JP6346579B2 - 溶液製膜方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶液製膜方法に関する。
スマートフォンやタブレット端末などに搭載される中小型ディスプレイの市場においては、さらなる高精細化が求められている。そのため、それらディスプレイに用いられるフィルムに対しては、フィルム面における平滑度を従来よりもさらに高くすることが要請されている。また、それらディスプレイに用いるフィルムに対しては、厚みをより薄くすること、具体的には40μm以下にすることも併せて求められている。
フィルムは、工業的には通常、長尺に製造され、目的とする大きさにカットされて使用に供される。長尺のフィルムの製造方法としては、大きく分類して、溶液製膜方法と溶融製膜方法とがある。このうち、溶液製膜方法は、フィルム面がより平滑なフィルムを製造することができる点で、溶融製膜方法より優位とされてきた。溶液製膜方法は、ポリマーが溶剤に溶解したドープを流延ダイから、走行する流延支持体上に流出して流延膜を形成し、この流延膜を流延支持体から剥がしてフィルムを形成し、形成したフィルムを乾燥する方法である。流延膜は、剥ぎ取って形成したフィルムが搬送可能になるように、流延支持体上で固められる。流延膜を流延支持体上で固める方法の一手法として、流延膜を乾燥する手法があり、乾燥の手法としては、加熱や、加熱に代えてあるいは加えて乾燥した気体を供給するといった方法がある。気体を流延膜に供給して乾燥させる方法は、流延膜の膜面に、供給した気体の流れで凹凸を生じさせることがある。そのため得られるフィルムのフィルム面も平滑さが損なわれたものになり、フィルムの長手方向に延びた凹凸として認められる。
フィルムの平滑性を向上させる手法としては、従来より提案されている。例えば、流延ダイから流出したドープであるビードに遠赤外線を照射して乾燥させることで、流延膜の平滑性を高め、得られるフィルムを平滑にする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、流延支持体としてベルトを用い、ベルトの流延膜が形成される流延面とは反対側の反流延面に加熱装置を設け、ベルトを介して流延膜を加熱し、また凝縮装置により、気化した溶剤を回収する方法がある(例えば特許文献2参照)。また、流延直後の流延膜に乾燥した気体を供給して膜面に皮膜を形成し、この皮膜による膜面の平滑化を図る方法がある(例えば特許文献3参照)。
特開2012−066483号公報 特開2004−322535号公報 特開2006−306055号公報
しかし、40μm以下という薄いフィルムを製造する場合においては、特許文献3の方法は、供給される気体により流延膜の膜面に凹凸がつき、皮膜により平滑化する間もなく流延膜が乾燥してしまう。そのため、厚みが40μm以下のフィルムには特許文献3の方法は適用することができない。
また、特許文献1,2の方法は、流延膜に対して気体を供給せずに乾燥をすすめるので、気体の流れによって生じる長手方向に延びた凹凸ができない点で一定の効果はある。しかし、特許文献1,2の方法を用いても、40μm以下のフィルムを製造する場合には、このような長手方向に延びた凹凸ではなく、向きがばらついたより細かな凹凸がフィルム面に生じてしまう。フィルム面のこの凹凸の高さの差は、フィルムの厚みの差に対応するので、微小ながらも厚みの差がフィルムにあることを意味する。このような、向きがばらついた厚みのむら、すなわち無指向性のむらは、40μm以下のフィルムを製造する場合において初めて確認されたものであり、中小型ディスプレイの高精細化に求められるレベルの平滑度を満たさない。
そこで、本発明は、無指向性の厚みむらが抑制された40μm以下の厚みのフィルムを製造する溶液製膜方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、厚みが10μm以上40μm以下の範囲内であるフィルムを製造する溶液製膜方法において、走行するベルトにポリマーが溶剤に溶解したドープを連続的に流延して流延膜を形成する流延膜形成工程と、ベルトのドープが流涎される流延面と対向して設けられ、流延膜に向けて赤外線を射出する赤外線ヒータにより流延膜に赤外線を照射し、無給気状態下で流延膜を加熱することにより乾燥し、流延膜における溶剤含有率が300%に達するまで、流延膜上での風速を0.5m/秒以下に抑えた状態で、ベルトの側縁に対向した吸引口を有する気体吸引部により、ベルトの側縁よりも外側にて気体を吸引することにより流延膜上の雰囲気における気化した溶剤の濃度を10%以下に抑える吸引乾燥工程と、第1流延膜乾燥工程後の流延膜に乾燥気体を供給することにより流延膜の乾燥をすすめる給気乾燥工程と、溶剤を含んだ状態の流延膜をベルトから剥がしてフィルムを形成する剥ぎ取り工程と、フィルムを乾燥するフィルム乾燥工程とを有することを特徴として構成されている。
上記吸引口は、ベルトの走行方向において赤外線ヒータが配されている加熱領域に、設けられていることが好ましい。吸引口は、ベルトの走行方向に延びていることが好ましい。
