JP6364788B2 - 感光性樹脂組成物及びそれを用いたパターン硬化膜の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、感光性樹脂組成物及びそれを用いたパターン硬化膜の製造方法に関する。
従来、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜には優れた耐熱性と電気特性、機械特性等を併せ持つポリイミド樹脂が用いられている。このポリイミド樹脂膜は、ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)溶液(いわゆるワニス)をスピンコート等で薄膜化して熱的に脱水閉環(硬化)して形成する。
近年、ポリイミド樹脂自身に感光特性を付与した感光性ポリイミドが用いられている。この感光性ポリイミドを用いると、パターン形成工程が簡略化でき、煩雑なパターン製造工程を短縮することができる。
上記感光性ポリイミドの現像には有機溶剤が用いられてきたが、最近では、環境やコストの観点からアルカリ水溶液で現像できるポジ型の感光性樹脂も用いられている。また、低誘電率化の観点から感光性ポリイミドとともに感光性ポリベンゾオキサゾールが用いられている。
従来のポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体を熱的に脱水閉環させてポリイミドやポリベンゾオキサゾールの薄膜を形成する場合、通常、350℃前後の高温を必要とする。
この350℃前後の高温は、基板に悪影響を与えるおそれがある。そこで、最近は熱履歴に由来する不良回避のため、半導体製造プロセスにおける処理温度の低温化が検討されている。この低温化を実現するためには、表面保護膜でも、280℃以下の低温で脱水閉環ができる材料が不可欠となる。しかしながら、熱拡散炉を用い温度を下げて脱水閉環する場合は、一般的に膜の物性は低下する。
ポリベンゾオキサゾール前駆体の脱水閉環温度は、一般的にポリイミド前駆体の脱水閉環温度に比べて高いことが知られている。従って、ポリイミド前駆体を脱水閉環させることよりもポリベンゾオキサゾール前駆体を280℃以下の温度で脱水閉環させることはより困難である。
一方、近年ではWL−PKGの再配線層用途でポリベンゾオキサゾールが使用されるようになり、再配線金属(アルミニウムや銅等)との良好な接着性が求められている。
ところで、銅配線から形成された再配線層上に絶縁膜を形成すると、ポリイミドやポリベンゾオキサゾール等からなる感光性樹脂組成物の露光、現像後に銅上に残渣が発生するという問題があった。これは、銅と感光性樹脂組成物中のカルボキシル基との反応により、本来現像により組成物が除去されるべきパターン部に、残渣が生じるため発生していると考えられる。銅配線上に発生した残渣はエッチング剤やプラズマ処理等では容易に除去できないという問題がある。
上記問題を解決するために、感光性樹脂組成物と銅との反応を抑制する化合物を添加することが知られているが(例えば特許文献1、2)、添加量が多いと銅配線との接着性が低下する、銅が変色するという点で改善の余地があった。
国際公開第2006/104803号パンフレット 特開2008−46258号公報
本発明は、上述の問題点を解消するためになされたものであって、硬化後の膜の物性が高温で硬化したものと遜色ない性能が得られる感光性樹脂組成物と、前記感光性樹脂組成物を用いたパターン硬化膜の製造方法を提供することを目的とする。また、現像後残渣の発生が抑制され、又は無く、銅との良好な接着性を示すことができる感光性樹脂組成物と、前記樹脂組成物を用いたパターン硬化膜の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討した結果、280℃以下でも高い脱水閉環率を有する特定のポリベンゾオキサゾール前駆体と溶媒とを含む感光性樹脂組成物に、テトラゾール又はその誘導体、及び2−メルカプトベンゾオキサゾール又はその誘導体を組み合わせることにより、上記の課題を解決する組成物が得られることを見出した。
本発明によれば、以下の感光性樹脂組成物等が提供される。
1.(a)下記式(I)で表される構造単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体と、
(b)感光剤と、
(c)架橋剤と、
(d)2−メルカプトベンゾオキサゾール又はその誘導体と、
(e)テトラゾール又はその誘導体と、
溶剤と、
を含有する感光性樹脂組成物。
Figure 0006364788
(式(I)中、R及びRは各々独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフッ素化アルキル基であり、aは1〜30の整数である。U及びWは各々独立に単結合又は2価の基であり、Xは2価の基である。j及びkはA構造単位とB構造単位のモル分率であり、j=40〜80モル%、k=20〜60モル%、かつj及びkの和は100モル%である。)
2.前記式(I)におけるUが下記式(UV1)で表される構造を含む基である1に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 0006364788
(式(UV1)中、R及びRは各々独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフッ素化アルキル基であり、a’は1〜30の整数である。)
3.前記(e)成分のテトラゾール又はその誘導体が、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−1H−テトラゾール及び5,5’−ビス−1H−テトラゾールから選択される1以上である1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
4.前記(d)成分の含量が(a)ポリベンゾオキサゾール前駆体100質量部に対し0.0003〜0.2質量部である1〜3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
