JP2002134114A - 鉛蓄電池 - Google Patents
鉛蓄電池Info
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Abstract
スフェノール類化合物(b)との2種類のビスフェノー
ル類化合物からなるビスフェノール類と亜硫酸塩とアル
デヒド類との縮合物(下記一般式(III))を活物質に
添加する。 【化7】
Description
鉛蓄電池に関するものである。
め小容量のコンシューマー用から大容量の据置用まで多
くの用途で使用されている。また、近年は環境問題の観
点から電気自動車の電源としても注目されている。
と、これらの電池は新たな使用環境下におかれるように
なりつつあると考えられる。すなわち、エアーコンディ
ショナーやオーディオ機器、さらにはカーナビゲーショ
ンシステムなど多くの電装機器が採用され、鉛蓄電池に
対する負荷が大きくなっている。また、居住空間の確保
や空気抵抗低減のためにエンジンルームは小さくなり、
エンジンの高出力化も重なって、エンジンルーム内は相
当な高温になっており、鉛蓄電池もこの高温にさらされ
るようになってきている。
繰り返し、大電流を必要とする電池においても、室内空
間を最大限にとるために、電池のおかれる状況は非常に
コンパクトにおさえられて熱がこもりやすくなり、電池
は高温にさらされるようになっている。
ンダー、無機エキスパンダー(通常、硫酸バリウムが使
用されている。)およびカーボンが添加されており、そ
れぞれ鉛蓄電池用負極板の各種性能向上に寄与してい
る。これらの内、有機エキスパンダーには、一般にリグ
ニンが用いられており、電池の充放電にともなって進行
する負極活物質(海綿状鉛)の粗大化を抑え、活物質が
収縮するのを抑制して活物質を微細化し、負極板の放電
容量、特に高率放電容量が低下するのを防いでいる。
環境の変化や電気自動車への適用といった高温での使用
に対して現在使用しているリグニンでは満足できる寿命
性能を得ることは困難になりつつある。これは、リグニ
ンが高温にさらされた場合、分解あるいは電解液に溶出
して、その量が減少するためと考えられる。そのため、
高温下でも寿命性能の低下の少ない負極板、すなわち、
分解もしくは溶出しにくいような有機エキスパンダーが
求められていた。
して、たとえば特開平2−234352号公報や特開平
4−65062号公報には、ナフタレンスルホン酸の誘
導体が記載されている。しかし、このような誘導体も特
に高温となるような使用状況では十分な性能とは言い難
かった。このような状況の下、我々は、特開平11−1
21008号公報に記載のように、ビスフェノール類と
亜硫酸塩もしくはアミノ酸とのホルムアルデヒド縮合物
が有機エキスパンダーとして優れていることを見出し、
このホルムアルデヒド縮合物を添加した負極板を提案し
た。
縮合物を添加した負極板を用いた鉛蓄電池は、高温下で
も寿命性能の低下の少ない、特に、サイクルに伴う高率
放電容量の低下が小さい、優れた電池である。しかしな
がら、このような電池でもその特性は十分とは言えず、
さらなる高性能化が求められていた。
での寿命性能をさらに改善すること、サイクルに伴う高
率放電容量の低下をさらに小さくすることを目的とす
る。
ール類と亜硫酸塩及び/またはアミノ酸とアルデヒド類
との縮合物が活物質に添加された負極板を備えた鉛蓄電
池であって、前記ビスフェノール類には、少なくとも下
記一般式(I)で示されるビスフェノール類化合物
(a)が含まれていることを特徴とするものである。
アミノ酸とアルデヒド類との縮合物の中でも、一般式
(I)で示されるビスフェノール類化合物(a)を含ん
だビスフェノール類の用いられた縮合物を活物質に添加
することによって、高温下でも寿命性能の低下の少ない
より優れた鉛蓄電池の製造が可能となる。なお、ビスフ
ェノール類化合物(a)の含有量は、全ビスフェノール
類化合物に対して1モル%以上であるのが好ましい。
ール類には、下記一般式(II)で示されるビスフェノー
ル類化合物(b)がさらに含まれているのが良く、より
好ましくは、上記ビスフェノール類が上記ビスフェノー
ル類化合物(a)とビスフェノール類化合物(b)との
2種類のビスフェノール類化合物からなるようにするの
が良く、ビスフェノール類化合物(a)、ビスフェノー
ル類化合物(b)共に1モル%以上含まれるようにする
のがさらに良い。このようにすることによって、充放電
サイクルに伴う高率放電容量の低下を、より一層低減す
ることができる。
フェノール類としては、種々のものを用いることがで
き、例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフ
ルオロプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルス
ルホン、4,4’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉
草酸、4,4’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酪酸
およびこれらの異性体を用いることができる。
るビスフェノール類化合物、すなわち、4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルスルホンを含んだものが用いられ、
例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンが
単独で、または、上記ビスフェノール類中の4,4’−
ジヒドロキシジフェニルスルホン以外の化合物の1種ま