流延膜形成工程はベルトの上側に設けられた流延ダイからドープを流出し、上記吸引口の下端はベルトの反流延面よりも低いことが好ましい。
吸引乾燥工程は、吸引する気体の量を調節することにより、気化した溶剤の濃度を調整することが好ましい。気体吸引部は、吸引口に移動自在に備えられて上記吸引口の開度を調節する開度調節部材を有し、上記吸引口の開度を調節することにより吸引する気体の量を調節することが好ましい。
開度調節部材は、上下方向で移動自在とされ、上方への変位により吸引口を開状態とする開放位置と、下方への変位により吸引口を閉状態とする閉塞位置との間で移動することが好ましい。
吸引乾燥工程は、第1の位置で気体を吸引する第1吸引工程と、第1の位置よりもベルトの走行方向における下流の第2の位置で気体を吸引する第2吸引工程とを有し、第2吸引工程は、第1吸引工程よりも吸引する気体の量が少ないことが好ましい。
ベルトのドープが流延される流延面とは反対側の反流延面に赤外線を照射することにより、ベルトを介して流延膜を加熱することが好ましい。
本発明によると、無指向性の厚みむらが抑制された40μm以下の厚みのフィルムを製造することができる。
溶液製膜設備の概略図である。 吸引乾燥ユニットの平面概略図である。 図2のIII−III線に沿う断面図である。 送風部の概略図である。 実施例1−3で得られたフィルムを透過光で撮影した顕微鏡写真である。 比較例1−4で得られたフィルムを透過光で撮影した顕微鏡写真である。
本発明の実施した溶液製膜設備10は、厚みが10μm以上40μm以下のフィルム22を製造するためのものであり、図1に示すように、流延装置11と、テンタ12と、ローラ乾燥装置15と、スリッタ16と、巻取装置17とを、上流側から順に備える。なお、本明細書においては、溶剤含有率(単位;%)は乾量基準の値であり、具体的には、溶剤の質量をMS、フィルム22の質量をMFとするときに、{MS/(MF−MS)}×100で求める百分率である。
流延装置11は、ポリマーが溶剤に溶解したドープ21からポリマーフィルム(以降、単に「フィルム」と称する)22を形成するためのものである。ドープ21は、ポリマーが溶剤に溶解したポリマー溶液であり、フィルム22になる固形分としてポリマー以外のものが含まれていてもよい。ポリマー以外の固形分としては、例えば、可塑剤、紫外線吸収剤、レタデーション制御剤、微粒子等があり、本実施形態では可塑剤を含ませている。微粒子は、フィルム22に滑り性や耐傷性を付与したり、フィルム22を重ねた際の貼り付きなどを抑制するなどの目的で使用されるいわゆるマット剤である。ドープ21における固形分は、固形分の質量をMPとし、溶剤の質量をMSとするときに、MP/(MP+MS)×100で求める百分率で10%以上23%以下の範囲内とされ、本実施形態では19%としている。
溶剤としては、本実施形態においては、ジクロロメタンとメタノールとの混合物を用いている。溶液製膜において用いられる溶剤は、気体状態において気体より重いものが用いられるのが通常であり、本実施形態の溶剤も気体状態において気体より重い。溶剤は本実施形態の例に限られず、例えば、ブタノール、エタノール、プロパノール等が用いられ、これらは混合物として2種以上を併用してもよい。
流延装置11は、環状に形成された無端の流延支持体であるベルト23と、周方向に回転する第1ローラ26及び第2ローラ27とを備える。ベルト23は、第1ローラ26と第2ローラ27との周面に巻き掛けられる。第1ローラ26と第2ローラ27との少なくともいずれか一方が駆動手段を有する駆動ローラであればよく、本実施形態においては第1ローラ26と第2ローラ27との両方が駆動ローラとされている。この駆動ローラが周方向に回転することにより、周面に接するベルト23が長手方向に走行して循環する。なお図1において符号Xを付している矢線は、ベルト23の走行方向ならびにフィルム22の搬送方向を示している。
ベルト23の上方にはドープ21を流出する流延ダイ(以下、ダイと称する)28が備えられる。走行しているベルト23にダイ28からドープ21を連続的に流出することにより、ドープ21はベルト23上で流延されて流延膜29が形成される。なお、ドープ21がベルト23に接触を開始する位置を、以下、流延位置PCと称する。
本実施形態においては、ダイ28は、第1ローラ26上のベルト23の上方に設けており、流延位置PCは第1ローラ26上としている。しかし、ダイ28の位置はこれに限定されない。例えば、第1ローラ26から第2ローラ27へ向かうベルト23の上方に設けてもよい。この場合には、第1ローラ26から第2ローラ27へ向かうベルト23の下方にローラ31を配し、ローラ31により支持されているベルト23の上方にダイ28を配することが好ましい。
第1ローラ26と第2ローラ27とは、それぞれ周面温度を制御する温度コントローラ(図示せず)を備える。例えば、第1ローラ26は、周面温度が所定の範囲となるように冷却する。第1ローラ26を冷却することにより、ベルト23は1周する毎に冷却される。これにより、連続走行して後述の吸引乾燥ユニット41と給気乾燥ユニット42とにより加熱され続けても、ベルト23、特に両側部23s(図2参照)の温度上昇が抑えられる。第2ローラ27は、周面温度が所定の範囲となるように加熱する。第2ローラ27を加熱することにより、流延膜29はより効果的に乾燥する。
