JP6311502B2 - 含フッ素エラストマー組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブル - Google Patents
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Description
[2]前記無機充填剤は、タルク又はクレーであり、前記エポキシ基を有するシラン化合物は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである前記[1]に記載の含フッ素エラストマー組成物。
[3]導体と、前記導体の外周に被覆された、前記[1]又は前記[2]に記載の含フッ素エラストマー組成物からなる絶縁層とを備えた絶縁電線。
[4]前記[1]又は前記[2]に記載の含フッ素エラストマー組成物からなるシースを備えたケーブル。
[5]前記[3]に記載の絶縁電線を備えたケーブル。
本発明の実施の形態に係る含フッ素エラストマー組成物は、テトラフルオロエチレン−炭素数3〜4のα−オレフィン系共重合体(第1の含フッ素共重合体)及びエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体(第2の含フッ素共重合体)を含むベースポリマーと、平均粒径1μm〜10μmの無機充填剤と、エポキシ基を有するシラン化合物と、架橋助剤とを含有し、前記第1の含フッ素共重合体と前記第2の含フッ素共重合体の配合質量比(第1の含フッ素共重合体:第2の含フッ素共重合体)は、90:10〜50:50であり、前記無機充填剤の配合量は、前記ベースポリマー100質量部に対して60〜120質量部であり、前記エポキシ基を有するシラン化合物の配合量は、前記無機充填剤の配合量に対し0.2〜2質量%である。
本発明の実施の形態に係る含フッ素エラストマー組成物は、第1及び第2の含フッ素共重合体を含むベースポリマーを含有している。
第1の含フッ素共重合体は、テトラフルオロエチレン−炭素数3〜4のα−オレフィン系共重合体である。テトラフルオロエチレン−炭素数3〜4のα−オレフィン系共重合体における炭素数3〜4のα−オレフィンとしては、プロピレン又はブテン−1を単独で、若しくはプロピレン、ブテン−1及びイソブテンから選ばれる2種以上を組合せて用いることが好ましく、プロピレンを単独で又は他のものと組合わせて用いることが特に好ましい。
第2の含フッ素共重合体は、エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体である。
本発明の実施の形態に係る含フッ素エラストマー組成物は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体等を必要に応じて含有することもできる。耐熱性の観点からベースポリマー中の上記第1の含フッ素共重合体と上記第2の含フッ素共重合体の合計配合量が80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることが更に好ましい。
本発明の実施の形態に係る含フッ素エラストマー組成物は、平均粒径1μm〜10μmの無機充填剤を含有している。
本発明の実施の形態に係る含フッ素エラストマー組成物は、エポキシ基を有するシラン化合物を含有している。各種無機充填剤は、前述の含フッ素共重合体との親和性が低く、充填量を増加すると凝集する。その結果として絶縁破壊電圧の低下を引き起こす。本発明においては充填剤の凝集を防ぐため、エポキシ基を有するシラン化合物を添加する。
シランのシラノール基が加水分解し、無機充填剤最表面の−OH基と反応することで、無機充填剤が表面処理される。
本発明の実施の形態に係る含フッ素エラストマー組成物は、架橋反応性を高めるために、架橋助剤を含有している。
本発明の実施の形態に係る含フッ素エラストマー組成物には、上記添加剤に加え、適宜、充填剤、架橋剤、滑剤、酸化防止剤、難燃剤、可塑剤などを添加してもよい。
本発明の実施形態に係る絶縁電線は、導体と、導体の外周に被覆された、本発明の実施形態に係る上記含フッ素エラストマー組成物からなる絶縁層とを備えたことを特徴とする。
図2に示すように、本実施の形態に係る絶縁電線10は、汎用の材料、例えば、純銅や錫めっき銅等からなる導体1と、導体1の外周に被覆された絶縁層2とを備える。導体1は、図2のように1本である場合に限られず、複数本の素線を撚合せたものであってもよい。
本発明の実施形態に係るケーブルは、本発明の実施形態に係る上記含フッ素エラストマー組成物を被覆材料(絶縁層及び/又はシース)として使用したことを特徴とする。
