JP6329236B2 - 積層セラミックコンデンサ用誘電体材料および積層セラミックコンデンサ - Google Patents

積層セラミックコンデンサ用誘電体材料および積層セラミックコンデンサ Download PDF

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Description

本発明は、積層セラミックコンデンサ(以下MLCCと記す)用誘電体材料とそれを用いた積層セラミックコンデンサに関する。
従来から積層セラミックコンデンサ(MLCC)を小型大容量にするための誘電体材料の開発が行われてきている。小型大容量タイプのMLCCの誘電体材料は、チタン酸バリウムBaTiOと少量の添加物から構成されている。近年、焼成の急速化・低温化により、焼成時に添加物が十分に拡散・固溶し難く、目標とする微構造を得ることが困難になっている。その解決策として、添加物の高分散化が求められており、そのための一手段として、予め添加物をBaTiO内に固溶した材料の開発が進められている。
特許文献1には、チタン化合物、バリウム化合物及び副成分元素を含有する化合物を湿式反応し、次いで得られた生成物を仮焼して、チタン酸バリウム粒子中に副成分元素を固溶させたペロブスカイト型複合酸化物を調製し、高分子材料と共に複合誘電体材料に用いることが開示されている。
誘電体層を構成するセラミック粒子中における前記ドナー元素などの添加元素の存在割合の分布も、MLCCの性能に影響する。この点に関して例えば特許文献2には、絶縁破壊電圧の向上を図ることができる誘電体磁器として、結晶粒の粒界から中心までの全域に、Mn、V、Cr、Co、Ni、Fe、Nb、Mo、Ta、W等の添加元素がほぼ均一に分布している誘電体磁器が記載されている。当該文献の実施例では、炭酸バリウム、酸化チタン及び前記添加元素の酸化物を混合して1200℃で仮焼し、その他の添加元素化合物を加えてさらに酸化性雰囲気中で1000℃で仮焼し、得られた磁器原料混合物を利用してグリーンシートを調製し、これを積層して還元性雰囲気中で1200℃で2時間焼成し、続いて酸化性雰囲気中で600℃で30分熱処理して積層コンデンサを得ている。このようにして得られた積層コンデンサにおける誘電体磁器における添加元素の分布は、前記のとおりほぼ均一と規定されているものの、実際は粒界部分と中心部分とで7倍程度の差があったことが当該文献に記載されている。
特許文献3には、誘電体層を多層化・薄層化しても絶縁破壊等に起因する寿命の低下がない、小型大容量化が可能な積層セラミックコンデンサとして、セラミック粒子を結晶性のコア部と該コア部を囲繞するシェル部とで構成し、該コア部にMn、V、Cr、Mo、Fe、Ni、Cu、Coなどの添加元素を添加し、かつ、これらの添加元素の濃度が、コア部の中心からシェル部に向かって高くなる構成とした、積層セラミックコンデンサが提案されている。当該文献の実施例では、炭酸バリウム、酸化チタン及び前記添加元素の化合物を混合し、200℃で2時間仮焼きして添加元素を含むチタン酸バリウムを合成し、
続いて他の添加元素を追加して1000℃で2時間仮焼きしてセラミック粒子を得て、これを利用してセラミックグリーンシートを調製し、これを積層して還元性雰囲気で1130℃で3時間焼結し、続いて酸化性雰囲気下に600℃で30分加熱して積層セラミックコンデンサを得ている。そして得られた積層セラミックコンデンサにおいて、誘電体層を形成するセラミック粒子のコア部の添加元素の濃度が290ppm程度であり、シェル部の添加元素の濃度が410ppm程度であったことが示されている。
また、特許文献4には、容量温度特性が良好で、かつ寿命特性に優れた積層セラミックコンデンサを与える誘電体セラミックとして、コア部及びシェル部を備え、副成分として希土類元素R、及びM(MはMg、Mn、Ni、Co、Fe、Cr、Cu、Al、Mo、W及びVからなる群より選ばれる少なくとも一種)を含み、R及びMの合計濃度が、粒界からコア部に向かって勾配を有し、かつ、極小となる部分と極大となる部分とを有していることを特徴とする、チタン酸バリウム系セラミック粒子が記載されている。
WO2005/093763(特許第4747091) 特開平10−330160 特開2001−230150 特開2011−256091
しかしながら、これらの先行技術には、誘電体層厚が0.8μm以下のMLCCにおける課題についての解決が示されていない。具体的には、誘電体層厚が0.8μm以下のMLCCについて、従来の方法においては、不均一な固溶チタン酸バリウムが合成され、目標とする微構造が得られず、特性の向上効果(容量−信頼性−耐圧)も得られない、という点に課題があった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、誘電体層厚が0.8μm以下であっても、寿命特性および耐電圧特性が良好であるMLCCを提供することを目的としている。
