JP6597994B2 - アイドリングストップ車用液式鉛蓄電池 - Google Patents
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Description
また、負極材の密度が4g/cm 3 以上であることが好ましい。サイクル特性、放電特性及び充電受け入れ性がバランス良く向上しやすくなる。
また、正極材と負極材の質量比(正極材/負極材)が1.0〜1.2であることが好ましい。充分な電池容量が得られやすいと共に高い充電受け入れ性が得られやすくなる。
また、ビスフェノールAとビスフェノールSの配合割合が、ビスフェノールA/ビスフェノールS=97/3〜80/20であることが好ましい。サイクル特性、放電特性及び充電受け入れ性がバランス良く向上しやすくなる。
また、前記アイドリングストップ車用液式鉛蓄電池の電解液にアルミニウムイオンを含むことが好ましく、電解液のアルミニウムイオン濃度が0.01mol/L以上、0.2mol/L以下であることが好ましい。充電受け入れ性及びサイクル特性が更に向上しやすくなる。
本実施形態に係る鉛蓄電池は、例えば、電極(電極板等)、電解液(硫酸等)及びセパレータを備えている。電極は、正極(正極板等)及び負極(負極板等)を有している。本実施形態に係る鉛蓄電池としては、液式鉛蓄電池、制御弁式鉛蓄電池等が挙げられ、液式鉛蓄電池が好ましい。正極は、集電体(正極集電体)と、当該集電体に保持された正極材と、を有している。負極は、集電体(負極集電体)と、当該集電体に保持された負極材と、を有している。本実施形態において正極材及び負極材は、例えば、化成後(例えば満充電状態)の電極材である。電極材が未化成である場合、電極材(未化正極材及び未化負極材)は、電極活物質(正極活物質及び負極活物質)の原料等を含有している。集電体は、電極材からの電流の導電路を構成する。従来の鉛蓄電池と同様の構成を用いることができる。
[正極活物質]
正極材は、正極活物質を含有している。正極活物質は、正極活物質の原料を含む正極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成活物質を得た後に化成することで得ることができる。化成後の正極活物質は、β−二酸化鉛(β−PbO2)を含むことが好ましく、α−二酸化鉛(α−PbO2)を更に含んでいてもよい。正極活物質の原料としては、特に制限はなく、例えば鉛粉が挙げられる。鉛粉としては、例えば、ボールミル式鉛粉製造機又はバートンポット式鉛粉製造機によって製造される鉛粉(ボールミル式鉛粉製造機においては、主成分PbOの粉体と鱗片状金属鉛の混合物)が挙げられる。正極活物質の原料として鉛丹(Pb3O4)を用いてもよい。未化成の正極材は、主成分として、三塩基性硫酸鉛を含む未化成正極活物質を含有することが好ましい。
正極材は、添加剤を更に含有していてもよい。添加剤としては、炭素材料(炭素質導電材)、補強用短繊維等が挙げられる。炭素材料としては、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック(ケッチェンブラック(登録商標)等)、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等が挙げられる。補強用短繊維としては、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、炭素繊維等が挙げられる。
正極材の比表面積は、充電受け入れ性及びサイクル特性に更に優れる観点から、4m2/g以上が好ましく、5m2/g以上がより好ましい。正極材の比表面積は、充電受け入れ性及びサイクル特性に更に優れる観点から、11m2/g以下が好ましく、10m2/g以下がより好ましく、8m2/g以下が更に好ましい。正極材の前記比表面積は、化成後の正極材の比表面積である。正極材の比表面積は、例えば、正極材ペーストを作製する際の硫酸及び水の添加量を調整する方法、未化成活物質の段階で活物質を微細化させる方法、化成条件を変化させる方法等により調整することができる。
[(A)成分:負極活物質]
負極活物質は、負極活物質の原料を含む負極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成活物質を得た後に化成することで得ることができる。化成後の負極活物質としては、海綿状鉛(Spongylead)等が挙げられる。前記海綿状鉛は、電解液中の硫酸と反応して、次第に硫酸鉛(PbSO4)に変わる傾向がある。負極活物質の原料としては、鉛粉等が挙げられる。鉛粉としては、例えば、ボールミル式鉛粉製造機又はバートンポット式鉛粉製造機によって製造される鉛粉(ボールミル式鉛粉製造機においては、主成分PbOの粉体と鱗片状金属鉛の混合物)が挙げられる。未化成の負極活物質は、例えば、塩基性硫酸鉛及び金属鉛、並びに、低級酸化物から構成される。
