JP2017160304A - ビスフェノール系樹脂、電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法、並びに、樹脂組成物 - Google Patents

ビスフェノール系樹脂、電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法、並びに、樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】保存安定性に優れるビスフェノール系樹脂を提供する。【解決手段】(a)ビスフェノール系化合物と、(b)アミノベンゼンスルホン酸及びアミノベンゼンスルホン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(c)ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を反応させて得られ、前記(a)成分、(b)成分及び(c)成分の反応により得られる樹脂の1H−NMRスペクトルにおいて、ビスフェノールAのメチル基に由来するピーク積分値に対するメチロール基やベンゾオキサジン環に由来するピーク積分値の比が0.25以下である、ビスフェノール系樹脂。【選択図】図1

Description

本発明は、ビスフェノール系樹脂、樹脂組成物、電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法に関する。
自動車用鉛蓄電池は、エンジン始動用及び電装品の電力供給用として広汎に用いられている。近年、環境保護及び燃費改善の取り組みとして、車両の一時停止時にはエンジンを止め、発進時に再始動するアイドリング・ストップ・システム(以下、「ISS」という)が実施され始めている。ISSにおいて使用される鉛蓄電池では、頻繁にエンジンの始動及び停止が繰り返されることにより、エンジン始動時の大電流放電回数が増え、電装品の使用と重なり放電負荷が多くなる。
自動車用鉛蓄電池の充電は、オルタネータによる定電圧充電である。近年、充電中の水分解による電解液の減少を抑制することを目的として、オルタネータ電圧の設定値は低下してきている。また、近年では、このような低い充電電圧を採用することに加えて、発電制御システムと呼ばれる「走行中のオルタネータによる充電を、車両の走行状態及び鉛蓄電池の充電状態に応じて制御することにより、エンジン負荷を低減し、燃費向上及びCO削減を図る」方式も採用されている。このような方式では、鉛蓄電池の充電が行われにくく、満充電状態になりにくい。このような使用条件において鉛蓄電池は、充分に充電されず放電過多で使用されることが多くなる。
鉛蓄電池の充電が完全に行われず、充電量の低い状態が継続すると、不活性の放電生成物である硫酸鉛が極板に蓄積する現象(サルフェーション)が起こる場合がある。このような状況では、活物質が還元されにくい(充電されにくい)状態であることから、サイクル特性等の電池性能が低下することが知られている。
また、完全な充電が行われにくい場合には、鉛蓄電池内における極板の上部と下部の間で、電解液である希硫酸の濃淡差が生じる成層化現象が起こる。この場合、極板下部の希硫酸の濃度が高くなりサルフェーションが発生する。そのため、極板下部の反応性が低下し、極板上部だけが集中的に反応するようになる。その結果、活物質間の結びつきが弱くなる等の劣化が進み、極板上部において、活物質を支持する集電体(例えば集電体格子)から活物質が剥離して、サイクル特性等の電池性能が低下する。
これに対し、サイクル特性等を向上させる手段として、下記特許文献1には、負極活物質と、フェノール類、アミノベンゼンスルホン酸及びホルムアルデヒドの縮合物とを用いて得られる鉛蓄電池用負極に関する技術が開示されている。
国際公開第1997/37393号
前記特許文献1では、ホルムアルデヒドとしてホルマリンを用いている。ホルマリンは、刺激臭があり、生体にも有害であるとの指摘もあり、製造工程においては使用しないことが望まれる。ホルマリンに替わる材料として、パラホルムアルデヒドがあり、これは固体であるため刺激臭は殆どない。
ところで、鉛蓄電池の電極を得るための材料に対しては、水溶液での保存安定性に優れることが求められている。
本発明者らは、前記特許文献1に開示されている技術のホルムアルデヒドにパラホルムアルデヒドを適用した場合について検討した結果、ある条件下で縮合物の水溶液での保存安定性が低下することを見出した。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、保存安定性に優れるビスフェノール系樹脂及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、前記ビスフェノール系樹脂を含有する樹脂組成物を提供することを目的とする。さらに、本発明は、前記ビスフェノール系樹脂を用いて製造される電極及び鉛蓄電池、並びに、これらの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るビスフェノール系樹脂は、(a)ビスフェノール系化合物と、(b)アミノベンゼンスルホン酸及びアミノベンゼンスルホン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(c)ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を反応させて得られ、前記(a)成分、(b)成分及び(c)成分の反応により得られる樹脂のH−NMRスペクトルにおいて、メチロール基やベンゾオキサジン環に由来する4.3〜4.8ppmのピーク積分値は、ビスフェノールAのメチル基由来の0.1〜2.3ppmのピーク積分値を基準にして、ピーク積分値の比が0.25以下である。
本発明に係るビスフェノール系樹脂によれば、従来に比してビスフェノール系樹脂の保存安定性を向上させることが可能であり、優れた保存安定性を得ることができる。このように保存安定性が向上する要因は、前記(a)成分、(b)成分及び(c)成分の反応により得られるメチロール基を有する構造単位に含まれるメチロール基の縮合重合、及びベンゾオキサジン環を有する構造単位に含まれるベンゾオキサジン環の開環重合、に起因する分子量の増加が保存安定性の低下を招く一因であると考えられ、このような構造単位の含有量が少ないためであると推測される。但し、要因はこれらに限定されるものではない。
また、本発明者らの鋭意検討の結果、前記特許文献1に記載の鉛蓄電池用負極を用いた場合に充分なサイクル特性が得られないことが明らかとなった。これに対し、本発明に係るビスフェノール系樹脂を用いることにより、鉛蓄電池において優れたサイクル特性を得ることができる。また、本発明に係るビスフェノール系樹脂によれば、優れた充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性等の電池性能を両立することができる。
前記のとおり優れたサイクル特性が得られる要因について、前記ビスフェノール系樹脂を用いて得られる鉛蓄電池においては、鉛蓄電池の電極反応において生成する反応物が粗大化することが抑制されることにより電極の比表面積が高く保持されるためであると推測される。また、ビスフェノール系樹脂の保存安定性が向上することも寄与していると推測される。但し、要因はこれらに限定されるものではない。