上記課題を解決した本発明は以下を包含する。
[1]
Ba、Ti並びにMo、Ta、Nb及びWからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である添加元素Xを有するセラミック粉末を含み、
前記セラミック粉末の一の粒子の最大直径を四等分する3点及び当該最大直径の中点において直交する直径を四等分する3点のうち中点以外の2点の合計5点において、STEM−EDXで測定した前記添加元素Xのピーク強度(XKα)と、前記Tiのピーク強度と前記Baのピーク強度の和(BaLα+TiKα)との比の標準偏差/平均値が10.5%未満である、誘電体材料。
[2]
粒子の最大直径を四等分する3点及び当該最大直径と中点において直交する直径を四等分する3点のうち中点以外の2点の合計5点においてSTEM−EDXで測定した前記添加元素Xのピーク強度(XKα)と、前記Tiのピーク強度と前記Baのピーク強度の和(BaLα+TiKα)との比の標準偏差/平均値が10.5%未満である粒子がセラミック粉末の80%以上の個数を占める、[1]に記載の誘電体材料。
[3]
セラミック粉末中の添加元素Xの存在量が、Ti 100molに対して0.05〜0.3molである、[1]又は[2]に記載の誘電体材料。
[4]
セラミック粉末の平均粒径が200nm以下である、[1]乃至[3]のいずれか一項に記載の誘電体材料。
[5]
極性の異なる一対の内部電極層が誘電体層を介して交互に積層されてなる積層体を備える積層セラミックコンデンサであって、
前記誘電体層は、Ba、Ti並びにMo,Ta,Nb及びWからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である添加元素Xを有するセラミック粉末を含み、 前記セラミック粉末の一の粒子の最大直径を四等分する3点及び当該最大直径の中点において直交する直径を四等分する3点のうち中点以外の2点の合計5点において、STEM−EDXで測定した前記添加元素Xのピーク強度(XKα)と、前記Tiのピーク強度と前記Baのピーク強度の和(BaLα+TiKα)との比の標準偏差/平均値が10.5%未満である誘電体材料の焼結体である、積層セラミックコンデンサ。
[6]
前記誘電体層が、粒子の最大直径を四等分する3点及び当該最大直径の中点において直交する直径を四等分する3点のうち中点以外の2点の合計5点において、STEM−EDXで測定した前記添加元素Xのピーク強度(XKα)と、前記Tiのピーク強度と前記Baのピーク強度の和(BaLα+TiKα)との比の標準偏差/平均値が10.5%未満である粒子がセラミック粉末の80%以上の個数を占める誘電体材料の焼結体である、[5]に記載の積層セラミックコンデンサ。
[7]
誘電体層中の添加元素Xの存在量が、Ti 100molに対して0.05〜0.3molである、[5]又は[6]に記載の積層セラミックコンデンサ。
本発明によれば、全てのチタン酸バリウム粒子において所望の添加元素(例えばモリブデン)が固溶した状態であり、かつ粒子内の添加元素分布の差が小さくなるため、MLCCにおける粒子電気特性ばらつきも低減し、信頼性が向上する。また、平均粒径が100nm以下の微粒子であっても比誘電率が高く維持される。その結果、誘電体層厚が0.8μm以下であっても、静電容量が高く、寿命特性および耐電圧特性が良好であるMLCCを安定供給することができる。
添加元素X固溶チタン酸バリウム粒子における測定点を示した図である。 本発明の一実施形態による、積層セラミックコンデンサの概略の縦断面図である。
本発明の誘電体材料は、Ba、Ti及び添加元素Xを有するセラミック粉末を含む。ここでXはMo、Ta、Nb及びWからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、好ましくはMoである。前記セラミック粉末の一の粒子の特定の点において、STEM−EDXで測定した前記添加元素Xのピーク強度(XKα)と、前記Tiのピーク強度と前記Baのピーク強度の和(BaLα+TiKα)との比の標準偏差/平均値は10.5%未満である。
特定の点とは、以下のようにして選択される5点である。すなわち、前記セラミック粉末の一の粒子の最大直径を四等分する3点(うち1点は最大直径の中点である)及び当該最大直径の中点において直交する直径を四等分する3点のうち中点以外の2点の合計5点である。これらを図1に黒丸の点として示す。
本発明の誘電体材料を用いることにより、比誘電率が高く(2200〜5000)、誘電体厚みが0.8μm以下でも寿命特性が良好なMLCCが得られる。
