JP2021187970A - 樹脂組成物、樹脂被覆材、自動車用ワイヤーハーネス及び自動車用ワイヤーハーネスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】絶縁電線の絶縁皮膜(樹脂被覆材層)の形成に用いることにより、導体周囲への皮膜形成性を高めることができ、得られる絶縁電線を外観に優れたものとでき、難燃性や機械特性においても絶縁電線に適した所望の優れた特性を実現することができる樹脂組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、上記樹脂組成物を用いた樹脂被覆材、この樹脂被覆材の層を有する自動車用ワイヤーハーネス及びその製造方法を提供する。【解決手段】下記成分(A)及び(B)を含有し、かつ下記成分(C)及び(D)の少なくとも1種を含有してなり、(A)低密度ポリエチレン樹脂、(B)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、(C)チオエーテル化合物、(D)フッ素ゴム、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中、成分(A)の割合が5〜40質量部、成分(B)の割合が60〜95質量部であり、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対する成分(C)及び(D)の総含有量が0.05〜1質量部であり、成分(B)中の酢酸ビニル成分の割合が40質量%以下である、樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、樹脂組成物、樹脂被覆材、自動車用ワイヤーハーネス及び自動車用ワイヤーハーネスの製造方法に関する。
難燃性を有する絶縁電線は、各種白物家電やOA機器等に幅広く使用されている。また、自動車などに使用される絶縁電線にも、難燃性や耐熱性、柔軟性(可とう性)、機械特性など種々の特性が要求される。これまでに、導体の被覆材として用いることにより難燃性や耐熱性、柔軟性(可とう性)、機械特性を備えた絶縁電線を実現する樹脂組成物が検討され、多くの報告がなされている。
このような所望の特性を有する絶縁電線を構成する樹脂組成物として、例えばポリエチレンやエチレン−酢酸ビニル共重合体といった樹脂が広く用いられている。
このような所望の特性を有する絶縁電線を構成する樹脂組成物として、例えばポリエチレンやエチレン−酢酸ビニル共重合体といった樹脂が広く用いられている。
例えば、特許文献1には、ビニル酢酸量が特定の範囲内にあるエチレン酢酸ビニル共重合体と、臭素系難燃剤と、エポキシ系化合物と、三酸化アンチモンとを含む樹脂組成物を導体の被覆材とし、これを架橋することにより、難燃性、耐水性および耐油性の全てに優れた難燃性電線が得られることが記載されている。
特許文献2には、導体の被覆材とすることにより、優れた柔軟性を有し、耐油性及び機械的強度にも優れる絶縁層を有する絶縁電線を得ることができる樹脂組成物が記載されている。この樹脂組成物は、密度が特定範囲内にあり、炭素数4以上の不飽和炭化水素とエチレンの共重合体と、アクリル酸エステルとエチレンとの共重合体若しくはメタクリル酸エステルとエチレン共重合体と、難燃剤及び架橋助剤とを特定量含有する。
特許文献3には、難燃性、耐熱性、耐寒性(低温特性)、及び耐油性に優れ、引張機械特性、耐摩耗性等の機械的強度にも優れ、これらを高い次元でバランスさせた絶縁電線の絶縁皮膜の形成に用いられるノンハロゲン難燃樹脂組成物が記載されている。この樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、金属水酸化物を100質量部以上250質量部以下、25℃における粘度が3000mPa・s以下であるシリコーンオイルを1質量%以上20質量%以下含有し、前記ポリオレフィン樹脂が、DSC法による融点(Tm)が120℃以上130℃以下で密度が0.925以上0.945以下であるポリエチレンを30質量%以上85質量%以下、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を10質量%以上60質量%以下、DSC法による融点が60℃以下である無水マレイン酸変性エチレンαオレフィン系共重合体を5質量%以上30質量%以下含有する。
特許文献4には、難燃性を有し、耐油・耐燃料性、耐外傷性に優れたハロゲンフリー難燃性樹脂組成物を用いた絶縁電線及びケーブルが記載されている。このハロゲンフリー難燃性樹脂組成物は、ベースポリマとして、直鎖状低密度ポリエチレンを60〜70質量%、メルトフローレイト(MFR)が100以上のエチレン酢酸ビニル共重合体を10質量%以上、及びマレイン酸変性ポリオレフィンを10〜20質量%含有し、さらに前記ベースポリマ100質量部に対して、150〜220質量部の割合で添加された金属水酸化物と、カーボンブラックとから構成され、前記金属水酸化物及び前記カーボンブラックの相互の添加割合(金属水酸化物:カーボンブラック)を15:1〜100:1であり、かつ架橋されてなるものである。
特許文献5には、高い耐熱性と柔軟性を有し、かつ機械的強度、耐摩耗性、難燃性に優れる車載用電線・ケーブルが記載されている。この車載用電線・ケーブルは、エチレン・アクリル酸エチル共重合体を含むエチレン系共重合体に、特定の2種の酸化防止剤と特定の臭素系難燃剤を組み合わせて添加した樹脂組成物を被覆材料として有する。
電線の被覆材を構成するベース樹脂として、ポリエチレンとエチレン−酢酸ビニル共重合体とを組合せて用いる場合、エチレン−酢酸ビニル共重合体はポリマー構造に酢酸ビニル(極性分子)成分を導入しているため、ベース樹脂に占めるエチレン−酢酸ビニル共重合体の割合を高めることにより、金属との密着性が高まる。したがって、導体との密着性が向上して絶縁電線の取り扱い、加工の自由度を高めることができる。
