JP6582637B2 - 鉛蓄電池 - Google Patents
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Description
本実施形態に係る鉛蓄電池は、例えば、電極(電極板等)、電解液(硫酸等)及びセパレータを備えている。電極は、正極(正極板等)及び負極(負極板等)を有している。本実施形態に係る鉛蓄電池としては、液式鉛蓄電池、制御弁式鉛蓄電池、密閉式鉛蓄電池等が挙げられ、液式鉛蓄電池が好ましい。正極は、集電体(正極集電体)と、当該集電体に保持された正極材と、を有している。負極は、集電体(負極集電体)と、当該集電体に保持された負極材と、を有している。本実施形態において正極材及び負極材は、例えば、化成後(例えば満充電状態)の電極材である。電極材が未化成である場合、電極材(未化成の正極材及び未化成の負極材)は、電極活物質(正極活物質及び負極活物質)の原料等を含有している。集電体は、電極材からの電流の導電路を構成する。鉛蓄電池の基本構成としては、従来の鉛蓄電池と同様の構成を用いることができる。
[正極活物質]
正極材は、正極活物質を含有している。正極活物質は、正極活物質の原料を含む正極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成の正極活物質を得た後に化成することで得ることができる。化成後の正極活物質は、β−二酸化鉛(β−PbO2)を含むことが好ましく、α−二酸化鉛(α−PbO2)を更に含んでいてもよい。正極活物質の原料としては、特に制限はなく、例えば鉛粉が挙げられる。鉛粉としては、例えば、ボールミル式鉛粉製造機又はバートンポット式鉛粉製造機によって製造される鉛粉(ボールミル式鉛粉製造機においては、主成分PbOの粉体と鱗片状金属鉛の混合物)が挙げられる。正極活物質の原料として鉛丹(Pb3O4)を用いてもよい。未化成の正極材は、主成分として、三塩基性硫酸鉛を含む未化成正極活物質を含有することが好ましい。
正極材は、添加剤を更に含有していてもよい。添加剤としては、炭素材料(炭素質導電材)、補強用短繊維等が挙げられる。炭素材料としては、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック(例えば、ケッチェンブラック(登録商標)等のオイルファーネスブラック)、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックなどが挙げられる。補強用短繊維としては、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、炭素繊維等が挙げられる。
正極材の比表面積は、充電受け入れ性及びサイクル特性に更に優れる観点から、4m2/g以上が好ましく、5m2/g以上がより好ましい。正極材の比表面積は、充電受け入れ性及びサイクル特性に更に優れる観点から、11m2/g以下が好ましく、10m2/g以下がより好ましく、8m2/g以下が更に好ましい。正極材の前記比表面積は、化成後(満充電状態)の正極材の比表面積である。正極材の比表面積は、例えば、正極材ペーストを作製する際の硫酸及び水の添加量を調整する方法、未化成の段階で正極活物質を微細化させる方法、化成条件を変化させる方法等により調整することができる。
[(A)成分:負極活物質]
負極材は、(A)成分として、負極活物質を含有する。負極活物質は、化成後の負極活物質であってよく、未化成の負極活物質であってもよい。化成後の負極活物質は、負極活物質の原料を含む負極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成の負極活物質を得た後に化成することで得ることができる。化成後の負極活物質としては、海綿状鉛(Spongylead)等が挙げられる。前記海綿状鉛は、電解液中の硫酸と反応して、次第に硫酸鉛(PbSO4)に変わる傾向がある。負極活物質の原料としては、鉛粉等が挙げられる。鉛粉としては、例えば、ボールミル式鉛粉製造機又はバートンポット式鉛粉製造機によって製造される鉛粉(ボールミル式鉛粉製造機においては、主成分PbOの粉体と鱗片状金属鉛の混合物)が挙げられる。未化成の負極材は、例えば、塩基性硫酸鉛及び金属鉛、並びに、低級酸化物から構成される。
負極材は、(B)成分として、比表面積が1000m2/g以上のオイルファーネスブラックを含有する。オイルファーネスブラックとしては、ケッチェンブラックEC600JD(商品名、ライオン株式会社製)、カーボンECP600JD(商品名、ライオン株式会社製)、PBX51(商品名、キャボット社製)、Blackpeals2000(商品名、キャボット社製、「Blackpeals」は登録商標)等が挙げられる。このオイルファーネスブラックは、疑似グラファイト構造と呼ばれる結晶子から構成されており、単位質量あたりの一次粒子数が20×1015個/gよりも多く、比表面積が大きい特徴を有する。
