JP2010101595A - 乾燥装置および樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂フィルムの製造工程中において、乾燥装置内部に析出した昇華物質起因による異物欠点が極めて少なく、高速かつ高品質で安価に乾燥することが可能な、乾燥装置を提供すること。
【解決手段】被加熱物の片面側または両面側から熱風を介して被加熱物を加熱する第1の加熱機構と、前記被加熱物の搬送経路方向であって前記第1の加熱機構の上流側または下流側に設けられ輻射熱により前記被加熱物を加熱する第2の加熱機構と、前記被加熱物の搬送経路方向であって前記第1の加熱機構の上流側または下流側に設けられ前記熱風を回収し排出する排出機構とを有する乾燥装置であって、前記第2の加熱機構を前記排出機構の内部に設け、かつ前記第2の加熱機構の排気下流側に整流手段を設けた構成を有する。
【選択図】 図1
【解決手段】被加熱物の片面側または両面側から熱風を介して被加熱物を加熱する第1の加熱機構と、前記被加熱物の搬送経路方向であって前記第1の加熱機構の上流側または下流側に設けられ輻射熱により前記被加熱物を加熱する第2の加熱機構と、前記被加熱物の搬送経路方向であって前記第1の加熱機構の上流側または下流側に設けられ前記熱風を回収し排出する排出機構とを有する乾燥装置であって、前記第2の加熱機構を前記排出機構の内部に設け、かつ前記第2の加熱機構の排気下流側に整流手段を設けた構成を有する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、乾燥装置および樹脂フィルムの製造方法に関する。
塗液が塗布されたウェブ形状またはフィルム形状のものを乾燥させる代表的な乾燥装置の加熱方法として、以下の方法が知られている。
一つは、ノズルを用いて熱風を被加熱物に吹き付け、対流伝熱により被加熱物を加熱する方法であり、もう一つは、赤外線ヒータなどを用いて、輻射熱により被加熱物を加熱する方法である。
また、乾燥行程は乾燥速度と被加熱物温度の示す特徴から、一般的に以下の三期間に分割することができる。被加熱物が動的平衡温度に達するまでの期間の「材料予熱期間」と、乾燥速度と材料温度が一定値をとる「定率乾燥期間」と、乾燥速度が減少する一方、材料温度が熱風温度へ向かって上昇してゆく「減率乾燥期間」である。
ノズルを用いた加熱は、熱風により被加熱物と塗液の温度を上昇させるだけでなく、塗液近傍の飽和水蒸気層を積極的に排除し、さらに排気ノズルと併用することで効率よく飽和水蒸気層を除去し、定率乾燥期間においては乾燥速度を低下させることなく乾燥することができる。さらに、乾燥工程を短縮し効率化するためには材料予熱期間をできるだけ短くすることが重要となる。しかしながら、ノズルによる加熱は熱風から塗液表面への熱伝達により行われるため、熱風温度を上昇させ材料予熱期間を短くしようとすると、塗液表面が揮発することにより塗液表面に薄い皮膜が形成され、塗液内部の溶媒が揮発することにより塗液表面が粗れてしまい平面性が悪化してしまう。すなわち、ノズルによる加熱のみではノズル風速や熱風温度を変更するにも上限があり、乾燥行程の短縮すなわち乾燥効率を上げるにも限界があった。
かかる問題に対し、特許文献1では、赤外線ヒータと送風ノズル、および排気ノズルを配列した乾燥装置が開示されている。これは、塗膜の吸収波長に分光照射強度をもつ赤外線ヒータにより塗液温度を上昇させ、塗液を早期に揮発可能状態にすることで材料予熱期間を短くしている。さらに、送風ノズルからの熱風により被加熱物表面近傍の飽和水蒸気を剥離させ、対峠させて配置された排気ノズルにより飽和水蒸気を含んだ送風ノズルからの熱風を取り除き定率乾燥期間の乾燥速度を減少させず、乾燥後の塗膜の表面平滑性と膜厚均一性に優れた効率の良い乾燥ができると記載されている。
近年、装置の高精度化やコストダウンの観点から、生産ライン速度の高速化や乾燥効率の高効率化が必須となってきており、この課題に対する解決策として上記加熱方法を組み合わせた乾燥装置が多数開発されている。(例えば、特許文献2、3)
しかしながら特許文献4に記載されているように、乾燥の効率化つまり乾燥処理量の増加に伴い、乾燥装置内の溶剤の蒸発量が増加したため、蒸発させられた溶剤の蒸発濃度が局所的に上昇する部分や、気流の流速あるいは温度が低下しがちな部分などに、溶媒が結露して被加熱物に滴下し製品の歩留まりが低下するなどの問題が発生する場合がある。