第1ローラ26の周面温度は、3℃以上30℃以下の範囲にすることが好ましく、5℃以上25℃以下の範囲にすることがより好ましく、8℃以上20℃以下の範囲にすることがさらに好ましい。第2ローラ27の周面温度は、20℃以上50℃以下の範囲にすることが好ましく、25℃以上45℃以下の範囲にすることがより好ましく、30℃以上40℃以下の範囲にすることがさらに好ましい。
ダイ28からベルト23に至るドープ21、いわゆるビードに関して、ベルト23の走行方向における上流には、減圧チャンバが設けられるが図示は略す。この減圧チャンバは、流出したドープ21の上流側エリアの雰囲気を吸引して前述のエリアを減圧する。
流延膜29を、テンタ12への搬送が可能な程度にまで固く(ゲル化)してから、溶剤を含む状態でベルト23から剥がし、フィルム22を形成する。剥ぎ取りは、溶剤含有率が70%以下になってから行うことが好ましく、より好ましくは10%以上70%以下の範囲内、さらに好ましくは20%以上50%以下の範囲内で行うことがより好ましい。
剥ぎ取りの際には、フィルム22を剥ぎ取り部としてのローラ(以下、剥取ローラと称する)32で支持し、流延膜29がベルト23から剥がれる剥取位置PPを一定に保持する。剥取ローラ32は、駆動手段を備えて周方向に回転する駆動ローラであってもよい。なお、剥ぎ取りは、第1ローラ26上のベルト23で行っている。ベルト23は循環して剥取位置PPから流延位置PCに戻ると再び新たなドープ21が流延される。
流延装置11は、吸引乾燥ユニット41と給気乾燥ユニット42とを備える。吸引乾燥ユニット41は、赤外線ヒータ50と、第1吸引部51,第2吸引部52,第3吸引部53とを備え、第1ローラ26から第2ローラ27へ向かうベルト23の走行路近傍に配されており、流延膜29を形成直後から溶剤含有率が300%に達するまで乾燥させる。吸引乾燥ユニット41の詳細は、別の図面を用いて後述する。
給気乾燥ユニット42は、吸引乾燥ユニット41での乾燥を経た流延膜29を、ベルト23から剥ぎ取った後の搬送ができる程度にまでさらに乾燥させる給気乾燥部である。給気乾燥ユニット42は、ベルト23の走行方向における吸引乾燥ユニット41よりも下流に設けられ、上流側から第1給気部45,排気部46,第2給気部47の順に、ベルト23の走行方向に沿って並べて配されている。第1給気部45は、第1ローラ26から第2ローラ27へ向かうベルト23の走行路近傍に配され、排気部46と第2給気部47とは、第2ローラ27から第1ローラ26へ向かうベルト23の走行路近傍に配されている。
第1給気部45と第2給気部47とは乾燥した気体を流出し、排気部46は気体を吸引して排気する。ここで、ベルト23、ダイ28、赤外線ヒータ50、第1吸引部51,第2吸引部52,第3吸引部53、第1給気部45,排気部46,第2給気部47などは、外部空間と仕切るチャンバ56の内部に収容されており、排気部46は吸引した気体をこのチャンバ56の外部へ排気する。給気乾燥ユニット42は、チャンバ56の外部に、コントローラ57を備える。コントローラ48は、第1給気部45と第2給気部47とに乾燥した気体(以下、乾燥気体と称する)、例えば空気を送り、その気体の温度、湿度、第1給気部45と第2給気部47とからの流量、排気部46での気体の吸引力を独立して調節する。本実施形態においては、第1給気部45と第2給気部47とからの乾燥気体は、コントローラ48により概ね100℃に加熱されてある。このように加熱された気体を温風として流延膜29上に流すことにより、流延膜29を加熱し、乾燥をすすめる。乾燥気体の温度は、50℃以上140℃以下の範囲内であることが好ましい。
第1給気部45は、乾燥気体を流出する流出口45aがベルト23の走行方向Xに向くように配されており、これにより、搬送されている流延膜29に対し乾燥気体を追い風で供給する。この乾燥気体は流延膜29の膜面に対して並行な流れとなる。第2給気部47は、乾燥気体を流出する流出口47aがベルト23の走行方向Xとは反対側に向くように配されており、これにより、搬送されている流延膜29に対し乾燥気体を向かい風で供給する。この乾燥気体も流延膜29の膜面に対して並行な流れとなる。排気部46は、気体を吸引する吸引口46aが通過する流延膜29に向くように配されており、第1給気部45と第2給気部47との間で気体を吸引する。なお、流出口45a,流出口47a,吸引口46aは、ベルト23の幅方向(図1の紙面奥行き方向)に延びたスリット状の開口としている。
本実施形態では、第1給気部45と排気部46と第2給気部47とをコントローラ48によりそれぞれ独立して制御しているが、この態様に限られない。例えば、第1給気部45と排気部46と第2給気部47とにそれぞれコントローラ(図示無し)を設け、各コントローラにより第1給気部45と排気部46と第2給気部47とを制御してもよい。
