JP2016154132A - 鉛蓄電池 - Google Patents

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Abstract

【構成】 鉛蓄電池の負極電極材料は、黒鉛あるいはカーボンファイバを含有する。さらに負極電極材料と正極電極材料との質量比が0.62以上である。
【効果】 黒鉛等による浸透短絡が生じ難く、かつPSOC寿命性能に優れる。
【選択図】 図5

Description

この発明は鉛蓄電池に関し、特に深い放電を伴う環境で使用する鉛蓄電池に関する。
アイドリングストップ車の登場により、鉛蓄電池は従来よりも深い放電が行われることが増した。例えばアイドリングストップ車の鉛蓄電池は、部分充電状態(PSOC:partial State of Charge)で使用されることを前提としている。またフォークリフト用のように、サイクル用途の鉛蓄電池は、従来から深い放電深さ(DOD:Depth of Discharge)で使用される。部分充電状態で使用されると、鉛蓄電池は、正極への硫酸鉛の蓄積、あるいは負極のサルフェーションにより、寿命が短くなる。そして部分充電状態では、ガス発生による電解液の撹拌が不足するため、電解液が成層化しやすくなり、鉛蓄電池の寿命はさらに短くなる。
一方、車両が長期放置される等で鉛蓄電池が部分充電状態から過放電に陥ると、セパレータを金属鉛が貫通し正負の両極板が短絡する浸透短絡が生じやすくなる。過放電により電解液中の硫酸イオン濃度が低下し、これに伴って電解液中の鉛イオンの濃度が増す。この鉛イオンが充電時に負極板で還元され、セパレータ内部の孔を通じて金属鉛のデンドライトが成長し、セパレータを貫通して正極板と負極板とが短絡する。
出願人は、負極電極材料に黒鉛を含有させることにより、PSOCでの鉛蓄電池の寿命を向上させることを提案した。例えば特許文献1(WO2011/90113)は、負極電極材料に0.02-2.20mass%の黒鉛と、0.5mass%の硫酸バリウム、及び0.02-2.20mass%のカーボンブラックを含有させることを開示している。特許文献2(WO2011/52438)は、負極電極材料に0.5-3.0mass%の膨張化黒鉛と0.6mass%の硫酸バリウムを含有させることを開示している。出願人以外による文献では、例えば特許文献3(JP5584216B)は、1-3mass%の黒鉛と、0.8mass%の硫酸バリウム及び0.1-2mass%のカーボンブラックを、負極電極材料に含有させることを開示している。
また特許文献4(JP5596241B)はセル室当たりの正極活物質の質量をM、負極活物質の質量をMとしたとき、質量比M/Mを0.70〜1.10の範囲にすることを開示している。
WO2011/90113 WO2011/52438 JP5584216B JP5596241B
黒鉛粒子は硫酸鉛への電子の通り道となることにより、負極の充電を容易にする。発明者は、PSOC寿命の向上を検討する過程で、負極電極材料中の黒鉛が、浸透短絡の原因となることを見出した。この原因として、黒鉛粒子が負極板表面に露出し、あるいは表面から突き出していると、黒鉛粒子の露出部等が金属鉛の析出の中心となることが考えられる。その結果、露出した黒鉛粒子から金属鉛のデンドライトが成長し、セパレータを貫通して短絡を引き起こすと考えられる。負極電極材料中の黒鉛が浸透短絡の原因になることはこれまで知られておらず、発明者が初めて発見したものである。また、負極電極材料にカーボンファイバを含有させた場合にも同様に、負極電極材料中のカーボンファイバが浸透短絡の原因となることを発明者は発見した。
この発明の課題は、
・ 黒鉛あるいはカーボンファイバによる浸透短絡が生じ難く、
・ PSOC等の深い放電を伴う環境での寿命性能に優れた鉛蓄電池を提供することにある。
この発明は、負極板と正極板と電解液とを有する鉛蓄電池において、負極板の負極電極材料は、黒鉛あるいはカーボンファイバを含有し、かつ、鉛蓄電池当たりの負極電極材料の質量Nと正極電極材料の質量Pとの比N/P(以下「N/P比」という)が0.62以上であることを特徴とする。
黒鉛は、実施例の鱗片状黒鉛や膨張化黒鉛の他に、鱗状黒鉛、土状黒鉛などの天然黒鉛、あるいは人造黒鉛でも良く、また膨張黒鉛などでも良い。鱗片状黒鉛、膨張化黒鉛が好ましく、特に鱗片状黒鉛が好ましい。なお膨張化黒鉛は膨張済みの黒鉛である。カーボンファイバも黒鉛と同様の効果を有する。カーボンファイバは例えば長さが5μm以上で500μm以下のものを用いる。