5.さらに(f)熱酸発生剤を含む1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
6.1〜5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜。
7.1〜5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布、乾燥して感光性樹脂膜を形成する工程と、
前記感光性樹脂膜を所定のパターンに露光する工程と、
前記露光後の感光性樹脂膜を現像してパターン樹脂膜を得る現像工程と、
前記パターン樹脂膜を加熱処理してパターン硬化膜を得る加熱処理工程とを含む、
パターン硬化膜の製造方法。
8.前記加熱処理工程における加熱処理温度が280℃以下である7に記載のパターン硬化膜の製造方法。
本発明の感光性樹脂組成物は、低温で脱水閉環でき、現像後残渣の発生を抑え、かつ基板との接着性に優れるパターンを形成することができる。
本発明の実施の形態による多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図である。 本発明の実施の形態による多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図である。 本発明の実施の形態による多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図である。 本発明の実施の形態による多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図である。 本発明の実施の形態による多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図である。
以下に、本発明の感光性樹脂組成物及び前記樹脂組成物を用いたパターン硬化膜の製造方法の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。
[感光性樹脂組成物]
まず、本発明の感光性樹脂組成物について説明する。
本発明の感光性樹脂組成物は、(a)式(I)で表される構造単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体と、(b)感光剤と、(c)架橋剤と、(d)2−メルカプトベンゾオキサゾール又はその誘導体と、(e)テトラゾール又はその誘導体と、溶剤とを含有する。
以下、感光性樹脂組成物の各成分について説明する。
[(a)成分:ポリベンゾオキサゾール前駆体]
(a)成分は下記式(I)で表される構造単位を有する前駆体である。前駆体は2種以上を用いることができる。
Figure 0006364788
(式(I)中、R及びRは各々独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフッ素化アルキル基であり、aは1〜30の整数である。U及びWは各々独立に単結合又は2価の基であり、Xは2価の基である。j及びkはA構造単位とB構造単位のモル分率であり、j=40〜80モル%、k=20〜60モル%、かつj及びkの和は100モル%である。)
及びRは、各々独立に水素原子又はフッ素原子であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
aは、溶剤への溶解性や保存安定性の観点から、5〜30であることが好ましく、7〜30であることがより好ましく、8〜30であることがさらに好ましい。
式(I)中、R及びRを有する部分(−C(R)(R)−)は、通常、(a)成分の製造に用いるジカルボン酸の残基である。
具体的なジカルボン酸類としては、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、エチルマロン酸、イソプロピルマロン酸、ジ−n−ブチルマロン酸;スクシン酸、テトラフルオロスクシン酸、メチルスクシン酸、2,2−ジメチルスクシン酸、2,3−ジメチルスクシン酸、ジメチルメチルスクシン酸、グルタル酸、ヘキサフルオログルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3−エチル−3−メチルグルタル酸、アジピン酸、オクタフルオロアジピン酸、3−メチルアジピン酸、オクタフルオロアジピン酸、ピメリン酸、2,2,6,6−テトラメチルピメリン酸、スベリン酸、ドデカフルオロスベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサデカフルオロセバシン酸、1,9−ノナン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ヘンエイコサン二酸、ドコサン二酸、トリコサン二酸、テトラコサン二酸、ペンタコサン二酸、ヘキサコサン二酸、ヘプタコサン二酸、オクタコサン二酸、ノナコサン二酸、トリアコンタン二酸、ヘントリアコンタン二酸、ドトリアコンタン二酸等が挙げられる。
上記式(I)中のU及びWについて説明する。
U、Wの2価の基としては、炭素数1〜30の脂肪族鎖状構造を含む基であると好ましく、下記式(UV1)又は(UV2)で表される構造を含む基であるとより好ましい。このような基であると280℃以下での脱水閉環率が高い点で好ましい。また、炭素数7〜30の脂肪族直鎖構造を含む基であると、弾性率が低くかつ破断伸びが高く、より好ましい。
Figure 0006364788
(式(UV1)中、R及びRは各々独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフッ素化アルキル基であり、a’は1〜30の整数である。)
Figure 0006364788
