JP2017054629A - 鉛蓄電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】
寿命性能を向上させた鉛蓄電池を提供することにある。
【解決手段】
正極、負極、セパレータ及び織布を備える鉛蓄電池であって、前記負極板と前記織布が相対し、前記織布が前記負極板とセパレータとの間に配置される鉛蓄電池。
【選択図】図2
寿命性能を向上させた鉛蓄電池を提供することにある。
【解決手段】
正極、負極、セパレータ及び織布を備える鉛蓄電池であって、前記負極板と前記織布が相対し、前記織布が前記負極板とセパレータとの間に配置される鉛蓄電池。
【選択図】図2
Description
本発明は、鉛蓄電池に関する。
近年、自動車においては、大気汚染防止又は地球温暖化防止のため様々な燃費向上対策が検討されている。燃費向上対策を施した自動車としては、例えば、エンジンの動作時間を少なくするアイドリングストップ車(以下、「ISS車」という)、エンジンの回転を無駄なく動力に使用する発電制御車等のマイクロハイブリッド車が検討されている。
ISS車では、エンジンの始動回数が多くなるため、鉛蓄電池の大電流放電が繰り返される。また、ISS車及び発電制御車では、オルタネータによる発電量が少なくなり、鉛蓄電池の充電が間欠的に行われるため充電が不充分となる。
前記のような使われ方をする鉛蓄電池は、PSOC(Partial State Of Charge)と呼ばれる部分充電状態で使用されることになる。鉛蓄電池は、PSOC下で使用されると、満充電状態で使用される場合よりも寿命が短くなる。
また、近年、欧州では、マイクロハイブリッド車の制御に則した、充放電サイクル中における鉛蓄電池の充電性が重要視されており、このような形態のDCA(Dynamic Charge Acceptance)評価が規格化されつつある。つまり、PSOCと呼ばれる部分充電状態で使用される鉛蓄電池においては、充電受入性能の向上が求められている。
また、充電時に、放電生成物である硫酸鉛から生成する硫酸イオンは重いので、電解液中で下方へと移動する傾向がある。通常の鉛蓄電池の使われ方では、充電末期のガス発生によって電解液が撹拌され、硫酸イオンの前記下方への移動が抑制される。しかし、PSOC下では、電池が満充電になることがないため、ガス発生による電解液の撹拌が行なわれがたい。その結果、濃度の高い電解液が電槽の下部に滞留し、濃度の低い電解液が電槽の上部に滞留して、電解液の成層化が発生する。電解液濃度が高いと充電が受入れられ難くなり(充電反応が進み難くなり)、鉛蓄電池の寿命が低下してしまう。
電解液の成層化を抑制する手段として、例えば特許文献1には、負極板の表面に不織布からなる高多孔度のセパレータを当接させたことにより、PSOC下での充放電による電解液の成層化を抑制し、寿命性能を向上させることが開示されている。
特許文献1では、PSOC下で使用され、電池が満充電になることがないため、ガス発生による電解液の撹拌が行なわれがたい場合にも、電解液の成層化を抑制させる技術が開示されている。当該技術では、負極板の表面に不織布からなる高多孔度のセパレータを当接させたことにより、充電時に硫酸鉛から溶出してくる硫酸イオンの下降を防止している。これにより、特許文献1では鉛蓄電池の寿命性能を向上させている。しかし、ISS車用途の鉛蓄電池では、更なる寿命性能の向上が求められている。本発明の目的は、寿命性能をより向上させることができる鉛蓄電池を提供することにある。
本発明に係る鉛蓄電池は、正極、負極、セパレータ及び織布を備え、前記負極板と織布が相対し、前記織布が前記負極板とセパレータとの間に配置される鉛蓄電池である。本発明に係る鉛蓄電池によれば、寿命性能を向上させることができる。本発明は、織布を用いることで不織布を使用した鉛蓄電池よりも更に寿命性能を向上できる鉛蓄電池を提供することができる。
本発明に係る鉛蓄電池は、前記織布がヤーン(yarn)から構成され、ヤーンの密度が3本/cm2以上である前記織布を備えることが好ましい。これにより、更に寿命性能が向上しやすい。
本発明に係る鉛蓄電池は、質量密度が15g/m2以上である前記織布を備えることが好ましい。これにより、更に寿命性能が向上しやすい。
本発明に係る鉛蓄電池は、厚みが2.0mm以下である前記織布を備えることが好ましい。これにより、更に寿命性能が向上しやすい。
本発明によれば、部分充電状態で負荷への放電が行なわれる液式の鉛蓄電池において、PSOC下で、電池が満充電になることがないため、ガス発生による電解液の撹拌が行なわれがたい場合にも、寿命性能を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、比重は、温度によって変化するため、本明細書においては20℃で換算した比重と定義する。
<鉛蓄電池>
本実施形態に係る鉛蓄電池は、例えば、電極(電極板等)、電解液(硫酸等)及びセパレータを備えている。電極は、正極(正極板等)及び負極(負極板等)を有している。本実施形態に係る鉛蓄電池としては、液式鉛蓄電池、制御弁式鉛蓄電池、密閉式鉛蓄電池等が挙げられ、液式鉛蓄電池が好ましい。正極は、集電体(正極集電体)と、当該集電体に保持された正極材と、を有している。負極は、集電体(負極集電体)と、当該集電体に保持された負極材と、を有している。本実施形態において正極材及び負極材は、例えば、化成後(例えば満充電状態)の電極材である。電極材が未化成である場合、電極材(未化正極材及び未化負極材)は、電極活物質(正極活物質及び負極活物質)の原料等を含有している。集電体は、電極材からの電流の導電路を構成する。従来の鉛蓄電池と同様の構成を用いることができる。
本実施形態に係る鉛蓄電池は、例えば、電極(電極板等)、電解液(硫酸等)及びセパレータを備えている。電極は、正極(正極板等)及び負極(負極板等)を有している。本実施形態に係る鉛蓄電池としては、液式鉛蓄電池、制御弁式鉛蓄電池、密閉式鉛蓄電池等が挙げられ、液式鉛蓄電池が好ましい。正極は、集電体(正極集電体)と、当該集電体に保持された正極材と、を有している。負極は、集電体(負極集電体)と、当該集電体に保持された負極材と、を有している。本実施形態において正極材及び負極材は、例えば、化成後(例えば満充電状態)の電極材である。電極材が未化成である場合、電極材(未化正極材及び未化負極材)は、電極活物質(正極活物質及び負極活物質)の原料等を含有している。集電体は、電極材からの電流の導電路を構成する。従来の鉛蓄電池と同様の構成を用いることができる。
更に、本実施形態に係る鉛蓄電池は、織布を備える鉛蓄電池であって、負極板と織布が相対し、当該織布が前記負極板とセパレータとの間に配置される。
(正極材)[正極活物質]
正極材は、正極活物質を含有している。正極活物質は、正極活物質の原料を含む正極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成活物質を得た後に化成することで得ることができる。化成後の正極活物質は、β−二酸化鉛(β−PbO2)を含むことが好ましく、α−二酸化鉛(α−PbO2)を更に含んでいてもよい。正極活物質の原料としては、特に制限はなく、例えば鉛粉が挙げられる。鉛粉としては、例えば、ボールミル式鉛粉製造機又はバートンポット式鉛粉製造機によって製造される鉛粉(ボールミル式鉛粉製造機においては、主成分PbOの紛体と鱗片状金属鉛の混合物)が挙げられる。正極活物質の原料として鉛丹(Pb3O4)を用いてもよい。未化成の正極材は、主成分として、三塩基性硫酸鉛を含む未化成の正極活物質を含有することが好ましい。
正極材は、正極活物質を含有している。正極活物質は、正極活物質の原料を含む正極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成活物質を得た後に化成することで得ることができる。化成後の正極活物質は、β−二酸化鉛(β−PbO2)を含むことが好ましく、α−二酸化鉛(α−PbO2)を更に含んでいてもよい。正極活物質の原料としては、特に制限はなく、例えば鉛粉が挙げられる。鉛粉としては、例えば、ボールミル式鉛粉製造機又はバートンポット式鉛粉製造機によって製造される鉛粉(ボールミル式鉛粉製造機においては、主成分PbOの紛体と鱗片状金属鉛の混合物)が挙げられる。正極活物質の原料として鉛丹(Pb3O4)を用いてもよい。未化成の正極材は、主成分として、三塩基性硫酸鉛を含む未化成の正極活物質を含有することが好ましい。
正極活物質の平均粒径は、充電受入性能及びサイクル特性が更に向上する観点から、0.3μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、0.7μm以上が更に好ましい。正極活物質の平均粒径は、サイクル特性が更に向上する観点から、2.5μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましく、1.5μm以下が更に好ましい。正極活物質の前記平均粒径は、化成後の正極材における正極活物質の平均粒径である。正極活物質の平均粒径は、例えば、化成後の正極材の中央部における縦10μm×横10μmの範囲の走査型電子顕微鏡写真(1000倍)の画像内における全ての粒子の長辺長さ(最大粒径)の値を算術平均化した数値として得ることができる。
