JP2011070870A - 鉛蓄電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 負極活物質100重量部に対しカーボン材料を0.5重量部〜3.5重量部の範囲で含む負極の表面の少なくとも一部に、導電性を有する第1カーボン材料とキャパシタ容量及び/又は擬似キャパシタ容量を有する第2カーボン材料から成る2種類のカーボン材料と結着剤を含むポーラスな合剤の被覆層を形成して成ることを特徴とする複合キャパシタ負極を具備する。
【選択図】 なし
Description
そこで、本発明は、これらの鉛蓄電池の改善に係り、PSOCにおける急速充放電特性が向上し、急速充放電サイクル寿命の延長した鉛蓄電池を提供することを目的とする。
更に本発明は、請求項2に記載の通り、該負極に含まれるカーボン材料は、カーボンブラック、グラファイト及び活性炭から選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の鉛蓄電池に存する。
本発明の鉛蓄電池に用いるキャパシタ複合負極の負極板は、負極活物質として、一酸化鉛を主成分とし鉛との混合粉100重量部に対し、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラック、グラファイト、活性炭などから選択した少なくとも1種のカーボン材料を0.5重量部から3.5重量部を添加し、所望により硫酸バリウム0.5〜4重量%を添加し、これに水や希硫酸で混練し、ペースト状としたものをPb-Ca系合金の格子基板に充填、乾燥し、次いで化成して成るものである。
キャパシタ容量及び/又は擬似キャパシタ容量を確保するための第2カーボン材料としては、活性炭、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック、グラファイトなどから少なくとも1種を選択して使用する。一般に表面官能基の量は、適度に存在するものが好ましい。
第1カーボン材料が30重量部未満では良好な導電性を確保できず、キャパシタ容量の低下を招き、70重量部を超えると導電効果が飽和し不経済である。より好ましい配合量は40〜60重量部である。
第2カーボン材料が20重量部未満では、キャパシタ容量が不足し、60重量部を超えると相対的に第1カーボン材料の割合が減少して、むしろ、容量が低下する。より好ましい配合量は、30〜50重量部である。
結着剤は、配合した第1、第2カーボン材料同士の結合及び負極板の表面とカーボン合剤の被覆層との結合を良好にし、電気的な接続を確保できると共にカーボン合剤ペーストの乾燥後のカーボン合剤をポーラスな状態を維持することに役立ち、その種類は、ポリクロロプレン、SBR、PTFE、PVdFなどが好ましい。結着剤が1重量部未満では結合が不充分となり、20重量部を超えると結合効果が飽和する一方、絶縁体として作用し、導電性を低下する。より好ましい配合量は5〜15重量部である。
増粘剤は、カーボン合剤をペースト状に調製するのに有用で、水性のペーストにはCMCやMCなどのセルロース誘導体、ポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコールなどが適当であり、有機系にはNMPなどが適当である。増粘剤の配合割合は、乾燥後の残分が10重量部を超えるとカーボン合剤の導電性を損なう。より好ましい配分量は、2〜6重量部である。
短繊維状補強材は、カーボン合剤をペースト状に調製し負極に塗布する場合、乾燥による亀裂の発生を抑制するのに有用である。同材の種類は、カーボン、ガラス、PET、テトロンなど硫酸電解液中で安定であれば良く、太さは直径20μm以下、長さは0.1mm〜4mmが望ましい。その配合量は10重量部を超えると第1、第2カーボン材料や結着剤の相対的な比率を下げて性能を損なうと共に、導電性も低下させる。より好ましい配合量は、0〜6重量部である。
実施例1:
ボールミル法で製造した一酸化鉛粉を主成分とする鉛粉から成る負極活物質100重量部に対しカーボン材料はカーボンブラックとしてアセチレンブラックの粉末を0.5重量部添加し乾式混合した。この時、硫酸バリウムの粉末をアセチレンブラックの添加量の1.5倍量とした。次に、リグニンを負極活物質に対し0.2重量部を水溶液として加え、更に、イオン交換水を加えながら混練し、更に、比重1.36の希硫酸を加えながら混練して負極活物質ペーストとした。この時に使用したイオン交換水の添加量は鉛粉100重量部に対して約10重量部、希硫酸の量は10重量部であった。尚、出来上がった負極活物質ペーストのカップ密度が約135g/2in3となるようにイオン交換水の量を調整した。このように製造した負極活物質ペーストをPb-Ca系合金から成る鋳造格子基板に充填し、40℃、湿度95%の雰囲気で24時間熟成し、その後乾燥して未化成の負極板とし、次いで、これを化成処理し負極板とした。
化成処理は、上記の負極板をそれぞれ未化成の正極板と組み合わせ、タンク化成を行った。化成時の過充電電気量は、正極の理論容量の250%とした。化成終了後、水洗・乾燥を行い、負極板及び正極板とした。
実施例2
実施例1のアセチレンブラックの添加量を1.0重量部に変えた以外は、実施例1と同様にして負極板を製造した。
実施例3
実施例1のアセチレンブラックの添加量を2.0重量部に変えた以外は、実施例1と同様にして負極板を製造した。
実施例4
実施例1のアセチレンブラックの添加量を3.0重量部に変えた以外は、実施例1と同様にして負極板を製造した。
実施例5
実施例1のアセチレンブラックの添加量を3.5重量部に変えた以外は、実施例1と同様にして負極板を製造した。
実施例6
