JP6311799B2 - 鉛蓄電池 - Google Patents

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Description

本発明は、鉛蓄電池に関するものである。
近年、自動車においては、大気汚染防止又は地球温暖化防止のため、様々な燃費向上対策が検討されている。燃費向上対策を施した自動車としては、例えば、エンジンの動作時間を少なくするアイドリングストップシステム車(以下、「ISS車」という)、エンジンの動力によるオルタネータの発電を低減する発電制御車等のマイクロハイブリッド車が検討されている。
ISS車では、エンジンの始動回数が多くなるため、鉛蓄電池の大電流放電が繰り返される。また、ISS車及び発電制御車では、オルタネータによる発電量が少なくなり、鉛蓄電池の充電が間欠的に行われるため充電が不充分となる。
前記のような使われ方をする鉛蓄電池は、PSOC(Partial State Of Charge)と呼ばれる部分充電状態で使用されることになる。鉛蓄電池は、PSOC下で使用されると、満充電状態で使用される場合よりも寿命が短くなる。
また、近年、欧州では、マイクロハイブリッド車の制御に則した、充放電サイクル中における鉛蓄電池の充電性が重要視されており、このような形態のDCA(Dynamic Charge Acceptance)評価が規格化されつつある。つまり、前記のような鉛蓄電池の使われ方は、重要視されてきている。
これに対し、下記特許文献1には、PSOC下で使用される場合の電池の充電効率と寿命性能とを向上させるために、特定の比表面積の正極活物質を用いる技術が開示されている。
国際公開第2011/108056号
ところで、完全な充電が行われず充電が不足した状態で鉛蓄電池が使用される場合には、電池内の電極(極板等)における上部と下部との間で、電解液である希硫酸の濃淡差が生じる成層化現象が起こる。これは、完全な充電が行われないために、電解液の撹拌が不充分になるからである。この場合、電極下部の希硫酸の濃度が高くなりサルフェーションが発生する。サルフェーションは、放電生成物である硫酸鉛が充電状態に戻りにくい現象である。そのため、サルフェーションが発生すると、電極上部のみが集中的に反応するようになる。その結果、電極上部において、活物質間の結びつきが弱くなる等の劣化が進み、集電体から活物質が剥離して、電池性能低下及び早期寿命に至る。
そのため、最近の鉛蓄電池においては、PSOC下で使用された場合の電池の寿命性能を向上させるため、充電受入性を向上させることが極めて重要な課題となっている。
一方、上記特許文献1では、正極活物質の比表面積を6m/g以上に調整すること等により充電受入性を向上させる技術が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載されている技術では、充電受入性を更に向上させることが困難であることが判明した。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、優れた充電受入性を得ることが可能な鉛蓄電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、集電体に保持された正極材を有する正極を備える鉛蓄電池において、正極材の比表面積が11m/g以上であり、且つ、正極材におけるβ−PbO及びα−PbOのX線回折パターンのピーク強度の比率(α−PbO/β−PbO)が0.3以下であることにより、前記課題を解決可能な鉛蓄電池を得ることができることを見出した。
すなわち、本発明に係る鉛蓄電池は、正極及び負極を備える鉛蓄電池であって、前記正極が、集電体と、当該集電体に保持された正極材と、を有し、前記負極が、集電体と、当該集電体に保持された負極材と、を有し、前記正極材の比表面積が11m/g以上であり、前記正極材におけるβ−PbO及びα−PbOのX線回折パターンのピーク強度の比率(α−PbO/β−PbO)が0.3以下である。
本発明に係る鉛蓄電池によれば、優れた充電受入性を得ることが可能である。従って、特に、初期の状態からある程度の充放電が繰り返されて活物質が充分に活性化した後において、マイクロハイブリッド車等では低くなりがちなSOCを適正なレベルに維持することができる。また、本発明に係る鉛蓄電池によれば、優れた充電受入性と、優れた他の電池性能(放電特性及びサイクル特性等)とを両立することができる。
前記正極材の多孔度は、50体積%以上であることが好ましい。この場合、容量が増加し易い。
前記負極材は、スルホ基及びスルホン酸塩基からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂を含んでいてもよい。前記樹脂は、ビスフェノールとアミノベンゼンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物であってもよい。
本発明に係る鉛蓄電池は、袋状のセパレータを更に備え、前記正極及び前記負極のうちの一方が前記セパレータ内に配置されている態様であってもよい。本発明に係る鉛蓄電池は、前記負極が前記セパレータ内に配置されている態様であってもよい。
本発明に係る鉛蓄電池によれば、優れた充電受入性を得ることが可能である。また、本発明に係る鉛蓄電池によれば、優れた充電受入性と、優れた他の電池性能(放電特性及びサイクル特性等)とを両立することができる。本発明に係る鉛蓄電池は、充電が間欠的に行われ、PSOC下で高率放電が行われる液式鉛蓄電池として、ISS車、マイクロハイブリッド車等において好適に用いることができる。