ベルト23からの剥ぎ取りにより形成されたフィルム22は、テンタ12に案内される。流延装置11とテンタ12との間の搬送路には、送風装置(図示無し)を配してもよい。この送風装置からの送風により、フィルム22の乾燥がすすめられる。
テンタ12は、フィルム22を搬送しながら乾燥をすすめる第1のフィルム乾燥装置である。本実施形態のテンタ12は、フィルム22の各側部を保持部材としてのクリップ12aで保持して長手方向に搬送しながら、幅方向での張力を付与することで、フィルム22を幅方向に延伸する延伸処理も行う。テンタ12には、上流側から順に、予熱エリア、延伸エリア、及び緩和エリアが形成されてある。なお、緩和エリアは無くてもよい。
テンタ12は、1対のレール(図示無し)及びチェーン(図示無し)を備える。レールはフィルム22の搬送路の両側に設置され1対のレールは所定の間隔で離間して配される。このレール間隔は、予熱エリアでは一定であり、延伸エリアでは下流に向かうに従って次第に広くなり、緩和エリアでは一定である。なお、緩和エリアのレール間隔は、下流に向かうに従って次第に狭くなるようにしてもよい。
チェーンは、原動スプロケット及び従動スプロケット(図示無し)に掛け渡され、レールに沿って移動自在に取り付けられている。複数のクリップ12aは、チェーンに所定の間隔で取り付けられている。原動スプロケットの回転により、クリップ12aはレールに沿って循環移動する。クリップ12aは、テンタ12の入口近傍で、案内されてきたフィルム22の保持を開始し、出口に向かって移動して、出口近傍で保持を解除する。保持を解除したクリップ12aは再び入口近傍に移動して、新たに案内されてきたフィルム22を保持する。
予熱エリア、延伸エリア、緩和エリアは、ダクト12bからの乾燥風の送り出しによって空間として形成されたものであり、明確な境界があるわけではない。ダクト12bはフィルム22の搬送路の上方に設けられる。ダクト12bは、乾燥気体(例えば乾燥した空気)を送り出すスリットを有し、乾燥気体は送風機(図示無し)から供給される。送風機は、所定の温度や湿度に調整した乾燥風をダクト12bに送る。スリットがフィルム22の搬送路と対向するようにダクト12bは配される。各スリットはフィルム22の幅方向に長く伸びた形状であり、搬送方向で互いに所定の間隔をもって形成されている。なお、同様の構造を有するダクトを、フィルム22の搬送路の下方に設けてもよいし、フィルム22の搬送路の上方と下方との両方に設けてもよい。
ローラ乾燥装置15は、フィルム22をさらに乾燥させるための第2の乾燥装置である。ローラ乾燥装置15の内部の雰囲気は、温度や湿度などが空調機(図示無し)により調節されている。ローラ乾燥装置15では、多数のローラ15aにフィルム22が巻き掛けられて搬送される。
スリッタ16は、フィルム22の両側部を切除して目的とする幅にするためのものである。この切除では、クリップ12aよる保持跡を含むようにフィルム22の両側部を切除する。巻取装置17は、フィルム22を巻き芯に巻いてロール状にする。
吸引乾燥ユニット41について、図2を参照しながら説明する。吸引乾燥ユニット41は、前述のように流延膜29を形成直後から溶剤含有率が300%に達するまで乾燥するための吸引乾燥部であり、流延位置PCの下流に設けられている。本実施形態では、流延位置PCの下流側近傍にラビリンスシール61を設けてあり、吸引乾燥ユニット41は可能な限りラビリンスシール61に近づけて配してある。ラビリンスシール61は、チャンバ56の内壁から先端をベルト23に向けて、ベルト23に対して起立した姿勢で設けられている。なお、ラビリンスシール61の他に、ダイ28の上流側にもラビリンスシール62(図1参照)は設けてあり、これらラビリンスシール61,62は、ダイ28を囲む空間を形成するためのものである。これにより、前述のビードの形状が安定するとともに、ダイ28の周囲における気圧のばらつきや気圧の変化が抑制される。
加熱部としての赤外線ヒータ50は、流延膜29を加熱することにより乾燥するためのものである。赤外線ヒータ50は、ベルトに対向して配された複数の射出部50aと、射出部50aを支持する基板50bとを備える。射出部50aは、赤外線を射出し、流延膜29に照射するものであり、図2においては、各射出部50aを大きく誇張して描いている。したがって、図2では、射出部50aの数は、ベルト23の幅方向Yに9個、ベルトの走行方向Xに20個とされているが、実際の数はこれよりも覆い。また、本実施形態においては、複数の射出部50aを、マトリックス状に並べているが、他の並べ方でもよく、規則的な並びでなくてもよい。なお、ベルト23の幅方向Yは、流延膜29,フィルム22の各幅方向と互いに一致するので、以降の説明においては単に幅方向と称して、いずれも符号Yを付す。