負極電極材料中の黒鉛あるいはカーボンファイバ(以下、黒鉛等という)は、鉛蓄電池の極板内の下部に蓄積した硫酸鉛の還元を容易にし、PSOC寿命など鉛蓄電池が完全には充電されない状態での寿命性能を向上させる。負極電極材料中の黒鉛等の含有量を0.5mass%以上にすると、PSOC寿命が大きく向上するので好ましい。一方で、負極電極材料に黒鉛等を含有させると浸透短絡が発生しやすくなることが明らかになった。鉛蓄電池の負極電極材料に黒鉛等を含有させると浸透短絡が発生しやすくなることはこれまで知られていなかった。
そこで、発明者は負極電極材料に黒鉛等を含有させてPSOC寿命を向上させつつ、浸透短絡の発生を抑制することを検討した。その結果、負極電極材料に黒鉛等を含有する場合に、N/P比を0.62以上とすることで浸透短絡を抑制できることを見出した。
負極電極材料に黒鉛等を含有し、かつN/P比を0.62以上0.95以下にするとPSOC寿命が大きく向上するので、N/P比は0.62以上0.95以下にすることが好ましい。N/P比を0.62以上0.78以下にするとPSOC寿命がさらに大きく向上するので、N/P比は0.62以上0.78以下にすることがより好ましい。
負極電極材料中の黒鉛等の含有量を2.5mass%以下にすると浸透短絡を抑制できるので好ましい。負極電極材料中の黒鉛等の含有量を2.0mass%以下にすると浸透短絡をさらに抑制できるのでより好ましい。
負極電極材料に硫酸バリウムを含有させると浸透短絡を抑制できるので好ましい。負極電極材料に1.2mass%以上の硫酸バリウムを含有させると浸透短絡を顕著に抑制できるのでより好ましい。
なお、硫酸バリウムに替えて単体のバリウムや、炭酸バリウム等のバリウム化合物を用いてもよい。単体のバリウムやバリウム化合物を負極電極材料に添加しても、添加後に硫酸バリウムに変化するからである。単体のバリウムやバリウム化合物は、満充電状態の負極電極材料の質量に対して硫酸バリウム換算の含有量で1.2mass%以上となるように添加するのが好ましい。バリウム元素換算の含有量では、負極電極材料中のバリウム含有量は0.7mass%以上となるように添加するのが好ましい。
負極電極材料に3.0mass%を超える硫酸バリウムを含有させるとPSOC寿命が顕著に低下し、負極電極材料に黒鉛等を含有させることによるPSOC寿命の向上効果が相殺されてしまう。従って、負極電極材料中の硫酸バリウムの含有量は3.0mass%以下が好ましい。バリウム元素換算の含有量では、負極電極材料中のバリウム含有量は1.75mass%以下となるように添加するのが好ましい。
負極電極材料に2.5mass%以下の黒鉛等を含有し、負極電極材料に1.2mass%以上の硫酸バリウムを含有し、N/P比を0.62以上とすると、PSOC寿命性能に優れ、かつ耐浸透短絡性能に優れた鉛蓄電池が得られるので好ましい。負極電極材料に2.0%以下の黒鉛等を含有し、負極電極材料に1.2mass%以上の硫酸バリウムを含有し、N/P比を0.62以上とすると、特に耐浸透短絡性能に優れた鉛蓄電池が得られるのでより好ましい。
負極電極材料に2.5mass%以下の黒鉛等を含有し、負極電極材料に1.2mass%以上の硫酸バリウムを含有し、N/P比を0.62以上としても、浸透短絡を完全には抑制できないことがある。そこで、発明者は浸透短絡をさらに抑制することを検討した。
負極電極材料中の黒鉛の平均粒子径を300μm以下にすると、浸透短絡をさらに抑制できるので、負極電極材料中の黒鉛の平均粒子径を300μm以下にするのが好ましい。
負極電極材料中の黒鉛の平均粒子径を10μm以上とするとPSOC寿命が向上するので、負極電極材料中の黒鉛の平均粒子径を10μm以上とするのが好ましい。
好ましくは、負極電極材料はカーボンブラックを含有する。負極電極材料にカーボンブラックを含有させると、浸透短絡をさらに抑制する効果が得られる。カーボンブラックが浸透短絡を抑制する効果は、負極電極材料中のカーボンブラック含有量が0.05mass%以上で顕著になるので、負極電極材料中のカーボンブラック含有量は0.05mass%以上とするのが好ましい。
負極電極材料中のカーボンブラック含有量を0.1mass%以上とすると、負極電極材料中のカーボンブラック含有量が0.1mass%未満の場合と比較してPSOC寿命の向上効果が大きくなる。従って、負極電極材料中のカーボンブラック含有量は0.1mass%以上とすることが好ましい。負極電極材料中のカーボンブラック含有量を0.5mass%以上とするとPSOC寿命の向上効果が特に大きくなるので、負極電極材料中のカーボンブラック含有量を0.5mass%以上とすることがより好ましい。負極電極材料中のカーボンブラック含有量が1.0mass%を超えると負極活物質ペーストが硬くなり過ぎて、集電体への充填が困難になるため、負極電極材料中のカーボンブラック含有量は1.0mass%以下とすることが好ましい。
