JP6194842B2 - 含フッ素エラストマー組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブル - Google Patents
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Description
[2]前記フッ素樹脂成分100質量部に対して100質量部以下の無機充填剤をさらに含有する前記[1]に記載の含フッ素エラストマー組成物。
[3]導体と、前記導体の外周に被覆された、前記[1]又は前記[2]に記載の含フッ素エラストマー組成物からなる絶縁層とを備えた絶縁電線。
[4]前記[1]又は前記[2]に記載の含フッ素エラストマー組成物からなるシースを備えたケーブル。
[5]前記[3]に記載の絶縁電線を備えたケーブル。
本発明の実施の形態に係る含フッ素エラストマー組成物は、テトラフルオロエチレン−プロピレン系共重合体(第1の含フッ素共重合体)及びエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体(第2の含フッ素共重合体)を含むフッ素樹脂成分と、ポリエチレンと、三酸化アンチモンと、比表面積50m2/g以下の非晶質シリカと、架橋助剤とを含有し、前記第1の含フッ素共重合体と、前記第2の含フッ素共重合体との配合質量比(第1の含フッ素共重合体:第2の含フッ素共重合体)は、90:10〜10:90であり、前記フッ素樹脂成分100質量部に対して、前記ポリエチレンの配合量は10〜50質量部であり、前記三酸化アンチモンの配合量は3〜20質量部であり、前記非晶質シリカの配合量は5〜30質量部である。
本発明の実施の形態に係る含フッ素エラストマー組成物は、第1及び第2の含フッ素共重合体を含むフッ素樹脂成分を含有している。
第1の含フッ素共重合体は、テトラフルオロエチレン−プロピレン系共重合体である。
第2の含フッ素共重合体は、エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体である。エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体は、マレイン酸で変性されていても良い。マレイン酸で変性されたエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体を用いると耐熱性がさらに向上する。
本発明の実施の形態に係る含フッ素エラストマー組成物は、押出加工時における発泡等の発生を抑える目的で、上記フッ素樹脂成分に加え更にポリエチレンを含有している。
本発明の実施の形態に係る含フッ素エラストマー組成物は、本発明の効果を奏する限り、上記以外のその他のポリマーを含有していてもよい。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体等を必要に応じて含有することもできる。
本発明の実施の形態に係る含フッ素エラストマー組成物は、難燃性向上のため、難燃剤として、三酸化アンチモンと、比表面積50m2/g以下の非晶質シリカを含有している。含フッ素ポリマーによる窒息効果に加え、三酸化アンチモンによる窒息効果と非晶質シリカが形成する断熱層の相乗効果により、優れた難燃性を発揮する。
三酸化アンチモンは、燃焼により崩壊した含フッ素ポリマー中のフッ素と反応し、窒息効果を有するハロゲン化アンチモンと断熱層形成効果を有するオキシハロゲン化アンチモンを生成するため、難燃性が向上する。
非晶質シリカは、燃焼直後にフッ素樹脂組成物表面に分散しているシリカが規則的に配列・固化し、断熱層を形成する。これにより、燃え殻が硬化し、難燃性が向上する。
本発明の実施の形態に係る含フッ素エラストマー組成物は、架橋反応性を高めるために、架橋助剤を含有している。
本発明の実施の形態に係る含フッ素エラストマー組成物は、無機充填剤を更に含有していることが好ましい。
本発明の実施の形態に係る含フッ素エラストマー組成物には、上記添加剤に加え、適宜、その他の充填剤、架橋剤、滑剤、酸化防止剤、可塑剤などを添加してもよい。
本発明の実施形態に係る絶縁電線は、導体と、導体の外周に被覆された、本発明の実施形態に係る上記含フッ素エラストマー組成物からなる絶縁層とを備えたことを特徴とする。
