JP6384976B2 - 3次元印刷用材料系 - Google Patents

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本出願は、米国特許法第119(e)条の下で2013年3月15日に出願された米国仮特許出願第61/787,591号明細書の優先権を主張するものであり、当該明細書全体を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
本発明は、全体として、ラピッドプロトタイピング技術に関し、より詳細には、硬化速度を低下させた3次元(3D)印刷用材料および印刷方法に関する。
ラピッドプロトタイピング分野では、計算機で作成した設計データから直接試作品や少量の機能部品を製造することのみならず、構造用セラミックや金属注型用セラミックシェル鋳型を直接製造することも行われている。
ラピッドプロトタイピングに関しよく知られている2つの方法として、粉末焼結積層造形法および液体結合剤を用いる3D印刷法が挙げられる。これらの技法はどちらも3次元形状造形品を造形するために積層技法を用いる点が類似している。どちらの方法も、所望の物品の断面形状を有する薄層の形成を繰り返し行うものである。各断面は、略平坦な面上に、粒状の(すなわち粒子)材料の床を形成し、この粒状材料の隣接する粒同士を結合一体化させることにより形成される。各層の粒を結合一体化させると同時に、各層を、それよりも先に形成された層に結合させることによって、所望の3次元形状造形品が形成される。粉末焼結を用いる技法および液体結合剤を用いる技法は、計算機により作成された設計データから直接部品を創成し、複雑な幾何学形状を有する部品を製造することができるため有利である。さらに、3D印刷は、試作部品の切削や、従来の「量産金型」を用いる技法(「hard」 tooling)または「樹脂金型」を用いる技法(「soft」 tooling)による注型部品や成形部品の製造(物品の複雑さに応じて2、3週間〜4、5ヶ月を要する場合もある)よりも時間が短縮されると共に費用が削減される可能性がある。
初期の3D印刷技法が特許文献1(当該明細書全体を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する)に記載されており、繰り返し適用される原料粉末の層に、インクジェット方式のプリントヘッドを使用して、液体状またはコロイド状の結合剤材料を送液することが記載されている。3次元インクジェット印刷技法すなわち液体結合剤を使用する方法には、逆回転ローラーを用いて表面に原料粉末の層を適用することが含まれる。原料粉末が表面に適用されたら、インクジェット方式のプリントヘッドによって液体結合剤を予め定められたパターンで粉末層に送液する。結合剤は原料粉末の隙間に染み込み、硬化することによって原料粉末を結合させて固化層にする。硬化した結合剤はまた、各層を、それよりも先に適用された層にも結合させる。最初の断面部分が形成されたら、同じ工程を繰り返し、最終物品が形成されるまで順次断面部分を造形する。場合により、接着剤を担体に懸濁させ、担体が蒸発した後に硬化した接着剤が残るようにすることもできる。原料粉末には、セラミック、プラスチックまたは複合材を用いることができる。液体結合剤材料は有機物質であっても無機物質であってもよい。通常使用される有機結合剤材料は、ポリマー樹脂またはポリカルボシラザン等のセラミック前駆体である。無機結合剤を使用することもでき、その場合、結合剤は最終物品中に組み込まれる。このような用途には、例えばシリカを使用することができる。
粒子状材料の上にアクリレート系結合剤を適用して紫外線で硬化させることも可能である。アクリレート系結合剤には幾つかの利点がある。まず第1に、これらは紫外(UV)光で硬化させることができるので、他の典型的な硬化方法で可能な速度よりも高速で形成プロセスを行うことが可能である。第2に、これらを用いることによって、プラスチックの外観を呈する表面を有する物品を形成することが可能になるので、様々な物体のより本物に近い模型を製作することが可能になる。最後に、アクリレート系結合剤は基本的に固体であり、結合剤を印刷した後に揮発が起こらないので、安定かつ強靱な構造体の形成が可能になる。
しかしながら、(メタ)アクリレートの重合をUVで開始する速硬化機構は、自由流動性粒子状材料を過度に変形させる可能性があり、その結果として、印刷された部分にめくれが生じるので、厚みが1ミリメートルを超える部分を印刷することが極端に難しくなる可能性がある。速硬によるめくれを低減するために、最初に印刷される層をガラス製の造形板上に形成して、造形板に接着させることができる。
米国特許第5,204,055号明細書
本発明の一実施形態においては、3D印刷により、溶浸を行う必要なく粒子状造形材料上で高強度部品を作製することができる。典型的な既存の印刷プロセスには、印刷された物品の強度を高めるための後処理である溶浸ステップが含まれる。本明細書に記載する結合剤を用いて印刷される物品は、溶浸を施した物品に匹敵する強度、例えば、約20MPaを有するので、溶浸ステップが不要である。
(メタ)アクリレートの重合をUVで開始させる速硬機構は、収縮によるめくれや歪みを即座に引き起こす可能性がある。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、この収縮は、個々の(メタ)アクリレートモノマーの炭素−炭素二重結合が他の(メタ)アクリレートモノマーの炭素−炭素単結合に転化することによって自由体積が即座に減少することに起因している可能性がある。この過程で物品が破壊しやすくなるため、このことが妨げとなって、自由流動性を有する粒子状造形材料から厚さ1mmを超える物品が製造できない場合がある。同じく特定の理論に束縛されることを望むものではないが、本発明によるより低速に硬化させる開始機構は、炭素−炭素二重結合から単結合への転化速度を遅らせ、したがって、即時のめくれや歪みを低減させると考えられている。さらに、アクリレートを含有する結合剤は、粒子状材料と接触した時点で硬化するので、2成分系製造物が安定化するという利点がある。
本発明の実施形態には好気性硬化も嫌気性硬化も採用することができる。酸素捕捉剤としてのアミンを紫外線硬化のみに使用することができる既存のプロセスとは異なり、本明細書に記載するアリルエーテルは、紫外線硬化においても、ペルオキシドを開始剤とする場合も、酸素捕捉剤として用いることができる。
一実施形態においては、本発明は、不溶性フィラー、可溶性フィラーおよび遷移金属触媒を含む実質的に乾燥した粒子状材料を含む、3D印刷用粉末材料系であることを特徴とする。本発明の乾燥粒子状材料は、3D印刷に使用して複数の層を有する物品を形成するのに好適であり、この層は、粒子状材料の反応生成物と、3D印刷時に粒子状材料と接触する非水性流体とを含む。
次に示す1つまたは複数の特徴を含むことができる。本発明の粒子状材料は、約40°超かつ約70°未満の内部摩擦角を有することができる。本発明の粒子状材料は、約20dynes/cm(約2×10−4N/cm)を超える臨界表面張力を有することができる。本発明の粒子状材料は、粒子状材料の総重量を基準として、不溶性フィラーを約50〜90質量%と、可溶性フィラーを約10〜50質量%と、遷移金属触媒を約0.01〜0.5質量%とを含むことができる。
不溶性フィラーは、中実ガラス微小球、中空ガラス微小球、中実セラミック微小球、中空セラミック微小球、馬鈴薯デンプン、板状アルミナ、硫酸カルシウム0.5水和物、硫酸カルシウム2水和物、炭酸カルシウム、超高分子量ポリエチレン、ポリアミド、ポリ環状オレフィン、ポリウレタン、ポリプロピレンおよびこれらの組合せを含むかまたは基本的にこれらからなることができる。
可溶性フィラーは、メタクリル酸メチルポリマー、メタクリル酸エチルポリマー、メタクリル酸ブチルポリマー、ポリビニルブチラールおよびこれらの組合せを含むかまたはこれらから基本的になることができる。可溶性フィラーは、約100,000g/mol〜約500,000g/molの重量平均分子量を有することができる。
遷移金属触媒は、オクチル酸コバルト(II)、ナフテン酸コバルト(II)、オクチル酸バナジウム(II)、ナフテン酸マンガンおよびこれらの組合せを含むかまたはこれらから基本的になることができる。
粒子状材料は、顔料を、例えば、粒子状材料の総重量を基準として、約0.5〜5質量%含むことができる。顔料は、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、二酸化チタン、ケイ酸ジルコニウム、炭酸鉛および中空ホウケイ酸ガラス球を含むかまたはこれらから基本的になることができる。
粒子状材料は、加工助剤を含むことができ、例えば、粒子状材料の総重量を基準として、約0.01〜2.0質量%の加工助剤を含むことができる。加工助剤は、ミネラルオイル、ジ(カプリル酸/カプリン酸)プロピレングリコール、ワセリン、プロピレングリコール、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジイソノニル、ポリアルキレンオキシド変性ヘプタメチルトリシロキサン、ポリアルキレンオキシド変性ポリジメチルシロキサン、エトキシ化2級アルコール、フッ化炭化水素、飽和炭化水素樹脂粘着性付与剤およびこれらの組合せを含むかまたはこれらから基本的になることができる。
他の態様において、本発明は、不溶性フィラー、可溶性フィラーおよび遷移金属触媒を含む実質的に乾燥した粒子状材料を含むキットであることを特徴とする。このキットはまた、(メタ)アクリレートモノマー、アリルエーテル官能性モノマーおよび/またはオリゴマーならびに有機ヒドロペルオキシドを含む流体状結合剤も含む。別法として、幾つかの実施形態においては、本発明によるキットは、有機ヒドロペルオキシドに替えてラジカル光開始剤を含むことができる。
次に示す1つまたは複数の特徴を含むことができる。本発明の流体状結合剤は、粒子状材料上の接触角を約25°未満とすることができる。本発明の流体状結合剤は、流体状結合剤の総重量を基準として、(メタ)アクリレートモノマーを約40質量%〜95質量%と、アリルエーテル官能性モノマー/オリゴマーを約5質量%〜25質量%と、有機ヒドロペルオキシドを約0.5質量%〜5質量%とを含むことができる。別法として、有機ヒドロペルオキシドを、流体状結合剤の総重量を基準として0.01〜1質量%の光開始剤に置き換えることができる。流体状結合剤はまた、界面活性剤を0〜1質量%も含むことができる。流体状結合剤は、(メタ)アクリレートオリゴマーを、例えば、約10〜40質量%含むことができる。流体状結合剤は、第1促進剤を、例えば、約2質量%まで含むことができる。第1促進剤は、ジメチルアセトアセトアミドを含むことができる。
実質的に乾燥した粒子状材料に流体状結合剤を適用することによる1mm貫入硬化速度(1mm penetration hardening rate)は、0.01/分〜1.0/分の範囲から選択することができる。乾燥粒子状材料は、顔料および/または加工助剤を含むことができる。
