JP6866896B2 - 鉛蓄電池及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉛蓄電池及びその製造方法に関する。
近年、自動車においては、大気汚染防止又は地球温暖化防止のため様々な燃費向上対策が検討されている。燃費向上対策を施した自動車としては、例えば、エンジンの動作時間を少なくするアイドリングストップシステム車(以下、「ISS車」という)、エンジンの回転を無駄なく動力に使用する発電制御車等のマイクロハイブリッド車が検討されており、マイクロハイブリッド車において鉛蓄電池を用いることが検討されている。
ISS車では、エンジンの始動回数が多くなるため、鉛蓄電池の大電流放電が繰り返される。また、ISS車及び発電制御車では、オルタネータによる発電量が少なくなり、鉛蓄電池の充電が間欠的に行われるため充電が不充分となる。
前記のような使われ方をする鉛蓄電池は、PSOC(Partial State Of Charge)と呼ばれる部分充電状態で使用される。鉛蓄電池は、PSOC下で使用されると、満充電状態で使用される場合よりも寿命が短くなる。
また、近年、欧州では、マイクロハイブリッド車の制御に則した、充放電サイクル中における鉛蓄電池の充電性が重要視されており、このような形態のDCA(Dynamic Charge Acceptance)評価が規格化されつつある。つまり、PSOCと呼ばれる部分充電状態で使用される鉛蓄電池においては、充電受け入れ性の向上が求められている。PSOC下における充電受け入れ性に関する技術として、例えば、平均粒径0.5μm以上の硫酸バリウムを含む負極板を用いる技術が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
特開2003−36882号公報
ところで、鉛蓄電池に対しては、浸透短絡を抑制することも求められている。これに対し、本発明者は、ナトリウムイオンを含有する電解液を用いることにより、浸透短絡を抑制しつつ優れた充電受け入れ性を得ることに着想したものの、前記特許文献1の技術では、電解液がナトリウムイオンを含有する場合に充電受け入れ性が向上しないことが示されている。
本発明は、浸透短絡を抑制しつつ優れた充電受け入れ性を得ることが可能な鉛蓄電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る鉛蓄電池の製造方法は、正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置されたセパレータと、電解液と、を備える鉛蓄電池の製造方法であって、負極活物質の原料と、バリウムを含む粒子と、を含有する混合物を化成処理して、前記負極活物質と前記粒子とを含有する負極材を有する負極を得る工程を備え、前記粒子の化成処理前における平均一次粒径が0.10μm以下であり、前記電解液がナトリウムイオンを含有する。
本発明に係る鉛蓄電池は、正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置されたセパレータと、電解液と、を備える鉛蓄電池であって、前記負極が、前記負極活物質の原料と、バリウムを含む粒子と、を含有する混合物の化成処理物を含む負極材を有し、前記粒子の化成処理前における平均一次粒径が0.10μm以下であり、前記電解液がナトリウムイオンを含有する。
本発明によれば、浸透短絡を抑制しつつ優れた充電受け入れ性を得ることができる。
浸透短絡を抑制しつつ優れた充電受け入れ性が得られるメカニズムの詳細については明らかではないが、以下のように推測される。
すなわち、電離したナトリウムイオンが電解液中に存在することで、硫酸鉛の溶解度が低下する。これにより、硫酸鉛の再析出が抑制されるため、浸透短絡が抑制される。
また、負極材に含まれる添加剤として、バリウムを含む粒子は、放電反応の生成物である硫酸鉛の結晶核となる役割を有する。そして、バリウムを含む粒子の化成処理前における平均一次粒径が0.10μm以下であると、化成処理後の放電時に生成する硫酸鉛のサイズが小さくなり、負極材の比表面積が大きくなる。そのため、充電反応時の反応サイトが多くなり、充電受け入れ性が向上する。
前記電解液のナトリウムイオン濃度は、0.01〜0.20mol/Lであることが好ましい。
前記電解液は、アルミニウムイオンを更に含有することが好ましい。前記電解液のアルミニウムイオン濃度は、0.001〜0.10mol/Lであることが好ましい。
前記粒子は、バリウム塩を含むことが好ましい。前記バリウム塩は、硫酸バリウムを含むことが好ましい。
前記粒子の化成処理前における配合量は、前記負極活物質の原料の全質量を基準として0.01〜2.0質量%であることが好ましい。
本発明によれば、浸透短絡を抑制しつつ優れた充電受け入れ性を得ることが可能な鉛蓄電池及びその製造方法を提供することができる。
図1は、セパレータを示す図面である。 図2は、セパレータ及び電極の断面図である。 図3は、袋状のセパレータと、袋状のセパレータに収容される電極とを示す図面である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、比重は、温度によって変化するため、本明細書においては20℃で換算した比重と定義する。本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本明細書において、組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
<鉛蓄電池>
本実施形態に係る鉛蓄電池は、例えば、電極(電極板等)、セパレータ、電解液(硫酸溶液等)及び電槽を備えている。電極、セパレータ及び電解液は、電槽内に収容されている。電極は、セパレータを介して対向する正極(正極板等)及び負極(負極板等)を有している。セパレータは、正極及び負極の間に配置されている。本実施形態に係る鉛蓄電池としては、液式鉛蓄電池、制御弁式鉛蓄電池、密閉式鉛蓄電池等が挙げられ、液式鉛蓄電池が好ましい。
