JP6856113B2 - 鉛蓄電池 - Google Patents

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Description

本発明は、鉛蓄電池に関する。
近年、自動車においては、大気汚染防止又は地球温暖化防止のため、様々な燃費向上対策が検討されている。燃費向上対策を施した自動車としては、例えば、エンジンの動作時間を少なくするアイドリングストップ車(以下、「ISS車」という)、及び、エンジンの回転を無駄なく動力に使用するマイクロハイブリッド車(発電制御車等)が検討されている。
ISS車では、エンジンの始動回数が多くなるため、鉛蓄電池の大電流放電が繰り返される。また、ISS車及びマイクロハイブリッド車(発電制御車等)では、オルタネータによる発電量が少なくなり、鉛蓄電池の充電が間欠的に行われるため充電が不充分となる。
上記のような使われ方をする鉛蓄電池は、PSOC(Partial State Of Charge)と呼ばれる部分充電状態で使用されることになる。鉛蓄電池は、PSOC下で使用されると、満充電状態で使用される場合よりも寿命が短くなる。
また、近年、欧州では、マイクロハイブリッド車の制御に則した、充放電サイクル中における鉛蓄電池の充電性が重要視されており、このような形態のDCA(Dynamic Charge Acceptance)評価が規格化されつつある。つまり、上記のような鉛蓄電池の使われ方は、重要視されてきている。
これに対し、下記特許文献1には、PSOC下で使用される場合の電池の充電効率と寿命特性を向上させるために、特定の濃度のアルミニウムイオン等を含む電解液を用いる技術が開示されている。
国際公開第2007/036979号
ところで、完全な充電が行われず充電が不足した状態で鉛蓄電池が使用される場合には、電池内の電極(極板等)における上部と下部の間で、電解液である希硫酸の濃淡差が生じる成層化現象が起こる。この場合、電極下部の希硫酸の濃度が高くなりサルフェーションが発生する。そのため、電極下部の反応性が低下し、電極上部のみが集中的に反応するようになる。その結果、活物質間の結びつきが弱くなる等の劣化が進み、電極上部において格子から活物質が剥離して、電池性能低下及び早期寿命に至る。
そのため、最近の自動車用鉛蓄電池においては、PSOC下で使用された場合の電池の充電受入性及びサイクル特性(寿命特性)を向上させることが極めて重要な課題となっている。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、充分な充電受入性及びサイクル特性を得ることは困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、優れた充電受入性及びサイクル特性を得ることが可能な鉛蓄電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、鉛蓄電池において電解液が、アルミニウムイオン及びカリウムイオンを含むことにより、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、正極と負極と電解液とを備え、上記電解液がアルミニウムイオン及びカリウムイオンを含む、鉛蓄電池を提供する。
上記本発明に係る鉛蓄電池は、優れた充電受入性及びサイクル特性を得ることができる。特に、上記本発明に係る鉛蓄電池は、PSOC下で使用された場合であっても優れた充電受入性及びサイクル特性を得ることができる。
PSOC下で使用された場合に鉛蓄電池の充電受入性(充電性能)が低下する原因、及び、本発明においてこのような充電性能の低下を抑制できる理由の詳細については明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。すなわち、PSOC下で使用された場合では、放電生成物である硫酸鉛の生成速度が遅く、その結果、硫酸鉛粒子が凝集及び粗大化して充電性能が低下する。これに対し、本発明に係る鉛蓄電池では、電解液に含まれる特定のイオン(カリウムイオン及びアルミニウムイオン)が、硫酸鉛粒子の凝集及び粗大化を抑制するため、充電時における負極の反応界面での硫酸イオンの生成が促進される。これにより、本発明に係る鉛蓄電池は、PSOC下で使用された場合であっても優れた充電受入性及びサイクル特性を有する。
本発明の鉛蓄電池において、電解液における上記アルミニウムイオンの濃度は0.01〜0.2mol/Lであることが好ましく、上記カリウムイオンの濃度は0.001〜0.03mol/Lであることが好ましい。この場合、鉛蓄電池の充電受入性及びサイクル特性を更に向上させることができる。
本発明の鉛蓄電池において、上記負極中の化成後の負極材に対する上記正極中の化成後の正極材の質量比(正極材の質量/負極材の質量)は0.9〜1.4であることが好ましい。この場合、鉛蓄電池の充電受入性及びサイクル特性を更に向上させることができる。
本発明の鉛蓄電池において、上記電解液の化成後の比重は、1.26〜1.32であることが好ましい。この場合、鉛蓄電池の充電受入性及びサイクル特性を更に向上させることができる。
本発明によれば、優れた充電受入性及びサイクル特性を得ることが可能な鉛蓄電池を提供することができる。特に本発明によれば、PSOC下で使用された場合であっても優れた充電受入性及びサイクル特性を得ることが可能な鉛蓄電池を提供することができる。
また、本発明によれば、充電が間欠的に行われた後に部分充電状態(PSOC:Partial State Of Charge)でオルタネータによる充電が行われる自動車への鉛蓄電池の応用を提供することができる。本発明によれば、マイクロハイブリッド車への鉛蓄電池の応用を提供することができる。本発明によれば、ISS車への鉛蓄電池の応用を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、比重は、温度によって変化するため、本明細書においては20℃で換算した比重と定義する。
<鉛蓄電池>