特開2001−330368号公報
特許第2514177号公報
特許第2514178号公報
特開2004−044985号公報
しかしながら特許文献4に記載されているように、乾燥の効率化つまり乾燥処理量の増加に伴い、乾燥装置内の溶剤の蒸発量が増加したため、蒸発させられた溶剤の蒸発濃度が局所的に上昇する部分や、気流の流速あるいは温度が低下しがちな部分などに、溶媒が結露して被加熱物に滴下し製品の歩留まりが低下するなどの問題が発生する場合がある。
液晶ディスプレーやプラズマディスプレーなどに使用される光学用途の樹脂フィルムは高効率化によるコストダウンだけでなく、一枚の樹脂フィルムに複数の機能を持たせた高付加価値樹脂フィルムが製造されるようになり、これまで以上に製品に対する品質、特に光学品質に対する要求が厳しくなってきた。そのため、以前は問題にならなかったキズや欠点においても、光学品質への影響度は年々増加してきており、無視できなくなってきている。それに伴い、これらのキズや欠点に起因する製品の不良率が拡大してきており、コストダウンの観点からも解決策が急務となっている。
本発明者らの知見によると、それら光学品質を悪化させる要因の一つとして、樹脂フィルム表面に異物が付着することによる欠点があげられる。この異物の発生原因は、乾燥装置内を循環している熱風中に含まれる塵や、溶媒または樹脂フィルムや塗液などからのオリゴマなどが乾燥装置内に結露、析出した堆積物などがある。熱風中に含まれる塵に関しては、フィルターを介すことで除去が可能である。しかしながら、乾燥装置内に発生するこれら堆積物は、製膜中に除去することができないため、樹脂フィルム表面に堆積物が落下し欠点の原因となってしまう。堆積物が落下しないよう、フィルム下面に乾燥装置を設置すればよいが、両面乾燥などの場合はフィルム上面にも乾燥装置を設置しなければならず、堆積物落下による欠点が生じてしまう。そのため高い光学品質を維持するためには、一定期間ごとに堆積物の除去作業が必要であり、操業効率が悪化し結果的にコストアップの一因となってしまう。
また、近年の競争力向上のための製膜装置の大型化や高速化、乾燥効率向上は、これら堆積物が増加する原因となっている。製膜装置の大型化は、ノズルから吹き出す熱風の温度や風量を均一化することを困難にしている。また、製膜装置の高速化は、樹脂フィルム表面の随伴流を増加させ、乾燥装置内に進入する乾燥装置外部の空気が増加するため、乾燥装置内の温度は乾燥装置外部の温度の影響を受けやすくなる。これら、製膜装置の大型化や高速化により、乾燥装置内の温度は安定せず、局所的に温度の高い部分と低い部分が存在し、低温部分では気化した溶媒やオリゴマが結露、析出し堆積物となりやすい。また、乾燥効率のアップは、熱風に溶解する溶媒とオリゴマの量も増加するため、少ない温度差でも溶媒とオリゴマは結露、析出しやすくなる。さらには、乾燥装置内部で局所的に溶媒やオリゴマ濃度の高い部分や、赤外線ヒータの反射板などの乾燥装置内部のよどみ点または低温部などで、これら異物の原因が析出しやすくなる。
特に結露、析出が顕著となるのは、ノズルからの熱風により排除されたフィルム表面近傍の溶媒やオリゴマの濃度が高い空気層が、通過し排出される排気機構の内部である。
また、排気された熱風の温度は排気機構の内部で徐々に低下し、飽和濃度も低下することから、溶解しきれなくなった溶媒やオリゴマが結露、析出し乾燥装置内部、特に排気経路内に堆積する。その堆積物がフィルム表面に落下し、欠点の原因となっている。
本発明の目的は、乾燥装置内部に結露や析出した堆積物がフィルム上に落下する異物の発生が極めて少なく、光学フィルムの乾燥工程においてこの異物が原因となる欠点が極めて少ない高付加価値フィルムを高速かつ安価に製膜することができる乾燥装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、被加熱物の片面側または両面側から熱風を介して被加熱物を加熱する第1の加熱機構と、前記被加熱物の搬送経路方向であって前記第1の加熱機構の上流側または下流側に設けられ輻射熱により前記被加熱物を加熱する第2の加熱機構と、前記被加熱物の搬送経路方向であって前記第1の加熱機構の上流側または下流側に設けられ前記熱風を回収し排出する排出機構とを有する乾燥装置であって、前記第2の加熱機構を前記排出機構の内部に設け、かつ前記第2の加熱機構の排気下流側に整流手段を設けたことを特徴とする乾燥装置を提供する。