さらなる他の態様においては、3D印刷により物品を形成するための方法は、複数の隣接する粒子を含む実質的に乾燥した粒子状材料を提供するステップを含み、粒子状材料は、遷移金属触媒を含む。流体状結合剤は、複数の粒子の少なくとも一部に、これらの粒子を結合一体化させて物品の少なくとも一部を画定するのに十分な量で適用され、流体状結合剤は、(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリレートオリゴマー、アリルエーテル官能性モノマーおよび/またはオリゴマーならびに有機ヒドロペルオキシドを含む。別法として、幾つかの実施形態においては、有機ヒドロペルオキシドに替えて光開始剤が用いられる。
次に示す特徴の1つまたは複数を含むことができる。幾つかの実施形態においては、遷移金属触媒は、有機ヒドロペルオキシドの分解を誘発してフリーラジカルを生成させることができ、フリーラジカルは、(メタ)アクリレートモノマーおよびオリゴマーの嫌気性重合ならびにアリルエーテル官能性モノマー/オリゴマーの好気性重合を開始させることができる。別法として、他の実施形態においては、光開始剤および遷移金属触媒は、活性放射線または開始放射線(initiating radiation)の存在下または不在下に協同的に作用して、フリーラジカルを生成することができる。このような実施形態においては、フリーラジカルは、(メタ)アクリレートモノマーおよびオリゴマーの嫌気性重合ならびにアリルエーテル官能性モノマー/オリゴマーの好気性重合を開始させることができる。
所望により、本発明の流体状結合剤は第1促進剤も含むことができる。粒子状材料は、不溶性フィラー、可溶性フィラー、顔料および/または加工助剤を含むことができる。
以下に示す図面は必ずしも縮尺通りに描かれておらず、その替わりに、全体として、本発明の原理を例示する際は強調がなされている。以下に示す例示的および好ましい実施形態の説明を添付の図面と一緒に読むことにより、本発明の上述および他の特徴および利点に加えて本発明自体もより十分に理解されるであろう。
その上に物品が造形される収容器の可動面上に堆積された、流体を送液する前の本発明の実施形態の粒子状材料の混合物の第1層の略図を示すものである。 図1の粒子状材料の層の一部に予め定められたパターンで流体を送液するインクジェットノズルの略図を示すものである。 収容器に囲まれた本発明の実施形態の最終物品の略図であり、この物品は、図2に示した一連のステップによって作製され、結合していない非活性化粒子内に埋まっている。 図3の最終物品の略図である。 粒子状材料の材料定数および粒子状材料に対する流体の接触角を求めるためのWashburn浸透法(Washburn infiltration method)による典型的な測定結果(response)を例示するグラフである。 図6aは、主としてガラス微小球および第2成分としての可溶性フィラーからなる粒子状材料の拡大画像を示すものである。図6bは、ガラス微小球および硫酸カルシウム0.5水和物の50/50ブレンド(嵩体積による)と、第3成分としての可溶性フィラーとからなる粒子状材料の拡大画像を示すものである。 様々な分子量の可溶性フィラーを含む粒子状材料の破壊時の曲げ強さおよび最大たわみ量(flexural distance at break)をプロットしたものである。 加工助剤としてミネラルオイルを用いた場合の粒子状材料のZismanプロットを示すものである。 加工助剤としてミネラルオイルおよび第2成分(secondary)であるエトキシ化アルコール界面活性剤の組合せを用いた場合の粒子状材料のZismanプロットを示すものである。 図10aおよび図10bは、適切な結合剤および性能の劣る結合剤が物品の底面を濡らす作用を比較した、レーザー式表面粗さ計(profilometer)による画像を示すものである。 加工助剤として飽和炭化水素樹脂およびミネラルオイルの組合せを使用した場合の粒子状材料のZismanプロットを示すものである。 粒子状材料および流体状結合剤の硬度発現の測定結果を示すグラフである。 図12のプロットを変換し、測定された力の自然対数の経時変化をプロットしたものである。 薄肉物品の好気性硬化時間の測定結果を示した図である。 好気性硬化を測定するために使用した試験片の模式図である。 様々な粉末の内部摩擦角を示すグラフである。 図17aおよび図17bは、内部摩擦角の高い粒子状材料が最終物品の特性に与える効果を比較したレーザー式表面粗さ計による画像を示すものである。図17cは、図17aおよび図17bの印刷された部品部分のCAD図面である。 図18aおよび図18bは、内部摩擦角の低い粒子状材料が最終物品の特性に与える影響を比較したレーザー式表面粗さ計による画像を示すものである。図18cは、図18aおよび図18bの印刷された部品部分のCAD図面である。
本明細書に記載する実施形態は、以下に示す詳細な説明、実施例および図面を参照することによってより容易に理解することができる。しかしながら、本明細書に記載する構成要素、装置および方法は、詳細な説明、実施例および図面に示す特定の実施形態に限定されない。これらの実施形態は、本発明の原理を単に例示するものであることを認識すべきである。本発明の主旨および範囲から逸脱することなく多くの修正および改変が可能であることは当業者に明らかである。
さらに、本明細書に開示する範囲は全て、その一部分であるあらゆる下位範囲を包含するものと理解される。例えば、「1.0〜10.0」という範囲が述べられた場合、最小値として1.0またはそれを超える値から開始し、最大値である10.0またはそれを下回る値で終了するあらゆる下位範囲、例えば、1.0〜5.3または4.7〜10.0または3.6〜7.9を包含するものと見なすべきである。
本明細書に開示される全ての範囲はまた、特に明記しない限り、その範囲の端点を包含すると見なされる。例えば、「5〜10」という範囲は、一般に、端点である5および10を包含すると見なすべきである。
さらに、量に関し「まで」という語が用いられた場合、その量は、少なくとも検出可能な量であると理解される。例えば、指定された量「まで」の量で存在する材料は、検出可能な量から指定された量まで(指定された量を含む)存在することができる。
3次元印刷
図1を参照すると、本発明の材料系を用いる印刷方法に従い、粒子状材料20、すなわち実質的に乾燥した自由流動性粉末の層または膜が収容器24の直線移動可能な面22に適用されている。粒子状材料20の層または膜は、任意の好適な方法で、例えば逆回転ローラーを用いて形成することができる。面22に適用される粒子状材料20は、不溶性フィラー材料、可溶性フィラー材料および遷移金属触媒を含む。粒子状材料20はまた、顔料および/または加工助剤材料も含むことができる。
図2を参照すると、インクジェット方式のノズル28が粒子状混合物20の層または膜の少なくとも一部30に流体状結合剤26を2次元パターンで送液している。幾つかの実施形態においては、粒子状材料20に送液される流体状結合剤26は、(メタ)アクリレート官能性モノマー、アリル官能性モノマー/オリゴマーおよび有機ヒドロペルオキシドを含む。別法として、他の実施形態においては、さらに後述するように、有機ヒドロペルオキシドを光開始剤に置き換えることができる。驚くべきことに、本明細書に記載するように光開始剤を適切に使用することによって十分に遅い硬化速度を達成できることが見出された。流体状結合剤26はまた、界面活性剤、促進剤および/または(メタ)アクリレート官能性オリゴマーも含むことができる。幾つかの実施形態においては、流体状結合剤26は、コロイドシリカをさらに含む。本発明の印刷方法によれば、流体状結合剤26は、任意の好都合な機構、例えば、コンピュータ支援設計(CAD)システムで作成した物品のモデルデータに従い、ソフトウェアを介して駆動されるドロップ・オン・デマンド(DOD)方式のプリントヘッドを用いて、粒子状材料20の層または膜に予め定められた任意の2次元パターンで送液される(図面は円形であるが、これは例示のみを目的とするものである)。
粒子状材料20の第1部分30は流体状結合剤26を活性化し、流体状結合剤26の重合を開始させて固化させ、粒子状混合物を互いに接着させて一体化し、粒子状材料20(粉末)および流体状結合剤26の集合塊が形成される。この集合塊は、中間(intermediate)物品38の断面部分となる基本的に固体である円形の層を画定する(例えば、図3および図4参照)。本明細書において用いられる「活性化」とは、流体状結合剤26の状態を基本的に安定な状態から反応性を有する状態に変化させることを定義することを意図している。この定義には、有機ヒドロペルオキシドが存在する場合は、流体状結合剤26中の有機ヒドロペルオキシドが粒子状材料20中の遷移金属に接触することによって分解することも包含される。同様に、光開始剤が存在する場合、この定義には、流体状結合剤26中の光開始剤が、粒子状材料20中の遷移金属に接触することにより、および/または活性電磁放射線もしくは開始電磁放射線(UV放射線またはフリーラジカルを生成させるかもしくは光開始剤を他の形で分解させることが可能な他の放射線)(図示せず)の存在下に、分解することも包含される。まず最初に流体が粒子状混合物と接触すると、流体は毛管吸収によって即座に衝突点から外側に向かって(顕微鏡スケールで)流動し、30秒間〜1分間等の時間内に可溶性フィラーを溶解する。流体状結合剤の小滴の典型的な体積は約50ピコリットル(pL)であり、粒子状混合物と接触した後、直径約100マイクロメートル(μm)まで拡散する。流体状結合剤が可溶性フィラーを溶解すると流体の粘度は劇的に増加し、最初の衝突点から流体がさらに移行することが抑止される。数分後には、流体はその中に溶解した可溶性フィラーと一緒に流動して、不溶性フィラーに付着し、不溶性フィラー粒子状材料間に接着性結合を形成する。流体状結合剤は、流体の小滴の質量の数倍の量の粒子状混合物を結合一体化させることができる。流体状結合剤の反応性モノマー/オリゴマーが重合すると、接着性結合は硬化し、不溶性フィラー粒子状材料および場合により顔料が接合されて高剛性構造体となり、最終物品40の断面部分となる。
流体に接触しなかった乾燥粒子状混合物32(存在する場合)は、可動面22上で、結合しておらず、自由流動性を有したままとなる。乾燥粒子状混合物は、通常、中間物品38の形成が完了するまでそのまま放置される。乾燥した未結合の粒子状混合物をそのままにしておくことによって、加工中の中間物品38は確実に十分に支持され、補助的な支持構造を必要とすることなく、オーバーハング、アンダーカット、キャビティ等の特徴を画定して形成することが可能になる。中間物品38の最初の断面部分を形成した後、可動面22を所定位置まで下降(indexed downwardly)させ、一実施形態においては、この過程を繰り返す。
例えば、逆回転機構を用いる場合は、次いで、粒子状混合物の第2の膜または層が最初の層の上に適用され、高剛性を有する最初の断面部分およびこれに近接した未結合の粒子状混合物(存在する場合)の両方が覆われる。続いて、上述の方法による流体状結合剤の第2の適用が行われ、可溶性フィラーが溶解し、先に形成された断面部分の少なくとも一部と、第2層の不溶性フィラー粒子状材料と、場合により顔料との間に接着性結合が形成され、これが硬化することによって第2の高剛性を有する断面部分が形成され、最終物品の最初に形成された高剛性断面部分に追加される。可動面22を再び所定位置まで下降させる。