本実施形態に係る鉛蓄電池は、例えば、電槽、電極(電極板等)、電解液(硫酸等)及びセパレータを備えている。電極及び電解液は、電槽内に収容されている。電極は、セパレータを介して対向する正極(正極板等)及び負極(負極板等)を有している。本実施形態に係る鉛蓄電池としては、液式鉛蓄電池、制御弁式鉛蓄電池等が挙げられ、液式鉛蓄電池が好ましい。
正極及び負極は、例えば、セパレータを介して積層されることにより電極群(極板群等)を構成している。正極は、集電体(正極集電体)と、当該集電体に保持された正極材と、を有している。負極は、集電体(負極集電体)と、当該集電体に保持された負極材と、を有している。本実施形態において正極材及び負極材は、例えば、化成後(例えば満充電状態)の電極材である。電極材が未化成である場合、電極材(未化成正極材及び未化成負極材)は、その原料等を含有している。集電体は、電極材からの電流の導電路を構成する。本実施形態において電解液は、アルミニウムイオン及びカリウムイオンを含む。鉛蓄電池の基本構成としては、従来の鉛蓄電池と同様の構成を用いることができる。
実施形態に係る鉛蓄電池は、充電が間欠的に行われた後に部分充電状態(PSOC)でオルタネータによる充電が行われる鉛蓄電池として有用である。本実施形態に係る鉛蓄電池は、これらの鉛蓄電池を備える自動車(ISS車、マイクロハイブリッド車等)において好適に用いられる。
(正極材)
[正極活物質]
正極材は、正極活物質を含有している。正極活物質は、正極活物質の原料を含む正極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成活物質を得た後に化成することで得ることができる。化成後の正極活物質は、β−二酸化鉛(β−PbO)を含むことが好ましく、α−二酸化鉛(α−PbO)を更に含んでいてもよい。正極活物質の原料としては、特に制限はなく、例えば鉛粉が挙げられる。鉛粉としては、例えば、ボールミル式鉛粉製造機又はバートンポット式鉛粉製造機によって製造される鉛粉(ボールミル式鉛粉製造機においては、主成分PbOの粉体と鱗片状金属鉛の混合物)が挙げられる。正極活物質の原料として鉛丹(Pb)を用いてもよい。未化成の正極材は、主成分として、三塩基性硫酸鉛を含む未化成の正極活物質を含有することが好ましい。
正極活物質の平均粒径は、充電受入性及びサイクル特性が更に向上する観点から、0.3μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、0.7μm以上が更に好ましい。正極活物質の平均粒径は、サイクル特性が更に向上する観点から、2.5μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましく、1.5μm以下が更に好ましい。正極活物質の上記平均粒径は、化成後の正極材における正極活物質の平均粒径である。正極活物質の平均粒径は、例えば、化成後の正極中央部の正極材における縦10μm×横10μmの範囲の走査型電子顕微鏡写真(1000倍)の画像内における全ての正極活物質粒子の長辺長さ(最大粒径)の値を算術平均化した数値として得ることができる。
正極活物質の含有量は、電池特性(容量、低温高率放電性能、充電受入性、サイクル特性等)に更に優れる観点から、正極材の全質量を基準として、95質量%以上が好ましく、97質量%以上がより好ましく、99質量%以上が更に好ましい。
[正極添加剤]
正極材は、添加剤を更に含有していてもよい。添加剤としては、炭素材料(炭素質導電材)、補強用短繊維等が挙げられる。炭素材料としては、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック(ケッチェンブラック等)、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等が挙げられる。補強用短繊維としては、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、炭素繊維等が挙げられる。
[正極材の物性]
正極材の比表面積は、電解液と正極活物質との反応性を高める観点から、2m/g以上が好ましく、3m/g以上がより好ましく、4m/g以上が更に好ましい。正極材の比表面積は、利用率に優れる観点から、12m/g以下が好ましく、11m/g以下がより好ましく、10m/g以下が更に好ましい。正極材の上記比表面積は、化成後の正極材の比表面積である。正極材の比表面積は、例えば、正極材ペーストを作製する際の硫酸及び水の添加量を調整する方法、未化成活物質の段階で活物質を微細化させる方法、化成条件を変化させる方法等により調整することができる。
正極材の比表面積は、例えば、BET法で測定することができる。BET法は、一つの分子の大きさが既知の不活性ガス(例えば窒素ガス)を測定試料の表面に吸着させ、その吸着量と不活性ガスの占有面積とから表面積を求める方法であり、比表面積の一般的な測定手法である。
(負極材)
[負極活物質]
負極材は、負極活物質を含有している。負極活物質は、負極活物質の原料を含む負極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成活物質を得た後に化成することで得ることができる。化成後の負極活物質としては、海綿状鉛(Spongylead)等が挙げられる。上記海綿状鉛は、電解液中の硫酸と反応して、次第に硫酸鉛(PbSO)に変わる傾向がある。負極活物質の原料としては、鉛粉等が挙げられる。鉛粉としては、例えば、ボールミル式鉛粉製造機又はバートンポット式鉛粉製造機によって製造される鉛粉(ボールミル式鉛粉製造機においては、主成分PbOの粉体と鱗片状金属鉛の混合物)が挙げられる。未化成の負極活物質は、例えば、塩基性硫酸鉛及び金属鉛、並びに、低級酸化物から構成される。
負極活物質の平均粒径は、サイクル特性が更に向上する観点から、0.3μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、0.7μm以上が更に好ましい。負極活物質の平均粒径は、サイクル特性が更に向上する観点から、2.5μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましく、1.5μm以下が更に好ましい。負極活物質の上記平均粒径は、化成後の負極材における負極活物質の平均粒径である。負極活物質の平均粒径は、例えば、化成後の負極中央部の負極材における縦10μm×横10μmの範囲の走査型電子顕微鏡写真(1000倍)の画像内における全ての負極活物質粒子の長辺長さ(最大粒径)の値を算術平均化した数値として得ることができる。