本発明に係るビスフェノール系樹脂は、下記一般式(I)〜(IV)で表される、メチロール基を有する構造単位を含有してもよい。
Figure 2017160304
(式(I)〜(IV)中、X〜Xは2価の基が挙げられる。R11〜R43それぞれ独立にアルカリ金属又は水素原子を示し、n11及びn21は、1〜3の整数を示し、n31は、1又は2を示し、n41+n42は1〜3を示す。また、ベンゼン環を構成する炭素原子に直接結合している水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい。)
本発明に係るビスフェノール系樹脂の重量平均分子量は、30000〜70000であることが好ましい。この場合、更に優れたサイクル特性を得ることができる。
本発明に係る樹脂組成物は、本発明に係るビスフェノール系樹脂を含有する。本発明に係る樹脂組成物によれば、従来に比して樹脂組成物の保存安定性を向上させることが可能であり、優れた保存安定性を得ることができる。
本発明に係る樹脂組成物の不揮発分含量は、10〜50質量%であることが好ましい。この場合、ビスフェノール系樹脂の溶解性に優れ、更に優れた電池性能を得ることができる。
本発明に係る電極は、本発明に係るビスフェノール系樹脂、又は、本発明に係る樹脂組成物を用いて製造されたものである。本発明に係る鉛蓄電池は、本発明に係る電極を備えている。これらにおいても、優れたサイクル特性を得ることができる。
本発明に係るビスフェノール系樹脂の製造方法は、(a)ビスフェノール系化合物と、(b)アミノベンゼンスルホン酸及びアミノベンゼンスルホン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(c)ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を反応させてビスフェノール系樹脂を得る工程を備え、前記(a)成分、(b)成分及び(c)成分の反応により得られる樹脂のH−NMRスペクトルにおいて、ビスフェノールAのメチル基に由来するピーク積分値に対するメチロール基やベンゾオキサジン環に由来するピーク積分値の比が0.25以下である。
また、本発明に係るビスフェノール系樹脂の製造方法は、(a)ビスフェノール系化合物と、(b)アミノベンゼンスルホン酸及びアミノベンゼンスルホン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(c)ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を反応させてビスフェノール系樹脂を得る工程を備え、前記(a)成分、(b)成分及び(c)成分の反応により得られる樹脂に含まれるベンゾオキサジン環を有する構造単位の含有量が、前記ビスフェノール系樹脂の全質量を基準として15質量%以下である。
本発明に係るビスフェノール系樹脂の製造方法によれば、従来に比してビスフェノール系樹脂の保存安定性を向上させることが可能であり、優れた保存安定性を得ることができる。また、本発明に係るビスフェノール系樹脂の製造方法によれば、鉛蓄電池において優れたサイクル特性を得ることができる。さらに、本発明に係るビスフェノール系樹脂の製造方法によれば、優れた充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性等の電池性能を両立することができる。
本発明に係るビスフェノール系樹脂の製造方法において、前記ビスフェノール系樹脂のメチロール基を有する前記構造単位は、下記一般式(I)〜(IV)で表される構造単位を含有してもよい。
Figure 2017160304
(式(I)〜(IV)中、X〜Xは2価の基が挙げられる。R11〜R43それぞれ独立にアルカリ金属又は水素原子を示し、n11及びn21は、1〜3の整数を示し、n31は、1又は2を示し、n41+n42は1〜3を示す。また、ベンゼン環を構成する炭素原子に直接結合している水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい。)
本発明に係るビスフェノール系樹脂の製造方法は、前記(b)成分の配合量が前記(a)成分1モルに対して0.5〜1.3モルであり、前記(c)成分の配合量が前記(a)成分1モルに対してホルムアルデヒド換算で2〜3.5モルである態様が好ましい。この場合、更に優れたサイクル特性を得ることができる。
本発明に係る電極の製造方法は、本発明に係るビスフェノール系樹脂の製造方法により得られたビスフェノール系樹脂を用いて電極を製造する工程を備える。本発明に係る鉛蓄電池の製造方法は、本発明に係る電極の製造方法により電極を得る工程を備える。これらにおいても、優れたサイクル特性を得ることができる。
本発明によれば、優れた保存安定性を有するビスフェノール系樹脂及び樹脂組成物を得ることができる。また、本発明によれば、鉛蓄電池において優れたサイクル特性を得ることができる。さらに、本発明によれば、優れた充電受け入れ性が得られ、放電特性及びサイクル特性等の電池性能を両立することができる。
本発明によれば、ビスフェノール系樹脂の鉛蓄電池への応用、及び、樹脂組成物の鉛蓄電池への応用を提供できる。特に、本発明によれば、前記ビスフェノール系樹脂又は前記樹脂組成物を用いて製造される負極を有する鉛蓄電池において優れた特性を得ることができる。本発明によれば、ビスフェノール系樹脂の鉛蓄電池の負極への応用、及び、樹脂組成物の鉛蓄電池の負極への応用を提供できる。
本発明によれば、ビスフェノール系樹脂の自動車における鉛蓄電池への応用、及び、樹脂組成物の自動車における鉛蓄電池への応用を提供できる。また、本発明によれば、充電受け入れ性に優れるため、過酷な環境で使用されるISS車両用途として充分満足し得る鉛蓄電池を提供することができる。本発明によれば、ビスフェノール系樹脂のISS車両における鉛蓄電池への応用、及び、樹脂組成物のISS車両における鉛蓄電池への応用を提供できる。
本発明のビスフェノール系樹脂のH−NMRスペクトルの測定結果を示す図である。 本発明のビスフェノール系樹脂の重量平均分子量の測定における検量線を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<ビスフェノール系樹脂、樹脂組成物及びこれらの製造方法>
本実施形態に係るビスフェノール系樹脂は、(a)ビスフェノール系化合物(以下、場合により「(a)成分」という)と、(b)アミノベンゼンスルホン酸及びアミノベンゼンスルホン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種(以下、場合により「(b)成分」という)と、(c)ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種(以下、場合により「(c)成分」という)と、を反応させて得られる。
