JP2017228489A - 鉛蓄電池 - Google Patents

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隆文 近藤
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Nobukazu Tanaka
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隆之 木村
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Kohei Shimada
康平 島田
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Abstract

【課題】正極板の上部とセパレータの上部との間に多孔層を配置することなく、優れたISSサイクル特性を有した鉛蓄電池を提供する。
【解決手段】正極板及び負極板を備え、前記正極板は正極材によって構成される正極材充填部と、前記正極材充填部を支持する正極集電体とを有し、前記正極材充填部上部(A)の厚みが、前記正極材充填部下部(B)の厚みよりも薄い、鉛蓄電池。前記正極材充填部上部(A)の厚みと前記正極材充填部下部(B)の厚みとの比((A)の厚み/(B)の厚み)が0.98以下であると好ましい。
【選択図】図4

Description

本発明は、鉛蓄電池に関するものである。
近年、自動車においては、大気汚染防止又は地球温暖化防止のため、様々な燃費向上対策が検討されている。燃費向上対策を施した自動車としては、例えば、エンジンの動作時間を少なくするアイドリングストップシステム車(以下、「ISS車」という)、エンジンの動力によるオルタネータの発電を低減する発電制御車等のマイクロハイブリッド車等が検討されている。
ISS車では、エンジンの始動回数が多くなるため、鉛蓄電池の繰り返しの充放電回数が多くなる。ISS車は頻繁に始動、停止が繰り返されることにより、始動時の大電流放電及び電池への急速充電が頻繁に増えることで電池への負荷が多くなる。ISS車は、エンジン停止後の始動回数が多くなること、及び車両の電装品の電気負荷が大きくなることにより、鉛蓄電池に対する負荷が大きくなることから電池寿命特性もこれまでと比較して、高寿命化が要求される。そのため、サイクル寿命特性(以下、「サイクル特性」という)が重要視されている。
一方、車両制御としては、エンジンを停止したり、走行中の制御電圧も低い環境下で電池が使用されるため、電池内部での電解液が攪拌されず、濃い濃度の硫酸が電池下部に溜まり、電池上部下部での電解液の硫酸濃度差が生じる成層化という現象が起こりやすい。この成層化現象が起こることによって、電池下部での充放電反応が起こりにくくなり、上部のみで反応が起こる。この反応不均一が寿命低下へとつながる。特に正極板の上部の活物質の粒子間結合が乏しくなり、泥状化(軟化・脱落)と呼ばれる現象で寿命に至ることが知られている。
特開2015−176638号公報
特許文献1は、正極板の上部とセパレータの上部との間に、多孔層を配置することにより、正極電極材料の軟化・脱落を抑制でき、かつこれに電解液の成層化を抑制できることが加わって、液式鉛蓄電池の寿命性能を向上し得る技術を開示している。しかしながら、特許文献1の技術は寿命特性が向上する一方で、多孔層を必要とするためコスト的に不利である。更に、多孔層を配置することで低温高率放電性能及び充電受入性能が低下していることが開示されている。そこで、正極板に対して別の手法によって寿命特性を向上させる必要がある。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、正極板の上部とセパレータの上部との間に多孔層を配置することなく、優れたISSサイクル特性を有した鉛蓄電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、正極材充填部上部(A)の厚みが、前記正極材充填部下部(B)の厚みよりも薄い鉛蓄電池を用いることにより、前記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明に係る鉛蓄電池は、正極板及び負極板を備え、前記正極板は正極材によって構成される正極材充填部と、前記正極材充填部を支持する正極集電体とを有し、前記正極材充填部上部(A)の厚みが、前記正極材充填部下部(B)の厚みよりも薄い、鉛蓄電池である。
本発明に係る鉛蓄電池によれば、正極材充填部上部(A)の厚みを前記正極材充填部下部(B)の厚みよりも薄くすることで、前記正極材充填部下部(B)で発生したガスが電解液中で正極材充填部上部(A)方向に抜けやすくなり、電解液が発生したガスにより攪拌され、成層化が抑制されると考えられる。その結果、正極板の上部とセパレータの上部との間に多孔層を配置しなくても、サイクル特性を向上させることができると考えられる。
本発明に係る鉛蓄電池は、前記正極材充填部上部(A)の厚みと前記正極材充填部下部(B)の厚みとの比(A)/(B)が0.98以下であることにより、更にサイクル特性に優れる。また、本発明に係る鉛蓄電池は、前記正極材充填部上部(A)に充填された正極材の密度が3.6g/cm以上であることにより、更にサイクル特性に優れる。
本発明に係る鉛蓄電池は、優れたサイクル特性を有する。このような鉛蓄電池は、ISS車、マイクロハイブリッド車等の用途として特に優れる。
微多孔シートからなるセパレータを示す図面である。 微多孔シートからなるセパレータ及び電極板の断面図である。 袋セパレータ及び袋セパレータに収容される電極を示す図である。 極板群の断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、密度、比重は、温度によって変化するため、本明細書においては20℃で換算した密度、比重と定義する。
<鉛蓄電池>
本実施形態に係る鉛蓄電池は、例えば、電極(電極板等)、電解液(硫酸等)及びセパレータを備えている。電極は、正極(正極板等)及び負極(負極板等)を有している。本実施形態に係る鉛蓄電池としては、液式鉛蓄電池、制御弁式鉛蓄電池、密閉式鉛蓄電池等が挙げられ、液式鉛蓄電池が好ましい。正極は、集電体(正極集電体)と、当該集電体に保持された正極材と、を有している。負極は、集電体(負極集電体)と、当該集電体に保持された負極材と、を有している。本実施形態において正極材及び負極材は、例えば、化成後(例えば満充電状態)の電極材である。電極材が未化成である場合、電極材(未化正極材及び未化負極材)は、電極活物質(正極活物質及び負極活物質)の原料等を含有している。集電体は、電極材からの電流の導電路を構成する。従来の鉛蓄電池と同様の構成を用いることができる。