中間物品38が完成するまで、先に述べた、可溶性フィラーを含む粒子状混合物の層を適用するステップ、流体状結合剤を適用するステップ、可動面を22を所定位置まで下降させるステップを繰り返す。図3を参照すると、中間物品38は円柱形等の任意の形状を有することができる。このプロセスが完了した時点においては、収容器24内の中間物品38は最上面34のみが視認できる。中間物品38は、通常、周囲を囲む乾燥した未結合粒子状材料の床36内に完全に沈んでいる。別法として、台を動かさずに上方に向かって一連のこのような層を順次堆積させ、均し、そして印刷することによって物品を形成することができる。
図4を参照すると、加圧空気を流すかまたは減圧することによって、中間物品38から乾燥した未結合粒子状材料を除去することができる。乾燥した未結合粒子状材料を中間物品38から除去した後、最終物品40を画定するためにオーブンによる加熱や塗装等の後加工処理を行うことができる。最終物品40は、中間物品38と同一形状を有するが、滑らかな表面外観、無彩色、高い明度、強靱性、強度および/または可撓性等のさらなる所望の特性を有している。
粒子状材料
実質的に乾燥した粒子状材料等の3D印刷に適した粒子状材料の好ましい一実施形態は、次に示す成分を含むかまたはこれらから基本的になり、列挙した重量百分率は粒子状材料の総重量を基準とする:
Figure 0006384976
粒子状材料の他の好ましい実施形態は、次に示す成分を含むかまたはこれらから基本的になり、列挙した重量百分率は粒子状材料の総重量を基準とする:
Figure 0006384976
さらに、幾つかの実施形態においては、この種の粒子状材料は、粒子状材料の総重量を基準として、遷移金属触媒を0.01〜1質量%をさらに含む。
粒子状材料の成分の好ましい粒度、すなわち直径は、約125ミクロン未満かつ約30ミクロン超である。
不溶性フィラーは、粒子状材料から形成される物品に寸法安定性と、強度を得るための接着力とを付与する。本発明の実施形態に使用するのに適した不溶性フィラーの1種は、ガラス微小球である。ガラス微小球は、屈折率が1.5であるホウケイ酸ガラスから作製することができ、粒度分布が約20ミクロン超〜約125ミクロン未満、より好ましくは約40〜90ミクロンの範囲にある球体とすることができる。ガラス微小球は、微小球の表面がアミン官能性を有し、(メタ)アクリレート系結合剤に対する接着力がより高くなるように、アミノシランで処理することができる。このようなガラス球体の例は、SPHERIGLASS 2530 CP03(Valley Forge,Paに本社を置くPQ Corporationより入手可能)である。この供給業者は、他のガラス微小球製品である、屈折率が1.9であるT−4 SIGN BEADSも提供しており、これは、SPHERIGLASS 2530 CP03よりも光散乱性が高く、より無彩色に近く、より明度の高い色を創成する。屈折率が1.5であるが、Spheriglass 2530 CP03よりも透光性が高い他の好適なホウケイ酸ガラスビーズ製品は、GL0179(Rolla,Moに本社を置くMo−Sci Specialty products,LLCから)である。より透明な製品を用いると、SPHERIGLASS製品およびT−4 SIGN BEAD製品の両方よりも無彩色に近い色が物品に付与され、これは物品により幅広い色域を付与するために望ましい場合もある。
本発明の実施形態に使用するのに適した様々な種類の不溶性フィラーとしては、中実ガラス球、中空ガラス球、中実セラミック球、中空セラミック球、馬鈴薯デンプン、板状アルミナ、硫酸カルシウム0.5水和物、硫酸カルシウム脱水物、炭酸カルシウム、超高分子量ポリエチレン、ポリアミド、ポリ環状オレフィン、ポリウレタン、ポリプロピレンおよびこれらの組合せが挙げられる。
不溶性フィラーの大部分が、10%が30〜40ミクロン未満、90%が90〜125ミクロン未満、50%が50〜70ミクロンである粒度分布を有する球体形状の粒子からなることが好ましい場合がある。毛管圧を低くし、それによって今度は歪みの量を低減するために、10%が3〜30ミクロン未満、90%が60〜90ミクロン未満、粒子の50%が20〜60ミクロンである幅広い粒度分布を有する、角張った非回転楕円体形状の粒子は回避すべきであるかまたは粒子状材料の10質量%未満の量で使用すべきである。角張った形状の粒子を添加することは、粒子状材料の平均毛細管半径を低下させ、したがって、毛管圧を上昇させ、最終物品の歪みを増大させる可能性がある。
毛管圧は次式1で表すことができる。これは、ヤング・ラプラスの式から導出した簡易化した形である:
Figure 0006384976
ここで、Δpは、流体界面をまたいだ圧力差、すなわち毛管圧であり、γlvは、流体の気液界面の表面張力であり、rは、毛管の平均半径であり、θは、固液界面の接触角である。
接触角θは、接触している液体および固体がなす角度である。接触角が0°であることは、流体が、流体を適用した固体の表面全体を自発的に濡らすであろうことを示唆しており、一方、接触角が90°を超えることは、流体が、流体が適用された固体の表面に自発的に濡れ広がらないであろうことを示唆している。本明細書において用いられる「自発的に」という語は、熱力学的平衡に関連するものであり、短時間であることを示すものではない。接触角は、ヤング・デュプレの式を用いて定めることができる:
Figure 0006384976
ここで、γsvは、固−気界面の表面エネルギーであり、γslは、固−液界面の表面エネルギーである。式2の分子の差分γsv−γslは、固−液−気界面における固体の付着張力と定めることができる。この付着張力が気液界面における流体の表面張力以上になることが望ましいであろう。付着張力は、Zismanにより臨界表面張力として定められる表面特性(次の段落で説明)に関連づけることができる。
式1から、毛管圧は、毛管の平均半径が小さくなる、および/または流体の表面張力が大きくなることによって接触角が大きくなる、および/または固体の付着張力が小さくなると、上昇することが分かる。多孔質媒体に浸透させる毛管圧の作用は、Washburn浸透法により測定することができる。Washburnの式は、流体が多孔質媒体に浸透するのに要する時間を表す。Washburnの式は、次の形で用いられる場合が多い:
Figure 0006384976
ここで、θは、固液界面の接触角であり、mは、流体の質量であり、tは、時間であり、ηは、流体の粘度であり、ρは、流体の密度であり、cは、材料定数である。
材料定数cは、多孔質媒体に、表面張力が非常に低い流体(多孔質媒体を構成する粒子の固体表面に対する接触角が0°となるであろう流体)を浸透させることによって求めることができる。この目的に使用される一般的な流体は、表面張力が18dynes/cm(1.8×10−4N/cm)であるn−ヘキサンであり、ほとんどの固体表面に対する接触角が0°になると想定されている。したがって、式3におけるcosθの値は1となり、n−ヘキサンの流体特性は既知であるので、これを解いて材料定数cを導くことが可能である。後は、多孔質媒体に浸透する流体の、時間に対する質量増加速度を測定すればよい。この重量と時間の関係は、Washburn接触角測定用付属品を取り付けたKruss Processor Tensiometer K100(Matthews,N.C.に本社を置くKRUSS USAより入手可能)を使用するかまたはKSV Sigma 70 Tensiometer(Monroe,Connに本社を置くKSV Instruments USAより入手可能)を使用することによって測定することができる。これらの機器を使用する際は、粉末を入れたガラス瓶を準備する。ガラス瓶の底に穴を空け、粉末が底の穴から流れ出ないように多孔質フィルタ片を取り付ける。粉末を充填したガラス瓶を微量天秤に取り付け、ガラス瓶の底を流体(この場合はn−ヘキサン)の表面に接触させる。流体がガラス瓶内の粉末に吸い込まれる(大部分は毛管圧に起因する)ので、時間の経過に伴う微量天秤で測定された質量増加をソフトウェアによって記録する。次いで2乗質量を時間の経過に対しプロットすることができる。これは、流体がガラス瓶の粉末に浸透し続けている間は直線になるはずである(図5参照。図5は、材料定数および粒子状材料に対する流体の接触角を求めるためのWashburn浸透法により得られる典型的な測定結果を例示するものである)。このプロットから傾きを算出することができる。この傾きは、式3のm/tの値に相当する。傾きが求められたら、材料定数cを求めることができる。
材料定数cは、粉末を準備したガラス瓶内の充填密度に左右されるので、どの試験においても一貫してガラス瓶内で同じ充填密度が得られる方法を用いることが好ましい。材料定数に関し、理論上次の関係が成立する:
Figure 0006384976
ここで、rは、多孔質媒体の毛管の平均半径であり、nは、毛管路の数である。粉末を疎充填した場合は毛管の平均半径がより大きくなるので、材料定数が増大することになり、逆に、粉体を密に充填した場合は毛管の平均半径がより小さくなるので、材料定数が低下することになる。
上述のWashburn法を用いて、(i)粒子の10%の粒度(すなわち直径)が50ミクロン未満であり、50%が70ミクロン未満であり、90%が100ミクロン未満である粒度分布を有するガラス微小球から主として構成される粒子状材料と、(ii)角張った非回転楕円体形状を有する粒子である硫酸カルシウム0.5水和物を含むガラス微小球(粒子の10%の粒度が5ミクロン未満であり、50%が25ミクロン未満であり、90%が70ミクロン未満である粒度分布を有する)から主として構成される粒子状材料の材料定数を求めた。結果を表1Aおよび表1Bに示す。
Figure 0006384976
Figure 0006384976
表1Aおよび表1Bを参照し、材料定数を比較すると、これら2種類の粒子状配合物間に大きな差があることが分かる。主としてガラス微小球からなる粒子状材料の材料定数は、ガラス微小球および硫酸カルシウム0.5水和物の50/50ブレンド(嵩体積)からなる粒子状材料配合物の材料定数のほぼ6倍である。この差は、角張った硫酸カルシウム0.5水和物の粒によって粒子状材料がより高密度に充填されることで、毛管の平均半径が大幅に縮小することを示唆している。主としてガラス微小球からなる粒子状材料の材料定数がより大きいことは、毛管の平均半径がより大きいため、毛管圧がより低くなり、したがって、印刷された物品の歪みがより小さくなることを示唆している。
図6aおよび図6bを参照すると、Olympus SZX12顕微鏡で撮影した両方の粒子状材料配合物の拡大画像によって、2種の材料の粒子の分布が示されている。図6aは、主としてガラス微小球および第2成分としての可溶性フィラーからなる粒子状材料の拡大画像である。図6bは、ガラス微小球および硫酸カルシウム0.5水和物の50/50ブレンド(嵩体積)と第3成分である可溶性フィラーとからなる粒子状材料の拡大画像である。