本実施形態に係る樹脂組成物は、本実施形態に係るビスフェノール系樹脂を含有している。本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、ビスフェノール系樹脂と溶媒(水等)とを含有する組成物であり、例えば、25℃において液状の樹脂溶液である。以下、ビスフェノール系樹脂を得るための成分、樹脂組成物の構成成分等について説明する。なお、本明細書において各成分の含有量は、各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
[(a)成分:ビスフェノール系化合物]
ビスフェノール系化合物は、2個のヒドロキシフェニル基を有する化合物である。ビスフェノール系化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」という)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(以下、「ビスフェノールS」という)等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ビスフェノール系化合物としては、充電受け入れ性に更に優れる観点からはビスフェノールAが好ましく、放電特性に更に優れる観点からはビスフェノールSが好ましい。
ビスフェノール系化合物としては、充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性がバランス良く向上する観点から、ビスフェノールAとビスフェノールSとを併用することが好ましい。この場合、ビスフェノール系樹脂を得るための反応におけるビスフェノールAの配合量は、充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性がバランス良く向上する観点から、ビスフェノールA及びビスフェノールSの合計量を基準として、70モル%以上が好ましく、75モル%以上がより好ましく、80モル%以上が更に好ましい。ビスフェノールAの配合量は、充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性がバランス良く向上する観点から、ビスフェノールA及びビスフェノールSの合計量を基準として、99モル%以下が好ましく、98モル%以下がより好ましく、97モル%以下が更に好ましい。
[(b)成分:アミノベンゼンスルホン酸及びアミノベンゼンスルホン酸誘導体]
アミノベンゼンスルホン酸としては、2−アミノベンゼンスルホン酸(別名オルタニル酸)、3−アミノベンゼンスルホン酸(別名メタニル酸)、4−アミノベンゼンスルホン酸(別名スルファニル酸)等が挙げられる。
アミノベンゼンスルホン酸誘導体としては、アミノベンゼンスルホン酸の一部の水素原子がアルキル基(例えば炭素数1〜5のアルキル基)等で置換された化合物、アミノベンゼンスルホン酸のスルホ基(−SOH)の水素原子がアルカリ金属(例えばナトリウム、カリウム)で置換された化合物などが挙げられる。アミノベンゼンスルホン酸の一部の水素原子がアルキル基で置換された化合物としては、4−(メチルアミノ)ベンゼンスルホン酸、3−メチル−4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4−メチルベンゼンスルホン酸、4−(エチルアミノ)ベンゼンスルホン酸、3−(エチルアミノ)−4−メチルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。アミノベンゼンスルホン酸のスルホ基の水素原子がアルカリ金属で置換された化合物としては、2−アミノベンゼンスルホン酸ナトリウム、3−アミノベンゼンスルホン酸ナトリウム、4−アミノベンゼンスルホン酸ナトリウム、2−アミノベンゼンスルホン酸カリウム、3−アミノベンゼンスルホン酸カリウム、4−アミノベンゼンスルホン酸カリウム等が挙げられる。
(b)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。(b)成分としては、充電受け入れ性及びサイクル特性が更に向上する観点から、4−アミノベンゼンスルホン酸が好ましい。
ビスフェノール系樹脂を得るための反応における(b)成分の配合量は、放電特性が更に向上する観点から、(a)成分1モルに対して、0.5モル以上が好ましく、0.6モル以上がより好ましく、0.8モル以上が更に好ましく、0.9モル以上が特に好ましい。(b)成分の配合量は、放電特性及びサイクル特性が更に向上しやすい観点から、(a)成分1モルに対して、1.3モル以下が好ましく、1.2モル以下がより好ましく、1.1モル以下が更に好ましい。
[(c)成分:ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体]
ホルムアルデヒドとしては、ホルマリン(例えばホルムアルデヒド37質量%の水溶液)中のホルムアルデヒドを用いてもよい。ホルムアルデヒド誘導体としては、パラホルムアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン、トリオキサン等が挙げられる。(c)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ホルムアルデヒドとホルムアルデヒド誘導体とを併用してもよい。
(c)成分としては、優れたサイクル特性が得られやすい観点から、ホルムアルデヒド誘導体が好ましく、パラホルムアルデヒドがより好ましい。パラホルムアルデヒドは、例えば下記のような構造を有する。
HO(CHO)H …(II)[式(II)中、nは2〜100の整数を示す。]
ビスフェノール系樹脂を得るための反応における(c)成分のホルムアルデヒド換算の配合量は、(b)成分の反応性が向上する観点から、(a)成分1モルに対して、2モル以上が好ましく、2.2モル以上がより好ましく、2.4モル以上が更に好ましい。(c)成分のホルムアルデヒド換算の配合量は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の反応により得られると共にベンゾオキサジン環を有する構造単位を低減しやすい観点から、(a)成分1モルに対して、3.5モル以下が好ましく、3.2モル以下がより好ましく、3モル以下が更に好ましく、2.8モル未満が特に好ましく、2.5モル以下が極めて好ましい。
[その他の成分]
本実施形態に係る樹脂組成物は、溶媒を含有していてもよい。溶媒としては、水(例えばイオン交換水)、有機溶媒等が挙げられる。樹脂組成物に含まれる溶媒は、ビスフェノール系樹脂を得るために用いた反応溶媒であってもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、ビスフェノール系樹脂以外の天然樹脂又は合成樹脂を更に含有していてもよい。
本実施形態に係るビスフェノール系樹脂は、例えば、下記一般式(V)で表される構造単位、及び、下記一般式(VI)で表される構造単位の少なくとも一方を有することが好ましい。
Figure 2017160304
(式(V)中、Xは、2価の基を示し、R1a、R2a及びR3aは、それぞれ独立にアルカリ金属又は水素原子を示し、m1は、1〜300の整数を示し、n1は、1〜3の整数を示す。また、ベンゼン環を構成する炭素原子に直接結合している水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい。)
Figure 2017160304
