JP2007213032A - ポジ型感光性樹脂組成物、パターン形成方法及び電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温での硬化プロセスによっても、脆くなく、耐熱性に富んだ硬化膜となるようなポジ型の感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】第1導体層3、第2導体層7及び層間絶縁膜4が形成された半導体基板1に、ポジ型感光性樹脂組成物をスピンコートして乾燥し、所定部分に窓6Cを形成するパターンのマスク上から光を照射する。アルカリ水溶液にて現像後、加熱(硬化)して、表面保護膜8を形成する。ポジ型感光性樹脂組成物は、その被膜を200℃以下の温度で加熱処理した硬化膜の破断伸び率が20%以上であるため、200℃以下の硬化で懸念される膜の脆さを防ぐことができる。また、硬化膜のガラス転移温度が高いため、硬化膜を有する電子部品を実装する際に、封止や半田リフローなどの加熱工程に耐え得る。
【選択図】 図1−5

Description

本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物、パターン形成方法及び電子部品、特に、低温での硬化プロセスによっても、脆くなく、耐熱性に富んだ硬化膜となるような、感光性を有するポリアミドを含有するポジ型感光性樹脂組成物、これを用いたパターン形成方法及び電子部品に関するものである。
従来、半導体素子の表面保護膜及び層間絶縁膜には、優れた耐熱性と電気特性、機械特性等を併せ持つポリイミド樹脂が用いられている。近年、半導体素子の高集積化、大型化が進む中、封止樹脂パッケージの薄型化小型化の要求があり、LOC(リード・オン・チップ)や半田リフローによる表面実装などの方式が取られてきており、これまで以上に機械特性、耐熱性等に優れたポリイミド樹脂が必要とされるようになってきた。
このポリイミド樹脂膜は、一般にはテトラカルボン酸二無水物とジアミンを極性溶媒中で常温常圧において反応させポリイミド前駆体(ポリアミド酸)溶液とした、いわゆるワニスをスピンコートなどで薄膜化して熱的に脱水閉環(いわゆる硬化)して形成する(例えば、非特許文献1参照)。
近年、ポリイミド樹脂自身に感光特性を付与した感光性ポリイミドが用いられてきているが、これを用いるとパターン作成工程が簡略化でき、煩雑な製造工程の短縮が行えるという特徴を有する(例えば、特許文献1〜3参照)。
上記感光性ポリイミドの現像には、N−メチルピロリドン等の有機溶剤が用いられてきたが、最近では、環境やコストの観点からアルカリ水溶液で現像ができるポジ型の感光性樹脂の提案がなされている。このようなポジ型の感光性樹脂として、ポリイミド前駆体にエステル結合を介してo−ニトロベンジル基を導入する方法(例えば、非特許文献2参照)、可溶性ヒドロキシルイミド又はポリベンゾオキサゾール前駆体にナフトキノンジアジド化合物を混合する方法(例えば、特許文献4、5参照)などがあり、低誘電率化が期待できる観点からも感光性ポリイミドとともに感光性ポリベンゾオキサゾールが注目されている。なお、感光性ポリベンゾオキサゾールとして、光酸発生剤とメチロール系化合物とを組み合わせた、アルカリ水溶液で現像可能なネガ型の報告もある(非特許文献3)。
特開昭49−11541号公報 特開昭59−108031号公報 特開昭59−219330号公報 特公昭64−60630号公報 米国特許第4395482号明細書 日本ポリイミド研究会編「最新ポリイミド〜基礎と応用〜」(2002年) J.Macromol.Sci.,Chem.,A24(12),pp.1407−1422(1987) Polym.J.,vol.37,pp.74−81(2005)
ポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体を熱的に脱水閉環させてポリイミド薄膜やポリベンゾオキサゾール薄膜とする場合、通常、350℃前後の高温を必要とする。ところが、最近登場してきた次世代メモリーとして有望なMRAM(Magnetic RAM)は高温プロセスに弱く、低温プロセスが望まれている。従って、表面保護膜でも、従来の350℃前後というような高温でなく、約250℃以下、さらに望ましくは200℃以下の低温で脱水閉環ができ、脱水閉環後の膜の物性が高温で脱水閉環したものと遜色ない性能が得られるポリイミド材料やポリベンゾオキサゾール材料が不可欠となってきた。しかし、これらの材料を温度を下げて硬化した場合、一般的に硬化膜は脆くなり、物性は低下するという問題点があった。
本発明は、以上のような従来の課題を解決するためになされたものであって、アルカリ現像可能な感光性ポリベンゾオキサゾール前駆体に関して、低温での硬化プロセスによっても、脆くなく、耐熱性に富んだ硬化膜となるようなポジ型の感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、前記ポジ型の感光性樹脂組成物の使用により、アルカリ水溶液で現像可能であり、感度、解像度、現像時の密着性に優れ、200℃以下の低温硬化プロセスによって、脆くなく、耐熱性に優れた、良好な形状のパターンが得られるパターン形成方法を提供するものである。さらに、本発明は、良好な形状と特性のパターンを有し、さらには低温プロセスで硬化できることにより、デバイスへのダメージが避けられ、信頼性の高い電子部品を歩留まり良く提供するものである。加えて、本発明は、ポリベンゾオキサゾール前駆体に関して、特定の化合物を加えることにより、低温での硬化プロセスによっても、脆くなく、さらに耐熱性に富み、優れた破断伸び率及びガラス転移温度を有する硬化膜が得られるポジ型感光性樹脂組成物を提供するものである。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有するポリアミドに対して、フェノール性水酸基を有する化合物を含む樹脂組成物を塗布し、200℃以下で硬化した膜は、高い破断伸び率を示すことを見出した。さらに、驚くべきことに、ここで用いたフェノール性水酸基を有する化合物を、ポリアミドを含む感光性樹脂に加えたポジ型感光性樹脂組成物は、高感度、高解像度で現像時の密着性に優れ、200℃以下で硬化した膜は高い破断伸び率を示すと共に、高いガラス転移温度を有することを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物は、(A)アルカリ水溶液可溶性のポリアミドと、(B)光により酸を発生する化合物と、及び(C)溶剤とを含有してなるポジ型感光性樹脂組成物であって、前記ポジ型感光性樹脂組成物の被膜を200℃以下の温度で加熱処理した厚さ9〜11μmの硬化膜の破断伸び率が、20%以上であることを特徴とする。
また、本発明の請求項2に記載のポジ型感光性樹脂組成物にあっては、前記硬化膜のガラス転移温度が200℃以上であることを特徴とする。
また、本発明の請求項3に記載のポジ型感光性樹脂組成物にあっては、ポジ型感光性樹脂組成物がさらに(D)架橋剤を含むことを特徴とする。
また、本発明の請求項4に記載のポジ型感光性樹脂組成物にあっては、前記(D)架橋剤が、フェノール性水酸基を有する化合物であることを特徴とする。
また、本発明の請求項5に記載のポジ型感光性樹脂組成物にあっては、ポジ型感光性樹脂組成物がさらに(E)加熱により酸を発生する熱潜在酸発生剤を含むことを特徴とする。
また、本発明の請求項6に記載のポジ型感光性樹脂組成物にあっては、前記(A)アルカリ水溶液可溶性のポリアミドが、一般式(I)で示される繰り返し単位を有する化合物であることを特徴とする。
Figure 2007213032
(式中、Uは4価の有機基を示し、Vは2価の有機基を示し、nは3〜1000の正数である。)
また、本発明の請求項7に記載のポジ型感光性樹脂組成物にあっては、前記(D)フェノール性水酸基を有する化合物が、一般式(II)で表される化合物であることを特徴とする。
Figure 2007213032
(式中、Xは単結合又は2価の有機基を示し、R1〜R4は各々独立に水素原子又は一価の有機基を示し、m及びnは各々独立に1〜3の整数であり、p及びqは各々独立に0〜4の整数である。)
また、本発明の請求項8に記載のポジ型感光性樹脂組成物にあっては、前記一般式(II)のXが、一般式(III)又は式(IV)であることを特徴とする。
Figure 2007213032
(式中、tは1〜12の整数である。)
Figure 2007213032
また、本発明の請求項9に記載のポジ型感光性樹脂組成物にあっては、前記ポジ型感光性樹脂組成物が、前記(A)成分100重量部に対して、前記(B)成分5〜100重量部を配合してなることを特徴とする。
また、本発明の請求項10に記載のポジ型感光性樹脂組成物にあっては、前記ポジ型感光性樹脂組成物が、前記(A)成分100重量部に対して、(D)成分1〜30重量部を配合してなることを特徴とする。
また、本発明の請求項11に記載のポジ型感光性樹脂組成物にあっては、前記ポジ型感光性樹脂組成物が、前記(A)成分100重量部に対して、(E)成分0.1〜30重量部を配合してなることを特徴とする。
また、本発明の請求項12に記載のポジ型感光性樹脂組成物にあっては、前記(B)成分が、o−キノンジアジド化合物であることを特徴とする。
また、本発明の請求項13に記載のポジ型感光性樹脂組成物にあっては、架橋剤10重量部と、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸及び2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンからなり、GPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量が12,000から20,000、分散度が1.2〜2.0であるポリアミド100重量部と、ピリジニウムp−トルエンスルホナート2.5重量部と、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン155重量部とからなる樹脂組成物を調製し、この樹脂組成物の被膜を200℃の温度で加熱処理して厚さ9〜11μmの硬化膜としその破断伸び率を測定した際に、その破断伸び率が20%以上となる前記架橋剤を、前記(D)成分の架橋剤として使用することを特徴とする。
また、本発明の請求項14に記載のパターン形成方法にあっては、請求項1から請求項13のうち、いずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布して乾燥する工程と、前記乾燥工程により得られた感光性樹脂膜を露光する工程と、前記露光後の感光性樹脂膜を、アルカリ水溶液を用いて現像する工程と、及び前記現像後の感光性樹脂膜を加熱処理する工程とを含むことを特徴とする。