正極及び負極は、例えば、セパレータを介して積層されることにより電極群(極板群等)を構成している。正極は、集電体(正極集電体)と、当該集電体に保持された正極材と、を有している。負極は、集電体(負極集電体)と、当該集電体に保持された負極材と、を有している。本実施形態において正極材及び負極材は、例えば、化成処理後の電極材である。電極材が未化成である場合、電極材(未化成の正極材及び未化成の負極材)は、電極活物質(正極活物質及び負極活物質)の原料等を含有している。集電体は、電極材からの電流の導電路を構成する。鉛蓄電池の基本構成としては、従来の鉛蓄電池と同様の構成を用いることができる。
(正極材)
[正極活物質]
正極材は、正極活物質を含有している。正極活物質は、正極活物質の原料を含む正極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成の正極活物質を得た後に未化成の正極活物質を化成処理することで得ることができる。化成処理後の正極活物質は、β−二酸化鉛(β−PbO)を含むことが好ましく、α−二酸化鉛(α−PbO)を更に含んでいてもよい。正極活物質の原料としては、特に制限はなく、例えば鉛粉が挙げられる。鉛粉としては、例えば、ボールミル式鉛粉製造機又はバートンポット式鉛粉製造機によって製造される鉛粉(ボールミル式鉛粉製造機においては、主成分PbOの粉体と鱗片状金属鉛との混合物)が挙げられる。正極活物質の原料として鉛丹(Pb)を用いてもよい。未化成の正極材は、主成分として、三塩基性硫酸鉛を含む未化成の正極活物質を含有することが好ましい。
正極活物質の含有量は、電池特性(容量、放電特性、充電受け入れ性、サイクル特性等)に更に優れる観点から、正極材の全質量を基準として、95質量%以上が好ましく、97質量%以上がより好ましく、99質量%以上が更に好ましい。正極活物質の含有量の上限は、100質量%以下であってもよい。正極活物質の前記含有量は、化成処理後の正極材における正極活物質の含有量である。
[正極添加剤]
正極材は、添加剤を更に含有していてもよい。添加剤としては、炭素材料(炭素質導電材。炭素繊維を除く)、補強用短繊維等が挙げられる。炭素材料としては、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック(ケッチェンブラック等)、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックなどが挙げられる。補強用短繊維としては、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、炭素繊維等が挙げられる。
(負極材)
本実施形態において負極材は、負極活物質と、バリウムを含む粒子と、を含有している。負極材は、負極活物質の原料と、バリウムを含む粒子と、を含有する混合物の化成処理物を含み、前記混合物を化成処理してなる。負極材は、バリウムを含む粒子以外の負極添加剤を含有していてもよい。
[負極活物質]
負極活物質は、負極活物質の原料を含む負極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成の負極活物質を得た後に未化成の負極活物質を化成処理することで得ることができる。化成処理後の負極活物質としては、海綿状鉛(Spongylead)等が挙げられる。前記海綿状鉛は、電解液中の硫酸と反応して、次第に硫酸鉛(PbSO)に変わる傾向がある。負極活物質の原料としては、鉛粉等が挙げられる。鉛粉としては、例えば、ボールミル式鉛粉製造機又はバートンポット式鉛粉製造機によって製造される鉛粉(ボールミル式鉛粉製造機においては、主成分PbOの粉体と鱗片状金属鉛との混合物)が挙げられる。未化成の負極活物質の構成材料としては、例えば、塩基性硫酸鉛、金属鉛、及び、低級酸化物が挙げられる。
負極活物質の含有量は、電池特性(容量、放電特性、充電受け入れ性、サイクル特性等)に更に優れる観点から、負極材の全質量を基準として、93質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上が更に好ましい。負極活物質の含有量の上限は、100質量%以下であってもよい。負極活物質の前記含有量は、化成処理後の負極材における負極活物質の含有量である。
[負極添加剤]
{バリウムを含む粒子}
バリウムを含む粒子は、浸透短絡を抑制しつつ更に優れた充電受け入れ性を得る観点から、バリウム塩を含むことができる。バリウム塩としては、浸透短絡を抑制しつつ更に優れた充電受け入れ性を得る観点から、硫酸バリウムが好ましい。
{その他の添加剤}
負極材は、バリウムを含む粒子以外の添加剤を更に含有していてもよい。添加剤としては、スルホン基(スルホン酸基、スルホ基)及びスルホン酸塩基(スルホン基の水素がアルカリ金属で置換された基等)からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂(スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂);炭素材料(炭素質導電材。炭素繊維を除く);補強用短繊維などが挙げられる。スルホン基及びスルホン酸塩基からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂を負極材が含むことにより、充電受け入れ性を更に向上させることができる。
スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂としては、スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有するビスフェノール系樹脂(以下、単に「ビスフェノール系樹脂」という)、リグニンスルホン酸、リグニンスルホン酸塩等が挙げられる。リグニンスルホン酸は、リグニンの分解物の一部がスルホン化された化合物である。リグニンスルホン酸塩としては、例えば、リグニンスルホン酸カリウム及びリグニンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。これらの中でも、充電受け入れ性が更に向上する観点から、ビスフェノール系樹脂が好ましい。
ビスフェノール系樹脂は、ビスフェノール系化合物(ビスフェノールA、ビスフェノールS等)と、アミノアルキルスルホン酸、アミノアルキルスルホン酸誘導体、アミノアリールスルホン酸(4−アミノベンゼンスルホン酸等)及びアミノアリールスルホン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体(パラホルムアルデヒド等)からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を反応させて得られる樹脂であることが好ましい。
スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂(ビスフェノール系樹脂等)の重量平均分子量は、スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂が鉛蓄電池において電極から電解液に溶出することを抑制することによりサイクル特性が向上しやすくなる観点から、3000以上が好ましく、10000以上がより好ましく、20000以上が更に好ましく、30000以上が特に好ましい。スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂の重量平均分子量は、電極活物質に対する吸着性が低下して分散性が低下することを抑制することによりサイクル特性が向上しやすくなる観点から、200000以下が好ましく、150000以下がより好ましく、100000以下が更に好ましい。
スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂の重量平均分子量は、例えば、下記条件のゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)により測定することができる。
(GPC条件)
装置:高速液体クロマトグラフ LC−2200 Plus(日本分光株式会社製)
ポンプ:PU−2080
示差屈折率計:RI−2031
検出器:紫外可視吸光光度計UV−2075(λ:254nm)
カラムオーブン:CO−2065
カラム:TSKgel SuperAW(4000)、TSKgel SuperAW(3000)、TSKgel SuperAW(2500)(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
溶離液:LiBr(10mM)及びトリエチルアミン(200mM)を含有するメタノール溶液
流速:0.6mL/分
分子量標準試料:ポリエチレングリコール(分子量:1.10×10、5.80×10、2.55×10、1.46×10、1.01×10、4.49×10、2.70×10、2.10×10;東ソー株式会社製)、ジエチレングリコール(分子量:1.06×10;キシダ化学株式会社製)、ジブチルヒドロキシトルエン(分子量:2.20×10;キシダ化学株式会社製)
スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂を用いる場合、スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂の含有量は、更に優れた充電受け入れ性を得る観点から、負極材の全質量を基準として、固形分換算で0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂の含有量は、更に優れた放電特性を得る観点から、負極材の全質量を基準として、固形分換算で2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下が更に好ましい。
炭素材料としては、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック(ケッチェンブラック等)、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックなどが挙げられる。補強用短繊維としては、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、炭素繊維等が挙げられる。
(集電体)
集電体の製法としては、鋳造方式、エキスパンド方式、打ち抜き方式等が挙げられる。集電体の材料としては、例えば、鉛−カルシウム−錫系合金及び鉛−アンチモン系合金等の鉛合金が挙げられる。これらにセレン、銀、ビスマス等を微量添加することができる。例えば、これらの材料を前述の製法で格子状又はメッシュ状に形成することにより集電体を得ることができる。正極及び負極の集電体の材料及び/又は製法は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
(セパレータ)
鉛蓄電池に用いるセパレータとしては、正極と負極との電気的な接続を阻止し、且つ、電解液の硫酸イオンを透過させるものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、微多孔性合成樹脂シート、ガラス繊維と耐酸紙とを貼りあわせたもの等が挙げられる。微多孔性合成樹脂シート製のセパレータは、ポリオレフィン(ポリエチレン等)を含むことが好ましく、ポリオレフィン及びシリカを含むことがより好ましい。