(式(VI)中、Xは、2価の基を示し、R1b、R2b及びR3bは、それぞれ独立にアルカリ金属又は水素原子を示し、m2は、1〜300の整数を示し、n2は、1〜3の整数を示す。また、ベンゼン環を構成する炭素原子に直接結合している水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい。)
式(V)で表される構造単位、及び、式(VI)で表される構造単位の比率は、特に制限はなく、合成条件等によって変化し得る。ビスフェノール系樹脂としては、式(V)で表される構造単位、及び、式(VI)で表される構造単位のいずれか一方のみを有する樹脂を用いてもよい。
及びXとしては、アルキリデン基(例えばメチリデン基、エチリデン基、イソプロピリデン基及びsec−ブチリデン基)、シクロアルキリデン基(例えばシクロヘキシリデン基)、フェニルアルキリデン基(例えばジフェニルメチリデン基及びフェニルエチリデン基)等の有機基;スルホニル基などが挙げられ、充電受け入れ性に更に優れる観点からはイソプロピリデン基(−C(CH−)基が好ましく、放電特性に更に優れる観点からはスルホニル基(−SO−)が好ましい。X及びXは、フッ素原子等のハロゲン原子により置換されていてもよい。X又はXがシクロアルキリデン基である場合、炭化水素環はアルキル基等により置換されていてもよい。
1a、R2a、R3a、R1b、R2b及びR3bのアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。m1及びm2は、サイクル特性及び溶媒への溶解性に更に優れる観点から、50〜150が好ましい。n1及びn2は、充電受入性、放電特性及びサイクル特性がバランス良く向上する観点から、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
本実施形態に係るビスフェノール系樹脂には、合成条件により、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の反応により得られると共にメチロール基を有する構造単位が含まれる場合がある。このようなメチロール基を有する構造単位としては、例えば、下記一般式(I)〜(IV)で表される構造単位が挙げられる。このような構造単位においてメチロール基を有する構造単位は、例えば、(a)成分と、(b)成分と、(c)成分とを反応させて得られる。
Figure 2017160304
〜Xは、前記X及びXと同様の2価の基が挙げられる。R11〜R43は、それぞれ独立にアルカリ金属又は水素原子を示し、n11及びn21は、1〜3の整数を示し、n31は、1又は2を示し、n41+n42は1〜3を示す。また、ベンゼン環を構成する炭素原子に直接結合している水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい。
本実施形態に係るビスフェノール系樹脂は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の反応により得られる樹脂のH−NMRスペクトルにおいて、メチロール基やベンゾオキサジン環に由来する4.3〜4.8ppmのピーク積分値が、優れた保存安定性を得る観点から、ビスフェノールAのメチル基由来の0.1〜2.3ppmのピーク積分値を基準にして、0.25以下である。前記メチロール基やベンゾオキサジン環に由来するピーク積分値は、保存安定性及びサイクル特性に更に優れる観点から、前記ビスフェノールAのメチル基由来のピーク積分値を基準にして、0.18以下が好ましく、0.16以下がより好ましい。前記メチロール基やベンゾオキサジン環に由来するピーク積分値は、前記ビスフェノールAのメチル基由来のピーク積分値を基準にして0当量であってもよく、少ないほど好ましい。前記メチロール基やベンゾオキサジン環の含有量は、(c)成分の配合量、ビスフェノール系樹脂の合成反応における反応温度、反応時間等により調整することができる。
式(I)〜(IV)で表される構造単位が生成する理由は、(b)成分のベンゼン環に(c)成分が付加反応をするためと推測される。式(I)〜(IV)で表される構造単位は、メチロール基が縮合重合することで分子量が増加するため、保存安定性が低下する要因となる。
また、ベンゾオキサゾン環は、オキサジン環がベンゼン環に隣接した構造を有し、前記(a)成分、(b)成分及び(c)成分の反応により形成される場合がある。下記の式(1)に示すように、例えば、ベンゾオキサゾン環(式(1)の左記)は加熱により開環重合を起こしポリベンゾオキサゾン(式(1)の右記)となり、分子量が増加するため保存安定性が低下する要因となる。
Figure 2017160304
したがって、本実施形態に係るビスフェノール系樹脂において、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の反応によって得られる樹脂に含まれるベンゾオキサジン環を有する構造単位の含有量(割合)は、ビスフェノール系樹脂の全質量を基準として15質量%以下であることが好ましい。
本実施形態に係るビスフェノール系樹脂の重量平均分子量は、鉛蓄電池において電極からビスフェノール系樹脂が電解液に溶出することを抑制することによりサイクル特性が向上しやすい観点から、30000以上が好ましく、35000以上がより好ましく、40000以上が更に好ましく、50000以上が特に好ましい。ビスフェノール系樹脂の重量平均分子量は、電極活物質に対する吸着性が低下することを抑制することによりサイクル特性が向上しやすい観点から、70000以下が好ましく、65000以下がより好ましく、62000以下が更に好ましい。
ビスフェノール系樹脂の重量平均分子量は、例えば、下記条件のゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)により測定することができる。(GPC条件)
装置:高速液体クロマトグラフ LC−2200 Plus(日本分光株式会社製)
ポンプ:PU−2080
示差屈折率計:RI−2031
検出器:紫外可視吸光光度計UV−2075(λ:254nm)
カラムオーブン:CO−2065
カラム:TSKgel SuperAW(4000)、TSKgel SuperAW(3000)、TSKgel SuperAW(2500)(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
溶離液:LiBr(10mM)及びトリエチルアミン(200mM)を含有するメタノール溶液
流速:0.6mL/分
分子量標準試料:ポリエチレングリコール(分子量:1.10×10、5.80×10、2.55×10、1.46×10、1.01×10、4.49×10、2.70×10、2.10×10;東ソー株式会社製)、ジエチレングリコール(分子量:1.06×10;キシダ化学株式会社製)、ジブチルヒドロキシトルエン(分子量:2.20×10;キシダ化学株式会社製)
本実施形態に係る樹脂組成物は、本実施形態に係るビスフェノール系樹脂以外に、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の反応により得られる樹脂のメチロール基を有する化合物(単量体を含む、分子量が例えば500以下の化合物)を含有している場合がある。このような化合物としては、例えば、下記一般式(VII)又は(VIII)で表される構造単位を有する化合物が挙げられる。