負極活物質の含有量は、電池特性(容量、低温高率放電性能、充電受入性、サイクル特性等)に更に優れる観点から、負極材の全質量を基準として、93質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上が更に好ましい。
[負極添加剤]
負極材は、添加剤を更に含有していてもよい。添加剤としては、硫酸バリウム;炭素材料(炭素質導電材);補強用短繊維;スルホン基(スルホン酸基、スルホ基)及びスルホン酸塩基(スルホン基の水素がアルカリ金属で置換された基等)からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂(スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂)などが挙げられる。スルホン基及びスルホン酸塩基からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂を負極材が含むことにより、低温高率放電性能を更に向上させることができる。
炭素材料としては、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。炭素材料としては、充電受入性及びサイクル特性が更に向上する観点から、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック(ケッチェンブラック等)、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等が挙げられる。カーボンブラックの中でも、ファーネス法により製造されるファーネスブラックが好ましい。補強用短繊維としては、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、炭素繊維等が挙げられる。
添加剤としてカーボンブラックを用いる場合、カーボンブラックの平均粒径は、取り扱い性に優れる観点から、10nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましく、25nm以上が更に好ましい。カーボンブラックの平均粒径は、充電受入性及びサイクル特性が更に向上する観点から、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、40nm以下が更に好ましい。これらの観点から、カーボンブラックの平均粒径は、10〜100nmが好ましく、20〜50nmがより好ましく、25〜40nmが更に好ましい。カーボンブラックの平均粒径が100nm以下であると、カーボンブラック全体としての比表面積が大きいため活物質間での導電性が向上することから、充電受入性及びサイクル特性が更に向上すると推測される。カーボンブラックの平均粒径は、例えば、カーボンブラックの粒子を基板に蒸着させた後、上記基板の中央部の縦100μm×横100μmの範囲の走査型電子顕微鏡写真の画像内における全ての粒子の長辺長さ(最大粒径)の値を算術平均化した数値として得ることができる。なお、平均粒径が小さい場合(平均粒径が0.1μm以下と予想できる場合)は、縦1μm×横1μmの範囲の走査型電子顕微鏡写真の画像内における全ての粒子の長辺長さの値を算術平均化した数値として得ることができる。また、平均粒径を自動的に求める方法として、二次元画像の画像解析ソフト(住友金属テクノロジー製、粒子解析Ver3.5)を用いることもできる。
添加剤として黒鉛を用いる場合、黒鉛の平均粒径は、可能な限り小さいことが好ましい。黒鉛の平均粒径は、実用的な観点からは、1μm以上が好ましい。黒鉛の平均粒径は、充電受入性及びサイクル特性が更に向上する観点から、500μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、50μm以下が更に好ましい。これらの観点から、黒鉛の平均粒径は、1〜500μmが好ましく、1〜100μmがより好ましく、1〜50μmが更に好ましい。黒鉛の平均粒径は、カーボンブラックの平均粒径と同様の方法により測定することができる。
炭素材料の含有量は、充電受入性及びサイクル特性が更に向上する観点から、負極活物質の原料の全質量を基準として、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.15質量%以上が更に好ましい。炭素材料の含有量は、充電受入性及びサイクル特性が更に向上する観点から、負極活物質の原料の全質量を基準として、0.5質量%以下が好ましく、0.4質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下が更に好ましい。
スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂としては、ビスフェノール系樹脂、リグニンスルホン酸、リグニンスルホン酸塩等が挙げられる。リグニンスルホン酸は、リグニンの分解物の一部がスルホン化された化合物である。リグニンスルホン酸塩としては、例えば、リグニンスルホン酸カリウム及びリグニンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。これらの中でも、充電受入性が更に向上する観点から、ビスフェノール系樹脂が好ましい。
ビスフェノール系樹脂は、ビスフェノール系化合物と、アミノアルキルスルホン酸、アミノアルキルスルホン酸誘導体、アミノアリールスルホン酸及びアミノアリールスルホン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を反応させて得られる樹脂であることが好ましい。
ビスフェノール系化合物は、2個のヒドロキシフェニル基を有する化合物である。ビスフェノール系化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」という)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(以下、「ビスフェノールS」という)等が挙げられる。