本実施形態において、正極材の集電部上部における正極材充填部(極板厚み)を、前記正極材の集電体下部における正極材充填部(極板厚み)よりも薄くしている。
(正極板)
正極板は、正極集電体と、正極集電体に充填された正極材とを備え、正極材は正極材充填部を構成している。正極集電体は、正極集電部(正極耳部)を有する。
正極板のうち、正極材が充填された部分が正極材充填部となる。なお、正極材充填部は、正極板の表裏面に形成される。通常、正極集電体の全面に正極材が充填されるが、必ずしも正極集電体の全面に正極材が充填される必要はなく、正極集電体の一部に正極材が充填されない部分があってもよい。
(正極集電体)
正極集電体は、正極材支持部と、正極材支持部の上側に帯状に形成された上側フレーム部(上部周縁部)と、上側フレーム部に設けられた正極集電部とを備える。正極集電部は、例えば、上側フレーム部から部分的に上方に突出するように設けられている。正極材支持部の外形は例えば矩形(長方形又は正方形)であり、格子状に形成されている。正極材支持部は、下方の隅部が切り落とされた形状であってもよい。正極集電体は正極材からの電流の導電路を構成するものである。正極集電体は、鋳造格子体、エキスパンド格子体等の集電体格子などが挙げられる。正極集電体の材質としては、例えば、鉛−カルシウム−錫合金、鉛−カルシウム合金及び鉛−アンチモン合金が挙げられる。これらにセレン、銀、ビスマス等を微量添加することができる。例えば、これらの材質を重力鋳造法、エキスパンド法、打ち抜き法等で格子状に形成することにより正極集電体を得ることができる。正極集電体及び負極集電体は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
(正極材)[正極活物質]
正極材は、正極活物質を含有している。正極活物質は、正極活物質の原料を含む正極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成活物質を得た後に化成することで得ることができる。化成後の正極活物質は、β−二酸化鉛(β−PbO2)を含むことが好ましく、α−二酸化鉛(α−PbO2)を更に含んでいてもよい。正極活物質の原料としては、特に制限はなく、例えば鉛粉が挙げられる。鉛粉としては、例えば、ボールミル式鉛粉製造機又はバートンポット式鉛粉製造機によって製造される鉛粉(ボールミル式鉛粉製造機においては、主成分PbOの粉体と鱗片状金属鉛の混合物)が挙げられる。正極活物質の原料として鉛丹(Pb34)を用いてもよい。未化成の正極材は、主成分として、三塩基性硫酸鉛を含む未化成正極活物質を含有することが好ましい。
正極活物質の平均粒径は、充電受け入れ性及びサイクル特性が更に向上する観点から、0.3μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、0.7μm以上が更に好ましい。正極活物質の平均粒径は、サイクル特性が更に向上する観点から、2.5μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましく、1.5μm以下が更に好ましい。正極活物質の前記平均粒径は、化成後の正極材における正極活物質の平均粒径である。正極活物質の平均粒径は、例えば、化成後の正極中央部の正極材における縦10μm、横10μmの範囲の走査型電子顕微鏡写真(1000倍)の画像内における全ての活物質粒子の長辺長さ(最大粒径)の値を算術平均化した数値として得ることができる。
正極活物質の含有量は、電池特性(低温高率放電性能、充電受け入れ性、サイクル特性等)に更に優れる観点から、正極材の全質量を基準として、95質量%以上が好ましく、97質量%以上がより好ましく、99質量%以上が更に好ましい。
[正極添加剤]
正極材は、添加剤を更に含有していてもよい。添加剤としては、炭素材料(炭素質導電材)、補強用短繊維等が挙げられる。炭素材料としては、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック(ケッチェンブラック等)、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等が挙げられる。補強用短繊維としては、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、炭素繊維等が挙げられる。
[正極材の物性]
正極材の比表面積の下限は、充電受入性能に更に優れる観点から、3m2/g以上が好ましく、4m2/g以上がより好ましく、5m2/g以上が更に好ましい。正極材の比表面積の上限は、特に制限はないが、実用的な観点及び利用率に優れる観点から、15m2/g以下が好ましく、12m2/g以下がより好ましく、7m2/g以下が更に好ましい。正極材の前記比表面積は、化成後の正極材の比表面積である。正極材の比表面積は、例えば、正極材ペーストを作製する際の硫酸及び水の添加量を調整する方法、未化成活物質の段階で活物質を微細化させる方法、化成条件を変化させる方法等により調整することができる。
正極材の比表面積は、例えば、BET法で測定することができる。BET法は、一つの分子の大きさが既知の不活性ガス(例えば窒素ガス)を測定試料の表面に吸着させ、その吸着量と不活性ガスの占有面積とから表面積を求める方法であり、比表面積の一般的な測定手法である。
正極材の多孔度は、正極材中の孔に硫酸が入り込む領域が多くなり容量が増加しやすい観点から、40%以上が好ましく、45%以上がより好ましい。正極材の多孔度の上限に特に制限はないが、正極材中の空孔部への硫酸含浸量が適度あり、活物質同士の結合力を良好に維持できる観点から、70%以下が好ましい。多孔度の上限は、実用的な観点から、60%以下がより好ましい。正極材の前記多孔度は、化成後の正極材の多孔度である。
なお、正極材の多孔度は、例えば、水銀ポロシメーター測定から得られる値(体積基準の割合)である。正極材の多孔度は、例えば、正極材ペーストを作製する際に加える希硫酸の添加量を適宜変えて未化正極板を作製することにより、調整することができる。
(負極材)[負極活物質]
