JP4070006B2 - 含フッ素エラストマー組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械的強度、耐熱性、耐油性及び押出成形性に優れた含フッ素エラストマー組成物に係り、特に外径が10mmφを超えるような大型機器用リード線などの絶縁被覆材料又はシース材料として好適な含フッ素エラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、含フッ素エラストマーは、耐熱性、耐油性、耐薬品性に優れた柔軟で弾性を有する重合体として、ガスケット、パッキン、ダイヤフラム、ホース等の種々の用途に用いられていることが知られている。含フッ素エラストマーの中でも、テトラフルオロエチレン−α−オレフィン共重合体は耐熱性と電気特性のバランスに優れ、その特徴を保ったまま押出成形によって電線、チューブといった用途に応用すべく近年種々の検討がなされている。実際、当該出願人は、特開平2−311548号公報でも詳しく述べたように、テトラフルオロエチレン−α−オレフィン共重合体に、特定量のフッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体系エラストマーとエチレン−エチレン性不飽和エステル共重合体を添加することにより、テトラフルオロエチレン−α−オレフィン共重合体が本来有する優れた特性を保持したまま押出成形性を向上させた含フッ素エラストマー組成物の実現に成功している。
【0003】
この組成物は、フッ素系エラストマー単体に比べて安価であり、自動車、産業ロボット、熱機器等の各種の用途で使用される電線、ケーブルの絶縁被覆材料やシース材料などとして幅広く用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平2−311548号公報に開示された組成物は、特に外径が10φを超えるような大型機器用リード線などの絶縁被覆材料として使用された場合に、機械的強度や押出成形性が劣ることがあった。例えば、電気用品安全法で要求される引張強度10MPa以上をクリアできないといった問題や、押出成形時に単位時間当たりに多くの吐出量を必要とされつつも、生産速度を上げたいため、より押出回転数を上げることにより生じるゴムのスコーチと言った問題などがあった。
【0005】
本発明は、このような点に基づいてなされたもので、その目的とするところは、機械的強度、耐熱性、耐油性及び押出成形性に優れ、例えば、外径が10mmφを超えるような大型機器用リード線などの絶縁被覆材料又はシース材料として好適な含フッ素エラストマー組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するべく本発明による含フッ素エラストマー組成物は、テトラフルオロエチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対して、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体系エラストマー3重量部以上50重量部以下、エチレン−エチレン性不飽和エステル共重合体3重量部以上20重量部以下、不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィン樹脂3重量部以上15重量部以下添加することを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
テトラフルオロエチレン−α−オレフィン共重合体は、テトラフルオロエチレンと、α−オレフィンとを共重合させたものであり、α−オレフィンとしてはプロピレンが好ましい。テトラフルオロエチレンと、α−オレフィンとを共重合させる場合には、その他の成分として、例えば、アクリル酸エステル類、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、クロロトリフルオロエチレン、エチレン、ブテン−1、グリシジル(メタ)アクリレートなどを一緒に共重合させても良い。尚、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体としては、様々な共重合比率のものや、分子量のものが市販されているのでそれらを用いても良い。
【0008】
フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体系エラストマーとしては、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン二元共重合体や、それに更にテトラフルオロエチレンを共重合させた三元共重合体などが挙げられる。これらは、単独で使用しても良いし、混合したものを使用しても良い。
【0009】
フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体系エラストマーは、テトラフルオロエチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対し、3重量部以上50重量部以下添加することが好ましい。3重量部未満では、後述するエチレン−エチレン性不飽和エステル共重合体及び不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィン樹脂の添加による耐熱性及び耐油性の低下を補完する効果が現れず、テトラフルオロエチレン−α−オレフィン共重合体が本来有する優れた特性を保持することができない。又、50重量部を超えると、組成物が軟らかくなり過ぎ、機械的強度(引張強度)の低下や、他の物質に貼り付き易い性状となってしまうため、押出成形性(作業性)の低下が見られるようになる。
【0010】
エチレン−エチレン性不飽和エステル共重合体としては、エチレンとエチレン性不飽和エステルを公知の方法により共重合させたものが使用される。エチレン性不飽和エステルとしては、例えば、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどが挙げられるが、好ましくは酢酸ビニル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチルが挙げられ、更に好ましくはアクリル酸エチルが挙げられる。