各粒子状配合物の材料定数を求めることができるので、Washburn法を利用して、流体状結合剤と粒子状材料とがなす接触角を求めることもできる。流体と、上述の表1Aおよび表1Bの各粒子配合物とがなす接触角を求めるために表2の流体状結合剤配合物を使用した。
Figure 0006384976
表2の流体状結合剤をガラス瓶内の各粒子状材料試料に浸透させ、表3に示す接触角を求めた。
Figure 0006384976
硫酸カルシウム0.5水和物を含む配合物よりも、結合剤の接触角がゼロである主としてガラス微小球からなる粒子状材料の方が流体状結合剤によって濡れやすい。ガラス微小球と硫酸カルシウム0.5水和物とからなる粒子状材料を用いて印刷された物品は、毛管力によって粒子が流体状結合剤を適用した印刷領域の内側へと引っ張られるため、平坦な長方形の物品がカッピング等の変形を起こす。主としてガラス微小球を70〜90質量%または50〜75%(嵩体積)からなる粒子状材料配合物を用いて印刷された物品は、安定して、毛管力による物品の変形は非常に少ないかまたは全く起こらなかった。
接触角、毛管圧および付着に関しここに提示した考え方は、Physical Chemistry of Surfaces,Adamson,Arthur W.,Interscience Publishers,Inc.,1967に記載されており、Washburn法に関する概念は、Rulison,Christopherによる「Wettability Studies for Porous Solids Including Powders and Fibrous Materials−−Technical Note #302」(1996)(KRUSS USAの製造業者のアプリケーションノート)に記載されている。これらの全開示内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
可溶性フィラーは、主として、結合剤の粒子状材料内への移行の制御を助けるものであり、選択的に印刷された領域からの流体状結合剤の滲出または貯留を制御すると共に、最終的な硬化物品に強度および靭性も補う。可溶性フィラーは、選択された領域に付着した流体状結合剤中に溶解することによって流体状結合剤の粘度を増大させ、それによって結合剤の移行速度を低下させることにより、結合剤の移行を制御することを助ける。本発明の幾つかの実施形態に使用するのに適した可溶性フィラーとしては、メタクリル酸メチルポリマー、メタクリル酸エチルポリマー、メタクリル酸ブチルポリマー、ポリビニルブチラールおよびこれらの組合せが挙げられる。
より具体的には、好適な可溶性フィラーは、ガラス転移温度が約40℃〜約70℃の間にあり、重量平均分子量が約100,000〜約500,000g/molである固体メタクリレートポリマーである。好適な可溶性フィラーの他の例は、ELVACITE 2014(Cordova,Tennに本社を置くLucite Internationalより入手可能)等のポリメタクリル酸メチル/メタクリル酸エチル共重合体樹脂である。他の好適な樹脂は、NEOCRYL B−723(Wilmington,Massに本社を置くNeoResinsより入手可能)等のメタクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル共重合体樹脂である。可溶性フィラーは、粒子の10%が20〜30ミクロン未満であり、粒子の90%が80〜100ミクロン未満であり、粒子の50%が50〜70ミクロンである粒度分布を達成するように処理することができる。幾つかの実施形態においては、粒子状材料は、流体状結合剤中で膨潤したり溶解しないように非反応性とすることができる。
可溶性フィラーに分子量が及ぼす作用をTexture Analyzer TA−XT2i(United Kingdomに本社を置くStable Micro Systemから)により測定することができる。3D印刷装置で流体状結合剤を粒子状材料に適用することによって厚さ5mm、幅5.7mm、長さ50mmの棒状体を作製し、上述の機器を用いて、40mmスパンで2点支持することによる3点曲げ強さを測定することができる。40mmスパンの中央に印加された試験片を破壊する力から、曲げ強度の推定値を算出することができる。試験片が破壊したときのたわみ量も記録し、この値から、棒状体が耐え得る歪み量を推定することができる。破壊時のたわみ量がより大きいことは、強度が高いということなので、物品の強靱性が高くなることに関連づけることができる。表5に列挙する流体状結合剤組成物を使用し、表4に列挙する様々な分子量の可溶性フィラーを使用した粒子状材料配合物についてこの試験を行った。
Figure 0006384976
Figure 0006384976
Spectrum Z(登録商標) 510 Three Dimensional Printer(Burlington,MassのZ Corporationより入手可能)を、SM−128ピエゾ式吐出アセンブリをApollo II Printhead Support Kit(いずれもSanta Clara,Califに本社を置くFUJIFILM Dimatixより入手可能)と一緒に使用できるように調整し、曲げ試験用棒状体を印刷した。表5に列挙した流体状結合剤をSM−128吐出アセンブリを通して厚さ100ミクロンの粒子状材料層に適用することにより曲げ試験用棒状体を印刷した。各層に、流体を、曲げ試験片の32体積%を占めるように選択的かつ均一に付着させた。曲げ試験片を1時間固化させた後、Spectrum Z510の造形床から取り出して、60℃のオーブンで12時間硬化させた。表6は、本発明の粒子状材料組成物について測定された曲げ特性をまとめたものである。図7は、この結果をまとめたグラフである。この結果は、重量平均分子量が100,000g/mol未満である可溶性フィラーを用いた幾つかの場合においては、重量平均分子量が100,000g/molを超える可溶性フィラーを用いた場合よりも低い曲げ特性を示すことを示唆している。
Figure 0006384976
彩度を低下させてより幅広い色域および高い明度を付与し、白色の外観を呈する物品が作製されるように、顔料を含有させることができる。好ましくは、粒子状材料は、顔料を、粒子状材料の総重量を基準として0.5〜5質量%の含有量で含むことができる。二酸化チタンは、屈折率が2.4である、使用可能な顔料である。酸化亜鉛は屈折率が2.0である代替的な顔料である。酸化亜鉛は、Milwaukee,Wisを本社とするSigma−Aldrichより入手可能であり、二酸化チタンよりも彩度を低下させやすい。他の好適な顔料としては、硫化亜鉛、硫酸バリウム、ケイ酸ジルコニウム、炭酸鉛および中空ホウケイ酸ガラス球が挙げられる。
顔料はまた、不溶性フィラーまたは可溶性フィラーに組み込んで結合させることもできる。こうすることは、粒子状材料が過度に粉立ちするのを防ぐと共に、顔料を集塊させる(結合していない顔料が、所望の拡散特性を制御するために使用されている加工助剤に付着して、粒子状配合物の所望の流動特性を失わせる可能性があるので)のに有利となる可能性がある。OMNICOLOR UN0005(Charlotte,N.C.に本社を置くClariantから)は、代替的な顔料供給源として使用することができる、射出成形プラスチック用の顔料および樹脂の白色着色コンパウンドである。これを用いると、色が付与されると共に、顔料が樹脂内に結合しているので、粉立ちが抑えられ、所望の流動特性が維持される。この着色材および射出成形用途に一般に使用されている他の種類の着色材は、ELVACITE 2014等の可溶性フィラーの着色にも使用することができ、溶融加工することによってより均一に着色された粒子状配合物が作製される。DECOSOFTおよびDECOSILKは、顔料を含むポリウレタンおよびアクリル系マイクロビーズ(それぞれ、Erlenback,Switzerlandに本社を置くMicrochemから)であり、有色または透明の低光沢の触感性被覆の製造に慣用されている。これらの製品を、不溶性フィラーとして使用して、マイクロビーズ製品に添加されている顔料によって所望の色を付与すると共に、より強靱性の高い材料特性を付与することができ、それによって粉立ちが低減されると共に、所望の流動特性が維持される。
有機ヒドロペルオキシドが存在する場合、遷移金属触媒が流体状結合剤中の有機ヒドロペルオキシドの分解を誘発することができ、それによってフリーラジカルが生成すると共に、アリル重合のための酸素の吸収が触媒される。別法として、有機ヒドロペルオキシドに替えて光開始剤が存在する場合、遷移金属触媒は光開始剤と協同的に作用することができ(開始放射線または活性放射線も存在する)、フリーラジカルが生成すると共に、アリル重合のための酸素の吸収が触媒される。遷移金属は、複数の酸化状態を有し、それぞれ酸化剤または還元剤の存在下に容易に電子を失うかまたは受け取ることができる金属イオンである。銅、鉄、バナジウム、マンガン、チタンおよびコバルトをベースとする金属触媒が好ましいが、他の金属触媒も使用することができる。特に、好適な遷移金属触媒の1種として、ミネラルスピリット中オクチル酸コバルト(II)(65%)(St.Louis,Moに本社を置くSigma−Aldrichから)が挙げられる。他の好適な金属触媒としては、例えば、ナフテン酸コバルト(II)、オクチル酸バナジウム(II)、ナフテン酸マンガンおよびこれらの組合せが挙げられる。
粒子状材料の拡散特性に影響を与えて所望の内部摩擦角を達成すると共に(後述の解説を参照されたい)、流体状結合剤と接触している粒子状材料との間の毛管力を低下させるために、加工助剤を使用することができる。さらに加工助剤は、粒子状材料の厄介な粉立ちを抑えるのを助けることもできる。ミネラルオイルは粒子状材料の流動性に影響を与える典型的な加工助剤であり、粒子状配合物中に粒子状材料の総重量を基準として0.01質量%〜1質量%使用することができる。このような少量のミネラルオイルを含有させても粒子状材料は実質的に乾燥したままである。ミネラルオイル、例えば、Sigma−Aldrichからのものは、毛管圧を低下させることなく、粒子を凝集させながら、可溶性フィラーはさほど可塑化させないという優れたバランスを有している。REGALREZ 1094(Kingsport,Tennに本社を置くEastmanから)等の水素添加炭化水素樹脂は、ミネラルオイルの粘度を増大するための加工助剤として使用することができる粘着性付与剤であり、粒子状材料の総重量を基準として0.01〜2質量%を用いることができる。炭化水素樹脂を用いることによって加工助剤の粘度が増大させる。加工助剤は独特の凝集性および流動特性を付与し、それによって、粒子状材料は、逆回転する拡散ロッドの剪断下においては自由流動性粉末となる。安息時には所望の凝集力が回復し、後続層が拡散される際に一緒に引きずられないように抵抗する。粘度が増大すると、剪断下における流動特性を制御するように加工助剤が粒子間に作り出す、接着性を有する流体のくびれ(adhesive necks of fluid)が破断し易くなる。その後、接着性を有する流体のくびれは、粒子状材料が休息している間にゆっくりと再形成される。加工助剤の粘度がより低い場合、接着性を有する流体のくびれは剪断下においてもそれほど容易には破断しない。それは、加工助剤がより容易かつ速やかに流動して、粒子間の接着性を有する流体のくびれを再形成させることができるためである。