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記第2の加熱機構を前記排出機構の回収する熱風の進入口に設けたことを特徴とする乾燥装置を提供する。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記被加熱物は、片面または両面に塗液を塗布された基材または有機溶剤を含む基材であることを特徴とする乾燥装置を提供する。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記被加熱物は、ウェブ形状またはフィルム形状であることを特徴とする乾燥装置を提供する。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記熱風が、気体または水蒸気であることを特徴とする乾燥装置を提供する。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記第1の加熱機構が、前記熱風を噴射するノズルを用いたものであることを特徴とする乾燥装置を提供する。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記第2の加熱機構が、赤外線ヒータを用いたものであることを特徴とする乾燥装置を提供する。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記被加熱物の搬送経路方向に対して、複数個設けられた前記第1の加熱機構の間にそれぞれ前記排出機構を設けたことを特徴とする乾燥装置を提供する。
また、本発明の好ましい形態によれば、押出機によりポリマーを押し出し、該ポリマーをシート状に成形して樹脂フィルムとなし、上記の乾燥装置を用いて、樹脂フィルムを加熱または乾燥させることを特徴とする樹脂フィルムの製造方法を提供する。
本発明の乾燥装置によれば、第2の加熱機構は被加熱物だけを加熱するわけではなく、排気機構の熱風進入口も加熱することで、進入口の壁面温度は昇華物質を含んだ熱風の露点以上の温度になり、かつ第2の加熱機構の下流部に整流手段を設けることでよどみ点を防止することで、排気機構内部への昇華物質の析出を抑制する。また、排気機構の進入口の壁面を加熱するには、第2の加熱機構を流用するため別途加熱機構を追加する必要がなく低コストで実施できる。その結果、乾燥装置内部に析出した昇華物質による異物欠点が極めて少ない高付加価値フィルムを、高速かつ高品質で安価に得ることができる。
本発明を実施するための最良の形態の例を、図を用いて具体的に説明する。ただし、本発明は以下の形態に限られるものではない。
図1は本発明の一実施形態である樹脂フィルムの乾燥装置の使用状態を示す概略断面図、図2は図1の乾燥装置の樹脂フィルム側から見た平面図、図3は本発明の一実施形態である樹脂フィルムの製造工程を示す概略図である。
まず、図1を用いて、本発明の乾燥装置を説明する。1は第1の加熱機構であり本発明の最良の形態の例としてステンレス製のノズルを使用する。ノズルはスリットノズルやホールノズルまたはストライプノズル等の吹き出し口の仕様や材質に関して限られるものではない。2は第2の加熱機構であり、本発明の最良の形態の例としてヒータと反射板が一体構造となっている赤外線ヒータを使用する。第2の加熱機構2には、被加熱物5の吸収波長に最大エネルギー波長をもつ最適な輻射熱ヒータを使用すべきであり、赤外線ヒータに限られるものではない。3は排気機構であり、第1の加熱機構(ノズル)1から吹き出される熱風11を回収するため、熱風の進入口の形状等は熱風を回収する目的であれば、進入口の形状により限られるものではない。4は整流手段であり、排気機構3の内部を通過する蒸発物質を含んだ熱風12が、第2の加熱機構(赤外線ヒータ)2の排気の流れ方向下流位置で、よどみ点を発生させない形状であれば特に限定されるものではない。また、整流手段4は第2の加熱機構(赤外線ヒータ)2と一体構造であってもよい。5は被加熱物であり、本発明の最良の形態の例として樹脂フィルムを使用するが、紙や基材など素地や塗布の有無等は特に限定されるものではない。熱風11は本発明の最良の形態の例として空気を使用するが、水蒸気または防爆設備内で使用する場合などは不活ガス等を使用しても良い。