また、本発明の請求項15に記載のパターン形成方法にあっては、前記現像後の感光性樹脂膜を加熱処理する工程において、加熱温度が200℃以下であることを特徴とする。
また、本発明の請求項16に記載の電子部品にあっては、請求項13又は請求項14に記載のパターン形成方法により得られるパターンの層を、層間絶縁膜層又は表面保護膜層として有することを特徴とする。
また、本発明の請求項17に記載の電子部品にあっては、前記電子部品が、MRAMであることを特徴とする。
本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、その被膜を200℃以下の温度で加熱処理した硬化膜の破断伸び率が20%以上であるため、200℃以下の硬化で懸念される膜の脆さを防ぐことができる。また、本発明で使用するフェノール性水酸基を有する化合物は、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度差(溶解コントラスト)には悪影響を及ぼさず、感度、解像度に優れる。
本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、その被膜を露光、現像後に加熱処理する工程において、フェノール性水酸基を有する化合物が200℃以下の温度でポリアミドと反応、すなわち橋架けする。ここで用いるフェノール性水酸基を有する化合物を含むポジ型感光性樹脂組成物から得られるパターンは、感度、解像度、接着性に優れ、200℃以下で硬化しても脆くなく、耐熱性をはじめとした物性に優れる。
また、本発明のパターン形成方法によれば、前記ポジ型感光性樹脂組成物の使用により、低温硬化プロセスであっても橋架け反応が十分に進行するため、感度、解像度、接着性に優れると共に、耐熱性をはじめとした物性に優れた良好な形状のパターンが得られる。
また、本発明の電子部品は、良好な形状と接着性、耐熱性に優れたパターンを有し、さらには低温プロセスで硬化できることにより、デバイスへのダメージが避けられ、信頼性の高い電子部品である。また、デバイスへのダメージが少ないことから、高い歩留まりが得られる。さらに、ポジ型感光性樹脂組成物の被膜を硬化した硬化膜のガラス転移温度が高いため、硬化膜を有する電子部品を実装する際に、封止や半田リフローなどの加熱工程に耐えることができるという効果を奏する。
以下に、本発明にかかるポジ型感光性樹脂組成物、パターン形成方法及び電子部品の一実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。
[ポジ型感光性樹脂組成物]
まず、本発明によるポジ型感光性樹脂組成物について説明する。
本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、(A)アルカリ水溶液可溶性のポリアミドと、(B)光により酸を発生する化合物と、及び(C)溶剤とを含有してなるポジ型感光性樹脂組成物であって、前記ポジ型感光性樹脂組成物の被膜を200℃以下(好ましくは200℃)の温度で加熱処理した厚さ9〜11μm(好ましくは10μm)の硬化膜の破断伸び率が、20%以上であるポジ型感光性樹脂組成物である。以下、ポジ型感光性樹脂組成物に含有される各成分について説明する。
[(A)アルカリ水溶液可溶性ポリアミド(ポリベンゾオキサゾール前駆体)]
ポジ型感光性樹脂組成物の(A)成分は、アルカリ水溶液可溶性のフェノール性水酸基含有ポリアミドであり、これは一般にポリオキサゾール、好ましくはポリベンゾオキサゾールの前駆体として機能する。具体的には、一般式(I)で表される化合物がある。
Figure 2007213032
(式中、Uは4価の有機基を示し、Vは2価の有機基を示し、nは3〜1000の正数である。)
この一般式(I)で表される、ヒドロキシ基を含有するアミドユニットは、最終的には硬化時の脱水閉環により、耐熱性、機械特性、電気特性に優れるオキサゾール体に変換される。
一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリアミドは、前記繰り返し単位を有していればよいが、ポリアミドのアルカリ水溶液に対する可溶性は、Uに結合するOH基(一般にはフェノール性水酸基)に由来するため、前記OH基を含有するアミドユニットが、ある割合以上含まれていることが好ましい。
即ち、次の一般式(V)で表されるポリアミドであることが好ましい。
Figure 2007213032
(式中、Uは4価の有機基を示し、VとWは2価の有機基を示す。jとkはモル分率を示す。)
一般式(V)中のjとkの和は100モル%であり、jが60〜100モル%、kが40〜0モル%であることが好ましい。また、jとkのモル分率は、j=80〜100モル%、k=20〜0モル%であることがより好ましい。
(A)成分の分子量は、重量平均分子量で3,000〜200,000が好ましく、5,000〜100,000がより好ましい。ここで、分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線より換算して得た値である。
本発明において、一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリアミドは、一般的にジカルボン酸誘導体とヒドロキシ基含有ジアミン類とから合成できる。具体的には、ジカルボン酸誘導体をジハライド誘導体に変換後、前記ジアミン類との反応を行うことにより合成できる。ジハライド誘導体としては、ジクロリド誘導体が好ましい。
ジクロリド誘導体は、ジカルボン酸誘導体にハロゲン化剤を作用させて合成することができる。ハロゲン化剤としては通常のカルボン酸の酸塩素化反応に使用される、塩化チオニル、塩化ホスホリル、オキシ塩化リン、五塩化リン等が使用できる。
ジクロリド誘導体を合成する方法としては、ジカルボン酸誘導体と上記ハロゲン化剤を溶媒中で反応させるか、過剰のハロゲン化剤中で反応を行った後、過剰分を留去する方法で合成できる。反応溶媒としは、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、ベンゼン等が使用できる。
これらのハロゲン化剤の使用量は、溶媒中で反応させる場合は、ジカルボン酸誘導体に対して、1.5〜3.0モルが好ましく、1.7〜2.5モルがより好ましく、ハロゲン化剤中で反応させる場合は、4.0〜50モルが好ましく、5.0〜20モルがより好ましい。反応温度は、−10〜70℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
ジクロリド誘導体とジアミン類との反応は、脱ハロゲン化水素剤の存在下に、有機溶媒中で行うことが好ましい。脱ハロゲン化水素剤としては、通常、ピリジン、トリエチルアミン等の有機塩基が使用される。また、有機溶媒としは、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等が使用できる。反応温度は、−10〜30℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
(アミノフェノール)
ここで、一般式(I)及び(V)において、Uで表される4価の有機基とは、一般に、ジカルボン酸と反応してポリアミド構造を形成するジヒドロキシジアミン由来の残基であり、4価の芳香族基が好ましく、炭素原子数としては6〜40のものが好ましく、炭素原子数6〜40の4価の芳香族基がより好ましい。4価の芳香族基としては、4個の結合部位がいずれも芳香環上に存在し、2個のヒドロキシ基がそれぞれアミンのオルト位に位置した構造を有するジアミンの残基が好ましい。
このようなジアミン類としては、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{4−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル}フルオレン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス{4−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル}アダマンタン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス{4−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル}アダマンタン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ジアミン類のうち、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンのように、ビス(芳香族オルトヒドロキシルアミン)がsp3炭素原子、イオウ原子、酸素原子などの原子に結合しているジアミン類は、適度な柔軟性を有する分子なので比較的低温で脱水閉環は起こる特徴があり、また、芳香族基に由来する耐熱性を兼ね備えている点でより好ましい。
(ジアミン(共重合成分))
また、前記一般式(V)において、Wで表される2価の有機基とは、一般に、ジカルボン酸と反応してポリアミド構造を形成する、ジアミン由来(但し前記Uを形成するジヒドロキシジアミン以外)の残基であり、2価の芳香族基又は脂肪族基が好ましく、炭素原子数としては4〜40のものが好ましく、炭素原子数4〜40の2価の芳香族基がより好ましい。
このようなジアミン類としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、ベンジシン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン等の芳香族ジアミン化合物、この他にもシロキサン骨格の入ったジアミンとして、LP−7100、X−22−161AS、X−22−161A、X−22−161B、X−22−161C及びX−22−161E(いずれも信越化学工業株式会社製、商品名)等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いる。
(ジカルボン酸)
また、一般式(I)及び(V)において、Vで表される2価の有機基とは、ジアミンと反応してポリアミド構造を形成する、ジカルボン酸由来の残基であり、2価の芳香族基が好ましく、炭素原子数としては6〜40のものが好ましく、炭素原子数6〜40の2価の芳香族基がより好ましい。2価の芳香族基としては、2個の結合部位がいずれも芳香環上に存在するものが好ましい。
このようなジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシテトラフェニルシラン、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(p−カルボキシフェニル)プロパン、5−tert−ブチルイソフタル酸、5−ブロモイソフタル酸、5−フルオロイソフタル酸、5−クロロイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、9,9−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{4−(3又は4−カルボキシフェノキシ)フェニル}フルオレン、1,3−ビス(4−カルボキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス{4−(3又は4−カルボキシフェノキシ)フェニル}アダマンタン、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス{4−(3又は4−カルボキシフェノキシ)フェニル}アダマンタン等の芳香族系ジカルボン酸、1,2−シクロブタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等の脂肪族系ジカルボン酸などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの化合物を、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記ジカルボン酸類のうち、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジカルボキシテトラフェニルシラン、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(p−カルボキシフェニル)プロパンのように、ビス(芳香族カルボン酸)がsp3炭素原子、イオウ原子、酸素原子などの原子に結合しているジカルボン酸類は、適度な柔軟性を有する分子なので比較的低温で脱水閉環は起こる特徴があり、また、芳香族基に由来する耐熱性を兼ね備えている点でより好ましい。
また、以下のジカルボン酸類は芳香族系ではないが、適度な柔軟性を有する分子なので比較的低温で脱水閉環は起こる点で、好ましい例として挙げることができる。
Figure 2007213032
(式中、Zは炭素数1〜6の炭化水素基を表す。)
Figure 2007213032
さらに、以下に示すジカルボン酸類も例示することができる。
Figure 2007213032
(式中、Zは炭素数1〜6の炭化水素基であり、Mは単結合又は2価の基又は原子、例えば−CH2−,−C(CH32−,−O−,−S−,−SO2−,−CO−,−(CF32−等であり、Xは下記の一般式(IX)で表される。)
Figure 2007213032
(式中、nは1〜6の整数を表す。)
Figure 2007213032
(式中、R5、R10は各々独立に二価の有機基、R6〜R9は各々独立に水素又は炭素数1から6のアルキル基であり、sは1〜100の整数を表し、R5,R10の二価の有機基、R6〜R9の一価の有機基としては、炭素数1〜10の炭化水素基(アルキル基、アルキレン基など)、アルキルエーテル基、フルオロアルキル基、フルオロアルキルエーテル基及びフェニル基等であり、繰返し単位数mは1〜100である。
[(B)o−キノンジアジド化合物]
本発明に使用される(B)成分である光により酸を発生する化合物は、感光剤であり、酸を発生させ、光の照射部のアルカリ水溶液への可溶性を増大させる機能を有するものである。その種類としては、o−キノンジアジド化合物、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩などが挙げられ、特に制限はないが、o−キノンジアジド化合物が、感度が高いので、好ましいものとして挙げられる。
本発明に使用されるo−キノンジアジド化合物としては、例えば、o−キノンジアジドスルホニルクロリド類とヒドロキシ化合物、アミノ化合物などとを脱塩酸剤の存在下で縮合反応させることで得られる。前記o−キノンジアジドスルホニルクロリド類としては、例えば、ベンゾキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリド、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリド、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリド等が使用できる。
前記ヒドロキシ化合物としては、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、ピロガロール、ビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’,3’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン,2,3,4,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン、4b,5,9b,10−テトラヒドロ−1,3,6,8−テトラヒドロキシ−5,10−ジメチルインデノ[2,1−a]インデン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどが使用できる。
アミノ化合物としては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどが使用できる。
o−キノンジアジドスルホニルクロリドとヒドロキシ化合物及び/又はアミノ化合物とは、o−キノンジアジドスルホニルクロリド1モルに対して、ヒドロキシ基とアミノ基の合計が0.5〜1当量になるように配合されることが好ましい。脱塩酸剤とo−キノンジアジドスルホニルクロリドの好ましい割合は、0.95/1〜1/0.95の範囲である。好ましい反応温度は0〜40℃、好ましい反応時間は1〜10時間とされる。
反応溶媒としては、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、N−メチルピロリドン等の溶媒が用いられる。脱塩酸剤としては、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジンなどがあげられる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物において、(B)成分の配合量は、露光部と未露光部の溶解速度差と、感度の許容幅の点から、(A)成分100重量部に対して5〜100重量部が好ましく、8〜40重量部がより好ましい。
[(C)溶剤]
本発明に使用される(C)成分である溶剤としては、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ベンジル、n−ブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート、3−メチルメトキシプロピオネート、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルアミド、テトラメチレンスルホン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、ジグライム、トリグライム、イソホロン、1,3−ジメチルテトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)等が挙げられる。
これらの溶剤は単独で又は2種以上併用して用いることができる。また、(C)成分の配合量は特に制限はないが、一般に組成物中溶剤の割合が20〜90重量%となるように調整されることが好ましい。
[(D)架橋剤]
先に示した本発明のポジ型感光性樹脂組成物において、(A)〜(C)成分に加え、(D)架橋剤、具体的に好ましいものとしてフェノール性水酸基を有する化合物を用いることができる。このフェノール性水酸基を有する化合物は、配合することによってアルカリ水溶液で現像する際に露光部の溶解速度が増加し感度が上がり、また、パターン形成後の膜の硬化時に、ポリアミドと反応、すなわち橋架けする。これによって、比較的低い温度、例えば200℃以下の硬化で懸念される膜の脆さや膜の溶融を防ぐことができる。
本発明に使用することのできるフェノール性水酸基を有する化合物は、特に制限はないが、分子量が大きくなると露光部の溶解促進効果が小さくなるので、一般に分子量が1,500以下の化合物が好ましい。中でも下記一般式(II)に挙げられるものが、露光部の溶解促進効果と膜の硬化時の溶融を防止する効果のバランスに優れ特に好ましい。
Figure 2007213032
(式中、Xは単結合又は2価の有機基を示し、R3〜R6は各々独立に水素原子又は一価の有機基を示し、m及びnは各々独立に1〜3の整数であり、p及びqは各々独立に0〜4の整数である。)
一般式(II)において、Xで示される2価の基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素数が1〜10のアルキレン基、エチリデン基等の炭素数が2〜10のアルキリデン基、フェニレン基等の炭素数が6〜30のアリーレン基、これら炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子等のハロゲン原子で置換した基、スルホン基、カルボニル基、エーテル結合、チオエーテル結合、アミド結合等が挙げられ、また、下記一般式(XI)で示される2価の有機基が好ましいものとして挙げられる。
Figure 2007213032
(式中、個々のX’は、各々独立に、単結合、アルキレン基(例えば炭素原子数が1〜10のもの)、アルキリデン基(例えば炭素数が2〜10のもの)、それらの水素原子の一部又は全部をハロゲン原子で置換した基、スルホン基、カルボニル基、エーテル結合、チオエーテル結合、アミド結合等から選択されるものであり、R’’は水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基又はハロアルキル基であり、複数存在する場合は互いに同一でも異なっていてもよく、gは1〜10の整数である。)
一般式(II)のXが一般式(III)又は式(IV)であるものは、200℃以下で硬化した硬化膜の破断伸び率が高く、200℃以下の硬化で懸念される膜の脆さを防ぐことができるため、さらに好ましいものとして挙げられる。