【0011】
エチレンとエチレン性不飽和エステルの共重合比については特に指定はしないが、例えば、エチレン性不飽和エステルが9重量%以上34重量%以下のものであれば、テトラフルオロエチレン−α−オレフィン共重合体が本来有する優れた耐熱性や耐油性を保持したまま押出成形性を向上させることができるため好ましい。
【0012】
エチレン−エチレン性不飽和エステル共重合体は、テトラフルオロエチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対して、好ましくは3重量部以上20重量部以下、更に好ましくは5重量以上20重量部以下添加する。3重量部未満では、粘度を下げる効果が見られずゴムのスコーチが発生したり、押出成形性(外観及び作業性)が低下してしまう。又、20重量部を超えると高温下で放置された組成物の引張強度が低下するといった耐熱性の低下や、高温油中で放置された組成物の引張強度及び伸びが低下するといった耐油性の低下が見られ、テトラフルオロエチレン−α−オレフィン共重合体が本来有する優れた特性を保持することができない。特に、エチレン−エチレン性不飽和エステル共重合体として、エチレン−アクリル酸エチル共重合体を過剰に添加した場合には、エチレン−アクリル酸エチル共重合体が本来有している他の物質に貼り付き易いという性状が顕著に現れてしまうため、押出成形性(外観及び作業性)についても悪化してしまう。
【0013】
不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィン樹脂とは、直鎖状ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンやエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体などのエチレン系共重合体などからなるポリオレフィンが不飽和カルボン酸や不飽和カルボン酸誘導体で変性されたものである。変性に用いられる不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などが挙げられる。不飽和カルボン酸誘導体としては、例えば、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、無水マレイン酸、イタコン酸モノエステル、イタコン酸ジエステル、無水イタコン酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステル、無水フマル酸などが挙げられるが、好ましくは、無水マレイン酸で変性されたポリオレフィン樹脂が挙げられ、更に好ましくは、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸の三元共重合体が挙げられる。
【0014】
本発明においてエチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸三元共重合体を用いる場合、エチレン、アクリル酸エチル、無水マレイン酸の共重合比については特に指定はしないが、例えば、アクリル酸エチルが15重量%以上31重量%以下のものであり、無水マレイン酸が1.5重量%以上3.5重量%以下のものであれば、テトラフルオロエチレン−α−オレフィン共重合体が本来有する優れた耐熱性や耐油性を保持したまま機械的強度及び押出成形性を著しく向上させることができるため好ましい。
【0015】
不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィン樹脂は、テトラフルオロエチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対して、好ましくは3重量部以上15重量部以下、更に好ましくは5重量部以上10重量部以下添加する。3重量部未満では、ポリマー同士の相溶化作用が得られないため、組成物の機械的強度や押出成形性(外観及び作業性)の向上効果が見られない。又、15重量部を超えると、高温下で放置された組成物の引張強度が低下するといった耐熱性の低下や、高温油中で放置された組成物の引張強度及び伸びが低下するといった耐油性の低下が見られる。特に、不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィン樹脂として、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸三元共重合体を過剰に添加した場合には、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸三元共重合体が本来有している他の物質に貼り付き易いという性状が顕著に現れてしまうため、押出成形性(作業性)がかえって悪化してしまう。
【0016】
本発明においては、上記の成分に加えて、含ハロゲン難燃剤、難燃助剤や無機充填剤を更に添加しても良い。含ハロゲン難燃剤は、公知のもの、例えば、デカブロモフェノキシベンゼン、エチレンビス(ペンタブロモベンゼン)等の臭素系、パークロルペンタシクロデカン等の塩素系のものが用いられる。難燃助剤としては、公知の三酸化アンチモン、亜鉛華、ホウ酸亜鉛などが用いられる。これらを添加することにより、組成物の難燃性を更に高めることができる。又、無機充填剤を添加することによって、耐熱性を更に向上させることができる。無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム系鉱物、ケイ酸アルミニウム系鉱物、シリカ、カーボン、金属水酸化物、又は、これらに表面処理を施したものなどを挙げることができる。これらの無機充填剤は、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。無機充填剤の添加量については、得られる組成物の機械的強度などを考慮して適宜に定めれば良い。
【0017】
上記の各構成材料に、架橋剤、架橋助剤、酸化防止剤、加工助剤、安定剤、難燃剤、顔料等の従来公知の各種添加剤を必要に応じて適宜に配合したものを、インターナルミキサー、一軸混練機、二軸混練機等の公知の混練機を使用して充分に混練りすることによって本発明の組成物が完成する。