(式(UV2)中、R〜R10は、各々独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフッ素化アルキル基であり、a''、b’、c’は各々独立に1〜6の整数であり、d’は0〜3の整数である。Aは各々独立に−O−、−S−、−SO−、−CO−、−NHCO−、−C(CF−、−C≡C−、又は−R11C=CR12−であり、R11及びR12は、各々独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基である。)
U及びWは、通常、(a)成分の製造に用いるジアミン類の残基である。
上記の炭素数1〜30の脂肪族鎖状構造を含むジアミン類として、例えば下記式のいずれかで表されるものが挙げられる。
Figure 0006364788
(式中、nは1〜6の整数である。)
また、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
炭素数1〜30の脂肪族鎖状構造を含むジアミン類以外のジアミン類であって、上記式(I)中のU及びWを含む構造のジアミン類としては、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン等の上記以外の芳香族系のジアミン類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらのジアミン類は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
次に、上記式(I)中のXについて説明する。
Xで表される2価の基は、芳香族系ジカルボン酸に由来する構造であると好ましく、そのような原料芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジカルボキシテトラフェニルシラン、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(p−カルボキシフェニル)プロパン、5−tert−ブチルイソフタル酸、5−ブロモイソフタル酸、5−フルオロイソフタル酸、5−クロロイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が好ましい。これらの化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、(a)成分は、上記式(I)以外の、ポリベンゾオキサゾール前駆体ではない、ポリアミド構造、ポリベンゾオキサゾール構造、ポリイミド構造及びポリイミド前駆体(ポリアミド酸やポリアミド酸エステル)構造から選択される1以上を、上記式(I)の構造と共に有していてもよい。
(a)成分であるポリベンゾオキサゾール前駆体は、通常、アルカリ水溶液で現像するので、アルカリ水溶液可溶性であることが好ましい。
アルカリ水溶液とは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、金属水酸化物水溶液及び有機アミン水溶液等のアルカリ性の溶液である。
ポリベンゾオキサゾール前駆体、即ち、上記式(I)で表されるヒドロキシ基を含有するアミドユニットは、最終的には硬化時の脱水閉環により、耐熱性、機械特性、電気特性に優れるオキサゾール体に変換される。
(a)成分の分子量は、重量平均分子量で3,000〜200,000が好ましく、5,000〜100,000がより好ましい。分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線より換算して得た値である。
(a)成分は従来公知の方法により製造することができる。例えば、ジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体類(以下、ジカルボン酸類という)と、ジヒドロキシ基を有するジアミン類を用いて合成できる。これら原料は上述したとおりである。式(I)において、U及びWはジアミン類の残基、CRに係る基及びXはジカルボン酸類の残基である。
[(b)成分:感光剤]
感光剤とは、光と反応することで、組成物から形成した塗膜における現像液に対する機能を付与するものである。本発明において(b)成分として用いられる感光剤に特に制限はないが、光により酸又はラジカルを発生するものであることが好ましい。
組成物がポジ型感光性樹脂組成物の場合は、(b)感光剤は、光により酸を発生するもの(光酸発生剤)であることが好ましい。光酸発生剤は、ポジ型感光性樹脂組成物においては、光の照射により酸を発生し、光の照射部のアルカリ水溶液への可溶性を増大させる機能を有するものである。そのような光酸発生剤としてはo−キノンジアジド化合物、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等が挙げられ、この中でもo−キノンジアジド化合物が、感度が高く好ましい。
上記o−キノンジアジド化合物は、例えば、o−キノンジアジドスルホニルクロリド類とヒドロキシ化合物やアミノ化合物等とを脱塩酸剤の存在下で縮合反応させることで得られる。
o−キノンジアジドスルホニルクロリド類としては、例えば、ベンゾキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリド、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリド、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリド等が使用できる。
本発明の感光性樹脂組成物において、(b)感光剤の配合量は、露光部と未露光部の溶解速度差と感度の許容幅の点から、(a)成分100質量部に対して5〜100質量部が好ましく、8〜40質量部がより好ましい。
[(c)成分:架橋剤)]
(c)架橋剤は、感光性樹脂組成物を塗布、露光、現像した後に加熱処理する工程において、ポリベンゾオキサゾール前駆体又はポリベンゾオキサゾールと反応して橋架けするか、又は加熱処理する工程において化合物自身が重合する。これによって、比較的低い温度、例えば200℃以下の硬化において懸念される膜の脆さを防ぎ、機械特性や薬品耐性、フラックス耐性を向上させることができる。