正極材の正極活物質の含有量は、電池特性(容量、低温高率放電性能、充電受け入れ性、サイクル特性等)に更に優れる観点から、正極材の全質量を基準として、95質量%以上が好ましく、97質量%以上がより好ましく、99質量%以上が更に好ましい。
[正極添加剤]
正極材は、添加剤を更に含有していてもよい。添加剤としては、炭素材料(炭素質導電材)、補強用短繊維等が挙げられる。炭素材料としては、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック(ケッチェンブラック等)、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等が挙げられる。補強用短繊維としては、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、炭素繊維等が挙げられる。
正極材は、添加剤を更に含有していてもよい。添加剤としては、炭素材料(炭素質導電材)、補強用短繊維等が挙げられる。炭素材料としては、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック(ケッチェンブラック等)、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等が挙げられる。補強用短繊維としては、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、炭素繊維等が挙げられる。
[正極材の物性]
正極材の比表面積の下限は、充電受入性能に更に優れる観点から、3m2/g以上が好ましく、4m2/g以上がより好ましく、5m2/g以上が更に好ましい。正極材の比表面積の上限は、特に制限はないが、実用的な観点及び利用率に優れる観点から、15m2/g以下が好ましく、12m2/g以下がより好ましく、7m2/g以下が更に好ましい。正極材の前記比表面積は、化成後の正極材の比表面積である。正極材の比表面積は、例えば、正極材ペーストを作製する際の硫酸及び水の添加量を調整する方法、未化成活物質の段階で活物質を微細化させる方法、化成条件を変化させる方法等により調整することができる。
正極材の比表面積の下限は、充電受入性能に更に優れる観点から、3m2/g以上が好ましく、4m2/g以上がより好ましく、5m2/g以上が更に好ましい。正極材の比表面積の上限は、特に制限はないが、実用的な観点及び利用率に優れる観点から、15m2/g以下が好ましく、12m2/g以下がより好ましく、7m2/g以下が更に好ましい。正極材の前記比表面積は、化成後の正極材の比表面積である。正極材の比表面積は、例えば、正極材ペーストを作製する際の硫酸及び水の添加量を調整する方法、未化成活物質の段階で活物質を微細化させる方法、化成条件を変化させる方法等により調整することができる。
正極材の比表面積は、例えば、BET法で測定することができる。BET法は、一つの分子の大きさが既知の不活性ガス(例えば窒素ガス)を測定試料の表面に吸着させ、その吸着量と不活性ガスの占有面積とから表面積を求める方法であり、比表面積の一般的な測定手法である。
(負極材)[負極活物質]
負極活物質は、負極活物質の原料を含む負極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成活物質を得た後に化成することで得ることができる。化成後の負極活物質としては、海綿状鉛(Spongylead)等が挙げられる。前記海綿状鉛は、電解液中の硫酸と反応して、次第に硫酸鉛(PbSO4)に変わる傾向がある。負極活物質の原料としては、鉛粉等が挙げられる。鉛粉としては、例えば、ボールミル式鉛粉製造機又はバートンポット式鉛粉製造機によって製造される鉛粉(ボールミル式鉛粉製造機においては、主成分PbOの紛体と鱗片状金属鉛の混合物)が挙げられる。未化成の負極材は、例えば、塩基性硫酸鉛及び金属鉛、並びに、低級酸化物から構成される。
負極活物質は、負極活物質の原料を含む負極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成活物質を得た後に化成することで得ることができる。化成後の負極活物質としては、海綿状鉛(Spongylead)等が挙げられる。前記海綿状鉛は、電解液中の硫酸と反応して、次第に硫酸鉛(PbSO4)に変わる傾向がある。負極活物質の原料としては、鉛粉等が挙げられる。鉛粉としては、例えば、ボールミル式鉛粉製造機又はバートンポット式鉛粉製造機によって製造される鉛粉(ボールミル式鉛粉製造機においては、主成分PbOの紛体と鱗片状金属鉛の混合物)が挙げられる。未化成の負極材は、例えば、塩基性硫酸鉛及び金属鉛、並びに、低級酸化物から構成される。
負極活物質の平均粒径は、充電受入性能及びサイクル特性が更に向上する観点から、0.3μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、0.7μm以上が更に好ましい。負極活物質の平均粒径は、サイクル特性が更に向上する観点から、2.5μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましく、1.5μm以下が更に好ましい。負極活物質の前記平均粒径は、化成後の負極材における負極活物質の平均粒径である。負極活物質の平均粒径は、例えば、化成後の負極材の中央部における縦10μm×横10μmの範囲の走査型電子顕微鏡写真(1000倍)の画像内における全ての粒子の長辺長さ(最大粒径)の値を算術平均化した数値として得ることができる。
負極活物質の含有量は、電池特性(容量、低温高率放電性能、充電受け入れ性、サイクル特性等)に更に優れる観点から、負極材の全質量を基準として、93質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上が更に好ましい。
[負極添加剤]
負極材は、添加剤を更に含有していてもよい。負極添加剤としては、スルホン基(スルホン酸基、スルホ基)及びスルホン酸塩基(スルホン基の水素がアルカリ金属で置換された基等)からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂(スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂)、硫酸バリウム、炭素材料(炭素質導電材)、補強用短繊維等が挙げられる。充放電性能を更に向上させることができる観点から、負極材は、スルホン基及びスルホン酸塩基からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂を含有することが好ましい。
負極材は、添加剤を更に含有していてもよい。負極添加剤としては、スルホン基(スルホン酸基、スルホ基)及びスルホン酸塩基(スルホン基の水素がアルカリ金属で置換された基等)からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂(スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂)、硫酸バリウム、炭素材料(炭素質導電材)、補強用短繊維等が挙げられる。充放電性能を更に向上させることができる観点から、負極材は、スルホン基及びスルホン酸塩基からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂を含有することが好ましい。
[スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂]
スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂としては、ビスフェノール系樹脂、リグニンスルホン酸、リグニンスルホン酸塩等が挙げられる。これらの中でも、充電受け入れ性が更に向上する観点から、ビスフェノール系樹脂が好ましく、ビスフェノール系化合物と、アミノアルキルスルホン酸、アミノアルキルスルホン酸誘導体、アミノアリールスルホン酸及びアミノアリールスルホン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種との縮合物であるビスフェノール系樹脂がより好ましい。
スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂としては、ビスフェノール系樹脂、リグニンスルホン酸、リグニンスルホン酸塩等が挙げられる。これらの中でも、充電受け入れ性が更に向上する観点から、ビスフェノール系樹脂が好ましく、ビスフェノール系化合物と、アミノアルキルスルホン酸、アミノアルキルスルホン酸誘導体、アミノアリールスルホン酸及びアミノアリールスルホン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種との縮合物であるビスフェノール系樹脂がより好ましい。