アミノアルキルスルホン酸としては、アミノメタンスルホン酸、2−アミノエタンスルホン酸、3−アミノプロパンスルホン酸、2−メチルアミノエタンスルホン酸等が挙げられる。アミノアルキルスルホン酸誘導体としては、アミノアルキルスルホン酸の水素原子がアルキル基(例えば炭素数1〜5のアルキル基)等で置換された化合物、アミノアルキルスルホン酸のスルホン基(−SOH)の水素原子がアルカリ金属(例えばナトリウム又はカリウム)で置換されたアルカリ金属塩などが挙げられる。アミノアリールスルホン酸としては、アミノベンゼンスルホン酸(4−アミノベンゼンスルホン酸等)、アミノナフタレンスルホン酸などが挙げられる。アミノアリールスルホン酸誘導体としては、アミノアリールスルホン酸の水素原子がアルキル基(例えば炭素数1〜5のアルキル基)等で置換された化合物、アミノアリールスルホン酸のスルホン基(−SOH)の水素原子がアルカリ金属(例えばナトリウム又はカリウム)で置換されたアルカリ金属塩などが挙げられる。
ホルムアルデヒド誘導体としては、パラホルムアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン、トリオキサン等が挙げられる。
ビスフェノール系樹脂は、下記式(I)で表される構造単位、及び、下記式(II)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種を有することが好ましい。
Figure 0006856113

[式(I)中、Xは、2価の基を示し、Aは、炭素数1〜4のアルキレン基、又は、アリーレン基を示し、R11は、アルカリ金属又は水素原子を示し、R12は、メチロール基(−CHOH)を示し、R13及びR14は、それぞれ独立にアルカリ金属又は水素原子を示し、n11は、1〜600の整数を示し、n12は、1〜3の整数を示し、n13は、0又は1を示す。]
Figure 0006856113

[式(II)中、Xは、2価の基を示し、Aは、炭素数1〜4のアルキレン基、又は、アリーレン基を示し、R21は、アルカリ金属又は水素原子を示し、R22は、メチロール基(−CHOH)を示し、R23及びR24は、それぞれ独立にアルカリ金属又は水素原子を示し、n21は、1〜600の整数を示し、n22は、1〜3の整数を示し、n23は、0又は1を示す。]
式(I)で表される構造単位、及び、式(II)で表される構造単位の比率は、特に制限はなく、合成条件等によって変化し得る。ビスフェノール系樹脂としては、式(I)で表される構造単位、及び、式(II)で表される構造単位のいずれか一方のみを有する樹脂を用いてもよい。
及びXとしては、例えば、アルキリデン基(メチリデン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、sec−ブチリデン基等)、シクロアルキリデン基(シクロヘキシリデン基等)、フェニルアルキリデン基(ジフェニルメチリデン基、フェニルエチリデン基等)などの有機基;スルホニル基が挙げられ、充電性能に更に優れる観点からはイソプロピリデン基(−C(CH−)基が好ましく、放電特性に更に優れる観点からはスルホニル基(−SO−)が好ましい。X及びXは、フッ素原子等のハロゲン原子により置換されていてもよい。X及びXがシクロアルキリデン基である場合、炭化水素環はアルキル基等により置換されていてもよい。
及びAとしては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の炭素数1〜4のアルキレン基;フェニレン基、ナフチレン基等の2価のアリーレン基が挙げられる。上記アリーレン基は、アルキル基等により置換されていてもよい。
11、R13、R14、R21、R23及びR24のアルカリ金属としては、例えば、ナトリウム及びカリウムが挙げられる。n11及びn21は、サイクル特性及びビスフェノール系樹脂の溶媒への溶解性に更に優れる観点から、5〜300が好ましい。n12及びn22は、充電性能、放電特性及びサイクル特性がバランス良く向上する観点から、1又は2が好ましく、1がより好ましい。n13及びn23は、製造条件により変化するが、サイクル特性に更に優れると共にビスフェノール系樹脂の保存安定性に優れる観点から、0が好ましい。
スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂(ビスフェノール系樹脂等)の重量平均分子量は、スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂が鉛蓄電池において電極から電解液に溶出することを抑制することによりサイクル特性が向上しやすくなる観点から、3000以上が好ましく、10000以上がより好ましく、20000以上が更に好ましく、30000以上が特に好ましい。スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂の重量平均分子量は、電極活物質に対する吸着性が低下して分散性が低下することを抑制することによりサイクル特性が向上しやすくなる観点から、200000以下が好ましく、150000以下がより好ましく、100000以下が更に好ましい。
スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂の重量平均分子量は、例えば、下記条件のゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)により測定することができる。
(GPC条件)
装置:高速液体クロマトグラフ LC−2200 Plus(日本分光株式会社製)
ポンプ:PU−2080
示差屈折率計:RI−2031
検出器:紫外可視吸光光度計UV−2075(λ:254nm)
カラムオーブン:CO−2065
カラム:TSKgel SuperAW(4000)、TSKgel SuperAW(3000)、TSKgel SuperAW(2500)(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