電解液にアルミニウムイオンを含有させると、PSOC寿命が向上する。電解液にアルミニウムイオンを0.02mol/L以上含有させると、PSOC寿命が大きく向上する。従って、電解液のアルミニウムイオン濃度は0.02mol/L以上とすることが好ましい。また、電解液にアルミニウムイオンを0.2mol/L以下含有させると、PSOC寿命が大きく向上する。従って、電解液のアルミニウムイオン濃度は0.2mol/L以下とすることが好ましい。
電解液にリチウムイオンを含有させると浸透短絡をさらに抑制することができる。この効果は、電解液にリチウムイオンを0.02mol/L以上含有させたときに顕著となる。従って、電解液のリチウムイオン濃度は0.02mol/L以上とすることが好ましい。
電解液に0.1mol/L以上のリチウムイオンを含有させることによりPSOC寿命が向上する。従って、電解液のリチウムイオン濃度は0.1mol/L以上とすることが好ましい。また、電解液に0.2mol/L以下のリチウムイオンを含有させることによりPSOC寿命が向上する。従って、電解液のリチウムイオン濃度は0.2mol/L以下とすることが好ましい。
最も好ましくは、電解液にアルミニウムイオンとリチウムイオンを含有させる。
この発明の鉛蓄電池はPSOC寿命性能と耐浸透短絡性能に優れるので、アイドリングストップ車用などの鉛蓄電池に好適である。また、この発明の鉛蓄電池は、アイドリングストップ車用などの他に、フォークリフト用などのサイクル用途にも使用できる。実施例では鉛蓄電池は液式であるが、制御弁式でも良い。この発明の鉛蓄電池は、好ましくは液式の鉛蓄電池である。また、この発明の鉛蓄電池は部分充電状態で使用されても浸透短絡を生じにくいため、部分充電状態で使用される鉛蓄電池に好適である。
実施例の鉛蓄電池の要部断面図 実施例でのPSOC寿命試験を示す図 黒鉛含有量の影響を示す特性図(硫酸バリウム含有量0.6mass%、N/P比0.95) N/P比の影響を示す特性図(硫酸バリウム含有量0.6mass%:表3の試料A1-A10) N/P比の影響を示す特性図(硫酸バリウム含有量0.6mass%:表3の試料A1-A10) 硫酸バリウム含有量の影響を示す特性図(黒鉛含有量0.5mass%、N/P比0.62) 黒鉛の平均粒子径の影響を示す特性図(黒鉛含有量2.0mass%、硫酸バリウム含有量1.2mass%、N/P比0.78:表5の試料C9,C11,B23,C13,C15) カーボンブラック含有量の影響を示す特性図(黒鉛含有量2.0mass%、硫酸バリウム含有量1.2mass%、N/P比0.62) アルミニウムイオン濃度の影響を示す特性図(黒鉛含有量2.0mass%、硫酸バリウム含有量1.2mass%、N/P比0.62) リチウムイオン濃度の影響を示す特性図(黒鉛含有量2.0mass%、硫酸バリウム含有量1.2mass%、N/P比0.62)
以下に、本願発明の最適実施例を示す。本願発明の実施に際しては、当業者の常識及び先行技術の開示に従い、実施例を適宜に変更できる。なお実施例では、負極電極材料を負極活物質と呼び、正極電極材料を正極活物質と呼ぶことがある。また負極板は、負極集電体(負極格子)と負極活物質(負極電極材料)とから成り、正極板は、正極集電体(正極格子)と正極活物質(正極電極材料)とから成り、集電体以外の固形成分は活物質(電極材料)に属するものとする。
負極活物質ペーストは、ボールミル法による鉛粉に、所定量の黒鉛と所定量の硫酸バリウム及び防縮剤のリグニン、補強材の合成樹脂繊維を混合して作製した。カーボンブラックをさらに含有させたものも作製した。以下、含有量は、既化成で満充電後の負極活物質中のmass%濃度で示す。なお、満充電とは、15分ごとに測定した充電中の端子電圧が3回連続して一定値(±0.01V)を示すまで5時間率電流で充電した状態をいう。
黒鉛含有量は満充電状態の負極活物質の質量に対して0〜3.0mass%の範囲で変化させた。黒鉛として鱗片状黒鉛と膨張化黒鉛とを用いたが、土状黒鉛、人造黒鉛などの他の黒鉛でも良く、カーボンファイバでも良い。黒鉛及びカーボンファイバは導電性が高く、カーボンブラック等よりも大きな粒子である点で共通し、負極活物質中での作用も同様であると考えられる。黒鉛及びカーボンファイバの中では鱗片状黒鉛又は膨張化黒鉛が好ましい。特に平均粒子径が10μm以上300μm以下の鱗片状黒鉛又は膨張化黒鉛が好ましい。鱗片状黒鉛と膨張化黒鉛は、4端子法による抵抗率が0.001Ω・cm〜0.01Ω・cm(2.5MPaの加圧下での抵抗率)のものを用いた。