ビスフェノール系樹脂は、例えば、下記一般式(II)で表される構造単位、及び、下記一般式(III)で表される構造単位の少なくとも一方を有することが好ましい。
式(II)で表される構造単位、及び、式(III)で表される構造単位の比率は、特に制限はなく、合成条件等によって変化し得る。ビスフェノール系樹脂としては、式(II)で表される構造単位、及び、式(III)で表される構造単位のいずれか一方のみを有する樹脂を用いてもよい。
前記X2及びX3としては、例えば、アルキリデン基(メチリデン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、sec−ブチリデン基等)、シクロアルキリデン基(シクロヘキシリデン基等)、フェニルアルキリデン基(ジフェニルメチリデン基、フェニルエチリデン基等)などの有機基;スルホニル基が挙げられ、充電受け入れ性に更に優れる観点からはイソプロピリデン基(−C(CH3)2−)基が好ましく、放電特性に更に優れる観点からはスルホニル基(−SO2−)が好ましい。前記X2及びX3は、フッ素原子等のハロゲン原子により置換されていてもよい。前記X2及びX3がシクロアルキリデン基である場合、炭化水素環はアルキル基等により置換されていてもよい。
A2及びA3としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の炭素数1〜4のアルキレン基;フェニレン基、ナフチレン基等の2価のアリーレン基が挙げられる。前記アリーレン基は、アルキル基等により置換されていてもよい。
R21、R23、R24、R31、R33及びR34のアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。n21及びn31は、サイクル特性及び溶媒への溶解性に更に優れる観点から、1〜150が好ましく、10〜150がより好ましい。n22及びn32は、サイクル特性、放電特性及び充電受け入れ性がバランス良く向上しやすい観点から、1又は2が好ましく、1がより好ましい。n23及びn33は、製造条件により変化するが、サイクル特性及びビスフェノール系樹脂の保存安定性に更に優れる観点から、0が好ましい。
スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂(ビスフェノール系樹脂等)の重量平均分子量は、スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂が鉛蓄電池において電極から電解液に溶出することを抑制することによりサイクル特性が向上しやすくなる観点から、3000以上が好ましく、10000以上がより好ましく、20000以上が更に好ましく、30000以上が特に好ましい。スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂の重量平均分子量は、電極活物質に対する吸着性が低下して分散性が低下することを抑制することによりサイクル特性が向上しやすくなる観点から、200000以下が好ましく、150000以下がより好ましく、100000以下が更に好ましい。
スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂の重量平均分子量は、例えば、下記条件のゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)により測定することができる。
(GPC条件)
装置:高速液体クロマトグラフ LC−2200 Plus(日本分光株式会社製)
ポンプ:PU−2080
示差屈折率計:RI−2031
検出器:紫外可視吸光光度計UV−2075(λ:254nm)
カラムオーブン:CO−2065
カラム:TSKgel SuperAW(4000)、TSKgel SuperAW(3000)、TSKgel SuperAW(2500)(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
溶離液:LiBr(10mmol/L)及びトリエチルアミン(200mmol/L)を含有するメタノール溶液
流速:0.6mL/分
分子量標準試料:ポリエチレングリコール(分子量:1.10×106、5.80×105、2.55×105、1.46×105、1.01×105、4.49×104、 2.70×104、2.10×104;東ソー株式会社製)、ジエチレングリコール(分子量:1.06×102;キシダ化学株式会社製)、ジブチルヒドロキシトルエン(分子量:2.20×102;キシダ化学株式会社製)
(GPC条件)
装置:高速液体クロマトグラフ LC−2200 Plus(日本分光株式会社製)
ポンプ:PU−2080
示差屈折率計:RI−2031
検出器:紫外可視吸光光度計UV−2075(λ:254nm)
カラムオーブン:CO−2065
カラム:TSKgel SuperAW(4000)、TSKgel SuperAW(3000)、TSKgel SuperAW(2500)(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
溶離液:LiBr(10mmol/L)及びトリエチルアミン(200mmol/L)を含有するメタノール溶液
流速:0.6mL/分
分子量標準試料:ポリエチレングリコール(分子量:1.10×106、5.80×105、2.55×105、1.46×105、1.01×105、4.49×104、 2.70×104、2.10×104;東ソー株式会社製)、ジエチレングリコール(分子量:1.06×102;キシダ化学株式会社製)、ジブチルヒドロキシトルエン(分子量:2.20×102;キシダ化学株式会社製)
ISS車や発電制御車等のマイクロハイブリッド車両に搭載される鉛蓄電池は、PSOCと呼ばれる部分充電状態で使用される。このような状況下で使用される鉛蓄電池においては、放電の際に負極活物質に生成される絶縁体である硫酸鉛が充放電の繰り返しに伴って粗大化していく、サルフェーションと呼ばれる現象が早期に生じる。サルフェーションが起ると、負極活物質の充電受入れ性及び放電性能が著しく低下する。 負極活物質に炭素質導電材を添加することにより、硫酸鉛の粗大化を抑制し、硫酸鉛を微細な状態に維持して、硫酸鉛から溶け出す鉛イオンの濃度が低下するのを抑制し、充電受入性能が高い状態を維持する効果が得られる。
[炭素材料(炭素質導電材)]
炭素質導電材は、好ましくは、黒鉛、カーボンブラック、活性炭、炭素繊維及びカーボンナノチューブからなる材料群の中から選択される。炭素質導電材の添加量は、満充電状態の負極活物質(海綿状金属鉛)100質量部に対し0.1〜3質量部の範囲とするのが好ましい。好ましくは、黒鉛を選択し、さらに好ましくは、鱗片状黒鉛を選択する。鱗片状黒鉛の平均一次粒子径は、好ましくは、100μm以上とする。
炭素質導電材は、好ましくは、黒鉛、カーボンブラック、活性炭、炭素繊維及びカーボンナノチューブからなる材料群の中から選択される。炭素質導電材の添加量は、満充電状態の負極活物質(海綿状金属鉛)100質量部に対し0.1〜3質量部の範囲とするのが好ましい。好ましくは、黒鉛を選択し、さらに好ましくは、鱗片状黒鉛を選択する。鱗片状黒鉛の平均一次粒子径は、好ましくは、100μm以上とする。
ここでいう鱗片状黒鉛とは、JIS M 8601(2005)記載のものを指す。鱗片状黒鉛の電気抵抗率は、0.02Ω・cm以下で、アセチレンブラックなどのカーボンブラック類の0.1Ω・cm前後より一桁小さい。従って、従来の鉛蓄電池で用いられているカーボンブラック類に替えて鱗片状黒鉛を用いることにより、負極活物質の電気抵抗を下げて、充電受入性能を改善することができる。
ここで、鱗片状黒鉛の平均一次粒子径は、JISM8511(2005)記載のレーザ回折・散乱法に準拠して求める。レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製:マイクロトラック9220FRA)を用い、分散剤として市販の界面活性剤ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(例えば、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製:トリトンX−100)を0.5vol%含有する水溶液に鱗片状黒鉛試料を適量投入し、撹拌しながら40Wの超音波を180秒照射した後、測定を行なう。求められた平均粒子径(メディアン径:D50)の値を平均一次粒子径とする。
[補強用短繊維]
補強用短繊維は、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、炭素繊維等が挙げられる。
補強用短繊維は、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、炭素繊維等が挙げられる。