負極材は、負極活物質を含有している。負極活物質は、負極活物質の原料を含む負極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成活物質を得た後に化成することで得ることができる。化成後の負極活物質としては、海綿状鉛(Spongylead)等が挙げられる。前記海綿状鉛は、電解液中の硫酸と反応して、次第に硫酸鉛(PbSO4)に変わる傾向がある。負極活物質の原料としては、鉛粉等が挙げられる。鉛粉としては、例えば、ボールミル式鉛粉製造機又はバートンポット式鉛粉製造機によって製造される鉛粉(ボールミル式鉛粉製造機においては、主成分PbOの紛体と鱗片状金属 鉛の混合物)が挙げられる。未化成の負極材は、例えば、塩基性硫酸鉛及び金属鉛、並びに、低級酸化物から構成される。
負極活物質の平均粒径は、充電受入性能及びサイクル特性が更に向上する観点から、0.3μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、0.7μm以上が更に好ましい。負極活物質の平均粒径は、サイクル特性が更に向上する観点から、2.5μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましく、1.5μm以下が更に好ましい。負極活物質の前記平均粒径は、化成後の負極材における負極活物質の平均粒径である。負極活物質の平均粒径は、例えば、化成後の負極材の中央部における縦10μm、横10μmの範囲の走査型電子顕微鏡写真(1000倍)の画像内における全ての粒子の長辺長さ(最大粒径)の値を算術平均化した数値として得ることができる。
負極活物質の含有量は、電池特性(容量、低温高率放電性能、充電受け入れ性、サイクル特性等)に更に優れる観点から、負極材の全質量を基準として、93質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上が更に好ましい。
[負極添加剤]
負極材は、添加剤を更に含有していてもよい。負極添加剤としては、スルホン基(スルホン酸基、スルホ基)及びスルホン酸塩基(スルホン基の水素がアルカリ金属で置換された基等)からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂(スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂)、硫酸バリウム、炭素材料(炭素質導電材)、補強用短繊維等が挙げられる。充放電性能を更に向上させることができる観点から、負極材は、スルホン基及びスルホン酸塩基からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂を含有することが好ましい。
[スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂]
スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂としては、ビスフェノール系樹脂、リグニンスルホン酸、リグニンスルホン酸塩等が挙げられる。これらの中でも、充電受け入れ性が更に向上する観点から、ビスフェノール系樹脂が好ましく、ビスフェノール系化合物と、アミノアルキルスルホン酸、アミノアルキルスルホン酸誘導体、アミノアリールスルホン酸及びアミノアリールスルホン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種との縮合物であるビスフェノール系樹脂がより好ましい。
ビスフェノール系樹脂は、例えば、下記一般式(II)で表される構造単位、及び、下記一般式(III)で表される構造単位の少なくとも一方を有することが好ましい。
Figure 2017228489
[一般式(II)中、X2は、2価の基を示し、A2は、炭素数1〜4のアルキレン基、又は、アリーレン基を示し、R21、R23及びR24は、それぞれ独立にアルカリ金属又は水素原子を示し、R22は、メチロール基(−CH2OH)を示し、n21は、1〜150の整数を示し、n22は、1〜3の整数を示し、n23は、0又は1を示す。また、ベンゼン環を構成する炭素原子に直接結合している水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい。]
Figure 2017228489
[一般式(III)中、X3は、2価の基を示し、A3は、炭素数1〜4のアルキレン基、又は、アリーレン基を示し、R31、R33及びR34は、それぞれ独立にアルカリ金属又は水素原子を示し、R32は、メチロール基(−CH2OH)を示し、n31は、1〜150の整数を示し、n32は、1〜3の整数を示し、n33は、0又は1を示す。また、ベンゼン環を構成する炭素原子に直接結合している水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい。]
一般式(II)で表される構造単位、及び、一般式(III)で表される構造単位の比率は、特に制限はなく、合成条件等によって変化し得る。ビスフェノール系樹脂としては、一般式(II)で表される構造単位、及び、一般式(III)で表される構造単位のいずれか一方のみを有する樹脂を用いてもよい。
前記X2及びX3としては、例えば、アルキリデン基(メチリデン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、sec−ブチリデン基等)、シクロアルキリデン基(シクロヘキシリデン基等)、フェニルアルキリデン基(ジフェニルメチリデン基、フェニルエチリデン基等)などの有機基;スルホニル基が挙げられ、充電受け入れ性に更に優れる観点からはイソプロピリデン基(−C(CH32−)基が好ましく、放電特性に更に優れる観点からはスルホニル基(−SO2−)が好ましい。前記X2及びX3は、フッ素原子等のハロゲン原子により置換されていてもよい。前記X2及びX3がシクロアルキリデン基である場合、炭化水素環はアルキル基等により置換されていてもよい。
2及びA3としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の炭素数1〜4のアルキレン基;フェニレン基、ナフチレン基等の2価のアリーレン基が挙げられる。前記アリーレン基は、アルキル基等により置換されていてもよい。
21、R23、R24、R31、R33及びR34のアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。n21及びn31は、サイクル特性及び溶媒への溶解性に更に優れる観点から、1〜150が好ましく、10〜150がより好ましい。n22及びn32は、サイクル特性、放電特性及び充電受け入れ性がバランス良く向上しやすい観点から、1又は2が好ましく、1がより好ましい。n23及びn33は、製造条件により変化するが、サイクル特性及びビスフェノール系樹脂の保存安定性に更に優れる観点から、0が好ましい。
スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂(ビスフェノール系樹脂等)の重量平均分子量は、スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂が鉛蓄電池において電極から電解液に溶出することを抑制することによりサイクル特性が向上しやすくなる観点から、3000以上が好ましく、10000以上がより好ましく、20000以上が更に好ましく、30000以上が特に好ましい。スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂の重量平均分子量は、電極活物質に対する吸着性が低下して分散性が低下することを抑制することによりサイクル特性が向上しやすくなる観点から、200000以下が好ましく、150000以下がより好ましく、100000以下が更に好ましい。
スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂の重量平均分子量は、例えば、下記条件のゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)により測定することができる。
(GPC条件)
装置:高速液体クロマトグラフ LC−2200 Plus(日本分光株式会社製)
ポンプ:PU−2080
示差屈折率計:RI−2031
検出器:紫外可視吸光光度計UV−2075(λ:254nm)
カラムオーブン:CO−2065
カラム:TSKgel SuperAW(4000)、TSKgel SuperAW(3000)、TSKgel SuperAW(2500)(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
溶離液:LiBr(10mmol/L)及びトリエチルアミン(200mmol/L)を含有するメタノール溶液
流速:0.6mL/分
分子量標準試料:ポリエチレングリコール(分子量:1.10×106、5.80×105、2.55×105、1.46×105、1.01×105、4.49×104、2.70×104、2.10×104;東ソー株式会社製)、ジエチレングリコール(分子量:1.06×102;キシダ化学株式会社製)、ジブチルヒドロキシトルエン(分子量:2.20×102;キシダ化学株式会社製)
ISS車、マイクロハイブリッド車等に搭載される鉛蓄電池は、PSOC(Partial state of charge,不完全充電状態)と呼ばれる部分充電状態で使用される。このような状況下で使用される鉛蓄電池においては、放電の際に負極活物質に生成される絶縁体である硫酸鉛が充放電の繰り返しに伴って粗大化していく、サルフェーションと呼ばれる現象が早期に生じる。サルフェーションが起ると、負極活物質の充電受入れ性及び放電性能が著しく低下する。負極活物質に炭素質導電材を添加することにより、硫酸鉛の粗大化を抑制し、硫酸鉛を微細な状態に維持して、硫酸鉛から溶け出す鉛イオンの濃度が低下するのを抑制し、充電受入性能が高い状態を維持する効果が得られる。
[炭素材料(炭素質導電材)]
炭素質導電材は、例えば、黒鉛、カーボンブラック、活性炭、炭素繊維、カーボンナノチューブ等が挙げられる。炭素質導電材の添加量は、満充電状態の負極活物質(海綿状金属鉛)100質量部に対し0.1〜3質量部が好ましい。充電受入性が向上する観点からは黒鉛が好ましく、更に充電受入性が向上する観点からは鱗片状黒鉛がより好ましい。鱗片状黒鉛の平均一次粒子径は、充電受入性が向上する観点から100μm〜500μmが好ましく、100μm〜350μmがより好ましく、100μm〜220μmが更に好ましい。
ここでいう鱗片状黒鉛とは、JIS M 8601(2005)(天然黒鉛)記載のものを指す。鱗片状黒鉛の電気抵抗率は、0.02Ω・cm以下で、アセチレンブラックなどのカーボンブラック類の0.1Ω・cm前後より一桁小さい。従って、従来の鉛蓄電池で用いられているカーボンブラック類に替えて鱗片状黒鉛を用いることにより、負極活物質の電気抵抗を下げて、充電受入性能を改善することができる。
ここで、鱗片状黒鉛の平均一次粒子径は、JISM8511(2005)(天然黒鉛の工業分析及び試験方法)記載のレーザ回折・散乱法に準拠して求める。レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製:マイクロトラック9220FRA)を用い、分散剤として市販の界面活性剤ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(例えば、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製:トリトンX−100)を0.5体積%含有する水溶液に鱗片状黒鉛試料を適量投入し、撹拌しながら40Wの超音波を180秒照射した後、測定を行なう。求められた平均粒子径(メディアン径:D50)の値を平均一次粒子径とする。
[補強用短繊維]
補強用短繊維は、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、炭素繊維等が挙げられる。
(電解液)
電解液は、過放電時の短絡を抑制する観点から、アルミニウムイオンを含むことが好ましい。電解液がアルミニウムイオンを含むことにより、水酸化アルミニウムがセパレータ内、特に表層部に析出することで、鉛の析出を抑制することから短絡を抑制することができると推測される。
<鉛蓄電池の製造方法>
本実施形態に係る鉛蓄電池の製造方法は、例えば、電極(正極及び負極)を得る電極製造工程と、前記電極を含む構成部材を組み立てて鉛蓄電池を得る組み立て工程とを備えている。
電極製造工程では、例えば、電極材ペースト(正極材ペースト及び負極材ペースト)を集電体(例えば、鋳造格子体、エキスパンド格子体等の集電体格子)に充填した後に、熟成及び乾燥を行うことにより未化成の電極を得る。正極材ペーストは、例えば、正極活物質の原料(鉛粉等)を含有しており、他の添加剤を更に含有していてもよい。負極材ペーストは、負極活物質の原料(鉛粉等)を含有しており、分散剤として、スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂(ビスフェノール系樹脂等)を含有していることが好ましく、他の添加剤を更に含有していてもよい。