たは2種以上と4,4’−ジヒドロキシジフェニルスル
ホンとが混合されたビスフェノール類が用いられる。な
お、混合されたビスフェノール類が用いられる場合に
は、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンを、全
ビスフェノール類化合物に対して1モル%以上混合する
のが良い。
ール類化合物(b)と4,4’−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホンとの2種類が混合されたビスフェノール類を
用いるのが良く、この場合、共に1モル%以上含まれる
ようにするのがさらに良い。
ール類は、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ま
たは2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフ
ルオロプロパンである。これらは1種あるいは2種以上
を組み合わせて用いても良い。そして、一般式(II)で
表されるビスフェノール類を2種以上用いる場合には、
一般式(II)で表されるビスフェノール類の合計の含有
量が、1モル%以上とするのが良い。
ては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ
亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸カリ
ウム、重亜硫酸アンモニウム等が使用可能であり、特
に、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜
硫酸ナトリウム等のナトリウム塩が好ましい。
酸としては、グルタミン酸、グリシン、アラニン、イミ
ノ二酢酸、アスパラギン酸、セリン、アミノ酪酸、グル
タチオン、6−アミノヘキサン酸、バリン、メチオニ
ン、ロイシン等が使用可能であり、特に、グルタミン
酸、グリシン、アラニン、イミノ二酢酸が好ましい。
としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、
ヘキサメチレンテトラミン等のホルムアルデヒド誘導
体、アセトアルデヒド等が使用可能であり、特に、ホル
ムアルデヒド誘導体が好ましく、反応性やコストの点か
ら、ホルムアルデヒドがより好ましい。
記のような、ビスフェノール類と亜硫酸塩とアルデヒド
類、または、ビスフェノール類とアミノ酸とアルデヒド
類、または、ビスフェノール類と亜硫酸塩とアミノ酸と
アルデヒド類、との縮合物であるが、このような縮合物
は、例えば、これらを水性条件下で混合し、常圧または
加圧下で、50〜140℃で通常5〜50時間反応させ
ることによって製造することができる。
4である必要があり、必要に応じて水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア、水酸
化アンモニウム等のアルカリを添加する。
スフェノール類:亜硫酸塩および/またはアミノ酸:ア
ルデヒド類のモル比は1:0.5〜2.5:1.2〜
6.0とするのが好ましい。このモル比をはずれると縮
合物分子量が高分子化しすぎたり、また逆に高分子化し
ないことがある為であり、また未反応成分が多量に残存
する場合もあるからである。
均分子量は、0.3〜3.0×10 4であるのが好まし
い。これは、分子量が小さすぎると充電反応を阻害し、
分子量が大きすぎると分散性が低下するためである。な
お、重量平均分子量は、ゲル・パーミエイション・クロ
マトグラフィー(GPC)によって測定できる。
質に添加した負極板を備えたことを特徴とするものであ
るが、このような負極板は、例えば、酸化鉛粉に対し、
上記縮合物を添加混合し、水、希硫酸を加えて混練して
ペーストとし、電極格子に塗布することで作製できる。
なお、縮合物は、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシ
ウム塩等の縮合物塩の状態で添加しても良く、この場
合、ナトリウム塩とするのが好ましい。
や硫酸バリウム、カーボンを混合して添加しても良く、
これらの添加量は電池の使用目的によって変更され、通
常、硫酸バリウムの場合0〜2質量%であり、カーボン
の場合0〜2質量%である。また、上記縮合物の負極活
物質への添加量も、電池の使用目的によって変更され、
通常サイクル用途では0.1〜0.5質量%、フロートや
トリクル用途では0.05〜0.3質量%の量を用いる
のが良い。これは、上記縮合物等添加物は、電池の使用
に伴い分解することがあり、電池の初期特性維持の為に
はこれにより発生する分解生成物をできるだけ少なくす
る必要がある為であり、特に、フロートやトリクル用途
では、他の用途の電池に比べて安定性と長寿命性が特に
重要とされるので、添加量をより少なくするのが好まし
い。
子、鋳造格子等種々のものを利用できるが、格子のます
目が粗い場合や極板強度を必要とする場合には、合成有
機繊維等の極板補強材を添加するのが良く、この場合、
その添加量は、0.05〜0.2%とするのが良い。
Ca(−Sn)系合金やPb−Sb系合金等種々のもの
を用いることができる。
する。
キスパンダーとして、以下のようにしてホルムアルデヒ
ド縮合物を合成し、これを用いた。
デヒド滴下装置の付いた反応器に4,4’−ジヒドロキ
シジフェニルスルホン225.3g(0.90モル)、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン2
2.8g(0.10モル)、亜硫酸ナトリウム126.