Figure 2017160304
(式(VII)中、Xは、2価の基を示し、R51、R52及びR53は、それぞれ独立にアルカリ金属又は水素原子を示し、n51は、1〜3の整数を示し、n52+n53は、1〜3の整数を示す。)
[式(VIII)中、Xは、2価の基を示し、R62及びR63は、それぞれ独立にアルカリ金属又は水素原子を示し、n62+n63は、1〜3の整数を示す。]
としては、例えば、前記X及びXとして例示した2価の基が挙げられる。R51及びR52のアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。式(VII)又は式(VIII)で表される構造単位を有する化合物が生成する理由は、式(I)から式(IV)で表される構造単位が生成する理由と同様であると推測される。式(VII)及び(VIII)で表される構造単位を有する化合物は、メチロール基が縮合重合することで分子量が増加するため、保存安定性が低下する要因となる。
また、上記で説明したように、前記(a)成分、(b)成分及び(c)成分の反応によりベンゾオキサゾン環が形成される場合も、ベンゾオキサゾン環が開環重合することで分子量が増加するため、保存安定性が低下する要因となる。
本実施形態に係る樹脂組成物において、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の反応により得られる樹脂のH−NMRスペクトルにおいて、メチロール基やベンゾオキサジン環に由来する4.3〜4.8ppmのピーク積分値は、優れた保存安定性を得る観点から、ビスフェノールAのメチル基由来の0.1〜2.3ppmのピーク積分値を基準にして、0.25以下である。前記メチロール基やベンゾオキサジン環に由来するピーク積分値は、保存安定性及びサイクル特性に更に優れる観点から、前記ビスフェノールAのメチル基由来のピーク積分値を基準にして、0.18以下が好ましく、0.16以下がより好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物において、式(I)から式(VI)で表される構造単位の含有量(合計量)は、更に優れたサイクル特性及び保存安定性を得る観点から、樹脂組成物における不揮発分の全質量を基準として0.55当量以下が好ましい。前記含有量は、樹脂組成物の保存安定性、及び、サイクル特性に更に優れる観点から、樹脂組成物における不揮発分の全質量を基準として、0.55当量以下が好ましく、0.50当量以下がより好ましく、0.45当量以下が更に好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物におけるビスフェノール系樹脂の含有量は、充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性がバランス良く向上する観点から、樹脂組成物における不揮発分の全質量を基準として、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物における不揮発分含量(Nonvolatile Matter content)は、ビスフェノール系樹脂の溶解性及び電池特性に更に優れる観点から、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましい。同様の観点から、本実施形態に係る樹脂組成物における不揮発分含量は、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。
不揮発分含量の測定は、例えば、下記の手順により測定することができる。まず、所定量(例えば2g)の樹脂組成物を容器(例えばステンレスシャーレ等の金属シャーレ)に入れた後、熱風乾燥機を用いて樹脂組成物を150℃、60分間乾燥させる。次に、容器の温度が室温(例えば25℃)に戻った後、残分質量を測定する。そして、下記の式(2)から不揮発分含量を算出する。
不揮発分含量(質量%)=[(乾燥後の残分質量)/(乾燥前の樹脂組成物の質量)]×100 ・・・(2)
本実施形態に係るビスフェノール系樹脂の製造方法は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を反応させてビスフェノール系樹脂を得る樹脂製造工程を備えている。本実施形態に係る樹脂組成物は、樹脂製造工程において得られる組成物であってもよく、樹脂製造工程後にビスフェノール系樹脂と他の成分とを混合して得られる組成物であってもよい。
ビスフェノール系樹脂は、例えば、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を反応溶媒中で反応させることにより得ることができる。反応溶媒は、水(例えばイオン交換水)であることが好ましい。反応を促進させるために、有機溶媒、触媒、添加剤等を用いてもよい。
樹脂製造工程は、サイクル特性が更に向上する観点から、(b)成分の配合量が(a)成分1モルに対して0.5〜1.3モルであり、且つ、(c)成分の配合量が(a)成分1モルに対してホルムアルデヒド換算で2〜3.5モルである態様が好ましく、(b)成分の配合量が(a)成分1モルに対して0.5〜1.3モルであり、且つ、(c)成分の配合量が(a)成分1モルに対してホルムアルデヒド換算で2〜2.5モルである態様がより好ましい。(b)成分及び(c)成分の好ましい配合量は、(b)成分及び(c)成分の配合量のそれぞれについて上述した範囲である。
本実施形態に係るビスフェノール系樹脂は、充分量のビスフェノール系樹脂が得られやすい観点から、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を塩基性条件(アルカリ性条件)で反応させることにより得ることが好ましい。塩基性条件に調整するためには、塩基性化合物を用いてもよい。塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。塩基性化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。塩基性化合物の中でも、反応性に優れる観点から、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。
反応時の反応溶液が中性(pH=7)である場合、ビスフェノール系樹脂の生成反応が進行しにくい場合があり、反応溶液が酸性(pH<7)である場合、副反応(例えば、ベンゾオキサジン環を有する構造単位の生成反応)が進行する場合がある。そのため、反応時の反応溶液のpHは、ビスフェノール系樹脂の生成反応を進行させつつ副反応が進行することを抑制しやすい観点から、アルカリ性である(7を超える)ことが好ましく、7.1以上がより好ましく、7.2以上が更に好ましい。反応溶液のpHは、ビスフェノール系樹脂の(b)成分に由来する基の加水分解が進行することを抑制する観点から、12以下が好ましく、10以下がより好ましく、9以下が更に好ましい。反応溶液のpHは、例えば株式会社堀場製作所製のツインpHメーター AS−212で測定することができる。pHは25℃におけるpHと定義する。