【0018】
このようにして得られた本発明の組成物を公知の方法によって押出成形し、その後、適宜に架橋を施すことにより電線、チューブ等の製品を得ることができる。この際、導体外径が0.3mmφ以上であり、且つ、被覆の厚さが0.2mm以上である電線や、呼び径が1.0mmφ以上であり、且つ、厚さが0.3mm以上であるチューブなどに本発明の組成物を適用できるが、中でも導体外径が10mmφ以上であり、被覆の厚さが1.0mm以上である電線や、呼び径10mmφ以上であり、且つ厚さが1.0mm以上であるチューブにおいては、特に本発明の組成物の有する優れた特徴が顕著に発現することになる。
【0019】
架橋方法は特に限定されず、例えば、1,3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(第三ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物を架橋剤として使用した化学架橋法、X線、γ線、電子線、陽子線、重陽子線、α線、β線等の電離性放射線を使用した照射架橋法などが挙げられる。
【0020】
【実施例】
以下に本発明の実施例を比較例と併せて説明する。この実施例で使用した各配合材料の詳細は表4に示す通りである。
【0021】
表1乃至表3に示した配合材料を二軸混練機で充分に混練りし、得られた組成物をリボン化した後、90mmφベント型押出機に供給して、シリンダー60℃、ヘッド80℃の温度条件にて、素線径0.45mmの錫メッキ軟銅線2035本を撚り合わせた外径27.0mmφの導体周上に3.3mmの肉厚で押出被覆し、直ちに溶融塩加硫装置(LCM)により仕上外径34mmの架橋電線を製造した。
【0022】
ここで、このようにして得られた合計25種類の架橋電線を試料として、機械的強度(引張強度、伸び)、耐熱性、耐油性及び押出成形性(外観、作業性、80℃における組成物の粘度)について、それぞれ評価を行った。結果は表1乃至表3に併せて示した。
【0023】
評価方法は以下の通りである。
機械的強度
引張強度と伸びは、JIS C 3005(2000)に準拠して測定した。各々の要求特性は、電気用品安全法の絶縁体要求特性から引用し、引張強度10MPa以上、伸び200%以上とした。
【0024】
耐熱性
250℃に保持された恒温槽内に96時間放置した後取り出し、JIS C3005(2000)に準拠して、引張強度残率、伸び残率をそれぞれ測定した。各々の要求特性は、電気用品安全法の絶縁体要求特性から引用し、ともに80%をクリアしたものを合格とした。
【0025】
耐油性
120℃に保持されたIRM902油中に18時間放置した後取り出し、JIS C3005(2000)に準拠して、引張強度残率、伸び残率をそれぞれ測定した。各々の要求特性は、実用性を考慮してともに60%をクリアしたものを合格とした。
【0026】
押出成形性
押出成形性を電線の外観、成形時の作業性、組成物の粘度により評価した。尚、組成物の粘度は80℃における二枚円盤型粘度計の直読値で示した。
外観
○:表面平滑性が良好、ダイスカスの発生無し。
×:表面が悪い、もしくはダイスカスの発生がある場合。
作業性
○:押出機内の金属面への張り付きが無く、取り扱いが容易である。
×:押出機内の金属面への張り付きがあり、取り扱いが困難である。
粘度
測定値15以下では生産速度を上げてもゴムの発熱によるスコーチの危険性が無い。測定値17以上ではゴムの発熱によるスコーチの危険性がある。
【0027】
【表1】
Figure 0004070006
【0028】
【表2】
Figure 0004070006
【0029】
【表3】
Figure 0004070006
【0030】
【表4】
Figure 0004070006
【0031】
表1乃至表3の結果から次のことが判る。即ち、各成分の添加量が本発明の好ましい範囲内である実施例1乃至実施例17は、いずれもテトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体が本来有する高度な耐熱性及び耐油性を保持したまま、押出成形性が著しく向上しているとともに、引張強度10MPa以上、伸び200%という機械的強度の要求特性を満たしている。
【0032】
これらの中でも特に、エチレン−アクリル酸エチル共重合体の添加量が本発明の最も好ましい範囲(5重量部以上20重量部以下)である実施例6、実施例7及び実施例8については、押出成形性(粘度)が15以下という優れた数値を示している。そのため、生産速度を上げた場合でもゴムのスコーチの発生が起こらず、生産性を高めることができると言える。
【0033】
又、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸三元共重合体の添加量が本発明の最も好ましい範囲(5重量部以上10重量部以下)である実施例7及び実施例1については、押出成形性(粘度)と機械的強度(引張強度及び伸び)のバランスの取れた組成物であることが判る。
【0034】
これらに対して、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体系エラストマーを全く添加していない比較例1は、実施例2と比較しても明らかなように、耐熱性及び耐油性が不合格となっている。フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体系エラストマーを添加しているものの、その添加量が本発明の好ましい範囲の上限値(50重量部)を超える比較例2は、押出成形性(作業性)と機械的強度(引張強度)が劣っている。
【0035】
又、エチレン−アクリル酸エチル共重合体を全く添加していない比較例3は、実施例4と比較しても明らかなように、押出成形性(外観及び作業性)が不合格となっており、且つ、押出成形性(粘度)が17.0と特に高い数値を示している。このような組成物を実施例と同様の生産速度で押出すると、スコーチが発生してしまうため、生産性を高めることができない。エチレン−アクリル酸エチル共重合体を添加しているものの、その添加量が本発明の好ましい範囲の上限値(20重量部)を超える比較例4は、実施例8と比較しても明らかなように耐熱性及び耐油性が不合格となっている。特にエチレン−アクリル酸エチル共重合体の添加量が多過すぎる比較例5は、耐熱性、耐油性に加えて、更に、押出成形性(外観及び作業性)も悪化していることが判る。これは、エチレン−アクリル酸エチル共重合体を過剰に添加すると、エチレン−アクリル酸エチル共重合体が本来有している他の物質に貼り付き易いという性状が顕著に現れてしまうためである。