(c)成分は、加熱処理する工程において架橋又は重合する化合物である以外に特に制限はないが、分子内にメチロール基、アルコキシメチル基、エポキシ基又はビニルエーテル基を有する化合物であると好ましい。これらの基がベンゼン環に結合している化合物、又はN位がメチロール基及び/又はアルコキシメチル基で置換されたメラミン樹脂、尿素樹脂が好ましい。また、これらの基がフェノール性水酸基を有するベンゼン環に結合している化合物は、現像する際に露光部の溶解速度を増加して感度を向上できる点でより好ましい。中でも感度とワニスの安定性に優れ、さらにパターン形成後の膜の硬化時に膜の溶融を防ぐことができる点で、分子内に2個以上のメチロール基、アルコキシメチル基を有する化合物がより好ましい。
(c)成分は、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006364788
(式(1)中、Rは各々独立に水素原子又は1価の有機基である。Rは各々独立に水素原子又は1価の有機基であり、互いが結合することで環構造を形成してもよい。)
上記式(1)で表される化合物を(c)成分として用いることにより、本発明の感光性樹脂組成物から得た樹脂膜を220℃以下の低温下においても硬化させることが可能となり、得られる硬化膜は、耐薬品性(溶剤耐性)、フラックス耐性に優れたものとなる。
上記式(1)で表される化合物としては、具体的に、例えば、下記式で表される構造を有する化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの化合物を、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
Figure 0006364788
(式中、Zは各々独立に炭素数1〜10の1価のアルキル基を表し、Rは各々独立に炭素数1〜20の1価のアルキル基を表す。)
本発明の感光性樹脂組成物において、(c)成分の配合量は、現像時間、未露光部残膜率の許容幅、及び硬化膜物性の観点から、(a)成分100質量部に対して1〜50質量部が好ましい。一方、硬化膜の薬品耐性及びフラックス耐性の観点から、10質量部以上とすることが特に好ましい。また、感光特性とのバランスの観点から、10〜30質量部とすることが好ましく、10〜20質量部とすることがさらに好ましい。
[(d)成分:2−メルカプトベンゾオキサゾール又はその誘導体]
2−メルカプトベンゾオキサゾール誘導体としては、2−メルカプトベンゾオキサゾールに水酸基、クロロ基、フルオロ基、アセチル基等の置換基を置換した化合物等が挙げられる。
(d)成分は、(a)成分100質量部に対して0.0003〜0.2質量部含むことが好ましく、0.0003〜0.17質量部含むことがより好ましく、0.0003〜0.16質量部含むことがさらに好ましく、0.0003〜0.10質量部含むことが特に好ましい。
0.0003質量部以上であると金属基板との密着性向上効果が得られやすく、0.16質量部以下であると銅の変色をより抑制することができる。
また、(d)成分は、組成物全体に対して0.0001〜0.05質量%含むことが好ましく、0.0001〜0.04質量%含むことがより好ましい。
0.0001質量%以上であると金属基板との密着性向上効果が得られやすく、0.04質量%以下であると銅の変色をより抑制することができる。
[(e)成分:テトラゾール化合物(誘導体)]
本発明に用いる(e)テトラゾール又はその誘導体としては、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−1H−テトラゾール、5,5’−ビス−1H−テトラゾール等が挙げられる。これらの中でも接着性の観点から、1H−テトラゾール又は5−アミノ−1H−テトラゾールがより好ましい。また、上記に挙げられたものに限定されない。
(e)成分は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
(e)成分の使用量は、(a)成分100質量部に対して、1種類につき通常0.1〜10質量部であり、2種類以上を組み合わせる場合は合計で0.1〜10質量部である。より好ましくは0.2〜5質量部である。0.1質量部未満であると、金属層への密着性の向上効果が低下するおそれや、金属層に対する現像後残渣の抑制ができなくなるおそれがある。10質量部を超えると、それ以上配合しても密着性の大きな向上が見込まれないおそれがある。
[(f)成分:熱酸発生剤]
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに、(f)成分として熱酸発生剤(熱潜在酸発生剤)を使用することができる。熱酸発生剤は、(a)ポリベンゾオキサゾール前駆体のフェノール性水酸基含有ポリアミド構造が脱水反応を起こして環化する際の触媒として効率的に働くため好ましい。また、本発明で用いる約280℃以下での脱水閉環率が高い特定の樹脂に、この熱酸発生剤を併用することにより、脱水環化反応をさらに低温化できる。
熱酸発生剤から発生する酸としては、強酸が好ましく、具体的には、例えば、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸のようなアリールスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸のようなパーフルオロアルキルスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸のようなアルキルスルホン酸等が好ましい。これらの酸は、ポリベンゾオキサゾール前駆体のフェノール性水酸基含有ポリアミド構造が脱水反応を起こして環化する際の触媒として効率的に働く。
これに対して、塩酸、臭素酸、ヨウ素酸や硝酸が発生するような酸発生剤は、発生した酸の酸性度が弱く、さらに加熱により揮発し易いため、ポリベンゾオキサゾール前駆体の環化脱水反応にはほとんど関与しないと考えられる。
これらの酸は、熱酸発生剤として、オニウム塩としての塩や、イミドスルホナートのような共有結合として感光性樹脂組成物に添加される。