また、本発明の誘電体材料は、上記の誘電体材料において、粒子の最大直径を四等分する3点(うち1点は最大直径の中点である)及び当該最大直径の中点において直交する直径を四等分する3点のうち中点以外の2点の合計5点において、STEM−EDXで測定した前記添加元素Xのピーク強度(XKα)と、前記Tiのピーク強度と前記Baのピーク強度の和(BaLα+TiKα)との比の標準偏差/平均値が10.5%未満である粒子がセラミック粉末の80%以上の個数を占めることが望ましい。より好ましくは90%以上の個数である。
さらに、本発明の誘電体材料は、上記の誘電体材料において、セラミック粉末中の添加元素Xの存在量が、Ti 100molに対して0.05〜0.3molであることが望ましい。それにより、耐電圧特性を更に良好とすることができる。
さらに、本発明の誘電体材料は、上記の誘電体材料において、セラミック粉末の平均粒径が200nm以下であることが望ましい。それにより、誘電体層厚が0.8μm以下で十分な粒界数(一層一粒子でない部分)を一層容易に得ることができ、寿命特性および耐電圧特性をさらに良好とすることができる。
本発明の積層セラミックコンデンサは、極性の異なる一対の内部電極層が誘電体層を介して交互に積層されてなる積層体を備える積層セラミックコンデンサであって、前記誘電体層は、上記のセラミック粉末の焼結体である。これにより、静電容量が高く、寿命特性の良好な積層コンデンサが得られる。
[添加元素X固溶チタン酸バリウムの製造]
目標とするMLCC特性・微細構造をつくるための、添加元素Xがチタン酸バリウム粒子内に均一に固溶し、粒子内及び粒子間での添加元素X固溶量のばらつきが非常に少ない添加元素X固溶チタン酸バリウムの状態及び作製手法を以下に説明する。
チタン酸バリウムの合成方法としては従来種々の方法が知られており、例えば固相法、ゾルゲル法、水熱法等が知られている。本発明においては、これらのいずれも採用可能である。
なお、本発明においては、結晶性が高く、比誘電率が高い誘電体材料が得られる固相法を例にとって説明する。また、以下では添加元素Xがモリブデンである場合を例にとって説明するが、添加元素XはMoに限定されるものではなく、Ta、Nb及びWについても同様である。
TiO粉末とBaCO粉末を純水等の溶媒および分散剤などと混合してスラリーを作成する。このスラリーに対し、あらかじめイオン化もしくは錯体化した状態のモリブデン化合物を添加するか、またはTiOとBaCOの混合スラリーに対し、モリブデン化合物の粉末を添加して混合した後に当該モリブデンがイオン化もしくは錯体化した状態となる処理を施し混練・分散処理を行う。混練・分散はビーズミル等を用いて20〜30時間行う。次いでこのスラリーを乾燥して生材を得る。この生材を800〜1150℃で仮焼し、モリブデン固溶チタン酸バリウムを得る。
なお、チタン原料の比表面積は、微細なチタン酸バリウムの合成と、誘電体層中のセラミック粒子内の添加元素Xの存在量の分布のばらつき抑制の観点から10〜300m/gの範囲にあることが好ましく、バリウム原料の比表面積は、微細なチタン酸バリウムの合成と、誘電体層中のセラミック粒子内の添加元素Xの存在量の分布のばらつき抑制の観点から10〜50m/gの範囲にあることが好ましい。添加元素Xを含む化合物の比表面積は、誘電体層中のセラミック粒子内の添加元素Xの存在量の分布のばらつき抑制の観点から、好ましくは、2〜20m/gである。
Mo源としては、スラリーに溶解可能であり、誘電体上悪影響を及ぼさなければ、種類、形状、グレード等は問わない。具体的には、酸化モリブデン(IV)、酸化モリブデン(VI)、塩化モリブデン(II)、塩化モリブデン(III)、塩化モリブデン(IV)、水酸化モリブデン(III)、水酸化モリブデン(V)、モリブデン酸バリウム、モリブデン酸アンモニウムのいずれでも構わない。
Moの溶解方法としては、例えば酸化モリブデン(VI)の場合には、予めアンモニウム水溶液等のpH調整剤を用いて溶解させイオン化する手法、TiOとBaCO混合スラリーに用いている各種分散剤(クエン酸アンモニウム、サンノプコ社製分散剤SNディスパーサント5468(商品名))を利用して溶解させイオン化・錯体化する手法、純水等の溶媒中に長時間放置し水酸化モリブデンとしてイオン化する手法のいずれでも良い。
モリブデンの添加タイミングは、バリウムおよびチタンと同時、あるいはバリウムおよびチタンを混合した後のいずれのタイミングでも良いが、分散性を良好にするため、バリウム、チタンおよびモリブデンが添加された状態で20〜30時間混練・分散する必要がある。