しかし、金属との密着性の向上は、押出加工時に金属ダイとの接触摩耗を増加させ、ダイ内部と被覆材との擦れが増大する。結果、ダイ先端部に目ヤニ(擦れカス)が発生しやすくなる。目ヤニ(ダイスカス)が堆積すると、製造品の外観(表面荒れ)や製造性(コブや突起などによる歩留まり)を損なう恐れがある。
また、電線被覆材と導体との密着力が高いと、ワイヤストリップ工程において、導体の素線が不規則に引き出されたり、素線切れしたりして、ワイヤストリップ性は低下する。逆に、電線被覆材と導体との密着力が低ければ、ワイヤストリップ後、絶縁体の収縮に伴うシュリンクバック現象が発生し、端末部の導体露出が見られ、その露出部分に水分等が浸入しやすくなり、電気的トラブルを起こす可能性がある。
しかし、金属との密着性の向上は、押出加工時に金属ダイとの接触摩耗を増加させ、ダイ内部と被覆材との擦れが増大する。結果、ダイ先端部に目ヤニ(擦れカス)が発生しやすくなる。目ヤニ(ダイスカス)が堆積すると、製造品の外観(表面荒れ)や製造性(コブや突起などによる歩留まり)を損なう恐れがある。
また、電線被覆材と導体との密着力が高いと、ワイヤストリップ工程において、導体の素線が不規則に引き出されたり、素線切れしたりして、ワイヤストリップ性は低下する。逆に、電線被覆材と導体との密着力が低ければ、ワイヤストリップ後、絶縁体の収縮に伴うシュリンクバック現象が発生し、端末部の導体露出が見られ、その露出部分に水分等が浸入しやすくなり、電気的トラブルを起こす可能性がある。
他方、ベース樹脂に占めるポリエチレンの割合を多くすることで、電線の耐摩耗性を向上させることができる。一方でポリエチレンは結晶化度が大きく、この結晶化度は高密度であるほど大きくなる。それゆえ、ベース樹脂に占めるポリエチレンの割合を高めたり、高密度ポリエチレンを使用したりすると、他の低分子成分が表層部へ移行(ブリーディング、ブルーミング)しやすくなる。そのため、製造ラインの汚染リスクが高まる。
上記状況に鑑み、本発明は、絶縁電線の絶縁皮膜(樹脂被覆材層)の形成に用いることにより、導体周囲への皮膜形成性を高めることができ、得られる絶縁電線を外観に優れたものとでき、難燃性や機械特性においても絶縁電線に適した所望の優れた特性を実現することができる樹脂組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、上記樹脂組成物を用いた樹脂被覆材、この樹脂被覆材の層を有する自動車用ワイヤーハーネス及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討した結果、ベース樹脂として低密度ポリエチレン樹脂とエチレン−酢酸ビニル共重合体とを組合せて用いた絶縁被覆材用の樹脂組成物において、チオエーテル化合物及びフッ素ゴムの少なくとも1種を特定量配合することにより、押出被覆による絶縁皮膜の形成において押出ダイスの押出口に樹脂カス等の異物(いわゆる「目ヤニ」と呼ばれるもの)が発生しにくいこと、その後工程においてもブリーディングが抑えられて製造ライン(ガイドプーリーなど)の汚損を防ぐことができること、また、得られる絶縁被覆材は難燃性や機械的強度にも優れることを見出した。本発明は、これらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至った。
すなわち、上記の課題は、以下の手段により解決された。
<1>
下記成分(A)及び(B)を含有し、かつ下記成分(C)及び(D)の少なくとも1種を含有してなり、
(A)低密度ポリエチレン樹脂、
(B)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、
(C)チオエーテル化合物、
(D)フッ素ゴム、
成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中、成分(A)の割合が5〜40質量部、成分(B)の割合が60〜95質量部であり、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対する成分(C)及び(D)の総含有量が0.05〜1質量部であり、
成分(B)中の酢酸ビニル成分の割合が40質量%以下である、樹脂組成物。
<2>
前記成分(B)中の酢酸ビニル成分の割合が7質量%以上である、前記<1>に記載の樹脂組成物。
<3>
前記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対し、前記成分(C)の含有量が0.7質量部以下、前記成分(D)の含有量が1質量部以下である、前記<1>又は<2>に記載の樹脂組成物。
<4>
前記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中、前記成分(A)の割合が20〜40質量部、前記成分(B)の割合が60〜80質量部であり、前記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対する前記成分(C)の含有量が0.5質量部以下である、前記<1>〜<3>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<5>
前記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中、前記成分(A)の割合が5〜20質量部、前記成分(B)の割合が80〜95質量部であり、前記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対する前記成分(C)及び(D)の総含有量が0.5〜1質量部である、前記<1>〜<3>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<6>
