JP4891474B2 - 鉛蓄電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、負極板を改良した鉛蓄電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉛蓄電池は自動車の始動・点灯用をはじめ小容量のコンシューマー用から大容量の据置用まで多くの用途で使用されている。また、近年は環境問題の観点から電気自動車の電源としても注目されている。
【0003】
最近の自動車用鉛蓄電池の使用状況をみると、これらの電池は新たな使用環境下におかれるようになりつつあると考えられる。すなわち、エアーコンディショナーやオーディオ機器、さらにはカーナビゲーションシステムなど多くの電装機器が採用され、鉛蓄電池に対する負荷が大きくなっている。また、居住空間の確保や空気抵抗低減のためにエンジンルームは小さくなり、エンジンの高出力化も重なって、エンジンルーム内は相当な高温になっており、鉛蓄電池もこの高温にさらされるようになってきている。
【0004】
また、電気自動車用のように深い充放電を繰り返し、大電流を必要とする電池においても、室内空間を最大限にとるために、電池のおかれる状況は非常にコンパクトにおさえられて熱がこもりやすくなり、電池は高温にさらされるようになっている。
【0005】
鉛蓄電池用負極板には一般に有機エキスパンダー、無機エキスパンダー(通常、硫酸バリウムが使用されている。)およびカーボンが添加されており、それぞれ鉛蓄電池用負極板の各種性能向上に寄与している。これらの内、有機エキスパンダーには、一般にリグニンが用いられており、電池の充放電にともなって進行する負極活物質(海綿状鉛)の粗大化を抑え、活物質が収縮するのを抑制して活物質を微細化し、負極板の放電容量、特に高率放電容量が低下するのを防いでいる。
【0006】
しかし、上述した自動車用鉛蓄電池の使用環境の変化や電気自動車への適用といった高温での使用に対して現在使用しているリグニンでは満足できる寿命性能を得ることは困難になりつつある。これは、リグニンが高温にさらされた場合、分解あるいは電解液に溶出して、その量が減少するためと考えられる。そのため、高温下でも寿命性能の低下の少ない負極板、すなわち、分解もしくは溶出しにくいような有機エキスパンダーが求められていた。
【0007】
高温特性にすぐれた有機エキスパンダーとして、たとえば特開平2−234352号公報や特開平4−65062号公報には、ナフタレンスルホン酸の誘導体が記載されている。しかし、このような誘導体も特に高温となるような使用状況では十分な性能とは言い難かった。このような状況の下、我々は、特開平11−121008号公報に記載のように、ビスフェノール類と亜硫酸塩もしくはアミノ酸とのホルムアルデヒド縮合物が有機エキスパンダーとして優れていることを見出し、このホルムアルデヒド縮合物を添加した負極板を提案した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記ホルムアルデヒド縮合物を添加した負極板を用いた鉛蓄電池は、高温下でも寿命性能の低下の少ない、特に、サイクルに伴う高率放電容量の低下が小さい、優れた電池である。しかしながら、このような電池でもその特性は十分とは言えず、さらなる高性能化が求められていた。
【0009】
本発明は、以上に鑑み、鉛蓄電池の高温下での寿命性能をさらに改善すること、サイクルに伴う高率放電容量の低下をさらに小さくすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、ビスフェノール類と亜硫酸塩及び/またはアミノ酸とアルデヒド類との縮合物が活物質に添加された負極板を備えた鉛蓄電池であって、前記ビスフェノール類が下記一般式(I)で示されるビスフェノール類化合物(a)
【化3】
と下記一般式(II)で示されるビスフェノール類化合物(b)
【化4】
との2種類のビスフェノール類化合物からなり、前記縮合物の重量平均分子量が0.3〜3.0×104であることを特徴とするものである。
【0012】
ビスフェノール類と亜硫酸塩及び/またはアミノ酸とアルデヒド類との縮合物の中でも、一般式(I)で示されるビスフェノール類化合物(a)を含んだビスフェノール類の用いられた縮合物を活物質に添加することによって、高温下でも寿命性能の低下の少ないより優れた鉛蓄電池の製造が可能となる。なお、ビスフェノール類化合物(a)の含有量は、全ビスフェノール類化合物に対して1モル%以上であるのが好ましい。
【0013】
また、本願発明において、上記ビスフェノール類には、一般式(II)で示されるビスフェノール類化合物(b)がさらに含まれているのが良く、より好ましくは、上記ビスフェノール類が上記ビスフェノール類化合物(a)とビスフェノール類化合物(b)との2種類のビスフェノール類化合物からなるようにするのが良く、ビスフェノール類化合物(a)、ビスフェノール類化合物(b)共に1モル%以上含まれるようにするのがさらに良い。このようにすることによって、充放電サイクルに伴う高率放電容量の低下を、より一層低減することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本願発明において用いられるビスフェノール類としては、種々のものを用いることができ、例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、4,4’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酪酸およびこれらの異性体を用いることができる。
