JP2004127585A - 負極用ペースト状活物質の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】長寿命な制御弁式鉛蓄電池を提供する。
【解決手段】ボールミル法又はバートンポット法で製造した原料鉛粉を、ロータリ式の粉砕機を用いて粉砕して、粉砕鉛粉を作製する。作製した粉砕鉛粉と硫酸バリウム、変成サルファイトリグニン又はビスフェノール系合成リグニン、水及び希硫酸を含む混合物を混練して負極用ペースト状活物質の製造して負極板に使用する。
【選択図】 図1
【解決手段】ボールミル法又はバートンポット法で製造した原料鉛粉を、ロータリ式の粉砕機を用いて粉砕して、粉砕鉛粉を作製する。作製した粉砕鉛粉と硫酸バリウム、変成サルファイトリグニン又はビスフェノール系合成リグニン、水及び希硫酸を含む混合物を混練して負極用ペースト状活物質の製造して負極板に使用する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、制御弁式鉛蓄電池の長寿命化に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
制御弁式鉛蓄電池は安価で信頼性が高いという特徴を有するため、無停電電源装置等のスタンバイユース用として広く使用されている。最近、これらに用いられる制御弁式鉛蓄電池の長寿命化が強く望まれている。なお、無停電電源装置等のスタンバイユース用としては、3CA程度の放電率の高い条件で使用される場合が多い。
【0003】
制御弁式鉛蓄電池を長寿命化するには、負極板に用いられている活物質を微細化したり多孔質化することによって、負極板の電極反応面積を大きくし、その状態を長期間にわたって保持する必要がある。そして、3CA程度の高率放電時における容量低下の原因は、主に負極活物質の特性の劣化に起因することが明らかになっている。さらに、トリクル充電中に負極活物質の粒子径が徐々に大きくなることによってその表面積が減少することが知られている。
【0004】
なお、負極活物質の主成分としては、ボールミル法やバートンポット法で作製した鉛粉が使用されており、負極活物質を微細化したり多孔質化する材料(以下、エキスパンダと呼ぶ)としてリグニンがあり、前記リグニンを負極活物質層に添加する手法が有効であることが知られている。
【0005】
ここで、上述したリグニンは、製紙工業においてリグノセルロース(一般の木材等の草木類の構成物質)からパルプ(セルロース)を生産する工程の副産物として得ることができる。そして、これらのリグニンは、一般的に工業リグニンと呼ばれている。なお、前記リグニンは、木材等を形成している細胞と細胞の間に3次元の網目状に存在しており、細胞間同士を繋ぐバインダーの働きをするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したようなボールミル法やバートンポット法で作製した鉛粉と従来から仕様されている工業リグニンとを、そのまま制御弁式鉛蓄電池に使用した場合には、制御弁式鉛蓄電池の寿命が短いというような問題点が認められている。
【0007】
本発明は上記した事案に鑑みたものであり、長寿命な制御弁式鉛蓄電池を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために本発明では、ボールミル法やバートンポット法で作製した鉛粉を粉砕するとともに、従来からエキスパンダとして使用するリグニンを改良したものを用いることによって、長寿命な制御弁式鉛蓄電池を提供するものである。
【0009】
すなわち、請求項1の発明は、ボールミル法又はバートンポット法で製造した原料鉛粉を粉砕機で粉砕して粉砕鉛粉を作製し、該粉砕鉛粉と硫酸バリウム、変成サルファイトリグニン又はビスフェノール系合成リグニン、水及び希硫酸を含む混合物を混練して負極用ペースト状活物質を作製することを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載の粉砕機として、ロータリ式の粉砕機を用いることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1記載のビスフェノール系合成リグニンが、下記の化学構造式で表されることを特徴としている。
【0012】
【化5】
【0013】
但し、nは正の自然数を表す。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1記載のビスフェノール系合成リグニンが、下記の化学構造式で表されることを特徴としている。
【0015】
【化6】
【0016】
但し、nは正の自然数を表す。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1記載のビスフェノール系合成リグニンが、下記の2種類の化学構造式で表される物質が互いに結合したものであることを特徴としている。