本発明によれば、鉛蓄電池のマイクロハイブリッド車への応用を提供できる。本発明によれば、鉛蓄電池のISS車への応用を提供できる。
実施例1のX線回折パターンを示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、比重は、温度によって変化するため、本明細書においては20℃で換算した比重と定義する。
本実施形態に係る鉛蓄電池は、正極及び負極を備える。正極は、正極集電体と、当該正極集電体に保持された正極材(電極材)と、を有する。負極は、負極集電体と、当該負極集電体に保持された負極材(電極材)と、を有する。本実施形態に係る鉛蓄電池において、正極材の比表面積は11m/g以上であり、正極材におけるβ−PbO及びα−PbOのX線回折パターンのピーク強度の比率(α−PbO/β−PbO)は0.3以下である。
鉛蓄電池の基本構成としては、従来の鉛蓄電池と同様の構成を用いることができる。本実施形態に係る鉛蓄電池は、例えば、(A)正極及び(B)負極を備えている。本実施形態に係る鉛蓄電池は、セパレータを更に備えることができる。
<(A)正極>
正極材は、正極活物質を含有し、必要に応じて、後述する添加剤を更に含有することができる。正極材は、後述するように、正極活物質の原料を含む正極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成の正極材を得た後に未化成の正極材を化成することで得ることができる。正極活物質の原料としては、特に制限はなく、例えば、鉛粉が挙げられる。鉛粉としては、例えば、ボールミル式鉛粉製造機又はバートンポット式鉛粉製造機によって製造される鉛粉(ボールミル式鉛粉製造機においては、主成分PbOの粉体と鱗片状金属鉛の混合物)が挙げられる。正極活物質の原料として鉛丹(Pb)を加えてもよい。
化成後の正極材は、サイクル特性が向上し易い観点からα−PbOを含むことが好ましいが、α−PbOを含んでいなくてもよい。また、化成後の正極材は、β−PbOを含む。化成後の正極材は、例えば、α−PbO(α−二酸化鉛)及びβ−PbO(β−二酸化鉛)を含むことがより好ましい。
正極材におけるβ−PbO及びα−PbOのX線回折パターンのピーク強度の比率(α−PbO/β−PbO)は、優れた充電受入性を得る観点から、0.3以下である。比率α−PbO/β−PbOが0.3以下であることにより、正極の過電圧を低くできることから、優れた充電受入性が得られると推測される。比率α−PbO/β−PbOは、更に優れた充電受入性を得る観点から、0.2以下が好ましく、0.1以下がより好ましく、0.06以下が更に好ましい。比率α−PbO/β−PbOは、0.05以下であってもよく、0.04以下であってもよく、0.03以下であってもよい。比率α−PbO/β−PbOは、正極材の形状保持性に優れる観点から、0.005以上が好ましく、0.01以上がより好ましく、0.02以上が更に好ましい。比率α−PbO/β−PbOは、例えば、化成時の温度等により調整することができる。例えば、化成温度が高くなるほどα−PbO比率を高くすることができる。
正極の既化成正極材の広角X線回折からは、例えば、主な化合物としてα−PbO、β−PbO及びPbSOが検出される。α−PbO及びβ−PbOそれぞれの化合物として特定される波形のメインピーク強度(cps)を用いて、「α−PbOのメインピーク強度」/「β−PbOのメインピーク強度」の比率を比率α−PbO/β−PbOとして算出することができる。広角X線回折装置としては、例えば、X線回折装置SmartLab(リガク製)を用いることができる。
広角X線回折測定は、例えば、以下のような方法で行うことができる。
[広角X線回折測定方法]
・測定装置:全自動多目的水平型X線回折装置 SmartLab(株式会社リガク製)
・X線源:Cu−Kα / 1.541862Å
・フィルター:Cu−Kβ
・出力:40kV、30mA
・スキャンモード:CONTINUOUS
・スキャン範囲:20.0000度〜60.0000度
・ステップ幅:0.0200度
・スキャン軸:2θ/θ
・スキャンスピード:10.0000度/分
・試料ホルダー:ガラス製、深さ0.2mm
・試料作製方法:測定試料は、下記の手順により作製できる。まず、化成した電池を解体して正極(正極板等)を取り出し水洗をした後、50℃で24時間乾燥する。次に、前記正極の中央部から正極材を3g採取してすり潰す。
・算出方法:正極材の厚みが試料ホルダーの深さと同等になるように正極材を充填し、平滑な試料面を作製する。広角X線回折を測定し、回折角(2θ)と回折ピーク強度とのX線回折パターン(X線回折チャート)を得る。X線回折パターンにおいては、例えば、回折角度28.6度に位置するα−PbO、及び、回折角度25.3度に位置するβ−PbOが検出される。α−PbO(110面)及びβ−PbO(111面)それぞれの化合物として特定される波形のピーク強度(cps)を用いて、「α−PbOのピーク強度」/「β−PbOのピーク強度」の比率を比率α−PbO/β−PbOとして算出する。