正極材ペーストは、例えば、下記の方法により得ることができる。まず、正極活物質の原料に添加剤(補強用短繊維等)及び水を加える。次に、希硫酸を加えた後、混練して正極材ペーストが得られる。正極材ペーストを作製するに際しては、化成時間を短縮できる観点から、正極活物質の原料として鉛丹(Pb)を用いてもよい。この正極材ペーストを正極集電体に充填した後に熟成及び乾燥を行うことにより未化成の正極板を得ることができる。
本発明では、正極材充填部上部(A)の厚みを正極材充填部下部(B)の厚みよりも薄くすることで、正極材充填部下部(B)で発生したガスが電解液中で正極材充填部上部(A)方向に抜けやすくなり、電解液が発生したガスにより攪拌され、成層化が抑制されると考えられる。その結果、サイクル特性を向上させることができると考えられる。正極材充填部上部(A)の厚みを前記正極材充填部下部(B)の厚みよりも薄くする方法として、例えば、正極材を集電体に充填した直後、正極板充填部(A)をプレスする手法が挙げられる。
本発明に係る鉛蓄電池は、前記正極材充填部上部(A)の厚みと前記正極材充填部下部(B)の厚みとの比(A)/(B)が0.98以下であることが好ましい。さらに、前記(A)/(B)が0.94以下であることがより好ましく、0.90以下であることが更に好ましい。しかしながら、極板厚みは集電体の厚みにより規制されるため、上部厚みと下部厚みの割合が0.85以下は物理的に厚みを確保することは困難である。これにより、前記正極板の上部厚みを下部厚みに対して薄くすることで、極板表面で発生したガスが下部に溜まらず、上部へと抜けることができ、成層化を抑制しサイクル特性を向上させることができる。
正極材ペーストにおいて補強用短繊維を用いる場合、補強用短繊維の配合量は、正極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として、0.005〜0.3質量%が好ましく、0.05〜0.3質量%であってもよい。
未化成の正極板を得るための熟成条件としては、温度35〜85℃、湿度50〜98%RHの雰囲気で15〜60時間が好ましい。乾燥条件は、温度45〜80℃で15〜30時間が好ましい。
[正極材の密度の測定]
正極材の密度は、以下のようにして測定できる。化成後の正極材を約1時間水洗した後、窒素雰囲気下、60℃で20時間乾燥する。次に、乾燥した前記正極材の上部及び下部をそれぞれ採取する。分析装置として株式会社島津製作所製のポロシメータ(オートポアIV9500)装置を用いて、水銀圧入方式で測定圧2.00psiの細孔容積と乾燥質量の関係から正極材の密度を測定する。測定条件の詳細は下記のとおりである。
{正極材の密度(見かけ密度)の測定条件}
分析装置:オートポアIV9500(株式会社島津製作所製)
水銀圧入圧:0〜354kPa(低圧)、大気圧〜414MPa(高圧)
各測定圧力での圧力保持時間:900s(低圧)、1200s(高圧)
試料と水銀との接触角:130°
水銀の表面張力:480〜490mN/m
水銀の密度:13.5335g/mL
未化成の正極を得るための熟成条件としては、温度35〜85℃、湿度50〜98%RHの雰囲気で15〜60時間が好ましい。乾燥条件は、温度45〜80℃で15〜30時間が好ましい。
負極材ペーストは、例えば、下記の方法により得ることができる。まず、負極活物質の原料に添加剤(スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂、補強用短繊維、硫酸バリウム等)を添加して乾式混合することにより混合物を得る。そして、この混合物に硫酸(希硫酸等)及び溶媒(イオン交換水等の水、有機溶媒など)を加えて混練することにより負極材ペーストが得られる。上記の方法により、密度の異なる負極材ペーストを二つ作製する。まず、前記二つの負極材ペーストの内、密度のより大きい負極材ペーストを集電体(例えば、鋳造格子体、エキスパンド格子体等の集電体格子)に充填する。続いて、前記二つの負極材ペーストの内、密度のより小さい負極材ペーストを前記集電体に充填する。後に、熟成及び乾燥を行うことにより未化成の負極を得ることができる。
負極材ペーストにおいて、スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂(ビスフェノール系樹脂等)、炭素材料、補強用短繊維又は硫酸バリウムを用いる場合、各成分の配合量は下記の範囲が好ましい。スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂の配合量は、負極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として、樹脂固形分換算で、0.01〜2.0質量%が好ましく、0.05〜1.0質量%がより好ましく、0.1〜0.5質量%が更に好ましく、0.1〜0.3質量%が特に好ましい。炭素材料の配合量は、負極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として、0.1〜3質量%が好ましく、0.2〜1.4質量%がより好ましい。補強用短繊維の配合量は、負極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として0.05〜0.15質量%が好ましい。硫酸バリウムの配合量は、負極活物質の原料(鉛粉等)の全質量を基準として、0.01〜2.0質量%が好ましく、0.01〜1.0質量%がより好ましい。
未化成の負極を得るための熟成条件としては、温度45〜65℃、湿度70〜98%RHの雰囲気で15〜30時間が好ましい。乾燥条件は、温度45〜60℃で15〜30時間が好ましい。
組み立て工程では、例えば、前記のように作製した未化成の負極及び未化成の正極を、セパレータを介して交互に積層し、同極性の電極の集電部をストラップで連結(溶接等)させて電極群を得る。この電極群を電槽内に配置して未化成電池を作製する。次に、未化成電池に電解液を注入した後、直流電流を通電して電槽化成する。化成後の電解液の比重を適切な比重に調整して鉛蓄電池が得られる。
前記電解液は、例えば、硫酸及びアルミニウムイオンを含有しており、硫酸及び硫酸アルミニウム粉末を混合することにより得ることができる。電解液中に溶解させる硫酸アルミニウムは、無水物又は水和物として添加することができる。