射出部50aからの赤外線の照射により流延膜29は加熱されて昇温し、乾燥がすすむ。ここで、赤外線ヒータ50は、幅方向Yにおける長さが流延膜29の幅よりも小さく形成されており、また、射出部50aが流延膜29の側縁29eよりも幅方向Yにおける内側に位置するように配されている。流延膜29はベルト23のドープ21が流延される流延面23aの両側部23sには形成されないので、両側部23sは露呈した状態で通過するが、赤外線ヒータ50を上記の大きさ及び配置とすることで、両側部23sの加熱が抑制されている。両側部23sの加熱が抑制されることで、流延膜29の側部の過度な加熱も抑制され、流延膜29の側部における発泡も生じない。
ベルト23の走行方向Xにおいて赤外線ヒータ50による加熱領域RHには、第1吸引部51,第2吸引部52,第3吸引部53が設けられる。ベルト23の走行方向Xにおいて、第2吸引部52は第1吸引部51の下流に、第3吸引部53は第2吸引部52の下流に設けられている。このように、第1吸引部51,第2吸引部52,第3吸引部53は、ベルト23の走行方向Xに沿って設けられている。
第1吸引部51,第2吸引部52,第3吸引部53は、流延膜29上での風速を0.5m/秒以下に抑制した状態で、流延膜29上の雰囲気における溶剤ガスの濃度を低く抑えるためのものである。なお、0.5m/秒という風速は、ベルト23の走行速度に対する相対速度であり、マイナス(−)の値は考えない。風速は、小さいほど好ましい。具体的には、0.5m/秒以下であることがより好ましく、0.3m/秒以下であることが更に好ましい。溶剤ガスの濃度は低いほど好ましく、10%以下であると一定の効果はある。溶剤ガスの濃度は、5%以下であることがより好ましく、2%以下であることがさらに好ましい。第2吸引部52,第3吸引部53は、第1吸引部51と同様に構成されているので、以下の説明においては第1吸引部51について説明し、第2吸引部52,第3吸引部53については、説明を略す。なお、第1吸引部51,第2吸引部52,第3吸引部53に代えて、溶剤ガスを冷却して凝縮する凝縮装置を用いてもよい。
第1吸引部51は、ベルト23の走行方向Xに延びた吸引口51a(図3参照)が形成されており、この吸引口51aから気体を吸引することにより、前述の風速を抑えた状態に維持しつつ、溶剤ガスの濃度を低く抑える。第1吸引部51は、幅方向Yにおけるベルト23の側縁23eよりも外側に配されている。本実施形態におけるベルト23の幅は概ね2mと大きいので、気体の吸引をより確実にするために、両側縁23eの外側に1対設けてある。第2吸引部52、第3吸引部53についても同様に、両側縁23eの外側に1対設けてある。
図3において、第1吸引部51は吸引機構68に接続しており、この吸引機構68により吸引する気体の量(以下、吸引量と称する)を調節する。また吸引機構68は気体清浄装置(図示無し)を有しており、第1送風部から案内されてきた気体から溶剤ガスを除去して、溶剤ガスの濃度が極めて低い気体にする。第1吸引部51は、吸引口51aがベルト23の側縁23eに対向して設けられている。吸引口51aの下端はベルト23の流延面23aとは反対側の反流延面23bよりも低い位置にされていることが好ましく、本実施形態でもそのようにしている。また、吸引口51aの上端はベルト23の流延面23aよりも高く位置しているが、反流延面23bよりも低い位置でも構わない。
第1吸引部51の吸引口51aとベルト23の側縁23eとの距離を第1距離D1とするときに、第1吸引部51は、第1距離D1が100mmとなるように配されている。ただし、第1距離D1はこれに限定されず、50mm以上500mm以下の範囲内であることが好ましく、50mm以上200mm以下の範囲内であることがより好ましい。
吸引口51aには、多孔板70と開度調節部材としての開度調節板71とが設けられている。多孔板70は、第1吸引部51による気体の吸引量を、吸引口51aにおいて一定に平均化するためのものである。多孔板70は、孔70aが複数設けられており、気体は孔70aから第1吸引部51内に引き込まれる。本実施形態において孔70aの形状は円形(真円)としているが、楕円や多角形に代えてもよく形状は特に限定されない。孔70aの径は本実施形態では概ね20mmとしているが、これに限られず、10mm以上100mm以下の範囲内が好ましい。なお図3においては、多孔板70に対して孔70aを大きく誇張して描いている。開度調節板71は、吸引量を調節するためのものである。本実施形態では、吸引量の調節を吸引機構68と開度調節板71との両方で行っており、具体的には吸引機構68での調節後に、開度調節板71で精緻ないわゆる微調整を行っている。開度調節板71は、多孔板70のベルト23との対向面側に設けられている。開度調節板71は、シフト機構72を備え、このシフト機構72により、すべての孔70aを開状態とする開放位置と、すべての孔70aを平状態とする閉塞位置との間で移動自在とされており、開放位置と閉塞位置との間の任意の位置にセットされる。本実施形態の開度調節板71は上下方向で移動自在としていることで、吸引口51aをベルト23の走行方向Xにおいて一定の開度に設定することが可能である。
また、ベルト23と赤外線ヒータ50との間であって幅方向Yにおける概ね中央に、センサ63が設けられている。この例では、センサ63は、赤外線ヒータ50の下面に設けている。センサ63は、流延膜29上の風速を検出する第1検出部(図示無し)と流延膜29から気化した溶剤、すなわち溶剤ガスの濃度を検出する第2検出部(図示無し)とを備える。