実施例1のアセチレンブラックをケッチェンブラックに変え、これを1.0重量部添加した以外は、実施例1と同様にして負極板を製造した。
実施例7
実施例1のアセチレンブラックをファーネスブラックに変え、これを1.0重量部添加した以外は、実施例1と同様にして負極板を製造した。
実施例8
実施例1のアセチレンブラックをグラファイトに変え、これを1.0重量部添加した以外は、実施例1と同様にして負極板を製造した。
実施例9
実施例1のアセチレンブラックを活性炭に変え、これを1.0重量部添加した以外は、実施例1と同様にして負極板を製造した。
比較例1
実施例1のアセチレンブラックの添加量0.5重量部を0.1重量部に変えた以外は、実施例1と同様にして負極板を製造した。
比較例2
実施例1のアセチレンブラックの添加量0.5重量部を4.0重量部に変えた以外は、実施例1と同様にして負極板を製造した。
即ち、一酸化鉛を主成分とする鉛粉から成る正極活物質100重量部にイオン交換水10重量部、続いて比重1.27の希硫酸10重量部を加えながら混練して正極用ペーストを製造した。このペーストのカップ密度は約140g/2in3であった。このペーストをPb-Ca系合金から成る鋳造格子基板に充填し、40℃、湿度95%の雰囲気で24時間熟成した後、乾燥して未化成の正極板とした。
実施例1〜9の負極板及び比較例1及び2の負極板について、それぞれの負極板の耳を除く両表面全体に、下記表1に示す組成のカーボン合剤ペーストを乾燥重量換算で負極板に含有する活物質重量の8重量%を塗布した後、空気中60℃で1時間乾燥すると同時に鉛負極を酸化させた。かくして、各負極板の表面に気孔率75%を有するポーラスなカーボン合剤の被覆層が形成された複合キャパシタ負極板を製造した。
尚、比較例3の負極板については、その表面にポーラスなカーボン合剤の被覆層を形成しないものとした。
上記のそれぞれの複合キャパシタ負極板と前記の正極板を、AGMセパレータを介し積層し、公知の制御弁式鉛蓄電池の組み立て方法と同様にして、正極容量規制で、5時間率容量が10Ahの2Vセルから成る制御弁式鉛蓄電池を組み立てた。尚、組立工程で、極板群の圧迫度は50KPaになるようにスペーサーを入れて調整した。次に、電解液として、硫酸アルミニウム・18水塩を30g/l溶解した比重1.30の硫酸水溶液を注入した。次に1Aで20時間充電を行い、その後セル電圧が1.75Vになるまで2Aで放電した。その後、再び1Aで15時間の充電と2Aでセル電圧1.75Vまで放電し、5時間率容量を測定したところ、その容量は10Ahであった。
次に上記のキャパシタ複合負極を具備した鉛蓄電池のそれぞれを用いて、HEVによる走行を模擬してPSOCで急速充放電を繰り返すことによるサイクル寿命試験を行った。同試験はセルを2Aで1時間放電してSOC 80%とした後、40℃の雰囲気中で50A・1秒放電と20A・1秒充電を500回繰り返した後、30A・1秒充電と休止・1秒を510回繰り返し、これを1サイクルとした。この試験を繰り返し、2Vセルの放電電圧が1.0Vに達した時点を寿命とした。それぞれの鉛蓄電池のサイクル寿命試験の結果を下記表2に示す。
また、負極に含まれるカーボン材料の種類をケッチェンブラック、ファーネスブラック、グラファイト、活性炭のそれぞれについても、0.5〜3.5重量部の範囲でアセチレンブラックと同様に長寿命の鉛蓄電池が得られることを確認した。
尚又、表1に示すカーボン合剤ペーストを、乾燥重量換算で負極板に含有する活物質重量に対する塗布量を、前記の8重量%を15重量%と20重量%にそれぞれ変えて複合キャパシタ負極板をそれぞれ製造し、そのそれぞれを用い、上記と同様にして鉛蓄電池を組み立て、上記のPSOCにおける急速充放電サイクル寿命試験を行ったところ、15重量%塗布の場合は同サイクル寿命320回、20重量%塗布の場合は250回の結果となり、塗布量15重量%までが好ましいことが分かった。
更に、表1に示すカーボン合剤ペーストの組成成分を種々変えて比較試験したところ、結局、第1カーボン材料30〜70重量部、第2カーボン材料20〜60重量部、結着剤1〜20重量部、増粘剤0〜10重量部、短繊維補強剤0〜10重量部の範囲で上記のPSOCにおける急充放電寿命試験を行うときは、200回から300回の長寿命が得られることが分かった。
従来の鉛蓄電池のPSOC状態における急速充放電サイクル寿命試験:
カーボン合剤の被覆層を欠いた負極板として、上記の実施例2の負極板を用い、前記段落0018に記載の鉛蓄電池の組立と同様にして2Vセルから成り、5時間率10Ahの鉛蓄電池を組み立て、該鉛蓄電池を前記段落0019に記載と同様にそのPSOCにおける急速充放電サイクル寿命試験を行った。その結果を表2に示す。これから明らかなように、負極板にカーボン合剤の被覆層を形成した複合キャパシタ負極板を負極として用いた本発明の鉛蓄電池とすることにより、PSOC状態における急速放電サイクル寿命が著しく向上することが分かる。
Claims (2)
- 負極活物質100重量部に対しカーボン材料を0.5重量部〜3.5重量部の範囲で含む負極の表面の少なくとも一部に、導電性を有する第1カーボン材料とキャパシタ容量及び/又は擬似キャパシタ容量を有する第2カーボン材料から成る2種類のカーボン材料と結着剤を含むポーラスな合剤の被覆層を形成して成ることを特徴とする複合キャパシタ負極を具備した鉛蓄電池。
- 該負極に含まれるカーボン材料は、カーボンブラック、グラファイト及び活性炭から選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の鉛蓄電池。
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