負極材は、充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性を更にバランス良く向上させることができる観点から、(C)スルホン基(スルホン酸基、スルホ基)及びスルホン酸塩基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有する樹脂(以下、場合により「(C)成分」ともいう)を更に含有することが好ましい。
ビスフェノール系化合物は、2個のヒドロキシフェニル基を有する化合物である。(c1)成分としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」という)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(以下、「ビスフェノールS」という)等が挙げられる。(c1)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。(c1)成分としては、充電受け入れ性に更に優れる観点からはビスフェノールAが好ましく、放電特性に更に優れる観点からはビスフェノールSが好ましい。
アミノアルキルスルホン酸としては、アミノメタンスルホン酸、2−アミノエタンスルホン酸、3−アミノプロパンスルホン酸、2−メチルアミノエタンスルホン酸等が挙げられる。
ホルムアルデヒドとしては、例えば、ホルマリン(例えばホルムアルデヒド37質量%の水溶液)中のホルムアルデヒドを用いてもよい。ホルムアルデヒド誘導体としては、パラホルムアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン、トリオキサン等が挙げられる。(c3)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ホルムアルデヒドとホルムアルデヒド誘導体とを併用してもよい。
HO(CH2O)n1H …(I)
[式(I)中、n1は2〜100の整数を示す。]
[式(II)中、X2は、2価の基を示し、A2は、炭素数1〜4のアルキレン基、又は、アリーレン基を示し、R21、R23及びR24は、それぞれ独立にアルカリ金属又は水素原子を示し、R22は、メチロール基(−CH2OH)を示し、n21は、1〜150の整数を示し、n22は、1〜3の整数を示し、n23は、0又は1を示す。また、ベンゼン環を構成する炭素原子に直接結合している水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい。]
[式(III)中、X3は、2価の基を示し、A3は、炭素数1〜4のアルキレン基、又は、アリーレン基を示し、R31、R33及びR34は、それぞれ独立にアルカリ金属又は水素原子を示し、R32は、メチロール基(−CH2OH)を示し、n31は、1〜150の整数を示し、n32は、1〜3の整数を示し、n33は、0又は1を示す。また、ベンゼン環を構成する炭素原子に直接結合している水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい。]
{GPC条件}
装置:高速液体クロマトグラフ LC−2200 Plus(日本分光株式会社製)
ポンプ:PU−2080
示差屈折率計:RI−2031
検出器:紫外可視吸光光度計UV−2075(λ:254nm)
カラムオーブン:CO−2065
カラム:TSKgel SuperAW(4000)、TSKgel SuperAW(3000)、TSKgel SuperAW(2500)(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
溶離液:LiBr(10mM)及びトリエチルアミン(200mM)を含有するメタノール溶液
流速:0.6mL/分
分子量標準試料:ポリエチレングリコール(分子量:1.10×106、5.80×105、2.55×105、1.46×105、1.01×105、4.49×104、2.70×104、2.10×104;東ソー株式会社製)、ジエチレングリコール(分子量:1.06×102;キシダ化学株式会社製)、ジブチルヒドロキシトルエン(分子量:2.20×102;キシダ化学株式会社製)