溶離液:LiBr(10mM)及びトリエチルアミン(200mM)を含有するメタノール溶液
流速:0.6mL/分
分子量標準試料:ポリエチレングリコール(分子量:1.10×10、5.80×10、2.55×10、1.46×10、1.01×10、4.49×10、2.70×10、2.10×10;東ソー株式会社製)、ジエチレングリコール(分子量:1.06×10;キシダ化学株式会社製)、ジブチルヒドロキシトルエン(分子量:2.20×10;キシダ化学株式会社製)
スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂を用いる場合、スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂の含有量は、放電特性に更に優れる観点から、負極材の全質量を基準として、樹脂固形分換算で0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂の含有量は、充電受入性に更に優れる観点から、負極材の全質量を基準として、樹脂固形分換算で2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましい。
[負極材の物性]
負極材の比表面積は、電解液と負極活物質との反応性を高める観点から、0.5m/g以上が好ましく、0.55m/g以上がより好ましく、0.6m/g以上が更に好ましい。負極材の比表面積は、負極の収縮を抑制する観点から、2m/g以下が好ましく、1.2m/g以下がより好ましく、0.8m/g以下が更に好ましい。負極材の上記比表面積は、化成後の負極材の比表面積である。負極材の比表面積は、例えば、負極材ペーストを作製する際の硫酸及び水の添加量を調整する方法、未化成活物質の段階で活物質を微細化させる方法、化成条件を変化させる方法等により調整することができる。負極材の比表面積は、例えば、BET法で測定することができる。
[化成後の正極材と化成後の負極材との質量比]
正極中の化成後の正極材と負極中の化成後の負極材との質量比(正極材の質量/負極材の質量)は、0.9〜1.4であることが好ましく、1.0〜1.3であることがより好ましく、1.05〜1.2であることが更に好ましい。正極材と負極材との質量比を上記範囲内とすることにより、鉛蓄電池の充電受入性及びサイクル特性を更に向上させることができる。
(集電体)
集電体の製造法としては、鋳造方式、エキスパンド方式、打ち抜き方式等が挙げられる。集電体の材料としては、例えば、鉛−カルシウム−錫系合金及び鉛−アンチモン系合金が挙げられる。これらにセレン、銀、ビスマス等を微量添加することができる。例えば、これらの材料を前述の製造法で格子状又はメッシュ状に形成することにより集電体を得ることができる。正極及び負極の集電体の製造法、材料は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
(電解液)
本実施形態に係る鉛蓄電池の電解液は、アルミニウムイオン及びカリウムイオンを含む。電解液におけるカリウムイオンの濃度は、充電受入性及びサイクル特性が更に向上する観点から、電解液の全量を基準として、0.001mol/L以上が好ましく、0.003mol/L以上がより好ましく、0.005mol/L以上が更に好ましく、0.008mol/L以上が特に好ましい。電解液におけるカリウムイオンの濃度は、充電受入性及びサイクル特性が更に向上する観点から、電解液の全量を基準として、0.03mol/L以下が好ましく、0.02mol/L以下がより好ましく、0.015mol/L以下が更に好ましい。電解液におけるカリウムイオンの濃度は、充電受入性及びサイクル特性が更に向上する観点から、0.001〜0.03mol/Lが好ましく、0.003〜0.03mol/Lがより好ましく、0.005〜0.02mol/Lが更に好ましく、0.008〜0.015mol/Lが特に好ましい。
電解液におけるアルミニウムイオンの濃度は、充電受入性及びサイクル特性が更に向上する観点から、電解液の全量を基準として、0.01mol/L以上が好ましく、0.03mol/L以上がより好ましく、0.05mol/L以上が更に好ましい。電解液におけるアルミニウムイオンの濃度は、充電受入性及びサイクル特性が更に向上する観点から、電解液の全量を基準として、0.2mol/L以下が好ましく、0.1mol/L以下がより好ましく、0.08mol/L以下が更に好ましい。電解液におけるアルミニウムイオンの濃度は、充電受入性及びサイクル特性が更に向上する観点から、0.01〜0.2mol/Lが好ましく、0.03〜0.1mol/Lがより好ましく、0.05〜0.08mol/Lが更に好ましい。
アルミニウムイオン及びカリウムイオンの濃度は、例えば、ICP発光分光分析法(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法)により測定することもできる。
<鉛蓄電池の製造方法>
本実施形態に係る鉛蓄電池の製造方法は、例えば、電極(正極及び負極)を得る電極製造工程と、上記電極を含む構成部材を組み立てて鉛蓄電池を得る組み立て工程とを備えている。
電極製造工程では、例えば、電極材ペースト(正極材ペースト及び負極材ペースト)を集電体(例えば、鋳造方式により得られる鋳造格子体、エキスパンド方式により得られるエキスパンド格子体等)に充填した後に、熟成及び乾燥を行うことにより未化成の電極を得る。正極材ペーストは、例えば、正極活物質の原料(鉛粉等)を含有しており、他の添加剤を更に含有していてもよい。負極材ペーストは、負極活物質の原料(鉛粉等)を含有しており、分散剤として、スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂(ビスフェノール系樹脂等)を含有していることが好ましく、他の添加剤を更に含有していてもよい。
正極材ペーストは、例えば、下記の方法により得ることができる。まず、正極活物質の原料に添加剤(補強用短繊維等)及び水を加える。次に、希硫酸を加えた後、混練して正極材ペーストが得られる。正極材ペーストを作製するに際しては、化成時間を短縮できる観点から、正極活物質の原料として鉛丹(Pb)を用いてもよい。この正極材ペーストを集電体に充填した後に熟成及び乾燥を行うことにより未化成の正極を得ることができる。