電解液(アルミニウムイオンを含む場合はアルミニウムイオンを含む電解液)の化成後の比重は下記の範囲であることが好ましい。電解液の比重は、浸透短絡又は凍結を抑制すると共に放電特性に更に優れる観点から、1.25以上が好ましく、1.28以上がより好ましく、1.285以上が更に好ましく、1.29以上が特に好ましい。電解液の比重は、充電受入性能及びサイクル特性が更に向上する観点から、1.33以下が好ましく、1.32以下がより好ましく、1.315以下が更に好ましく、1.31以下が特に好ましい。電解液の比重の値は、例えば、浮式比重計、又は、京都電子工業株式会社製のデジタル比重計によって測定することができる。
電解液のアルミニウムイオン濃度は、充電受入性能及びサイクル特性が更に向上する観点から、電解液の全量を基準として、0.001mol/L以上が好ましく、0.004mol/L以上がより好ましい。電解液のアルミニウムイオン濃度は、充電受入性能及びサイクル特性が更に向上する観点から、電解液の全量を基準として、0.2mol/L以下が好ましい。電解液のアルミニウムイオン濃度は、例えば、ICP発光分光分析法(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法)により測定することができる。
電解液のアルミニウムイオン濃度が前記所定範囲であることにより充電受入性能が向上するメカニズムの詳細については明らかではないが、以下のように推測される。すなわち、アルミニウムイオン濃度が前記所定範囲であると、任意の低SOC下において、放電生成物である結晶性硫酸鉛の電解液中への溶解度が上がるため、又は、アルミニウムイオンの高いイオン伝導性により電解液の電極活物質内部への拡散性が向上するためと推測される。
電解液のアルミニウムイオン濃度が前記所定範囲であることにより充電受入性能が向上するメカニズムの詳細については明らかではないが、以下のように推測される。すなわち、アルミニウムイオン濃度が前記所定範囲であると、任意の低SOC下において、放電生成物である結晶性硫酸鉛の電解液中への溶解度が上がるため、又は、アルミニウムイオンの高いイオン伝導性により電解液の電極活物質内部への拡散性が向上するためと推測される。
電槽は、内部に電極(極板等)を収納可能なものである。電槽は、電極を収納しやすい観点から、上面が開放された箱体と、この箱体の上面を覆う蓋体とを有するものが好ましい。なお、箱体と蓋体との接着には、接着剤、熱溶着、レーザ溶着、超音波溶着等を適宜用いることができる。電槽の形状としては、特に限定されるものではないが、電極(板状体である極板等)の収納時に無効空間が少なくなるように方形のものが好ましい。
電槽の材質は、特に制限されるものではないが、電解液(希硫酸等)に対し耐性を有するものである必要がある。電槽の材質の具体例としては、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ABS樹脂等が挙げられる。材質がPPであると、耐酸性、加工性(ABS樹脂では電槽と蓋の熱溶着が困難)、コストの面で有利である。
電槽が箱体及び蓋体により構成される場合、箱体及び蓋体の材質は、互いに同一の材質であってもよく、互いに異なる材質であってもよいが、無理な応力が発生しない観点から、熱膨張係数の等しい材質が好ましい。
セパレータは、ガラス、パルプ、及び合成樹脂から選ばれる少なくとも1種からなるセパレータ等が挙げられる。本発明では、以下に記載したセパレータを使用することが好ましい。
本発明では、図1に記載されたセパレータを用いるのが好ましい。図1(a)は、微多孔シートからなるポリオレフィン製のセパレータ(以下、単にセパレータという)を示す正面図であり、図1(b)は、セパレータの断面図である。図2は、セパレータ及び電極の断面図である。図1に示すように、セパレータ10は、平板状のベース部11と、凸状(例えば線状)の複数のリブ12と、ミニリブ13とを備えている。ベース部11は、リブ12及びミニリブ13を支持している。リブ12は、セパレータ10の一方面10aにおいて互いに略平行に配置されている。リブ12の間隔は、例えば3〜15mmである。
リブ12の高さ方向の一端はベース部11に一体化して接続されており、リブ12の高さ方向の他端は、正極及び負極のうちの一方の電極14aに接している(図2参照)。ベース部11は、リブ12の高さ方向において電極14aと対向している。セパレータ10の他方面10bにはリブは配置されておらず、セパレータ10の他方面10bは、正極及び負極のうちの他方の電極14b(図2参照)と対向又は接している。
ミニリブ13は、セパレータ10の幅方向における両側において、セパレータ10の長手方向に延びるように多数本形成されている。ミニリブ13は、鉛蓄電池が横方向に振動した際に、電極の角がセパレータを突き破って短絡することを防止するためにセパレータ強度を向上させる機能を有する。なお、ミニリブ13の高さ、幅、間隔は、何れもリブ12よりも小さいことが好ましい。また、ミニリブ13の断面形状は、リブ12と同一であってもよく、異なっていてもよい。ミニリブ13の断面形状は、半円型であることが好ましい。また、ミニリブ13は形成されていなくてもよい。
図3は、袋セパレータ20と袋セパレータ20に収容される電極(例えば負極)14を入れる状態を示す図である。図1(a)に示すように、袋セパレータ20の作製に用いるセパレータ10は、例えば、長尺のシート状に形成されている。袋セパレータ20は、セパレータ10を適切な長さに切断し、セパレータ10の長手方向に二つ折りにしてその内側に電極14を配置して重ね合せ、両側部をメカニカルシール、圧着又は熱溶着する(例えば、図3の符号22はメカニカルシール部)。これにより、図3に示す袋セパレータ20が得られる。
ベース部11の厚みTの上限は、優れた充電受け入れ性及び放電特性を得る観点から、0.25mm以下である。厚みTが0.25mmを超えると、充電受け入れ性及び放電特性が低下する傾向がある。ベース部11の厚みTの上限は、更に優れた充電受け入れ性及び放電特性を得る観点から、0.2mm以下が好ましく、0.15mm以下がより好ましい。ベース部11の厚みTの下限は、特に制限はないが、短絡を抑制しやすい観点から、0.05mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましい。
リブ12の高さ(ベース部11及び電極14の対向方向の高さ)Hの上限は、更に優れた充電受け入れ性を得る観点から、1.25mm以下が好ましく、1.0mm以下がより好ましく、0.75mm以下が更に好ましい。リブ12の高さHの下限は、正極での酸化劣化を抑制する観点から、0.3mm以上が好ましく、0.4mm以上がより好ましく、0.5mm以上が更に好ましい。