以上説明した方法により得られ、本発明の積層セラミックコンデンサの製造に用いられるチタン酸バリウム粉末の平均粒子径は、200nm以下、好ましくは50〜250nm、さらに好ましくは50〜150nmである。平均粒子径の測定方法は下記する。
得られたチタン酸バリウム粉末に、目的に応じて所定の添加化合物を添加してもよい。前記添加化合物としては、MgO、MnCO、希土類元素(Y、Dy、Tm、Ho及びEr)の酸化物、並びにY、Sm、Eu、Gd、Tb、Er、Tm、Cr、V、Mn、Co、Ni、Li、B、Na、K及びSiの酸化物が挙げられる。
例えば上記のようにして得られたチタン酸バリウム粉末を含むセラミック粉末について、必要に応じて粉砕処理して粒径を調節したり、あるいは分級処理と組み合わせたりすることで粒径を整えてもよい。
[積層セラミックコンデンサの製造方法]
以上に説明した本発明に係る添加元素X固溶チタン酸バリウム粉末を用いた積層セラミックコンデンサの製造方法について以下に説明する(図2)。
前記セラミック粉末に、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂等のバインダ、エタノール及びトルエン等の有機溶剤並びにフタル酸ジオクチル(DOP)等の可塑剤を加えて湿式混合する。得られたスラリーを使用して、例えばダイコータ法やドクターブレード法により、基材上に厚み1.0μm以下の帯状の誘電体グリーンシートを塗工して乾燥させる。そして、誘電体グリーンシートの表面に、有機バインダを含む金属導電ペーストをスクリーン印刷やグラビア印刷により印刷することで、極性の異なる一対の外部電極に交互に
引き出される内部電極層のパターンを配置する。前記金属としては、コストの観点からニッケルが広く採用されている。なお、前記金属導電ペーストには共材として、平均粒子径が50nm以下のチタン酸バリウムを均一に分散させてもよい。
その後、内部電極層パターンが印刷された誘電体グリーンシートを所定の大きさに打ち抜いて、打ち抜かれた前記誘電体グリーンシートを、基材を剥離した状態で、内部電極層13と誘電体層12とが互い違いになるように、かつ内部電極層が誘電体層の長さ方向両端面に端縁が交互に露出して極性の異なる一対の外部電極に交互に引き出されるように、所定層数(例えば100〜500層)だけ積層する。積層した誘電体グリーンシートの上下にカバー層15となるカバーシートを圧着させ、所定チップ寸法(例えば0.6mm×0.3mm)にカットし、その後に外部電極20となるNi導電ペーストを、カットした積層体の両側面に塗布して乾燥させる。これにより、積層セラミックコンデンサ1の成型体が得られる。なお、スパッタリング法によって、積層体の両端面に外部電極を厚膜蒸着してもよい。
このようにして得られた積層セラミックコンデンサの成型体を、250〜500℃のN雰囲気中で脱バインダした後に、還元雰囲気中で1100〜1300℃で10分〜2時間焼成することで、前記誘電体グリーンシートを構成する各化合物が焼結して粒成長する。このようにして、内部に焼結体からなる誘電体層12と内部電極層13とが交互に積層されてなる積層体11と、積層方向上下の最外層として形成されるカバー層15とを有する積層セラミックコンデンサ1が得られる。
なお、本発明においてはさらに、600〜1000℃で再酸化処理を実施してもよい。
また、積層セラミックコンデンサの製造方法に関する他の実施形態としては、外部電極と誘電体とを別の工程で焼成させてもよい。例えば誘電体を積層した積層体を焼成した後に、その両端部に導電ペーストを焼き付けて外部電極を形成してもよい。
[積層セラミックコンデンサ]
このようにして得られた積層セラミックコンデンサ1は、規格で定められたチップ寸法及び形状(例えば0.6×0.3×0.3mmの直方体)を有するセラミック焼結体10と、セラミック焼結体10の両側に形成される一対の外部電極20とから概ね構成される。セラミック焼結体10は、Ba及びTiを含む粒子結晶を主成分とし、内部に誘電体層12と内部電極層13とが交互に積層されてなる積層体11と、積層方向上下の最外層として形成されるカバー層15とを有している。
積層体11は、静電容量や要求される耐圧等の仕様に応じて、2枚の内部電極層13で挟まれる誘電体層12の厚さが0.8μm以下であって、全体の積層数が百〜数百の高密度多層構造を有している。
積層体11の最外層部分に形成されるカバー層15は、誘電体層12及び内部電極層13を外部からの湿気やコンタミ等の汚染から保護し、それらの経時的な劣化を防ぐ。
また、内部電極層13はその端縁が、誘電体層12の長さ方向両端部にある極性の異なる一対の外部電極20に交互に引き出されている。