硫酸バリウム含有量は満充電状態の負極活物質の質量に対して0.6mass%〜4.0mass%の範囲で変化させた。硫酸バリウムは吸油量が12.5mL/100gで、平均1次粒子径は0.79μm、平均2次粒子径は2.5μmのものを用いたが、粒子径、吸油量等の硫酸バリウムの性状は任意である。硫酸バリウムの平均1次粒子径は例えば0.3μm以上2.0μm以下、平均2次粒子径は例えば1.0μm以上10μm以下とする。リグニン含有量は0.2mass%としたが、含有量は任意で、リグニンに代えてスルホン化したビスフェノール類の縮合物、等の合成防縮剤を用いても良い。補強材含有量は0.1mass%としたが、含有量及び合成樹脂繊維の種類は任意である。また鉛粉の製造方法、酸素含有量等は任意で、他の添加物、例えば水溶性の合成高分子等を含有させても良い。
前記の混合物を水と硫酸とでペースト化し、アンチモンフリーのPb-Ca-Sn系合金から成るエキスパンドタイプの負極格子(高さ110mm×幅100mm×厚さ1.0mm)に充填し、熟成、乾燥を施した。なお負極格子は鋳造格子、打ち抜き格子等でも良い。負極板1枚当たりの負極活物質の質量は表3〜表6に示すセル当たりの負極活物質の質量を負極板枚数で除し、均等となるようにした。また、セル当たりの負極活物質の質量は全セルで均等となるようにした。なお、化成後の負極活物質の密度は例えば3.6g/cm3以上4.0g/cm3以下であればよく、負極板1枚当たりの負極活物質の充填量は例えば30g以上70g以下であればよい。
正極活物質ペーストは、ボールミル法による鉛粉に、既化成で満充電状態の正極活物質の質量に対し0.1mass%の補強材の合成樹脂繊維を混合し、水と硫酸とでペースト化したものを用いた。このペーストをアンチモンフリーのPb-Ca-Sn系合金から成るエキスパンドタイプの正極格子(高さ110mm×幅100mm×厚さ1.2mm)に充填し、熟成、乾燥を施した。鉛粉の種類と製造条件は任意である。なお格子は鋳造格子、打ち抜き格子等でも良い。正極活物質の組成(二酸化鉛以外の成分)は任意で、例えばアンチモンを含有していても良い。正極板1枚当たりの正極活物質の質量は表3〜表6に示すセル当たりの正極活物質の質量を正極板枚数で除し、均等となるようにした。また、セル当たりの正極活物質の質量は全セルで均等となるようにした。なお、化成後の正極活物質の密度は例えば3.5g/cm3以上4.8g/cm3以下であればよい。
未化成の負極板をベースからリブが突出したポリエチレンセパレータで包み、未化成の負極板7枚と未化成の正極板6枚とを交互に積層し、負極板、正極板それぞれをストラップで接続して極板群とした。セパレータは例えば合成樹脂製で、ベース厚さ、合計厚さ等は任意である。セパレータのベース厚さは0.25mmとしたが、例えば0.15mm以上0.25mm以下であればよい。また、正極板と負極板との間隔は例えば0.5mm以上0.9mm以下であればよい。6個の極板群を直列に接続した状態で電槽のセル室に収容し、20℃で比重1.230の硫酸を加えて電槽中で化成し、B20サイズで5時間率容量が30Ahの液式鉛蓄電池とした。
図1は、鉛蓄電池2の要部を示し、4は負極板、6は正極板、8はセパレータで、10は硫酸を主成分とする電解液である。負極板4は負極格子12と負極活物質14とから成り、正極板6は正極格子16と正極活物質18とから成る。セパレータ8はベース20とリブ22とを備える袋状で、袋の内部に負極板4が収納され、リブ22が正極板6側を向いている。ただしリブ22を正極板に向けてセパレータ8に正極板6を収納しても良い。また、セパレータは正極板と負極板を隔離していれば、袋状である必要はなく、例えばリーフレット状のガラスマットやリテーナマット等を用いても良い。
鉛蓄電池2の正極活物質の質量及び負極活物質の質量は以下のようにして測定する。満充電状態の鉛蓄電池2を解体し、負極板4を水洗及び乾燥して硫酸分を除去し、負極活物質14を採取し、負極板1枚当たりの負極活物質の質量を測定する。同様にして正極活物質18を採取し、正極板1枚当たりの正極活物質の質量を測定する。全負極板の活物質の質量の和と、全正極板の活物質の質量の和との比を、鉛蓄電池当たりの負極電極材料の質量Nと正極電極材料の質量Pとの比N/Pとする。
既化成の負極活物質に含まれるバリウム含有量は以下のようにして定量する。満充電状態の鉛蓄電池2を解体し、負極板4を水洗及び乾燥して硫酸分を除去し、負極活物質14を採取する。負極活物質を粉砕し、300g/Lの過酸化水素水を、負極活物質100g当たり20mL加え、さらに60mass%の濃硝酸をその3倍容のイオン交換水で希釈した(1+3)硝酸を加え、撹拌下で5時間加熱し、鉛を硝酸鉛として溶解させる。さらに硫酸バリウムを溶解させ、その溶液中のバリウム濃度を原子吸光測定により定量し、負極活物質中のバリウム含有量に換算する。さらに、負極活物質中のバリウム含有量から負極活物質中の硫酸バリウム含有量を求めることができる。