3g(1.0モル)、水酸化ナトリウム16.0g
(0.4モル)、水807g仕込んだ。この固液に10
0℃にて37%ホルムアルデヒド水溶液202.7g
(ホルムアルデヒド2.5モル)を1時間で滴下し、さ
らにその温度で14時間反応することにより、ビスフェ
ノールスルホン酸ポリマー水溶液を得、これを固形分と
して分離して、記号4の負極板に用いた。
類の分子式を示すが、この2種類は、4,4’−ジヒド
ロキシジフェニルスルホンと2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパンとの混合割合に応じて縮合物分
子の中に含まれ、本物質の場合、平均すると−SO2 −
: −C(CH3 )2 − = 9:1(モル比)の割合
で含まれる。
ンと、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ンの仕込みモル比を表1に示すように変更し、さらに水
酸化ナトリウムの仕込みモル比を変更することにより、
上記同様の方法により別のビスフェノールスルホン酸ポ
リマー水溶液を得、これらを固形分として分離して、記
号5〜7の負極板に用いた。
−ジヒドロキシジフェニルスルホンのみを仕込むことに
より、上記同様の方法により別のビスフェノールスルホ
ン酸ポリマー水溶液を得、これを記号3の負極板に用
い、ビスフェノール類として2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパンのみを仕込むことにより、上記
同様の方法により別のビスフェノールスルホン酸ポリマ
ー水溶液を得、これを固形分として分離して、記号8の
負極板に用いた。
は、反応中経時的にGPC(ゲルパーミエイションクロ
マトグラフィー、標準物質ポリエチレングリコール)で
測定し、反応時間を調整することによって1.0×10
4となるように調整した。
イト法で製造するサルファイトリグニンNa塩(日本製
紙株式会社製バニレックスN、以後、リグニンと呼ぶ)
およびナフタリンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の
Na塩(日本製紙株式会社製バニオールHD―100、
以後、NSFと呼ぶ)を用意し、記号1、2の負極板に
用いた。
0.2質量%添加して、下記表1に示す8種の負極板を
得た。すなわち、PbOを約75質量%含む見掛け比重
約1.8g/cm3の鉛粉100kgと、比重約1.1
5の希硫酸を約20dm3、添加剤として、無機エキス
パンダー(硫酸バリウム)を0.7質量%、カーボンを0.