本発明の幾つかの実施形態に使用するのに適した他の加工助剤としては、これらに限定されるものではないが、ジ(カプリル酸/カプリン酸)プロピレングリコール、ワセリン、プロピレングリコール、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジイソノニル、ポリアルキレンオキシド変性ヘプタメチルトリシロキサン、ポリアルキレンオキシド変性ポリジメチルシロキサン、エトキシ化2級アルコール、水素添加炭化水素樹脂、ポリジメチルシリコーン、ポリアルファオレフィンおよびこれらの組合せが挙げられる。
界面活性剤は、粒子状材料の臨界表面張力を増大させることによって、流体状結合剤と接触している粒子状材料間の毛管力を低下させるために、ミネラルオイルと一緒に使用することができる典型的な加工助剤である。界面活性剤は、粒子状材料の0〜1質量%の範囲で使用することができる。SILWET L−7608またはCOATOSIL L−77(Wilton,Connに本社を置くGeneral Electric Companyから)等のシリコーン界面活性剤は、水の表面張力を25dynes/cm(2.5×10−4N/cm)未満に低下させることができると報告されており、非水性流体状結合剤と接触している粒子状材料 の粒子間の毛管力を有効に低下させることができる。TERGITOL 15−S−7およびTERGITOL−15−S−5(Midland,Michに本社を置くDOW から)等のエトキシ化2級アルコール炭化水素系界面活性剤も、非水性流体状結合剤と接触している粒子状材料の粒子間の毛管力を有効に低下させることができる。
界面活性剤が粒子状材料の表面エネルギーを増大させる作用の測定は、先に説明したWashburn法を用いて、粒子状材料配合物に表面張力の値が異なる一連の溶液を浸透させることによって行うことができる。接触角θを各表面張力毎に求める。次いで、cosθの値を表面張力の値に対しプロットしてZismanプロットを作成する。このデータを用いて、cosθが1になる値(つまりθ=0°)に回帰線を線形外挿し、粒子状材料の臨界表面張力を求める。これは固−液−気界面の付着張力に関し先に説明したものである。この試験を表7に列挙する配合物について実施した。一部の結果については、図8(加工助剤としてパラフィン系油を含む粒子状材料)および図9(加工助剤として界面活性剤およびパラフィン系油のブレンドを含む粒子状材料)を参照されたい。
臨界表面張力についてのさらなる解説は、Physical Chemistry of Surfaces,Adamson,Arthur W.,Interscience Publishers,Inc.,1967に記載されており、Washburn法に関する解説は、Rulison,Christopherによる「Wettability Studies for Porous Solids Including Powders and Fibrous Materials−−Technical Note #302」(1996)(KRUSS USAの製造業者によるアプリケーションノート)に記載されている。これらの全開示内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
Figure 0006384976
界面活性剤を含む粒子状材料の臨界表面張力がわずかに増大している。このことは、加工助剤の少なくとも一部として界面活性剤を使用することにより、流体状結合剤が粉末を濡らすことによって生じる毛管圧の低下を助けることができることを示唆している。
流体状結合剤
本明細書に記載する幾つかの実施形態に従う3D印刷に適した流体状結合剤の好ましい一実施形態は、次に示す成分を含むかまたは基本的にこれらからなり、重量百分率は流体状結合剤の総重量を基準とする。
Figure 0006384976
流体状結合剤の他の好ましい実施形態は、次に示す成分を含むかまたは基本的にこれらからなり、重量百分率は流体状結合剤の総重量を基準とする。
Figure 0006384976
流体状結合剤のさらなる他の好ましい実施形態は、コロイドシリカを含む。コロイドシリカは、場合によっては、流体材料に分散または懸濁させたシリカナノ粒子を含むことができる。シリカナノ粒子は、幾つかの実施形態においては、平均粒度が約100nm以下、約50nm以下または約20nm以下である。さらに、場合によっては、コロイドシリカは、流体状結合剤中に、流体状結合剤の総重量を基準として、約60質量%までまたは約50質量%までの量で存在することができる。幾つかの実施形態においては、流体状結合剤は、コロイドシリカを、流体状結合剤の総重量を基準として約15質量%〜約60質量%または約20質量%〜約50質量%含む。さらに、本明細書に記載する流体状結合剤のコロイドシリカは、流体状結合剤の他の成分中に懸濁または分散させることができる。例えば、幾つかの実施形態においては、コロイドシリカは、(メタ)アクリレートモノマー中に分散または懸濁させることができる。この種のシリカナノ粒子の(メタ)アクリレートモノマー懸濁液または分散液は市場で入手可能である。場合によっては、例えば、本明細書に記載する流体状結合剤は、NANOCRYL材料(Evonik Industriesより入手可能)を含むことができる。さらに、非限定的な一例においては、本明細書に記載する流体状結合剤は、(メタ)アクリレートモノマー中に懸濁されたコロイドシリカを、流体状結合剤の総重量を基準として40質量%〜95質量%含む。
本明細書に記載する流体状結合剤の(メタ)アクリレート(すなわちメタクリレートおよび/またはアクリレート)モノマーおよびオリゴマーは、強度および可撓性を付与することができる。この種のモノマーおよびオリゴマーは、Exton,PaのSartomerより入手可能である。
アリルエーテルモノマー/オリゴマーは、物品表面がべたつかないように、表面上の流体状結合剤を酸化させることによって乾燥させることができる。アリルエーテルモノマーは、Swedenに本社を置くPerstorpより入手可能である。アリル官能性を有する好適なオリゴマーはSartomerより入手可能であり、同社は、CN−9101ウレタンアリル官能性オリゴマーを提供している。CTに本社を置くBomar Specialty Chemicalsが提供するBXI−100は、他の好適なアリル官能性オリゴマーであるポリアリルグリシジルエーテルオリゴマーである。
有機ヒドロペルオキシド(存在する場合)は、(メタ)アクリレートモノマーおよびオリゴマーの嫌気性重合ならびにアリル系モノマー/オリゴマーの好気性重合のラジカル開始剤である。好適な有機ヒドロペルオキシドは、LUPEROX CU90として入手可能な(Philadelphia,Paに本社を置くArkemaから)クメンヒドロペルオキシドである。遷移金属触媒は、有機ヒドロペルオキシドの分解を誘発することによって、後続の反応のためのフリーラジカルを提供すると共に、表面上の酸素の吸収を触媒するものである。幾つかの実施形態に使用するのに適した他の有機ヒドロペルオキシドは、T−HYDROとして入手可能な(Houston Texに本社を置くLyondell Chemical Companyから)tert−ブチルヒドロペルオキシドである。
同様に、ラジカル光開始剤(存在する場合)は、(メタ)アクリレートモノマーおよびオリゴマーならびにアリル系モノマー/オリゴマーの重合のラジカル開始剤である。本発明の目的に反しない任意の光開始剤を使用することができる。幾つかの実施形態においては、好適な光開始剤は、フリーラジカルを生成する、α開裂型(単分子分解過程)光開始剤または水素引き抜き型光増感剤−3級アミン相乗剤(好ましくは、約250nm〜約400nmの間または約300nm〜約365nmの間の光を吸収するように作用することができる)である。
α開裂型光開始剤の例は、Irgacure 184(CAS 947−19−3)、Irgacure 369(CAS 119313−12−1)およびIrgacure 819(CAS 162881−26−7)である。光増感剤−アミンの組合せの例は、Darocur BP(CAS 119−61−9)およびメタクリル酸ジ(エチルアミノエチル)である。
幾つかの実施形態においては、好適な光開始剤は、ベンゾイン類(ベンゾイン、ベンゾインエーテル(ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等)、ベンゾインアセタート等)、アセトフェノン類(アセトフェノン、2,2−ジメトキシアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等)、ベンジル、ベンジルケタール類(ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等)、アントラキノン類(2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン等)、トリフェニルホスフィン、ベンゾイルホスフィンオキシド(例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(Lucirin TPO))、ベンゾフェノン類(ベンゾフェノン、4,4’−ビス(N,N’−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等)、チオキサントン類およびキサントン類、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、キノキサリン誘導体または1−フェニル−1,2−プロパンジオン、2−O−ベンゾイルオキシム、1−アミノフェニルケトンまたは1−ヒドロキシフェニルケトン(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、フェニル1−ヒドロキシイソプロピルケトン、4−イソプロピルフェニル1−ヒドロキシイソプロピルケトン等)を含む。
幾つかの実施形態においては、好適な光開始剤は、HeCdレーザー光源を併用することによって機能させることができるものを含み、アセトフェノン類、好都合には、2,2−ジアルコキシベンゾフェノンおよび1−ヒドロキシフェニルケトン、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンまたは2−ヒドロキシイソプロピルフェニルケトン(2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルアセトフェノン)が挙げられる。さらに、幾つかの実施形態においては、好適な光開始剤は、Arレーザー光源を併用することによって機能させることができるものを含み、ベンジルジメチルケタール等のベンジルケタール類が挙げられる。幾つかの実施形態においては、光開始剤は、α−ヒドロキシフェニルケトン、ベンジルジメチルケタールまたは2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドまたはこれらの混合物を含む。