図1(a)は、セパレータを示す正面図であり、図1(b)は、セパレータの断面図である。図2は、セパレータ及び電極の断面図である。図1に示すように、セパレータ10は、平板状のベース部11と、凸状(例えば線状)の複数のリブ12と、ミニリブ13とを備えている。ベース部11は、リブ12及びミニリブ13を支持している。リブ12は、セパレータ10の幅方向における中央において、セパレータ10の長手方向に延びるように複数(多数本)形成されている。複数のリブ12は、セパレータ10の一方面10aにおいて互いに略平行に配置されている。リブ12の間隔は、例えば3〜15mmである。リブ12の高さ方向の一端はベース部11に一体化して接続されており、リブ12の高さ方向の他端は、正極及び負極のうちの一方の電極14aに接している(図2参照)。ベース部11は、リブ12の高さ方向において電極14aと対向している。セパレータ10の他方面10bにはリブは配置されておらず、セパレータ10の他方面10bは、正極及び負極のうちの他方の電極14b(図2参照)と対向又は接している。
ミニリブ13は、セパレータ10の幅方向における両側において、セパレータ10の長手方向に延びるように複数(多数本)形成されている。ミニリブ13は、鉛蓄電池が横方向に振動した際に、電極の角がセパレータを突き破って短絡することを防止するためにセパレータ強度を向上させる機能を有する。なお、ミニリブ13の高さ、幅及び間隔は、何れもリブ12よりも小さいことが好ましい。また、ミニリブ13の断面形状は、リブ12と同一であってもよく、異なっていてもよい。ミニリブ13の断面形状は、半円型であることが好ましい。また、セパレータ10においてミニリブ13は形成されていなくてもよい。
ベース部11の厚みTの上限は、更に優れた充電受け入れ性及び放電特性を得る観点から、0.25mm以下が好ましく、0.22mm以下がより好ましい。ベース部11の厚みTの下限は、特に制限はないが、短絡を抑制しやすい観点から、0.1mm以上が好ましく、0.15mm以上がより好ましい。
リブ12の高さ(ベース部11及び電極14の対向方向の高さ)Hの上限は、更に優れた充電受け入れ性を得る観点から、1mm以下が好ましく、0.8mm以下がより好ましく、0.6mm以下が更に好ましい。リブ12の高さHの下限は、正極での酸化劣化を抑制する観点から、0.3mm以上が好ましく、0.4mm以上がより好ましく、0.5mm以上が更に好ましい。
ベース部11の厚みTに対するリブ12の高さHの比率H/Tの下限は、セパレータの耐酸化性に優れる観点から、2以上が好ましく、2.2以上がより好ましく、2.5以上が更に好ましい。比率H/Tが2以上であると、電極(例えば正極)と接触しない部分を充分に確保できるため、セパレータの耐酸化性が向上すると推測される。
比率H/Tの上限は、リブの形状保持性に優れる観点、及び、短絡の抑制効果に更に優れる観点から、6以下が好ましい。比率H/Tが6以下であると、正極と負極との間の距離が充分であることから短絡が更に抑制されると推測される。また、比率H/Tが6以下であると、鉛蓄電池を組み立てた際にリブが破損することなく、充電受け入れ性等の電池特性が良好に維持されると推測される。比率H/Tの上限は、リブの形状保持性に更に優れる観点、及び、短絡の抑制効果に更に優れる観点から、5以下がより好ましく、4以下が更に好ましく、3以下が特に好ましい。
リブ12の上底幅B(図1(b)参照)は、リブの形状保持性及び耐酸化性に優れる観点から、0.1〜2mmが好ましく、0.2〜1mmがより好ましく、0.2〜0.8mmが更に好ましい。リブの下底幅Aは、リブの形状保持性に優れる観点から、0.2〜4mmが好ましく、0.3〜2mmがより好ましく、0.4〜1mmが更に好ましい。上底幅Bと下底幅Aの比率(B/A)は、リブの形状保持性に優れる観点から、0.1〜1が好ましく、0.2〜0.8がより好ましく、0.3〜0.6が更に好ましい。
セパレータは、正極及び負極の少なくとも一方の電極を包む袋状であることが好ましい。例えば、正極及び負極のうちの一方が袋状のセパレータに収容され、且つ、正極及び負極のうちの他方と交互に積層されている態様が好ましい。例えば、袋状のセパレータを正極に適用した場合、正極集電体の伸びにより正極がセパレータを貫通する可能性があることから、負極が袋状のセパレータに収容されていることが好ましい。セパレータは、電極(極板等)を積層する工程の際に負極(負極板等)の長さに応じて、切断、2つに折られ、セパレータの両サイドを圧着することで、負極を包み込む形を有していることが好ましい。
図3は、袋状のセパレータ20と、セパレータ20に収容される電極(例えば負極)14とを示す図面である。図1(a)に示すように、セパレータ20の作製に用いるセパレータ10は、例えば、長尺のシート状に形成されている。図3に示すセパレータ20は、セパレータ10を適切な長さに切断し、セパレータ10の長手方向に二つ折りにしてその内側に電極14を配置して重ね合せ、両側部をメカニカルシール、圧着又は熱溶着することにより得ることができる(例えば、図3の符号22はメカニカルシール部を示す)。
(電解液)
電解液は、浸透短絡を抑制しつつ優れた充電受け入れ性を得る観点から、ナトリウムイオンを含有している。また、電解液は、硫酸を含有することができる。電解液は、例えば、硫酸及びナトリウムイオンを含有しており、硫酸及び硫酸ナトリウムを混合することにより得ることができる。
ナトリウムイオン濃度は、浸透短絡を更に抑制する観点から、電解液の全量を基準として、0.01mol/L以上が好ましく、0.05mol/L以上がより好ましく、0.10mol/L以上が更に好ましく、0.15mol/L以上が特に好ましく、0.20mol/L以上が極めて好ましい。ナトリウムイオン濃度は、充電受け入れ性を更に向上させる観点から、0.50mol/L以下が好ましく、0.40mol/L以下がより好ましく、0.30mol/L以下が更に好ましく、0.20mol/L以下が特に好ましく、0.10mol/L以下が極めて好ましく、0.05mol/L以下が非常に好ましい。ナトリウムイオン濃度は、浸透短絡の抑制効果と充電受け入れ性の向上効果とをバランスよく得る観点から、0.01〜0.50mol/Lであってもよく、0.05〜0.40mol/Lであってもよく、0.10〜0.30mol/Lであってもよく、0.15〜0.20mol/Lであってもよく、0.10〜0.20mol/Lであってもよく、0.05〜0.20mol/Lであってもよく、0.01〜0.20mol/Lであってもよい。電解液のナトリウムイオン濃度は、例えば、ICP発光分光分析法(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法)により測定することができる。