正極活物質の平均粒径は、充電受入性及びサイクル特性が更に向上する観点から、0.3μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、0.7μm以上が更に好ましい。正極活物質の平均粒径は、サイクル特性が更に向上する観点から、2.5μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましく、1.5μm以下が更に好ましい。正極活物質の平均粒径としては、例えば、化成後の正極中央部の正極材における縦10μm×横10μmの範囲の走査型電子顕微鏡写真(1000倍)を取得した後、画像内における全ての粒子の長辺の長さの値を算術平均化した数値を用いることができる。
正極材の比表面積は、充電受入性が向上する観点から、11m/g以上である。正極材の比表面積は、充電受入性が更に向上する観点から、11.5m/g以上が好ましく、12m/g以上がより好ましい。正極材の比表面積の上限に制限はないが、実用的な観点から、20m/g以下が好ましく、15m/g以下がより好ましく、13m/g以下が更に好ましい。正極材の比表面積は、例えば、後述する正極材ペーストを作製する際の硫酸及び水の添加量を調整する方法、未化成の段階で活物質を微細化させる方法、化成条件を変化させる方法等により調整することができる。
正極材の比表面積は、例えば、BET法で測定することができる。BET法は、一つの分子の大きさが既知の不活性ガス(例えば窒素ガス)を測定試料の表面に吸着させ、その吸着量と不活性ガスの占有面積とから表面積を求める方法であり、比表面積の一般的な測定手法である。具体的には、以下のBET式に基づいて測定する。
下記式(1)の関係式は、P/Pが0.05〜0.35の範囲でよく成立する。なお、式(1)中、各符号の詳細は下記のとおりである。
P:一定温度で吸着平衡状態であるときの吸着平衡圧
:吸着温度における飽和蒸気圧
V:吸着平衡圧Pにおける吸着量
:単分子層吸着量(気体分子が固体表面で単分子層を形成したときの吸着量)
C:BET定数(固体表面と吸着物質との間の相互作用に関するパラメータ)
式(1)を変形する(左辺の分子分母をPで割る)ことにより下記式(2)が得られる。測定に用いる比表面積計では、吸着占有面積が既知のガス分子を試料に吸着させ、その吸着量(V)と相対圧力(P/P)との関係を測定する。測定したVとP/Pより、式(2)の左辺とP/Pをプロットする。ここで、勾配がsであるとすると、式(2)より下記式(3)が導かれる。切片がiであるとすると、切片i及び勾配sは、それぞれ下記式(4)及び下記式(5)のとおりとなる。
式(4)及び式(5)を変形すると、それぞれ下記式(6)及び式(7)が得られ、単分子層吸着量Vを求める下記式(8)が得られる。すなわち、ある相対圧力P/Pにおける吸着量Vを数点測定し、プロットの勾配及び切片を求めると、単分子層吸着量Vが求まる。
試料の全表面積Stotal(m)は、下記式(9)で求められ、比表面積S(m/g)は、全表面積Stotalより下記式(10)で求められる。なお、式(9)中、Nは、アボガドロ数を示し、ACSは、吸着断面積(m)を示し、Mは、分子量を示す。また、式(10)中、wは、サンプル量(g)を示す。
正極材の多孔度は、正極材中の空孔部(孔)に硫酸が入り込む領域が多くなり容量が増加し易い観点から、50体積%以上が好ましく、55体積%以上がより好ましい。正極材の多孔度は、58体積%以上であってもよい。正極材の多孔度の上限に特に制限はないが、70体積%以下が好ましい。多孔度が70体積%以下であれば、正極材中の空孔部への硫酸含浸量が適度あり、活物質同士の結合力を良好に維持できる。実用的な観点からは、多孔度の上限は、60体積%以下がより好ましい。なお、正極材の多孔度は、水銀ポロシメーター測定から得られる値(体積基準の割合)である。正極材の多孔度は、正極材ペーストを作製する際に加える希硫酸量によって調整することができる。
正極の製造工程では、例えば、正極材ペーストを集電体(例えば集電体格子)に充填した後に熟成及び乾燥を行うことにより、未化成の正極材を有する正極を得る。未化成の正極材は、主成分として三塩基性硫酸鉛を含む未化成の正極活物質を含むことが好ましい。前記正極材ペーストは、例えば、正極活物質の原料を含んでおり、その他の所定の添加剤等を更に含んでいてもよい。
正極材ペーストが含む添加剤としては、例えば、炭素材料(炭素繊維を除く)及び補強用短繊維(アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、炭素繊維等)が挙げられる。炭素材料としては、例えば、カーボンブラック及び黒鉛が挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック及びケッチェンブラックが挙げられる。
正極材ペーストを作製するに際しては、正極活物質の原料として、鉛粉を用いることができる。また、化成時間を短縮できる観点から、正極活物質の原料として鉛丹(Pb)を加えてもよい。この正極材ペーストを集電体(例えば集電体格子)に充填した後に熟成及び乾燥を行うことにより、未化成の正極材を有する正極が得られる。正極材ペーストにおいて、補強用短繊維の配合量は、正極材の原料の全質量を基準として0.005〜0.3質量%が好ましい。
比表面積が11m/g以上であり、且つ、比率α−PbO/β−PbOが0.3以下である正極材は、例えば、下記の方法により得ることができる。
(1)正極活物質の原料として鉛粉を用いる方法
鉛粉に対して、補強用短繊維等の添加剤を加えて乾式混合する。次に、前記鉛粉を含む混合物に対して、水4〜10質量%及び希硫酸(比重1.28)5〜10質量%を加えて混練して正極材ペーストを作製する。希硫酸(比重1.28)は、発熱を低減するために、数回に分けて徐々に添加することが好ましい。正極材ペーストの作製において、急激な発熱は疎な構造の正極材を形成し、寿命での活物質同士の結合力が低下するため、なるべく発熱を抑えることが望ましい。
