JP6364788B2 - 感光性樹脂組成物及びそれを用いたパターン硬化膜の製造方法 - Google Patents
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Description
上記感光性ポリイミドの現像には有機溶剤が用いられてきたが、最近では、環境やコストの観点からアルカリ水溶液で現像できるポジ型の感光性樹脂も用いられている。また、低誘電率化の観点から感光性ポリイミドとともに感光性ポリベンゾオキサゾールが用いられている。
この350℃前後の高温は、基板に悪影響を与えるおそれがある。そこで、最近は熱履歴に由来する不良回避のため、半導体製造プロセスにおける処理温度の低温化が検討されている。この低温化を実現するためには、表面保護膜でも、280℃以下の低温で脱水閉環ができる材料が不可欠となる。しかしながら、熱拡散炉を用い温度を下げて脱水閉環する場合は、一般的に膜の物性は低下する。
上記問題を解決するために、感光性樹脂組成物と銅との反応を抑制する化合物を添加することが知られているが(例えば特許文献1、2)、添加量が多いと銅配線との接着性が低下する、銅が変色するという点で改善の余地があった。
本発明によれば、以下の感光性樹脂組成物等が提供される。
1.(a)下記式(I)で表される構造単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体と、
(b)感光剤と、
(c)架橋剤と、
(d)2−メルカプトベンゾオキサゾール又はその誘導体と、
(e)テトラゾール又はその誘導体と、
溶剤と、
を含有する感光性樹脂組成物。
2.前記式(I)におけるUが下記式(UV1)で表される構造を含む基である1に記載の感光性樹脂組成物。
3.前記(e)成分のテトラゾール又はその誘導体が、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−1H−テトラゾール及び5,5’−ビス−1H−テトラゾールから選択される1以上である1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
4.前記(d)成分の含量が(a)ポリベンゾオキサゾール前駆体100質量部に対し0.0003〜0.2質量部である1〜3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
5.さらに(f)熱酸発生剤を含む1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
6.1〜5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜。
7.1〜5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布、乾燥して感光性樹脂膜を形成する工程と、
前記感光性樹脂膜を所定のパターンに露光する工程と、
前記露光後の感光性樹脂膜を現像してパターン樹脂膜を得る現像工程と、
前記パターン樹脂膜を加熱処理してパターン硬化膜を得る加熱処理工程とを含む、
パターン硬化膜の製造方法。
8.前記加熱処理工程における加熱処理温度が280℃以下である7に記載のパターン硬化膜の製造方法。
まず、本発明の感光性樹脂組成物について説明する。
本発明の感光性樹脂組成物は、(a)式(I)で表される構造単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体と、(b)感光剤と、(c)架橋剤と、(d)2−メルカプトベンゾオキサゾール又はその誘導体と、(e)テトラゾール又はその誘導体と、溶剤とを含有する。
[(a)成分:ポリベンゾオキサゾール前駆体]
(a)成分は下記式(I)で表される構造単位を有する前駆体である。前駆体は2種以上を用いることができる。
aは、溶剤への溶解性や保存安定性の観点から、5〜30であることが好ましく、7〜30であることがより好ましく、8〜30であることがさらに好ましい。
具体的なジカルボン酸類としては、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、エチルマロン酸、イソプロピルマロン酸、ジ−n−ブチルマロン酸;スクシン酸、テトラフルオロスクシン酸、メチルスクシン酸、2,2−ジメチルスクシン酸、2,3−ジメチルスクシン酸、ジメチルメチルスクシン酸、グルタル酸、ヘキサフルオログルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3−エチル−3−メチルグルタル酸、アジピン酸、オクタフルオロアジピン酸、3−メチルアジピン酸、オクタフルオロアジピン酸、ピメリン酸、2,2,6,6−テトラメチルピメリン酸、スベリン酸、ドデカフルオロスベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサデカフルオロセバシン酸、1,9−ノナン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ヘンエイコサン二酸、ドコサン二酸、トリコサン二酸、テトラコサン二酸、ペンタコサン二酸、ヘキサコサン二酸、ヘプタコサン二酸、オクタコサン二酸、ノナコサン二酸、トリアコンタン二酸、ヘントリアコンタン二酸、ドトリアコンタン二酸等が挙げられる。
