンエンボスロールに反転させてロール状の押し型を作成し、レザーを加熱しながらエンボスロールを通して本発明の表皮材を作成してもよい。このとき、高周波加熱を利用して加熱してもよい。また、電鋳法によって金属製の押し型をつくり、この金属製の押し型を用い加圧加熱によって本発明の表皮材を製造してもよい。また縫目模様も、上記の例ではシングルステッチを示したが、繋ぎ合わせのための他の縫目模様であってもよい。
【0017】
上記した図1の表皮材1を用いて、二輪車用の座席を製造するには、例えば、まずこの表皮材1を真空成形によって、図3の斜視図に如く、座席のクッション材に対応する立体形状に成形する。ここに4は縫目模様部分である。2は座席の座面になる部分であり、この例では小さなシボ柄が施されていて艶消しされている。3は座席の側面になる部分であり、この例では大きなシボ柄が施されていて艶がある。このように立体的に真空成形したときに、小さなシボ柄が施され艶消しされ座面部2と大きなシボ柄が施され艶がある側面部3との間の縫目模様4のラインが丁度座面と側面の境目部分になるように、調整するのが好ましい。
【0018】
真空成形で立体的に成形した表皮材に一体発泡成形などでクッション材を詰め、更にボトムプレートを置き、表皮材の端部を折り曲げてボトムプレートの底外部に釘などで固定し座席を製造する。図4は、かくして製造した二輪車用の座席の断面図である。10はクッション材、11はボトムプレート、12は表皮材の端部9をボトムプレート11に固定する釘である。縫目模様4が座面部2と側面部3の境目部分に存在する。また、この縫目模様4は、座面部の座席形状の稜線部分に存在するようにしてもよい(図3、図4のaが稜線部分である)。また、 線状の縫目模様は、上記の例に示した位置に限定されない。意匠(デザイン)として任意の位置に設けてもよい。
【0019】
実施例1.
ポリ塩化ビニル100重量部、2−エチルヘキシルフタレート100重量部、Ba−Zn系安定剤2重量部及び顔料2重量部を配合した樹脂組成物を、カレンダー成形によって、厚さ0.9mmのシートに成形し、このポリ塩化ビニルシートの下面にウーリーナイロン(天竺編み)をラミネートした。次いで、ポリ塩化ビニル層面に常法によりウレタン系塗料層を設ける表面処理を行ない、本発明の表皮材の素材であるレザーを作成した。
【0020】
上記で得たレザーを、二輪車の座席よりやや大きめに裁断した。このレザーに仮の縫目模様のラインを推定で記入した。二輪車の座席のボトムプレートの上にクッション材を載置し、これら全体をクッション側から上記のレザーで覆い、張り込み成形して二輪車用座席を作成した。そして、この座席にしたときの上記の仮の縫目模様のラインが、所定の位置すなわち実際の座席の座面と側面の境目ラインからどの程度ずれているかを測定し、両ラインが合致するように補正し、レザー表面に施す縫目模様のラインの位置を決定した。
【0021】
更に、上記で得たレザーのポリ塩化ビニル層面に細かなシボ柄をエンボスして座席の座面部分となる艶のないレザーを作った。また、上記で得たレザーのポリ塩化ビニル層面に大きなシボ柄をエンボスして座席の側面部分となる艶のあるレザーを作った。この2枚のレザーを、上記の決定した縫目模様のラインと合致する位置でシングルステッチ縫いで繋ぎ合わせた。このようにして作成した表皮材をポリ塩化ビニル層面が上になるように平板上に載置し、型取り用シリコーンRTVゴムを注入、硬化させ、反転型の押し型を成形した。この押し型の縫目模様部分(糸目模様部分から座面がわに7mmと側面がわに3mmとの間の部分)は座面部分より0.3mm、側面部分より0.35mm深くなっていた。
【0022】
上記で得たレザーのポリ塩化ビニル層面に、この反転型の押し型を当て、加熱加圧して押し型の凹凸をポリ塩化ビニル層面に転写した。本発明の図1に示すごとき表皮材が得られた。この表皮材の縫目模様部分は1.3mmの厚みがあり、座面部分より0.30mm、側面部分より0.35mm盛り上がっていた。この表皮材を、二輪車の座席のボトムプレート上に載置したクッション材に被せ、張り込み成形して、その端部をボトムプレートの底にステープルで固着して二輪車用座席を作成した。縫目模様のラインと、座席の座面と側面の境目ラインとが一致し、実際に縫製した座席と見分けがつかない、高級感のある座席が得られた。
【0023】
実施例2
実施例1で得たと同じレザーを用い、二輪車の座席よりやや大きめに裁断した。このレザーに仮の縫目ピッチ付き縫目模様のラインを推定で記入し、真空成形して座席の形状に立体的に成形した。この真空成形したときに、上記の仮の縫目模様のラインが、所定の位置すなわち実際の座席の座面と側面の境目ラインからどの程度ずれているかを測定し、更に両ラインが合致するように補正し、レザー表面に施す縫目模様のラインの位置を決定した。また、縫目ピッチを測り、部分的な伸びによる縫目ピッチのブレを確認した。
【0024】