既化成の負極活物質に含まれる黒鉛およびカーボンブラックの含有量は以下のようにして定量する。満充電状態の鉛蓄電池2を解体し、負極板4を水洗及び乾燥して硫酸分を除去し、負極活物質14を採取する。負極活物質を粉砕し、300g/L濃度の過酸化水素水を、負極活物質100g当たり20mL加え、さらに60mass%の濃硝酸をその3倍容のイオン交換水で希釈した(1+3)硝酸を加え、撹拌下で5時間加熱し、鉛を硝酸鉛として溶解させる。さらに硫酸バリウムを溶解させ、次いで濾過により、黒鉛、カーボンブラック、補強材を分離する。
濾過によって得られた固形分(黒鉛、カーボンブラック、補強材)を水中に分散させる。補強材が通らない篩い、例えば径が1.4mmの篩いを用い、分散液を2回篩いにかけ、水洗をおこない補強材を除去することで、カーボンブラックおよび黒鉛を分離する。
負極活物質用ペーストには、カーボンブラックおよび黒鉛はリグニンなどの有機防縮剤とともに添加され、化成後の負極活物質中においても、有機防縮剤の界面活性効果によって、カーボンブラックおよび黒鉛はその凝集体が崩れた状態で存在する。しかしながら、上記一連の分離操作において有機防縮剤は水中に溶出して失われていることから、カーボンブラックおよび黒鉛を水中に分散させた後、有機防縮剤を加えて撹拌し、カーボンブラックおよび黒鉛の凝集体を再び崩した状態で以下の分離操作を行う。
有機防縮剤は鉛蓄電池に添加されるものであればよく、実施例ではリグニンスルホン酸塩である日本製紙株式会社製バニレックスNを用いた。また、実施例では、水100mLに対して15gの有機防縮剤を添加して撹拌操作を実施した。
上記操作の後、カーボンブラックと黒鉛を含む懸濁液を黒鉛が実質的に通過せず、カーボンブラックが通過する篩いを通過させることで両者を分離する。実施例において、篩いは20μmのものを用いた。なお、これより粒子径の小さい黒鉛を用いた場合でも、3μm以上の粒子径の黒鉛であれば篩いの目詰まりにより黒鉛は実質的に篩いを通過しない。この操作で黒鉛は篩い上に残り、篩いを通過した液にカーボンブラックが含まれる。上記一連の操作により分離した黒鉛、カーボンブラックを水洗乾燥した後にそれぞれの重量を秤量する。なお、カーボンファイバは黒鉛と同様にして分離できる。
黒鉛の平均粒子径(体積平均径)は、分離した黒鉛を再び有機防縮剤を加えた水中に分散させた状態で光散乱法により測定し、粒径3μm未満の部分が存在すれば、カーボンブラック等の不純物として無視する。電解液中のアルミニウムイオンとリチウムイオンは、電解液を抽出しICP発光分光分析法により定量する。
満充電状態の鉛蓄電池2に対し、浸透短絡促進試験とPSOC寿命試験とを行った。PSOC寿命試験の内容を図2と、表1とに示す。1CAは例えば5時間率容量が30Ahの電池の場合は30Aで、40℃気は40℃の気槽中で試験したことを示す。表1の試験パターンで、端子電圧が1.2V/セルに到達するまでのサイクル数を、PSOC寿命とする。また、浸透短絡促進試験の内容を表2に示す。この試験は浸透短絡の発生を促進するような条件下で行う試験であり、実際の鉛蓄電池の使用条件下よりも浸透短絡の発生率が顕著に高くなる。表2に示す浸透短絡促進試験パターンを5サイクル行い、5サイクル後に鉛蓄電池を解体して、短絡が発生した鉛蓄電池の割合を調べた。なお、25℃水は25℃の水槽中で試験したことを示す。表1及び表2において、CC放電は定電流放電、CV充電は定電圧充電、CC充電は定電流充電を意味する。
PSOC寿命試験と浸透短絡促進試験の結果を表3〜表7に示し、含有量の%はmass%を表す。表3は鱗片状黒鉛を用いた際の結果を示し、表4は膨張化黒鉛を用いた際の結果を示し、いずれも負極活物質にはカーボンブラックを含有せず、電解液にはアルミニウムイオンもリチウムイオンも含有していない。表3、表4のPSOC寿命のデータは、各表の先頭の試料を100%とする相対値で示す。
表3及び図3から、負極活物質に黒鉛を含有させるとPSOC寿命が向上し、黒鉛を0.5mass%以上含有させるとPSOC寿命が大きく向上することがわかる。一方で、負極活物質に黒鉛を含有させると浸透短絡が発生しやすくなることがわかる。このように負極活物質に黒鉛を含有させると浸透短絡が発生しやすくなることはこれまで知られていなかった。