U、Wの2価の基としては、炭素数1〜30の脂肪族鎖状構造を含む基であると好ましく、下記式(UV1)又は(UV2)で表される構造を含む基であるとより好ましい。このような基であると280℃以下での脱水閉環率が高い点で好ましい。また、炭素数7〜30の脂肪族直鎖構造を含む基であると、弾性率が低くかつ破断伸びが高く、より好ましい。
上記の炭素数1〜30の脂肪族鎖状構造を含むジアミン類として、例えば下記式のいずれかで表されるものが挙げられる。
また、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
これらのジアミン類は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
Xで表される2価の基は、芳香族系ジカルボン酸に由来する構造であると好ましく、そのような原料芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジカルボキシテトラフェニルシラン、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(p−カルボキシフェニル)プロパン、5−tert−ブチルイソフタル酸、5−ブロモイソフタル酸、5−フルオロイソフタル酸、5−クロロイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が好ましい。これらの化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アルカリ水溶液とは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、金属水酸化物水溶液及び有機アミン水溶液等のアルカリ性の溶液である。
感光剤とは、光と反応することで、組成物から形成した塗膜における現像液に対する機能を付与するものである。本発明において(b)成分として用いられる感光剤に特に制限はないが、光により酸又はラジカルを発生するものであることが好ましい。
o−キノンジアジドスルホニルクロリド類としては、例えば、ベンゾキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリド、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリド、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリド等が使用できる。
(c)架橋剤は、感光性樹脂組成物を塗布、露光、現像した後に加熱処理する工程において、ポリベンゾオキサゾール前駆体又はポリベンゾオキサゾールと反応して橋架けするか、又は加熱処理する工程において化合物自身が重合する。これによって、比較的低い温度、例えば200℃以下の硬化において懸念される膜の脆さを防ぎ、機械特性や薬品耐性、フラックス耐性を向上させることができる。
2−メルカプトベンゾオキサゾール誘導体としては、2−メルカプトベンゾオキサゾールに水酸基、クロロ基、フルオロ基、アセチル基等の置換基を置換した化合物等が挙げられる。
(d)成分は、(a)成分100質量部に対して0.0003〜0.2質量部含むことが好ましく、0.0003〜0.17質量部含むことがより好ましく、0.0003〜0.16質量部含むことがさらに好ましく、0.0003〜0.10質量部含むことが特に好ましい。
0.0003質量部以上であると金属基板との密着性向上効果が得られやすく、0.16質量部以下であると銅の変色をより抑制することができる。
また、(d)成分は、組成物全体に対して0.0001〜0.05質量%含むことが好ましく、0.0001〜0.04質量%含むことがより好ましい。
0.0001質量%以上であると金属基板との密着性向上効果が得られやすく、0.04質量%以下であると銅の変色をより抑制することができる。
本発明に用いる(e)テトラゾール又はその誘導体としては、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−1H−テトラゾール、5,5’−ビス−1H−テトラゾール等が挙げられる。これらの中でも接着性の観点から、1H−テトラゾール又は5−アミノ−1H−テトラゾールがより好ましい。また、上記に挙げられたものに限定されない。
(e)成分は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに、(f)成分として熱酸発生剤(熱潜在酸発生剤)を使用することができる。熱酸発生剤は、(a)ポリベンゾオキサゾール前駆体のフェノール性水酸基含有ポリアミド構造が脱水反応を起こして環化する際の触媒として効率的に働くため好ましい。また、本発明で用いる約280℃以下での脱水閉環率が高い特定の樹脂に、この熱酸発生剤を併用することにより、脱水環化反応をさらに低温化できる。