【0016】
そして、少なくとも一般式(I)で示されるビスフェノール類化合物、すなわち、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンを含んだものが用いられ、例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンが単独で、または、上記ビスフェノール類中の4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン以外の化合物の1種または2種以上と4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンとが混合されたビスフェノール類が用いられる。なお、混合されたビスフェノール類が用いられる場合には、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンを、全ビスフェノール類化合物に対して1モル%以上混合するのが良い。
【0017】
特に、一般式(II)で示されるビスフェノール類化合物(b)と4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの2種類が混合されたビスフェノール類を用いるのが良く、この場合、共に1モル%以上含まれるようにするのがさらに良い。
【0018】
なお、一般式(II)で表されるビスフェノール類は、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、または2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンである。これらは1種あるいは2種以上を組み合わせて用いても良い。
そして、一般式(II)で表されるビスフェノール類を2種以上用いる場合には、一般式(II)で表されるビスフェノール類の合計の含有量が、1モル%以上とするのが良い。
【0019】
本願発明において用いられる亜硫酸塩としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸アンモニウム等が使用可能であり、特に、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム等のナトリウム塩が好ましい。
【0020】
また、本願発明において用いられるアミノ酸としては、グルタミン酸、グリシン、アラニン、イミノ二酢酸、アスパラギン酸、セリン、アミノ酪酸、グルタチオン、6−アミノヘキサン酸、バリン、メチオニン、ロイシン等が使用可能であり、特に、グルタミン酸、グリシン、アラニン、イミノ二酢酸が好ましい。
【0021】
本願発明において用いられるアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン等のホルムアルデヒド誘導体、アセトアルデヒド等が使用可能であり、特に、ホルムアルデヒド誘導体が好ましく、反応性やコストの点から、ホルムアルデヒドがより好ましい。
【0022】
本願発明において用いられる縮合物は、上記のような、ビスフェノール類と亜硫酸塩とアルデヒド類、または、ビスフェノール類とアミノ酸とアルデヒド類、または、ビスフェノール類と亜硫酸塩とアミノ酸とアルデヒド類、との縮合物であるが、このような縮合物は、例えば、これらを水性条件下で混合し、常圧または加圧下で、50〜140℃で通常5〜50時間反応させることによって製造することができる。
【0023】
ただ、反応生成物水溶液のpHは、6〜14である必要があり、必要に応じて水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア、水酸化アンモニウム等のアルカリを添加する。
【0024】
また、これらの原料を縮合する際には、ビスフェノール類:亜硫酸塩および/またはアミノ酸:アルデヒド類のモル比は1:0.5〜2.5:1.2〜6.0とするのが好ましい。このモル比をはずれると縮合物分子量が高分子化しすぎたり、また逆に高分子化しないことがある為であり、また未反応成分が多量に残存する場合もあるからである。
【0025】
なお、本発明で用いられる縮合物の重量平均分子量は、0.3〜3.0×104であるのが好ましい。これは、分子量が小さすぎると充電反応を阻害し、分子量が大きすぎると分散性が低下するためである。なお、重量平均分子量は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定できる。
【0026】
本願発明の鉛蓄電池は、上記縮合物を活物質に添加した負極板を備えたことを特徴とするものであるが、このような負極板は、例えば、酸化鉛粉に対し、上記縮合物を添加混合し、水、希硫酸を加えて混練してペーストとし、電極格子に塗布することで作製できる。なお、縮合物は、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩等の縮合物塩の状態で添加しても良く、この場合、ナトリウム塩とするのが好ましい。
【0027】