前記のようなpHに調整しやすいことから、強塩基性化合物の配合量は、(b)成分1モルに対して、1.01モル以上が好ましく、1.02モル以上がより好ましく、1.03モル以上が更に好ましい。同様の観点から、強塩基性化合物の配合量は、(b)成分1モルに対して、1.1モル以下が好ましく、1.08モル以下がより好ましく、1.07モル以下が更に好ましい。強塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
本実施形態では、ビスフェノール系樹脂の製造方法により得られる反応物(反応溶液)をそのまま、後述する電極の製造に用いてもよいし、反応物を乾燥して得られるビスフェノール系樹脂を溶媒(水等)に溶解させて、後述する電極の製造に用いてもよい。
樹脂組成物(例えば25℃において液状の樹脂溶液)のpHは、ビスフェノール系樹脂の溶媒(水等)への溶解性に優れる観点から、アルカリ性である(7を超える)ことが好ましく、7.1以上がより好ましい。樹脂組成物のpHは、樹脂組成物の保存安定性が更に向上する観点から、10以下が好ましく、9以下がより好ましく、8.5以下が更に好ましい。特に、樹脂製造工程において得られる組成物を樹脂組成物として用いる場合、樹脂組成物のpHは、前記範囲であることが好ましい。樹脂組成物のpHは、例えば株式会社堀場製作所製のツインpHメーター AS−212で測定することができる。pHは25℃におけるpHと定義する。
ビスフェノール系樹脂の合成反応は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分が反応してビスフェノール系樹脂が得られればよく、例えば、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を同時に反応させてもよく、(a)成分、(b)成分及び(c)成分のうちの2成分を反応させた後に残りの1成分を反応させてもよい。
ビスフェノール系樹脂の合成反応は、次のように二段階で行うことが好ましい。第一段階の反応では、例えば、(b)成分、溶媒(水等)及び塩基性化合物を仕込んだ後に攪拌し、(b)成分におけるスルホ基の水素原子をアルカリ金属等で置換して(b)成分のアルカリ金属塩等を得る。これにより、後述の縮合反応において副反応を抑制しやすい。反応系の温度は、(b)成分の溶媒(水等)への溶解性に優れる観点から、0℃以上が好ましく、25℃以上がより好ましい。反応系の温度は、副反応を抑制しやすい観点から、80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、65℃以下が更に好ましい。反応時間は、例えば30分である。
第二段階の反応では、例えば、第一段階で得られた反応物に(a)成分及び(c)成分を加えて縮合反応させることによりビスフェノール系樹脂を得る。反応系の温度は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の反応性に優れる観点、及び、ベンゾオキサジン環に由来の構造単位が更に低減される観点から、75℃以上が好ましく、85℃以上がより好ましく、92℃以上が更に好ましい。反応系の温度は、副反応を抑制しやすい観点から、100℃以下が好ましく、98℃以下がより好ましく、96℃以下が更に好ましい。反応時間は、例えば5〜20時間である。
<電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法>
本実施形態に係る電極は、例えば、電極活物質の原料と、本実施形態に係るビスフェノール系樹脂、又は、当該ビスフェノール系樹脂を含有する樹脂組成物と、を用いて製造されたものである。本実施形態に係る電極の製造方法は、本実施形態に係るビスフェノール系樹脂の製造方法により得られたビスフェノール系樹脂を用いて電極を製造する工程を備える。また、本実施形態に係る電極は、ビスフェノール系樹脂を含有する樹脂組成物を用いて製造されてもよい。電極が未化成である場合、電極は、例えば、電極活物質の原料等を含む電極層と、当該電極層を支持する集電体とを有している。化成後の電極は、例えば、電極活物質等を含む電極層と、当該電極層を支持する集電体とを有している。電極は、例えば、鉛蓄電池用の負極(負極板等)である。
本実施形態に係る鉛蓄電池は、本実施形態に係る電極を備えている。本実施形態に係る鉛蓄電池としては、液式鉛蓄電池、密閉式鉛蓄電池等が挙げられ、液式鉛蓄電池が好ましい。本実施形態に係る鉛蓄電池の製造方法は、例えば、本実施形態に係る電極の製造方法により電極を得る電極製造工程と、電極を含む構成部材を組み立てて鉛蓄電池を得る組み立て工程とを備えている。
電極製造工程では、例えば、電極活物質ペーストを集電体(例えば集電体格子)に充填した後に、熟成及び乾燥を行うことにより未化成の電極を得る。電極活物質ペーストは、例えば、電極活物質の原料及びビスフェノール系樹脂を含有しており、その他の所定の添加剤等を更に含有していてもよい。電極が負極である場合、負極活物質の原料は、鉛粉(例えばPbOの紛体と鱗片状金属鉛の混合物)であることが好ましい。添加剤としては、硫酸バリウム、炭素材料、補強用短繊維(アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、炭素繊維等)などが挙げられる。炭素材料としては、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。
本実施形態に係る電極が負極である場合、負極活物質ペーストは、例えば、以下の方法により得ることができる。まず、鉛粉に、ビスフェノール系樹脂、又は、当該ビスフェノール系樹脂を含有する樹脂組成物と、必要に応じて添加される添加剤とを混合することにより混合物を得る。次に、この混合物に、硫酸(希硫酸等)及び溶媒(水等)を加えて混練することにより負極活物質ペーストが得られる。
負極活物質ペーストにおいて、硫酸バリウムを用いる場合、硫酸バリウムの配合量は、負極活物質の原料の全質量を基準として0.01〜1質量%が好ましい。また、炭素材料を用いる場合、炭素材料の配合量は、負極活物質の原料の全質量を基準として0.2〜1.4質量%が好ましい。本実施形態に係るビスフェノール系樹脂又は当該ビスフェノール系樹脂を含有する樹脂組成物の配合量は、負極活物質の原料の全質量を基準として、樹脂固形分換算で、0.01〜2質量%が好ましく、0.05〜1質量%がより好ましく、0.1〜0.5質量%が更に好ましい。
集電体の組成としては、例えば、鉛−カルシウム−錫系合金、鉛−アンチモン-ヒ素系合金等の鉛合金が挙げられる。用途に応じて適宜セレン、銀、ビスマス等を集電体に添加してもよい。これらの鉛合金を重力鋳造法、エキスパンド法、打ち抜き法等で格子状に形成することにより集電体を得ることができる。
熟成条件としては、温度35〜85℃、湿度50〜98RH%の雰囲気で15〜60時間が好ましい。乾燥条件は、温度45〜80℃で15〜30時間が好ましい。