2質量%、および有機エキスパンダーを0.2質量%混
練し、格子に充填した後、熟成および乾燥をおこない有
機エキスパンダーの異なる負極板を得た。なお、格子に
は、Pb−0.07質量%Ca−0.5質量%Sn合金
からなるエキスパンド格子を用いた。
してリグニンを用いたもの、負極板2はNSFを用いた
もの、負極板3は、4,4’−ジヒドロキシジフェニル
スルホンを単独で用いたビスフェノールスルホン酸ポリ
マーを用いたもの、負極板8は、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパンを単独で用いたビスフェノ
ールスルホン酸ポリマーを用いたもの、負極板4から7
は、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンおよび
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを各
種の割合で混合して用いたビスフェノールスルホン酸ポ
リマーを用いたものである。
質量%含む見掛け比重約1.8g/cm3の鉛粉100
kgに対し、比重約1.15の希硫酸を約25dm3の
割合で混練したものを用いた。なお、本発明の鉛蓄電池
において用いられる正極ペーストには、化成効率を向上
させる目的で鉛丹を添加したり、極板強度を向上させる
ために長さが2〜5mm程度の合成繊維を添加してもよ
い。合成繊維の添加量としては0.1〜0.3質量%程
度が適当である。上記正極ペーストを、Pb−0.07
質量%Ca−1.5質量%Sn合金からなる鋳造格子に
充填し、熟成および乾燥をおこない正極板を得た。な
お、本発明の鉛蓄電池にでは種々の正極格子を用いるこ
とができ、例えば、上記鋳造格子に代えてエキスパンド
格子を用いることもでき、この場合、コストダウンがは
かれる。また、正極に用いる格子合金も種々用いること
ができ、例えば、Pb−Ca(−Sn)系合金の他にP
b−Sb系合金等を用いることができる。
積層し、公称電圧12V、3時間率公称容量50Ahの
電気自動車用シール型鉛蓄電池を下記表2に示すように
8種類製作した。なお、隔離体には直径約0.8μmの
微細ガラス繊維を抄造してなるガラスセパレータを用
い、このセパレータおよび正負極板に電解液を含浸保持
させて、無漏液化したいわゆるシール型電池とした。電
槽化成後の硫酸比重は20℃で1.28とした。これら
8種の鉛蓄電池を用い、まず、3時間率放電試験をおこ
なった。これは、電解液温度を30±2℃において3時
間率電流で放電終止電圧9.9Vまで放電し、その放電
容量を調査するものである。ついで、高率放電試験をお
こなった。これは、電解液温度を30±2℃において1
50Aで放電終止電圧6Vまで放電し、その放電容量を
調査するものである。これらの試験結果を下記表2にあ
わせて示した。
く、定格容量を満足していた。高率放電容量は、ビスフ
ェノールスルホン酸ポリマーを用いた電池記号C〜Hが
従来品であるリグニンおよびNSFを用いた電池Aおよ
びBよりもわずかに優れていた。
すなわち、鉛蓄電池周囲温度50℃±2℃として、放電
を3時間率電流で2.4時間おこない、引き続き充電を
10時間電流で9時間おこない、これを50回繰り返し
た後、高率放電で電池容量を調査した。これら50回毎
の上記容量調査で、高率放電容量、すなわちが150A
放電容量が初期容量の50%以下となるまで繰り返し、
50%以下となったところを寿命サイクル数として、こ
の結果を図1に示した。
た電池AおよびBは、それぞれ50サイクルおよび10
0サイクルで寿命となった。寿命原因は負極活物質の表
面積低下であった。これは、添加した有機エキスパンダ
ーが充電時の還元反応や電解液である硫酸の攻撃によっ
て分解され、その効果が低下したためと思われた。
シジフェニルスルホンのみを使用した電池Cおよびビス
フェノール類に2,2−(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパンのみを使用した電池Hは、それぞれ、250サイ
クルおよび150サイクルで寿命となった。このことか
ら、同じビスフェノール類を用いた縮合物でも、一般式
(I)で示されるビスフェノール類を用いたものの方
が、より高温でのサイクル寿命を向上させる効果を有し
ていることを示している。
シジフェニルスルホンと2,2−(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパンの両方を用いた電池D〜Gでは、いずれ
も300サイクル以上の寿命となった。理由は明らかで
はないが、一般式(I)で示される化合物と一般式(I
I)で示される化合物との2種類からなるビスフェノー
ル類を用いることによって得られるビスフェノールスル
ホン酸ポリマーは、高温下でも分解もしくは溶出しにく
く、電池の充放電にともなって進行する負極活物質(海
綿状鉛)の粗大化を抑えたためと考えられる。そして、
この効果は、一般式(I)で示される化合物と一般式(I
I)で示される化合物が相互に作用しあって可能となっ
たものと考えられる。
す化合物を含んでいるビスフェノール類と亜硫酸塩との
ホルムアルデヒド縮合物を負極活物質に添加したこと