(f)成分を用いる場合、その配合量は(a)成分100質量部に対して0.1〜30質量部が好ましく、0.2〜20質量部がより好ましく、0.5〜10質量部がさらに好ましい。
[溶剤]
溶剤としては、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ベンジル、n−ブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート、3−メチルメトキシプロピオネート、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルアミド、テトラメチレンスルホン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン等が挙げられる。
これらの溶剤は単独で又は2種以上を併用して用いることができる。また、使用量は特に制限はないが、一般に組成物中の溶剤の割合が20〜90質量%となるように調整されることが好ましい。
また、(a)成分100質量部に対して、好ましくは100〜300質量部、より好ましくは150〜200質量部である。
本発明の樹脂組成物は、上記(a)〜(e)成分と溶媒、又は上記(a)〜(f)成分と溶媒で、例えば90質量%以上、95質量%以上、又は98質量%以上を占めることができる。
[その他の成分]
本発明の感光性樹脂組成物において、上記(a)〜(e)成分又は(a)〜(f)成分、及び溶剤に加えて、溶解促進剤、溶解阻害剤、界面活性剤又はレベリング剤等の成分を配合してもよい。
[パターン硬化膜の製造方法]
次に、本発明のパターン硬化膜の製造方法について説明する。
本発明のパターン硬化膜の製造方法は、上述した感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥して感光性樹脂膜を形成する感光性樹脂膜形成工程、感光性樹脂膜を所定のパターンに露光する露光工程、露光後の感光性樹脂膜を現像してパターン樹脂膜を得る現像工程、前記パターン樹脂膜を加熱処理してパターン硬化膜を得る加熱処理工程を含み、これらの工程を経てポリベンゾオキサゾールのパターン硬化膜を得ることができる。
以下、各工程について説明する。
(感光性樹脂膜形成工程)
まず、本工程では、ガラス基板、半導体、金属酸化物絶縁体(例えばTiO、SiO等)、窒化ケイ素等の支持基板上に、本発明の感光性樹脂組成物を、スピンナー等を用いて回転塗布した後、ホットプレートやオーブン等を用いて乾燥する。これにより、感光性樹脂組成物の被膜である感光性樹脂膜が得られる。
(露光工程)
次に、露光工程では、支持基板上で被膜となった感光性樹脂膜に、マスクを介して紫外線、可視光線、放射線等の活性光線を照射することにより露光を行う。
(現像工程)
現像工程では、活性光線が露光した感光性樹脂膜の露光部を現像液で除去することによりパターン膜が得られる。現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアルカリ水溶液が好ましいものとして挙げられる。
これらの水溶液の塩基濃度は0.1〜10質量%が好ましい。
また、上記現像液にアルコール類や界面活性剤を添加して使用することもできる。これらはそれぞれ、現像液100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部で配合することができる。
(加熱処理工程)
次いで、加熱処理工程では、現像後に得られたパターンを加熱処理することにより、ポリオキサゾールのパターンを形成することができる。
加熱処理工程における加熱温度は、通常280℃以下であり、250℃以下が好ましく、230℃以下がより好ましく、220℃以下がさらに好ましい。下限は、120℃以上、又は160℃以上とできる。尚、基材の温度は赤外線やGaAs等の熱電対といった公知の方法で測定する。
また、加熱処理は、石英チューブ炉、ホットプレート、ラピッドサーマルアニール、縦型拡散炉、赤外線硬化炉、電子線硬化炉及びマイクロ波硬化炉等を用いて行う。また、大気中又は窒素等の不活性雰囲気中いずれを選択することもできるが、窒素下で行う方が感光性樹脂組成物膜の酸化を防ぐことができるので好ましい。
上記加熱温度範囲は従来の加熱温度よりも低いため、支持基板やデバイスへのダメージを小さく抑えることができる。従って、本発明のパターンの製造方法を用いることによって、デバイスが歩留り良く製造できる。また、プロセスの省エネルギー化につながる。
また、加熱処理に、マイクロ波硬化装置や周波数可変マイクロ波硬化装置を用いることもできる。これらを用いることにより、基板やデバイスの温度は例えば220℃以下に保ったままで、感光性樹脂組成物膜のみを効果的に加熱することが可能である。
周波数を変化させながらマイクロ波をパルス状に照射した場合は定在波を防ぐことができ、基板面を均一に加熱することができる点で好ましい。さらに基板として電子部品のように金属配線を含む場合は、周波数を変化させながらマイクロ波をパルス状に照射すると金属からの放電等の発生を防ぐことができ、電子部品を破壊から守ることができる点で好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物中のポリベンゾオキサゾール前駆体を脱水閉環させる時間は、脱水閉環反応が充分進行するまでの時間であるが、作業効率との兼ね合いから概ね5時間以下である。
[半導体装置の製造工程]
次に、本発明のパターンの製造方法の一例として、半導体装置の製造工程を図面に基づいて説明する。図1〜図5は、多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図であり、第1の工程から第5の工程へと一連の工程を表している。
これらの図において、回路素子(図示しない)を有するSi基板等の半導体基板1は、回路素子の所定部分を除いてシリコン酸化膜等の保護膜2で被覆され、露出した回路素子上に第1導体層3が形成されている。前記半導体基板上にスピンコート法等で層間絶縁膜層4としてのポリイミド樹脂等の膜が形成される(第1の工程、図1)。