(2)正極活物質の原料として鉛粉及び鉛丹(Pb)を用いる方法
まず、鉛粉に対して、補強用短繊維等の添加剤を加えて乾式混合する。次に、前記鉛粉を含む混合物に対して、水4〜10質量%を加えて混練してペーストAを作製する。水の前記配合量は、鉛粉及び添加剤の合計質量を基準とした配合量である。
次に、鉛丹(Pb)と、第一の希硫酸(比重1.3〜1.4)15〜25質量%とを混合した後に混練し、続いて第二の希硫酸(比重1.45〜1.6)5〜20質量%を加えた後に混練してペーストBを作製する(鉛丹と希硫酸の反応生成物である二酸化鉛(PbO)と硫酸鉛(PbSO)が生成)。前記第一及び第二の希硫酸の前記配合量は、前述のペーストAを作製する際に用いる鉛粉、及び、前記鉛丹の合計質量を基準とした配合量である。
そして、前記ペーストAに前記ペーストBを添加して1時間の混練を行い、正極材ペーストを作製する。この正極材ペーストにおいて、ペーストA中に含まれる鉛粉と、ペーストB中に含まれる鉛丹との割合は、質量比で鉛粉/鉛丹=90/10〜80/20になるように調整することが好ましい。また、水の全量は、鉛粉及び鉛丹の合計質量を基準として3〜8質量%とすることが好ましい。但し、ここでいう「水」には、希硫酸中の水は含まないものとする。
正極材は、正極活物質の原料を含む正極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成の正極材を得た後に未化成の正極材を化成することで得ることができる。化成後の正極材は、例えばα−PbO及びβ−PbOを含む。
前記正極材ペーストを集電体(鋳造格子体、エキスパンド格子体等)に充填した後に熟成及び乾燥を行うことにより、未化成の正極材を有する正極(正極板等)を得る。正極材ペーストにおいて、補強用短繊維の配合量は、鉛粉の全質量(鉛丹を含む場合は鉛粉及び鉛丹の合計質量)を基準として0.05〜0.3質量%が好ましい。
集電体の組成としては、例えば、鉛−カルシウム−錫系合金、鉛−アンチモン−ヒ素系合金等の鉛合金が挙げられる。用途に応じて適宜セレン、銀、ビスマス等を集電体に添加してもよい。これらの鉛合金を重力鋳造法、エキスパンド法、打ち抜き法等で格子状に形成することにより集電体を得ることができる。
熟成条件としては、温度35〜85℃、湿度50〜98RH%の雰囲気で15〜60時間が好ましい。乾燥条件は、温度45〜80℃で15〜30時間が好ましい。
<(B)負極>
負極材は、後述するように、負極活物質の原料を含む負極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成の負極材を得た後に未化成の負極材を化成することで得ることができる。化成後の負極材は、多孔質の海綿状鉛(Spongy Lead)を含むことが好ましい。負極活物質の原料としては、特に制限はなく、例えば、鉛粉が挙げられる。鉛粉としては、例えば、ボールミル式鉛粉製造機又はバートンポット式鉛粉製造機によって製造される鉛粉(ボールミル式鉛粉製造機においては、主成分PbOの粉体と鱗片状金属鉛の混合物)が挙げられる。化成前及び/又は化成後の負極材は、スルホ基(スルホン基)及びスルホン酸塩基(スルホ基の水素がアルカリ金属で置換された基等)からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂(スルホ基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂)を含んでいてもよい。
負極活物質の平均粒径は、充電受入性及びサイクル特性が更に向上する観点から、0.3μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、0.7μm以上が更に好ましい。負極活物質の平均粒径は、サイクル特性が更に向上する観点から、2.5μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましく、1.5μm以下が更に好ましい。負極活物質の平均粒径としては、例えば、化成後の負極中央部の負極材における縦10μm×横10μmの範囲の走査型電子顕微鏡写真(1000倍)を取得した後、画像内における全ての粒子の長辺の長さの値を算術平均化した数値を用いることができる。
負極材の比表面積は、電解液と負極活物質との反応性を高める観点から、0.4m/g以上が好ましく、0.5m/g以上がより好ましく、0.6m/g以上が更に好ましい。負極材の比表面積は、サイクル時の負極の収縮を更に抑制する観点から、2m/g以下が好ましく、1.8m/g以下がより好ましく、1.5m/g以下が更に好ましい。負極材の比表面積は、例えば、未化成の段階で活物質を微細化させる方法により調整することができる。負極材の比表面積は、正極材と同様に例えばBET法で測定することができる。
負極の製造工程では、例えば、負極材ペーストを集電体(例えば集電体格子)に充填した後に熟成及び乾燥を行うことにより、未化成の負極材を有する負極を得る。負極の集電体としては、正極と同様の集電体を用いることができる。未化成の負極材は、主成分として三塩基性硫酸鉛を含む未化成の負極活物質を含むことが好ましい。前記負極材ペーストは、例えば、負極活物質の原料、及び、スルホ基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂を含んでおり、その他の所定の添加剤等を更に含んでいてもよい。