で、従来以上の高率寿命性能を示す負極板が得られるこ
とがわかった。
れた性能を示した一般式(I)で示される化合物と一般
式(II)で示される化合物との2種類からなるビスフェ
ノール類と亜硫酸塩とのホルムアルデヒド縮合物におい
て、その分子量の影響を調査した。
と、一般式(II)で示される化合物とを所定の割合で混
合したものと、亜硫酸塩およびホルムアルデヒドとを反
応させることで、ビスフェノールスルホン酸ポリマーを
得た。このとき、ホルムアルデヒドの添加量、及び反応
時間をかえることによって、0.1×104〜5×104
の重量平均分子量が異なる試料を6種類得た。これらの
有機エキスパンダーを0.2%添加した下記表3に示す
負極板を用いて、実施例1と同様に下記表4に示す6種
の3時間率公称容量50Ahの電気動車用シール型鉛蓄
電池を製作し、3時間率容量および高率放電容量を調査
した。上記試験結果を下記表4にあわせて示す。
×104のビスフェノールスルホン酸ポリマーを用いた
電池Iが他のものに比べて10%以上低かった。この電
池は高率放電容量も低く、これは、分子量が低く、負極
活物質表面に密な皮膜を形成したがために初期の化成が
十分でなかったことが考えられる。0.3×104以上
の重量平均分子量を有する他のものは、いずれも良好な
3時間率および高率放電容量を示した。
車電池用の寿命試験に供した。結果を図2に示す。重量
平均分子量が0.1×104のビスフェノールスルホン
酸ポリマーを用いた電池Iおよび重量平均分子量が5×
104のビスフェノールスルホン酸ポリマー電池Mが、
他に比べてわずかに早期に寿命となった。重量平均分子
量が0.1×104のビスフェノールスルホン酸ポリマ
ーを用いた電池Iは、分子量が低いために負極活物質表
面に密な皮膜を形成し、これが充電を阻害したためと考
えられる。逆に、重量平均分子量が5×104のビスフ
ェノールスルホン酸ポリマーを用いた電池Mは、高分子
であったため活物質中での分散性が低下したため、エキ
スパンダーとしての有効性が制限されたものと考えられ
る。
必須成分としてビスフェノール類と亜硫酸塩とアルデヒ
ド類との縮合物を活物質に添加し、さらに、前記縮合物
の重量平均分子量を0.3〜3.0×104とすること
により、より高温下でも優れた高率放電性能を維持する
ことができた。なお、実施例1および2では、一般式
(II)で示されるビスフェノール類の一例として2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを用いて合
成したビスフェノールスルホン酸ポリマー〔一般式(II
I)〕の例を示したが、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパンに変えて、4,4’−ジヒドロキシ
ジフェニルメタンや2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)ヘキサフルオロプロパンを用いて合成したビスフ
ェノールスルホン酸ポリマーでも上記実施例と同様の効
果が得られた。
グルタミン酸を用いた、一般式(IV)で示されるビスフ
ェノールアミノ酸ポリマーにおいても、上記実施例と同
様の結果が得られた。
類の分子式を示すが、この2種類は、4,4’−ジヒド
ロキシジフェニルスルホンと2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパンとの混合割合に応じて縮合物分
子の中に含まれる。Y、Zについても、同様に、縮合物
分子中に含まれる割合はグルタミン酸の混合量等により
変わる。
いた結果について詳細に説明したが、自動車用電池等に
用いられている開放型鉛畜電池においても同様の効果が
得られた。
果について詳述したが、この他、フロート充電寿命試験
においても、本発明による負極板の寿命性能は、対照品
と比較して明らかに優れていた。
による効果は鉛蓄電池の形式や試験方法によって変わる
ものではなく、各種鉛蓄電池、各種用途に使用でき得る
ものである。
能の低下を防止できる。
す図である。
す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 ビスフェノール類と亜硫酸塩及び/また
はアミノ酸とアルデヒド類との縮合物が活物質に添加さ
れた負極板を備えた鉛蓄電池であって、前記ビスフェノ
ール類には、少なくとも下記一般式(I)で示されるビ
スフェノール類化合物(a)が含まれていることを特徴
とする鉛蓄電池。 【化1】 - 【請求項2】 上記アルデヒド類がホルムアルデヒドで
あることを特徴とする請求項1記載の鉛蓄電池。 - 【請求項3】 上記ビスフェノール類が、上記ビスフェ
ノール類化合物(a)と下記一般式(II)で示されるビ
スフェノール類化合物(b)との2種類のビスフェノー
ル類化合物からなることを特徴とする請求項1または2
記載の鉛蓄電池。 【化2】 - 【請求項4】 上記縮合物の重量平均分子量が、0.3
〜3.0×104であることを特徴とする請求項1、2
または3記載の鉛蓄電池。
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