JP2611458B2 - 含ふっ素エラストマ被覆絶縁電線 - Google Patents

含ふっ素エラストマ被覆絶縁電線

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JP2611458B2
JP2611458B2 JP1272655A JP27265589A JP2611458B2 JP 2611458 B2 JP2611458 B2 JP 2611458B2 JP 1272655 A JP1272655 A JP 1272655A JP 27265589 A JP27265589 A JP 27265589A JP 2611458 B2 JP2611458 B2 JP 2611458B2
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正信 中橋
育雄 関
秀樹 柳生
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、可撓性および耐熱性に優れた含ふっ素エラ
ストマ被覆層を有する絶縁電線に関し、特に従来一部に
問題のあった銅害について大巾に改善することを可能と
した含ふっ素エラストマ被覆電線に関するものである。
[従来の技術] 出願人は、早くから、ふっ素樹脂絶縁電線の有する耐
熱性や難燃性という優れた性質を保持させつつ、従来問
題視されてきた可撓性の不十分さを改善することに着目
し、高耐熱性を有し、しかも一般の電工作業において必
要とされる撓み量を十分満足させるだけの可撓性を有す
るのみならず、高温耐油性や耐放射線性等にも優れた性
質を発揮し得るふっ素樹脂絶縁電線の開発に成功してい
る。
これは、絶縁体として具体的にはテトラフルオロエチ
レンと炭素数2〜4のα−オレフィンとの共重合体、就
中テトラフルオロエチレン−プロピレン系共重合体を主
体とするものであり、上述した通り、耐熱性、耐油性、
耐薬品性および電気特性に優れていることから、ホー
ス、チューブ、ガスケット、パッキン、ダイヤフラム、
シートおよび前記電気絶縁被覆などへの適用が大きく期
待されるものである。
この共重合体の架橋は、通常化学架橋剤を添加し、所
定形状に成形後加熱雰囲気下に保持することにより行な
われているが、架橋時間が比較的長いことから製造能率
の点で問題があった。
これを解決するために、電離性放射線照射による架橋
も検討されたが、この方法で架橋した場合には、上記組
成の共重合体においては引張強度などの機械的特性が不
十分になるという問題点のあることがわかった。
[発明が解決しようとする課題] 上記の問題点については、その後、テトラフルオロエ
チレンと炭素数2〜4のα−オレフィンとの共重合体に
エチレン−テトラフルオロエチレン−フルオロオレフィ
ン共重合体をブレンドした組成物を導体外周に被覆し、
この被覆層を放射線照射により架橋するという提案がな
され、それによって解決が図られるようになった。
しかしながら、この組成よりなる被覆層を有する電線
は、上述した可撓性、引張強度および耐熱性等において
は優れているが、高温で長期間使用されているうちに銅
導体に腐食が生ずるという所謂銅害を発生し易いという
新たな問題点を有していることがわかった。
本発明の目的は、上記したような従来技術の問題点を
解消し、本来有する耐熱性及び可撓性など固有の性質を
損うことなく、耐銅害性に優れた新規な含ふっ素エラス
トマ組成物を用いた絶縁電線を提供しようとするもので
ある。
[課題を解決するための手段] 本発明は、第1に、テトラフルオロエチレンと炭素数
2〜4のα−オレフィンとの共重合体とエチレン−テト
ラフルオロエチレン−フルオロオレフィン共重合体とを
含有する樹脂成分100重量部に対して、表面処理剤及び
不純物として含有されるアルミニウムの含有量が2重量
%以下のチタン白を1〜30重量部及び架橋助剤を0.5重
量部以上添加してなる組成物が銅導体の外周に被覆層と
して形成され、該被覆層は放射線の照射により架橋され
てなることを特徴とするものであり、また、第2に、上
記と同じ組成のポリマー100重量部に対し、架橋助剤を
0.5重量部以上及び酸化ネオジウムを0.1〜10重量部添加
してなる組成物を被覆層とし、これを放射線照射架橋し
たことを特徴とするものである。
本発明において、テトラフルオロエチレンと共重合し
てエラストマ性状を呈する炭素数2〜4のα−オレフィ
ンとしては、プロピレンおよびブテン−1単独、並びに
エチレン、プロピレン、ブテン−1およびイソブテンか
ら選ばれる2種以上の組合せが例示されるが、この発明
の目的達成のためにはプロピレンが好ましい。
テトラフルオロエチレン−プロピレン系共重合体とし
ては、主成分のテトラフルオロエチレンとプロピレンに
加えて、これらと共重合可能な成分、例えば、エチレ
ン、イソブチレン、アクリル酸およびそのアルキルエス
テル、メタクリル酸およびそのアルキルエステル、ふっ
化ビニル、ふっ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロペ
ン、クロロエチルビニルエーテル、クロロトリフルオロ
エチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等を適
当に含有せしめたものであってもよい。
テトラフルオロエチレン−プロピレン系共重合体は、
耐熱性、成形性等の面からテトラフルオロエチレン/プ
ロピレンの含有モル比を95/5〜70/30の範囲に選定する
のが好ましく、特に好ましくは、90/10〜45/55の範囲が
よい。また、適宜加えられる主成分以外の成分の含有量
としては50モル%以下、特に30モル%以下の範囲から選
定することが好ましい。
テトラフルオロエチレン−プロピレン系共重合体の数
平均分子量は2万〜20万とすることが押出性および機械
的強度の点から好ましく、数平均分子量が大きすぎると
成形体にクラックが発生しやすくなり、一方小さすぎる
と機械的強度が不十分となりやすい。この場合の数分子
量調整は、単量体濃度、重合開始剤濃度、単量体対重合
開始剤量比、重合温度、連鎖移動剤使用等の共重合反応
条件の操作により直接生成重合体の分子量を調整する方
法、あるいは共重合反応時には高分子量共重合体を生成
し、これを酸素存在下に加熱処理するなどして低分子量
化する方法により行なうことができる。
本発明において、エチレン−テトラフルオロエチレン
−フルオロオレフィン共重合体におけるフルオロオレフ
ィンとしては、クロロトリフルオロエチレン、ふっ化ビ
ニリデン、トリフルオロエチレン、1,1−ジヒドロパー
フルオロプロペン、1,1−ジヒドロパーフルオロブテン
−1、1,5−トリヒドロパーフルオロペンテン−1、1,
1,7−トリヒドロパーフルオロペンテン−1、1,1,2−ト
リヒドロパーフルオロヘキサン−1、1,1,2−トリヒド
ロパーフルオロオクテン−1、パーフルオロ(メチルビ
ニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテ
ル)、ヘキサフルオロプロペン、パーフルオロブテン−
1、3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチルプ
ロペン−1などが挙げられる。かかるエチレン−テトラ
フルオロエチレン−フルオロオレフィンの含有モル比
は、10〜40/90〜60/0.1〜20の範囲から選定することが
好ましい。
テトラフルオロエチレンとα−オレフィンとの共重合
体/エチレン−テトラフルオロエチレン−フルオロオレ
フィン共重合体の含有重量比は、得られる成形体の機械
的強度および可撓性を考慮すると90/10〜20/80の範囲か
ら選定するのが好ましく、エチレン−テトラフルオロエ
チレン−フルオロオレフィン共重合体の含有量が少なす
ぎると機械的強度の改善効果がなく、多すぎるとテトラ
フルオロエチレンとα−オレフィンとの共重合体の本来
の特徴である可撓性が損なわれる傾向にある。
テトラフルオロエチレンとα−オレフィンとの共重合
体とエチレン−テトラフルオロエチレン−フルオロオレ
フィン共重合体との溶融ブレンドは、前者に後者の粉末
をその融点以下、例えば50〜150℃の温度でロールやバ
ンバリミキサで混練し、次いで融点以上で成形してもよ
い。予め、後者の融点以上の温度でロール、バンバリ、
押出機等を用いて混練してもよい。
本発明においては、上記したポリマー成分100重量部
に対し、表面処理剤及び不純物として含有されるアルミ
ニウムの含有量が2重量%以下のチタン白を1〜30重量
部添加するが、この添加によって組成物の耐銅害性を向
上させるものである。しかして、添加量が1重量部未満
では効果が小さく、反対に30重量部を越える程多量に添
加したものは耐銅害性が逆に低下してしまうのである。
さらにまた、表面処理剤及び不純物として含有される
アルミニウムの含有量が2重量%を越えるチタン白を用
いても耐銅害性を却って低下させる結果となるため除外
される。
一方、本発明においては、上記ポリマーの耐銅害性を
向上させ且つ白色に着色するため、別添加剤として上記
ポリマー100重量部に対し0.1〜10重量部の酸化ネオジウ
ム及び1〜30重量部のチタン白を添加してもよい。しか
して、この場合において、0.1重量部未満では耐銅害性
を向上させる効果がなく、10重量部を越えると分散不良
を生じ好ましくない。
本発明においては、架橋反応性を高めるために架橋助
剤を添加しており、架橋助剤としては、トリアリルイソ
シアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルト
リメリテート、テトラアリルピロメリテートなどのアリ
ル型化合物が特に好ましい。架橋助剤の添加量は、樹脂
成分100重量部に対して0.5重量部以上、好ましくは0.5
〜10重量部である。0.5重量部未満では十分な機械的強
度を得ることが困難であり、10重量部で架橋助剤添加の
効果は飽和する。
本発明においては、上記成分以外に、無機充填剤、安
定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤等の添加剤を種々配合