これに対して、塩酸、臭素酸、ヨウ素酸や硝酸が発生するような酸発生剤は、発生した酸の酸性度が弱く、さらに加熱により揮発し易いため、ポリベンゾオキサゾール前駆体の環化脱水反応にはほとんど関与しないと考えられる。
溶剤としては、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ベンジル、n−ブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート、3−メチルメトキシプロピオネート、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルアミド、テトラメチレンスルホン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン等が挙げられる。
また、(a)成分100質量部に対して、好ましくは100〜300質量部、より好ましくは150〜200質量部である。
本発明の感光性樹脂組成物において、上記(a)〜(e)成分又は(a)〜(f)成分、及び溶剤に加えて、溶解促進剤、溶解阻害剤、界面活性剤又はレベリング剤等の成分を配合してもよい。
次に、本発明のパターン硬化膜の製造方法について説明する。
本発明のパターン硬化膜の製造方法は、上述した感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥して感光性樹脂膜を形成する感光性樹脂膜形成工程、感光性樹脂膜を所定のパターンに露光する露光工程、露光後の感光性樹脂膜を現像してパターン樹脂膜を得る現像工程、前記パターン樹脂膜を加熱処理してパターン硬化膜を得る加熱処理工程を含み、これらの工程を経てポリベンゾオキサゾールのパターン硬化膜を得ることができる。
以下、各工程について説明する。
まず、本工程では、ガラス基板、半導体、金属酸化物絶縁体(例えばTiO2、SiO2等)、窒化ケイ素等の支持基板上に、本発明の感光性樹脂組成物を、スピンナー等を用いて回転塗布した後、ホットプレートやオーブン等を用いて乾燥する。これにより、感光性樹脂組成物の被膜である感光性樹脂膜が得られる。
次に、露光工程では、支持基板上で被膜となった感光性樹脂膜に、マスクを介して紫外線、可視光線、放射線等の活性光線を照射することにより露光を行う。
現像工程では、活性光線が露光した感光性樹脂膜の露光部を現像液で除去することによりパターン膜が得られる。現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアルカリ水溶液が好ましいものとして挙げられる。
これらの水溶液の塩基濃度は0.1〜10質量%が好ましい。
また、上記現像液にアルコール類や界面活性剤を添加して使用することもできる。これらはそれぞれ、現像液100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部で配合することができる。
次いで、加熱処理工程では、現像後に得られたパターンを加熱処理することにより、ポリオキサゾールのパターンを形成することができる。
加熱処理工程における加熱温度は、通常280℃以下であり、250℃以下が好ましく、230℃以下がより好ましく、220℃以下がさらに好ましい。下限は、120℃以上、又は160℃以上とできる。尚、基材の温度は赤外線やGaAs等の熱電対といった公知の方法で測定する。
次に、本発明のパターンの製造方法の一例として、半導体装置の製造工程を図面に基づいて説明する。図1〜図5は、多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図であり、第1の工程から第5の工程へと一連の工程を表している。
尚、上記例において、層間絶縁膜を本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成することも可能である。
次に、本発明の電子部品について説明する。本発明による電子部品は、上述した感光性樹脂組成物を用いて上記パターンの製造方法によって形成されるパターンを有する。ここで、電子部品としては、半導体装置や多層配線板、各種電子デバイス等を含む。特に、耐熱性の低いMRAM(磁気抵抗メモリ:Magnet Resistive Random Access Memory)が好ましいものとして挙げられる。
撹拌機、温度計を備えた0.2リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン60gを仕込み、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン13.92g(38mmol)を添加し、撹拌溶解した。続いて、温度を0〜5℃に保ちながら、ドデカン二酸ジクロリド8.55g(32mmol)とジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド2.36g(8mmol)をそれぞれ10分間ずつかけて加えた後、室温に戻し3時間撹拌を続けた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収し、これを純水で3回洗浄した後、減圧してポリヒドロキシアミド(ポリベンゾオキサゾール前駆体)を得た(以下、ポリマーP−1とする)。ポリマーP−1のGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は39,500、分散度は1.9であった。ポリマーP−1のA構造単位のモル分率j=80%、B構造単位のモル分率k=20%であった。