吸引量は、センサ63により検出される風速と、溶剤ガスの濃度とに基づいて調節することが好ましい。本実施形態では、センサ63により検出された風速と溶剤ガスの濃度とに基づいて、コントローラ73によりシフト機構72と吸引機構68とを制御することで、吸引量を調節している。
この例では、赤外線ヒータ50は、ベルト23の流延面23aと対向して設けられており、流延膜29に向けて赤外線を射出する。ただし、赤外線ヒータ50は、流延面23aと対向する位置に代えて、または加えて、反流延面23bと対向して設けられてもよい。反流延面23bと対向して設ける場合の赤外線ヒータ50は、反流延面23bに向けて赤外線を射出する。なお、流延面23aと赤外線ヒータ50との距離を第2距離D2とするときに、本実施形態では、第2距離D2を50mmとしているが、これに限られず、10mm以上200mm以下の範囲内であればよい。
図4において、第2吸引部52と第3吸引部53とには、第1吸引部51と同様に多孔板70と開度調節板71と吸引機構68とが設けられている。なお、図4においては吸引機構68の図示は略している。ここで、流延膜29からの溶剤ガスの発生量は、形成直後が最も多く、下流に向かうほど少なくなる。そこで本実施形態では、ベルト23の走行方向Xにおいて、下流の吸引部ほど開度を小さくしている。すなわち、第1吸引部51、第2吸引部52、第3吸引部53の順で吸引口51a、52a、53aの開度が小さい。また、吸引機構により設定される吸引力も、第1吸引部51、第2吸引部52、第3吸引部53の順で低く設定される。これにより、最も上流の第1の位置において第1吸引部51は最も多い吸引量で気体を吸引し(第1吸引工程)、第1の位置よりも下流の第2の位置において第2吸引部52は第1吸引部51よりも少ない吸引量で気体を吸引し(第2吸引工程)、第2の位置よりも下流の第3の位置において第3吸引部53は第2吸引部52よりも少ない吸引量で気体を吸引する(第3吸引工程)。
上記構成の作用を説明する。走行するベルト23へダイ28から連続的にドープ21が流出されることにより、ベルト23上に流延膜29が形成される。流延膜29は、走行するベルト23により搬送され、吸引乾燥ユニット41に案内される。流延膜29は、赤外線ヒータ50の下方を通過することで、赤外線が直接照射され、加熱される。この加熱により、昇温し、乾燥がすすめられる。ベルト23の下方に赤外線ヒータ50を配した場合には、流延膜29はベルト23を介して加熱される。赤外線ヒータ50による加熱により、赤外線ヒータ50を通過後の流延膜29は溶剤含有率が300%以下になる。
加熱領域RHでは、第1吸引部51,第2吸引部52,第3吸引部53による気体の吸引が行われる。この吸引は非常に小さな吸引量(例えば、0.1m/s以上0.7m/s以下の範囲内)により行われ、流延膜29の溶剤含有率が300%以下になるまでの間、流延膜29上の風速は0.5m/秒以下に抑えられる(吸引乾燥工程)。風速がこのように小さく抑えられることにより、溶媒含有率が高い流延膜29であっても膜面の平滑性が損なわれず、得られるフィルム22には無指向性の厚みむらが発生しない。強い風速で給気して乾燥させる手法では、流延膜29の膜面が給気により凹凸形状を成したまま乾燥してしまい、厚みが例えば80μm以上などの厚いフィルムで効果的な皮膜形成による膜面の平滑化の作用は得られない。これに対して、上記のように給気をしないいわゆる無給気状態下で流延膜29を赤外線ヒータ50で加熱し、かつ流延膜29上の風速を小さく抑える手法によると、流延膜29は、膜面を平滑に保った状態で、厚み方向で概ね均一に乾燥がすすむ。
流延膜29上において風速を0(ゼロ)にしても溶剤ガスの濃度が高ければ溶剤ガスの対流が生じて、無指向性の厚みむらがフィルム22に発生する。しかし、第1吸引部51,第2吸引部52,第3吸引部53による気体の吸引により、流延膜29上の雰囲気における溶剤ガスの濃度は低く抑えた状態に制御され、例えば10%以下という低い濃度に確実に抑えられる。10%以下に溶剤ガスの濃度がおさえられることで、流延膜29上における溶剤ガスの対流が抑えられるから、無指向性の厚みむらの発生は確実に抑制される。
第1吸引部51,第2吸引部52,第3吸引部53はそれぞれベルト23の側縁23eよりも外側に配されているから、吸引量を上昇させても流延膜29上の風速の急激な上昇が抑えられる。さらに、流延膜29上の風速は穏やかに制御されるので、風速は急激に変化することがない。また、吸引口51a,52a,53aは、ベルト23の走行方向Xに沿って延びてそれぞれ形成されているから、ベルト23の走行方向Xにおける広い領域で、流延膜29上の風速が制御されるとともに溶剤ガスの濃度が低く抑えられる。
ドープ21の溶剤には、気体状態において通常は空気よりも重いものが使用され、本実施形態におけるジクロロメタンも気体状態において空気よりも重い。そこで、本実施形態のように吸引口51aの下端をベルト23の反流延面23bよりも低い位置にすることで、溶剤ガスはより確実に吸引される。