負極材は、添加剤を更に含有していてもよい。添加剤としては、硫酸バリウム、炭素材料(炭素質導電材)、補強用短繊維等が挙げられる。炭素材料としては、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック(前記(B)成分に該当する成分を除く)、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等が挙げられる。補強用短繊維としては、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、炭素繊維等が挙げられる。
負極材の比表面積は、優れた充電受け入れ性と、他の優れた電池性能(放電特性、サイクル特性等)とを更に良好に両立する観点から、0.3m2/g以上が好ましく、0.35m2/g以上がより好ましく、0.4m2/g以上が更に好ましい。負極材の比表面積は、優れた充電受け入れ性と、他の優れた電池性能(放電特性、サイクル特性等)とを更に良好に両立する観点から、1.2m2/g以下が好ましく、1.0m2/g以下がより好ましく、0.9m2/g以下が更に好ましい。負極材の前記比表面積は、化成後(満充電状態)の負極材の比表面積である。負極材の比表面積は、例えば、負極材ペーストを作製する際の硫酸及び水の添加量を調整する方法、未化成の段階で負極活物質を微細化させる方法、化成条件を変化させる方法等により調整することができる。負極材の比表面積は、例えば、BET法で測定することができる。
集電体の製造法としては、鋳造方式、エキスパンド方式等が挙げられる。集電体の材料としては、例えば、鉛−カルシウム−錫系合金及び鉛−アンチモン系合金が挙げられる。これらにセレン、銀、ビスマス等を微量添加することができる。正極及び負極の集電体の製造法又は材料は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
本実施形態に係る鉛蓄電池の製造方法は、例えば、電極(正極及び負極)を得る電極製造工程と、前記電極を含む構成部材を組み立てて鉛蓄電池を得る組み立て工程とを備えている。
撹拌装置、還流装置及び温度調節装置を備えた反応容器に下記の各成分を仕込み第1の混合液を得た。
水酸化ナトリウム:1.05mol[42.0質量部]
イオン交換水:44.00mol[792.6質量部]
4−アミノベンゼンスルホン酸:1.00mol[173.2質量部]
ビスフェノールA:0.96mol[219.2質量部]
ビスフェノールS:0.04mol[10.4質量部]
パラホルムアルデヒド(三井化学株式会社製):3.00mol[90.9質量部](ホルムアルデヒド換算)
装置:高速液体クロマトグラフ LC−2200 Plus(日本分光株式会社製)
ポンプ:PU−2080
示差屈折率計:RI−2031
検出器:紫外可視吸光光度計UV−2075(λ:254nm)
カラムオーブン:CO−2065
カラム:TSKgel SuperAW(4000)、TSKgel SuperAW(3000)、TSKgel SuperAW(2500)(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
溶離液:LiBr(10mM)及びトリエチルアミン(200mM)を含有するメタノール溶液
流速:0.6mL/分
分子量標準試料:ポリエチレングリコール(分子量:1.10×106、5.80×105、2.55×105、1.46×105、1.01×105、4.49×104、2.70×104、2.10×104;東ソー株式会社製)、ジエチレングリコール(分子量:1.06×102;キシダ化学株式会社製)、ジブチルヒドロキシトルエン(分子量:2.20×102;キシダ化学株式会社製)
(実施例1)
[正極板の作製]
正極活物質の原料として、鉛粉と鉛丹(Pb3O4)を用いた(鉛粉:鉛丹=91:9(質量比))。正極活物質の原料と、正極活物質の原料の全質量を基準として0.07質量%の補強用短繊維(アクリル繊維)と、水とを加えて混練した。続いて、希硫酸(比重:1.280(20℃換算、以下同様))を少量ずつ添加しながら混練し、正極材ペーストを作製した。鉛合金からなる圧延シートにエキスパンド加工を施すことにより作製されたエキスパンド格子体にこの正極材ペーストを充填した。次いで、正極材ペーストが充填された格子体を温度50℃、湿度98%の雰囲気で24時間熟成した。その後、乾燥して未化成の正極板を作製した。