ケッチェンブラックは、中空シェル状の構造を有し、単位質量あたりの一次粒子数が多く、比表面積が大きい特徴を有する。
本実施形態の負極材には、充電受け入れ性及び放電特性の両立の観点から、(a)ビスフェノールA及びビスフェノールSと、(b)アミノアリールスルホン酸及びアミノアリールスルホン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(c)ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種とを反応させて得られるビスフェノール系樹脂を含む。以下にビスフェノール系樹脂について詳細を説明する。
アミノベンゼンスルホン酸としては、2−アミノベンゼンスルホン酸(別名オルタニル酸)、3−アミノベンゼンスルホン酸(別名メタニル酸)、4−アミノベンゼンスルホン酸(別名スルファニル酸)等が挙げられる。
成分としては、充電受け入れ性及びサイクル特性が更に向上する観点から、4−アミノベンゼンスルホン酸が好ましい。
ホルムアルデヒドとしては、ホルマリン(例えばホルムアルデヒド37質量%の水溶液)中のホルムアルデヒドを用いてもよい。前記ホルマリンは、重合を防ぐために10〜15質量%のメタノールを含有することが一般的である。このようなホルマリンを用いて得られたビスフェノール系樹脂を含む樹脂組成物のアルコール量が0.5質量%を超える場合には、サイクル特性が低下する。
HO(CH2O)n1H …(I)
[式(I)中、n1は2〜100の整数を示す。]
[式(III)中、X3は、イソプロピリデン基(−C(CH3)2−)又はスルホニル基(−S(=O)2−)を示し、R31、R33及びR34は、それぞれ独立にアルカリ金属又は水素原子を示し、R32は、メチロール基(−CH2OH)を示し、n31は、1〜150の整数を示し、n32は、1〜3の整数を示し、n33は、0又は1を示す。また、ベンゼン環を構成する炭素原子に直接結合している水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい。]
(GPC条件)
装置:高速液体クロマトグラフ LC−2200 Plus(日本分光株式会社製)
ポンプ:PU−2080
示差屈折率計:RI−2031
検出器:紫外可視吸光光度計UV−2075(λ:254nm)
カラムオーブン:CO−2065
カラム:TSKgel SuperAW(4000)、TSKgel SuperAW(3000)、TSKgel SuperAW(2500)(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
溶離液:LiBr(10mM)及びトリエチルアミン(200mM)を含有するメタノール溶液
流速:0.6mL/分
分子量標準試料:ポリエチレングリコール(分子量:1.10×106、5.80×105、2.55×105、1.46×105、1.01×105、4.49×104、2.70×104、2.10×104;東ソー株式会社製)、ジエチレングリコール(分子量:1.06×102;キシダ化学株式会社製)、ジブチルヒドロキシトルエン(分子量:2.20×102;キシダ化学株式会社製)
負極材の比表面積は、優れた充電受け入れ性と、他の優れた電池性能(放電特性、サイクル特性等)とを更に良好に両立する観点から、0.5m2/g以上が好ましく、0.55m2/g以上がより好ましく、0.6m2/g以上が更に好ましい。負極材の比表面積は、優れた充電受け入れ性と、他の優れた電池性能(放電特性、サイクル特性等)とを更に良好に両立する観点から、1.2m2/g以下が好ましく、1.0m2/g以下がより好ましく、0.8m2/g以下が更に好ましい。負極材の前記比表面積は、化成後の負極材の比表面積である。負極材の比表面積は、例えば、負極材ペーストを作製する際の硫酸及び水の添加量を調整する方法、未化成活物質の段階で活物質を微細化させる方法、化成条件を変化させる方法等により調整することができる。負極材の比表面積は、例えば、BET法で測定することができる。
集電体の製造法としては、鋳造方式、エキスパンド方式等が挙げられる。集電体の材質としては、例えば、鉛−カルシウム−錫系合金及び鉛−アンチモン系合金が挙げられる。これらにセレン、銀、ビスマス等を微量添加することができる。正極及び負極の集電体の製造法又は材質は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