[負極材の物性]
負極材の比表面積は、優れた充電受け入れ性と、他の優れた電池性能(放電特性、サイクル特性等)とを更に良好に両立する観点から、0.4m2/g以上が好ましく、0.5m2/g以上がより好ましく、0.6m2/g以上が更に好ましい。負極材の比表面積は、優れた充電受け入れ性と、他の優れた電池性能(放電特性、サイクル特性等)とを更に良好に両立する観点から、2m2/g以下が好ましく、1.8m2/g以下がより好ましく、1.5m2/g以下が更に好ましい。負極材の前記比表面積は、化成後の負極材の比表面積である。負極材の比表面積は、例えば、負極材ペーストを作製する際の硫酸及び水の添加量を調整する方法、未化成活物質の段階で活物質を微細化させる方法、化成条件を変化させる方法等により調整することができる。負極材の比表面積は、例えば、BET法で測定することができる。
負極材の比表面積は、優れた充電受け入れ性と、他の優れた電池性能(放電特性、サイクル特性等)とを更に良好に両立する観点から、0.4m2/g以上が好ましく、0.5m2/g以上がより好ましく、0.6m2/g以上が更に好ましい。負極材の比表面積は、優れた充電受け入れ性と、他の優れた電池性能(放電特性、サイクル特性等)とを更に良好に両立する観点から、2m2/g以下が好ましく、1.8m2/g以下がより好ましく、1.5m2/g以下が更に好ましい。負極材の前記比表面積は、化成後の負極材の比表面積である。負極材の比表面積は、例えば、負極材ペーストを作製する際の硫酸及び水の添加量を調整する方法、未化成活物質の段階で活物質を微細化させる方法、化成条件を変化させる方法等により調整することができる。負極材の比表面積は、例えば、BET法で測定することができる。
(集電体)
集電体としては、鋳造格子体、エキスパンド格子体等の集電体格子などが挙げられる。集電体の材質としては、例えば、鉛−カルシウム−錫合金、鉛−カルシウム合金及び鉛−アンチモン合金が挙げられる。これらにセレン、銀、ビスマス等を微量添加することができる。例えば、これらの材質を重力鋳造法、エキスパンド法、打ち抜き法等で格子状に形成することにより集電体を得ることができる。正極及び負極の集電体は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。また、集電体は、同極性の極板同士を溶接して極板群を作製する際の溶接部となる、耳部を有する。
集電体としては、鋳造格子体、エキスパンド格子体等の集電体格子などが挙げられる。集電体の材質としては、例えば、鉛−カルシウム−錫合金、鉛−カルシウム合金及び鉛−アンチモン合金が挙げられる。これらにセレン、銀、ビスマス等を微量添加することができる。例えば、これらの材質を重力鋳造法、エキスパンド法、打ち抜き法等で格子状に形成することにより集電体を得ることができる。正極及び負極の集電体は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。また、集電体は、同極性の極板同士を溶接して極板群を作製する際の溶接部となる、耳部を有する。
(電解液)
電解液は、過放電時の短絡を抑制する観点から、アルミニウムイオンを含むことが好ましい。電解液がアルミニウムイオンを含むことにより、水酸化アルミニウムがセパレータ内、特に表層部に析出することで、鉛の析出を抑制することから短絡を抑制することができると推測される。
電解液は、過放電時の短絡を抑制する観点から、アルミニウムイオンを含むことが好ましい。電解液がアルミニウムイオンを含むことにより、水酸化アルミニウムがセパレータ内、特に表層部に析出することで、鉛の析出を抑制することから短絡を抑制することができると推測される。
(織布)
織布について説明する。本実施形態における織布は、織り方に制限はない。織り方としては、例えば、平織、平織り目開き、綾織、朱子織、からみ織、模紗織等が挙げられる。
織布について説明する。本実施形態における織布は、織り方に制限はない。織り方としては、例えば、平織、平織り目開き、綾織、朱子織、からみ織、模紗織等が挙げられる。
織布は、複数本の単繊維を束ねたヤーン(yarn)から構成される。また、単繊維の組成としては、ガラス、Al2O3、又は耐酸性を有するオレフィン系有機繊維の表面を親水化したもの等が挙げられる。特に、耐久性の観点からは、ガラスからなる単繊維を用いることがより好ましい。
ヤーンの密度(単位面積当たりのヤーンの本数)は、寿命特性向上の観点から、3本/cm2以上が好ましく、4本/cm2以上がより好ましく、5本/cm2以上が更に好ましい。また、電解液中のイオン移動に係る抵抗を低減させる観点から、55本/cm2以下であることが好ましく、45本/cm2以下であることがより好ましく、30本/cm2以下であることが更に好ましい。
織布の質量密度(織布の単位面積当たりの質量)は、寿命特性向上の観点から、15g/m2以上が好ましく、40g/m2以上がより好ましく、90g/m2以上が更に好ましい。また、鉛蓄電池の重量を軽減する観点から、960g/m2以下であることが好ましく、680g/m2以下であることがより好ましく、400g/m2以下であることが更に好ましい。
また、織布の厚さは、電荷移動抵抗を低減させる観点から2.0mm以下であることが好ましく、1.0mm以下であることがより好ましく、0.3mm以下であることがさらに好ましい。また、寿命特性向上の観点から、0.01mm以上であることが好ましく、0.05mm以上であることがより好ましく、0.1mm以上であることが更に好ましい。
次に、織布を配置する形態は、例えば、織布の面が相対するようにV字又はU字状に折り曲げ、負極板と前記織布を相対させ、前記織布を前記負極板とセパレータとの間に配置する形態が挙げられる。前記のように配置することは、負極板の両面に織布を個別に配置するより、負極板と織布の位置ずれが生じにくい点で好ましい。
本発明は、織布を負極板と相対させ、当該織布を負極板とセパレータとの間に配置することにより、鉛蓄電池の寿命性能を向上させることを見出した。これは、織布が電解液中での硫酸イオン種(SO4 2−、HSO4 −)の沈降を効果的に抑え、成層化を抑制しているためであると推測する。
本発明において寿命性能が向上する詳細な理由を以下に記載する。PSOC下において、負極活物質は、殆ど帯電しない海綿状鉛(金属鉛)と負に帯電する硫酸鉛が主成分である。従って、負極は主に負帯電している。これは、電池構成上、負極活物質(硫酸鉛を含む)固相が正極に対して電位的に低く、負側にあることを意味している。
電池電圧は、正極及び負極の電気二重層領域の電位差の合計として現れるものである。電気二重層領域は、オングストロームオーダの薄層領域であるが、鉛蓄電池の電池電圧は、正極及び負極の電気二重層領域の電位差に関して正極側の電位と負極側の電位の差に等しくなっている。従って、正極活物質固相は、電解液に対して高い電位、すなわち正に帯電した電気二重層構造になっている。一方、負極活物質固相は、前記のとおり、電解液に対して低い電位、すなわち、負に帯電した電気二重層構造になっている。
充電反応により生成してくる硫酸イオン種(SO4 2−、HSO4 −)は、電解液中の水より重く、重力によって沈降し易い性質がある。上述のように、負極活物質固相は、負に帯電した電気二重層構造になっているので、負極側で生成してくる硫酸イオン種(SO4 2−、HSO4 −)は、負極と静電的に反発する関係にある。この静電的な反発作用が加わることにより、負極側では充電反応により負極活物質固相、すなわち負極活物質細孔内で生成した硫酸イオン種(SO4 2−、HSO4 −)が電解液相側に押し出され、硫酸イオン種の電解液中での沈降が加速される環境にある。
この時、負極板に相対した織布が、負極活物質細孔内から電解液相に押し出された硫酸イオン種(SO4 2−、HSO4 −)の電解液中での沈降を効果的に抑えて電解液の成層化を抑制できると推測する。
本発明では、織布を用いることにより、不織布を用いるよりも更に寿命性能が向上することを見出した。更に寿命性能が向上する理由を以下に示す。不織布は一本ごとに独立に分散した繊維で構成される集合体である。このため、不織布は繊維同士との間に多くの空隙を有する。一方、織布は複数の繊維を束ねたヤーンで構成される。このため、織布はヤーンの内部に繊維同士が形成する空孔を多く有する。電解液中の硫酸イオン種(SO4 2−、HSO4 −)は、織布の有する前記空孔に保持されやすく、不織布よりも織布の方が、硫酸イオン種の下降を効率的に抑制することができるため、寿命性能が向上すると推測する。更に、織布はヤーンの本数又は織り方によって、ヤーンの密度を変えることができる。つまり、織布が有する前記空孔の密度を高めることができるため、硫酸イオン種の下降をさらに抑制することができると考えられる。