そして本発明の積層セラミックコンデンサ1の誘電体層12は、Ba、Ti及び添加元素X(ここで、XはMo、Ta、Nb及びWからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である)を有するセラミック粉末であって、前記セラミック粉末の一の粒子の特定の点においてSTEM−EDXで測定した前記添加元素Xのピーク強度(XKα)と前記Tiのピーク強度と前記Baのピーク強度の和(BaLα+TiKα)との比の標準偏差/平均値は10.5%未満である誘電体材料から製造されたものである。
このように添加元素Xの存在量の分布が略均一であることによって、誘電体層12を構成するセラミック粒子の全体にわたって添加元素Xによる効果が奏され、酸素欠陥量のばらつきがほとんど生じず、寿命特性および耐電圧特性が効率的に改善される。さらに、このような均一な分布により少量の添加元素Xの添加で効果が得られるため、存在量の分布にばらつきがある場合に比べて、添加元素Xの添加量の点からも存在量が特に高い箇所が存在しない点からも、平均粒径の微小化による比誘電率の低下が抑えられる。
なお、STEM−EDXで測定する特定の点とは、図1に示したように、粒子の最大直径を四等分する3点(うち1点は最大直径の中点である)及び当該最大直径の中点において直交する直径を四等分する3点のうち中点以外の2点の合計5点である。
さらに具体的には、以下のとおりである。すなわち、前記の5か所について、TEM−EDS測定により添加元素Xのピーク強度(XKα)、Tiのピーク強度(TiKα)およびBaのピーク強度(BaLα)を求め、その強度比(XKα/{BaLα+TiKα})を計算する。この結果5つの強度比が計算されることになり、これらの強度比は、各測定箇所でのBaおよびTiに対する添加元素Xの相対存在量を表している。そして5つの強度比の標準偏差/平均値を求め、それが10.5%未満であるかどうかを調べる。
このようなピーク強度比のばらつきの計算を、セラミック粉末の一の粒子について行ったとき、本発明では上記特定の5点においてSTEM−EDXで測定した添加元素Xのピーク強度(XKα)とBaとTiのピーク強度の和(BaLα+TiKα)との比の標準偏差が10.5%未満である。
なお、ピーク強度比等の測定については実施例でその詳細を説明する。
積層セラミックコンデンサ1の寿命特性やバイアス特性の観点からは、セラミック粉末中から任意に選択したn個(通常は10〜20個でよい)の粒子について、上記のようなピーク強度比のばらつきの計算を行ったとき、本発明ではn個の好ましくは80%以上の個数、より好ましくは90%以上の個数の粒子が、上記特定の5点においてSTEM−EDXで測定した添加元素Xのピーク強度(XKα)と、Tiのピーク強度とBaのピーク強度の和(BaLα+TiKα)との比の標準偏差/平均値が10.5%未満である。
本発明の積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層12が、以上説明した、添加元素Xの存在量の分布が均一な新規な誘電体材料から製造されている。
本発明の誘電体材料に含まれるセラミック粉末の平均粒子径は特に制限されるものではないが、誘電体層12の薄層化の観点から、好ましくは50〜200nmである。なお、本明細書において平均粒子径とは、走査型電子顕微鏡(SEM)またはTEMでセラミック粒子を観察し、1つの画像に80粒子程度となるように倍率を調整し、合計で300粒子以上となるように複数枚の写真を得て、写真上の粒子全数について計測したFeret径の平均値である。なお、Feret径とは、粒子を挟む2本の平行接線間の距離で定義される定方向接線径である。
以下、実施例及び比較例により本発明をより詳細に説明する。しかしながら、本発明は実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
比表面積が100m/gであるTiOと比表面積が30m/gであるBaCOとを、イオン交換水と分散剤の混合溶媒にBa:Ti=1:1になるように加えてスラリーを得た。このスラリー中に、七モリブデン酸六アンモニウム四水和物を、Ti100molに対してMoが0.2molになるように添加し、Moの溶解したスラリーを得る。
このスラリーを、ビーズミルにて30時間分散した。分散後のスラリーを液滴噴霧にて乾燥し、生材を得た。その後、この生材を大気中1020℃で仮焼し、平均粒径150nmのMo固溶チタン酸バリウムを得た。
得られたMo固溶チタン酸バリウムについて、特定の5点におけるMoのピーク強度(MoKα)と、Tiのピーク強度とBaのピーク強度の和(BaLα+TiKα)との比(MoKα/{BaLα+TiKα})を測定した。測定は、TEM−EDS(日本電子(株)製TEM:JEM-2100F、EDS検出器 日本電子(株)製JED-2300T)により行った。粒子10個について測定したものを表1に示す。