鉛蓄電池用の正極(正極板等)は、例えば、下記の方法により得ることができる。まず、電極活物質の原料である鉛粉に対して、補強用短繊維を加えた後、水及び希硫酸を加える。これを混練して正極活物質ペーストを作製する。正極活物質ペーストを作製するに際しては、化成時間を短縮できる観点から、鉛丹(Pb)を加えてもよい。この正極活物質ペーストを集電体(集電体格子等)に充填した後に熟成及び乾燥を行うことにより未化成の正極が得られる。正極活物質ペーストにおいて、補強用短繊維の配合量は、鉛粉の全質量を基準として0.005〜0.3質量%が好ましい。集電体の種類、熟成条件、乾燥条件は、負極の場合とほぼ同様である。
組み立て工程では、例えば、前記のように作製した未化成の負極及び正極を、セパレータを介して交互に積層し、同極性の極板同士をストラップで連結(溶接等)させて極板群を得る。この極板群を電槽内に配置して未化成電池を作製する。次に、未化成電池に希硫酸を注液した後、直流電流を通電し化成を行うことにより鉛蓄電池が得られる。また、希硫酸を一度抜いた後、電解液を注液してもよい。硫酸の比重(20℃換算)は1.25〜1.35が好ましい。
負極活物質は、負極活物質の原料を含む負極活物質ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成活物質を得た後に化成することで得ることができる。化成後の負極活物質は、多孔質の海綿状鉛(Spongy Lead)を含むことが好ましい。また、正極活物質は、正極活物質の原料を含む正極活物質ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成活物質を得た後に化成することで得ることができる。化成後の正極活物質は、例えば二酸化鉛を含む。
セパレータの材質としては、ポリエチレン、ガラス繊維等が挙げられる。なお、化成条件、及び、硫酸の比重は電極活物質の性状に応じて調整することができる。また、化成処理は、組み立て工程において実施されることに限られず、電極製造工程において実施されてもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明は下記の実施例のみに限定されるものではない。
<樹脂溶液の調製>
[実施例1]
攪拌装置、還流装置及び温度調節装置を備えた反応容器に下記の各成分を仕込み第1の混合液を得た。
水酸化ナトリウム:1.05モル〔42.0質量部〕
イオン交換水:44.0モル〔792.6質量部〕
4−アミノベンゼンスルホン酸:1.00モル〔173.2質量部〕
第1の混合液を25℃にて30分混和・攪拌した。続いて、第1の混合液に下記の各成分を仕込み第2の混合液を得た。
ビスフェノールA:0.96モル〔219.2質量部〕
ビスフェノールS:0.04モル〔10.4質量部〕
パラホルムアルデヒド(三井化学株式会社製):2.50モル[75.8質量部〕(ホルムアルデヒド換算)
第2の混合液(pH=8.6)を95℃にて10時間反応させることにより樹脂溶液を得た。実施例1で得られた樹脂溶液中に含まれるビスフェノール系樹脂を低温乾燥(60℃、6時間)で単離し、H−NMRスペクトルを測定した。ビスフェノール系樹脂のH−NMRスペクトルの測定結果を図1に示す。
[実施例2〜6、比較例1〜3]
樹脂溶液の構成成分を下記の表1に示す成分へ変更したこと以外は実施例1と同様の方法により、実施例2〜6及び比較例1〜3のビスフェノール系樹脂及び樹脂溶液を得た。なお、表1中、37質量%ホルマリンの配合量は、ホルムアルデヒド換算の配合量である。
<ビスフェノール系樹脂及び樹脂溶液の評価>
[構造単位の含有量の測定]
単離されたビスフェノール系樹脂について、前記式(I)〜(IV)で表される構造単位の含有量を、H−NMRスペクトルにおけるビスフェノールAのメチル基由来の0.1〜2.3ppmのピーク積分値に対する、メチロール基やベンゾオキサジン環に由来する4.3〜4.8ppmのピーク積分値の比から求めた。NMR条件は下記のとおりである。「積分値比」と表示して結果を表1に示す。(NMR条件)
装置:AV400M(ブルカーバイオスピン株式会社製)
測定温度:室温(25℃)
測定溶媒:DMSO−d6(和光純薬工業株式会社)
[不揮発分含量の測定]
樹脂溶液の不揮発分含量を下記の手順により測定した。まず、50φ×15mmの容器(ステンレスシャーレ)に樹脂溶液2gを入れ、150℃で60分間熱風乾燥機を用いて乾燥させた。次に、容器の温度が室温(25℃)に戻った後、残分質量を測定することにより、前記(2)式に基づいて不揮発分含量を測定した。結果を表1に示す。
[pHの測定]
反応終了後に樹脂溶液を下記のpH測定装置のセンサー部に500μL注入して樹脂溶液のpHを測定した。結果を表1に示す。(pH測定の条件)
pH測定装置:株式会社堀場製作所製 ツインpHメーター AS−212
校正液:株式会社堀場製作所製 pH校正液(pH4.01、pH6.86)
測定温度:25℃
[重量平均分子量の測定]
単離されたビスフェノール系樹脂の重量平均分子量を下記条件のGPCにより測定した。結果を表1に示す。(GPC条件)
装置:高速液体クロマトグラフ LC−2200 Plus(日本分光株式会社製)
ポンプ:PU−2080
示差屈折率計:RI−2031
検出器:紫外可視吸光光度計UV−2075(λ:254nm)
カラムオーブン:CO−2065
カラム:TSKgel SuperAW(4000)、TSKgel SuperAW(3000)、TSKgel SuperAW(2500)(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
溶離液:LiBr(10mM)及びトリエチルアミン(200mM)を含有するメタノール溶液
流速:0.6mL/分
分子量標準試料:ポリエチレングリコール(分子量:1.10×10、5.80×10、2.55×10、1.46×10、1.01×10、4.49×10、2.70×10、2.10×10;東ソー株式会社製)、ジエチレングリコール(分子量:1.06×10;キシダ化学株式会社製)、ジブチルヒドロキシトルエン(分子量:2.20×10;キシダ化学株式会社製)
前記標準試料より算出した検量線を図2に示す。横軸は保持時間であり、縦軸は分子量の対数である。
<負極板の作製>
鉛粉の全質量を基準として、樹脂溶液を固形分換算で0.2質量%と、ファーネスブラック0.2質量%と、硫酸バリウム1.0質量%とを鉛粉に対して添加した後に乾式混合した。次に、希硫酸(比重1.26(20℃換算))及び水を加えながら混練して負極活物質ペーストを作製した。負極活物質ペーストを厚さ0.6mmのエキスパンド集電体(鉛−カルシウム−錫系合金)に充填して負極板を作製した。負極板を通常の方法に従い、温度50℃、湿度95%の雰囲気下に18時間放置して熟成した後、温度50℃の雰囲気下で乾燥して未化成負極板を得た。
<正極板の作製>
鉛粉の全質量を基準として0.01質量%の補強用短繊維(ポリエチレン繊維)を鉛粉に対して添加した後に乾式混合した。次に、希硫酸(比重1.26(20℃換算))及び水を加えて混練して正極活物質ペーストを作製した。鋳造格子体からなる正極集電体(鉛−カルシウム−錫合金)に正極活物質ペーストを充填して、温度50℃、湿度95%の雰囲気下に18時間放置して熟成した後、温度50℃の雰囲気下で乾燥して未化成正極板を得た。
<電池の組み立て>