更に、本発明では、織布を用いることにより、不織布を用いるよりも低温高率放電性能及び充電受け入れ性が優れる。低温高率放電性能及び充電受け入れ性が向上する理由を以下に示す。織布は、ヤーンを縦方向と横方向を組み合わせて編むことにより構成され、縦方向と横方向のヤーンにより形成される孔が負極板と織布とが相対する方向に対して配列している。前記孔は、不織布には存在しない。更に、織布が有する前記孔は、不織布の繊維同士が形成する孔よりも大きい。よって、織布が前記孔を有することで、負極板と織布とが相対する方向に対してのスムースな硫酸イオン種の移動が可能となるため、当該イオン種の移動に係る抵抗が抑制され、低温高率放電性能及び充電受け入れ性が向上すると推測する。
織布は、正極と負極の短絡を防止する役割としても用いることができる。しかし、本発明では正極と負極の短絡を防止する性能をより高める観点から、織布とは別に、微多孔性のセパレータを併用する。
前記セパレータとしては、ガラス、パルプ、及び合成樹脂から選ばれる少なくとも1種からなるセパレータ等が挙げられる。前記セパレータの中でも、短絡をより抑制できる観点からは、合成樹脂を用いることが好ましい。更に、前記合成樹脂の中でも特に、ポリオレフィンが好ましい。
図1は、ポリオレフィン製のセパレータの形状示す実施形態の一例である。図1(a)は、微多孔シートからなるポリオレフィン製のセパレータ(以下、単にセパレータという)を示す正面図であり、図1(b)は、セパレータの断面図である。図2は、セパレータ及び電極板及び織布の断面図である。図1に示すように、セパレータ10は、平板状のベース部11と、凸状(例えば線状)の複数のリブ12と、ミニリブ13とを備えている。ベース部11は、リブ12及びミニリブ13を支持している。リブ12は、セパレータ10の一方面10aにおいて互いに略平行に配置されている。リブ12の間隔は、例えば3〜15mmである。リブ12の高さ方向の一端はベース部11に一体化して接続されており、リブ12の高さ方向の他端は、正極板14に接していることが好ましい(図2参照)。セパレータ10の他方面10bにはリブは配置されておらず、セパレータ10の他方面10bは、織布16(図2参照)と対向又は接していることが好ましい。
ミニリブ13は、セパレータ10の幅方向における両側において、セパレータ10の長手方向に延びるように多数本形成されている。ミニリブ13は、鉛蓄電池が横方向に振動した際に、電極の角がセパレータを突き破って短絡することを防止するためにセパレータ強度を向上させる機能を有する。なお、ミニリブ13の高さ、幅、間隔は、何れもリブ12よりも小さいことが好ましい。また、ミニリブ13の断面形状は、リブ12と同一であってもよく、異なっていてもよい。ミニリブ13の断面形状は、半円型であることが好ましい。また、ミニリブ13は形成されていなくてもよい。
ベース部11の厚みTの上限は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得る観点から、0.25mm以下である。厚みTが0.25mmを超えると、充電受け入れ性及び放電特性が低下する傾向がある。ベース部11の厚みTの上限は、更に優れた充電受け入れ性及び放電特性を得る観点から、0.2mm以下が好ましく、0.15mm以下がより好ましい。ベース部11の厚みTの下限は、特に制限はないが、短絡を抑制しやすい観点から、0.05mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましい。
リブ12の高さ(ベース部11及び電極14の対向方向の高さ)Hの上限は、更に優れた充電受け入れ性を得る観点から、1.25mm以下が好ましく、1.0mm以下がより好ましく、0.75mm以下が更に好ましい。リブ12の高さHの下限は、正極での酸化劣化を抑制する観点から、0.3mm以上が好ましく、0.4mm以上がより好ましく、0.5mm以上が更に好ましい。
ベース部11の厚みTに対するリブ12の高さHの比率H/Tの下限は、セパレータの耐酸化性に優れる観点から、2以上である。比率H/Tが2以上であると、電極(例えば正極)と接触しない部分を充分に確保できるため、セパレータの耐酸化性が向上すると推測される。
比率H/Tの下限は、セパレータの耐酸化性及び生産性に更に優れる観点から、2.4以上が好ましく、3以上がより好ましい。比率H/Tの上限は、リブの形状保持性に優れる観点、及び、短絡を抑制する観点から、6以下である。比率H/Tが6以下であると、正負極間の距離が充分であることから短絡が抑制されると推測される。また、比率H/Tが6以下であると、鉛蓄電池を組み立てた際にリブが破損することなく、充電受け入れ性等の電池特性が良好に維持されると推測される。比率H/Tの上限は、短絡を抑制しやすい観点、及び、リブの形状保持性に更に優れる観点から、5以下が好ましく、4.5以下がより好ましく、4以下が更に好ましい。
また、リブ12の上底幅B(図1(b)参照)は、リブの形状保持性及び耐酸化性に優れる観点から、0.1〜2mmが好ましく、0.2〜1mmがより好ましく、0.2〜0.8mmが更に好ましい。リブの下底幅Aは、リブの形状保持性に優れる観点から、0.2〜4mmが好ましく、0.3〜2mmがより好ましく、0.4〜1mmが更に好ましい。上底幅Bと下底幅Aの比率(B/A)は、リブの形状保持性に優れる観点から、0.1〜1が好ましく、0.2〜0.8がより好ましく、0.3〜0.6が更に好ましい。
前記セパレータは、正極及び負極の少なくとも一方の電極を包む袋状であることが好ましい。例えば、正極及び負極のうちの一方が袋状のセパレータに収容され、且つ、正極及び負極のうちの他方と交互に積層されている態様が好ましい。例えば、袋状のセパレータを正極に適用した場合、正極集電体の伸びによりセパレータを貫通する可能性があることから、負極が袋状のセパレータに収容されていることが好ましい。前記負極は、前記織布と相対し、前記織布が前記負極と袋状セパレータとの間に配置されることが好ましい。
また、液式鉛蓄電池においては、極板はその極板面が垂直方向となるように配列されているので、極板が伸びるときは垂直方向の伸びとなりやすい。PSOC下では、負極に硫酸鉛が蓄積し易く、特に負極板の垂直方向下部に硫酸鉛が残存する傾向が強い。硫酸鉛が蓄積すると、負極活物質である海綿状鉛に比べて2.7倍の体積膨張を生じるので、負極板の下部が下方に伸びやすい。織布の面が相対するようにU字又はV字状に折り曲げ、負極板の下部を織布の折り曲げ部に位置することにより、変形した負極板の下部が袋状のセパレータを突き破り短絡の原因になることを防ぎやすい。
前記袋状のセパレータは、例えば、図3に示す袋セパレータ20のような形状が好ましい。図1(a)に示すように、袋セパレータ20の作製に用いるセパレータ10は、例えば、長尺のシート状に形成されている。袋セパレータ20は、セパレータ10を適切な長さに切断して作製してもよい。負極が袋状のセパレータに収容される場合、袋セパレータ20内に織布、及び負極を収容する。袋セパレータ20内に織布、及び負極を収容する工程は、例えば、以下の工程であってもよい。適切な長さに切断したセパレータ10のリブを設けていない面上のおおよそ中央に織布が配置されるように織布を重ね、長手方向のおおよそ中央において幅方向へU字状又はV字状に折り曲げ、積層シートを得る。続いて、前記積層シートの両側部をメカニカルシール、圧着又は熱溶着する(例えば、図3の符号22はメカニカルシール部)。これにより、図3に示す袋セパレータ20が得られる。その後、袋セパレータ20内の織布の相対する面同士の間に負極板を配置する。また、前記積層シートの両側部をメカニカルシール、圧着又は熱溶着する前に、織布の相対する面同士の間に負極板を配置してもよい。生産性に優れる観点から、袋セパレータ20を先に作製し、その後、袋セパレータ20内の織布の相対する面同士の間に負極板を配置する工程が好ましい。
<鉛蓄電池の製造方法>
本実施形態に係る鉛蓄電池の製造方法は、例えば、電極(正極及び負極)を得る電極製造工程と、前記電極を含む構成部材を組み立てて鉛蓄電池を得る組み立て工程とを備える。
本実施形態に係る鉛蓄電池の製造方法は、例えば、電極(正極及び負極)を得る電極製造工程と、前記電極を含む構成部材を組み立てて鉛蓄電池を得る組み立て工程とを備える。
電極製造工程では、例えば、電極材ペースト(正極材ペースト及び負極材ペースト)を集電体(例えば、鋳造格子体、エキスパンド格子体等の集電体格子)に充填した後に、熟成及び乾燥を行うことにより未化成の電極を得る。正極材ペーストは、例えば、正極活物質の原料(鉛粉等)を含有しており、他の添加剤を更に含有していてもよい。負極材ペーストは、負極活物質の原料(鉛粉等)を含有しており、分散剤として、スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂(ビスフェノール系樹脂等)を含有していることが好ましく、他の添加剤を更に含有していてもよい。
正極材ペーストは、例えば、下記の方法により得ることができる。まず、正極活物質の原料に添加剤(補強用短繊維等)及び水を加える。次に、希硫酸を加えた後、混練して正極材ペーストが得られる。正極材ペーストを作製するに際しては、化成時間を短縮できる観点から、正極活物質の原料として鉛丹(Pb3O4)を用いてもよい。この正極材ペーストを集電体に充填した後に熟成及び乾燥を行うことにより未化成の正極を得ることができる。