Figure 2007213032
(式中、tは1〜12の整数である)
Figure 2007213032
このようなフェノール性水酸基を有する化合物としては、以下に示すものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、これらの化合物を、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
Figure 2007213032
((D)フェノール性水酸基を有する化合物類似のその他の架橋剤)
本発明に使用される(D)成分であるフェノール性水酸基を有する化合物の代わりに、(D)フェノール性水酸基を有する化合物に類似の化合物を添加することもできる。(D)フェノール性水酸基を有する化合物に類似の化合物は、配合することによってアルカリ水溶液で現像する際に露光部の溶解速度が増加して感度が上がり、また、パターン形成後の膜の硬化時に、膜の溶融を防ぐことができる。さらに、(D)フェノール性水酸基を有する化合物類似の化合物を(D)成分として用いると、感度、解像度、接着性に優れ、200℃以下で硬化しても脆くなく、耐熱性をはじめとした物性に優れるパターンを得ることができる。そのような化合物として、以下の式(XIII)に示す化合物を例示することができる。
Figure 2007213032
本発明のポジ型感光性樹脂組成物において、(D)成分の配合量は、現像時間と、未露光部残膜率の許容幅の点から、(A)成分100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、3〜25重量部がより好ましい。
なお、ある架橋剤が本発明における(D)成分の架橋剤として適するものであるかどうかを選択するための1つの方法として、次の方法がある。すなわち、架橋剤10重量部と、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸及び2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンからなり、GPC(Gel Permeation Chromatography)法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量が12,000から20,000、分散度が1.2〜2.0であるポリアミド100重量部と、ピリジニウムp−トルエンスルホナート2.5重量部と、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン50〜300重量部(好ましくは100〜200重量部、さらに好ましくは155重量部)とからなる樹脂組成物を調製し、この樹脂組成物の被膜を200℃以下(好ましくは200℃)の温度で加熱処理して厚さ9〜11μm(好ましくは10μm)の硬化膜とし、その破断伸び率を測定する方法を用いることができる。この方法では、硬化膜の破断伸び率が20%以上となる架橋剤を、本発明に適した(D)成分の架橋剤として選択し、有効に使用することができる。なお、N−メチル−2−ピロリドンの配合量としては、100〜200重量部が好ましく、特に後述する測定例で使用したように155重量部とすることがさらに好ましい。
前記GPC測定における移動相は、テトラヒドロフランとN,N−ジメチルホルムアミドとの混合液やN−メチル−2−ピロリドンなどが用いられ、必要に応じて、リン酸や塩化リチウムなどを添加する。その詳細な選択条件については、後述する実施例中にて説明する。
このような特定の選択条件を満たす、好ましい(D)成分としては、例えば、次の式(XIV)に示す化合物などが挙げられる。
Figure 2007213032
上記所定の樹脂組成物から形成された硬化膜の破断伸び率から(D)成分を選択する場合には、樹脂組成物中に感光剤である(B)成分を含有していない。従って、(D)成分の選択を非常に簡便に行うことができる。硬化膜の破断伸び率が所定の値となるように選択された(D)成分は、他の(A)成分、(B)成分及び(C)成分、さらには(E)成分と組合せることによって、感度、解像度、接着性に優れた良好な形状のパターンを形成し得るポジ型感光性樹脂組成物が得られる。
また、上述した(D)成分の選択方法は、上記所定の樹脂組成物から得た硬化膜のガラス転移温度が200℃以上となる架橋剤を選択する際にも同様に適用することができる。硬化膜のガラス転移温度が200℃以上となるように選択された架橋剤を本発明に適した(D)成分として使用し、他の(A)成分、(B)成分及び(C)成分、さらには(E)成分と組合せることによって、耐熱性に優れた良好な形状のパターンを形成し得るポジ型感光性樹脂組成物が得られる。さらに、硬化膜の破断伸び率とガラス転移温度との両者がそれぞれ上記所定の値を有する(D)成分を選択することも可能である。これにより、感度、解像度、接着性に優れ、同時に耐熱性にも優れた良好な形状のパターンを形成し得るポジ型感光性樹脂組成物が得られる。
[(E)熱潜在酸発生剤]
本発明のポジ型感光性樹脂組成物において、(A)〜(C)及び(D)成分に加えて、(E)加熱により酸を発生する熱潜在酸発生剤を配合しても良い。このような、熱潜在酸発生剤から発生する酸としては、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸のようなアリールスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸のようなパーフルオロアルキルスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸のようなアルキルスルホン酸が望ましい。これらの酸は、ポリベンゾオキサゾール前駆体のフェノール性水酸基含有ポリアミド構造が脱水反応を起こして環化する際の、及び、フェノール性水酸基を有する化合物とフェノール性水酸基含有ポリアミドの反応の触媒として効率的に働き、硬化温度を下げても環化率の低下を防ぐことができる。これに対して、塩酸、臭素酸、ヨウ素酸や硝酸が出るような酸発生剤では、発生した酸の酸性度が弱く、さらに加熱で揮発し易いこともあって、ポリベンゾオキサゾール前駆体の環化脱水反応には関与しないので、効果が得られない。
これらの酸は熱潜在酸発生剤として、オニウム塩として塩の形やイミドスルホナートのような共有結合の形で本発明の感光性組成物に添加される。具体的には、オニウム塩としては、ジフェニルヨードニウム塩、ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩のようなジ(アルキルフェニル)ヨードニウム塩、トリメチルスルホニウム塩のようなトリアルキルスルホニウム塩、ジメチルフェニルスルホニウム塩のようなジアルキルモノアリールスルホニウム塩、ジフェニルメチルスルホニウム塩のようなジアリールモノアルキルヨードニウムが望ましい。これらは、分解開始温度が150℃程度以上であり、200℃以下でのポリベンゾオキサゾール前駆体の環化脱水反応に際して効果的に作用する。これに対してトリフェニルスルホニウム塩は、本発明の熱潜在酸発生剤としては望ましくない。トリフェニルスルホニウム塩は熱安定性が高く、一般に分解温度が300℃を超えている。したがって、200℃以下でのポリベンゾオキサゾール前駆体の環化脱水反応に際しては分解が起きないので、環化脱水の触媒としては働かない。
また、イミドスルホナートとしては、ナフトイルイミドスルホナートが望ましい。これに対して、フタルイミドスルホナートでは、熱安定性が悪いために、硬化反応よりも前に酸が出て、保存安定性等を劣化させるので望ましくない。
また以下のように、=N−O−SO2−Rの構造を持つ化合物を用いることもできる。
Figure 2007213032
また、以下のように、アミド構造−HN−SO2−Rをもつ化合物を用いることができる。
Figure 2007213032
また、本発明で用いる(E)成分としては、オニウム塩以外の強酸と塩基から形成された塩を用いることもできる。前記強酸としては、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸のようなアリールスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸のようなパーフルオロアルキルスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸のようなアルキルスルホン酸が望ましい。塩基としては、ピリジン、2,4,6−トリメチルピリジンのようなアルキルピリジン、2−クロロ−N−メチルピリジンのようなN−アルキルピリジン、ハロゲン化−N−アルキルピリジン等が望ましい。これらも280℃以下でのポリベンゾオキサゾール前駆体の環化脱水反応に際して分解し、触媒として働く。
(E)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜30重量部が好ましく、0.2〜20重量部がより好ましく、0.5〜10重量部がさらに好ましい。
[その他の成分:(1)溶解阻害剤]
本発明においては、上述した(A)成分〜(E)成分の他に、(1)溶解阻害剤、(2)カップリング剤及び(3)界面活性剤などを配合しても良い。まず、(1)溶解阻害剤は、(A)成分のアルカリ水溶液に対する溶解性を阻害する化合物であり、ポジ型感光性樹脂組成物に含有させることができる。
具体的には、ジフェニルヨードニウムニトラート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムニトラート、ジフェニルヨードニウムブロミイド、ジフェニルヨードニウムクロリド、ジフェニルヨードニウムヨージド等である。
これらは、残膜厚や現像時間をコントロールするのに役立つ。上記成分の配合量は、感度と現像時間の許容幅の点から、(A)成分100重量部に対して0.01〜15重量部が好ましく、0.01〜10重量部がより好ましく、0.05〜3重量部がさらに好ましい。
[その他の成分:(2)カップリング剤]