することが可能である。
[実施例] 以下に、本発明について実施例を参照し説明する。
第1表の実施例1〜6および比較例1〜3の各欄に示
す成分を、ニーダを用いて溶融混練した。このコンパウ
ンドを ダ イ ス:250℃ ヘ ッ ド:250℃ シリンダー1:180℃ シリンダー2:250℃ の各温度に設定した40mm押出機(L/D=22)を用い、外
径1.6mmの裸銅単線上に厚さ0.3mmに押出被覆し、その後
5Mradの電子線を照射し架橋した。
上記のようにして製造した各供試例の絶縁電線の引張
特性、耐銅害性、チタン白の白色効果及び分散性を測定
し、その評価結果を第1表下欄に示した。
耐銅害性は電線を210℃で60日間熱老化試験機に入れ
た後、取出し、電線表面を目視により観察し、表面に異
常がなければ合格、絶縁体が劣化して表面の凹凸が激し
くなっていれば不合格とした。
チタン白の白色効果は目視により判定した。
本発明の範囲内にある実施例1〜6は、いずれも高い
引張特性、耐銅害性、白色効果、分散性を示している。
これに対し、比較例1は、表面処理剤及び不純物とし
て含有されるアルミニウムの含有量が2重量%以下のチ
タン白の添加量が本発明の規定する範囲よりも少いもの
であり、白色効果が悪い。
比較例2は、逆に表面処理剤及び不純物として含有さ
れるアルミニウムの含有量が2重量%以下のチタン白の
添加量が本発明の規定する範囲を越えるものであり、分
散不良が生じている。
比較例3は、表面処理剤及び不純物として含有される
アルミニウムの含有量が本発明の規定する2重量%を越
えるチタン白を用いた場合であり、耐銅害性が不合格と
なっている。
上記の各供試例とは別に、第2表の実施例7〜10及び
比較例4〜6の各欄に示す成分を、ニーダを用いて溶融
混練した。このコンパウンドを ダ イ ス:250℃ ヘ ッ ド:250℃ シリンダー1:180℃ シリンダー2:250℃ の各温度に設定した40mm押出機(L/D=22)を用い、外
径1.6mmφの裸銅単線上に厚さ0.3mmに被覆した後、5Mra
dの電子線を照射して架橋し各供試例とした。
このようにして製造した供試絶縁電線の引張特性と耐
銅害性および分散性を評価した結果を第2表下欄に示
す。
耐銅害性は前記同様電線を210℃で60日間熱老化試験
機に入れた後、取出し、電線表面を目視により観察し、
表面に異常がなければ合格、絶縁体が劣化して表面の凹
凸が激しくなっていれば不合格とした。
第2表に示されるように、本発明が規定する組成範囲
の実施例7〜10は、いずれも優れた引張特性を持ち耐銅
害性及び分散性も全て良好であることがわかる。
これに対し、比較例4は、酸化ネオジウムの添加量が
本発明の規定する範囲より少く、耐銅害性において不合
格となっている。
さらに、比較例5は、酸化ネオジウムの含有量が本発
明の規定値を越える場合であり、分散不良を生じてい
る。
比較例6は、酸化ネオジウム以外の金属酸化物である
酸化イットリウムを添加した例であり、耐銅害性は不合
格となっている。
[発明の効果] 以上説明してきた通り、本発明に係る含ふっ素エラス
トマ被覆絶縁電線は、テトラフルオロエチレンと炭素数
2〜4のα−オレフィンとの共重合体とエチレン−テト
ラフルオロエチレン−フルオロオレフィン共重合体とを
含有する樹脂成分100重量部に対し、表面処理剤及び不
純物として含有されるアルミニウムの含有量が2重量%
以下のチタン白を含有する組成物の架橋被覆層を有し、
あるいは酸化ネオジウムを上記組成物に添加し架橋せし
めた被覆層を有するものであって、それにより含ふっ素
エラストマ被覆層の機械的強度を大巾に向上させること
を可能とするものである。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】テトラフルオロエチレンと炭素数2〜4の
    α−オレフィンとの共重合体とエチレン−テトラフルオ
    ロエチレン−フルオロオレフィン共重合体を含有する樹
    脂成分100重量部に対して、表面処理剤及び不純物とし
    て含有されるアルミニウムの含有量が2重量%以下のチ
    タン白を1〜30重量部及び架橋助剤を0.5重量部以上添
    加してなる組成物が銅導体の外周に被覆層として形成さ
    れ、該被覆層は放射線の照射により架橋されてなること
    を特徴とする含ふっ素エラストマ被覆絶縁電線。
  2. 【請求項2】テトラフルオロエチレンと炭素数2〜4の
    α−オレフィンとの共重合体とエチレン−テトラフルオ
    ロエチレン−フルオロオレフィン共重合体を含有する樹
    脂成分100重量部に対して、酸化ネオジウムを0.1〜10重
    量部、チタン白を1〜30重量部及び架橋助剤を0.5重量
    部以上添加してなる組成物が銅導体の外周に被覆層とし
    て形成され、該被覆層は放射線の照射により架橋されて
    なることを特徴とする含ふっ素エラストマ被覆絶縁電
    線。
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