負極材ペーストは、溶媒及び硫酸を更に含んでいてもよい。溶媒としては、例えば、水(例えばイオン交換水)及び有機溶媒が挙げられる。
スルホ基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂としては、リグニンスルホン酸、リグニンスルホン酸塩、及び、フェノール類とアミノアリールスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物(例えば、ビスフェノールとアミノベンゼンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物)からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。
負極材ペーストが含む添加剤としては、例えば、硫酸バリウム、炭素材料(炭素繊維を除く)及び補強用短繊維(アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、炭素繊維等)が挙げられる。炭素材料としては、例えば、カーボンブラック及び黒鉛が挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック及びケッチェンブラックが挙げられる。
負極材ペーストは、例えば、以下の方法により得ることができる。まず、鉛粉に、スルホ基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂と、必要に応じて添加される添加剤とを混合することにより混合物を得る。次に、この混合物に、硫酸(希硫酸等)及び溶媒(水等)を加えて混練することにより負極材ペーストが得られる。
負極材ペーストにおいて、硫酸バリウムを用いる場合、硫酸バリウムの配合量は、負極活物質の原料の全質量を基準として0.01〜1質量%が好ましい。また、炭素材料を用いる場合、炭素材料の配合量は、負極活物質の原料の全質量を基準として0.2〜1.4質量%が好ましい。スルホ基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂の配合量は、負極活物質の原料の全質量を基準として、樹脂固形分換算で、0.01〜2質量%が好ましく、0.05〜1質量%がより好ましく、0.1〜0.5質量%が更に好ましい。
熟成条件としては、温度35〜85℃、湿度50〜98RH%の雰囲気で15〜60時間が好ましい。乾燥条件は、温度45〜80℃で15〜30時間が好ましい。
<セパレータ>
セパレータは、袋状であってもよい。正極及び負極のうちの一方がセパレータ内に配置されていることが好ましく、負極がセパレータ内に配置されていることがより好ましい。
<鉛蓄電池の製造方法>
本実施形態に係る鉛蓄電池としては、例えば、液式鉛蓄電池及び密閉式鉛蓄電池が挙げられ、液式鉛蓄電池が好ましい。本実施形態に係る鉛蓄電池の製造方法は、例えば、電極(正極及び負極。例えば電極板)を得る電極製造工程と、前記電極を含む構成部材を組み立てて鉛蓄電池を得る組み立て工程とを備えている。電極が未化成である場合、電極は、例えば、電極活物質の原料等を含む電極材と、当該電極材を保持する集電体とを有している。化成後の電極は、例えば、電極活物質等を含む電極材と、当該電極材からの電流の導電路となり且つ電極材を保持する集電体とを有している。
鉛蓄電池の製造方法は、例えば、上記のように作製した負極及び正極を、セパレータを介して積層し、同極性の電極の集電部をストラップで溶接させて電極群を得る。この電極群を電槽内に配置して未化成の電池を作製する。次に、未化成の電池に希硫酸を入れて直流電流を通電して電槽化成する。化成後の硫酸の比重(20℃)を適切な電解液の比重に調整して鉛蓄電池が得られる。化成に用いる硫酸の比重(20℃)は1.20〜1.25が好ましい。化成後の硫酸の比重(20℃)は、1.25〜1.33が好ましく、1.26〜1.30がより好ましい。
前記セパレータは、正負一方の電極を包むような袋状とすることが好ましい。液式鉛蓄電池に用いるセパレータの材質としては、正極と負極との電気的な接続を阻止し、電解液の硫酸イオンを透過させるものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、微多孔性ポリエチレン;ガラス繊維と合成樹脂からなるもの等が挙げられる。セパレータは、正極及び負極を積層する前の工程で、所定長さに切断され、負極を挟み込むように2つに折られ、セパレータの両サイドを圧着することで負極を包み込む形とすることが好ましい。液式鉛蓄電池に用いるセパレータの厚みは0.7〜1.1mmがより好ましい。
なお、化成条件、及び、硫酸の比重は、電極のサイズに応じて調整することができる。また、化成処理は、組み立て工程後に実施されることに限られず、電極製造工程において実施されてもよい(タンク化成)。
前記電槽は、その内部に電極を収納するものであり、電極の収納し易さから、上面が開放された箱体と、この箱体の上面を覆う蓋体とを有するものを好適に使用することができる。なお、箱体と蓋体との接着は、接着剤、熱溶着、レーザ溶着、超音波溶着等を適宜用いることができる。
電槽の形状は、特に限定されるものではないが、通常電極が板状体であることが好ましいことから、電極群収納時に無効空間が少なくなるように、方形のものを用いることが好ましい。