そこで、発明者は負極活物質に黒鉛を含有させてPSOC寿命を向上させつつ、浸透短絡の発生を抑制することを検討した。その結果、負極活物質に黒鉛を含有している場合に、N/P比を0.62以上とすることで、浸透短絡を抑制できることを見出した(図4)。一方で、負極活物質に黒鉛を含有していない場合にはN/P比を0.62以上としても浸透短絡抑制効果は得られない(図4)。従って、負極活物質に黒鉛を含有している場合にのみ、N/P比を0.62以上とすることで浸透短絡抑制効果が得られることがわかる。負極活物質中の黒鉛が浸透短絡に関係していることはこれまで知られておらず、N/P比が浸透短絡に関係していることもこれまで知られていない。従って、負極活物質に黒鉛を含有している場合に、N/P比を0.62以上とすることで浸透短絡抑制効果が得られるということは予想できるものではなく、負極活物質に黒鉛を含有することにより発生しやすくなる浸透短絡を抑制するために、N/P比を0.62以上とすることに当業者が想到することは容易ではない。
図4から、負極活物質に黒鉛を含有している場合には、N/P比を0.6から0.62に変化させることで、浸透短絡発生率が顕著に減少することがわかる。このようにN/P比が0.6と0.62とで浸透短絡抑制効果に顕著な違いがあることは予想できるはずもなく、N/P比を0.62以上とすることには臨界的意義があるといえる。
図5から、負極活物質に黒鉛を含有させるとPSOC寿命が向上すること、及びN/P比を0.62以上0.95以下とするとPSOC寿命が向上することがわかる。そして、負極活物質に黒鉛を含有し、かつN/P比を0.62以上0.95以下とすると、PSOC寿命が顕著に向上することから、負極活物質に黒鉛を含有負極活物質に黒鉛を含有させることと、N/P比を0.62以上0.95以下とすることとを組み合わせることで相乗効果が得られることがわかる(図5)。N/P比を0.62以上0.78以下とするとPSOC寿命がさらに大きく向上する。
図3から、負極活物質中の黒鉛含有量を2.5mass%以下とすると浸透短絡を抑制できることがわかる。負極活物質中の黒鉛が浸透短絡の発生に関係していることはこれまで知られていないため、浸透短絡を抑制するために当業者が負極活物質中の黒鉛含有量を2.5mass%以下にすることに想到することは容易ではない。また、図3から、負極活物質中の黒鉛含有量を2.5mass%以下とすると浸透短絡発生率が顕著に減少するため、負極活物質中の黒鉛含有量を2.5mass%以下とすることには臨界的意義があるといえる。負極活物質中の黒鉛含有量を2.0mass%以下とすると浸透短絡抑制効果がさらに大きい。
表3及び図6から、負極活物質に硫酸バリウムを含有させると浸透短絡抑制効果が得られることがわかる。負極活物質中の硫酸バリウムが浸透短絡に関係していることはこれまで知られてないため、負極活物質に硫酸バリウムを含有させると浸透短絡抑制効果が得られることは予想外の結果であった。特に、負極活物質中の硫酸バリウム含有量を1.2mass%以上とすると浸透短絡抑制効果が顕著に大きくなる(図6)。従って、負極活物質中の硫酸バリウム含有量を1.2mass%以上とすることには臨界的意義があるといえる。
表3及び図6から、負極活物質に硫酸バリウムを3.0mass%を超えて含有させると、PSOC寿命が顕著に低下することがわかる。従って、負極活物質中の硫酸バリウムの含有量は3.0mass%以下とすることが好ましい。
負極活物質中の黒鉛含有量を2.5mass%以下とし、負極活物質中の硫酸バリウム含有量を1.2mass%以上とし、かつN/P比を0.62以上とすることで、負極活物質に黒鉛を含有しない鉛蓄電池よりもPSOC寿命性能に優れ、かつ耐浸透短絡性能に優れた鉛蓄電池が得られることがわかる(表3の試料B2-B4など)。負極活物質中の黒鉛含有量、硫酸バリウム含有量、N/P比のいずれか1つでも上記の数値範囲を外れれば浸透短絡を十分には抑制できない。
例えば、負極活物質中の硫酸バリウム含有量を1.2mass%以上とし、かつN/P比を0.62以上としても、負極活物質中の黒鉛含有量が2.5mass%を超えると浸透短絡を十分には抑制できない場合がある(表3の試料B30、B31など)。また、負極活物質中の黒鉛含有量を2.5mass%以下とし、かつN/P比を0.62以上としても、負極活物質中の硫酸バリウム含有量が1.2mass%未満では浸透短絡を十分には抑制できない場合がある(表3の試料B1、B9など)。同様に、負極活物質中の黒鉛含有量を2.5mass%以下とし、負極活物質中の硫酸バリウム含有量を1.2mass%以上としても、N/P比が0.62未満では浸透短絡を十分には抑制できない場合がある(表3の試料B14)。従って、負極活物質中の黒鉛含有量を2.5mass%以下とすることと、負極活物質中の硫酸バリウム含有量を1.2mass%以上とすることと、N/P比を0.62以上とすることの3つの構成を組み合わせてはじめて浸透短絡を十分に抑制できるといえる。