【0018】
【化7】
【0019】
但し、nは正の自然数を表す。
【0020】
【化8】
【0021】
但し、nは正の自然数を表す。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
1.鉛粉
以下の実施例では、2種類の鉛粉を使用した。すなわち、従来から使用されているボールミル法で作製した鉛粉(以下において、原料鉛粉と呼ぶ。)と、前記原料鉛粉を細川ミクロン製のロータリ式の粉砕機で粉砕した鉛粉(以下において、粉砕鉛粉と呼ぶ。)である。
【0024】
なお、原料鉛粉は、一酸化鉛を主成分とし、見かけ比重が1.5g/ml程度、酸化度が約70%であった。一方、粉砕鉛粉は、一酸化鉛を主成分とするものの、見かけ比重が1.0g/ml程度、酸化度が約75%であった。
【0025】
2.負極板
上記した原料鉛粉又は粉砕鉛粉100質量部に、硫酸バリウムを0.5質量部と、後述する各種のリグニンの粉末を0.2質量部を添加・混合して混合物を作製する。そして、前記混合物中の鉛粉100質量部に対して比重1.26の希硫酸10質量部と、水7質量部とを加えて練合し、負極用のペースト状活物質を作製した。
【0026】
このペースト状活物質を、寸法がl67mm×w43mm×t1.6mmの鉛−カルシウム−錫合金(Pb−0.08%Ca−1.6%Sn)からなる格子体に充填して、温度40°C、湿度95%の大気雰囲気下で40時間放置して熟成・乾燥して未化成のペースト式負極板を作製した。この未化成のペースト式負極板を従来からの手法で、比重1.050の希硫酸中で24時間化成して負極板とした。
【0027】
3.正極板
正極板として、従来から使用しているものを用いた。すなわち、酸化鉛(PbO)を主成分とする原料鉛粉100質量部に対して比重1.34の希硫酸12質量部と、水15質量部とを加えて練合し、正極用のペースト状活物質を作製した。
【0028】
このペースト状活物質を、寸法がl69mm×w44mm×t3.7mmの鉛−カルシウム−錫合金(Pb−0.08%Ca−1.6%Sn)からなる格子体に充填して、温度45°C、湿度98RH%の雰囲気下で24時間熟成させ、60°Cの雰囲気温度で16時間乾燥させて未化成のペースト式正極板を作製した。この未化成のペースト式正極板を従来からの手法で、比重1.050の希硫酸中で24時間化成して正極板とした。
【0029】
4.制御弁式鉛蓄電池の作製
従来から使用している仕様で、化成後の正極板4枚と負極板5枚とを水洗乾燥した後、ガラス繊維製のリテーナを介して積層・溶接し、極板群を組み立てた。なお、制御弁式鉛蓄電池の正・負極板の活物質質量比(g/g)は化成後で負極/正極=0.8の比率となるように充填した。化成後の電極板を該極板群をABS製の電槽に組み込み、電槽内に比重が1.31(20°C)の希硫酸電解液を注入して、9Ah−12Vの制御弁式鉛蓄電池を作製した。
【0030】
5.寿命試験条件
作製した制御弁式鉛蓄電池は、周囲温度60±5℃、13.65Vの定電圧でトリクル充電をする加速試験法を用いて寿命試験をした。そして、定期的に3CA(27A)で終止電圧7.8Vまで放電して放電容量を測定した。回復充電は、25℃で、14.7Vの定電圧充電(最大電流9A)で24時間をした後に、前記したように周囲温度60±5℃、13.65Vの定電圧でトリクル充電をした。
【0031】
【実施例】
以下において、本発明の実施例について詳細に説明する。本発明は負極板の原材料に特徴を有するものである。
(実施例1)
粉砕鉛粉が1000g、硫酸バリウムが5g、変成サイファイトリグニンとして日本製紙(株)製のリグニン“バニレックスN(ただし、商品名)”2gを混合する。そして、比重1.40の希硫酸75mlと適量の水を徐々に滴下しながら混練して水分量が10%の負極用ペースト状活物質を調製し、該ペースト状活物質を用いて上記した仕様で負極板を作成した。その他の負極板や制御弁式鉛蓄電池の作製条件及び制御弁式鉛蓄電池の試験条件は上記したものである。
【0032】
(実施例2)
粉砕鉛粉が1000g、硫酸バリウムが5g、以下に示すようなビスフェノール系合成リグニンとして日本製紙(株)製のリグニン“ビスパーズP215(ただし、商品名)”2gを混合する。なお、前記ビスパーズP215は、以下の化学式で表される2種類の化合物が多数結合したものである。
【0033】
【化9】
【0034】
但し、nは正の自然数を表す。
【0035】
【化10】
【0036】
但し、nは正の自然数を表す。
【0037】
そして、比重1.40の希硫酸75mlと適量の水を徐々に滴下しながら混練して水分量が10%の負極用ペースト状活物質を調製し、該ペースト状活物質を用いて上記した仕様で負極板を作成した。その他の負極板や制御弁式鉛蓄電池の作製条件及び制御弁式鉛蓄電池の試験条件は上記したものである。