電解液は、更に優れた充電受け入れ性を得る観点から、アルミニウムイオンを含有することが好ましい。電解液がアルミニウムイオンを含有していると、任意の低SOC下において、放電生成物である結晶性の硫酸鉛同士が結合して大きな結晶に成長することが抑制される、硫酸鉛の電解液中への溶解度が上がる、又は、アルミニウムイオンの高いイオン伝導性によって電極活物質内部への電解液の拡散性が向上することにより、充電受け入れ性が向上すると推測される。電解液は、例えば、硫酸及びアルミニウムイオンを含有しており、硫酸及び硫酸アルミニウム粉末を混合することにより得ることができる。電解液中に溶解させる硫酸アルミニウムは、無水物又は水和物として添加することができる。
アルミニウムイオン濃度(例えば、電解液が硫酸アルミニウムを含む場合のアルミニウムイオン濃度)は、浸透短絡を抑制しつつ更に優れた充電受け入れ性を得る観点から、電解液の全量を基準として、0.001mol/L以上が好ましく、0.003mol/L以上がより好ましく、0.01mol/L以上が更に好ましく、0.03mol/L以上が特に好ましく、0.05mol/L以上が極めて好ましく、0.07mol/L以上が非常に好ましい。アルミニウムイオン濃度は、更に優れた充電受け入れ性を得る観点から、電解液の全量を基準として、0.50mol/L以下が好ましく、0.40mol/L以下がより好ましく、0.30mol/L以下が更に好ましく、0.20mol/L以下が特に好ましく、0.15mol/L以下が極めて好ましく、0.10mol/L以下が非常に好ましい。これらの観点から、アルミニウムイオン濃度は、0.001〜0.50mol/Lが好ましく、0.003〜0.40mol/Lがより好ましく、0.01〜0.30mol/Lが更に好ましく、0.03〜0.20mol/Lが特に好ましく、0.05〜0.15mol/Lが極めて好ましく、0.07〜0.10mol/Lが非常に好ましい。アルミニウムイオン濃度は、更に優れた充電受け入れ性を得る観点から、電解液の全量を基準として、0.001〜0.10mol/Lであってもよい。アルミニウムイオン濃度は、放電特性を向上させる観点から、電解液の全量を基準として、0.10mol/L以下であってもよく、0.03mol/L以下であってもよい。電解液のアルミニウムイオン濃度は、例えば、ICP発光分光分析法(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法)により測定することができる。
電解液のアルミニウムイオン濃度が前記所定範囲であることにより充電受け入れ性が向上するメカニズムの詳細については明らかではないが、以下のように推測される。すなわち、アルミニウムイオン濃度が前記所定範囲であると、任意の低SOC下において、放電生成物である結晶性の硫酸鉛同士が結合して大きな結晶に成長することが更に抑制される、硫酸鉛の電解液中への溶解度が更に上がる、又は、アルミニウムイオンの高いイオン伝導性によって電極活物質内部への電解液の拡散性が更に向上することにより、充電受け入れ性が向上すると推測される。
電解液のアルミニウムイオン濃度が前記所定範囲であることにより浸透短絡が抑制されるメカニズムの詳細については明らかではないが、以下のように推測される。アルミニウムイオンが電解液に含まれる場合、アルミニウムがセパレータ内(特に、表層部)に析出することで、セパレータ内で鉛の析出が抑制され、且つ、析出物が成長しにくいことから、浸透短絡が抑制されると考えられる。
化成処理後の電解液の比重は、下記の範囲であることが好ましい。電解液の比重は、浸透短絡又は凍結が抑制されやすいと共に放電特性に更に優れる観点から、1.25以上が好ましく、1.26以上がより好ましく、1.27以上が更に好ましく、1.275以上が特に好ましい。電解液の比重は、充電受け入れ性及びサイクル特性が更に向上する観点から、1.33以下が好ましく、1.32以下がより好ましく、1.31以下が更に好ましく、1.30以下が特に好ましい。電解液の比重の値は、例えば、浮式比重計、又は、京都電子工業株式会社製のデジタル比重計によって測定することができる。
(電槽)
電槽は、内部に電極(極板等)を収納可能なものである。電槽は、電極を収納しやすい観点から、上面が開放された箱体と、箱体の上面を覆う蓋体とを有することが好ましい。なお、箱体と蓋体との接着には、接着剤、熱溶着、レーザ溶着、超音波溶着等を適宜用いることができる。電槽の形状としては、特に限定されるものではないが、電極(板状体である極板等)の収納時に無効空間が少なくなるように方形が好ましい。
電槽の材料は、特に制限されるものではないが、電解液(硫酸溶液等)に対し耐性を有することが必要である。電槽の材料の具体例としては、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ABS樹脂等が挙げられる。材料がPPであると、耐酸性、加工性及び経済性の面で有利である。PPは、電槽と蓋の熱溶着が困難であるABS樹脂と比較して加工性の面で有利である。
電槽が箱体及び蓋体により構成される場合、箱体及び蓋体の材料は、互いに同一の材料であってもよく、互いに異なる材料であってもよい。箱体及び蓋体の材料としては、無理な応力が発生しない観点から、熱膨張係数の等しい材料が好ましい。