Figure 0006329236
この結果から、得られたMo固溶チタン酸バリウム粒子は、粒子内におけるMoKα/(BaLα+TiKα)の全体の標準偏差/平均値が5.73%となり、10.5%未満であることがわかった。また、10個中10個とも標準偏差/平均値10.5%未満であった。
次に、このMo固溶チタン酸バリウム100molに対し、Ho=0.5mol、MnCO=0.1mol、V=0.1mol、SiO=1.0molの比率で添加材を添加し、またBaCOまたはTiOを添加してBa/Tiモル比(Mo固溶チタン酸バリウム及び添加されるBaCOやTiOの合計におけるBaとTiとのモル比)が1.000となるようにし、溶剤を加えてスラリーとした。そのスラリーにPVBバインダーを加え、PETフィルム上に0.9μmの厚みでグリーンシートを塗工した。
続いて、内部電極としてNi導電ペーストを前記グリーンシート上に印刷し、これを用いて0603形状の288層の積層セラミックコンデンサを作製した。脱バインダ処理を行った後、焼成については、1200℃還元雰囲気で0.5時間焼成、N雰囲気下800℃で再酸化処理を行った。焼成後の誘電体層の層厚は0.65μm、内部電極層の厚みは0.6μmであった。
得られた積層セラミックコンデンサについて、誘電率、耐電圧特性および寿命特性(HALT:Highly accelerated life test)の測定を行った。
誘電率の測定は、まず積層セラミックコンデンサの静電容量を測定し、その静電容量と、内部電極の交差面積、誘電体層の層厚および内部電極の積層数を用いて算出した。測定サンプルは10個とし、その平均値とした。その結果、誘電率は3300であった。
耐電圧特性の測定は、昇圧速度20V/秒で電圧を印加し、ショートしたときの電圧とした。測定サンプルは10個とし、その平均値とした。その結果、電圧値は100Vであった。
寿命特性の測定は、積層セラミックコンデンサ10個を125℃の温度下で10V/μmの直流電界を印加して行った。10個の積層セラミックコンデンサのうちの1個が絶縁抵抗率(ρ)が1×1010Ωcmになるまでの時間をその値とした。その結果、寿命特性は770minであった。
[実施例2]
Mo材料として、酸化モリブデン(比表面積5m/g)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチタン酸バリウム粒子を得、積層セラミックコンデンサを作製した。
得られたチタン酸バリウム粒子10個について各5か所でピーク強度比を測定したところ、全体の標準偏差/平均値は3.50%で、すべての粒子で標準偏差/平均値が10.5%未満であった。また、作製した積層セラミックコンデンサは、誘電率が3990であり、耐電圧特性は110Vであり、寿命特性は934minであった。
[実施例3]
TiOとBaCOとを加えたスラリーを25時間分散した後、七モリブデン酸六アンモニウム四水和物を加えてさらに5時間分散した以外は、実施例1と同様にしてチタン酸バリウム粒子を得、積層セラミックコンデンサを作製した。
得られたチタン酸バリウム粒子10個について各5か所でピーク強度比を測定したところ、全体の標準偏差/平均値は6.00%で、すべての粒子で標準偏差/平均値が10.5%未満であった。また、作製した積層セラミックコンデンサは、誘電率が3650であり、耐電圧特性は70Vであり、寿命特性は532minであった。
[実施例4]
分散時間を25時間とした以外は、実施例1と同様にしてチタン酸バリウム粒子を得、積層セラミックコンデンサを作製した。
得られたチタン酸バリウム粒子10個について各5か所でピーク強度比を測定したところ、全体の標準偏差/平均値は4.70%で、すべての粒子で標準偏差/平均値が10.5%未満であった。また、作製した積層セラミックコンデンサは、誘電率が3050であり、耐電圧特性は88Vであり、寿命特性は610minであった。
[実施例5]
Ti材料として比表面積が30m/gであるTiOを用いたことと、仮焼温度を1040℃とした以外は、実施例1と同様にしてチタン酸バリウム粒子を得、積層セラミックコンデンサを作製した。
得られたチタン酸バリウム粒子10個について各5か所でピーク強度比を測定したところ、全体の標準偏差/平均値は8.80%で、10個中8個の粒子で標準偏差/平均値が10.5%未満であった。また、作製した積層セラミックコンデンサは、誘電率が3350であり、耐電圧特性は76Vであり、寿命特性は680minであった。
[実施例6]
Ti材料として比表面積が300m/gであるTiOを用いた以外は実施例5と同様にしてチタン酸バリウム粒子を得、積層セラミックコンデンサを作製した。