本実施形態に係る鉛蓄電池の製造方法は、例えば、電極(正極及び負極)を得る電極製造工程と、前記電極を含む構成部材を組み立てて鉛蓄電池を得る組み立て工程とを備えている。
[合成例1](ビスフェノール系樹脂の合成)
攪拌装置、還流装置及び温度調節装置を備えた反応容器に下記の各成分を仕込み第1の混合液を得た。
水酸化ナトリウム:1.05モル[42.0質量部]
イオン交換水:44.00モル[792.6質量部]
4−アミノベンゼンスルホン酸:1.00モル[173.2質量部]
ビスフェノールA:0.96モル[219.2質量部]
ビスフェノールS:0.04モル[10.4質量部]
パラホルムアルデヒド(三井化学株式会社製):3.00モル[90.9質量部](ホルムアルデヒド換算)
合成例1のビスフェノール系樹脂の重量平均分子量は、53900であった。
装置:高速液体クロマトグラフ LC−2200 Plus(日本分光株式会社製)
ポンプ:PU−2080
示差屈折率計:RI−2031
検出器:紫外可視吸光光度計UV−2075(λ:254nm)
カラムオーブン:CO−2065
カラム:TSKgel SuperAW(4000)、TSKgel SuperAW(3000)、TSKgel SuperAW(2500)(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
溶離液:LiBr(10mM)及びトリエチルアミン(200mM)を含有するメタノール溶液
流速:0.6mL/分
分子量標準試料:ポリエチレングリコール(分子量:1.10×106、5.80×105、2.55×105、1.46×105、1.01×105、4.49×104、2.70×104、2.10×104;東ソー株式会社製)、ジエチレングリコール(分子量:1.06×102;キシダ化学株式会社製)、ジブチルヒドロキシトルエン(分子量:2.20×102;キシダ化学株式会社製)
下記表1に示す構成にした以外は、合成例1と同様にしてビスフェノール系樹脂を合成した。
(実施例1)
[正極板の作製]
正極活物質の原料として鉛粉及び鉛丹(Pb3O4)を用いた(鉛粉:鉛丹=96:4(質量比))。正極活物質の原料と、正極材の総量を基準として0.07質量%の補強用短繊維(アクリル繊維)と、水とを混合して混練した。続いて、希硫酸(比重1.280、20℃換算以下同様)を少量ずつ添加しながら混練して、正極材ペーストを作製した。鉛合金からなる圧延シートにエキスパンド加工を施すことにより作製されたエキスパンド格子体にこの正極材ペーストを充填した。次いで、正極材ペーストが充填された格子体を温度50℃、湿度98%の雰囲気で20時間熟成した。その後、乾燥して未化成の正極板を作製した。
負極活物質の原料として鉛粉を用いた。補強用短繊維(アクリル繊維)を0.1質量%、硫酸バリウムを1.0質量%、ケッチェンブラック(登録商標)(ライオン株式会社製、商品名:ケッチェンブラックECP600JD、DBP吸油量:489mL/100g)を0.2質量%前記鉛粉に添加した後に乾式混合した(前記配合量は、負極材の総量を基準とした配合量である)。次に、上記で得られたビスフェノール系樹脂溶液を固形分換算で0.2質量%と、負極材の総量を基準として水を10質量%加えた後に混練した。続いて、負極材の総量を基準として希硫酸(比重1.280)9.5質量%を少量ずつ添加しながら混練して、負極材ペーストを作製した。鉛合金からなる圧延シートにエキスパンド加工を施すことにより作製されたエキスパンド格子体にこの負極材ペーストを充填した。次いで、負極材ペーストが充填された集電体を温度50℃、湿度98%の雰囲気で20時間熟成した。その後、乾燥して未化成の負極板を作製した。
袋状に加工したポリエチレン製のセパレータに未化成の負極板を挿入した。次に、未化成の正極板5枚と、前記袋状セパレータに挿入された未化成の負極板6枚とを交互に積層した。続いて、キャストオンストラップ(COS)方式で、同極性の極板の耳部同士を溶接して極板群を作製した。前記極板群を電槽に挿入して、2V単セル電池(JISD5301規定のB19サイズの単セルに相当、K42サイズのISS車用鉛蓄電池)を組み立てた。アルミニウムイオン濃度が0.04mol/Lになるように硫酸アルミニウム無水物を溶解させた希硫酸(比重1.23)をこの電池に注入した。その後、50℃の水槽中、通電電流10Aで16時間の条件で化成して鉛蓄電池を得た。