さらに、縮合物の添加に加えて、リグニンや硫酸バリウム、カーボンを混合して添加しても良く、これらの添加量は電池の使用目的によって変更され、通常、硫酸バリウムの場合0〜2質量%であり、カーボンの場合0〜2質量%である。また、上記縮合物の負極活物質への添加量も、電池の使用目的によって変更され、通常サイクル用途では0.1〜0.5質量%、フロートやトリクル用途では0.05〜0.3質量%の量を用いるのが良い。これは、上記縮合物等添加物は、電池の使用に伴い分解することがあり、電池の初期特性維持の為にはこれにより発生する分解生成物をできるだけ少なくする必要がある為であり、特に、フロートやトリクル用途では、他の用途の電池に比べて安定性と長寿命性が特に重要とされるので、添加量をより少なくするのが好ましい。
【0028】
また、電極格子としてはエキスパンド格子、鋳造格子等種々のものを利用できるが、格子のます目が粗い場合や極板強度を必要とする場合には、合成有機繊維等の極板補強材を添加するのが良く、この場合、その添加量は、0.05〜0.2%とするのが良い。
【0029】
さらに、負極格子の材質としても、Pb−Ca(−Sn)系合金やPb−Sb系合金等種々のものを用いることができる。
【0030】
【実施例】
以下に本発明の詳細を、実施例をもとに説明する。
【0031】
〔実施例1〕
負極活物質に添加する有機エキスパンダーとして、以下のようにしてホルムアルデヒド縮合物を合成し、これを用いた。
【0032】
撹拌装置、還流装置、温度計、ホルムアルデヒド滴下装置の付いた反応器に4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン225.3g(0.90モル)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン22.8g(0.10モル)、亜硫酸ナトリウム126.3g(1.0モル)、水酸化ナトリウム16.0g(0.4モル)、水807g仕込んだ。この固液に100℃にて37%ホルムアルデヒド水溶液202.7g(ホルムアルデヒド2.5モル)を1時間で滴下し、さらにその温度で14時間反応することにより、ビスフェノールスルホン酸ポリマー水溶液を得、これを固形分として分離して、記号4の負極板に用いた。
【0033】
本物質の一般式(III)を下記に示す。
【0034】
【化5】
【0035】
なお、式中のXは、上記示したように2種類の分子式を示すが、この2種類は、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとの混合割合に応じて縮合物分子の中に含まれ、本物質の場合、平均すると−SO2 − : −C(CH32 − = 9:1(モル比)の割合で含まれる。
【0036】
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンと、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの仕込みモル比を表1に示すように変更し、さらに水酸化ナトリウムの仕込みモル比を変更することにより、上記同様の方法により別のビスフェノールスルホン酸ポリマー水溶液を得、これらを固形分として分離して、記号5〜7の負極板に用いた。
【0037】
さらに、ビスフェノール類として4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンのみを仕込むことにより、上記同様の方法により別のビスフェノールスルホン酸ポリマー水溶液を得、これを記号3の負極板に用い、ビスフェノール類として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのみを仕込むことにより、上記同様の方法により別のビスフェノールスルホン酸ポリマー水溶液を得、これを固形分として分離して、記号8の負極板に用いた。
【0038】
上記合成された縮合物の重量平均分子量は、反応中経時的にGPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー、標準物質ポリエチレングリコール)で測定し、反応時間を調整することによって1.0×104となるように調整した。
【0039】
なお、これらの他、従来品としてサルファイト法で製造するサルファイトリグニンNa塩(日本製紙株式会社製バニレックスN、以後、リグニンと呼ぶ)およびナフタリンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物のNa塩(日本製紙株式会社製バニオールHD―100、以後、NSFと呼ぶ)を用意し、記号1、2の負極板に用いた。
【0040】
これらの有機エキスパンダーを、それぞれ0.2質量%添加して、下記表1に示す8種の負極板を得た。すなわち、PbOを約75質量%含む見掛け比重約1.8g/cm3の鉛粉100kgと、比重約1.15の希硫酸を約20dm3、添加剤として、無機エキスパンダー(硫酸バリウム)を0.7質量%、カーボンを0.2質量%、および有機エキスパンダーを0.2質量%混練し、格子に充填した後、熟成および乾燥をおこない有機エキスパンダーの異なる負極板を得た。なお、格子には、Pb−0.07質量%Ca−0.5質量%Sn合金からなるエキスパンド格子を用いた。
【0041】
【表1】
【0042】