重量平均分子量の測定条件は以下の通りである。
測定装置:検出器 株式会社日立製作所社製L4000UV
ポンプ:株式会社日立製作所社製L6000
記録計:株式会社島津製作所社製C−R4A Chromatopac
測定条件:カラム Gelpack GL−S300MDT−5 x2本
溶離液:THF/DMF=1/1 (容積比)
LiBr(0.03mol/L)、H3PO4(0.06mol/L)
合成例1では、ポリマー0.5mgに対して溶媒[THF/DMF=1/1(容積比)]1mLの溶液を用いて測定した。
以下の合成例においても、得られたポリマーについて同様の測定を行い、重量平均分子量を求めた。
測定機器:ブルカー・バイオスピン社製 AV400M
磁場強度:400MHz
基準物質:テトラメチルシラン(TMS)
溶媒:DMSO
撹拌機、温度計を備えた0.2リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン60gを仕込み、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン11.89g(32.4mmol)を添加し、撹拌溶解した。続いて、温度を0〜5℃に保ちながら、ドデカン二酸ジクロリド6.84g(25.6mmol)とジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド2.60g(8.8mmol)をそれぞれ10分間ずつかけて加えた後、室温に戻し3時間撹拌を続けた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収し、これを純水で3回洗浄した後、減圧してポリヒドロキシアミド(ポリベンゾオキサゾール前駆体)を得た(以下、ポリマーP−2とする)。ポリマーP−2のGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は37,800、分散度は1.8であった。また、ポリマーP−2のA構造単位のモル分率j=64.7%、B構造単位のモル分率k=35.3%であった。
撹拌機、温度計を備えた0.2リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン60gを仕込み、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン10.70g(29.2mmol)を添加し、撹拌溶解した。続いて、温度を0〜5℃に保ちながら、ドデカン二酸ジクロリド6.00g(22.4mmol)とジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド2.71g(9.2mmol)をそれぞれ10分間ずつかけて加えた後、室温に戻し3時間撹拌を続けた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収し、これを純水で3回洗浄した後、減圧してポリヒドロキシアミド(ポリベンゾオキサゾール前駆体)を得た(以下、ポリマーP−3とする)。ポリマーP−3のGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は36,600、分散度は1.8であった。また、ポリマーP−3のA構造単位のモル分率j=56.9%、B構造単位のモル分率k=43.1%であった。
撹拌機、温度計を備えた0.2リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン60gを仕込み、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン9.82g(26.8mmol)を添加し、撹拌溶解した。続いて、温度を0〜5℃に保ちながら、ドデカン二酸ジクロリド5.13g(19.2mmol)とジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド2.83g(9.6mmol)をそれぞれ10分間ずつかけて加えた後、室温に戻し3時間撹拌を続けた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収し、これを純水で3回洗浄した後、減圧してポリヒドロキシアミド(ポリベンゾオキサゾール前駆体)を得た(以下、ポリマーP−4とする)。ポリマーP−4のGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は34,800、分散度は1.8であった。また、ポリマーP−4のA構造単位のモル分率j=49.1%、B構造単位のモル分率k=50.9%であった。