正極材ペーストにおいて補強用短繊維を用いる場合、補強用短繊維の配合量は、正極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として、0.005〜0.3質量%が好ましく、0.05〜0.3質量%がより好ましい。
未化成の正極を得るための熟成条件としては、温度35〜85℃、相対湿度50〜98%RHの雰囲気で15〜60時間が好ましい。乾燥条件は、温度45〜80℃で15〜30時間が好ましい。
負極材ペーストは、例えば、下記の方法により得ることができる。まず、負極活物質の原料に添加剤(スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂、補強用短繊維、硫酸バリウム等)を添加して乾式混合することにより混合物を得る。そして、この混合物に硫酸(希硫酸等)及び溶媒(イオン交換水等の水、有機溶媒など)を加えて混練することにより負極材ペーストが得られる。この負極材ペーストを集電体に充填した後に熟成及び乾燥を行うことにより未化成の負極を得ることができる。
負極材ペーストにおいて、スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂(ビスフェノール系樹脂等)、炭素材料、補強用短繊維又は硫酸バリウムを用いる場合、各成分の配合量は下記の範囲が好ましい。スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂の配合量は、負極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として、樹脂固形分換算で、0.01〜2.0質量%が好ましく、0.05〜1.0質量%がより好ましく、0.1〜0.5質量%が更に好ましく、0.1〜0.3質量%が特に好ましい。炭素材料の配合量は、負極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として、0.1〜3質量%が好ましく、0.2〜1.4質量%がより好ましい。補強用短繊維の配合量は、負極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として0.05〜0.3質量%が好ましい。硫酸バリウムの配合量は、負極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として、0.01〜2.0質量%が好ましく、0.3〜2.0質量%がより好ましい。
未化成の負極を得るための熟成条件としては、温度45〜65℃、相対湿度70〜98%RHの雰囲気で15〜30時間が好ましい。乾燥条件は、温度45〜60℃で15〜30時間が好ましい。
組み立て工程では、例えば、上記のように作製した未化成の負極及び未化成の正極を、セパレータを介して交互に積層し、同極性の電極の集電部をストラップで連結(溶接等)させて電極群を得る。この電極群を電槽内に配置して未化成電池を作製する。次に、未化成電池に電解液を注入した後、直流電流を通電して電槽化成する。化成後の電解液の比重を適切な比重に調整して鉛蓄電池が得られる。
上記電解液は、例えば、硫酸と、カリウムイオンと、アルミニウムイオンとを含む。電解液は、カリウムイオン及びアルミニウムイオン以外のイオン(ナトリウムイオン、リチウムイオン、チタンイオン等)を更に含んでいてもよい。
本実施形態に係る電解液は、例えば、カリウムイオン及びアルミニウムイオンを含むイオン源を所定のイオン濃度になるように硫酸に溶解させることにより調製できる。イオン源としては、例えば、硫酸に可溶な化合物であれば特に限定されない。カリウムイオン、アルミニウムイオンのイオン源としては、例えば、塩(結晶塩等)、水酸化物、酸化物、及び、金属が挙げられる。塩としては、例えば、硫酸塩、亜硫酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、ホウ酸塩、及び、金属酸塩が挙げられる。イオン源は、無水物であってもよく、水和物であってもよい。
なお、電槽に注入する電解液は、カリウムイオン、アルミニウムイオンを含む電解液であってもよく、カリウムイオン、アルミニウムイオンを含まない電解液であってもよい。注入される電解液がカリウムイオン、アルミニウムイオンを含まない場合、電解液にこれらのイオンを含有させる方法としては、上述のイオン源を電極材中に添加して電解液にイオンを溶出させる方法、電槽中の電解液に接する所に上述のイオン源を設置して電解液にイオンを溶出させる方法等が挙げられる。
電解液の化成後の比重は下記の範囲であることが好ましい。電解液の化成後の比重は、放電特性及び減液特性に更に優れる観点から、1.26以上が好ましく、1.27以上がより好ましく、1.275以上が更に好ましい。電解液の化成後の比重は、充電受入性及びサイクル特性に更に優れる観点から、1.32以下が好ましく、1.31以下がより好ましく、1.30以下が更に好ましい。電解液の化成後の比重の値は、例えば、浮式比重計、又は、京都電子工業株式会社製のデジタル比重計によって測定することができる。電解液の化成後の比重は、使用する正極材ペースト及び負極材ペーストの組成の調整、並びに、注入する電解液(化成前の電解液)の比重の調整等により、所望の範囲に調整することができる。
電槽は、内部に電極(極板等)を収納可能なものである。電槽は、電極を収納しやすい観点から、上面が開放された箱体と、この箱体の上面を覆う蓋体とを有するものが好ましい。なお、箱体と蓋体との接着には、接着剤、熱溶着、レーザ溶着、超音波溶着等を適宜用いることができる。電槽の形状としては、特に限定されるものではないが、電極(板状体である極板等)の収納時に無効空間が少なくなるように方形のものが好ましい。
電槽の材料は、特に制限されるものではないが、電解液(希硫酸等)に対し耐性を有するものである必要がある。電槽の材料の具体例としては、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ABS樹脂等が挙げられる。材料がPPであると、耐酸性、加工性(ABS樹脂では電槽と蓋の熱溶着が困難)、経済性の面で有利である。