図1に示すように、本実施の形態に係る絶縁電線10は、汎用の材料、例えば、純銅や錫めっき銅等からなる導体1と、導体1の外周に被覆された絶縁層2とを備える。導体1は、図1のように1本である場合に限られず、複数本であってもよい。
本発明の実施形態に係るケーブルは、本発明の実施形態に係る上記含フッ素エラストマー組成物を被覆材料(絶縁層及び/又はシース)として使用したことを特徴とする。
図2に示すように、本実施の形態に係るケーブル20は、導体1に絶縁層2を被覆した絶縁電線3本を紙等の介在4と共に撚り合わせた三芯撚り線と、三芯撚り線の外周に施された押え巻きテープ5と、その外周に押出被覆されたシース3とを備える。絶縁電線は単芯でもよく、三芯以外の多芯撚り線であってもよい。
本発明の実施の形態によれば、難燃性、強靭性及び加工性に優れた含フッ素エラストマー組成物、並びにこれを用いた外観に変色の無い絶縁電線及びケーブルを提供することができる。
また、高価なフッ素系ポリマーと比較し、非常に安価であるポリエチレンをブレンドすることで、含フッ素エラストマー組成物の製造コストを下げることが可能となる。
表1〜2に記載される所定量の各配合剤を180℃で投入し、その後260℃まで昇温させながら、ニーダーを用いて溶融混練し、各実施例及び比較例の含フッ素エラストマー組成物を作製した。用いた配合剤は、表3に示す通りである。
次に、作製した含フッ素エラストマー組成物を75mm押出機(〔設定温度〕シリンダー:260℃、ヘッド:270℃、ダイス:270℃)を用い、外径0.9mmの錫めっき銅撚線導体上に厚さ0.4mmに押出被覆した。この際の線速は100m/minとした。次に、これに対し10Mradの電子線を照射して架橋させ、各実施例及び比較例の絶縁電線を製造した。
製造した絶縁電線について、下記の試験・評価を行なった。表1〜2に評価結果を示す。
<評価方法>
製造した絶縁電線をUL subject 758に準拠して試験した。判定は、1分未満に消炎したものを合格(○)とし、消炎までに1分以上を要したものを不合格(×)とした。
<評価方法>
製造した絶縁電線から錫めっき銅撚線を引き抜き、チューブ形状とした各サンプルの引張強度、引張伸びを測定した。引張強度は15MPa以上を、引張伸びは150%以上を合格(○)とし、15MPa未満、150%未満を不合格(×)とした。
成形後の絶縁電線断面を観察し、発泡の有無を確認した。発泡が無かったものを合格(○)とし、発泡が有ったものを不合格(×)とした。
<評価方法>
90度の金属エッジの上に絶縁電線を置き、200℃で300gの荷重を加えて10分間、エッジと絶縁電線の導体とが導通しなければ合格(○)とし、導通したものを不合格(×)とした。
<評価方法>
製造した絶縁電線の表面を目視し、変色が生じていないものを合格(○)とし、変色が生じているものを不合格(×)とした。
1:導体、2:絶縁層
3:シース、4:介在、5:押さえ巻きテープ
Claims (5)
- テトラフルオロエチレン−プロピレン系共重合体(第1の含フッ素共重合体)及びエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体(第2の含フッ素共重合体)を含むフッ素樹脂成分と、ポリエチレンと、三酸化アンチモンと、比表面積50m2/g以下の非晶質シリカと、架橋助剤とを含有し、
前記第1の含フッ素共重合体と、前記第2の含フッ素共重合体との配合質量比(第1の含フッ素共重合体:第2の含フッ素共重合体)は、90:10〜10:90であり、
前記フッ素樹脂成分100質量部に対して、前記ポリエチレンの配合量は10〜50質量部であり、前記三酸化アンチモンの配合量は3〜20質量部であり、前記非晶質シリカの配合量は5〜30質量部である含フッ素エラストマー組成物。 - 前記フッ素樹脂成分100質量部に対して100質量部以下の無機充填剤をさらに含有する請求項1に記載の含フッ素エラストマー組成物。
- 導体と、前記導体の外周に被覆された、請求項1又は請求項2に記載の含フッ素エラストマー組成物からなる絶縁層とを備えた絶縁電線。
- 請求項1又は請求項2に記載の含フッ素エラストマー組成物からなるシースを備えたケーブル。
- 請求項3に記載の絶縁電線を備えたケーブル。
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