ここで、負極板1は有機エキスパンダーとしてリグニンを用いたもの、負極板2はNSFを用いたもの、負極板3は、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンを単独で用いたビスフェノールスルホン酸ポリマーを用いたもの、負極板8は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを単独で用いたビスフェノールスルホン酸ポリマーを用いたもの、負極板4から7は、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンおよび2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを各種の割合で混合して用いたビスフェノールスルホン酸ポリマーを用いたものである。
【0043】
一方、正極ペーストには、PbOを約75質量%含む見掛け比重約1.8g/cm3の鉛粉100kgに対し、比重約1.15の希硫酸を約25dm3の割合で混練したものを用いた。なお、本発明の鉛蓄電池において用いられる正極ペーストには、化成効率を向上させる目的で鉛丹を添加したり、極板強度を向上させるために長さが2〜5mm程度の合成繊維を添加してもよい。合成繊維の添加量としては0.1〜0.3質量%程度が適当である。
上記正極ペーストを、Pb−0.07質量%Ca−1.5質量%Sn合金からなる鋳造格子に充填し、熟成および乾燥をおこない正極板を得た。なお、本発明の鉛蓄電池にでは種々の正極格子を用いることができ、例えば、上記鋳造格子に代えてエキスパンド格子を用いることもでき、この場合、コストダウンがはかれる。また、正極に用いる格子合金も種々用いることができ、例えば、Pb−Ca(−Sn)系合金の他にPb−Sb系合金等を用いることができる。
【0044】
これらの負極板および正極板と隔離体とを積層し、公称電圧12V、3時間率公称容量50Ahの電気自動車用シール型鉛蓄電池を下記表2に示すように8種類製作した。なお、隔離体には直径約0.8μmの微細ガラス繊維を抄造してなるガラスセパレータを用い、このセパレータおよび正負極板に電解液を含浸保持させて、無漏液化したいわゆるシール型電池とした。電槽化成後の硫酸比重は20℃で1.28とした。
これら8種の鉛蓄電池を用い、まず、3時間率放電試験をおこなった。これは、電解液温度を30±2℃において3時間率電流で放電終止電圧9.9Vまで放電し、その放電容量を調査するものである。ついで、高率放電試験をおこなった。これは、電解液温度を30±2℃において150Aで放電終止電圧6Vまで放電し、その放電容量を調査するものである。これらの試験結果を下記表2にあわせて示した。
【0045】
【表2】
【0046】
3時間率容量は、いずれの電池も大差なく、定格容量を満足していた。高率放電容量は、ビスフェノールスルホン酸ポリマーを用いた電池記号C〜Hが従来品であるリグニンおよびNSFを用いた電池AおよびBよりもわずかに優れていた。
【0047】
その後、電気自動車用寿命試験に供した。すなわち、鉛蓄電池周囲温度50℃±2℃として、放電を3時間率電流で2.4時間おこない、引き続き充電を10時間電流で9時間おこない、これを50回繰り返した後、高率放電で電池容量を調査した。これら50回毎の上記容量調査で、高率放電容量、すなわちが150A放電容量が初期容量の50%以下となるまで繰り返し、50%以下となったところを寿命サイクル数として、この結果を図1に示した。
【0048】
従来品であるリグニンおよびNSFを用いた電池AおよびBは、それぞれ50サイクルおよび100サイクルで寿命となった。寿命原因は負極活物質の表面積低下であった。これは、添加した有機エキスパンダーが充電時の還元反応や電解液である硫酸の攻撃によって分解され、その効果が低下したためと思われた。
【0049】
ビスフェノール類に4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンのみを使用した電池Cおよびビスフェノール類に2,2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのみを使用した電池Hは、それぞれ、250サイクルおよび150サイクルで寿命となった。このことから、同じビスフェノール類を用いた縮合物でも、一般式(I)で示されるビスフェノール類を用いたものの方が、より高温でのサイクル寿命を向上させる効果を有していることを示している。
【0050】
ビスフェノール類に4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンと2,2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの両方を用いた電池D〜Gでは、いずれも300サイクル以上の寿命となった。理由は明らかではないが、一般式(I)で示される化合物と一般式(II)で示される化合物との2種類からなるビスフェノール類を用いることによって得られるビスフェノールスルホン酸ポリマーは、高温下でも分解もしくは溶出しにくく、電池の充放電にともなって進行する負極活物質(海綿状鉛)の粗大化を抑えたためと考えられる。そして、この効果は、一般式(I)で示される化合物と一般式(II)で示される化合物が相互に作用しあって可能となったものと考えられる。
【0051】
このように、少なくとも一般式(I)で示す化合物を含んでいるビスフェノール類と亜硫酸塩とのホルムアルデヒド縮合物を負極活物質に添加したことで、従来以上の高率寿命性能を示す負極板が得られることがわかった。
【0052】
〔実施例2〕
上記実施例1において特に優れた性能を示した一般式(I)で示される化合物と一般式(II)で示される化合物との2種類からなるビスフェノール類と亜硫酸塩とのホルムアルデヒド縮合物において、その分子量の影響を調査した。