撹拌機、温度計を備えた0.2リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン60gを仕込み、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン8.79g(24.0mmol)を添加し、撹拌溶解した。続いて、温度を0〜5℃に保ちながら、ドデカン二酸ジクロリド4.28g(16.0mmol)とジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド2.95g(10.0mmol)をそれぞれ10分間ずつかけて加えた後、室温に戻し3時間撹拌を続けた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収し、これを純水で3回洗浄した後、減圧してポリヒドロキシアミド(ポリベンゾオキサゾール前駆体)を得た(以下、ポリマーP−5とする)。ポリマーP−5のGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は33,000、分散度は1.7であった。また、ポリマーP−5のA構造単位のモル分率j=41.1%、B構造単位のモル分率k=58.9%であった。
表1に示す成分を表1に示す配合量で、γ−ブチロラクトン/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを質量比9:1で混合した溶剤に溶解し、下記に示すシランカップリング剤((g)成分)を(a)成分100質量部に対して2質量部添加して、感光性樹脂組成物を調製した。
E1:1H−テトラゾール
E2:5−アミノ−1H−テトラゾール
E3:ベンゾオキサゾール
(g)成分:H2NCONH(CH2)3Si(OEt)3
(感光特性評価)
感光性樹脂組成物の溶液をシリコンウエハ及び銅ウエハ上にスピンコートして、120℃で3分間加熱し、乾燥膜厚10〜15μmの塗膜を形成し、超高圧水銀灯を光源とし、干渉フィルターを介して100から800mJ/cm2まで10mJ/cm2刻みでi線(365nm)照射量を変化させ、所定のパターンをウエハに照射して露光を行った。露光後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38質量%水溶液にて現像した後、水でリンスしパターン付き樹脂膜をそれぞれ得た。シリコンウエハと銅ウエハを同一露光量で比較し、シリコンウエハで残渣が無い露光量であるにもかかわらず、銅ウエハで露光部に残渣が有る場合を表1で「有り」、残渣が無い場合を「無し」と記載した。
次に、パターン化樹脂膜が作製された銅ウエハを縦型拡散炉μ−TF(光洋サーモシステム社製)を用いて窒素雰囲気下、100℃で1時間加熱した後、さらに200℃で1時間加熱してパターン硬化膜(硬化後膜厚5〜10μm)を得た。開口部で変色が発生したかどうかを金属顕微鏡で確認を行った。
前記感光性樹脂組成物の溶液を銅ウエハ上にスピンコートして、120℃で3分間加熱し、縦型拡散炉μ−TF(光洋サーモシステム社製)を用いて窒素雰囲気下、100℃で1時間加熱した後、さらに200℃で1時間加熱して硬化後膜厚6〜8μmの硬化膜を作製した。
2 保護膜
3 第1導体層
4 層間絶縁膜層
5 感光樹脂層
6A、6B、6C 窓
7 第2導体層
8 表面保護膜層
Claims (8)
- (a)下記式(I)で表される構造単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体と、
(b)感光剤と、
(c)架橋剤と、
(d)2−メルカプトベンゾオキサゾール又はその誘導体と、
(e)テトラゾール又はその誘導体と、
溶剤と、
を含有し、
前記(d)成分の含量が、前記(a)ポリベンゾオキサゾール前駆体100質量部に対し0.0003〜0.16質量部である感光性樹脂組成物。
- 前記(e)成分のテトラゾール又はその誘導体が、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−1H−テトラゾール及び5,5’−ビス−1H−テトラゾールから選択される1以上である請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(d)成分の含量が(a)ポリベンゾオキサゾール前駆体100質量部に対し0.0003〜0.10質量部である請求項1〜3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- さらに(f)熱酸発生剤を含む請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布、乾燥して感光性樹脂膜を形成する工程と、
前記感光性樹脂膜を所定のパターンに露光する工程と、
前記露光後の感光性樹脂膜を現像してパターン樹脂膜を得る現像工程と、
前記パターン樹脂膜を加熱処理してパターン硬化膜を得る加熱処理工程とを含む、
パターン硬化膜の製造方法。 - 前記加熱処理工程における加熱処理温度が280℃以下である請求項7に記載のパターン硬化膜の製造方法。
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