次に、塩化ゴム系、フェノールノボラック系等の感光性樹脂層5が、マスクとして前記層間絶縁膜層4上にスピンコート法で形成され、公知の写真食刻技術によって所定部分の層間絶縁膜層4が露出するように窓6Aが設けられる(第2の工程、図2)。この窓6Aの層間絶縁膜層4は、酸素、四フッ化炭素等のガスを用いるドライエッチング手段によって選択的にエッチングされ、窓6Bが空けられている。次いで、窓6Bから露出した第1導体層3を腐食することなく、感光性樹脂層5のみを腐食するようなエッチング溶液を用いて感光性樹脂層5が完全に除去される(第3の工程、図3)。
さらに、公知の写真食刻技術を用いて、第2導体層7を形成させ、第1導体層3との電気的接続が完全に行われる(第4の工程、図4)。3層以上の多層配線構造を形成する場合は、上記の工程を繰り返して行い各層を形成することができる。
次に、表面保護膜層8を形成する。図1〜図5の例では、この表面保護膜層8を次のようにして形成する。即ち、前記本発明の感光性樹脂組成物をスピンコート法にて塗布、乾燥し、所定部分に窓6Cを形成するパターンを描いたマスク上から光を照射した後、アルカリ水溶液にて現像してパターン樹脂膜を形成する。その後、このパターン樹脂膜を加熱して表面保護膜層8としてのポリベンゾオキサゾールのパターン硬化膜とする(第5の工程、図5)。この表面保護膜層(ポリベンゾオキサゾールのパターン硬化膜)8は、導体層を外部からの応力、α線等から保護するものであり、得られる半導体装置は信頼性に優れる。
本発明では、従来は350℃前後の高温を必要としていた上記ポリベンゾオキサゾール膜を形成する加熱工程において、280℃以下の低温の加熱を用いて硬化が可能である。280℃以下の硬化においても、本発明の感光性樹脂組成物は環化脱水反応が充分に起きることから、その膜物性(伸び、吸水率、質量減少温度、アウトガス等)が300℃以上で硬化したときに比べて物性変化は小さいものとなる。従って、プロセスが低温化できることから、デバイスの熱による欠陥を低減でき、信頼性に優れた半導体装置(電子部品)を高収率で得ることができる。
尚、上記例において、層間絶縁膜を本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成することも可能である。
[電子部品]
次に、本発明の電子部品について説明する。本発明による電子部品は、上述した感光性樹脂組成物を用いて上記パターンの製造方法によって形成されるパターンを有する。ここで、電子部品としては、半導体装置や多層配線板、各種電子デバイス等を含む。特に、耐熱性の低いMRAM(磁気抵抗メモリ:Magnet Resistive Random Access Memory)が好ましいものとして挙げられる。
また、上記パターンは、具体的には、半導体装置等電子部品の表面保護膜や層間絶縁膜、多層配線板の層間絶縁膜等の形成に使用することができる。本発明による電子部品は、前記感光性樹脂組成物を用いて形成される表面保護膜や層間絶縁膜を有すること以外は特に制限されず、様々な構造をとることができる。例えば、本発明の感光性樹脂組成物は、MRAMの表面保護膜用として好適である。
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明についてさらに具体的に説明する。尚、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
合成例1
撹拌機、温度計を備えた0.2リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン60gを仕込み、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン13.92g(38mmol)を添加し、撹拌溶解した。続いて、温度を0〜5℃に保ちながら、ドデカン二酸ジクロリド8.55g(32mmol)とジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド2.36g(8mmol)をそれぞれ10分間ずつかけて加えた後、室温に戻し3時間撹拌を続けた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収し、これを純水で3回洗浄した後、減圧してポリヒドロキシアミド(ポリベンゾオキサゾール前駆体)を得た(以下、ポリマーP−1とする)。ポリマーP−1のGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は39,500、分散度は1.9であった。ポリマーP−1のA構造単位のモル分率j=80%、B構造単位のモル分率k=20%であった。
重量平均分子量の測定条件は以下の通りである。
・GPC法による重量平均分子量の測定条件
測定装置:検出器 株式会社日立製作所社製L4000UV
ポンプ:株式会社日立製作所社製L6000
記録計:株式会社島津製作所社製C−R4A Chromatopac
測定条件:カラム Gelpack GL−S300MDT−5 x2本
溶離液:THF/DMF=1/1 (容積比)
LiBr(0.03mol/L)、HPO(0.06mol/L)
合成例1では、ポリマー0.5mgに対して溶媒[THF/DMF=1/1(容積比)]1mLの溶液を用いて測定した。
以下の合成例においても、得られたポリマーについて同様の測定を行い、重量平均分子量を求めた。
また、ポリマーのモル分率は、H−NMRスペクトルから算出した。H−NMRスペクトルの測定条件は以下の通りである。
測定機器:ブルカー・バイオスピン社製 AV400M
磁場強度:400MHz
基準物質:テトラメチルシラン(TMS)
溶媒:DMSO
合成例2