負極活物質中の黒鉛が浸透短絡に関係していることはこれまで知られていないため、浸透短絡を抑制するために当業者が負極活物質中の黒鉛含有量を2.5mass%以下にすることに想到することは容易ではない。また、負極活物質中の硫酸バリウムが浸透短絡に関係していることはこれまで知られていないため、浸透短絡を抑制するために当業者が負極活物質中の硫酸バリウム含有量を1.2mass%以下にすることに想到することは容易ではない。さらにN/P比が浸透短絡に関係していることもこれまで知られていないため、浸透短絡を抑制するために当業者がN/P比を0.62以上とすることに想到することは容易ではない。負極活物質中の黒鉛含有量を2.5mass%以下にすること、負極活物質中の硫酸バリウム含有量を1.2mass%以下にすること、N/P比を0.62以上とすることのそれぞれに当業者が想到することが容易ではないのであるから、それらの3つの構成を組み合わせることに当業者が想到するのは非常に困難である。
以上は黒鉛として鱗片状黒鉛を用いた場合の結果であるが、黒鉛として膨張化黒鉛を用いた場合にもほぼ同様の結果が得られた(表4)。
表3から、負極活物質中の黒鉛含有量を2.5mass%以下とし、負極活物質中の硫酸バリウム含有量を1.2mass%以上とし、かつN/P比を0.62以上としても、浸透短絡を完全には抑制できない場合があることがわかる(表3の試料B27など)。そこで、発明者はさらに浸透短絡を抑制することを検討した。
表5及び図7は負極活物質中の黒鉛の平均粒子径の影響を示す。負極活物質中の黒鉛の平均粒子径を300μm以下とすると、浸透短絡を抑制できることがわかる。負極活物質中の黒鉛の平均粒子径を300μm以下とすることで浸透短絡を抑制できるということは予想外の結果であった。特に、負極活物質中の黒鉛含有量を2.5mass%以下とし、負極活物質中の硫酸バリウムの含有量を1.2mass%以上とし、N/P比を0.62以上とし、さらに負極活物質中の黒鉛の平均粒子径を300μm以下とすると、浸透短絡の発生がほぼ完全に抑制された鉛蓄電池が得られる。負極活物質中の黒鉛の平均粒子径が浸透短絡に関係していることはこれまで知られていない。従って、耐浸透短絡性能に優れた鉛電池を得ることを当業者が目的としても、負極活物質中の黒鉛含有量を2.5mass%以下とし、負極活物質中の硫酸バリウムの含有量を1.2mass%以上とし、N/P比を0.62以上とし、負極活物質中の黒鉛の平均粒子径を300μm以下とすることに想到するためには相当量の試行錯誤が必要であり、容易に想到できるものではない。
表5及び図7から、負極活物質中の黒鉛の平均粒子径を10μm以上とするとPSOC寿命が顕著に向上することがわかる。
表6及び図8は負極活物質中のカーボンブラックの影響を示す。負極活物質にカーボンブラックを含有量させると、浸透短絡を抑制できることがわかる。負極活物質にカーボンブラックを含有させることで浸透短絡を抑制できるということは予想外の結果であった。特に、負極活物質中の黒鉛含有量を2.5mass%以下とし、負極活物質中の硫酸バリウムの含有量を1.2mass%以上とし、N/P比を0.62以上とし、さらに負極活物質にカーボンブラックを含有量させると、浸透短絡の発生がほぼ完全に抑制された鉛蓄電池が得られることがわかる。負極活物質中のカーボンブラックが浸透短絡に関係していることはこれまで知られていない。従って、耐浸透短絡性能に優れた鉛電池を得ることを当業者が目的としても、負極活物質中の黒鉛含有量を2.5mass%以下とし、負極活物質中の硫酸バリウムの含有量を1.2mass%以上とし、N/P比を0.62以上とし、負極活物質にカーボンブラックを含有させることに想到するためには相当量の試行錯誤が必要であり、容易に想到できるものではない。
カーボンブラックによる浸透短絡抑制効果は、負極活物質のカーボンブラック含有量が0.05mass%以上のときに顕著に認められる(図8)。一方、負極活物質に1.0mass%を超えるカーボンブラックを含有させると、活物質ペーストが硬すぎて負極集電体への充填が困難になった。
負極活物質のカーボンブラック含有量を0.1mass%以上とすると、負極活物質のカーボンブラック含有量が0.1mass%未満の場合と比較してPSOC寿命の向上効果が大きくなる(図8)。負極電極材料中のカーボンブラック含有量を0.5mass%以上とするとPSOC寿命の向上効果が特に大きい。なお、表6では、電解液にアルミニウムイオンもリチウムイオンも含有させていない。また、表6では黒鉛として鱗片状黒鉛を用いたが、膨張化黒鉛を用いても同様の結果が得られた。