次に乾燥装置の構成部品の位置関係と熱風の流れについて説明する。図1に示すように、被加熱物(樹脂フィルム)5の搬送方向に対して、垂直に複数配置された各第1の加熱機構(ノズル)1の間に、排気機構3がそれぞれ第1の加熱機構(ノズル)1に平行に設けられており、排気機構3の熱風の進入口に第2の加熱機構(赤外線ヒータ)2が排気機構3と平行に設けられている。また、第1の加熱機構(ノズル)と第2の加熱機構(赤外線ヒータ)および排気機構3が一定間隔で交互に配置されるため、被加熱物の搬送経路方向の乾燥性能は、乾燥装置の規模に関わらず均一にすることができる。熱風11は第1の加熱機構(ノズル)1から被加熱物(樹脂フィルム)5に向かって垂直または一定角度を持って吹き出し、被加熱物(樹脂フィルム)5の表面近傍の蒸発層を剥離させる。フィルム5表面近傍にあった蒸発物質を多く含んだ熱風12は、排気機構3を通り排気下流で集合させ乾燥装置外へ排出または循環される。第2の加熱機構(赤外線ヒータ)2が、排気機構3の熱風の進入口に設けることで、排気機構3の熱風の進入口周辺の壁面、すなわち第1の加熱機構(ノズル)1の表面は加熱される。その結果、排気機構3の熱風の進入口周辺の壁面温度は、蒸発物質を含んだ熱風12の露点温度以上になり、蒸発物質は結露せず異物欠点の原因となる堆積物は発生しない。また、第2の加熱機構(赤外線ヒータ)2下流側に整流手段4を設置することにより、蒸発物質を含んだ熱風12は排気側下流へよどむことなく排出される。整流手段4も第2の加熱機構(赤外線ヒータ)に近接し熱風12の露点温度以上になるため、排気機構3の熱風進入口周辺と同じく堆積物は発生しない。また、図2に示すように、熱風11は被加熱物(樹脂フィルム)5の搬送方向に対して垂直方向から、第1の加熱機構(ノズル)へ供給される。また、被加熱物(樹脂フィルム)5の両端部と中央部の温度差や、熱風による蒸発層の剥離性能の差を最小限にするため、第1の加熱機構(ノズル)1、第2の加熱機構(赤外線ヒータ)2および排気機構3は、被加熱物(樹脂フィルム)5の幅と同等または被加熱物(樹脂フィルム)5の幅より広く設定するのが望ましい。
第1の加熱機構(ノズル)1から吹き出される熱風11の風速は、好ましくは5〜50m/秒、より好ましくは15〜40m/秒である。熱風11の風速が小さすぎると被加熱物(樹脂フィルム)5表面の蒸発層の除去が不十分になるため、被加熱物(樹脂フィルム)5表面近傍の飽和蒸気圧が高くなり乾燥速度が低下する。また、熱風11の風速が大きすぎると被加熱物(樹脂フィルム)5が搬送方向に対して垂直方向上下に揺れ、乾燥装置の第1の加熱機構(ノズル)1や排気機構3に接触してキズが発生し、光学用途の樹脂フィルムでは致命的な問題となる。もしくは、破れの原因にもなり操業性が大きく悪化する。さらに、塗液が塗布された樹脂フィルムでは、風紋と呼ばれる問題も発生する。風紋は特にホールノズルの場合発生しやすく、ホール直下の熱風が吹き付けられる部分の塗液の膜厚は薄く、ホール直下でない部分の塗液の膜厚は厚くなり、塗液の厚みムラが発生し品質悪化の原因となる。第1の加熱機構(ノズル)1からの熱風11の温度は、被加熱物(樹脂フィルム)5や塗液にもよるが、好ましくは30〜150℃、より好ましくは60〜120℃である。熱風11の温度が低すぎると乾燥速度が遅くなり、乾燥装置の規模が大きくなるため効率が悪い。熱風11の温度が高すぎると、被加熱物(樹脂フィルム)5が熱変形してしまう。また、塗液が塗布されている場合、塗液の表面のみ乾燥し薄い皮膜が形成され、塗液内部の未乾燥部が揮発する際に塗布面を荒らしてしまい、品質悪化の原因となる。