第1距離D1は、50mm以上500mm以下の範囲内とされているから、流延膜29上の風速は0.5m/秒以下により確実に抑えられ、また溶剤ガスの濃度も例えば10%以下に低く抑えられる。第1距離D1が50mm以上である場合には、50mm未満である場合に比べて、流延膜29上の風速をより穏やかに制御して風速の急激な変化が抑えられる。第1距離D1が500mm以下である場合には、500mmより大きい場合に比べて、流延膜29上の風速はより確実に0.5m/秒以下に抑えられるとともに、また、溶剤ガスの濃度も確実に10%以下に低く抑えられる。
吸引機構68と開度調節板71とにより吸引量は調節されるから、溶剤ガスの濃度はより確実に調整される。また、第1吸引部51、第2吸引部52、第3吸引部53の順で吸引量は低くされるから、溶剤ガスは濃度を確実に低く抑えられながらも、風速がより穏やかな変化の下で0.5m/秒以下に小さく抑えられる。
吸引乾燥ユニット41を通過した流延膜29は、給気乾燥ユニット42へ案内される。第1給気部45と第2給気部47とからの給気(風速は概ね3m/s以上20m/s以下の範囲内)により、流延膜29は乾燥をすすめられる。排気部46は、気体を吸引する吸引口46aが通過する流延膜29に向くように配されており、第1給気部45と第2給気部47との間で気体を吸引するから、第1給気部45と第2給気部47とから流出した乾燥気体は、より確実に流延膜29上を流れる。このため、流延膜29の乾燥はより効率的にすすむ。また、流延膜29は、吸引乾燥ユニット41により300%以下に溶剤含有率を下げられているから、第1給気部と第2給気部47とからの乾燥気体の流量を多めに設定しても流延膜29の露呈した膜面の平滑性が維持される。
流延膜29をベルト23から剥ぎ取られることで形成されるフィルム22は、テンタ12で搬送されながら、ダクト12bからの乾燥風により乾燥をすすめられるとともに、クリップ12aにより幅方向に延伸されて目的とする光学特性を発現する。フィルム22は、ローラ乾燥装置15によりさらに乾燥されて、スリッタ16で側部を除去された後に、巻取装置17によりロール状に巻かれる。
本発明は、ベルト23の走行速度を大きくするほど、ベルト23の幅が広いほど、製造するフィルム22の幅が広い場合ほど、効果がある。本発明は、液晶ディスプレイ等の位相差フィルムとして用いるフィルムを製造する場合に特に好ましい。
本実施形態では、ドープ21のポリマーとして、セルローストリアセテート(以下、TACと称する)を用いているが、TACに代えて他のセルロースアシレートを用いてもよい。セルロースアシレートのアシル基は1種類だけでも良いし、あるいは2種類以上のアシル基を有していても良い。アシル基が2種以上であるときは、その1つがアセチル基であることが好ましい。セルロースの水酸基をカルボン酸でエステル化している割合、すなわち、アシル基の置換度が下記式(I)〜(III)の全てを満足するものが好ましい。なお、以下の式(I)〜(III)において、A及びBは、アシル基の置換度を表わし、Aはアセチル基の置換度、またBは炭素原子数3〜22のアシル基の置換度である。
(I) 2.0≦A+B≦3.0
(II) 1.0≦ A ≦3.0
(III) 0 ≦ B ≦2.0
アシル基の全置換度A+Bは、2.20以上2.90以下であることがより好ましく、2.40以上2.88以下であることが特に好ましい。また、炭素原子数3〜22のアシル基の置換度Bは、0.30以上であることがより好ましく、0.5以上であることが特に好ましい。
また、ドープ21のポリマーはセルロースアシレートに限られない。例えば、アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂(例えばJSR(株)製のアートン(登録商標))等でもよい。
以下、本発明の実施例と、本発明に対する比較例とを挙げる。詳細は、実施例1に記載し、その他の実施例及び比較例では、実施例1と異なる条件のみを記載する。
フィルム22になる固形分を、溶剤の第1成分としてのジクロロメタン92質量部と溶剤の第2成分としてのメタノール8質量部との混合物に溶解して、固形分が19.0質量%のドープ21をつくった。固形分は、以下のTACと第1可塑剤と第2可塑剤である。第1可塑剤はトリフェニルフォスフェートであり、第2可塑剤はビフェニルジフェニルフォスフェートである。つくったドープ21は、静置脱泡した後に、送液ポンプによってフィルタを通して異物を除去し、異物除去後のドープ21を流延に供した。
TAC 100質量部
第1可塑剤 7質量部
第2可塑剤 5質量部
図1に示す溶液製膜設備10により、ドープ21から厚みが40μmのフィルム22を製造した。ベルト23の走行速度は50m/分とした。吸引乾燥ユニット41により、流延膜29上の雰囲気の溶剤ガスの濃度と、流延膜29上の風速とを表1に示す各条件とした実施例1−1〜1−15を行った。得られたフィルム22の厚みは、小野計測社製の厚み測定機DG125で測定し、40μmであることを確認した。