電槽の材質は、特に制限されるものではないが、電解液(希硫酸等)に対し耐性を有するものである必要がある。電槽の材質としては、具体的には、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ABS樹脂等を用いることができ、材質がPPであると、耐酸性、加工性及びコストの面で有利である。PPは、電槽と蓋の熱溶着が困難であるABS樹脂と比較して加工性の面で有利である。
なお、前述した箱体及び蓋体により電槽が形成される場合、箱体と蓋体とを、別々の材質により形成してもよく、同一材質により形成してもよい。箱体及び蓋体の材料としては、無理な応力が発生しない観点から、熱膨張係数の等しい材質を使用することが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明は下記の実施例のみに限定されるものではない。
<実施例1>
(正極板の作製)
まず、鉛粉に対して、補強用短繊維としてアクリル繊維0.25質量%(鉛粉の全質量基準)を加えて乾式混合した。次に、前記鉛粉を含む混合物に対して、水を8質量%加えて混練してペーストAを作製した。
次に、鉛丹(Pb)と、第一の希硫酸(比重1.35)17質量%とを混合した後に混練し、続いて第二の希硫酸(比重1.5)6質量%を加えた後に混練してペーストBを作製した。なお、前記第一及び第二の希硫酸の前記配合量は、前述のペーストAを作製する際に用いる鉛粉、及び、ペーストBを作製する際に用いる鉛丹の合計質量を基準とした配合量である。
そして、前記ペーストAに前記ペーストBを添加して1時間の混練を行い、正極材ペーストを作製した。この正極材ペーストにおいて、ペーストA中に含まれる鉛粉と、ペーストB中に含まれる鉛丹との割合は、質量比で鉛粉/鉛丹=85/15になるように調整した。また、水の全量は、鉛粉及び鉛丹の合計質量を基準として6.9質量%とした。正極材ペーストの作製に際しては、急激な温度上昇を避けるため、前記ペーストBの添加は段階的に行った。
鉛合金からなる圧延シートにエキスパンド加工を施すことにより作製されたエキスパンド式集電体に、前記正極材ペーストを充填した後、温度50℃、湿度98%の雰囲気で24時間熟成した。その後、温度50℃で16時間乾燥して、未化成の正極材を有する正極板を作製した。
(負極板の作製)
負極活物質の原料として鉛粉を用いた。ビスパーズP215(ビスフェノールとアミノベンゼンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物、商品名、日本製紙株式会社製)0.2質量%(樹脂固形分)、補強用短繊維(アクリル繊維)0.1質量%、硫酸バリウム1.0質量%、及び、炭素質導電材(ファーネスブラック)0.2質量%の混合物を前記鉛粉に添加した後に乾式混合した(前記配合量は、負極活物質の原料の全質量を基準とした配合量である)。次に、水を加えた後に混練した。続いて、比重1.280の希硫酸を少量ずつ添加しながら混練して、負極材ペーストを作製した。鉛合金からなる圧延シートにエキスパンド加工を施すことにより作製されたエキスパンド式集電体にこの負極材ペーストを充填した後、温度50℃、湿度98%の雰囲気で24時間熟成した。その後乾燥して、未化成の負極材を有する負極板を作製した。
(電池の組み立て)
袋状に加工したポリエチレン製のセパレータに未化成の負極板を挿入した。次に、未化成の正極板5枚と、前記袋状セパレータに挿入された未化成の負極板6枚とを交互に積層した。続いて、キャストオンストラップ(COS)方式で、同極性の電極板の耳部同士を溶接して電極群を作製した。前記電極群を電槽に挿入して2V単セル電池(JIS D 5301規定のK42サイズの単セルに相当)を組み立てた。その後、比重1.230の硫酸溶液を注入し、10.4Aにて20時間の定電流で化成を行った。なお、化成後の電解液(硫酸溶液)の比重を1.28(20℃)に調整した。
(比表面積の測定)
比表面積の測定試料は、下記の手順により作製した。まず、上記化成した電池を解体して電極板(正極板及び負極板)を取り出して水洗をした後、50℃で24時間乾燥した。次に、前記電極板の中央部から電極材(正極材及び負極材)を2g採取して、130℃で30分乾燥して測定試料を作製した。
化成後の正極材及び負極材の比表面積は、前記で作製した測定試料を液体窒素で冷却しながら液体窒素温度で窒素ガス吸着量を多点法で測定し、BET法に従って算出した。測定条件を下記する。このようにして測定した結果、正極材の比表面積は、11.5m/gであった。また、負極材の比表面積は、0.6m/gであった。
[比表面積の測定条件]
・装置:Macsorb1201(株式会社マウンテック製)
・脱気時間:130℃で10分
・冷却:液体窒素で5分間
・吸着ガス流量:25mL/分
(X線回折パターンのピーク強度に基づくα−PbO/β−PbO比率の測定)
測定試料は、下記の手順により作製した。まず、上記化成した電池を解体して正極板を取り出して水洗をした後、50℃で24時間乾燥した。次に、前記正極板の中央部から正極材を3g採取してすり潰した。続いて、正極材の厚みが試料ホルダーの深さと同等になるように正極材を試料ホルダーに充填して平滑な試料面を作製した後、測定を行った。図1は、実施例1のX線回折パターンを示す図である。α−PbO/β−PbO比率の測定装置、測定条件、算出方法等を下記する。
・測定装置:全自動多目的水平型X線回折装置 SmartLab(株式会社リガク製)
・X線源:Cu−Kα / 1.541862Å
・フィルター:Cu−Kβ
・出力:40kV、30mA
・スキャンモード:CONTINUOUS