撹拌機、温度計を備えた0.2リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン60gを仕込み、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン11.89g(32.4mmol)を添加し、撹拌溶解した。続いて、温度を0〜5℃に保ちながら、ドデカン二酸ジクロリド6.84g(25.6mmol)とジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド2.60g(8.8mmol)をそれぞれ10分間ずつかけて加えた後、室温に戻し3時間撹拌を続けた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収し、これを純水で3回洗浄した後、減圧してポリヒドロキシアミド(ポリベンゾオキサゾール前駆体)を得た(以下、ポリマーP−2とする)。ポリマーP−2のGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は37,800、分散度は1.8であった。また、ポリマーP−2のA構造単位のモル分率j=64.7%、B構造単位のモル分率k=35.3%であった。
合成例3
撹拌機、温度計を備えた0.2リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン60gを仕込み、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン10.70g(29.2mmol)を添加し、撹拌溶解した。続いて、温度を0〜5℃に保ちながら、ドデカン二酸ジクロリド6.00g(22.4mmol)とジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド2.71g(9.2mmol)をそれぞれ10分間ずつかけて加えた後、室温に戻し3時間撹拌を続けた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収し、これを純水で3回洗浄した後、減圧してポリヒドロキシアミド(ポリベンゾオキサゾール前駆体)を得た(以下、ポリマーP−3とする)。ポリマーP−3のGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は36,600、分散度は1.8であった。また、ポリマーP−3のA構造単位のモル分率j=56.9%、B構造単位のモル分率k=43.1%であった。
合成例4
撹拌機、温度計を備えた0.2リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン60gを仕込み、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン9.82g(26.8mmol)を添加し、撹拌溶解した。続いて、温度を0〜5℃に保ちながら、ドデカン二酸ジクロリド5.13g(19.2mmol)とジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド2.83g(9.6mmol)をそれぞれ10分間ずつかけて加えた後、室温に戻し3時間撹拌を続けた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収し、これを純水で3回洗浄した後、減圧してポリヒドロキシアミド(ポリベンゾオキサゾール前駆体)を得た(以下、ポリマーP−4とする)。ポリマーP−4のGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は34,800、分散度は1.8であった。また、ポリマーP−4のA構造単位のモル分率j=49.1%、B構造単位のモル分率k=50.9%であった。
合成例5
撹拌機、温度計を備えた0.2リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン60gを仕込み、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン8.79g(24.0mmol)を添加し、撹拌溶解した。続いて、温度を0〜5℃に保ちながら、ドデカン二酸ジクロリド4.28g(16.0mmol)とジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド2.95g(10.0mmol)をそれぞれ10分間ずつかけて加えた後、室温に戻し3時間撹拌を続けた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収し、これを純水で3回洗浄した後、減圧してポリヒドロキシアミド(ポリベンゾオキサゾール前駆体)を得た(以下、ポリマーP−5とする)。ポリマーP−5のGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は33,000、分散度は1.7であった。また、ポリマーP−5のA構造単位のモル分率j=41.1%、B構造単位のモル分率k=58.9%であった。
実施例1〜16、比較例1〜7
表1に示す成分を表1に示す配合量で、γ−ブチロラクトン/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを質量比9:1で混合した溶剤に溶解し、下記に示すシランカップリング剤((g)成分)を(a)成分100質量部に対して2質量部添加して、感光性樹脂組成物を調製した。
(b)成分として下記B1、(c)成分として下記C1、(d)成分として下記成分、(e)成分として下記E1又はE2を用い、(e)成分に対応する(e’)成分として下記E3を用いた。
Figure 0006364788
(d)成分:2−メルカプトベンゾオキサゾール
E1:1H−テトラゾール
E2:5−アミノ−1H−テトラゾール
E3:ベンゾオキサゾール
(g)成分:HNCONH(CHSi(OEt)
表1において、(b)〜(e)、(e’)成分の各欄における()内の数値は、(a)成分100質量部に対する添加量(質量部)を示す。(d)成分については、組成物全体に対する質量%も記載した。溶剤の使用量はいずれも(a)成分100質量部に対して200質量部である。
上記で調製した感光性樹脂組成物について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