図3に示すように、本実施の形態に係るケーブル20は、導体1に絶縁層2を被覆した絶縁電線3本を紙等の介在3と共に撚り合わせた三芯撚り線と、三芯撚り線の外周に施された押え巻きテープ4と、その外周に押出被覆されたシース5とを備える。絶縁電線は単芯でもよく、三芯以外の多芯撚り線であってもよい。
本発明の実施の形態によれば、耐熱性、強靭性及び電気特性に優れた含フッ素エラストマー組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブルを提供することができる。また、本発明の実施の形態によれば、無機充填剤の配合量が比較的多く、無機充填剤の凝集防止のために比較的安価なエポキシ基を有するシラン化合物を使用しているため、上記優れた特性に加え、低コスト化が可能な含フッ素エラストマー組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブルを提供することができる。
組成物の配合内容は表1〜2に記載されるとおりである。180℃に保持したニーダに各配合剤を投入し、その後260℃まで昇温させながら、溶融混練し、各実施例及び比較例の含フッ素エラストマー組成物を作製した。用いた配合剤は、表3に示すとおりである。
次に、作製した含フッ素エラストマー組成物を75mm押出機(〔設定温度〕シリンダー:260℃、ヘッド:260℃、ダイス:270℃)を用い、外径0.9mmの錫めっき銅撚線導体上に厚さ0.4mmに押出被覆した。次に、これに対し15Mradの電子線を照射して架橋させ、各実施例及び比較例の絶縁電線を製造した。
製造した絶縁電線について、下記の試験・評価を行なった。表1〜2に評価結果を示す。
製造した絶縁電線から錫めっき銅撚線を引き抜き、チューブ形状とした各サンプルの引張強度、引張伸びを測定した。UL758準拠を目標とし、引張強度は15MPa以上を裕度がある合格(◎)とし、10.65MPa以上15MPa未満を合格(○)とし、10.65MPa未満を不合格(×)とした。引張伸びは200%以上を裕度がある合格(◎)とし、125%以上200%未満を合格(○)とし、125%未満を不合格(×)とした。
製造した絶縁電線から錫めっき銅撚線を引き抜き、チューブ形状とした各サンプルを232℃で168時間保持し、その後、上記1.記載の通りの引張試験を実施した。サンプルの引張強度、引張伸びを測定し、初期値(上記1.での測定値)に対する引張強度残率、引張伸び残率を求めた。UL758準拠を目標とし、引張強度残率は、95%以上を合格(○)と、95%未満を不合格(×)とした。引張伸び残率は、80%以上を合格(○)と、80%未満を不合格(×)とした。
製造した絶縁電線を70cmの長さに切断し、その両端末の被覆層を剥ぎ取り、両端を結合した。これ(試験試料)を水中に浸漬し、試験試料と水との間に1.5kVを1分間課電後、1kV/minの割合で昇圧して、試験試料の絶縁破壊電圧を測定した。15kV以上を裕度がある合格(◎)とし、10kV以上15kV未満を合格(○)とし、10kV未満を不合格(×)とした。
90度の金属エッジの上に絶縁電線を置き、200℃で600gの荷重を加えて10分間、エッジと絶縁電線の導体とが導通しなければ合格(○)とし、導通したものを不合格(×)とした。
1:導体、2:絶縁層、3:介在、4:押え巻きテープ、5:シース
Claims (5)
- テトラフルオロエチレン−炭素数3〜4のα−オレフィン系共重合体(第1の含フッ素共重合体)及びエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体(第2の含フッ素共重合体)を含むベースポリマーと、平均粒径1μm〜10μmの無機充填剤と、エポキシ基を有するシラン化合物と、架橋助剤とを含有し、
前記第1の含フッ素共重合体と前記第2の含フッ素共重合体の配合質量比(第1の含フッ素共重合体:第2の含フッ素共重合体)は、90:10〜50:50であり、
前記無機充填剤の配合量は、前記ベースポリマー100質量部に対して60〜120質量部であり、
前記エポキシ基を有するシラン化合物の配合量は、前記無機充填剤の配合量に対し0.2〜2質量%である含フッ素エラストマー組成物。 - 前記無機充填剤は、タルク又はクレーであり、前記エポキシ基を有するシラン化合物は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである請求項1に記載の含フッ素エラストマー組成物。
- 導体と、前記導体の外周に被覆された、請求項1又は請求項2に記載の含フッ素エラストマー組成物からなる絶縁層とを備えた絶縁電線。
- 請求項1又は請求項2に記載の含フッ素エラストマー組成物からなるシースを備えたケーブル。
- 請求項3に記載の絶縁電線を備えたケーブル。
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