得られた各フィルム22につき、無指向性の厚みむらの有無を評価した。評価は、透過光を用いて観察し、濃淡差をもって評価した。なお濃淡差は、微小なものとして確認されるものであり、目視で認められなかった場合を無指向性の厚みむらがないものとして合格と、認められたものを無指向性の厚みむらがあるものとして不合格と評価した。合格である場合の一例として、実施例1−3の写真を図5に示す。また、不合格である場合の一例として、後述の比較例1−4の写真を図6に示す。図5中及び図6中においては、上方向がベルト23の走行方向Xに対応する。結果は表1の「評価結果」欄に示す。
[比較例1]
吸引乾燥ユニット41により、流延膜29上の雰囲気の溶剤ガスの濃度と、流延膜29上の風速とを表1に示す各条件にして、比較例1−1〜1−20を行った。その他の条件は実施例1と同じである。
得られた各フィルムについて、無指向性の厚みむらの有無を、実施例1と同様の方法及び評価基準で評価した。評価結果は表1に示す。
ドープ21から厚みが25μmのフィルム22を製造する実施例2−1〜2−15を実施した。その他の条件は実施例1と同じである。
得られた各フィルム22について、無指向性の厚みむらの有無を、実施例1と同様の方法及び評価基準で評価した。評価結果は表2に示す。
[比較例2]
吸引乾燥ユニット41により、流延膜29上の雰囲気の溶剤ガスの濃度と、流延膜29上の風速とを表1に示す各条件にして、比較例2−1〜2−20を行った。その他の条件は実施例1と同じである。
得られた各フィルムについて、無指向性の厚みむらの有無を、実施例1と同様の方法及び評価基準で評価した。評価結果は表2に示す。
10 溶液製膜設備
12 テンタ
15 ローラ乾燥装置
21 ドープ
22 フィルム
15 流延装置
23 バンド
29 流延膜
41 吸引乾燥ユニット
42 給気乾燥ユニット
50 赤外線ヒータ
51〜53 第1〜第3吸引部
RH 加熱領域

Claims (9)

  1. 厚みが10μm以上40μm以下の範囲内であるフィルムを製造する溶液製膜方法において、
    走行するベルトにポリマーが溶剤に溶解したドープを連続的に流延して流延膜を形成する流延膜形成工程と、
    前記ベルトの前記ドープが流涎される流延面と対向して設けられ、前記流延膜に向けて赤外線を射出する赤外線ヒータにより前記流延膜に赤外線を照射し、無給気状態下で前記流延膜を加熱することにより乾燥し、前記流延膜における溶剤含有率が300%に達するまで、前記流延膜上での風速を0.5m/秒以下に抑えた状態で、前記ベルトの側縁に対向した吸引口を有する気体吸引部により、前記ベルトの側縁よりも外側にて気体を吸引することにより前記流延膜上の雰囲気における気化した前記溶剤の濃度を10%以下に抑える吸引乾燥工程と、
    前記第1流延膜乾燥工程後の前記流延膜に乾燥気体を供給することにより前記流延膜の乾燥をすすめる給気乾燥工程と、
    前記溶剤を含んだ状態の前記流延膜を前記ベルトから剥がしてフィルムを形成する剥ぎ取り工程と、
    前記フィルムを乾燥するフィルム乾燥工程とを有することを特徴とする溶液製膜方法。
  2. 前記吸引口は、前記ベルトの走行方向において前記赤外線ヒータが配されている加熱領域に、設けられている請求項1に記載の溶液製膜方法。
  3. 前記吸引口は、前記ベルトの走行方向に延びている請求項1または2に記載の溶液製膜方法。
  4. 流延膜形成工程は前記ベルトの上側に設けられた流延ダイから前記ドープを流出し、前記吸引口の下端は前記ベルトの反流延面よりも低い請求項1ないし3のいずれか1項に記載の溶液製膜方法。
  5. 前記吸引乾燥工程は、吸引する前記気体の量を調節することにより、前記気化した溶剤の濃度を調整する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の溶液製膜方法。
  6. 前記気体吸引部は、前記吸引口に移動自在に備えられて前記吸引口の開度を調節する開度調節部材を有し、前記吸引口の開度を調節することにより吸引する前記気体の量を調節する請求項5に記載の溶液製膜方法。
  7. 前記開度調節部材は、上下方向で移動自在とされ、上方への変位により前記吸引口を開状態とする開放位置と、下方への変位により前記吸引口を閉状態とする閉塞位置との間で移動する請求項6に記載の溶液製膜方法。
  8. 前記吸引乾燥工程は、
    第1の位置で気体を吸引する第1吸引工程と、
    前記第1の位置よりも前記ベルトの走行方向における下流の第2の位置で気体を吸引する第2吸引工程とを有し、
    前記第2吸引工程は、前記第1吸引工程よりも吸引する前記気体の量が少ない請求項6または7に記載の溶液製膜方法。
  9. 前記ベルトの前記ドープが流延される流延面とは反対側の反流延面に赤外線を照射することにより、前記ベルトを介して前記流延膜を加熱する請求項1ないし8のいずれか1項に記載の溶液製膜方法。
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