・スキャン範囲:20.0000度〜60.0000度
・ステップ幅:0.0200度
・スキャン軸:2θ/θ
・スキャンスピード:10.0000度/分
・試料ホルダー:ガラス製、深さ0.2mm
・算出方法:作製した試料(正極の既化成正極材)3gを用いて広角X線回折を測定した結果、得られた回折角(2θ)と回折ピーク強度のX線回折チャートから、回折角度28.6度に位置するα−PbO、及び、回折角度25.3度に位置するβ−PbOが検出された。α−PbO(110面)及びβ−PbO(111面)それぞれの化合物として特定される波形のピーク強度(cps)を用いて、「α−PbOのピーク強度」/「β−PbOのピーク強度」の比率を比率α−PbO/β−PbOとして算出した。このようにして測定した結果、α−PbO/β−PbO比率は0.05であった。
(多孔度の測定)
測定試料は、下記の手順により作製した。まず、上記化成した電池を解体して正極板を取り出して水洗をした後、50℃で24時間乾燥した。次に、前記正極板の中央部から正極材の塊を3g採取した。前記塊を、最大径が5mm程度の小片に砕き、この小片の合計3gを測定セルに入れた。そして、下記の条件に基づき、水銀ポロシメーターを用いて化成後の正極材の多孔度を測定した。
・装置:オートポアIV9520(株式会社島津製作所製)
・水銀圧入圧:0〜354kPa(低圧)、大気圧〜414MPa(高圧)
・各測定圧力での圧力保持時間:900秒(低圧)、1200秒(高圧)
・試料と水銀との接触角:130°
・水銀の表面張力:480〜490mN/m
・水銀の密度:13.5335g/mL
<実施例2>
下記のように未化成の正極材を作製したことを除き、実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製すると共に測定を行った。
まず、鉛粉に対して、補強用短繊維としてアクリル繊維0.07質量%(鉛粉の全質量基準)を加えて乾式混合した。次に、前記鉛粉を含む混合物に対して、水を6.2質量%加えて混練してペーストAを作製した。
次に、鉛丹(Pb)と、第一の希硫酸(比重1.35)19質量%とを混合した後に混練し、続いて第二の希硫酸(比重1.5)9.7質量%を加えた後に混練してペーストBを作製した。なお、前記第一及び第二の希硫酸の前記配合量は、前述のペーストAを作製する際に用いる鉛粉、及び、ペーストBを作製する際に用いる鉛丹の合計質量を基準とした配合量である。
そして、前記ペーストAに前記ペーストBを添加して1時間の混練を行い、正極材ペーストを作製した。この正極材ペーストにおいて、ペーストA中に含まれる鉛粉と、ペーストB中に含まれる鉛丹との割合は、質量比で鉛粉/鉛丹=85/15になるように調整した。また、水の全量は、鉛粉及び鉛丹の合計質量を基準として5.3質量%とした。正極材ペーストの作製に際しては、急激な温度上昇を避けるため、前記ペーストBの添加は段階的に行った。
鉛合金からなる圧延シートにエキスパンド加工を施すことにより作製されたエキスパンド式集電体に、前記正極材ペーストを充填した後、温度50℃、湿度98%の雰囲気で24時間熟成した。その後、温度50℃で16時間乾燥して、未化成の正極材を有する正極板を作製した。
<実施例3>
下記のように未化成の正極材を作製したことを除き、実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製すると共に測定を行った。
まず、鉛粉に対して、補強用短繊維としてアクリル繊維0.07質量%(鉛粉の全質量基準)を加えて乾式混合した。次に、前記鉛粉を含む混合物に対して、水を5.4質量%加えて混練してペーストAを作製した。
次に、鉛丹(Pb)と、第一の希硫酸(比重1.35)21.5質量%とを混合した後に混練し、続いて第二の希硫酸(比重1.5)15質量%を加えた後に混練してペーストBを作製した。なお、前記第一及び第二の希硫酸の前記配合量は、前述のペーストAを作製する際に用いる鉛粉、及び、ペーストBを作製する際に用いる鉛丹の合計質量を基準とした配合量である。
そして、前記ペーストAに前記ペーストBを添加して1時間の混練を行い、正極材ペーストを作製した。この正極材ペーストにおいて、ペーストA中に含まれる鉛粉と、ペーストB中に含まれる鉛丹との割合は、質量比で鉛粉/鉛丹=85/15になるように調整した。また、水の全量は、鉛粉及び鉛丹の合計質量を基準として4.6質量%とした。正極材ペーストの作製に際しては、急激な温度上昇を避けるため、前記ペーストBの添加は段階的に行った。
鉛合金からなる圧延シートにエキスパンド加工を施すことにより作製されたエキスパンド式集電体に、前記正極材ペーストを充填した後、温度50℃、湿度98%の雰囲気で24時間熟成した。その後、温度50℃で16時間乾燥して、未化成の正極材を有する正極板を作製した。
<比較例1>
下記のように未化成の正極材を作製したことを除き、実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製すると共に測定を行った。
まず、鉛粉90質量部と、鉛丹(Pb)3.9質量部と、補強用短繊維としてアクリル繊維0.07質量部と、ペーストのpHを上げ三塩基性硫酸鉛の結晶成長を促進する硫酸ナトリウム0.02質量部とを配合した。次に、水を加えて混練してペーストAを作製した。前記水の配合量は、前記鉛粉、前記鉛丹、及び、後述のペーストBを作製する際に用いる鉛丹の合計質量を基準として9.7質量%とした。