ベース部11の厚みTに対するリブ12の高さHの比率H/Tの下限は、セパレータの耐酸化性に優れる観点から、2以上である。比率H/Tが2以上であると、電極(例えば正極)と接触しない部分を充分に確保できるため、セパレータの耐酸化性が向上すると推測される。
比率H/Tの下限は、セパレータの耐酸化性及び生産性に更に優れる観点から、2.4以上が好ましく、3以上がより好ましい。比率H/Tの上限は、リブの形状保持性に優れる観点、及び、短絡を抑制する観点から、6以下である。比率H/Tが6以下であると、正負極間の距離が充分であることから短絡が抑制されると推測される。また、比率H/Tが6以下であると、鉛蓄電池を組み立てた際にリブが破損することなく、充電受け入れ性等の電池特性が良好に維持されると推測される。比率H/Tの上限は、短絡を抑制しやすい観点、及び、リブの形状保持性に更に優れる観点から、5以下が好ましく、4.5以下がより好ましく、4以下が更に好ましい。
また、リブ12の上底幅B(図1(b)参照)は、リブの形状保持性及び耐酸化性に優れる観点から、0.1〜2mmが好ましく、0.2〜1mmがより好ましく、0.2〜0.8mmが更に好ましい。リブの下底幅Aは、リブの形状保持性に優れる観点から、0.2〜4mmが好ましく、0.3〜2mmがより好ましく、0.4〜1mmが更に好ましい。上底幅Bと下底幅Aの比率(B/A)は、リブの形状保持性に優れる観点から、0.1〜1が好ましく、0.2〜0.8がより好ましく、0.3〜0.6が更に好ましい。
前記セパレータは、正極及び負極の少なくとも一方の電極を包む袋状であることが好ましい。例えば、正極及び負極のうちの一方が袋状のセパレータに収容され、且つ、正極及び負極のうちの他方と交互に積層されている態様が好ましい。例えば、袋状のセパレータを正極に適用した場合、正極集電体の伸びによりセパレータを貫通する可能性があることから、負極が袋状のセパレータに収容されていることが好ましい。
化成条件及び硫酸の比重は電極活物質の性状に応じて調整することができる。また、化成処理は、組み立て工程後に実施されることに限られず、電極製造工程における熟成及び乾燥後に実施されてもよい(タンク化成)。
負極材に対する正極材の質量比(正極材/負極材)は、充分な電池容量が得られやすいと共に高い充電受け入れ性が得られやすい観点から、0.9以上が好ましく、1以上がより好ましく、1.05以上が更に好ましい。負極材に対する正極材の質量比は、充分な電池容量が得られやすい観点から、1.3以下が好ましく、1.2以下がより好ましく、1.15以下が更に好ましい。負極材に対する正極材の質量比は、充分な電池容量が得られやすいと共に高い充電受け入れ性が得られやすい観点から、0.9〜1.3が好ましく、1〜1.2がより好ましく、1.05〜1.15が更に好ましい。負極材に対する正極材の前記質量比は、化成後の負極材及び正極材の質量比である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明は下記の実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
[正極板の作製]
正極活物質の原料として、酸化度70%の鉛粉及び酸化度90%の鉛丹(Pb34)を用いた(鉛粉:鉛丹=85:15(質量比))。正極活物質の原料と、正極活物質の原料の全質量を基準として0.2質量%の補強用短繊維(アクリル繊維)と、水とを混合して混練した。続いて、希硫酸(比重1.280、20℃換算以下同様)を少量ずつ添加しながら混練して、正極材ペーストを作製した。鉛合金からなる圧延シートにエキスパンド加工を施すことにより作製されたエキスパンド式集電体に、この正極材ペーストを充填した。この正極材の集電部に近い上部における極板厚みが全体面積に対して1/2面積分をプレスした。次いで、正極材ペーストが充填された集電体を温度50℃、湿度98%RHの雰囲気で24時間熟成した。その後、乾燥して未化成の正極板を作製した。
[負極板の作製]
負極活物質の原料として酸化度70%の鉛粉を用いた。ビスフェノール系樹脂を0.2質量%(固形分換算、日本製紙株式会社製、商品名:ビスパーズP215)、補強用短繊維(アクリル繊維)を0.1質量%、硫酸バリウムを1.0質量%、炭素材料(鱗片状黒鉛(粒径180μm))を1.5質量%含む混合物を前記鉛粉に添加した後に乾式混合した(前記配合量は、負極活物質の原料の全質量を基準とした配合量である)。前記ビスフェノール系樹脂の重量平均分子量は、前記記載の条件のGPCにより測定したところ、53900であった。前記鱗片状黒鉛の粒径は、前記記載の方法により、算術平均化した数値として得た。次に、上記混合物に水と希硫酸を加えて作製したペーストを集電体に所定量となるように充填した。次いで、負極材ペーストが充填された集電体を温度50℃、湿度98%RHの雰囲気で24時間熟成した。その後、乾燥して未化成の負極板を作製した。
[電池の組み立て]
所定寸法長さの微多孔シートからなるポリエチレン製セパレータ(ベース部の厚みは0.2mm、リブの高さは0.6mmである)を、長さ方向の中央において幅方向に折り目をつけてU字状に折り曲げ、未化成の負極板をU字の内側に配置する。そして、U字状に折り曲げた微多孔シートからなるポリエチレン製セパレータの長さ方向両側部をシールした。未化成の正極板5枚と袋状の二重セパレータに入った未化成の負極板6枚交互に積層した。続いて、キャストオンストラップ(COS)方式で同極性の極板の耳部同士を溶接して極板群を作製した。極板群を電槽に挿入して2V単セル電池(JIS D 5301規定のB19サイズの単セルに相当)を組み立てた。アルミニウムイオン濃度が0.04mol/Lになるように硫酸アルミニウム無水物を溶解させた希硫酸(比重1.280)をこの電池に注入した。その後、40℃の水槽中、通電電流7.6Aで20時間の条件で化成して鉛蓄電池を得た。また、化成後の負極材に対する正極材の質量比(正極材/負極材)は、1.1とした。化成後の正極材充填部の正極材充填部上部の厚み(A)/正極材充填部下部の厚み(B)比は0.94であった。化成後の正極材充填部上部密度は4.1g/cmと、正極材充填部下部密度は3.5g/cmであった。
(実施例2)
プレスの圧力を大きくしたこと以外は実施例1と同様の方法で鉛蓄電池を作製した。
化成後の正極材充填部の正極材充填部上部の厚み(A)/正極材充填部下部の厚み(B)比は0.86であった。化成後の正極材充填部上部密度は4.3g/cmと、正極材充填部下部密度は3.5g/cmであった。
(実施例3)
プレスの圧力を大きくしたこと以外は実施例1と同様の方法で鉛蓄電池を作製した。