表7は、電解液中のアルミニウムイオンの影響とリチウムイオンの影響を示す。なお表7では、負極活物質にカーボンブラックは含有させず、黒鉛として鱗片状黒鉛を用いたが、膨張化黒鉛を用いても同様の結果が得られた。電解液にアルミニウムイオンを含有させることにより、PSOC寿命が向上する(表7の試料H1〜H4、図9)。電解液に0.02mol/L以上のアルミニウムイオンを含有させることにより、PSOC寿命が大きく向上する(表7の試料H1〜H4、図9)。また、電解液中に0.2mol/L以下のアルミニウムイオンを含有させることによっても、PSOC寿命が大きく向上する(表7の試料H1〜H4、図9)。
表7及び図10から、電解液にリチウムイオンを含有させると、浸透短絡を抑制できることがわかる。特に、負極活物質中の黒鉛含有量を2.5mass%以下とし、負極活物質中の硫酸バリウムの含有量を1.2mass%以上とし、N/P比を0.62以上とし、さらに電解液にリチウムイオンを含有させると、浸透短絡の発生がほぼ完全に抑制された鉛蓄電池が得られた。耐浸透短絡性能に優れた鉛電池を得ることを当業者が目的としても、負極活物質中の硫酸バリウムの含有量を1.2mass%以上とし、N/P比を0.62以上とし、電解液にリチウムイオンを含有させることに想到するためには相当量の試行錯誤が必要であり、容易に想到できるものではない。リチウムイオンによる浸透短絡抑制効果は、電解液のリチウムイオン濃度が0.02mol/L以上のときに顕著に認められる。
電解液に0.1mol/L以上のリチウムイオンを含有させることによりPSOC寿命が向上する(表7の試料H5〜H8、図10)。また、電解液に0.2mol/L以下のリチウムイオンを含有させることによりPSOC寿命が向上する(表7の試料H5〜H8、図10)。

電解液にアルミニウムイオンとリチウムイオンの両方を含有させると、浸透短絡を抑制でき、またPSOC寿命も大きく向上する(表7の試料H9,H10)
実施例ではPSOC寿命に優れ、浸透短絡が少ない鉛蓄電池が得られるので、セパレータをガラスマット等として、制御弁式の鉛蓄電池としても良い。
2 鉛蓄電池
4 負極板
6 正極板
8 セパレータ
10 電解液
12 負極格子
14 負極活物質
16 正極格子
18 正極活物質
20 ベース
22 リブ

Claims (11)

  1. 負極板と正極板と電解液とを有する鉛蓄電池において、
    負極板の負極電極材料は、黒鉛あるいはカーボンファイバを含有し、
    かつ、鉛蓄電池当たりの負極電極材料の質量Nと正極電極材料の質量Pとの比N/Pが0.62以上であることを特徴とする、鉛蓄電池。
  2. 前記負極電極材料は硫酸バリウムを含有することを特徴とする、請求項1の鉛蓄電池。
  3. 前記負極電極材料はバリウム元素を含有することを特徴とする、請求項1の鉛蓄電池。
  4. 前記負極電極材料は1.2mass%以上の硫酸バリウムを含有することを特徴とする、請求項2の鉛蓄電池。
  5. 前記負極電極材料は3.0mass%以下の硫酸バリウムを含有することを特徴とする、請求項2〜4のいずれかの鉛蓄電池。
  6. 前記負極電極材料はカーボンブラックを含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかの鉛蓄電池。
  7. 前記比N/Pが0.95以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかの鉛蓄電池。
  8. 前記負極電極材料は2.5mass%以下の黒鉛あるいは2.5mass%以下のカーボンファイバを含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかの鉛蓄電池。
  9. 前記黒鉛あるいは前記カーボンファイバとして、平均粒子径が300μm以下の黒鉛を含有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかの鉛蓄電池。
  10. 前記電解液はアルミニウムイオンを含有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかの鉛蓄電池。
  11. 前記電解液はリチウムイオンを含有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか
    の鉛蓄電池。
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