正極材ペーストにおいて補強用短繊維を用いる場合、補強用短繊維の配合量は、正極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として、0.005〜0.3質量%が好ましく、0.05〜0.3質量%がより好ましい。
未化成の正極を得るための熟成条件としては、温度35〜85℃、湿度50〜98RH%の雰囲気で15〜60時間が好ましい。乾燥条件は、温度45〜80℃で15〜30時間が好ましい。
負極材ペーストは、例えば、下記の方法により得ることができる。まず、負極活物質の原料に添加剤(スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂、補強用短繊維、硫酸バリウム等)を添加して乾式混合することにより混合物を得る。そして、この混合物に硫酸(希硫酸等)及び溶媒(イオン交換水等の水、有機溶媒など)を加えて混練することにより負極材ペーストが得られる。この負極材ペーストを集電体(例えば、鋳造格子体、エキスパンド格子体等の集電体格子)に充填した後に熟成及び乾燥を行うことにより未化成の負極を得ることができる。
負極材ペーストにおいて、スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂(ビスフェノール系樹脂等)、炭素材料、補強用短繊維又は硫酸バリウムを用いる場合、各成分の配合量は下記の範囲が好ましい。スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂の配合量は、負極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として、樹脂固形分換算で、0.01〜2.0質量%が好ましく、0.05〜1.0質量%がより好ましく、0.1〜0.5質量%が更に好ましく、0.1〜0.3質量%が特に好ましい。炭素材料の配合量は、負極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として、0.1〜3質量%が好ましく、0.2〜1.4質量%がより好ましい。補強用短繊維の配合量は、負極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として0.05〜0.15質量%が好ましい。硫酸バリウムの配合量は、負極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として、0.01〜2.0質量%が好ましく、0.01〜1.0質量%がより好ましい。
未化成の負極を得るための熟成条件としては、温度45〜65℃、湿度70〜98RH%の雰囲気で15〜30時間が好ましい。乾燥条件は、温度45〜60℃で15〜30時間が好ましい。
組み立て工程では、例えば、未化成の前記負極板に織布を相対させ、前記織布を内部に配置した袋セパレータ及び未化成の正極を交互に積層させ(図4参照)、同極性の電極の集電部をストラップで連結(溶接等)させて電極群を得る。この電極群を電槽内に配置して未化成電池を作製する。次に、未化成電池に電解液を注入した後、直流電流を通電して電槽化成する。化成後の電解液の比重を適切な比重に調整して鉛蓄電池が得られる。
前記電解液は、例えば、硫酸及びアルミニウムイオンを含有しており、硫酸及び硫酸アルミニウム粉末を混合することにより得ることができる。電解液中に溶解させる硫酸アルミニウムは、無水物又は水和物として添加することができる。
電解液の化成後の比重は下記の範囲であることが好ましい。電解液の比重は、浸透短絡又は凍結を抑制すると共に放電特性に更に優れる観点から、1.25以上が好ましく、1.28以上がより好ましく、1.285以上が更に好ましく、1.29以上が特に好ましい。電解液の比重は、充電受入性能及びサイクル特性が更に向上する観点から、1.33以下が好ましく、1.32以下がより好ましく、1.315以下が更に好ましく、1.31以下が特に好ましい。電解液の比重の値は、例えば、浮式比重計、又は、京都電子工業株式会社製のデジタル比重計によって測定することができる。
電解液のアルミニウムイオン濃度は、充電受入性能及びサイクル特性が更に向上する観点から、電解液の全量を基準として、0.001mol/L以上が好ましく、0.004mol/L以上がより好ましい。電解液のアルミニウムイオン濃度は、充電受入性能及びサイクル特性が更に向上する観点から、電解液の全量を基準として、0.2mol/L以下が好ましい。電解液のアルミニウムイオン濃度は、例えば、ICP発光分光分析法(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法)により測定することができる。
電解液のアルミニウムイオン濃度が前記所定範囲であることにより充電受入性能が向上するメカニズムの詳細については明らかではないが、以下のように推測される。すなわち、アルミニウムイオン濃度が前記所定範囲であると、任意の低SOC下において、放電生成物である結晶性硫酸鉛の電解液中への溶解度が上がるため、又は、アルミニウムイオンの高いイオン伝導性により電解液の電極活物質内部への拡散性が向上するためと推測される。
電解液のアルミニウムイオン濃度が前記所定範囲であることによりサイクル特性が向上するメカニズムの詳細については明らかではないが、以下のように推測される。アルミニウムイオンが電解液に含まれる場合、水酸化アルミニウムがセパレータ内、特に表層部に析出することで、セパレータ内で鉛の析出が抑制され、かつ析出物が成長しにくいことから、浸透短絡が抑制されると考えられる。
電槽は、内部に電極(極板等)を収納可能なものである。電槽は、電極を収納しやすい観点から、上面が開放された箱体と、この箱体の上面を覆う蓋体とを有するものが好ましい。なお、箱体と蓋体との接着には、接着剤、熱溶着、レーザ溶着、超音波溶着等を適宜用いることができる。電槽の形状としては、特に限定されるものではないが、電極(板状体である極板等)の収納時に無効空間が少なくなるように方形のものが好ましい。
電槽の材質は、特に制限されるものではないが、電解液(希硫酸等)に対し耐性を有するものである必要がある。電槽の材質の具体例としては、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ABS樹脂等が挙げられる。材質がPPであると、耐酸性、加工性(ABS樹脂では電槽と蓋の熱溶着が困難)、コストの面で有利である。
電槽が箱体及び蓋体により構成される場合、箱体及び蓋体の材質は、互いに同一の材質であってもよく、互いに異なる材質であってもよいが、無理な応力が発生しない観点から、熱膨張係数の等しい材質が好ましい。
化成条件及び硫酸の比重は電極活物質の性状に応じて調整することができる。また、化成処理は、組み立て工程後に実施されることに限られず、電極製造工程における熟成及び乾燥後に実施されてもよい(タンク化成)。
負極材に対する正極材の質量比(正極材/負極材)は、充分な電池容量が得られやすいと共に高い充電受け入れ性が得られやすい観点から、0.9以上が好ましく、1以上がより好ましく、1.05以上が更に好ましい。負極材に対する正極材の質量比は、充分な電池容量が得られやすい観点から、1.3以下が好ましく、1.2以下がより好ましく、1.15以下が更に好ましい。負極材に対する正極材の質量比は、充分な電池容量が得られやすいと共に高い充電受け入れ性が得られやすい観点から、0.9〜1.3が好ましく、1〜1.2がより好ましく、1.05〜1.15が更に好ましい。負極材に対する正極材の前記質量比は、化成後の負極材及び正極材の質量比である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明は下記の実施例のみに限定されるものではない。また、実施例で織布に用いた単繊維はE−ガラスからなり、単繊維径は9μmである。なお短繊維を200〜800本束ねて1本のヤーンとし、そのヤーンの本数で織布の密度を表記した。表1に、実施例で用いた織布について、厚み、質量密度(単位面積あたりの織布の質量)、ヤーンの密度を記載した。
(実施例1)
実施例1では、ガラス織布:平織りクロス(JIS R 3414準拠 EP11F)を用いた。
<鉛蓄電池の作製>
[正極板の作製]
正極活物質の原料として、鉛粉及び鉛丹(Pb3O4)を用いた(鉛粉:鉛丹=96:4(質量比))。正極活物質の原料と、正極活物質の原料の全質量を基準として0.07質量%の補強用短繊維(アクリル繊維)と、水とを混合して混練した。続いて、希硫酸(比重1.280、20℃換算以下同様)を少量ずつ添加しながら混練して、正極材ペーストを作製した。鉛合金からなる圧延シートにエキスパンド加工を施すことにより作製されたエキスパンド式集電体にこの正極材ペーストを充填した。次いで、正極材ペーストが充填された集電体を温度50℃、湿度98%の雰囲気で24時間熟成した。その後、乾燥して未化成の正極板を作製した。