第1の加熱機構(ノズル)1の先端と被加熱物(樹脂フィルム)5との距離は、好ましくは5〜100mm、より好ましくは10〜50mmである。また、第1の加熱機構(ノズル)1から吹き出される熱風11の吹き出し角度は、被加熱物(樹脂フィルム)5の搬送方向の垂直位置に対して好ましくは±45°、より好ましくは±0°である。これら第1の加熱機構(ノズル)1の先端と被加熱物(樹脂フィルム)5との距離、および熱風11の噴射角度は、熱風11から被加熱物(樹脂フィルム)5への熱伝達率に大きく影響する。しかしながら、第1の加熱機構(ノズル)1の先端と被加熱物(樹脂フィルム)5の距離が小さいと、被加熱物(樹脂フィルム)5が搬送方向に対して垂直方向上下に揺れた場合、第1の加熱機構(ノズル)1の先端に被加熱物(樹脂フィルム)5が接触しキズの原因となる。また、熱風11の吹き出し角度については、搬送方向に対して垂直位置が最も熱伝達率が高いが、防爆設備などで乾燥装置の外部に溶媒を漏れ出さないようにする際は、熱風11の吹き出し角度を調整する場合がある。
第2の加熱機構(赤外線ヒータ)2の最大エネルギー波長は、被加熱物が持つ固有の吸収波長と一致するのが最も効率がよいが、赤外線ヒータの性能特性上最大エネルギー波長には幅があることや、吸収波長の異なる複数の品種を加熱する場合があることから、一般的に第2の加熱機構(赤外線ヒータ)2の最大エネルギー波長は0.8〜5μmが好ましく、被加熱物(樹脂フィルム)5に関しては2〜4μmがより好ましい。第2の加熱機構(赤外線ヒータ)2の発熱体の温度は500〜2000℃が好ましい。また、第2の加熱機構(赤外線ヒータ)2と被加熱物(樹脂フィルム)5との距離は、5〜100mmが好ましく、10〜50mmがより好ましい。赤外線ヒータと2と被加熱物(樹脂フィルム)5の距離が近すぎると、被加熱物(樹脂フィルム)5が搬送方向に対して垂直方向上下に揺れた場合、赤外線ヒータに接触し発火する可能性があり、安全な操業が困難となる。
排出機構3の吸い込み流量は、好ましくは第1の加熱機構(ノズル)1からの熱風11の合計流量と同じか、より好ましくは第1の加熱機構(ノズル)1からの熱風11の合計流量の100〜120%がより好ましい。排出機構3の吸い込み流量が第1の加熱機構(ノズル)1からの熱風11の合計流量より多いと、乾燥装置内で発生した蒸発物質を含んだ熱風は乾燥装置の外には流出しない。そのため、両面乾燥も含む複数の乾燥装置を同時に使用しても、それぞれの乾燥装置内で発生する蒸発物質は、他の乾燥装置に混入することはない。また、有害な蒸発物質が発生する場合でも、安全に操業することが可能である。排出機構3の吸い込み流量が第1の加熱機構(ノズル)1からの熱風11の合計流量より少ないと、蒸発物質を含んだ熱風21が乾燥装置の外に流出し、蒸発物質が乾燥装置外側に析出してフィルム上に落下することで、異物欠点の原因となる。排出機構3の吸い込み流量が第1の加熱機構(ノズル)1からの熱風11の合計流量より多すぎると、乾燥装置外部の塵を吸い込んだことによる異物欠点の発生や、熱風の循環率が低くなることから熱効率が悪化しランニングコストが増加する。
被加熱物(樹脂フィルム)5の厚みは特に限定されないが、光学用部材のベースフィルムとして用いる場合には機械的強度やハンドリング性などの点から、厚みは10〜500μmが好ましく、20〜300μmがより好ましい。
被加熱物(樹脂フィルム)5を搬送する際の、単位幅あたりにかかる張力は、3000〜10000N/mが好ましい。張力が3000N/mを下まわると、被加熱物(樹脂フィルム)5の蛇行や搬送方向に対して垂直方向上下の揺れなどが発生し、ロールとの摩擦や乾燥装置と接触することにより、被加熱物(樹脂フィルム)5表面のキズの原因となる。また、10000N/m以上であると、加熱時に被加熱物(樹脂フィルム)5が変形しロールと被加熱物(樹脂フィルム)5との間に局所的に接圧の高い部分が発生し、キズが発生しやすくなるため好ましくない。
被加熱物(樹脂フィルム)5の表面には、光学的特性などを付加するため塗液を塗布する場合がある。塗布は製膜行程中に塗布するインラインコート法により実施する事が好ましく、例えば搬送する被加熱物(樹脂フィルム)5の片面または両面に塗液を塗布する。塗布方法には、ロッドコート法、グラビアコート法、リバースロールコート法などが挙げられる。これらの方法を単独であるいは組み合わせて行うことができる。これら塗布方法は塗布ムラの少ない均一な塗布面を得るためには好適である。本発明においては、塗布量の調整が容易に可能なロッドコートを用いるのがより好ましい。
また、本実施形態による乾燥は、製造中の被加熱物(樹脂フィルム)にインラインで実施しても良いし、製造した被加熱物(樹脂フィルム)にオフラインで実施しても良い。