<鉛蓄電池の製造方法>
本実施形態に係る鉛蓄電池の製造方法は、負極活物質の原料と、バリウムを含む粒子と、を含有する混合物を化成処理して、負極活物質と、バリウムを含む粒子とを含有する負極材を有する負極を得る負極作製工程を備える。負極作製工程では、例えば、集電体上に配置された負極材を化成処理して負極を得ることができる。
バリウムを含む粒子の化成処理前における平均一次粒径は、浸透短絡を抑制しつつ優れた充電受け入れ性及び放電特性を得る観点から、0.10μm以下である。前記平均一次粒径が0.10μmを超えると、充電受け入れ性が低下する傾向がある。例えば、前記特許文献1では、電解液がナトリウムイオンを含有する状態において平均粒径0.5μm以上の硫酸バリウムを用いた場合に充電受け入れ性が低下することが示されている。バリウムを含む粒子の化成処理前における平均一次粒径は、更に優れた充電受け入れ性及び放電特性を得る観点から、0.08μm以下が好ましく、0.05μm以下がより好ましく、0.03μm以下が更に好ましい。バリウムを含む粒子の化成処理前における平均一次粒径の下限は、特に制限はないが、例えば0.01μmである。バリウムを含む粒子の平均一次粒径は、例えば、電子顕微鏡写真によって定方向径を求めることにより得ることが可能であり、株式会社島津製作所製の粒度測定器を用いて測定することができる。
本実施形態に係る鉛蓄電池の製造方法は、例えば、電極(正極及び負極)を得る電極製造工程と、前記電極を含む構成部材を組み立てて鉛蓄電池を得る組み立て工程とを備えており、電極製造工程は前記負極作製工程を有している。
電極製造工程では、例えば、電極材ペースト(正極材ペースト及び負極材ペースト)を集電体(例えば、鋳造格子体、エキスパンド格子体等の集電体)に充填した後に、熟成及び乾燥を行うことにより未化成の電極を得る。正極材ペーストは、例えば、正極活物質の原料(鉛粉等)を含有しており、他の添加剤を更に含有していてもよい。負極材ペーストは、負極活物質の原料(鉛粉等)と、バリウムを含む粒子とを含有しており、分散剤として、スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂(ビスフェノール系樹脂等)を含有していることが好ましく、他の添加剤を更に含有していてもよい。
正極材を得るための正極材ペーストは、例えば、下記の方法により得ることができる。正極材ペーストを作製するに際しては、化成時間を短縮できる観点から、正極活物質の原料として鉛丹(Pb)を用いてもよい。
まず、正極活物質の原料に添加剤(補強用短繊維等)を添加して乾式混合することにより混合物を得る。そして、この混合物に硫酸(希硫酸等)及び溶媒(イオン交換水等の水、有機溶媒など)を加えて混練することにより正極材ペーストが得られる。正極材ペーストを集電体(例えば、鋳造格子体、エキスパンド格子体等の集電体)に充填した後に熟成及び乾燥を行うことにより未化成の正極を得ることができる。
正極材ペーストにおいて補強用短繊維を用いる場合、補強用短繊維の配合量は、正極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として、0.005〜0.3質量%が好ましく、0.05〜0.3質量%がより好ましい。
未化成の正極を得るための熟成条件としては、温度35〜85℃、湿度50〜98RH%の雰囲気で15〜60時間が好ましい。乾燥条件としては、温度45〜80℃で15〜30時間が好ましい。
負極材ペーストは、例えば、下記の方法により得ることができる。まず、負極活物質の原料に、バリウムを含む粒子(硫酸バリウム等)と、他の添加剤(スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂、炭素材料、補強用短繊維等)とを添加して乾式混合することにより混合物を得る。そして、この混合物に硫酸(希硫酸等)及び溶媒(イオン交換水等の水、有機溶媒など)を加えて混練することにより負極材ペーストが得られる。負極材ペーストを集電体に充填した後に熟成及び乾燥を行うことにより未化成の負極を得ることができる。
負極材ペーストにおいて、バリウムを含む粒子の化成処理前における配合量は、負極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として、下記の範囲であることが好ましい。バリウムを含む粒子の配合量は、浸透短絡を抑制しつつ更に優れた充電受け入れ性を得る観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましい。バリウムを含む粒子の配合量は、浸透短絡を抑制しつつ更に優れた充電受け入れ性を得る観点から、2.0質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましく、1.0質量%以下が更に好ましい。これらの観点から、バリウムを含む粒子の配合量は、0.01〜2.0質量%が好ましく、0.1〜1.5質量%がより好ましく、0.5〜1.0質量%が更に好ましい。
負極材ペーストにおいて、スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂(ビスフェノール系樹脂等)、炭素材料又は補強用短繊維を用いる場合、各成分の配合量は、下記の範囲であることが好ましい。スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂の配合量は、負極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として、樹脂固形分換算で、0.01〜2.0質量%が好ましく、0.05〜1.0質量%がより好ましく、0.1〜0.5質量%が更に好ましく、0.1〜0.3質量%が特に好ましい。炭素材料の配合量は、負極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として、0.1〜3質量%が好ましく、0.2〜1.4質量%がより好ましい。補強用短繊維の配合量は、負極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として0.05〜0.3質量%が好ましい。