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、硬化膜の基板との接着性を高めるために、有機シラン化合物、アルミキレート化合物等のカップリング剤を含むことができる。有機シラン化合物としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、尿素プロピルトリエトキシシラン、メチルフェニルシランジオール、エチルフェニルシランジオール、n−プロピルフェニルシランジオール、イソプロピルフェニルシランジオール、n−ブチルシフェニルシランジオール、イソブチルフェニルシランジオール、tert−ブチルフェニルシランジオール、ジフェニルシランジオール、エチルメチルフェニルシラノール、n−プロピルメチルフェニルシラノール、イソプロピルメチルフェニルシラノール、n−ブチルメチルフェニルシラノール、イソブチルメチルフェニルシラノール、tert−ブチルメチルフェニルシラノール、エチルn−プロピルフェニルシラノール、エチルイソプロピルフェニルシラノール、n−ブチルエチルフェニルシラノール、イソブチルエチルフェニルシラノール、tert−ブチルエチルフェニルシラノール、メチルジフェニルシラノール、エチルジフェニルシラノール、n−プロピルジフェニルシラノール、イソプロピルジフェニルシラノール、n−ブチルジフェニルシラノール、イソブチルジフェニルシラノール、tert−ブチルジフェニルシラノール、フェニルシラントリオール、1,4−ビス(トリヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(メチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(エチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(プロピルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ブチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジメチルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジエチルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジプロピルドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジブチルヒドロキシシリル)ベンゼン等が挙げられる。
アルミキレート化合物としては、例えば、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、アセチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。これらの密着性付与剤を用いる場合は、(A)成分100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましい。
[その他の成分:(3)界面活性剤]
また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、塗布性、例えばストリエーション(膜厚のムラ)を防いだり、現像性を向上させるために、適当な界面活性剤あるいはレベリング剤を添加することができる。このような界面活性剤あるいはレベリング剤としては、例えば、ポリオキシエチレンウラリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル等があり、市販品としては、メガファックスF171、F173、R−08(大日本インキ化学工業株式会社製商品名)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム株式会社商品名)、オルガノシロキサンポリマーKP341、KBM303、KBM403、KBM803(信越化学工業株式会社製商品名)等が挙げられる。
[破断伸び率]
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、この組成物の被膜を硬化した硬化膜の破断伸び率が、所定の値であることを特徴とする。硬化膜の破断伸び率は、市販の引っ張り試験機を用いて測定することができる。試料の幅は10mm、膜厚は9〜11μm、特に10μmであり、チャック間は20mmとする。引っ張り速度は5mm/分で、測定温度は室温(20〜25℃)程度とする。引っ張り試験は破壊試験の一種であり、測定値に若干のばらつきが生じる。そこで、ここでは、同一条件で得た硬化膜について5本以上の測定値の平均を「硬化膜の破断伸び率」とする。なお、測定試料の調製法については後述する。
このようにして測定した硬化膜の破断伸び率は、20%以上が好ましく、25%以上がより好ましく、30%以上がさらに好ましい。また、破断伸び率の上限は、150%程度である。すなわち、硬化膜の破断伸び率は、20〜150%が好ましく、20〜150%がより好ましく、25〜150%がさらに好ましく、30〜150%が特に好ましい。硬化膜の破断伸びが20%未満であると、硬化膜が脆く、半導体素子の表面保護膜として用いた場合、種々のストレスによりクラックが発生する可能性があり好ましくない。
[ガラス転移温度(Tg)]
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、この組成物の被膜を硬化した硬化膜のガラス転移温度(Tg)が、所定の値であることを特徴とする。硬化膜のTgは、市販の熱機械測定(TMA)装置を用いて測定することができる。試料の幅は2mm、膜厚は9〜11μm、特に10μmであり、チャック間は10mmとする。また、荷重は10gで、昇温速度は5℃/分である。
先に述べたように、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜には機械特性だけでなく、耐熱性が求められる。本発明の硬化膜のガラス転移温度(Tg)は、200℃以上が好ましく、215℃以上がより好ましく、230℃以上がさらに好ましい。上限は特に制限はないが、通常350℃以下である。すなわち、硬化膜のTgは、200〜350℃が好ましく、215〜350℃がより好ましく、230〜350℃がさらに好ましい。Tgが200℃未満であると、このような膜を有する電子デバイスを実装する際の加熱工程(封止や半田リフローなど)に耐えることができない可能性があり好ましくない。
(測定試料の調製)
引っ張り試験機やTMAで物性を測定するためのフィルム状硬化膜試験片の調整法は、それぞれ必要な幅、長さ、厚さを満たす試験片が得られる範囲であれば特に限定なく、種々の方法や装置を使用することができるが、以下の方法を好適に用いることができる。
(1)基板にポジ型感光性樹脂組成物を塗布し、予備加熱(プリベーク)で溶媒を揮発させる。さらにこれを最終加熱(硬化)し、得られた硬化膜を基板から剥離し、所定の大きさに切断する。硬化膜の膜厚は最終硬化時の残膜率(収縮率)を考慮し、塗布条件で調整する。
(2)基板にポジ型感光性樹脂組成物を塗布し、予備加熱(プリベーク)で溶媒を揮発させる。このプリベーク膜を現像液に浸す。さらにこれを最終加熱(硬化)し、得られた硬化膜を基板から剥離し、所定の大きさに切断する。硬化膜の膜厚は最終硬化時の残膜率(収縮率)を考慮し、現像時間で調整する。
(3)基板にポジ型感光性樹脂組成物を塗布し、予備加熱(プリベーク)で溶媒を揮発させる。このプリベーク膜を試験片の大きさに合わせたマスクを用いて露光し、必要に応じて露光後加熱(PEB)後、現像液に浸す(フォトリソグラフィー)。さらにこれを最終加熱(硬化)し、得られた硬化膜を基板から剥離する。この場合、フォトリソグラフィーにより、試験片の大きさを加工するので、切断工程は不要である。また、硬化膜の膜厚は最終硬化時の残膜率(収縮率)を考慮し、現像時間で調整する。
基板としては、ガラス、半導体、金属酸化物絶縁体(例えばTiO2、SiO2等)、窒化ケイ素、ポリ(テトラフルオロエチレン)、PET、ポリエチレン、ポリイミドなどの樹脂などを材料として用いた種々の基板を使用できる。また、塗布方法は、浸漬法、スプレー法、スクリーン印刷法、スピンコート法等を用いることができるが、成膜性、膜均一性を考慮して主にスピンコート法が用いられる。また、予備加熱はホットプレートあるいは硬化炉を用いる。
露光は、紫外線、可視光線、放射線などの活性光線を照射して行う。現像液としては、公知の有機溶媒を用いることもできるが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどのアルカリ水溶液が好ましいものとして挙げられる。
硬化は、石英チューブ炉、ホットプレート、ラピッドサーマルアニール、縦型拡散炉、赤外線硬化炉、電子線硬化炉、及びマイクロ波硬化炉等を用いて行う。なお、マイクロ波硬化炉のうち、周波数可変マイクロ波(VFM)硬化炉を用いると、物性を保ったまま硬化温度を下げることができ好ましい(J.Photopolym.Sci.Technol.,18,327−332(2005)参照)。硬化時間は1分〜4時間程度、雰囲気は空気中あるいは窒素等の不活性ガス中、又は真空中で行う。本発明において、ポジ型感光性樹脂組成物の被膜を硬化するための硬化温度は、200℃以下が好ましく、140〜200℃がさらに好ましい。
基板上の硬化膜は、基板から引き剥がすか、基板を温水又は冷水中、又は希フッ酸水溶液に浸して剥離する。
[パターン形成方法]
次に、本発明によるパターン形成方法について説明する。本発明のパターン形成方法は、上述したポジ型感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布して乾燥する工程と、前記乾燥工程により得られた感光性樹脂膜を露光する工程と、前記露光後の感光性樹脂膜を、アルカリ水溶液を用いて現像する工程と、及び前記現像後の感光性樹脂膜を加熱処理する工程とを含む。以下、各工程について説明する。
(塗布・乾燥(成膜)工程)
まず、ポジ型感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程では、ガラス基板、半導体、金属酸化物絶縁体(例えばTiO2、SiO2等)、窒化ケイ素などの支持基板上に、上述したポジ型感光性樹脂組成物を、スピンナーなどを用いて回転塗布した後、この支持基板をホットプレート、オーブンなどを用いて乾燥する。これにより、支持基板上にポジ型感光性樹脂組成物の被膜が形成される。
(露光工程)
次に、露光工程では、支持基板上で被膜となった感光性樹脂組成物に、マスクを介して紫外線、可視光線、放射線などの活性光線を照射する。
なお、露光後、必要に応じて露光後加熱(PEB)を行ってから、現像工程に進むこともできる。露光後加熱の温度は70℃〜140℃、露光後加熱の時間は1分〜5分が好ましい。
(現像工程)