好適な光開始剤の他の種類は、化学放射線を吸収して、重合を開始させるフリーラジカルを生成することができる、イオン性色素−対イオンの化合物を含む。幾つかの実施形態においては、イオン性色素−対イオン化合物を含む組成物は、約400nm〜約700nmの調整可能な波長範囲内の可視光でより調節可能に硬化させることができる。イオン性色素−対イオン化合物およびこれらの作用様式は、欧州特許出願公開第0223587A号明細書ならびに米国特許第4,751,102号明細書、米国特許第4,772,530号明細書および米国特許第4,772,541号明細書に開示されている。
光開始剤は、流体状結合剤中に、本発明の目的に反しない任意の量で存在させることができる。幾つかの実施形態においては、光開始剤は、流体状結合剤中に、流体状結合剤の総重量を基準として約1重量パーセントまでの量で存在する。幾つかの実施形態においては、光開始剤は、流体状結合剤の総重量を基準として約0.01重量パーセント〜約1重量パーセントまたは約0.1重量パーセント〜約0.2重量パーセントの範囲の量で存在する。
さらに、幾つかの実施形態においては、本明細書に記載する光開始剤の量および/もしくは種類(identity)ならびに/または光開始剤と一緒に使用される電磁放射線の量および種類は、光開始剤に直接照射することによって開始される重合の程度と、光開始剤が粒子状材料の遷移金属触媒と協同的に作用することによって開始される重合の程度とを比較して、その重合の程度を制御(例えば、制限するかまたは最小限に抑える)するように選択される。例えば、幾つかの実施形態においては、UV照射を比較的短時間(3秒以下等)で行うことができる。他の実施形態においては、活性放射線または開始放射線の供給源として、一部のUV光源よりもパワーの低い発光デバイス(LED)を使用することができる。
界面活性剤は、3D印刷用の流体状結合剤に配合するのに好ましい添加剤であり、粒子状材料に対する流体状結合剤の接触角が25°未満になるように(しかしながら、0°ではないとしても、好ましくは0°により近くなるように)結合剤の表面張力を低下させて、結合剤の表面張力が粒子状材料の臨界表面張力以下になるようにするために使用される。こうすることにより、流体状結合剤が、(i)粒子状材料上に印刷された領域が分離した位置に亀裂を生じさせたり、(ii)流体状結合剤が粒子状材料表面に着液した位置で丸まってしまう原因となり得る大きな毛管圧を生じさせることなく、粒子状材料を完全に濡らすことが可能になる。これらの事象はいずれも、印刷された物品の平坦な底面に表面欠陥を生じさせる原因となり得る。
図10aおよび図10bを参照すると、レーザー式表面粗さ計で物品の平坦な底面を解像度50ミクロンでx軸およびy軸方向に走査することによる、流体状結合剤配合物の効果が図示されている。図10aは、濡れ挙動が良好な例を示したものであり、接触角が25°未満であり、結合剤の表面張力が粒子状材料の臨界表面張力以下であり、結合剤が粒子状材料を滑らかに濡らしている。例えば、粒子状材料の臨界表面張力は20dynes/cm(2×10−4N/cm)を超えることができる。図10bは、濡れ挙動が不十分な例を示したものであり、接触角が25°を超え、結合剤の表面張力が粒子状材料の臨界表面張力を超え、結合剤が粒子状材料を不均一に濡らし、亀裂が生じている。
好適な界面活性剤は、BYK UV 3500(Hartford,Connに本社を置くBYK Chemieから)として入手可能なポリエーテル変性アクリル官能性ポリジメチルシロキサン界面活性剤である。この界面活性剤は、基板に滑らかな仕上がりを確保するためにUV硬化性コーティングに慣用されている湿潤剤であり、流体配合物中に0.05質量%を使用すると、表面張力が約25±1dynes/cm(2.5±0.1×10−4N/cm)に低下する。他の好適な界面活性剤としては、ZONYL界面活性剤(DuPontより入手可能)等のフッ素化界面活性剤を挙げることができ、これは流体状結合剤の表面張力を20dynes/cm(2×10−4N/cm)まで低下させることができる。
本発明の様々な実施形態の流体配合物は、「ネジの緩み止め」として一般に知られているLOCTITE 290(Rocky Hill,Connに本社を置くLoctiteから)等の嫌気性接着剤配合物に幾分類似しており、これは1957年にHartford,Connに本社を置くAmerican Sealants Companyに譲受された、Kriebleによる米国特許第2,895,950号明細書に開示されている(当該明細書全体を本明細書を構成するものとしてここに援用する)。アリルエーテルを使用している好気性硬化型配合物も当該技術分野において知られており、Dymax Corporationに譲受されたCantorらによる米国特許第5,703,138号明細書に記載されている(当該明細書全体を本明細書を構成するものとしてここに援用する)。Santa Clara,Califに本社を置くFUJIFILM Dimatixにより発行されたアプリケーションノートには、同社のピエゾ式吐出アセンブリの1種を用いて接着剤を正確に基板に送液するために、LOCTITE 290接着剤を応用することについて記載されている。しかしながら、これらの配合物は界面活性剤を含有していない。これらの参考文献に記載されている流体接着剤製品は、本発明の様々な実施形態に記載したように、粒子状材料に適用した場合に適切な濡れを得るために必要な適切な表面張力を有しているものではない。これらの材料は、25°を下回る接触角が達成されるように、表面張力が、適用される基板の表面張力よりも低くなるように意図的に設計されたものではない。このことは、次に示す粒子状配合物(表8)および結合剤配合物(表9および表10)を用いたWashburn法により実証することができる。
Figure 0006384976
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表11を参照すると、LOCTITE 290は粒子状材料配合物上における接触角が高く、この製品を3D印刷において粒子状材料上に適用しても適切に濡れないであろうことを示唆しており、図10bに示した欠陥に類似した欠陥を有する粗く不均一な底面を有する物品を生成するであろうことを示唆している。接触角が25°未満になり(0°ではないとしても0°により近くなるように)、表面張力が少なくとも25dynes/cm(2.5×10−4N/cm)に低下するように適切に配合された流体状結合剤は、粉末全体を適切に濡らし、その結果として、図10aに示すように、縁部のめくれがより少ない滑らかな底面が得られるであろう。
界面活性剤は、例えば、Tanabeに付与された米国特許第6,433,038号明細書に記載されているように、光硬化型インクジェット用流体配合物に使用することもでき、界面活性剤は、開示されているインクジェット用流体配合物中に含まれる染料および顔料を安定化させるために使用されている。Huoらは、国際特許出願第PCT/US2005/025074号明細書に、非多孔性プラスチック基板上における流体の濡れ性を改善するため、および吐出時のDODデバイスのノズルにおいてメニスカスがより速やかに再形成されるように流体の動的表面張力を制御するために、界面活性剤を使用することを開示している。これらの配合物は、本明細書に開示するように、粒子状材料上に適用された流体によって生ずる毛管圧を低下させることを目的として界面活性剤を使用しているわけではない。
表12に列挙する他の例示的な配合物は、表7に開示した粒子状配合物よりも低い臨界表面張力を有する粒子状粉末配合物である。図11は、粘着性付与剤である加工助剤を含む粒子状材料のZismanプロットを示すものである。流体状結合剤の表面張力は、実質的に粒子状材料の臨界表面張力であり、したがって、接触角は0°になる。臨界表面張力が結合剤の表面張力よりも2dynes/cm(0.2×10−4N/cm)低い場合は接触角が0°を超える可能性があるが、おそらく25°未満となる。この接触角の上限は、式2から、固体の臨界表面張力を流体の表面張力で除することによって推定することができる。どちらも表12に列挙した粒子状材料に対する流体状結合剤の接触角をWashburn法により求めたところ、平均cosθ値は1.02±0.05(99%信頼度)であり、その結果として接触角は0°〜14°(このcosθ値の99%信頼区間幅)となる。この流体状結合剤を表12に開示した粒子状材料に適用した場合、流体状結合剤が粒子状材料を適切に濡らし、図10aに例示したように滑らかな仕上がりの底部が得られる。
Figure 0006384976
キット
キットは、上述の実質的に乾燥した粒子状材料および流体状結合剤の様々な組合せを含むことができる。例えば、キットは、(i)不溶性フィラー、可溶性フィラーおよび遷移金属触媒を含む実質的に乾燥した粒子状材料と、(ii)(メタ)アクリレートモノマーと、アリルエーテル官能性モノマーまたはアリルエーテル官能性オリゴマーの少なくとも1種と、有機ヒドロペルオキシドとを含む流体状結合剤とを含むことができる。あるいは、流体状結合剤の有機ヒドロペルオキシドを、本明細書に記載した光開始剤に置き換えることができる。
本発明の流体状結合剤は、粒子状材料に対する接触角を25°未満とすることができる。一実施形態において、流体状結合剤は、(メタ)アクリレートモノマーを約40質量%〜95質量%と、アリルエーテル官能性モノマー/オリゴマーを約5質量%〜25質量%と、有機ヒドロペルオキシドを約0.5質量%〜5質量%とを含むことができる。他の実施形態においては、流体状結合剤は、(メタ)アクリレートモノマーを約40%〜95質量%と、アリルエーテル官能性モノマー/オリゴマーを約5〜25質量%と、光開始剤を約0.01〜1質量%とを含むことができる。流体状結合剤は、界面活性剤を0質量%〜1質量%も含むことができる。流体状結合剤は、(メタ)アクリレートオリゴマーを、例えば約10質量%〜40質量%含むことができる。流体状結合剤はまた、ジメチルアセトアセトアミド等の第1促進剤を、例えば約2質量%まで含むことができる。さらに、流体状結合剤は、コロイドシリカを含むことができる。一実施形態においては、流体状結合剤は、(メタ)アクリレートモノマー中に懸濁されたコロイドシリカを、流体状結合剤の総重量を基準として40質量%〜95質量%を含む。
実質的に乾燥した本発明の粒子状材料に本発明の流体状結合剤を適用した際の1mm貫入硬化速度は、例えば、0.01/分〜1.0/分とすることができる。乾燥粒子状材料は、顔料および/または加工助剤を含むことができる。
印刷方法