レザーのポリ塩化ビニル層面に細かなシボ柄をエンボスして座席の座面部分となる艶のないレザーを作った。また、レザーのポリ塩化ビニル層面に大きなシボ柄をエンボスして座席の側面部分となる艶のあるレザーを作った。この2枚のレザーを、上記の真空成形して決定した縫目模様のラインと合致する位置で、縫目ピッチを前記ブレに基づき調整しながらシングルステッチ縫いで繋ぎ合わせた。このようにして作成した表皮材をポリ塩化ビニル層面が上になるように平板状に載置し、型取り用シリコーンRTVゴムを注入、硬化させ、反転型の押し型を成形した。この押し型の縫目模様部分(糸目模様部分から座面がわに7mmと側面がわに3mmとの間の部分)は座面部分より0.3mm、側面部分より0.35mm深くなっていた。この押し型を、更に常法により再反転したものを母型にしてシリコーンエンボスロールを作成した。このとき、成形時の位置合わせマークもロールに付けた。
【0025】
このエンボスロールを用いて実施例1で得たレザーにエンボスし、図1に示すごとき表皮材を作成した。縫目模様部分は1.3mmの厚みがあり、座面部分より0.30mm、側面部分より0.35mm盛り上がっていた。この表皮材を所定の大きさに切断し、真空成形して二輪車用座席の形状に立体的に成形した。二輪車用座席のボトムプレートに座席形状のクッション材を載置し、その上から上記の真空成形した表皮材を被せ、その下端部をボトムプレートの底部にステープルで止め二輪車座席を作成した。縫目模様のラインと、座席の座面と側面の境目のラインとが一致しており、縫製によって作成した座席と見分けがつかない、高級感のある座席を効率よく製造できた。
【0026】
【発明の効果】
本発明方法によると、座席用表皮材に凹凸による線状の縫目模様を形成することができる。本発明方法で製造した座席用表皮材は、凹凸による線状の縫目模様を有するので、これで製造した座席、特に二輪車用座席は高級感がある。また、この縫目模様のラインの両側の地のエンボス柄、艶などを異ならせることによって、一枚のレザーであるのにあたかもエンボス柄や艶が異なる2枚以上のレザーを縫製で繋ぎ合わせたように見え、更に高級感が増す。また、本発明方法による線状の縫目模様は、縫目模様部分の層の厚さを他の部分の層の厚さより厚くする、すなわち縫目模様部分を盛り上がらせて、実際の縫目に酷似するようにできる。しかも、縫目模様は凹凸による模様であるので、実際に縫製で形成させた繋ぎ目の縫目と異なり、縫目模様を通して雨水がクッション内に浸入することがない。そのため、雨上がり、晴れてから座ったときにクッション材に滲み込んだ水がにじみ出して服を濡らすことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の二輪車座席用表皮材の平面図
【図2】図1の縫目模様部分の拡大斜視図
【図3】本発明の二輪車座席用表皮材の真空成形後の斜視図
【図4】本発明の表皮材を用いて製造した二輪車用座席の断面図
【図5】従来の二輪車座席用表皮材の縫目部分の拡大斜視図
【符号の説明】
1,21 表皮材、2,22 座面部のレザー、3,23 側面部のレザー、4縫目模様部、5,25 繋ぎ目模様部、6,26 糸目模様部、7 合成樹脂層、8 繊維基材層、10 クッション材、11 ボトムプレート、24 シングルステッチ縫部、a 座面の座席形状の稜線

Claims (4)

  1. 次の(1)〜(3)工程:
    (1)繊維基材層及び合成樹脂層からなる座席用表皮材を座席よりやや大きめに裁断し、仮の縫目模様のラインを推定で記入し、この座席用表皮材を成形して座席を作成し、上記の仮の縫目模様のラインと上記の座席の座面と側面の境目ラインのずれを測定し、仮の縫目模様のラインを座席の座面と側面の境目ラインに合致するように補正して縫目模様のラインの位置を決定し、この決定した縫目模様のラインの位置で、繊維基材層及び合成樹脂層からなる座席用表皮材の2枚の端部を重ね合わせ、その重ね合わせた部分を線状の縫目に縫製して繋ぎ合わせる工程、
    (2)上記の線状の縫目に縫製して繋ぎ合わせた座席用表皮材を、線状の縫目を表面にして平板上に載置し、その上に型取り用シリコーンゴムを流し込み、次いで硬化させ、その後硬化したシリコーンゴムを剥離して反転型の押し型を成形する工程、
    (3)繊維基材層及び合成樹脂層からなる座席用表皮材の合成樹脂層面に、上記反転型の押し型を押し当て加熱加圧して、反転型の押し型の凹凸を合成樹脂層の表面に転写する工程、
    からなる座席用表皮材に線状の縫目模様を形成する方法。
  2. (1)工程の2枚の座席用表皮材の合成樹脂層にシボ柄が施され、このシボ柄が互いに異なることを特徴とする請求項1記載の座席用表皮材に線状の縫目模様を形成する方法。
  3. (3)工程の転写を、反転型の押し型を再反転させて作製したエンボスロールを用いて行うことを特徴とする請求項1又は2記載の座席用表皮材に線状の縫目模様を形成する方法。
  4. (3)工程の加熱が高周波加熱である請求項1〜3のいずれかに記載の座席用表皮材に線状の縫目模様を形成する方法。
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