化成後の負極材の密度は、以下のようにして測定した。まず、化成終了後の負極板を約1時間水洗した後、窒素雰囲気下、60℃で20時間乾燥した。乾燥した負極板の中央部から負極材を2g採取した。分析装置として株式会社島津製作所製のポロシメータ(オートポアIV9500)装置を用いて、水銀圧入方式で測定圧2.00psiの細孔容積と乾燥質量の関係から負極材の密度を測定した。測定条件の詳細は下記のとおりである。
分析装置:オートポアIV9500(株式会社島津製作所製)
水銀圧入圧:0〜354kPa(低圧)、大気圧〜414MPa(高圧)
各測定圧力での圧力保持時間:900s(低圧)、1200s(高圧)
試料と水銀との接触角:130℃
水銀の表面張力:480〜490mN/m
水銀の密度:13.5335g/mL
化成後の正極材/負極材の質量比は、以下のようにして算出した。まず、化成後の正極板を取り出し、1時間水洗した後、窒素雰囲気下、80℃で24時間乾燥した。正極板の質量を測定した後、正極材を取り出し、格子の質量を求めた。正極板の質量から格子の質量を除いた量から正極材の全質量を算出した。負極板も同様にして負極材の全質量を算出した。単セルあたりの正極材の全質量と負極材の全質量とから正極材/負極材の質量比を求めた。
前記の2V単セル電池について、充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性を下記のとおり測定した。比較例1の充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性の測定結果をそれぞれ100とし、実施例の各特性を相対評価した。結果を表1に示す。
充電受け入れ性として、電池の充電状態(State of charge)が90%になった状態(つまり、満充電状態から電池容量の10%を放電した状態)において、25℃下、2.33Vで定電圧充電し、充電開始から5秒経過した時点での電流値を測定した。この電流値が大きいほど初期の充電受け入れ性が良い電池であると評価される。
放電特性として、−15℃において5Cで定電流放電し、電池電圧が1.0Vに達するまでの放電持続時間を測定した。放電持続時間が長いほど放電特性に優れる電池であると評価される。なお、なお、前記Cとは、満充電状態から定格容量を定電流放電するときの電流の大きさを相対的に表したものである。例えば、定格容量を1時間で放電させることができる電流を「1C」、2時間で放電させることができる電流を「0.5C」と表現する。
サイクル特性は、日本工業規格の軽負荷寿命試験(JIS D 5301)に準じた方法で評価した。サイクル数が大きいほど耐久性が高い電池であると評価される。
Claims (8)
- (A)負極活物質、(B)ケッチェンブラック(登録商標)、並びに(C)(a)ビスフェノールA及びビスフェノールSと、(b)アミノベンゼンスルホン酸及びアミノベンゼンスルホン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(c)ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種とを反応させて得られるビスフェノール系樹脂、を含む負極材を備え、負極材の密度が3g/cm 3 以上であるアイドリングストップ車用液式鉛蓄電池。
- 正極材と負極材の質量比(正極材/負極材)が0.9〜1.3である請求項1に記載のアイドリングストップ車用液式鉛蓄電池。
- 前記ケッチェンブラックの含有量が、負極材の総量を基準として0.01質量%〜2質量%である請求項1又は2に記載のアイドリングストップ車用液式鉛蓄電池。
- 負極材の密度が4g/cm 3 以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載のアイドリングストップ車用液式鉛蓄電池。
- 正極材と負極材の質量比(正極材/負極材)が1.0〜1.2である請求項1〜4のいずれか一項に記載のアイドリングストップ車用液式鉛蓄電池。
- ビスフェノールAとビスフェノールSの配合割合が、ビスフェノールA/ビスフェノールS=97/3〜80/20である請求項1〜5のいずれか一項に記載のアイドリングストップ車用液式鉛蓄電池。
- 前記アイドリングストップ車用液式鉛蓄電池の電解液にアルミニウムイオンを含む請求項1〜6のいずれか一項に記載のアイドリングストップ車用液式鉛蓄電池。
- 電解液のアルミニウムイオン濃度が0.01mol/L以上、0.2mol/L以下である請求項7に記載のアイドリングストップ車用液式鉛蓄電池。
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