製造中の被加熱物にインラインで乾燥を行なう際の装置構成について図3を用いて説明する。図3は樹脂フィルムの製造工程の一形態を示した概略図である。樹脂フィルムの製造工程は、押出機31、口金32、キャスティングドラム33、縦延伸機34、塗布装置35、横延伸機37、巻取り装置38を有しており、先ず、押出機31によりポリマーを押し出し、口金32、キャスティングドラム33を経て、ポリマーはフィルム状に成形される。形成された樹脂フィルムは、その後、縦延伸機34により樹脂フィルムの搬送方向に延伸され、塗布装置35により片面または両面に塗液を塗布される。塗布直後に本乾燥装置35により、片面または両面の塗液を乾燥させ、その後、横延伸機37により横に延伸され、延伸された樹脂フィルムは、巻取り装置38によって、連続的に巻き取られる。ここでは、縦延伸後、横延伸する逐次2軸延伸方式の例を示したが、同時2軸延伸方式の前に塗布装置と、本乾燥装置を設置しても良い。また、オフラインとはインライン以外の全ての製造工程を意味し、例えば図3の、押出機31、口金32、キャスティングドラム33、縦延伸機34などのかわりに、樹脂フィルムの巻き出し装置を設置し、製造済みの樹脂フィルムに塗布装置などにより付加価値を追加する製造工程のことである。
本発明は、樹脂フィルムの乾燥に限らず、紙の乾燥や基板の加熱などにも応用することができるが、その応用範囲がこれらに限られるものではない。
1 第1の加熱機構
2 第2の加熱機構
3 排出機構
4 整流手段
5 被加熱物
11 熱風
12 蒸発物質を含んだ熱風
21 輻射
31 押出機
32 口金
33 キャスティングドラム
34 縦延伸機
35 塗布装置
36 乾燥装置
37 横延伸装置
38 巻き取り装置
2 第2の加熱機構
3 排出機構
4 整流手段
5 被加熱物
11 熱風
12 蒸発物質を含んだ熱風
21 輻射
31 押出機
32 口金
33 キャスティングドラム
34 縦延伸機
35 塗布装置
36 乾燥装置
37 横延伸装置
38 巻き取り装置
Claims (9)
- 被加熱物の片面側または両面側から熱風を介して前記被加熱物を加熱する第1の加熱機構と、前記被加熱物の搬送経路方向であって前記第1の加熱機構の上流側または下流側に設けられ輻射熱により前記被加熱物を加熱する第2の加熱機構と、前記被加熱物の搬送経路方向であって前記第1の加熱機構の上流側または下流側に設けられ前記熱風を回収し排出する排出機構とを有する乾燥装置であって、前記第2の加熱機構を前記排出機構の内部に設け、かつ前記第2の加熱機構の排気下流側に整流手段を設けたことを特徴とする乾燥装置。
- 前記第2の加熱機構を前記排出機構の回収する熱風の進入口に設けたことを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
- 前記被加熱物は、片面または両面に塗液を塗布された被加熱物または有機溶剤を含む被加熱物であることを特徴とする請求項1または2に記載の乾燥装置。
- 前記被加熱物は、ウェブ形状またはフィルム形状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の乾燥装置。
- 前記熱風は、気体または水蒸気であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の乾燥装置。
- 前記第1の加熱機構は、前記熱風を噴射するノズルを用いたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の乾燥装置。
- 前記第2の加熱機構は、赤外線ヒータを用いたものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の乾燥装置。
- 前記被加熱物の搬送経路方向に対して、複数個設けられた前記第1の加熱機構の間にそれぞれ前記排出機構を設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の乾燥装置。
- 押出機によりポリマーを押し出し、該ポリマーをシート状に成形して樹脂フィルムとなし、記請求項1〜8のいずれかに記載の乾燥装置を用いて、樹脂フィルムを加熱または乾燥させることを特徴とする樹脂フィルムの製造方法。
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