現像工程では、活性光線が露光した感光性樹脂組成物の露光部を、現像液で除去することによりパターンが得られる。現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,ケイ酸ナトリウム,アンモニア,エチルアミン,ジエチルアミン,トリエチルアミン,トリエタノールアミン,テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどのアルカリ水溶液が好ましいものとして挙げられる。これらの水溶液の塩基濃度は、0.1〜10重量%とすることが好ましい。さらに、上記現像液にアルコール類や界面活性剤を添加して使用することもできる。これらはそれぞれ、現像液100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部の範囲で配合することができる。
(加熱処理工程)
次いで、加熱処理工程では、現像後得られたパターンを加熱処理することにより、オキサゾール環や他の官能基を有する耐熱性のポリオキサゾールのパターンを形成することができる。加熱処理工程における加熱温度は、望ましくは、200℃以下であり、より望ましくは、140〜200℃の範囲である。
また、加熱処理は、石英チューブ炉、ホットプレート、ラピッドサーマルアニール、縦型拡散炉、赤外線硬化炉、電子線硬化炉、及びマイクロ波硬化炉等を用いて行なう。また、大気中、又は窒素等の不活性雰囲気中いずれを選択することもできるが、窒素下で行う方が感光性樹脂組成物膜の酸化を防ぐことができるので望ましい。上記加熱温度範囲では、環化脱水反応が効率的に起き、さらには従来の加熱温度よりも低いため、支持基板やデバイスへのダメージを小さく抑えることができる。従って、本発明のパターン形成方法を用いることによって、デバイスが歩留り良く製造できる。また、プロセスの省エネルギー化につながる。
本発明の加熱処理工程における加熱処理時間は、ポジ型感光性樹脂組成物が硬化するまでの時間、例えば、ポリアミドを脱水閉環などの反応が十分進行するまでの時間であるが、作業効率との兼ね合いから概ね5時間以下が好ましい。
(マイクロ波硬化)
パターン形成方法の加熱処理工程における加熱処理としては、通常の窒素置換されたオーブンを用いる以外に、マイクロ波硬化装置や周波数可変マイクロ波硬化装置を用いることもできる。これらを用いることにより、基板やデバイスの温度を例えば200℃以下に保ったままで、感光性樹脂組成物膜のみを効果的に加熱することが可能である。
周波数可変マイクロ波硬化装置においては、マイクロ波がその周波数を変化させながらパルス状に照射されるので、定在波を防ぐことができ、基板面を均一に加熱することができる点で好ましい。また、基板として後述する電子部品のように金属配線を含む場合、マイクロ波を周波数を変化させながらパルス状に照射すると、金属からの放電等の発生を防ぐことができ、電子部品を破壊から守ることができる点で好ましい。さらに、周波数可変マイクロ波を用いて加熱すると、オーブンに比べて硬化温度を下げても硬化膜物性が低下しないので好ましい(J.Photopolym.Sci.Technol.,18,327−332(2005)参照)。
周波数可変マイクロ波の周波数は0.5〜20GHzの範囲であるが、実用的には1〜10GHzの範囲が好ましく、さらに2〜9GHzの範囲がより好ましい。また、照射するマイクロ波の周波数は連続的に変化させることが望ましいが、実際は周波数を階段状に変化させて照射する。その際、単一周波数のマイクロ波を照射する時間はできるだけ短い方が定在波や金属からの放電等が生じにくく、その時間は1ミリ秒以下が好ましく、100マイクロ秒以下が特に好ましい。
照射するマイクロ波の出力は、装置の大きさや被加熱体の量によっても異なるが、概ね10〜2000Wの範囲であり、実用上は100〜1000Wがより好ましく、100〜700Wがさらに好ましく、100〜500Wが最も好ましい。出力が10W以下では被加熱体を短時間で加熱することが難しく、2000W以上では急激な温度上昇が起こりやすいので好ましくない。
また、マイクロ波は、パルス状に入/切させて照射することが好ましい。マイクロ波をパルス状に照射することにより、設定した加熱温度を保持することができ、また、硬化膜や基材へのダメージを避けることができる点で好ましい。パルス状のマイクロ波を1回に照射する時間は条件によって異なるが、概ね10秒以下が好ましい。
[半導体装置の製造工程]
次に、本発明によるパターン形成方法の一例として、半導体装置の製造工程を図面に基づいて説明する。図1−1〜図1−5は、多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図である。これらの図1−1〜図1−5において、回路素子(図示しない)を有するSi基板等の半導体基板1は、回路素子の所定部分を除いてシリコン酸化膜等の保護膜2で被覆され、露出した回路素子上に第1導体層3が形成されている。半導体基板1上にスピンコート法等でポリイミド樹脂等の層間絶縁膜4が成膜される(図1−1)。
次に、塩化ゴム系、フェノールノボラック系等の感光性樹脂層5が、マスクとして前記層間絶縁膜4上にスピンコート法で形成され、公知の写真食刻技術によって所定部分の層間絶縁膜4が露出するように窓6Aが設けられる(図1−2)。この窓6Aの層間絶縁膜4は、酸素、四フッ化炭素等のガスを用いるドライエッチング手段によって選択的にエッチングされ、窓6Bが空けられている。次いで、窓6Bから露出した第1導体層3を腐食することなく、感光樹脂層5のみを腐食するようなエッチング溶液を用いて感光樹脂層5が完全に除去される(図1−3)。さらに、公知の写真食刻技術を用いて、第2導体層7を形成させ、第1導体層3との電気的接続が完全に行われる(図1−4)。
次に、表面保護膜8を形成する。図1−1〜図1−5の例では、本発明によるポジ型感光性樹脂組成物をスピンコート法にて層間絶縁膜4及び第2導体層7上に塗布、乾燥する。次に、所定部分に窓6Cを形成するパターンを描いたマスク上から光を照射した後、アルカリ水溶液にて現像してパターンを形成する。その後、加熱(硬化)して、表面保護膜8としてのポリオキサゾール膜を形成する(図1−5)。このポリオキサゾール膜は、導体層を外部からの応力、α線などから保護するものであり、得られる半導体装置は信頼性に優れる。
なお、3層以上の多層配線構造を形成する場合は、上記の工程を繰り返して行い、各層を形成することができる。すなわち、層間絶縁膜4を形成する各工程、及び表面保護膜8を形成する各工程を繰り返すことによって、多層のパターンを形成することが可能である。また、上記例において、表面保護膜8だけでなく、層間絶縁膜4も本発明のポジ型感光性樹脂組成物を用いて形成することも可能である。
[電子部品]
次に、本発明による電子部品について説明する。本発明による電子部品は、ポジ型感光性樹脂組成物を用いて上記パターン形成方法によって形成されるパターンを有する。ここで、電子部品としては、半導体装置や多層配線板、各種電子デバイス等を含む。また、上記パターンは、具体的には、半導体装置の表面保護膜や層間絶縁膜、多層配線板の層間絶縁膜等の形成に使用することができる。本発明による電子部品は、前記組成物を用いて形成される表面保護膜や層間絶縁膜を有すること以外は特に制限されず、様々な構造をとることができる。
本発明の感光性樹脂組成物を使用して得られる表面保護膜や層間絶縁膜等を有する電子部品としては、例えば、耐熱性の低いMRAMが好ましいものとして挙げられる。すなわち、本発明の感光性樹脂組成物は、MRAMの表面保護膜用として好適である。
また、上記MRAM以外にも次世代メモリとして有望なポリマーメモリ(Polymer Ferroelectric RAM:PFRAM)や相変化メモリ(Phase Change RAM:PCRAM、あるいはOvonics Unified Memory:OUM)も、従来のメモリに比べて耐熱性の低い新材料を用いる可能性が高い。従って、本発明の感光性樹脂組成物は、これらの表面保護膜用としても好適である。
以上のように、本発明によるポジ型感光性樹脂組成物を使用することにより、従来は300℃以上を必要としていた上記の加熱処理工程において、200℃以下の低温加熱を用いて硬化が可能である。また、本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、200℃以下の硬化においてもその膜物性、特に破断伸びが高く、かつ、ポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜は高いガラス転移温度を有する。従って、脆くなく耐熱性に優れた表面保護膜となる。さらに、プロセスが低温化できることから、デバイスの熱による欠陥を低減でき、信頼性に優れた半導体装置等の電子部品を歩留まり良く高収率で得ることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(合成例1) (a1)成分(4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸と2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンからなり、GPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量が12,000から20,000、分散度が1.2〜2.0であるポリアミド)の合成
攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸15.48g、N−メチルピロリドン90gを仕込み、フラスコを5℃に冷却した後、塩化チオニル12.64gを滴下し、30分間反応させて、4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸クロリドの溶液を得た。次いで、攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン87.5gを仕込み、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン18.30gを添加し、攪拌溶解した後、ピリジン8.53gを添加し、温度を0〜5℃に保ちながら、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロリドの溶液を30分間で滴下した後、30分間攪拌を続けた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収、純水で3回洗浄した後、減圧乾燥してポリヒドロキシアミド(ポリベンゾオキサゾール前駆体)を得た(以下、ポリマーa1とする)。