化成後の正極材充填部の正極材充填部上部の厚み(A)/正極材充填部下部の厚み(B)比は0.98であった。化成後の正極材充填部上部密度は3.8g/cmと、正極材充填部下部密度は3.5g/cmであった。
(実施例4)
実施例1の方法により作製した正極材ペーストとは別に、水及び硫酸量を調整して正極材ペースト(X)を作製した。正極集電体の正極材充填部の内、正極板集電部に近い正極板上部に相当する範囲(正極板充填部全面積に対して1/2の範囲)に対して前記正極材ペースト(X)を充填した。残りの正極材充填部に対して実施例1の方法により作製した正極材ペーストを充填した。その後、正極材の集電部に近い上部における極板厚みが全体面積に対して1/2面積分をプレスを施した。それ以外は実施例1と同様の方法で鉛蓄電池を作製した。化成後の正極材充填部の正極材充填部上部の厚み(A)/正極材充填部下部の厚み(B)比は0.94、化成後の正極材充填部上部密度は3.8g/cmと、正極材充填部下部密度は3.5g/cmであった。
(実施例5)
実施例1の方法により作製した正極材ペーストとは別に、水及び硫酸量を調整して正極材ペースト(Y)を作製した。正極集電体の正極材充填部の内、正極板集電部に近い正極板上部に相当する範囲(正極板充填部全面積に対して1/2の範囲)に対して前記正極材ペースト(Y)を充填した。残りの正極材充填部に対して実施例1の方法により作製した正極材ペーストを充填した。その後、正極材の集電部に近い上部における極板厚みが全体面積に対して1/2面積分をプレスを施した。それ以外は実施例1と同様の方法で鉛蓄電池を作製した。化成後の正極材充填部の正極材充填部上部の厚み(A)/正極材充填部下部の厚み(B)比は0.94、化成後の正極材充填部上部密度は3.6g/cmと、正極材充填部下部密度は3.5g/cmであった。
(比較例1)
実施例1の方法により作製した正極材ペーストとは別に、水及び硫酸量を調整して正極材ペースト(Z)を作製した。正極集電体の正極材充填部の内、正極板集電部に近い正極板上部に相当する範囲(正極板充填部全面積に対して1/2の範囲)に対して前記正極材ペースト(Z)を充填した。残りの正極材充填部に対して実施例1の方法により作製した正極材ペーストを充填した。その後、プレスをしなかったこと以外は実施例1と同様の方法で鉛蓄電池を作製した。化成後の正極材充填部の正極材充填部上部の厚み(A)/正極材充填部下部の厚み(B)比は1.00、化成後の正極材充填部上部密度は4.1g/cmと、正極材充填部下部密度は3.5g/cmであった。
(比較例2)
実施例1の方法により作製した正極材ペーストとは別に、水及び硫酸量を調整して正極材ペースト(Q)を作製した。正極集電体の正極材充填部の内、正極板集電部に近い正極板上部に相当する範囲(正極板充填部全面積に対して1/2の範囲)に対して前記正極材ペースト(Q)を充填した。残りの正極材充填部に対して実施例1の方法により作製した正極材ペーストを充填した。その後、プレスをしなかったこと以外は実施例1と同様の方法で鉛蓄電池を作製した。化成後の正極材充填部の正極材充填部上部の厚み(A)/正極材充填部下部の厚み(B)比は1.06、化成後の正極材充填部上部密度は4.1g/cmと、正極材充填部下部密度は3.5g/cmであった。
(比較例3)
プレスをしなかったこと以外は実施例1と同様の方法で鉛蓄電池を作製した。化成後の正極材充填部の正極材充填部上部の厚み(A)/正極材充填部下部の厚み(B)比は1.00、化成後の正極材充填部上部密度は3.5g/cmと、正極材充填部下部密度は3.5g/cmであった。
(充電受入性の評価)
それぞれの鉛蓄電池を25℃環境下で5.6Aで30分間定電流放電を行った後、6時間25℃環境で放置する。その後、2.33V(100Amax)で60秒間の定電圧充電を行い、5秒目時点での電流値を計測した。
(低温高率放電持続時間の測定)
それぞれの鉛蓄電池を−15℃の雰囲気下で16時間放置した後、150Aの電流値で、終止電圧が1.0Vまで放電を行い、持続時間を測定した。比較例1を100として、比較例1に対する各鉛蓄電池の低温高率放電持続時間を計測した。
(ISSサイクル評価)
ISSサイクル特性の測定は次のように行なった。電池温度が25℃になるように雰囲気温度を調整し、45A−59秒間、300A−1秒間の定電流放電を行った後、100A−14.0V−60秒間の定電流・定電圧充電を1サイクルとする試験を7200サイクル行なった。この試験はISS車での鉛蓄電池の使われ方を模擬したサイクル試験である。このサイクル試験では、放電量に対して充電量が少ないため、充電が完全に行なわれないと徐々に充電不足になり、その結果、放電電流を300Aとして1秒間放電した時の1秒目電圧が徐々に低下する。即ち、定電流・定電圧充電時に負極が分極して早期に定電圧充電に切り替わると、充電電流が減衰して充電不足になる。比較例1の測定結果を100として相対評価した。
Figure 2017228489
実施例においては、充電受入性、低温高率放電持続時間の結果が比較例1、比較例2および比較例3に対して優れた結果となった。さらにISSサイクル特性の向上が確認された。この要因として、上部の正極材の厚みを薄くしたことによって、上部の極間距離が大きくなることで、下部で発生したガスの抜けが良好になり電池特性が向上し、サイクル中の成層化を抑制することができたことが考えられる。
10…セパレータ、10a…一方面、10b…他方面、11…ベース部、12…リブ、13…ミニリブ、14,14a,14b…電極、20…袋セパレータ、22…メカニカルシール部、A…リブの下底幅、B…リブの上底幅、H…リブの高さ、T…ベース部の厚み。

Claims (3)

  1. 正極板及び負極板を備え、前記正極板は正極材によって構成される正極材充填部と、前記正極材充填部を支持する正極集電体とを有し、前記正極材充填部上部(A)の厚みが、前記正極材充填部下部(B)の厚みよりも薄い、鉛蓄電池。
  2. 前記正極材充填部上部(A)の厚みと前記正極材充填部下部(B)の厚みとの比((A)の厚み/(B)の厚み)が0.98以下である請求項1に記載の鉛蓄電池。
  3. 前記正極材充填部上部(A)に充填された化成後の正極材の密度が3.6g/cm以上である請求項1又は請求項2に記載の鉛蓄電池。
JP2016125461A 2016-06-24 2016-06-24 鉛蓄電池 Pending JP2017228489A (ja)

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