(感光特性評価)
感光性樹脂組成物の溶液をシリコンウエハ及び銅ウエハ上にスピンコートして、120℃で3分間加熱し、乾燥膜厚10〜15μmの塗膜を形成し、超高圧水銀灯を光源とし、干渉フィルターを介して100から800mJ/cmまで10mJ/cm刻みでi線(365nm)照射量を変化させ、所定のパターンをウエハに照射して露光を行った。露光後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38質量%水溶液にて現像した後、水でリンスしパターン付き樹脂膜をそれぞれ得た。シリコンウエハと銅ウエハを同一露光量で比較し、シリコンウエハで残渣が無い露光量であるにもかかわらず、銅ウエハで露光部に残渣が有る場合を表1で「有り」、残渣が無い場合を「無し」と記載した。
(銅の変色評価)
次に、パターン化樹脂膜が作製された銅ウエハを縦型拡散炉μ−TF(光洋サーモシステム社製)を用いて窒素雰囲気下、100℃で1時間加熱した後、さらに200℃で1時間加熱してパターン硬化膜(硬化後膜厚5〜10μm)を得た。開口部で変色が発生したかどうかを金属顕微鏡で確認を行った。
(接着性の評価)
前記感光性樹脂組成物の溶液を銅ウエハ上にスピンコートして、120℃で3分間加熱し、縦型拡散炉μ−TF(光洋サーモシステム社製)を用いて窒素雰囲気下、100℃で1時間加熱した後、さらに200℃で1時間加熱して硬化後膜厚6〜8μmの硬化膜を作製した。
加速試験を行うため、硬化膜をプレッシャークッカー装置に入れ、121℃、2気圧、100%RHの条件下で100時間処理した(PCT処理)。PCT処理前後の接着強度を、スタッドプル試験機(ROMULUS、Quad Group Inc.社製)を用いて評価した。具体的には、硬化膜付きウエハ上の硬化膜に、エポキシ系樹脂のついたアルミ製のピン(型番901106(2.7mm))を立て、オーブンで150℃/1時間加熱してエポキシ樹脂のついたスタッドピンを硬化膜に接着させた。このピンを、上記スタッドプル試験機を用いて引っ張り、接着力の測定を行った。
尚、スタッドプル試験で、500kg/cm以上の接着力示したものを○、300kg/cm以上500kg/cm未満の接着力を示したものを△、300kg/cm未満の接着力を示したものを×とした。
Figure 0006364788
表1から、(d)2−メルカプトベンゾオキサゾール又はその誘導体と、(e)テトラゾール又はその誘導体を含む実施例1〜16は現像後残渣が無く、比較例1〜7に比較して銅との良好な接着性を示すことが分かる。
本発明の感光性樹脂組成物は、半導体装置等の電子部品の表面保護膜や層間絶縁膜、多層配線板の層間絶縁膜等の形成に用いることができる。
1 半導体基板
2 保護膜
3 第1導体層
4 層間絶縁膜層
5 感光樹脂層
6A、6B、6C 窓
7 第2導体層
8 表面保護膜層

Claims (8)

  1. (a)下記式(I)で表される構造単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体と、
    (b)感光剤と、
    (c)架橋剤と、
    (d)2−メルカプトベンゾオキサゾール又はその誘導体と、
    (e)テトラゾール又はその誘導体と、
    溶剤と、
    を含有し、
    前記(d)成分の含量が、前記(a)ポリベンゾオキサゾール前駆体100質量部に対し0.0003〜0.16質量部である感光性樹脂組成物。
    Figure 0006364788
    (式(I)中、R及びRは各々独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフッ素化アルキル基であり、aは1〜30の整数である。U及びWは各々独立に単結合又は2価の基であり、Xは2価の基である。j及びkはA構造単位とB構造単位のモル分率であり、j=40〜80モル%、k=20〜60モル%、かつj及びkの和は100モル%である。)
  2. 前記式(I)におけるUが下記式(UV1)で表される構造を含む基である請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 0006364788
    (式(UV1)中、R及びRは各々独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフッ素化アルキル基であり、a’は1〜30の整数である。)
  3. 前記(e)成分のテトラゾール又はその誘導体が、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−1H−テトラゾール及び5,5’−ビス−1H−テトラゾールから選択される1以上である請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記(d)成分の含量が(a)ポリベンゾオキサゾール前駆体100質量部に対し0.0003〜0.10質量部である請求項1〜3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  5. さらに(f)熱酸発生剤を含む請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物から得られる硬化膜。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布、乾燥して感光性樹脂膜を形成する工程と、
    前記感光性樹脂膜を所定のパターンに露光する工程と、
    前記露光後の感光性樹脂膜を現像してパターン樹脂膜を得る現像工程と、
    前記パターン樹脂膜を加熱処理してパターン硬化膜を得る加熱処理工程とを含む、
    パターン硬化膜の製造方法。
  8. 前記加熱処理工程における加熱処理温度が280℃以下である請求項7に記載のパターン硬化膜の製造方法。
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