【0038】
(比較例1)
原料鉛粉が1000g、硫酸バリウムが5g、WEST VACO(株)製の通常仕様されているクラフトリグニンである“インジュリンC(ただし、商品名)”2gを混合する。そして、比重1.40の希硫酸75mlと適量の水を徐々に滴下しながら混練して水分量が10%の負極用ペースト状活物質を調製し、該ペースト状活物質を用いて上記した仕様で負極板を作成した。その他の負極板や制御弁式作製条件及び制御弁式鉛蓄電池の試験条件は上記したものである。
【0039】
(比較例2)
粉砕鉛粉が1000g、硫酸バリウムが5g、WEST VACO(株)製の通常仕様されているクラフトリグニンである“インジュリンC(ただし、商品名)”2gを混合する。そして、比重1.40の希硫酸75mlと適量の水を徐々に滴下しながら混練して水分量が10%の負極用ペースト状活物質を調製し、該ペースト状活物質を用いて上記した仕様で負極板を作成した。その他の負極板や制御弁式作製条件及び制御弁式鉛蓄電池の試験条件は上記したものである。
【0040】
表1に、使用する鉛粉及びリグニンの種類と、120日後における制御弁式鉛蓄電池の放電時間との関係を示す。加えて、図1に実施例1,2及び比較例1について放電時間の推移を示す。表1及び図1に示すように、本発明を用いた実施例1、2の制御弁式鉛蓄電池は、比較例1、2の制御弁式鉛蓄電池よりも長寿命であることが分かる。この理由については定かではないが、本発明を用いると負極電位を卑の方向へシフトさせることができるためと考えられる。
【0041】
【表1】
【0042】
上述した実施例では、制御弁式鉛蓄電池に使用した場合について例示したが、本発明は鉛蓄電池の用途や形状等に限定されることなく、上述した特許請求の範囲において用いることができる。また、本実施例で用いたボールミル法に代えてバートンポット法で作製した原料鉛粉を用いても同様の効果を得ることができる。加えて、鉛粉の粉砕機としてジェット式の粉砕機を用いても同様の効果を得ることができる。
【0043】
【発明の効果】
上述したように、本発明を用いることによって、制御弁式鉛蓄電池の長寿命化が可能となるために工業上優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】制御弁式鉛蓄電池の放電時間の推移を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、制御弁式鉛蓄電池の長寿命化に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
制御弁式鉛蓄電池は安価で信頼性が高いという特徴を有するため、無停電電源装置等のスタンバイユース用として広く使用されている。最近、これらに用いられる制御弁式鉛蓄電池の長寿命化が強く望まれている。なお、無停電電源装置等のスタンバイユース用としては、3CA程度の放電率の高い条件で使用される場合が多い。
【0003】
制御弁式鉛蓄電池を長寿命化するには、負極板に用いられている活物質を微細化したり多孔質化することによって、負極板の電極反応面積を大きくし、その状態を長期間にわたって保持する必要がある。そして、3CA程度の高率放電時における容量低下の原因は、主に負極活物質の特性の劣化に起因することが明らかになっている。さらに、トリクル充電中に負極活物質の粒子径が徐々に大きくなることによってその表面積が減少することが知られている。
【0004】
なお、負極活物質の主成分としては、ボールミル法やバートンポット法で作製した鉛粉が使用されており、負極活物質を微細化したり多孔質化する材料(以下、エキスパンダと呼ぶ)としてリグニンがあり、前記リグニンを負極活物質層に添加する手法が有効であることが知られている。
【0005】
ここで、上述したリグニンは、製紙工業においてリグノセルロース(一般の木材等の草木類の構成物質)からパルプ(セルロース)を生産する工程の副産物として得ることができる。そして、これらのリグニンは、一般的に工業リグニンと呼ばれている。なお、前記リグニンは、木材等を形成している細胞と細胞の間に3次元の網目状に存在しており、細胞間同士を繋ぐバインダーの働きをするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したようなボールミル法やバートンポット法で作製した鉛粉と従来から仕様されている工業リグニンとを、そのまま制御弁式鉛蓄電池に使用した場合には、制御弁式鉛蓄電池の寿命が短いというような問題点が認められている。
【0007】
本発明は上記した事案に鑑みたものであり、長寿命な制御弁式鉛蓄電池を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために本発明では、ボールミル法やバートンポット法で作製した鉛粉を粉砕するとともに、従来からエキスパンダとして使用するリグニンを改良したものを用いることによって、長寿命な制御弁式鉛蓄電池を提供するものである。