物品は、流体状結合剤を粒子状材料上に選択的に印刷することによって画定することができる。幾つかの実施形態においては、流体状結合剤は、(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリレートオリゴマー、アリルエーテル官能性モノマーおよび/またはオリゴマーと、有機ヒドロペルオキシドと、場合により第1促進剤とを含む。他の実施形態においては、流体状結合剤は、(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリレートオリゴマー、アリルエーテル官能性モノマーおよび/またはオリゴマーと、光開始剤と、場合により第1促進剤とを含む。さらなる他の実施形態においては、流体状結合剤は、コロイドシリカを含む。例えば、一実施形態においては、流体状結合剤は、(メタ)アクリレートモノマー中に懸濁されたコロイドシリカを、流体状結合剤の総重量を基準として40質量%〜95質量%を含む。粒子層上に堆積される結合剤の量は、予め定められた層厚さを50〜175ミクロン、より好ましくは75〜125ミクロンとして、選択的に印刷された領域の体積の20%〜35%の範囲になる量とすることができる。粒子状材料は、遷移金属触媒と、可溶性フィラー、不溶性フィラー、顔料、第2促進剤および加工助剤のうちの少なくとも1種とを含有する複数の隣接する粒子を含む。幾つかの実施形態においては、遷移金属触媒は、有機ヒドロペルオキシドの分解を誘発してフリーラジカルを生成する。フリーラジカルは、(メタ)アクリレートモノマーおよびオリゴマーの嫌気性重合ならびにアリルエーテル官能性モノマー/オリゴマーの好気性重合を開始させる。別法として、他の実施形態においては、光開始剤および遷移金属触媒は、開始放射線または活性放射線の存在下に協同的に作用して、フリーラジカルを生成することができる。この種の実施形態においては、フリーラジカルは、(メタ)アクリレートモノマーおよびオリゴマーの重合ならびにアリルエーテル官能性モノマー/オリゴマーの重合を開始させることができる。
物品の重合すなわち硬化を完了させるには、物品の全ての層を印刷し終えて固体物品を形成してから硬化が完了するまでに約30分間〜約6時間を要する可能性がある。従来のUV硬化プロセスにおいては、硬化は実質的に即時に起こるため、印刷された物品は、印刷が完了したら直ぐに印刷装置から取り出すことができる。
驚くべきことに、光開始剤を含む流体状結合剤を、十分にゆっくりとした硬化速度を得るために使用できることをここに見出したので、本明細書に記載する。
硬化速度を低下させたプロセスを採用した本発明の幾つかの実施形態においては、使用者は、通常、物品が印刷されてから物品が印刷装置から取り出されるまで、上に示した時間待機する。物品を約40℃〜約100℃の範囲で加熱することによって、物品表面の好気性硬化を加速させることができる。熱は、対流、伝導、赤外線、マイクロ波放射、電波放射または他の任意の好適な方法により供給することができる。
1種の光硬化性結合剤(本発明によらない)および本発明による実施形態の硬化速度は、流体状結合剤および粒子状材料からなる混合物の塊(mass mixture)の表面に、0.5インチの球体プローブを1mmの深さまで貫入させるために必要な力を測定することによって硬化速度を比較することにより例示することができる。この種の1mm貫入硬化速度試験は、P/0.5Sステンレス鋼製球体プローブを備えるTexture Analyzer TA−XT2i(United Kingdomに本社を置くStable Micro Systemから)を用いて実施することができる。この試験に用いる粒子状材料系を次の表13に列挙する。
Figure 0006384976
この試験に使用する結合剤の配合を表14に示す。
Figure 0006384976
表15に列挙する混合物(総量24〜26グラム)を調製し、直径40mm、深さ11mmのポリプロピレン皿に装入した。それぞれポリプロピレン皿を完全に満たすのに十分な混合物(通常は約18〜20グラム)を使用した。
Figure 0006384976
ポリプロピレン皿に入れた混合物に球体プローブを1mm貫入させる力を測定することにより硬度の発現を15分間隔で測定した。光硬化型の例の場合は、ポリプロピレン皿内の混合物を、RC250B Flash Curing unit(Wilmington,Massに本社を置くXENON Corporationから)を用いて紫外光に30秒間露光した(365nm〜425nmのUVエネルギーの照射量は4J/cmと推定される)。光硬化型の例の硬度発現は、30秒後の貫入力をプロットしたものである。図12は、典型的な、すなわち粒子状材料Aと流体状結合剤1との混合物の発現に関する測定結果をまとめたものである。力の自然対数をとり、力が一定になる前の変換データの傾きから硬化速度を求める。図13は、図12に示す、測定した力の時間に対するプロットを自然対数に変換したプロットである。硬度の発現は式(5)で模式化することができる:
Figure 0006384976
ここで、F0は、時間=0で測定されるであろう初期の貫入力であり、mは、硬度速度(hardness rate)であり、tは、時間である。表16に、収集したデータから求めた硬度発現速度を列挙する。
Figure 0006384976
光硬化型の例(本発明によらない)の硬度発現速度が本発明の実施形態の1000倍のオーダーであることが分かる。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、この硬度速度(hardness rate)は(メタ)アクリレートモノマーの二重結合の転化速度が関与していると考えられる。重合が進行するにつれて他のモノマーと一緒に炭素−炭素二重結合が炭素−炭素単結合に転化すると、流体状結合剤中の自由体積の量が低下する。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、本発明によらない何らかの光硬化型流体状結合剤は、紫外光に露光されるとモノマーが即座にポリマーに変換して即座に収縮が起こり、選択的に印刷された領域を造形床の面から剥がれてめくれや反りを生じさせ、ここに後続の層を拡散させると、選択的に印刷された領域が引きずられて移動してしまう。本明細書に記載する幾つかの実施形態の硬化速度(光開始剤を含む実施形態を含む)がより遅いことは、この転化速度がより遅いことが関与しており、この場合は、選択的に印刷された領域に、造形床の面から剥がれるめくれや反りといった即時の歪みが起こらず、後続の層を印刷しても物品上の特徴的要素が引きずられたり変形することがない。好ましくは、1mm貫入硬化速度は、0.01/分〜1.0/分の間にある。
本明細書に記載する一実施形態の強度の発現も同様に、先に記載した40mmスパンで2点支持した厚さ5mm、幅5.7mm、長さ50mmの棒状体の3点曲げ強度をTexture Analyzerを用いて測定することによって評価することができる。40mmスパンの中央に力を印加した場合に試験片を破壊する力を用いて曲げ強度の推定値を算出することができる。本明細書に記載する幾つかの実施形態は、通常、造形床内で物品の最終層の印刷が完了してから60分後には曲げ強度が約10〜20MPaとなり、120分後には約15〜25MPa超となることができる。この強度の大部分は物品内で起こる嫌気性の強度発現を表しており、一方、物品の表面から200ミクロン以内で起こる好気性硬化は依然としてゆっくりとした速度で継続している。物品表面は60分の時点では粘着性を示すが、耐久性を有し、取り扱い可能な強度を有することができる。
図14に、図15に示す試験片1500を用いて測定した好気性硬化の典型的な結果を示す。試験片上の壁部が5mm離れた試験片の底面に触れる点まで垂れ下がった場合は硬化が全く起こっていない。壁部がクリープして下方に垂れ下がるが、試験片の底面には触れなかった場合は部分的な硬化が起こっている。造形床から取り出しても壁部が水平なまま維持されていた場合は完全に硬化している。この試験から、壁の厚さが0.4mm以下である物品は、造形床から取り出すのに十分な強度を発現させる、好気性硬化に十分な時間が4時間後となるであろうことが求められた。表17に列挙する粒子状材料および流体状結合剤配合物をこの試験に使用した。
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ペルオキシドによる反応を開始する材料系の嫌気性および好気性反応機構
(メタ)アクリレート官能基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーと、アリル官能基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーと、有機ヒドロペルオキシドとを含む流体状結合剤が、3D印刷に適した本明細書に記載する粒子状材料中に存在する遷移金属触媒と接触すると、有機ヒドロペルオキシドが分解してラジカル重合を開始する。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、この接触の時点で2種類の反応機構:嫌気性重合および好気性重合が関与する可能性があると考えられる。
嫌気性重合は、創成された3D物品の内部、例えば、印刷された物品の表面から約0.2mmを超える深さの酸素が存在しない場所で起こる。好気性重合は、表面および酸素が拡散可能な深さで起こる。
ラジカル重合の簡素化した反応機構は次に示す段階で表すことができる:
Figure 0006384976
嫌気性ラジカル生成は、酸化も還元も可能な原子価を有するコバルト等の遷移金属によりヒドロペルオキシドが分解されることによって起こると考えられている。これは次の機構で表すことができる:
Co2+ + ROOH → Co3+ + RO + OH
酸化されたCo3+イオンは、次いで、
Co3+ + ROOH → Co2+ + ROO + H
および/または
Co3+ + OH → Co2+OH
によりCo2+に還元されることができる。
RO、ROOおよびOHは、モノマーまたはオリゴマー種と反応して重合を開始させることができるラジカル種である。ROおよびOHラジカルは、(メタ)アクリレート官能性モノマーおよびオリゴマーを用いる嫌気性条件下でより効果的に機能する。酸素はこれらのラジカル種と反応して弱いラジカルを形成し得るか、または酸素を使用する機能を果たすラジカル禁止剤によって捕捉することができる。最も一般的な種類の禁止剤はヒドロキノンをベースとするものである。嫌気性重合は停止するまで嫌気性条件下で生長を続ける。
同じく特定の理論に束縛されることを望むものではないが、コバルト等の遷移金属はまた、表面の酸素吸収を増加させることにより、アリルエーテル官能性モノマーまたはオリゴマーの自動酸化乾燥(好気性硬化)を助けることもできると考えられている。ラジカル中心はアリル水素の位置で生成し、ここで水素は有機ヒドロペルオキシド由来のラジカル種により引き抜かれるか;またはコバルトの助力により、アリル水素が酸素により引き抜かれる。ここでアリル基のラジカル中心は、さらに酸素と反応することによって、ペルオキシドラジカルを生成する。ペルオキシドラジカル種は、(メタ)アクリレート官能基または他のアリル基の二重結合に付加するか、他のラジカルと一緒に停止するか、またはモノマー、オリゴマーもしくは生長ポリマーからさらに水素原子を引き抜くことができる。アリルエーテルによる、またはアリルエーテルからの水素原子の引き抜きが伝搬する確率は、ペルオキシラジカルの停止よりも高い。それは、これらが、存在する他の引き抜き可能な水素と一緒に容易に再生することができ、しかも(メタ)アクリレートおよびアリル官能性モノマーおよびオリゴマーをベースとする配合物中に豊富に存在するためである。この好気性機構は嫌気性機構よりもはるかにゆっくりと進行する。