【0036】
又、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸三元共重合体を全く添加していない比較例6は、実施例10と比較しても明らかなように、機械的強度(引張強度)が9.4MPaと要求特性を下回っており、且つ、押出成形性(外観、作業性及び粘度)がともに不合格となっている。特に、押出成形性(粘度)が18.3と高い数値を示していることから、このような組成物を実施例と同様の生産速度で押出すると、スコーチが発生してしまうため、生産性を高めることができない。エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸三元共重合体を添加しているものの、その添加量が本発明の好ましい範囲の下限値(3重量部)に満たない比較例7は、実施例9と比較しても明らかなように、機械的強度(引張強度)が9.8MPaと要求特性を下回っており、且つ、押出成形性(外観及び作業性)がともに不合格となっている。又、その添加量が本発明の好ましい範囲の上限値(15重量部)を超える比較例8は、実施例11と比較しても明らかなように耐熱性、耐油性に加えて、押出成形性(作業性)が不合格となっている。これは、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸三元共重合体を過剰に添加すると、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸三元共重合体が本来有している他の物質に貼り付き易いという性状が顕著に現れてしまうためである。
【0037】
尚、実施例12乃至実施例15は、エチレン−アクリル酸エチル共重合体のアクリル酸エチル含量(EA含量)を変更した場合の例である。EA含量が本発明の好ましい範囲の下限値である実施例12(EA9重量%)から上限値である実施例14(EA含量34%)に至るまで、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体が本来有する優れた耐熱性及び耐油性を保持したまま、押出成形性が著しく向上しているとともに、引張強度10MPa以上、伸び200%という機械的強度の要求特性を満たしている。
【0038】
又、実施例16及び実施例17は、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸三元共重合体のアクリル酸エチル含量(EA含量)と無水マレイン酸含量(MAH含量)を変更した場合の例である。実施例16及び実施例17はともに本発明の好ましい範囲であるため(アクリル酸エチルが15重量%以上31重量%以下で、且つ、無水マレイン酸が1.5重量%以上3.5重量%以下)、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体が本来有する優れた耐熱性及び耐油性を保持したまま、押出成形性が著しく向上しているとともに、引張強度10MPa以上、伸び200%という機械的強度の要求特性を満たしている。
【0039】
本発明は上記の実施例に限定されるものではない。上記の実施例では本発明に係る組成物を電線の絶縁被覆材料として使用したが、複数の電線を組み合わせたケーブルのシース材料、コード状ヒータの絶縁被覆材料、チューブの構成材料などとしても使用可能である。
【0040】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明は、テトラフルオロエチレン−α−オレフィン共重合体に対し、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体系エラストマー、エチレン−エチレン性不飽和エステル共重合体及び不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィン樹脂を好ましい範囲で添加することにより、機械的強度、耐熱性、耐油性及び押出成形性に優れた含フッ素エラストマー組成物を得ることができた。これは、特に外径が10mmφを超えるような大型機器用リード線などの絶縁被覆材料又はシース材料として好適と言える。

Claims (4)

  1. テトラフルオロエチレン−α−オレフィン共重合体と、該共重合体100重量部に対し、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体系エラストマー3重量部以上50重量部以下、エチレン−エチレン性不飽和エステル共重合体3重量部以上20重量部以下、不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィン樹脂3重量部以上15重量部以下を少なくとも含有するとともに、無機充填材を更に含有することを特徴とする含フッ素エラストマー組成物。
  2. 上記不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィン樹脂がエチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸三元共重合体であることを特徴とする、請求項1記載の含フッ素エラストマー組成物。
  3. 導体周上に請求項1又は請求項2記載の含フッ素エラストマー組成物を被覆し、架橋を施した電線において、上記導体の外径が10mmφ以上であり、上記被覆の厚さが1.0mm以上である電線。
  4. 請求項1又は請求項2記載の含フッ素エラストマー組成物を成形し、架橋を施したチューブにおいて、呼び径10mmφ以上であり、且つ厚さが1.0mm以上であるチューブ。
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