【0009】
すなわち、請求項1の発明は、ボールミル法又はバートンポット法で製造した原料鉛粉を粉砕機で粉砕して粉砕鉛粉を作製し、該粉砕鉛粉と硫酸バリウム、変成サルファイトリグニン又はビスフェノール系合成リグニン、水及び希硫酸を含む混合物を混練して負極用ペースト状活物質を作製することを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載の粉砕機として、ロータリ式の粉砕機を用いることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1記載のビスフェノール系合成リグニンが、下記の化学構造式で表されることを特徴としている。
【0012】
【化5】
【0013】
但し、nは正の自然数を表す。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1記載のビスフェノール系合成リグニンが、下記の化学構造式で表されることを特徴としている。
【0015】
【化6】
【0016】
但し、nは正の自然数を表す。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1記載のビスフェノール系合成リグニンが、下記の2種類の化学構造式で表される物質が互いに結合したものであることを特徴としている。
【0018】
【化7】
【0019】
但し、nは正の自然数を表す。
【0020】
【化8】
【0021】
但し、nは正の自然数を表す。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
1.鉛粉
以下の実施例では、2種類の鉛粉を使用した。すなわち、従来から使用されているボールミル法で作製した鉛粉(以下において、原料鉛粉と呼ぶ。)と、前記原料鉛粉を細川ミクロン製のロータリ式の粉砕機で粉砕した鉛粉(以下において、粉砕鉛粉と呼ぶ。)である。
【0024】
なお、原料鉛粉は、一酸化鉛を主成分とし、見かけ比重が1.5g/ml程度、酸化度が約70%であった。一方、粉砕鉛粉は、一酸化鉛を主成分とするものの、見かけ比重が1.0g/ml程度、酸化度が約75%であった。
【0025】
2.負極板
上記した原料鉛粉又は粉砕鉛粉100質量部に、硫酸バリウムを0.5質量部と、後述する各種のリグニンの粉末を0.2質量部を添加・混合して混合物を作製する。そして、前記混合物中の鉛粉100質量部に対して比重1.26の希硫酸10質量部と、水7質量部とを加えて練合し、負極用のペースト状活物質を作製した。
【0026】
このペースト状活物質を、寸法がl67mm×w43mm×t1.6mmの鉛−カルシウム−錫合金(Pb−0.08%Ca−1.6%Sn)からなる格子体に充填して、温度40°C、湿度95%の大気雰囲気下で40時間放置して熟成・乾燥して未化成のペースト式負極板を作製した。この未化成のペースト式負極板を従来からの手法で、比重1.050の希硫酸中で24時間化成して負極板とした。
【0027】
3.正極板
正極板として、従来から使用しているものを用いた。すなわち、酸化鉛(PbO)を主成分とする原料鉛粉100質量部に対して比重1.34の希硫酸12質量部と、水15質量部とを加えて練合し、正極用のペースト状活物質を作製した。
【0028】
このペースト状活物質を、寸法がl69mm×w44mm×t3.7mmの鉛−カルシウム−錫合金(Pb−0.08%Ca−1.6%Sn)からなる格子体に充填して、温度45°C、湿度98RH%の雰囲気下で24時間熟成させ、60°Cの雰囲気温度で16時間乾燥させて未化成のペースト式正極板を作製した。この未化成のペースト式正極板を従来からの手法で、比重1.050の希硫酸中で24時間化成して正極板とした。
【0029】
4.制御弁式鉛蓄電池の作製
従来から使用している仕様で、化成後の正極板4枚と負極板5枚とを水洗乾燥した後、ガラス繊維製のリテーナを介して積層・溶接し、極板群を組み立てた。なお、制御弁式鉛蓄電池の正・負極板の活物質質量比(g/g)は化成後で負極/正極=0.8の比率となるように充填した。化成後の電極板を該極板群をABS製の電槽に組み込み、電槽内に比重が1.31(20°C)の希硫酸電解液を注入して、9Ah−12Vの制御弁式鉛蓄電池を作製した。
【0030】
5.寿命試験条件
作製した制御弁式鉛蓄電池は、周囲温度60±5℃、13.65Vの定電圧でトリクル充電をする加速試験法を用いて寿命試験をした。そして、定期的に3CA(27A)で終止電圧7.8Vまで放電して放電容量を測定した。回復充電は、25℃で、14.7Vの定電圧充電(最大電流9A)で24時間をした後に、前記したように周囲温度60±5℃、13.65Vの定電圧でトリクル充電をした。
【0031】
【実施例】
以下において、本発明の実施例について詳細に説明する。本発明は負極板の原材料に特徴を有するものである。