ポリマーa1のGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は14580、分散度は1.6であった。
(合成例2) ポリアミドの合成
合成例1で使用した4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸の30mol%をシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸に置き換えた以外は、合成例1と同様の条件にて合成を行った。得られたポリヒドロキシアミド(以下、ポリマーa2とする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は18580、分散度は1.5であった。
(合成例3) ポリアミドの合成
攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸15.48g、N−メチルピロリドン90gを仕込み、フラスコを5℃に冷却した後、塩化チオニル12.64gを滴下し、30分間反応させて、4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸クロリドの溶液を得た。次いで、攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン87.5gを仕込み、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン18.30g及び4−アミノ−3−メチルフェノール2.46gを添加し、攪拌溶解した後、ピリジン8.53gを添加し、温度を0〜5℃に保ちながら、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロリドの溶液を30分間で滴下した後、30分間攪拌を続けた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収、純水で3回洗浄した後、減圧乾燥してポリヒドロキシアミドを得た(以下、ポリマーa3とする)。
ポリマーA3のGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は16200、分散度は1.7であった。
(測定例1〜3) 硬化膜の破断伸び率測定と(D)成分の選択
配合
前記ポリアミド(a1)成分100重量部に対し、(C)溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン155重量部、(D)フェノール性水酸基を有する化合物として下記の化学式(XVII)で表される化合物d1〜d3 10重量部、(E)成分である熱潜在酸発生剤としてピリジニウムp−トルエンスルホナート2.5重量部を配合した。この溶液を3μm孔のテフロン(登録商標)フィルタを用いて加圧ろ過して、樹脂組成物の溶液(M’1〜M’3)を得た。
Figure 2007213032
成膜
前記樹脂組成物の溶液(M’1〜M’3)をシリコン基板上にスピンコートして、120℃で3分間加熱し、膜厚12〜14μmの塗膜を形成した。この塗膜をイナートガスオーブン(光洋サーモシステム製INH−9CD−S)を用い、窒素中、温度200℃(昇温時間1.5時間)で1時間加熱処理(硬化)した。
膜物性
上記の方法で硬化した膜厚約10μmのポリオキサゾール膜をシリコン基板から剥離し、剥離膜の平均破断伸度(EL)を島津製作所製オートグラフAGS−H100Nによって測定した。なお、試料の幅は10mm、膜厚は約10μm(9〜11μm内)であり、チャック間は20mmとする。引っ張り速度は5mm/分で、測定温度は室温(20℃〜25℃)程度とする。ここでは、同一条件で得た硬化膜について5本以上の測定値の平均を「平均破断伸度(EL)」とする。樹脂組成物中の(D)成分、及び、ELを表1に示す。
Figure 2007213032
(比較測定例1〜3)
(D)フェノール性水酸基を有する化合物として、d1〜d3の代わりに下記の化学式(XVIII)で表される化合物δ1〜δ3を用いた以外は測定例1〜3と同様にして、樹脂組成物の溶液(M’4〜M’6)を得た。この樹脂組成物を測定例1〜3と同様に成膜し、続いて、ELを測定した。その結果を表1に併記した。
Figure 2007213032
(実施例1〜7) ポジ型感光性樹脂組成物の調製と特性評価
配合
合成例1〜3におけるポリアミド[(A)成分]100重量部に対し、(B)o−キノンジアジト化合物、(C)溶剤、(D)フェノール性水酸基を有する化合物、(E)熱潜在酸発生剤を表2に示した所定量にて配合し、さらに接着助剤として尿素プロピルトリエトキシシランの50%メタノール溶液5重量部を配合した。この溶液を3μm孔のテフロン(登録商標)フィルタを用いて加圧ろ過して、ポジ型感光性樹脂組成物の溶液(M1〜M7)を得た。
実施例1〜7について、上記(A)〜(E)成分は、表2に示すように配合した。すなわち、(A)成分は、上記合成例1〜3で合成したポリマーa1〜a3を使用し、(B)成分は、下記の化学式(XIX)に示すb1、b2を使用した。なお、これらの式中のQは、下記の化学式(XIX)に示すQ:である。(C)成分は、c1としてN−メチル−2−ピロリドンを使用し、c2としてγ−ブチロラクトン/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=90/10(重量比)をそれぞれ使用した。(D)成分は、上記化学式(XVII)に示すd1〜d3を使用し、(E)成分は、下記の化学式(XX)に示すe1、e2を使用した。
Figure 2007213032
表中、()内はポリマー100重量部に対する添加量を重量部で示した。
Figure 2007213032
Figure 2007213032
感光特性
前記ポジ型感光性樹脂組成物の溶液(M1〜M7)をシリコン基板上にスピンコートして、120℃で3分間加熱し、膜厚11〜13μmの塗膜を形成した。その後、i線ステッパー(キャノン製FPA−3000iW)を用いて、マスクを介してi線(365nm)での縮小投影露光を行った。露光後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38%水溶液にて現像を行い、残膜厚が初期膜厚の70〜90%程度となるように現像を行った。その後、水でリンスしパターン形成に必要な最小露光量と解像度を求めた。結果を表3に記す。
Figure 2007213032
解像度:開口している最小の正方形ホールパターン
剥がれ:8μmライン/スペースパターンが剥離しているかどうかを判断
膜物性測定試料のパターニング
さらに、前記ポジ型感光性樹脂組成物の溶液(M1〜M7)をシリコン基板上にスピンコートして、120℃で3分間加熱し、膜厚約15μmの塗膜を形成した。その後、プロキシミティ露光機(キャノン製PLA−600FA)を用いて、マスクを介してi線(365nm)で露光を行った。露光後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38%水溶液にて現像を行い、10mm幅の矩形パターンを得た。その後、前記塗膜を以下の方法で加熱処理(硬化)した。
硬化
硬化は以下の方法で行い、膜厚約10μmのポリオキサゾール膜を得た。
(i)縦型拡散炉(光洋サーモシステム製μ−TF)を用い、窒素中、温度200℃(昇温時間1.5時間)で1時間、塗膜を加熱処理した。
(ii)縦型拡散炉(光洋サーモシステム製μ−TF)を用い、窒素中、温度180℃(昇温時間1.5時間)で1時間、塗膜を加熱処理した。
(iii)周波数可変型マイクロ波硬化炉(ラムダテクノロジー社製Microcure2100)を用い、マイクロ波出力450W、マイクロ波周波数5.9〜7.0GHz、温度175℃(昇温時間5分間)、2時間加熱処理した。
膜物性
上記の方法で硬化した膜厚約10μmのポリオキサゾール膜をシリコン基板から剥離し、剥離膜のガラス転移温度(Tg)をセイコーインスツルメンツ社製TMA/SS600で測定した。なお、試料の幅は2mm、膜厚は9〜11μmであり、チャック間は10mmとする。また、荷重は10gで、昇温速度は5℃/分である。また、剥離膜の平均破断伸度(EL)を島津製作所製オートグラフAGS−H100Nによって測定した。なお、試料の幅は10mm、膜厚は約10μm(9〜11μm内)であり、チャック間は20mmとする。引っ張り速度は5mm/分で、測定温度は室温(20℃〜25℃)程度とする。ここでは、同一条件で得た硬化膜について5本以上の測定値の平均を「平均破断伸度(EL)」とする。硬化条件、Tg、及び、ELを表4に示す。
Figure 2007213032
(比較例1〜3)
合成例1〜3におけるポリアミド[(A)成分]100重量部に対し、(B)o−キノンジアジト化合物、(C)溶剤、(D)フェノール性水酸基を有する化合物として上記化学式(XVIII)で示すδ1〜δ3、(E)熱潜在酸発生剤を配合し、さらに接着助剤として尿素プロピルトリエトキシシランの50%メタノール溶液5重量部を配合した。この溶液を3μm孔のテフロン(登録商標)フィルタを用いて加圧ろ過して、ポジ型感光性樹脂組成物の溶液(M8〜M10)を得た。配合量を表2に併記した。続いて、実施例1〜7と同様に感光特性を調べ、その結果を表3に併記した。さらに、実施例1〜7と同様に硬化膜の物性を測定し、その結果を表4に併記した。
比較例1〜3について、上記(A)〜(E)成分は、表2に示すように配合した。すなわち、(A)成分は、上記合成例で合成したポリマーa1およびa3を使用し、(B)成分は、上記化学式(XIX)に示すb1、b2を使用した。なお、これらの式中のQは、上記化学式(XIX)に示すQ:である。(C)成分は、c1としてN−メチル−2−ピロリドンを使用し、c2としてγ−ブチロラクトン/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=90/10(重量比)をそれぞれ使用した。(D)成分は、上記化学式(XVIII)で表される化合物δ1〜δ3を使用し、(E)成分は、上記化学式(XX)に示すe1、e2を使用した。
(評価試験例)
実施例1〜7及び比較例1〜3のポジ型感光性樹脂組成物を、導体層が形成された基板上にスピンコートした後に乾燥して13μmの塗膜を形成した後、プロキシミティ露光機(キャノン製PLA−600FA)を用いて、マスクを介してi線(365nm)で露光(露光量250mJ/cm2)を行った。露光後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38%水溶液にて現像を行い、100μm角の窓を形成した。これをイナートガスオーブン(光洋サーモシステム製INH−9CD−S)を用い、窒素中、温度200℃(昇温時間1.5時間)で1時間加熱処理し、表面保護膜層を形成し、図2のようなテスト部品(電子部品)を作成した。