負極活物質の原料として鉛粉を用いた。上記で得られたビスフェノール系樹脂溶液(配合量:固形分換算で0.2質量%)と、補強用短繊維であるアクリル繊維(配合量:0.1質量%)と、硫酸バリウム(配合量:1.0質量%)と、オイルファーネスブラック(ライオン株式会社製、商品名:ケッチェンブラックEC600JD、平均一次粒径:34μm、BET比表面積:1400m2/g、DBP吸油量:495mL/g、配合量:0.2質量%)との混合物を前記鉛粉に添加した後に乾式混合した(前記配合量は、負極活物質の原料の全質量を基準とした配合量である)。次に、水を加えた後に混練した。このとき、ビスフェノール系樹脂、オイルファーネスブラック及び水を事前に固練りしてオイルファーネスブラックの凝集をほぐした。続いて、希硫酸(比重:1.280)を少量ずつ添加しながら混練して、負極材ペーストを作製した。鉛合金からなる圧延シートにエキスパンド加工を施すことにより作製されたエキスパンド格子体にこの負極材ペーストを充填した。次いで、負極材ペーストが充填された格子体を温度50℃、湿度98%の雰囲気で24時間熟成した。その後、乾燥して未化成の負極板を作製した。
袋状に加工したポリエチレン製のセパレータに未化成の負極板を挿入した。次に、未化成の正極板4枚と、前記袋状セパレータに挿入された未化成の負極板5枚とを交互に積層した。続いて、キャストオンストラップ(COS)方式で、同極性の極板の耳部同士を溶接して極板群を作製した。前記極板群を電槽に挿入して2V単セル電池(JIS5301規定のB19サイズの単セルに相当)を組み立てた。アルミニウムイオン濃度が0.04mol/Lになるように硫酸アルミニウム無水物を溶解させた希硫酸(比重:1.230)をこの電池に注液した。その後、60℃の水槽中、通電電流10Aで16時間の条件で化成して鉛蓄電池を得た。化成後の電解液には、活物質中に含まれる硫酸イオンが含まれることになる。そのため、電解液の比重は化成により増加する。電解液の比重は、化成後において最終的に1.280となるように調整した。
以下の方法により、化成後の負極材におけるオイルファーネスブラックの含有量を求めた。まず、化成後の鉛蓄電池を分解して化成後の負極板を取り出した。次いで、この負極板を水洗した後、窒素雰囲気下、60℃で24時間乾燥した。続いて、負極板の中央部から負極材を50g採取して、130℃で30分乾燥した。乾燥後の負極材50gを熱硝酸100mL中に投入して約2時間加熱した。次いで、175メッシュのNi金網を4枚重ねて作製した濾過網で濾過して補強用短繊維(アクリル繊維)を分離した。次いで、濾液に、過剰の酢酸アンモニウムを加えて数分間攪拌した後、ガラスフィルターで濾過した。残渣を水洗及び乾燥させ、質量を測定した(残渣物A)。次いで、ルツボ内に残渣物Aを入れて500℃で約1時間加熱し、加熱後の質量を測定した(残渣物B)。化成後の負極材におけるオイルファーネスブラックの含有量は、下記式から算出することができる。オイルファーネスブラックの含有量は、負極材の全質量基準で0.2質量%であった。
オイルファーネスブラックの含有量(単位:質量%)=[(残渣物Aの質量(単位:g)−残渣物Bの質量(単位:g))/乾燥後の負極材の質量(50g)]×100
化成後の正極材及び負極材の比表面積は、以下の方法で測定した。まず、化成後の鉛蓄電池を分解して化成後の正極板及び負極板を取り出した。次いで、これらを水洗した後、窒素雰囲気下、60℃で24時間乾燥した。続いて、正極板及び負極板の中央部から正極材及び負極材を2gずつ採取して、130℃で30分乾燥することにより、測定試料を得た。次に、得られた試料を液体窒素で冷却しながら液体窒素温度で窒素ガス吸着量を多点法で測定し、BET法に従って比表面積を算出した。測定条件を下記の通りであった。このようにして測定した結果、正極材の比表面積は4.6m2/gであった。また、負極材の比表面積は0.4m2/gであった。
装置:Macsorb1201(株式会社マウンテック製)
脱気時間:130℃で10分
冷却:液体窒素で5分間
吸着ガス流量:25mL/分
化成時の水槽温度を40℃としたこと以外は、実施例1と同様にして鉛蓄電池を得た。また、実施例1と同様の方法により、化成後の負極材におけるオイルファーネスブラックの含有量を求めた。化成後の負極材におけるオイルファーネスブラックの含有量は、負極材の全質量基準で0.2質量%であった。また、実施例1と同様の方法により、化成後の正極材及び負極材の比表面積を測定した。正極材の比表面積は、6.3m2/gであった。負極材の比表面積は、0.6m2/gであった。
化成時の水槽温度を20℃としたこと以外は、実施例1と同様にして鉛蓄電池を得た。また、実施例1と同様の方法により、化成後の負極材におけるオイルファーネスブラックの含有量を求めた。化成後の負極材におけるオイルファーネスブラックの含有量は、負極材の全質量基準で0.2質量%であった。また、実施例1と同様の方法により、化成後の正極材及び負極材の比表面積を測定した。正極材の比表面積は、12m2/gであった。負極材の比表面積は、0.9m2/gであった。