電槽が箱体及び蓋体により構成される場合、箱体及び蓋体の材料は、互いに同一の材料であってもよく、互いに異なる材料であってもよいが、無理な応力が発生しない観点から、熱膨張係数の等しい材料が好ましい。
セパレータとしては、微多孔性ポリエチレンシート、ガラス繊維と合成樹脂からなる不織布等が挙げられる。
化成条件及び硫酸の比重は電極活物質の性状に応じて調整することができる。また、化成処理は、組み立て工程後に実施されることに限られず、電極製造工程における熟成及び乾燥後に実施されてもよい(タンク化成)。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明は下記の実施例のみに限定されるものではない。
<ビスフェノール系樹脂の作製>
ジムロート、メカニカルスターラー及び温度計を装着したセパラブルフラスコに、水酸化ナトリウム42質量部(1.05mol)及びイオン交換水792.6質量部(44mol)を加えた後、150rpm(=min−1)で5分間撹拌して水酸化ナトリウム水溶液を調製した。この水酸化ナトリウム水溶液に4−アミノベンゼンスルホン酸173.2質量部(1.0mol)を加えた後、25℃にて30分間撹拌して均一な溶液Aを得た。溶液Aにパラホルムアルデヒド90.1質量部(ホルムアルデヒド換算、3.0mol、三井化学株式会社製)を加えた後、5分間撹拌してパラホルムアルデヒドを溶解し、均一な溶液Bを得た。次いで、溶液BにビスフェノールA219.2質量部(0.96mol)及びビスフェノールS10.4質量部(0.04mol)を加えた後、90℃に設定したオイルバスを用いて加熱しながら10時間撹拌して溶液Cを得た。
ビスフェノールA及びビスフェノールSを加えた直後(反応開始時)における溶液のpHを下記の測定条件で測定した。pHは8.6であった。
{pH測定条件}
試験機:Twin pH(アズワン株式会社製)
校正液:pH6.86(25℃)、pH4.01(25℃)
測定温度:25℃
測定手順:校正液を用いて2点校正を行った。試験機のセンサ部の洗浄を行った後、測定溶液をスポイトで吸い取り、センサ部に0.1〜0.3mL滴下した。画面上に測定終了の表示が現れたときのpHを測定値とした。
上記で作製した溶液Cを耐熱容器に移した。溶液Cが入った耐熱容器を、60℃に設定した真空乾燥機に投入した後、1kPa以下の減圧状態で10時間乾燥することによりビスフェノール系樹脂粉末(ビスフェノール・アミノベンゼンスルホン酸・ホルムアルデヒド縮合物)を得た。得られたビスフェノール系樹脂粉末の重量平均分子量を下記条件のGPCにより測定した結果、重量平均分子量は53900であった。
{GPC測定条件}
装置:高速液体クロマトグラフ LC−2200 Plus(日本分光株式会社製)
ポンプ:PU−2080
示差屈折率計:RI−2031
検出器:紫外可視吸光光度計UV−2075(λ:254nm)
カラムオーブン:CO−2065
カラム:TSKgel SuperAW(4000)、TSKgel SuperAW(3000)、TSKgel SuperAW(2500)(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
溶離液:LiBr(10mM)及びトリエチルアミン(200mM)を含有するメタノール溶液
流速:0.6mL/分
分子量標準試料:ポリエチレングリコール(分子量:1.10×10、5.80×10、2.55×10、1.46×10、1.01×10、4.49×10、2.70×10、2.10×10;東ソー株式会社製)、ジエチレングリコール(分子量:1.06×10;キシダ化学株式会社製)、ジブチルヒドロキシトルエン(分子量:2.20×10;キシダ化学株式会社製)
<鉛蓄電池の作製>
(実施例1)
[正極板の作製]
正極活物質の原料として鉛粉及び鉛丹(Pb)を用いた(鉛粉:鉛丹=96:4(質量比))。正極活物質の原料と、正極活物質の原料の全質量100質量部に対して0.07質量部の補強用短繊維(アクリル繊維)と、水とを混合して混練した。続いて、希硫酸(比重1.280)を少量ずつ添加しながら混練して、正極材ペーストを作製した。鉛合金からなる圧延シートにエキスパンド加工を施すことにより作製されたエキスパンド格子体(正極集電体)に、上記正極材ペーストを充填した。次いで、正極材ペーストを温度50℃、湿度98%の雰囲気で24時間熟成した。その後、乾燥して未化成の正極板を作製した。
[負極板の作製]
負極活物質の原料として鉛粉を用いた。鉛粉100質量部に対して、上記で得られたビスフェノール系樹脂0.2質量部(固形分換算)、補強用短繊維(アクリル繊維)0.1質量部、硫酸バリウム1.0質量部、及び、ファーネスブラック0.2質量部からなる混合物を添加し、乾式混合した。次に、水を加えた後に混練した。続いて、希硫酸(比重1.260)を少量ずつ添加しながら混練して、負極材ペーストを作製した。鉛合金からなる圧延シートにエキスパンド加工を施すことにより作製されたエキスパンド格子体(負極集電体)に、上記負極材ペーストを充填した。次いで、負極材ペーストを温度50℃、湿度98%の雰囲気で24時間熟成した。その後、乾燥して未化成の負極板を作製した。
[電解液の調製]
電解液におけるアルミニウムイオン濃度及びカリウムイオン濃度が表1に示す濃度になるように、希硫酸に硫酸アルミニウム水溶液及び硫酸カリウム水溶液を加えて電解液を調製した。
[電池の組み立て]
まず、袋状に加工したポリエチレン製のセパレータ(袋状セパレータ)に未化成の負極板を収容した。続いて、未化成の正極板6枚と、上記袋状セパレータに収容された未化成の負極板7枚とを交互に積層した後、同極性の極板の耳部同士をキャストオンストラップ(COS)方式で溶接して極板群を作製した。上記極板群を電槽に挿入して2V単セル電池(JIS50301規定のB19サイズの単セルに相当)を組み立てた。上記で調製した電解液(化成後の比重が1.28になるように調整)をこの電池に注入した後、40℃の水槽中、通電電流17.5Aで16時間化成して鉛蓄電池を得た。化成後の電解液の比重は、1.28になるように調整した。