得られたチタン酸バリウム粒子10個について各5か所でピーク強度比を測定したところ、全体の標準偏差/平均値は1.10%で、すべての粒子で標準偏差/平均値が10.5%未満であった。また、作製した積層セラミックコンデンサは、誘電率が3980であり、耐電圧特性は120Vであり、寿命特性は1050minであった。
[実施例7]
七モリブデン酸六アンモニウム四水和物をTi100molに対してMoが0.3molになるように添加したことと、仮焼温度を980℃とした以外は、実施例1と同様にしてチタン酸バリウム粒子を得、積層セラミックコンデンサを作製した。
得られたチタン酸バリウム粒子10個について各5か所でピーク強度比を測定したところ、全体の標準偏差/平均値は4.00%で、すべての粒子で標準偏差/平均値が10.5%未満であった。また、作製した積層セラミックコンデンサは、誘電率が3100であり、耐電圧特性は140Vであり、寿命特性は1080minであった。
[実施例8]
七モリブデン酸六アンモニウム四水和物をTi100molに対してMoが0.05molになるように添加したことと、仮焼温度を1040℃とした以外は、実施例1と同様にしてチタン酸バリウム粒子を得、積層セラミックコンデンサを作製した。
得られたチタン酸バリウム粒子10個について各5か所でピーク強度比を測定したところ、全体の標準偏差/平均値は2.00%で、すべての粒子で標準偏差/平均値が10.5%未満であった。また、作製した積層セラミックコンデンサは、誘電率が3700であり、耐電圧特性は50Vであり、寿命特性は190minであった。
[実施例9]
Ti材料として比表面積が300m/gであるTiOを用いたことと、仮焼温度を810℃とした以外は実施例1と同様にして、平均粒径50nmのMo固溶チタン酸バリウム粒子を得た。このチタン酸バリウムを用いて実施例1と同様にして積層セラミックコンデンサを作製した。
得られたチタン酸バリウム粒子10個について各5か所でピーク強度比を測定したところ、全体の標準偏差/平均値は4.00%で、すべての粒子で標準偏差/平均値が10.5%未満であった。また、作製した積層セラミックコンデンサは、誘電率が2700であり、耐電圧特性は210Vであり、寿命特性は1800minであった。
[実施例10]
仮焼温度を960℃とした以外は実施例1と同様にして、平均粒径100nmのMo固溶チタン酸バリウム粒子を得た。このチタン酸バリウムを用いて実施例1と同様にして積層セラミックコンデンサを作製した。
得られたチタン酸バリウム粒子10個について各5か所でピーク強度比を測定したところ、全体の標準偏差/平均値は3.30%で、すべての粒子で標準偏差/平均値が10.5%未満であった。また、作製した積層セラミックコンデンサは、誘電率が3350であり、耐電圧特性は170Vであり、寿命特性は1300minであった。
[実施例11]
仮焼温度を1085℃とした以外は実施例1と同様にして、平均粒径200nmのMo固溶チタン酸バリウム粒子を得た。このチタン酸バリウムを用いて実施例1と同様にして積層セラミックコンデンサを作製した。
得られたチタン酸バリウム粒子10個について各5か所でピーク強度比を測定したところ、全体の標準偏差/平均値は2.10%で、すべての粒子で標準偏差/平均値が10.5%未満であった。また、作製した積層セラミックコンデンサは、誘電率が4200であり、耐電圧特性は60Vであり、寿命特性は250minであった。
[実施例12、13、14、15]
添加元素Xとして、Moの代わりに、Ta、Nb、W、Mo+Ta(各材料とも比表面積5m/g以上)を用いて実施例1と同様にしてチタン酸バリウム粒子を得、積層セラミックコンデンサを作製した。
得られたチタン酸バリウム粒子10個について各5か所でピーク強度比を測定したところ、すべての粒子で標準偏差/平均値が10.5%未満であった。また、作製した積層セラミックコンデンサはすべて、誘電率が3500以上であり、耐電圧特性は70V以上であり、寿命特性は600min以上であった。
[比較例1]
比表面積が100m/gであるTiOと比表面積が30m/gであるBaCOとを、イオン交換水と分散剤の混合溶媒にBa:Ti=1:1になるように加えてスラリーを得た。このスラリーを、ビーズミルにて30時間分散した。このスラリー中に、七モリブデン酸六アンモニウム四水和物を、Ti100molに対してMoが0.2molになるように添加し、1時間撹拌した。このスラリーを液滴噴霧にて乾燥し、生材を得た。
その後、この生材を大気中1020℃で仮焼し、平均粒径150nmのMo固溶チタン酸バリウムを得た。このチタン酸バリウムを用いて実施例1と同様にして積層セラミックコンデンサを作製した。