実施例1では、ガラス織布:平織りクロス(JIS R 3414準拠 EP11F)を用いた。
<鉛蓄電池の作製>
[正極板の作製]
正極活物質の原料として、鉛粉及び鉛丹(Pb3O4)を用いた(鉛粉:鉛丹=96:4(質量比))。正極活物質の原料と、正極活物質の原料の全質量を基準として0.07質量%の補強用短繊維(アクリル繊維)と、水とを混合して混練した。続いて、希硫酸(比重1.280、20℃換算以下同様)を少量ずつ添加しながら混練して、正極材ペーストを作製した。鉛合金からなる圧延シートにエキスパンド加工を施すことにより作製されたエキスパンド式集電体にこの正極材ペーストを充填した。次いで、正極材ペーストが充填された集電体を温度50℃、湿度98%の雰囲気で24時間熟成した。その後、乾燥して未化成の正極板を作製した。
[負極板の作製]
負極活物質の原料として鉛粉を用いた。ビスフェノール系樹脂を0.2質量%(固形分換算、日本製紙(株)製、商品名:ビスパーズP215)、補強用短繊維(アクリル繊維)を0.1質量%、硫酸バリウムを1.0質量%、炭素材料(鱗片状黒鉛(粒径180μm))を2.0質量%含む混合物を前記鉛粉に添加した後に乾式混合した(前記配合量は、負極活物質の原料の全質量を基準とした配合量である)。前記ビスフェノール系樹脂の重量平均分子量は、前記記載の条件のGPCにより測定したところ、53900であった。前期鱗片状黒鉛の粒径は、前記記載の方法により、算術平均化した数値として得た。次に、水を10質量%加えた後に混練した。続いて、希硫酸(比重1.280)9.5質量%を少量ずつ添加しながら混練して、負極材ペーストを作製した。鉛合金からなる圧延シートにエキスパンド加工を施すことにより作製されたエキスパンド式集電体にこの負極材ペーストを充填した。次いで、負極材ペーストが充填された集電体を温度50℃、湿度98%の雰囲気で24時間熟成した。その後、乾燥して未化成の負極板を作製した。
負極活物質の原料として鉛粉を用いた。ビスフェノール系樹脂を0.2質量%(固形分換算、日本製紙(株)製、商品名:ビスパーズP215)、補強用短繊維(アクリル繊維)を0.1質量%、硫酸バリウムを1.0質量%、炭素材料(鱗片状黒鉛(粒径180μm))を2.0質量%含む混合物を前記鉛粉に添加した後に乾式混合した(前記配合量は、負極活物質の原料の全質量を基準とした配合量である)。前記ビスフェノール系樹脂の重量平均分子量は、前記記載の条件のGPCにより測定したところ、53900であった。前期鱗片状黒鉛の粒径は、前記記載の方法により、算術平均化した数値として得た。次に、水を10質量%加えた後に混練した。続いて、希硫酸(比重1.280)9.5質量%を少量ずつ添加しながら混練して、負極材ペーストを作製した。鉛合金からなる圧延シートにエキスパンド加工を施すことにより作製されたエキスパンド式集電体にこの負極材ペーストを充填した。次いで、負極材ペーストが充填された集電体を温度50℃、湿度98%の雰囲気で24時間熟成した。その後、乾燥して未化成の負極板を作製した。
[電池の組み立て]
まず、所定寸法長さの微多孔シートからなるポリエチレン製セパレータ(ベース部の厚みは0.2mm、リブの高さは0.6mmである)のリブを設けていない面上のおおよそ中央に平織りクロス(JIS R 3414準拠 EP11F)が配置されるように平織りクロスを重ね、長手方向のおおよそ中央において幅方向へU字状に折り曲げ、積層シートを得た。続いて、前記積層シートの両側部をメカニカルシールし、袋セパレータを得た。その後、袋セパレータ内の前記平織りクロスの相対する面同士の間に未化成の負極板を配置した。未化成の負極板を入れた袋状のセパレータ6枚と未化成の正極板5枚と、を交互に積層した。続いて、キャストオンストラップ(COS)方式で同極性の極板の耳部同士を溶接して極板群を作製した。極板群を電槽に挿入して2V単セル電池(JIS50301規定のB19サイズの単セルに相当)を組み立てた。アルミニウムイオン濃度が0.04mol/Lになるように硫酸アルミニウム無水物を溶解させた希硫酸をこの電池に注入し、化成後の前記電解液の比重が1.280となるようにした。その後、40℃の水槽中、通電電流10Aで16時間の条件で化成して鉛蓄電池を得た。また、化成後の負極材に対する正極材の質量比(正極材/負極材)は、1.2とした。化成後に測定した各種物性値を以下に示す。正極活物質の平均粒径は、0.8μmであった。正極材の比表面積は、6m2/gであった。また、負極活物質の平均粒径は、1.2μmであった。負極材の比表面積は、1.0m2/gであった。
<織布の種類>
実施例2〜8には以下の織布を使用した。各実施例は織布が異なること以外は実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製した。
(実施例2)
ガラス織布:平織りクロス(JIS R 3414準拠 EP16C)を用いた。
(実施例3)
ガラス織布:実施例2で用いた織布を2枚重ねて使用した。
(実施例4)
ガラス織布:平織りクロス(JIS R 3414準拠 EP18B)を用いた。
(実施例5)
ガラス織布:平織りクロス(JIS R 3414準拠 EP28A)を用いた。
(実施例6)
ガラス織布:平織り目開きクロス(JIS R 3414準拠 EP12D)を用いた。
(実施例7)
ガラス織布:平織り目開きクロス(JIS R 3414準拠 EP21A)を用いた。
(実施例8)
ガラス織布:平織り目開きクロス(JIS R 3414準拠 EP24)を用いた。
まず、所定寸法長さの微多孔シートからなるポリエチレン製セパレータ(ベース部の厚みは0.2mm、リブの高さは0.6mmである)のリブを設けていない面上のおおよそ中央に平織りクロス(JIS R 3414準拠 EP11F)が配置されるように平織りクロスを重ね、長手方向のおおよそ中央において幅方向へU字状に折り曲げ、積層シートを得た。続いて、前記積層シートの両側部をメカニカルシールし、袋セパレータを得た。その後、袋セパレータ内の前記平織りクロスの相対する面同士の間に未化成の負極板を配置した。未化成の負極板を入れた袋状のセパレータ6枚と未化成の正極板5枚と、を交互に積層した。続いて、キャストオンストラップ(COS)方式で同極性の極板の耳部同士を溶接して極板群を作製した。極板群を電槽に挿入して2V単セル電池(JIS50301規定のB19サイズの単セルに相当)を組み立てた。アルミニウムイオン濃度が0.04mol/Lになるように硫酸アルミニウム無水物を溶解させた希硫酸をこの電池に注入し、化成後の前記電解液の比重が1.280となるようにした。その後、40℃の水槽中、通電電流10Aで16時間の条件で化成して鉛蓄電池を得た。また、化成後の負極材に対する正極材の質量比(正極材/負極材)は、1.2とした。化成後に測定した各種物性値を以下に示す。正極活物質の平均粒径は、0.8μmであった。正極材の比表面積は、6m2/gであった。また、負極活物質の平均粒径は、1.2μmであった。負極材の比表面積は、1.0m2/gであった。
<織布の種類>
実施例2〜8には以下の織布を使用した。各実施例は織布が異なること以外は実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製した。
(実施例2)
ガラス織布:平織りクロス(JIS R 3414準拠 EP16C)を用いた。
(実施例3)
ガラス織布:実施例2で用いた織布を2枚重ねて使用した。
(実施例4)
ガラス織布:平織りクロス(JIS R 3414準拠 EP18B)を用いた。
(実施例5)
ガラス織布:平織りクロス(JIS R 3414準拠 EP28A)を用いた。
(実施例6)
ガラス織布:平織り目開きクロス(JIS R 3414準拠 EP12D)を用いた。
(実施例7)
ガラス織布:平織り目開きクロス(JIS R 3414準拠 EP21A)を用いた。
(実施例8)
ガラス織布:平織り目開きクロス(JIS R 3414準拠 EP24)を用いた。
(比較例1)
負極板に当接させる織布を以下の無機不織布に変更したこと以外は実施例1と同様の方法により鉛蓄電池を作製した。用いた無機不織布はC−ガラスからなり、厚みは0.3mm、質量密度は50g/m2、繊維径約1μmの不織布を用いた。本比較例と実施例3は同じ厚みでの比較とした。
負極板に当接させる織布を以下の無機不織布に変更したこと以外は実施例1と同様の方法により鉛蓄電池を作製した。用いた無機不織布はC−ガラスからなり、厚みは0.3mm、質量密度は50g/m2、繊維径約1μmの不織布を用いた。本比較例と実施例3は同じ厚みでの比較とした。
(比較例2)
織布及び不織布を用いず、負極板をポリエチレン製の袋状セパレータの内部に配置したこと以外は実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製した。
織布及び不織布を用いず、負極板をポリエチレン製の袋状セパレータの内部に配置したこと以外は実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製した。