この好気性機構の結果として、粘着性のない表面を形成する、高度に架橋したポリマー網が得られる。
コバルトを用いたヒドロペルオキシドの分解機構に関する背景情報は、Handbook of Adhesive Technology,Pizzi,A.and Mittal,K.L.,Marcel Dekker,Inc.,2003に記載されており、アリル重合の機構に関しては、「Polyallyl Glycidyl Ether Resins for Very Fast Curing High Performance Coatings」,Presented by Knapczyk,J.,65th Annual Meeting of the Federation of Societies for Coatings Technology,in Dallas,Tex.,on Oct. 6, 1987に記載されている。これらの参考文献の開示内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
特定の理論に束縛されることを望むものではないが、本明細書に記載された光開始剤が有機ヒドロペルオキシドの替わりに使用される場合も、類似のプロセスが起こると考えられている。
造形材料の流動特性
3D印刷装置における造形材料の流動特性の制御に関与する組成を開示した。3つの主要な方法は、液状「加工助剤」の添加、粒度分布の制御および造形材料の摩擦挙動に寄与する固形フィラーの添加である。多くの有望な材料が、過去に、例えば、米国特許出願公開第2005/0003189号明細書に開示されている。当該明細書の開示内容全体を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。3D印刷に使用するのに特に適した、乾燥粒子状造形材料の幾つかの機械特性を、特に、原料に特殊な流動特性が求められていない他の用途に用いられる類似の材料を含む他の配合物と対照させて、次の検討で開示する。
粒子状材料の3D印刷適合性を定量化するために用いることができる方法には、内側の寸法6.1インチ(15.5cm)、内側の高さ6.2インチ(15.7cm)の金属製の円筒に、嵩体積1リットルの粒子状材料を装入し、円筒に半透明の蓋をして側面を横にして寝かせ(すなわち、円筒の高さ方向を水平にする)、粉末の高さが2.5〜3.0インチ(6.4〜7.6cm)になるようにすることを含む。次いでこの円筒を回転速度2.5回転/分±0.5回転/分でゆっくりと、粉末が自身の上に崩れ落ちる角度まで転がす。円筒が回転した距離sを記録し、式6から角度Φを求めることができる:
Figure 0006384976
ここで、rは、円筒の外周の半径と等しくなる。角度Φは、温度が65〜75°Fの特定の試験条件下における粒子状材料の内部摩擦角である。拡散特性が良好なこと、および拡散特性に劣ることが知られている様々な粒子状材料を、この試験方法を用いて比較し、内部摩擦角の望ましい範囲を求めた。表18に、測定に付した粒子状材料の組成をまとめる。図16は、結果をまとめてグラフに表したものである。
Figure 0006384976
表18および図16に示した結果に基づき、40°を超え、かつ70°未満の内部摩擦角を有する粉体が3D印刷に適していると結論づけることができる。
図17aおよび図17bは、表面の仕上がりをVIKINGレーザー式表面粗さ計(Solariusから)で走査して比較したものである。内部摩擦角が40°〜70°の間にある粒子状材料(図17a)を用いると、70°を超える内部摩擦角を有する粒子状材料(図17b)よりも滑らかな仕上がりとなり、粉末の凝集力が高過ぎて粒子状材料の層を均等に拡散できない場合は、結果として、表面の仕上がりが非常に粗く不均一な物品となる。図17cは、図17aおよび図17bに示した形成部品のCAD図面である。
図18aおよび図18bは、表面の仕上がりをVIKINGレーザー式表面粗さ計(Solariusから)で走査して比較したものである。内部摩擦角が40°〜70°の間にある粒子状材料(図18a)を用いると、40°未満の内部摩擦角を有する粒子状材料(図18b)よりも滑らかな仕上がりとなり、粉末の流動性が高過ぎて拡散力に抵抗することができない場合は、先に印刷された層がずれてしまい、表面の仕上がりが粗く不均一な物品となるか、あるいはそれどころか、物品の表面からずれた加工部分が喪失してしまう。図18cは、図18aおよび図18bに示した形成部品のCAD図面である。
この試験は、異なる有望材料の相対的な性能特性を確認するためにかなり有用な技法である。最初の選択段階の後に本格的に最適化を行う際に、有望な造形材料の流動特性を評価するための好ましい方法は、3次元印刷装置を操作して各材料の試験片を試験することである。問題が起こりやすい(pathological)特定の形状が当該技術分野の熟練者に知られており、これらを定性的または定量的な評価に用いることができる。拡散時の安定性を観察するために特に有用な部品の1種は、造形時には下方を向いている複数の杭を点在させた平板である。印刷中、最も早く位置を割り当てられる層は、一連の互いに分離した小区画であり、これらは造形材料内で比較的自由に位置を変える。これらが形成された後、全部の杭を一つに結合して単一の物体にする板が印刷される。この杭が均一かつ直線状であるか否かを容易に検査することができ、これに基づき拡散の品質を評価することができる。
本明細書に列挙した全ての組成およびパラメータは、本発明の方法および材料が使用される具体的な用途に依存する実際の組成およびパラメータの例示であることを意味することを当業者は容易に理解するであろう。したがって、上述の実施形態は例示のみを目的として提示したものであり、本発明は、具体的に記載したもの以外にも、特許請求の範囲およびその均等物の範囲内で実施することができることを理解すべきである。

Claims (14)

  1. 可溶性フィラー、
    不溶性フィラー、および
    遷移金属触媒
    を含む燥した粒子状材料と、
    (メタ)アクリレートモノマー、
    アリルエーテル官能性モノマーまたはアリルエーテル官能性オリゴマーのうちの少なくとも1種、および
    光開始剤
    を含む流体状結合剤と
    を含むキットにおいて、前記不溶性フィラーが前記流体状結合剤に不溶であり、前記可溶性フィラーが前記流体状結合剤に可溶であり、前記光開始剤が前記流体状結合剤中に.01質量%〜質量%の量で存在し、前記粒子状材料が前記不溶性フィラーを50質量%〜90質量%含むことを特徴とする、キット。
  2. 前記流体状結合剤が、前記(メタ)アクリレートモノマーを0質量%〜90質量%および前記アリルエーテル官能性モノマー/オリゴマーを質量%〜25質量%含むことを特徴とする、請求項1に記載のキット。
  3. 前記流体状結合剤がコロイドシリカを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のキット。
  4. 前記コロイドシリカが前記(メタ)アクリレートモノマー中に懸濁されていることを特徴とする、請求項3に記載のキット。
  5. 前記流体状結合剤が、前記(メタ)アクリレートモノマー中に懸濁された前記コロイドシリカを0質量%〜90質量%含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のキット。
  6. 前記流体状結合剤が、前記(メタ)アクリレートオリゴマーを0質量%〜40質量%含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のキット。
  7. 前記乾燥した粒子状材料が、複数の層から構成される物品を形成するための3次元印刷に使用するのに好適であり、前記層が、前記粒子状材料と、3次元印刷時に前記粒子状材料に接触する前記流体状結合剤との反応生成物を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のキット。
  8. 前記粒子状材料の内部摩擦角の値が40°〜70°の範囲にあることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のキット。
  9. 前記粒子状材料の臨界表面張力が20dynes/cm(2×10−4N/cm)を超えることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のキット。
  10. 前記可溶性フィラーが、メタクリル酸メチルポリマー、メタクリル酸エチルポリマー、メタクリル酸ブチルポリマー、ポリビニルブチラールおよびこれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のキット。
  11. 前記不溶性フィラーが、中実ガラス球、中空ガラス球、中実セラミック球、中空セラミック球、馬鈴薯デンプン、板状アルミナ、硫酸カルシウム0.5水和物、硫酸カルシウム脱水物、炭酸カルシウム、超高分子量ポリエチレン、ポリアミド、ポリ環状オレフィン、ポリウレタン、ポリプロピレンおよびこれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のキット。
  12. 前記遷移金属触媒は、オクチル酸コバルト(II)、ナフテン酸コバルト(II)、オクチル酸バナジウム(II)、ナフテン酸マンガンおよびこれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のキット。
  13. 前記粒子状材料が、加工助剤を.01質量%〜2.0質量%を含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載のキット。
  14. 前記加工助剤が、ミネラルオイル、ジ(カプリル酸/カプリン酸)プロピレングリコール、ワセリン、プロピレングリコール、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジイソノニル、ポリアルキレンオキシド変性ヘプタメチルトリシロキサン、ポリアルキレンオキシド変性ポリジメチルシロキサン、エトキシ化2級アルコール炭化水素、水素添加炭化水素樹脂、ポリジメチルシリコーン、ポリα−オレフィンおよびこれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする、請求項13に記載のキット。
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