未化成の負極を得るための熟成条件としては、温度45〜65℃、相対湿度70〜98RH%の雰囲気で15〜30時間が好ましい。乾燥条件としては、温度45〜60℃で15〜30時間が好ましい。
組み立て工程では、例えば、前記のように作製した未化成の負極及び未化成の正極を、セパレータを介して交互に積層し、同極性の電極の集電部をストラップで連結(溶接等)させて電極群を得る。この電極群を電槽内に配置して未化成の電池を作製する。次に、未化成の電池に電解液を注入した後、直流電流を通電して化成処理(電槽化成)する。化成処理後の電解液の比重を適切な比重に調整して鉛蓄電池が得られる。
化成条件及び電解液の比重は、電極活物質の性状に応じて調整することができる。また、化成処理は、組み立て工程後に実施されることに限られず、電極製造工程における熟成及び乾燥後に実施されてもよい(タンク化成)。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明は下記の実施例のみに限定されるものではない。
<ビスフェノール系樹脂の合成>
ジムロート、メカニカルスターラー及び温度計を装着した500mLセパラブルフラスコに水酸化ナトリウム4.2質量部(0.105mol)及びイオン交換水79.26質量部(4.4mol)を加えた後、150rpm(=min−1)で5分間撹拌して水酸化ナトリウム水溶液を調製した。この水酸化ナトリウム水溶液に4−アミノベンゼンスルホン酸17.32質量部(0.1mol)を加えた後、25℃にて30分間撹拌して均一な溶液Aを得た。溶液Aにパラホルムアルデヒド9.09質量部(ホルムアルデヒド換算、0.3mol、三井化学株式会社製)を加えた後に5分間撹拌してパラホルムアルデヒドを溶解し、均一な溶液Bを得た。次いで、溶液BにビスフェノールA21.92質量部(0.096mol)及びビスフェノールS1.04質量部(0.004mol)を加えた後、90℃に設定したオイルバスを用いて加熱しながら10時間撹拌して溶液Cを得た。
ビスフェノールA及びビスフェノールSを加えた直後(反応開始時)における溶液のpHを下記の測定条件で測定した結果、pHは8.6であった。
(pH測定条件)
試験機:Twin pH(アズワン株式会社製)
校正液:pH6.86(25℃)、pH4.01(25℃)
測定温度:25℃
測定手順:校正液を用いて2点校正を行った。試験機のセンサ部の洗浄を行った後、測定溶液をスポイトで吸い取り、センサ部に0.1〜0.3mL滴下した。画面上に測定終了の表示が現れたときのpHを測定値とした。
上記で作製した溶液Cを耐熱容器に移した。溶液Cが入った耐熱容器を、60℃に設定した真空乾燥機に投入した後、1kPa以下の減圧状態で10時間乾燥することによりビスフェノール系樹脂粉末(ビスフェノール・アミノベンゼンスルホン酸・ホルムアルデヒド縮合物)を得た。ビスフェノール系樹脂の重量平均分子量を下記条件のGPCにより測定した結果、重量平均分子量は53900であった。
(GPC条件)
装置:高速液体クロマトグラフ LC−2200 Plus(日本分光株式会社製)
ポンプ:PU−2080
示差屈折率計:RI−2031
検出器:紫外可視吸光光度計UV−2075(λ:254nm)
カラムオーブン:CO−2065
カラム:TSKgel SuperAW(4000)、TSKgel SuperAW(3000)、TSKgel SuperAW(2500)(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
溶離液:LiBr(10mM)及びトリエチルアミン(200mM)を含有するメタノール溶液
流速:0.6mL/分
分子量標準試料:ポリエチレングリコール(分子量:1.10×10、5.80×10、2.55×10、1.46×10、1.01×10、4.49×10、2.70×10、2.10×10;東ソー株式会社製)、ジエチレングリコール(分子量:1.06×10;キシダ化学株式会社製)、ジブチルヒドロキシトルエン(分子量:2.20×10;キシダ化学株式会社製)
<鉛蓄電池の作製>
(実施例1)
[正極板の作製]
正極活物質の原料として、鉛粉及び鉛丹(Pb)を用いた(鉛粉:鉛丹=96:4(質量比))。正極活物質の原料と、正極活物質の原料の全質量を基準として0.07質量%の補強用短繊維(アクリル繊維)と、水とを混合して混練した。続いて、希硫酸(比重1.280)を少量ずつ添加しながら混練して、正極材ペーストを作製した。鉛合金からなる圧延シートにエキスパンド加工を施すことにより作製されたエキスパンド格子体にこの正極材ペーストを充填した。次いで、正極材ペーストが充填された格子体(集電体)を温度50℃、湿度98%の雰囲気で24時間熟成した。その後、乾燥して未化成の正極板を作製した。
[負極板の作製]
負極活物質の原料として鉛粉を用いた。表1に示す平均一次粒径を有する硫酸バリウム粒子を1.0質量%、ビスフェノール系樹脂を0.2質量%(固形分換算)、補強用短繊維(アクリル繊維)を0.1質量%、炭素材料(ファーネスブラック)を0.2質量%含む混合物を前記鉛粉に添加した後に乾式混合した(前記配合量は、負極活物質の原料の全質量を基準とした配合量である)。次に、水を加えた後に混練した。続いて、希硫酸(比重1.280)を少量ずつ添加しながら混練して、負極材ペーストを作製した。鉛合金からなる圧延シートにエキスパンド加工を施すことにより作製されたエキスパンド格子体にこの負極材ペーストを充填した。次いで、負極材ペーストが充填された格子体(集電体)を温度50℃、湿度98%の雰囲気で24時間熟成した。その後、乾燥して未化成の負極板を作製した。