<電池特性の評価>
前記の鉛蓄電池について、PSOCサイクル、5時間率容量、低温高率放電性能、充電受入性能を下記のとおり測定した。結果を表1に示す。
前記の鉛蓄電池について、PSOCサイクル、5時間率容量、低温高率放電性能、充電受入性能を下記のとおり測定した。結果を表1に示す。
(PSOCサイクル評価)
PSOCサイクル評価は次のように行った。電池温度が25℃になるように雰囲気温度を調整し、45A−59秒間、300A−1秒間の定電流放電を行った後、100A−14V−60秒間の定電流・定電圧充電を1サイクルとする試験を7200サイクル行った。この試験はISS車での鉛蓄電池の使われ方を模擬したサイクル試験である。このサイクル試験では、放電量に対して充電量が少ないため、充電が完全に行われないと徐々に充電不足になり、その結果、放電電流を300Aとして1秒間放電した時の1秒目電圧が徐々に低下する。すなわち、定電流・定電圧充電時に負極が分極して早期に定電圧充電に切り替わると、充電電流が減衰して充電不足になる。この寿命試験では、300A放電時の1秒目電圧が7.2Vを下回ったときを、その電池の寿命と判定した。PSOCサイクル評価は、比較例2の測定結果を100として相対評価した。
PSOCサイクル評価は次のように行った。電池温度が25℃になるように雰囲気温度を調整し、45A−59秒間、300A−1秒間の定電流放電を行った後、100A−14V−60秒間の定電流・定電圧充電を1サイクルとする試験を7200サイクル行った。この試験はISS車での鉛蓄電池の使われ方を模擬したサイクル試験である。このサイクル試験では、放電量に対して充電量が少ないため、充電が完全に行われないと徐々に充電不足になり、その結果、放電電流を300Aとして1秒間放電した時の1秒目電圧が徐々に低下する。すなわち、定電流・定電圧充電時に負極が分極して早期に定電圧充電に切り替わると、充電電流が減衰して充電不足になる。この寿命試験では、300A放電時の1秒目電圧が7.2Vを下回ったときを、その電池の寿命と判定した。PSOCサイクル評価は、比較例2の測定結果を100として相対評価した。
(5時間率容量)
作製した電池において、25℃、5.6Aで定電流放電し、セル電圧が1.75Vを下回るまでの放電持続時間から5時間率容量を算出した。5時間率容量は、比較例2の測定結果を100として相対評価した。
作製した電池において、25℃、5.6Aで定電流放電し、セル電圧が1.75Vを下回るまでの放電持続時間から5時間率容量を算出した。5時間率容量は、比較例2の測定結果を100として相対評価した。
(低温高率放電性能)
作製した電池において、電池温度を−15℃に調整し、150Aで定電流放電し、セル電圧が1.0Vを下回るまでの放電持続時間を測定した。低温高率放電性能は、比較例2の測定結果を100として相対評価した。
作製した電池において、電池温度を−15℃に調整し、150Aで定電流放電し、セル電圧が1.0Vを下回るまでの放電持続時間を測定した。低温高率放電性能は、比較例2の測定結果を100として相対評価した。
(充電受入性能)
作製した電池において、25℃、5.6Aで30分間定電流放電し、6時間放置した後、100Aの制限電流の下、2.33Vで60秒間の定電圧充電し、充電開始から5秒目の電流値を測定した。充電受入性能は、比較例2の測定結果を100として相対評価した。
作製した電池において、25℃、5.6Aで30分間定電流放電し、6時間放置した後、100Aの制限電流の下、2.33Vで60秒間の定電圧充電し、充電開始から5秒目の電流値を測定した。充電受入性能は、比較例2の測定結果を100として相対評価した。
比較例2に対して、不織布を配置した比較例1では、PSOCサイクルは200%に向上している。これは、不織布と負極板が相対する方向に対して垂直な方向の成層化防止に効果があり、PSOCサイクルが向上していると解釈できる。一方で、5時間率容量、低温高率放電性能、充電受入性能は10%低下することが確認された。この理由として、不織布を配置すると不織布の繊維がランダムに配向しているため、電池反応(充放電)に必要な硫酸イオン種が、不織布と負極板が相対する方向に移動する際、大きな抵抗として作用するためであると推測する。
実施例1〜8では、比較例2に対して、PSOCサイクルが大幅に優れることが確認された。これは、織布と負極板が相対する方向に対して垂直な方向の成層化防止に、不織布を用いた比較例1を上回る効果があり、PSOCサイクルが大幅に向上していると推測できる。更に、5時間率容量、低温高率放電性能、充電受入性能に関して、不織布を用いた比較例1よりも優れることが確認された。織布は、負極板と織布とが相対する方向に対してのスムースな硫酸イオン種の移動が可能となるため、当該イオン種の、織布と負極板が相対する方向に移動する際の抵抗が抑制され、5時間率容量、低温高率放電性能、充電受入性能が向上すると推測する。
以上のように、本発明は、PSOC下での寿命性能を従来技術(比較例1)と比較して向上させた鉛蓄電池を提供することができる。このような本発明は、ISS車、発電制御車等のマイクロハイブリッド車等へ適用することが好ましい。
10…セパレータ、10a…一方面、10b…他方面、11…ベース部、12…リブ、
13…ミニリブ、14…正極板、15…負極板、16…織布、20…袋セパレータ、22…メカニカルシール部、A…リブの下底幅、B…リブの上底幅、H…リブの高さ、T…ベース部の厚み
1:負極板、2:織布、3:微多孔シートからなるセパレータ、4:正極板
13…ミニリブ、14…正極板、15…負極板、16…織布、20…袋セパレータ、22…メカニカルシール部、A…リブの下底幅、B…リブの上底幅、H…リブの高さ、T…ベース部の厚み
1:負極板、2:織布、3:微多孔シートからなるセパレータ、4:正極板
Claims (4)
- 正極、負極、セパレータ及び織布を備える鉛蓄電池であって、前記負極板と前記織布が相対し、前記織布が前記負極板とセパレータとの間に配置される鉛蓄電池。
- 前記織布がヤーンから構成され、前記ヤーンの密度が3本/cm2以上である請求項1記載の鉛蓄電池。
- 前記織布の質量密度が、15g/m2以上である、請求項1又は2記載の鉛蓄電池。
- 前記織布の厚みが、2.0mm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の鉛蓄電池。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015176511A JP2017054629A (ja) | 2015-09-08 | 2015-09-08 | 鉛蓄電池 |
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JP2015176511A Pending JP2017054629A (ja) | 2015-09-08 | 2015-09-08 | 鉛蓄電池 |
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Country | Link |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019021692A1 (ja) | 2017-07-24 | 2019-01-31 | 株式会社Gsユアサ | 鉛蓄電池 |
JP2019102282A (ja) * | 2017-12-04 | 2019-06-24 | 日立化成株式会社 | 鉛蓄電池 |
EP3595054A4 (en) * | 2017-04-28 | 2020-04-01 | GS Yuasa International Ltd. | LEAD-ACID BATTERY |
EP3588639A4 (en) * | 2017-04-28 | 2020-04-01 | GS Yuasa International Ltd. | LEAD BATTERY |
-
2015
- 2015-09-08 JP JP2015176511A patent/JP2017054629A/ja active Pending
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EP3588639A4 (en) * | 2017-04-28 | 2020-04-01 | GS Yuasa International Ltd. | LEAD BATTERY |
WO2019021692A1 (ja) | 2017-07-24 | 2019-01-31 | 株式会社Gsユアサ | 鉛蓄電池 |
JP2019102282A (ja) * | 2017-12-04 | 2019-06-24 | 日立化成株式会社 | 鉛蓄電池 |
JP7152831B2 (ja) | 2017-12-04 | 2022-10-13 | 昭和電工マテリアルズ株式会社 | 鉛蓄電池 |
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