得られたチタン酸バリウム粒子10個について各5か所でピーク強度比を測定したところ、全体の標準偏差/平均値は20.80%で、すべての粒子で標準偏差/平均値が10.5%を超えていた。また、作製した積層セラミックコンデンサは、誘電率が3500であり、耐電圧特性は35Vであり、寿命特性は98minであった。
[比較例2]
Moを添加しない以外は実施例1と同様の方法でチタン酸バリウムを得、積層セラミックコンデンサを作製した。作製した積層セラミックコンデンサは、誘電率が3500であり、耐電圧特性は11Vであり、寿命特性は18minであった。
[比較例3]
Moを添加しない以外は実施例9と同様の方法で平均粒径50nmのチタン酸バリウムを得、積層セラミックコンデンサを作製した。作製した積層セラミックコンデンサは、誘電率が2700であり、耐電圧特性は95Vであり、寿命特性は880minであった。
上記の実施例および比較例の結果を表2にまとめた。誘電率は2500以上、耐電圧特性は50V以上、寿命特性は150min以上を合格とした。なお、比較例3については、誘電率、耐電圧特性および寿命特性が合格レベルになっている。これは耐電圧特性および寿命特性が誘電体厚みと平均粒径との関係に影響されるためである。比較例3は、同じ平均粒径の実施例9が比較対象となる。実施例9と比較例3とを比較すると、実施例9の積層セラミックコンデンサは耐電圧特性および寿命特性が大きく向上している。このことから、本発明の効果は平均粒径100nm以下の微小粒子になるほど高くなることがわかる。
Figure 0006329236
1 積層セラミックコンデンサ
10 セラミック焼結体
11 積層体
12 誘電体層
13 内部電極層
15 カバー層
20 外部電極

Claims (7)

  1. Ba、Ti並びにMo、Ta、Nb及びWからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である添加元素Xを有するセラミック粉末を含み、
    前記セラミック粉末の一の粒子の最大直径を四等分する3点及び当該最大直径の中点において直交する直径を四等分する3点のうち中点以外の2点の合計5点において、STEM−EDXで測定した前記添加元素Xのピーク強度(XKα)と、前記Tiのピーク強度と前記Baのピーク強度の和(BaLα+TiKα)との比の標準偏差/平均値が10.5%未満である、誘電体材料。
  2. 粒子の最大直径を四等分する3点及び当該最大直径と中点において直交する直径を四等分する3点のうち中点以外の2点の合計5点においてSTEM−EDXで測定した前記添加元素Xのピーク強度(XKα)と、前記Tiのピーク強度と前記Baのピーク強度の和(BaLα+TiKα)との比の標準偏差/平均値が10.5%未満である粒子がセラミック粉末の80%以上の個数を占める、請求項1に記載の誘電体材料。
  3. セラミック粉末中の添加元素Xの存在量が、Ti 100molに対して0.05〜0.3molである、請求項1又は2に記載の誘電体材料。
  4. セラミック粉末の平均粒径が200nm以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の誘電体材料。
  5. 極性の異なる一対の内部電極層が誘電体層を介して交互に積層されてなる積層体を備える積層セラミックコンデンサであって、
    前記誘電体層は、Ba、Ti及びMo,Ta,Nb及びWからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である添加元素Xを有するセラミック粉末を含み、 前記セラミック粉末の一の粒子の最大直径を四等分する3点及び当該最大直径の中点において直交する直径を四等分する3点のうち中点以外の2点の合計5点において、STEM−EDXで測定した前記添加元素Xのピーク強度(XKα)と、前記Tiのピーク強度と前記Baのピーク強度の和(BaLα+TiKα)との比の標準偏差/平均値が10.5%未満である誘電体材料の焼結体である、積層セラミックコンデンサ。
  6. 前記誘電体層が、粒子の最大直径を四等分する3点及び当該最大直径の中点において直交する直径を四等分する3点のうち中点以外の2点の合計5点において、STEM−EDXで測定した前記添加元素Xのピーク強度(XKα)と、前記Tiのピーク強度と前記Baのピーク強度の和(BaLα+TiKα)との比の標準偏差/平均値が10.5%未満である粒子がセラミック粉末の80%以上の個数を占める誘電体材料の焼結体である、請求項5に記載
    の積層セラミックコンデンサ。
  7. 誘電体層中の添加元素Xの存在量が、Ti 100molに対して0.05〜0.3molである、請求項5又は6に記載の積層セラミックコンデンサ。
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