オイルファーネスブラックとして、ケッチェンブラックEC600JDに代えてケッチェンブラックEC300(ライオン株式会社製、平均粒径:40μm、BET比表面積:800m2/g、DBP吸油量:365mL/g)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして鉛蓄電池を得た。また、実施例1と同様の方法により、化成後の負極材におけるオイルファーネスブラックの含有量を求めた。化成後の負極材におけるオイルファーネスブラックの含有量は、負極材の全質量基準で0.2質量%であった。また、実施例1と同様の方法により、化成後の正極材及び負極材の比表面積を測定した。正極材の比表面積は、4.9m2/gであった。負極材の比表面積は、0.3m2/gであった。
オイルファーネスブラックに代えてアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製、商品名:デンカブラック、平均粒径:43μm、BET比表面積:61m2/g、DBP吸油量:115mL/g)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして鉛蓄電池を得た。また、実施例1と同様の方法により、化成後の負極材におけるアセチレンブラックの含有量を求めた。化成後の負極材におけるアセチレンブラックの含有量は、負極材の全質量基準で0.2質量%であった。また、実施例1と同様の方法により、化成後の正極材及び負極材の比表面積を測定した。正極材の比表面積は、4.8m2/gであった。負極材の比表面積は、0.2m2/gであった。
実施例1〜3及び比較例1〜2の2V単セル電池について、充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性を下記のとおり測定した。比較例1の充電受け入れ性、放電特性及びサイクル特性の測定結果をそれぞれ100とし、実施例1〜3及び比較例2の各特性を相対評価した。結果を表1に示す。
充電受け入れ性として、電池の充電状態(State of charge)が90%になった状態(つまり、満充電状態から電池容量の10%を放電した状態)において、25℃下、2.33Vで定電圧充電し、充電開始から5秒経過した時点での電流値を測定した。この電流値が大きいほど初期の充電電気量が大きいということであり、受け入れ性が良い電池であると評価される。
放電特性として、−15℃の雰囲気下で16時間以上おいた満充電状態の電池を、室温(25℃)下、5Cで定電流放電し、電池電圧が1.0Vに達するまでの放電持続時間を測定した。放電持続時間が長いほど放電特性に優れる電池であると評価される。なお、前記Cとは、満充電状態から定格容量を定電流放電するときの電流の大きさを相対的に表したものである。前記Cは、“放電電流値(A)/電池容量(Ah)”を意味する。例えば、定格容量を1時間で放電させることができる電流を「1C」、2時間で放電させることができる電流を「0.5C」と表現する。
サイクル特性は、日本工業規格の軽負荷寿命試験(JIS D 5301)に準じた方法で評価した。サイクル数が大きいほど耐久性が高い電池であると評価される。
Claims (4)
- 正極及び負極を備え、
前記正極が、集電体と、当該集電体に保持された正極材と、を有し、
前記負極が、集電体と、当該集電体に保持された負極材と、を有し、
前記負極材が、負極活物質と、オイルファーネスブラックと、スルホン基及びスルホン酸塩基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有する樹脂と、を含有し、
前記オイルファーネスブラックの比表面積が1000m2/g以上であり、
前記負極材の比表面積が0.4m 2 /g以上0.9m 2 /g以下であり、
前記正極材の比表面積が5m 2 /g以上11m 2 /g以下である、鉛蓄電池。 - 前記オイルファーネスブラックの含有量が、前記負極材の全質量を基準として0.01〜2.0質量%である、請求項1に記載の鉛蓄電池。
- 前記樹脂が、(c1)ビスフェノール系化合物と、(c2)アミノアルキルスルホン酸、アミノアルキルスルホン酸誘導体、アミノアリールスルホン酸及びアミノアリールスルホン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物と、(c3)ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物との縮合物であるビスフェノール系樹脂であり、
前記ビスフェノール系化合物が、ビスフェノールAとビスフェノールSとを含む、請求項1又は2に記載の鉛蓄電池。 - 前記ビスフェノールA及び前記ビスフェノールSの合計に占める前記ビスフェノールAの割合は、70モル%以上99モル%以下である、請求項3に記載の鉛蓄電池。
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