袋状に加工したポリエチレン製のセパレータに未化成負極板を挿入した。次に、未化成正極板と、前記袋状セパレータに挿入された未化成負極板とが交互に積層されるように、6枚の未化成負極板及び5枚の未化成正極板を積層した。続いて、キャストオンストラップ(COS)方式で同極性の極板の耳部同士を溶接して極板群を作製した。前記極板群を電槽に挿入して2V単セル電池を組み立てた。この電池に希硫酸(比重1.28(20℃換算))を注液した後に、50℃の水槽中、通電電流10Aで16時間の条件で化成して鉛蓄電池を得た。
<電池特性の評価>
前記の2V単セル電池について、充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性を下記のとおり測定した。比較例1の充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性の測定結果をそれぞれ100とし、各特性を相対評価した。結果を表1に示す。
[充電受け入れ性]
充電受け入れ性として、電池の充電状態(State of charge)が90%になった状態、つまり、満充電状態から電池容量の10%を放電し、2.33Vで定電圧充電した際の5秒後の電流値を測定した。5秒後の電流値が大きいほど初期の充電受け入れ性が良い電池であると評価される。
[放電特性]
放電特性として、−15℃において5Cで定電流放電し、電池電圧が1.0Vに達するまでの放電持続時間を測定した。放電持続時間が長いほど放電特性に優れる電池であると評価される。なお、前記Cとは、“放電電流値(A)/電池容量(Ah)”を意味する。
[サイクル特性]
サイクル特性は、日本工業規格の軽負荷寿命試験(JIS D 5301)に準じた方法で評価した。サイクル数が大きいほど耐久性が高い電池であると評価される。
<保存安定性の評価>
保存安定性を下記の手順により測定した。φ30×65のガラス容器に樹脂溶液30mLを入れた後、恒温槽を用いて40℃で保管した。そして、1ヶ月毎に、この樹脂溶液を用いて前記2V単セル電池を作製し前記電池特性を測定した。電池特性として、充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性を前記と同様に手法により評価した。保管前に比べて、充電受け入れ性が2%減少、放電特性が2%減少、又は、サイクル特性が10%減少した時点を保存可能限界であるとして評価した。結果を下記の表1に示す。
Figure 2017160304
実施例では、比較例と比べて保存安定性が優れていることが確認できる。また、ビスフェノールA及びビスフェノールSを併用して得られたビスフェノール系樹脂を用いた実施例1及び2では、サイクル特性が顕著に向上することが確認できる。充電受け入れ性及び放電特性に関しても、実施例1及び2は、ビスフェールA及びビスフェノールSの配合量が同じである比較例1と対比すると同じ性能を有することが分かる。このように、実施例では、優れた充電受け入れ性、放電特性、サイクル特性及び保存安定性が両立されていることが確認できる。
本発明によれば、保存安定性に優れるビスフェノール系樹脂及びその製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、前記ビスフェノール系樹脂を含有する樹脂組成物及びその製造方法を提供することができる。さらに、本発明によれば、前記ビスフェノール系樹脂を用いて製造される電極及び鉛蓄電池、並びに、これらの製造方法を提供することができる。

Claims (12)

  1. (a)ビスフェノール系化合物と、(b)アミノベンゼンスルホン酸及びアミノベンゼンスルホン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(c)ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を反応させて得られ、 前記(a)成分、(b)成分及び(c)成分の反応により得られる樹脂のH−NMRスペクトルにおいて、ビスフェノールAのメチル基に由来するピーク積分値に対するメチロール基やベンゾオキサジン環に由来するピーク積分値の比が0.25以下である、ビスフェノール系樹脂。
  2. 下記一般式(I)〜(IV)で表される構造単位を有する請求項1に記載のビスフェノール系樹脂。
    Figure 2017160304
    (式(I)〜(IV)中、X〜Xは2価の基が挙げられる。R11〜R43それぞれ独立にアルカリ金属又は水素原子を示し、n11及びn21は、1〜3の整数を示し、n31は、1又は2を示し、n41+n42は1〜3を示す。また、ベンゼン環を構成する炭素原子に直接結合している水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい。)
  3. 重量平均分子量が30000〜70000である、請求項1又は2に記載のビスフェノール系樹脂。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のビスフェノール系樹脂を含有する樹脂組成物。
  5. 不揮発分含量が10〜50質量%である、請求項4に記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のビスフェノール系樹脂、又は、請求項4又は5に記載の樹脂組成物を用いて製造された電極。
  7. 請求項6に記載の電極を備える鉛蓄電池。
  8. (a)ビスフェノール系化合物と、(b)アミノベンゼンスルホン酸及びアミノベンゼンスルホン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、(c)ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を反応させてビスフェノール系樹脂を得る工程を備え、 前記(a)成分、前記(b)成分及び前記(c)成分の反応により得られる樹脂のH−NMRスペクトルにおいて、ビスフェノールAのメチル基に由来するピーク積分値に対するメチロール基やベンゾオキサジン環に由来するピーク積分値の比が0.25以下である、ビスフェノール系樹脂の製造方法。
  9. 下記一般式(I)〜(IV)で表される構造単位を有する請求項8に記載のビスフェノール系樹脂の製造方法。
    Figure 2017160304
    (式(I)〜(IV)中、X〜Xは2価の基が挙げられる。R11〜R43それぞれ独立にアルカリ金属又は水素原子を示し、n11及びn21は、1〜3の整数を示し、n31は、1又は2を示し、n41+n42は1〜3を示す。また、ベンゼン環を構成する炭素原子に直接結合している水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい。)
  10. 前記(b)成分の配合量が前記(a)成分1モルに対して0.5〜1.3モルであり、前記(c)成分の配合量が前記(a)成分1モルに対してホルムアルデヒド換算で2〜3.5モルである、請求項8又は9に記載のビスフェノール系樹脂の製造方法。
  11. 請求項8〜10のいずれか一項に記載のビスフェノール系樹脂の製造方法により得られたビスフェノール系樹脂を用いて電極を製造する工程を備える、電極の製造方法。
  12. 請求項11に記載の電極の製造方法により電極を得る工程を備える、鉛蓄電池の製造方法。
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