【0053】
すなわち、一般式(I)で示される化合物と、一般式(II)で示される化合物とを所定の割合で混合したものと、亜硫酸塩およびホルムアルデヒドとを反応させることで、ビスフェノールスルホン酸ポリマーを得た。このとき、ホルムアルデヒドの添加量、及び反応時間をかえることによって、0.1×104〜5×104の重量平均分子量が異なる試料を6種類得た。これらの有機エキスパンダーを0.2%添加した下記表3に示す負極板を用いて、実施例1と同様に下記表4に示す6種の3時間率公称容量50Ahの電気動車用シール型鉛蓄電池を製作し、3時間率容量および高率放電容量を調査した。上記試験結果を下記表4にあわせて示す。
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
3時間率容量は、重量平均分子量が0.1×104のビスフェノールスルホン酸ポリマーを用いた電池Iが他のものに比べて10%以上低かった。この電池は高率放電容量も低く、これは、分子量が低く、負極活物質表面に密な皮膜を形成したがために初期の化成が十分でなかったことが考えられる。0.3×104以上の重量平均分子量を有する他のものは、いずれも良好な3時間率および高率放電容量を示した。
【0057】
これらの電池を実施例1と同様に電気自動車電池用の寿命試験に供した。結果を図2に示す。重量平均分子量が0.1×104のビスフェノールスルホン酸ポリマーを用いた電池Iおよび重量平均分子量が5×104のビスフェノールスルホン酸ポリマー電池Mが、他に比べてわずかに早期に寿命となった。重量平均分子量が0.1×104のビスフェノールスルホン酸ポリマーを用いた電池Iは、分子量が低いために負極活物質表面に密な皮膜を形成し、これが充電を阻害したためと考えられる。逆に、重量平均分子量が5×104のビスフェノールスルホン酸ポリマーを用いた電池Mは、高分子であったため活物質中での分散性が低下したため、エキスパンダーとしての有効性が制限されたものと考えられる。
【0058】
このように、一般式(I)で示す化合物を必須成分としてビスフェノール類と亜硫酸塩とアルデヒド類との縮合物を活物質に添加し、さらに、前記縮合物の重量平均分子量を0.3〜3.0×104とすることにより、より高温下でも優れた高率放電性能を維持することができた。
なお、実施例1および2では、一般式(II)で示されるビスフェノール類の一例として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを用いて合成したビスフェノールスルホン酸ポリマー〔一般式(III)〕の例を示したが、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンに変えて、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタンや2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンを用いて合成したビスフェノールスルホン酸ポリマーでも上記実施例と同様の効果が得られた。
【0059】
また、亜硫酸塩に変えて、アミノ酸であるグルタミン酸を用いた、一般式(IV)で示されるビスフェノールアミノ酸ポリマーにおいても、上記実施例と同様の結果が得られた。
【0060】
【化6】
【0061】
なお、式中のXは、上記示したように2種類の分子式を示すが、この2種類は、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとの混合割合に応じて縮合物分子の中に含まれる。Y、Zについても、同様に、縮合物分子中に含まれる割合はグルタミン酸の混合量等により変わる。
【0062】
本実施例1、2ではシール型鉛蓄電池を用いた結果について詳細に説明したが、自動車用電池等に用いられている開放型鉛畜電池においても同様の効果が得られた。
【0063】
また、本実施例ではサイクル寿命試験の結果について詳述したが、この他、フロート充電寿命試験においても、本発明による負極板の寿命性能は、対照品と比較して明らかに優れていた。
【0064】
このように、実施例1、2で述べた本発明による効果は鉛蓄電池の形式や試験方法によって変わるものではなく、各種鉛蓄電池、各種用途に使用でき得るものである。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、高温下における寿命性能の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】50℃における寿命試験の結果(実施例1)を示す図である。
【図2】50℃における寿命試験の結果(実施例2)を示す図である。

Claims (2)

  1. ビスフェノール類と亜硫酸塩及び/またはアミノ酸とアルデヒド類との縮合物が活物質に添加された負極板を備えた鉛蓄電池であって、前記ビスフェノール類が下記一般式(I)で示されるビスフェノール類化合物(a)
    と下記一般式(II)で示されるビスフェノール類化合物(b)
    との2種類のビスフェノール類化合物からなり、前記縮合物の重量平均分子量が0.3〜3.0×10 4 であることを特徴とする鉛蓄電池。
  2. 上記アルデヒド類がホルムアルデヒドであることを特徴とする請求項1記載の鉛蓄電池。
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