作成したテスト部品を温度サイクル試験(−55℃〜125℃、500サイクル)を行い、剥がれやクラック等の不良の有無を観察した。その結果を表5に示す。
Figure 2007213032
[結果の検討]
本発明に適した(D)成分を選択するための評価用の樹脂組成物を200℃で硬化した膜の破断伸び(EL)を表1にまとめた。フェノール性水酸基を有する化合物としてd1〜d3を用いた場合、硬化膜のELが高く、20%以上であった。一方、フェノール性水酸基を有する化合物としてδ1〜δ3を用いた場合、硬化膜は脆く、ELは低かった。
なお、後述するが、ここで良好なELを示した樹脂組成物に用いられているフェノール性水酸基を有する化合物d1〜d3を、本発明の感光性樹脂組成物に用いた場合、硬化膜のELが高くなることがわかった。
感光特性を表3にまとめたが、ここから明らかなように、本発明のポジ型感光性樹脂組成物(実施例1〜7)は感度及び解像度が高い。さらに、実施例1〜7の感度は、フェノール性水酸基を有する化合物としてδ1〜δ3を用いた比較例1〜3より、高くなることがわかった。また、比較例1〜3では、幅の狭いライン/スペースパターンが現像時に剥離する傾向にあるが、本発明の樹脂組成物を用いた場合、パターンの剥離は確認できなかった。
表4は、ポジ型感光性樹脂硬化膜の物性であるが、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は200℃で硬化しても250℃程度のTgを示し、ELは30%以上の高い値を示した。また、実施例1では、180℃硬化(硬化条件ii)でも十分なTg及びELを示した。さらに、175℃マイクロ波硬化(硬化条件iii)膜は、200℃熱硬化(硬化条件i)膜に匹敵する物性であった。一方、フェノール性水酸基を有する化合物としてδ1〜δ3を用いたポジ型感光性樹脂硬化膜(比較例1〜3)は脆く、ELは20%未満であった。さらに、測定中に膜が破断するため、TMAによってTgを測定することができなかった。
表5は、感光性樹脂組成物を表面保護膜層に用いた半導体部品を温度サイクル試験にかけた結果である。表面保護膜層に本発明のポジ型感光性樹脂組成物を用いた場合、200℃で硬化した膜の破断伸びが高いため、温度サイクルで発生するストレスを緩和でき、半導体部品に剥がれやクラックが生じることを防ぐことができる。いっぽう、比較として、200℃で硬化した膜の破断伸びが低い感光性樹脂を用いた場合、ストレスにより界面剥離やクラックが生じた。
以上のように、本発明にかかるポジ型感光性樹脂組成物、パターン形成方法及び電子部品は、感光性樹脂膜を露光、現像後に加熱処理する工程において、フェノール性水酸基を有する化合物がポリアミドと反応する。これによって、本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、200℃以下の硬化においてもその膜物性、特に破断伸び率が高く、かつガラス転移温度も高い。従って、脆くなく耐熱性を始めとする物性に優れた良好な形状のパターンが得られる。さらに、プロセスが低温化できることから、デバイスの熱による欠陥を低減でき、信頼性に優れた半導体装置等の電子部品に有用である。
本発明の実施の形態における多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図である。 本発明の実施の形態における多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図である。 本発明の実施の形態における多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図である。 本発明の実施の形態における多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図である。 本発明の実施の形態における多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図である。 実施例8〜9及び比較例3で作成した電子部品を示す概略断面図である。
符号の説明
1 半導体基板
2 保護膜
3 第1導体層
4 層間絶縁膜層
5 感光樹脂層
6A、6B、6C、6D 窓
7 第2導体層
8 表面保護膜層
9 導体層

Claims (17)

  1. (A)アルカリ水溶液可溶性のポリアミドと、(B)光により酸を発生する化合物と、及び(C)溶剤とを含有してなるポジ型感光性樹脂組成物であって、前記ポジ型感光性樹脂組成物の被膜を200℃以下の温度で加熱処理した厚さ9〜11μmの硬化膜の破断伸び率が、20%以上であることを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物。
  2. 前記硬化膜のガラス転移温度が200℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  3. 前記ポジ型感光性樹脂組成物が、さらに(D)架橋剤を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  4. 前記(D)架橋剤が、フェノール性水酸基を有する化合物であることを特徴とする請求項3に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  5. 前記ポジ型感光性樹脂組成物が、さらに(E)加熱により酸を発生する熱潜在酸発生剤を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のうち、いずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  6. 前記(A)アルカリ水溶液可溶性のポリアミドが、一般式(I)で示される繰り返し単位を有する化合物であることを特徴とする請求項1から請求項5のうち、いずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 2007213032
    (式中、Uは4価の有機基を示し、Vは2価の有機基を示し、nは3〜1000の正数である。)
  7. 前記(D)フェノール性水酸基を有する化合物が、一般式(II)で表される化合物であることを特徴とする請求項3から請求項6のうち、いずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 2007213032
    (式中、Xは単結合又は2価の有機基を示し、R1〜R4は各々独立に水素原子又は一価の有機基を示し、m及びnは各々独立に1〜3の整数であり、p及びqは各々独立に0〜4の整数である。)
  8. 前記一般式(II)のXが、一般式(III)又は式(IV)であることを特徴とする請求項7に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 2007213032
    (式中、tは1〜12の整数である。)
    Figure 2007213032
  9. 前記ポジ型感光性樹脂組成物が、前記(A)成分100重量部に対して、前記(B)成分5〜100重量部を配合してなることを特徴とする請求項1から請求項8のうち、いずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  10. 前記ポジ型感光性樹脂組成物が、前記(A)成分100重量部に対して、前記(D)成分1〜30重量部を配合してなることを特徴とする請求項3から請求項9のうち、いずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  11. 前記ポジ型感光性樹脂組成物が、前記(A)成分100重量部に対して、前記(E)成分0.1〜30重量部を配合してなることを特徴とする請求項5から請求項10のうち、いずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  12. 前記(B)成分が、o−キノンジアジド化合物であることを特徴とする請求項1から請求項11のうち、いずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  13. 架橋剤10重量部と、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸及び2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンからなり、GPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量が12,000から20,000、分散度が1.2〜2.0であるポリアミド100重量部と、ピリジニウムp−トルエンスルホナート2.5重量部と、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン155重量部とからなる樹脂組成物を調製し、この樹脂組成物の被膜を200℃の温度で加熱処理して厚さ9〜11μmの硬化膜としその破断伸び率を測定した際に、その破断伸び率が20%以上となる前記架橋剤を、前記(D)成分の架橋剤として使用することを特徴とする請求項3から請求項12のうち、いずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  14. 請求項1から請求項13のうち、いずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布して乾燥する工程と、前記乾燥工程により得られた感光性樹脂膜を露光する工程と、前記露光後の感光性樹脂膜を、アルカリ水溶液を用いて現像する工程と、及び前記現像後の感光性樹脂膜を加熱処理する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
  15. 前記現像後の感光性樹脂膜を加熱処理する工程において、加熱温度が200℃以下であることを特徴とする請求項14に記載のパターン形成方法。
  16. 請求項14又は請求項15に記載のパターン形成方法により得られるパターンの層を、層間絶縁膜層又は表面保護膜層として有することを特徴とする電子部品。
  17. 前記電子部品が、MRAMであることを特徴とする請求項16に記載の電子部品。
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