(実施例1)
粉砕鉛粉が1000g、硫酸バリウムが5g、変成サイファイトリグニンとして日本製紙(株)製のリグニン“バニレックスN(ただし、商品名)”2gを混合する。そして、比重1.40の希硫酸75mlと適量の水を徐々に滴下しながら混練して水分量が10%の負極用ペースト状活物質を調製し、該ペースト状活物質を用いて上記した仕様で負極板を作成した。その他の負極板や制御弁式鉛蓄電池の作製条件及び制御弁式鉛蓄電池の試験条件は上記したものである。
【0032】
(実施例2)
粉砕鉛粉が1000g、硫酸バリウムが5g、以下に示すようなビスフェノール系合成リグニンとして日本製紙(株)製のリグニン“ビスパーズP215(ただし、商品名)”2gを混合する。なお、前記ビスパーズP215は、以下の化学式で表される2種類の化合物が多数結合したものである。
【0033】
【化9】
【0034】
但し、nは正の自然数を表す。
【0035】
【化10】
【0036】
但し、nは正の自然数を表す。
【0037】
そして、比重1.40の希硫酸75mlと適量の水を徐々に滴下しながら混練して水分量が10%の負極用ペースト状活物質を調製し、該ペースト状活物質を用いて上記した仕様で負極板を作成した。その他の負極板や制御弁式鉛蓄電池の作製条件及び制御弁式鉛蓄電池の試験条件は上記したものである。
【0038】
(比較例1)
原料鉛粉が1000g、硫酸バリウムが5g、WEST VACO(株)製の通常仕様されているクラフトリグニンである“インジュリンC(ただし、商品名)”2gを混合する。そして、比重1.40の希硫酸75mlと適量の水を徐々に滴下しながら混練して水分量が10%の負極用ペースト状活物質を調製し、該ペースト状活物質を用いて上記した仕様で負極板を作成した。その他の負極板や制御弁式作製条件及び制御弁式鉛蓄電池の試験条件は上記したものである。
【0039】
(比較例2)
粉砕鉛粉が1000g、硫酸バリウムが5g、WEST VACO(株)製の通常仕様されているクラフトリグニンである“インジュリンC(ただし、商品名)”2gを混合する。そして、比重1.40の希硫酸75mlと適量の水を徐々に滴下しながら混練して水分量が10%の負極用ペースト状活物質を調製し、該ペースト状活物質を用いて上記した仕様で負極板を作成した。その他の負極板や制御弁式作製条件及び制御弁式鉛蓄電池の試験条件は上記したものである。
【0040】
表1に、使用する鉛粉及びリグニンの種類と、120日後における制御弁式鉛蓄電池の放電時間との関係を示す。加えて、図1に実施例1,2及び比較例1について放電時間の推移を示す。表1及び図1に示すように、本発明を用いた実施例1、2の制御弁式鉛蓄電池は、比較例1、2の制御弁式鉛蓄電池よりも長寿命であることが分かる。この理由については定かではないが、本発明を用いると負極電位を卑の方向へシフトさせることができるためと考えられる。
【0041】
【表1】
【0042】
上述した実施例では、制御弁式鉛蓄電池に使用した場合について例示したが、本発明は鉛蓄電池の用途や形状等に限定されることなく、上述した特許請求の範囲において用いることができる。また、本実施例で用いたボールミル法に代えてバートンポット法で作製した原料鉛粉を用いても同様の効果を得ることができる。加えて、鉛粉の粉砕機としてジェット式の粉砕機を用いても同様の効果を得ることができる。
【0043】
【発明の効果】
上述したように、本発明を用いることによって、制御弁式鉛蓄電池の長寿命化が可能となるために工業上優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】制御弁式鉛蓄電池の放電時間の推移を示す図である。
Claims (5)
- ボールミル法又はバートンポット法で製造した原料鉛粉を粉砕機で粉砕して粉砕鉛粉を作製し、該粉砕鉛粉と硫酸バリウム、変成サルファイトリグニン又はビスフェノール系合成リグニン、水及び希硫酸を含む混合物を混練して作製することを特徴とする負極用ペースト状活物質の製造方法。
- 前記粉砕機として、ロータリ式の粉砕機を用いることを特徴とする請求項1記載の負極用ペースト状活物質の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002286933A JP2004127585A (ja) | 2002-09-30 | 2002-09-30 | 負極用ペースト状活物質の製造方法 |
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JP2002286933A JP2004127585A (ja) | 2002-09-30 | 2002-09-30 | 負極用ペースト状活物質の製造方法 |
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