[セパレータの準備]
ポリエチレン及びシリカ粒子を含み且つ一方面に複数の線状のリブが形成されているシート状物を、リブが形成されている面が外側になるように袋状に加工してなるセパレータを用意した(図1及び図3参照)。セパレータの詳細を以下に示す。
総厚み:0.75mm(ベース部の厚みT:0.2mm、リブの高さH:0.55mm、H/T=2.75)
リブの間隔:7.35mm、リブの上底幅B:0.4mm、リブの下底幅A:0.8mm
[電池の組み立て]
得られた袋状のセパレータに未化成の負極板を収容した。次に、未化成の正極板5枚と、前記袋状のセパレータに収容された未化成の負極板6枚とを、セパレータのリブが正極板に接するようにして交互に積層した。続いて、キャストオンストラップ(COS)方式で同極性の極板の耳部同士を溶接して極板群を作製した。極板群を電槽に挿入して2V単セル電池(JIS D 5301規定のB19サイズの単セルに相当)を組み立てた。その後、表1に示す金属イオンを含有する硫酸溶液(比重:1.23)をこの電池に注入し、9.6Aの定電流で16時間、40℃の条件で化成処理を行って鉛蓄電池を得た。なお、化成処理後の電解液(硫酸溶液)の比重は1.28であった。硫酸溶液がナトリウムイオン及び/又はアルミニウムイオンを含有する場合、ナトリウム源として硫酸ナトリウムを用いてナトリウムイオン濃度を調整し、アルミニウム源として硫酸アルミニウム無水物を用いてアルミニウムイオン濃度を調整した。
<電池特性の評価>
前記鉛蓄電池について、充電受け入れ性及び浸透短絡を下記のとおり評価した。結果を表1に示す。
(充電受け入れ性)
作製した鉛蓄電池を、雰囲気温度25℃において、6Aで30分間定電流放電した後、10分間放置した。その後、鉛蓄電池を、100Aの制限電流の下、2.33Vで60秒間の定電圧充電し、充電開始から5秒目の電流値を測定した。充電受け入れ性は、比較例1の測定結果を100として相対評価し、100を超える場合を良好であると評価した。
(浸透短絡)
作製した鉛蓄電池を、雰囲気温度25℃において、1.4Aで定電流放電した。次に、セル電圧が1.75Vに至るまで放電した後、鉛蓄電池を、雰囲気温度40℃で、10Wのランプに接続して5日間過放電状態で放置した。その後、25℃で25Aの制限電流の下、セル電圧2.33Vで8時間充電した。上記の放電と充電を繰り返して、充電時に電流のふらつき(0.3A以上の電流変動)又は末期電流(充電開始から約8時間後における電流)の高止まり(3A以上)が生じた時点を短絡と判断し、短絡までの繰り返し回数を測定した。浸透短絡は、比較例1の測定結果を100として相対評価し、100を超える場合を良好であると評価した。
Figure 0006866896
10,20…セパレータ、10a…一方面、10b…他方面、11…ベース部、12…リブ、13…ミニリブ、14,14a,14b…電極、22…メカニカルシール部、A…リブの下底幅、B…リブの上底幅、H…リブの高さ、T…ベース部の厚み。

Claims (8)

  1. 正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置されたセパレータと、電解液と、を備える鉛蓄電池の製造方法であって、
    負極活物質の原料と、バリウムを含む粒子と、を含有する混合物を化成処理して、前記負極活物質と前記粒子とを含有する負極材を有する負極を得る工程を備え、
    前記粒子の化成処理前における平均一次粒径が0.10μm以下であり、
    前記電解液がナトリウムイオンを含有する、鉛蓄電池の製造方法(但し、正極板と負極板と電解液とを電槽に保持させて、電槽化成により正極板と負極板とを化成する鉛蓄電池の製造方法であって、前記電解液のナトリウムイオン、リチウムイオン、アルミニウムイオン、及びマグネシウムイオンの濃度がそれぞれ0.02mol/L未満の状態で電槽化成を行い、電槽化成後に、前記電解液にナトリウムイオン、リチウムイオン、アルミニウムイオン、マグネシウムイオンのいずれかのイオンを0.02mol/L以上0.2mol/L以下の濃度で添加することを特徴とする鉛蓄電池の製造方法を除く)
  2. 前記電解液のナトリウムイオン濃度が0.01〜0.20mol/Lである、請求項1に記載の鉛蓄電池の製造方法。
  3. 前記電解液がアルミニウムイオンを更に含有する、請求項1又は2に記載の鉛蓄電池の製造方法。
  4. 前記電解液のアルミニウムイオン濃度が0.001〜0.10mol/Lである、請求項3に記載の鉛蓄電池の製造方法。
  5. 前記粒子がバリウム塩を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の鉛蓄電池の製造方法。
  6. 前記バリウム塩が硫酸バリウムを含む、請求項5に記載の鉛蓄電池の製造方法。
  7. 前記粒子の化成処理前における配合量が、前記負極活物質の前記原料の全質量を基準として0.01〜2.0質量%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の鉛蓄電池の製造方法。
  8. 正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置されたセパレータと、電解液と、を備える鉛蓄電池であって、
    前記負極が、負極活物質の原料と、バリウムを含む粒子と、を含有する化成処理前の負極材を有し、
    前記粒子の化成処理前における平均一次粒径が0.10μm以下であり、
    前記電解液がナトリウムイオンを含有する、鉛蓄電池(但し、電解液の電槽化成前のナトリウムイオン、リチウムイオン、アルミニウムイオン、及びマグネシウムイオンの濃度がそれぞれ0.02mol/L未満であることを特徴とする鉛蓄電池を除く)
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