[比表面積の測定]
比表面積の測定試料は、下記の手順により作製した。まず、化成した電池を分解して電極板(正極板及び負極板)を取り出して水洗した後、50℃で24時間乾燥した。次に、上記電極板の中央部から電極材(正極材及び負極材)を2g採取して、130℃で30分乾燥して測定試料を作製した。
化成後の正極材及び負極材の比表面積は、上記で作製された測定試料を液体窒素で冷却しながら液体窒素温度で窒素ガス吸着量を多点法で測定し、BET法に従って算出した。測定条件は下記のとおりであった。このようにして測定した結果、正極材の比表面積は6m/gであり、負極材の比表面積は0.7m/gであった。なお、以下の実施例2〜5及び比較例1〜4においても同様の比表面積であった。
{比表面積の測定条件}
装置:Macsorb1201(マウンテック社製)
脱気時間:130℃で10分
冷却:液体窒素で5分間
吸着ガス流量:25mL/分
[負極材に対する正極材の質量比]
化成後の鉛蓄電池の解体を行い、電池から正極板、及び、セパレータに収容された負極板を取り出し、更にセパレータから負極板を取り出した。正極板及び負極板を1時間水洗した後、50℃で約1日間放置して乾燥させた。その後、乾燥させた正極板及び負極板の化成後の正極材(正極既化成活物質)及び化成後の負極材(負極既化成活物質)をそれぞれ正極集電体及び負極集電体から除去した。既化成活物質を除去する前後での正極板及び負極板の質量の変化量をそれぞれ正極既化成活物質及び負極既化成活物質の質量として求めた。その結果から、負極既化成活物質に対する正極既化成活物質の質量比(正極材/負極材)を算出した。
(実施例2)
電解液におけるアルミニウムイオン濃度及びカリウムイオン濃度を表1に示す濃度に調整したこと以外は実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製した。
(実施例3〜5)
化成後の電解液の比重が表1に記載の数値になるように、注入する電解液比重を調整したこと以外は実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製した。
(比較例1)
電解液として希硫酸をそのまま用いた(硫酸アルミニウム水溶液及び硫酸カリウム水溶液を加えなかった)こと以外は実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製した。
(比較例2)
電解液におけるアルミニウムイオン濃度が表1に示す濃度になるように、希硫酸に硫酸アルミニウム水溶液を加えて電解液を調製したこと以外は実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製した。
(比較例3)
電解液におけるカリウムイオン濃度が表1に示す濃度になるように、希硫酸に硫酸カリウム水溶液を加えて電解液を調製したこと以外は実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製した。
(比較例4)
電解液におけるアルミニウムイオン濃度及びナトリウムイオン濃度が表1に示す濃度になるように、希硫酸に硫酸アルミニウム水溶液及び硫酸ナトリウム水溶液を加えて電解液を調製したこと以外は実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製した。
<電池特性の評価>
(充電受入性)
作製した鉛蓄電池について、化成後、約12時間放置した後、25℃で5.6Aの電流値で30分間定電流放電を行い、更に、6時間放置した後、2.33Vで100Aの制限電流として60秒間の定電圧充電を行い、その充電開始から5秒目までの電流値を測定した。比較例1の測定結果を基準の100として相対比率を評価した。結果を表1に示す。
(低温高率放電性能)
作製した鉛蓄電池について、電池温度を−15℃に調整し、150Aで定電流放電し、セル電圧が1.0Vを下回るまでの放電持続時間を測定した。比較例1の測定結果を基準の100として相対比率を評価した。結果を表1に示す。
(サイクル特性)
サイクル特性(ISS寿命特性)の測定を次のように行った。作製した鉛蓄電池について、電池温度が25℃になるように雰囲気温度を調整し、45A−59秒間、300A−1秒間の定電流放電を行った後、制限電流100A−2.33V−60秒間の定電流・定電圧充電を行うサイクルを1サイクルとする試験を行った。この試験はISS車での鉛蓄電池の使われ方を模擬したサイクル試験である。このサイクル試験では、放電量に対して充電量が少ないため、充電が完全に行われないと徐々に充電不足になり、その結果、放電電流を300Aとして1秒間放電した時の1秒目電圧が徐々に低下する。すなわち、定電流・定電圧充電時に負極が分極して早期に定電圧充電に切り替わると、充電電流が減衰して充電不足になる。このサイクル試験では、300A放電したときの1秒目電圧が1.2Vを下回ったときの合計サイクル数をISS寿命として評価した。比較例1の測定結果を基準の100として相対比率を評価した。結果を表1に示す。
(減液特性)
作製した鉛蓄電池について、40℃の水槽中にて12時間放置した後、2.4Vで672時間の定電圧充電を行い、充電前後の質量差から減液量を測定した。減液量は少ない方が好ましく、比較例1の測定結果を基準の100として相対比率を評価した際の数値が、100未満の場合を「A」、100以上105未満の場合を「B」、105以上110未満の場合を「C」、110以上の場合を「D」として評価した。結果を表1に示す。
Figure 0006856113




Claims (3)

  1. 正極と負極と電解液とを備え、
    前記電解液がアルミニウムイオン及びカリウムイオンを含み、
    前記電解液の化成後の比重が1.28〜1.32である、鉛蓄電池。
  2. 前記電解液における前記アルミニウムイオンの濃度が0.01〜0.2mol/Lである、請求項1に記載の鉛蓄電池。
  3. 前記電解液における前記カリウムイオンの濃度が0.001〜0.03mol/Lである、請求項1又は2に記載の鉛蓄電池。


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