次に、鉛丹(Pb)6.1質量部に、希硫酸(比重1.35)14.6質量%を加えて混練し、ペーストBを作製した。なお、前記希硫酸の配合量は、前述のペーストA及びペーストBを作製する際に用いる鉛粉及び鉛丹の合計質量を基準とした配合量である。
そして、前記ペーストAに前記ペーストBを添加して1時間の混練を行い、正極材ペーストを作製した。この正極材ペーストにおいて、ペーストA中に含まれる鉛粉と、ペーストB中に含まれる鉛丹との割合は、質量比で鉛粉/鉛丹=90/10になるように調整した。また、水の全量は、鉛粉及び鉛丹の合計質量を基準として9.2質量%とした。正極材ペーストの作製に際しては、急激な温度上昇を避けるため、前記ペーストBの添加は段階的に行った。
鉛合金からなる圧延シートにエキスパンド加工を施すことにより作製されたエキスパンド式集電体に、前記正極材ペーストを充填した後、温度50℃、湿度98%の雰囲気で24時間熟成した。その後、温度50℃で16時間乾燥して、未化成の正極材を有する正極板を作製した。
<比較例2>
鉛丹を用いることなく下記のように未化成の正極材を作製したことを除き、実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製すると共に測定を行った。
まず、鉛粉に対して、補強用短繊維としてアクリル繊維0.07質量%と、硫酸ナトリウム0.01質量%とを加えて乾式混合した。アクリル繊維及び硫酸ナトリウムのそれぞれの配合量は、鉛粉の全質量を基準とした配合量である。次に、前記鉛粉を含む混合物に対して、水10質量%と、希硫酸(比重1.28)9質量%とを加えて混練して正極材ペーストを作製した。正極材ペーストの作製に際しては、急激な温度上昇を避けるため、希硫酸の添加は段階的に行った。
鉛合金からなる圧延シートにエキスパンド加工を施すことにより作製されたエキスパンド式集電体に、前記正極材ペーストを充填した後、温度50℃、湿度98%の雰囲気で24時間熟成した。その後、温度50℃で16時間乾燥して、未化成の正極材を有する正極板を作製した。
<特性評価>
(充電受入性)
作製した鉛蓄電池について、化成後、約12時間放置した後、25℃で5.6Aの電流値で30分間定電流放電を行い、さらに、6時間放置した後、2.33Vで100Aの制限電流として60秒間の定電圧充電を行い、その開始から5秒目までの電流値を測定した。比較例1の測定結果を100とした相対比率を評価した。結果を表1に示す。
(5時間率容量)
作製した鉛蓄電池について、25℃で5.6Aの電流値で放電し、1.75Vを下回った時点での持続時間から5時間率容量を算出した。比較例1の測定結果を100とした相対比率を評価した。結果を表1に示す。
(ISSサイクル特性)
ISSサイクル特性の測定を次のように行った。作製した鉛蓄電池について、電池温度が25℃になるように雰囲気温度を調整し、45A−59秒間の定電流放電及び300A−1秒間の定電流放電を行った後に制限電流100A−2.33V−60秒間の定電流・定電圧充電を行う操作を1サイクルとする試験を7200サイクル行った。この試験は、ISS車での鉛蓄電池の使われ方を模擬したサイクル試験である。このサイクル試験では、放電量に対して充電量が少ないため、充電が完全に行われないと徐々に充電不足になり、その結果、放電電流を300Aとして1秒間放電した時の1秒目電圧が徐々に低下する。すなわち、定電流・定電圧充電時に負極が分極して早期に定電圧充電に切り替わると、充電電流が減衰して充電不足になる。このサイクル試験では、7200サイクル後の300A放電時の1秒目電圧が1.2V以上のときを「A」と判定し、1.2Vを下回ったときを「B」として判定した。結果を表1に示す。
表1の結果から、正極材の比表面積が11m/g以上であり、正極材におけるβ−PbO及びα−PbOのX線回折パターンのピーク強度の比率(α−PbO/β−PbO)が0.3以下である実施例では、比較例と比べて充電受入性が向上していることが確認できる。また、実施例では、充電受入性、5時間率容量及ISSサイクル特性が両立されていることが確認できる。

Claims (6)

  1. 正極及び負極を備える鉛蓄電池であって、
    前記正極が、集電体と、当該集電体に保持された正極材と、を有し、
    前記負極が、集電体と、当該集電体に保持された負極材と、を有し、
    前記正極材の比表面積が11m/g以上であり、
    前記正極材におけるβ−PbO及びα−PbOのX線回折パターンのピーク強度の比率(α−PbO/β−PbO)が0.1以下である、鉛蓄電池。
  2. 前記正極材の多孔度が50体積%以上である、請求項1に記載の鉛蓄電池。
  3. 前記負極材が、スルホ基及びスルホン酸塩基からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂を含む、請求項1又は2に記載の鉛蓄電池。
  4. 前記樹脂が、ビスフェノールとアミノベンゼンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物である、請求項3に記載の鉛蓄電池。
  5. 袋状のセパレータを更に備え、
    前記正極及び前記負極のうちの一方が前記セパレータ内に配置されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の鉛蓄電池。
  6. 前記負極が前記セパレータ内に配置されている、請求項5に記載の鉛蓄電池。
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