下記式により算出されるVA値が15以上であり、前記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対する前記成分(C)及び(D)の総含有量が0.5〜1質量部である、前記<1>〜<5>のいずれかに記載の樹脂組成物。
VA値=[成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中の成分(B)の割合(質量部)]×[成分(B)中の酢酸ビニル成分の割合(質量%)]/100
<7>
前記樹脂組成物が、前記成分(A)〜(D)以外に、難燃剤、酸化防止剤、加工助剤、及び架橋助剤の少なくとも1種を含有する、前記<1>〜<6>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<8>
自動車用ワイヤーハーネスに用いる、前記<1>〜<7>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<9>
前記<1>〜<8>のいずれかに記載の樹脂組成物を架橋してなる樹脂被覆材。
<10>
絶縁皮膜が前記<9>に記載の樹脂被覆材を有する、自動車用ワイヤーハーネス。
<11>
導体上に、前記<1>〜<8>のいずれかに記載の樹脂組成物を押出被覆して樹脂組成物の層を設け、該樹脂組成物の層に80〜250kGyの電子線を照射する工程を含む、自動車用ワイヤーハーネスの製造方法。
<1>
下記成分(A)及び(B)を含有し、かつ下記成分(C)及び(D)の少なくとも1種を含有してなり、
(A)低密度ポリエチレン樹脂、
(B)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、
(C)チオエーテル化合物、
(D)フッ素ゴム、
成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中、成分(A)の割合が5〜40質量部、成分(B)の割合が60〜95質量部であり、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対する成分(C)及び(D)の総含有量が0.05〜1質量部であり、
成分(B)中の酢酸ビニル成分の割合が40質量%以下である、樹脂組成物。
<2>
前記成分(B)中の酢酸ビニル成分の割合が7質量%以上である、前記<1>に記載の樹脂組成物。
<3>
前記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対し、前記成分(C)の含有量が0.7質量部以下、前記成分(D)の含有量が1質量部以下である、前記<1>又は<2>に記載の樹脂組成物。
<4>
前記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中、前記成分(A)の割合が20〜40質量部、前記成分(B)の割合が60〜80質量部であり、前記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対する前記成分(C)の含有量が0.5質量部以下である、前記<1>〜<3>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<5>
前記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中、前記成分(A)の割合が5〜20質量部、前記成分(B)の割合が80〜95質量部であり、前記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対する前記成分(C)及び(D)の総含有量が0.5〜1質量部である、前記<1>〜<3>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<6>
下記式により算出されるVA値が15以上であり、前記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対する前記成分(C)及び(D)の総含有量が0.5〜1質量部である、前記<1>〜<5>のいずれかに記載の樹脂組成物。
VA値=[成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中の成分(B)の割合(質量部)]×[成分(B)中の酢酸ビニル成分の割合(質量%)]/100
<7>
前記樹脂組成物が、前記成分(A)〜(D)以外に、難燃剤、酸化防止剤、加工助剤、及び架橋助剤の少なくとも1種を含有する、前記<1>〜<6>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<8>
自動車用ワイヤーハーネスに用いる、前記<1>〜<7>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<9>
前記<1>〜<8>のいずれかに記載の樹脂組成物を架橋してなる樹脂被覆材。
<10>
絶縁皮膜が前記<9>に記載の樹脂被覆材を有する、自動車用ワイヤーハーネス。
<11>
導体上に、前記<1>〜<8>のいずれかに記載の樹脂組成物を押出被覆して樹脂組成物の層を設け、該樹脂組成物の層に80〜250kGyの電子線を照射する工程を含む、自動車用ワイヤーハーネスの製造方法。
本発明の樹脂組成物は、絶縁電線の絶縁皮膜(樹脂被覆材層)の形成に用いることにより、導体周囲への皮膜形成性を高めることができ、得られる絶縁電線を外観に優れたものとでき、難燃性や機械特性においても絶縁電線に適した所望の優れた特性を実現することができる。本発明の樹脂被覆材は、絶縁電線の絶縁皮膜の構成材料として用いることにより、絶縁電線の生産性の向上に寄与し、また、外観に優れ、難燃性や機械特性においても所望の優れた特性を示す絶縁電線を得ることができる。本発明の自動車用ワイヤーハーネスは、絶縁皮膜に上記樹脂被覆材を有し、生産性に優れ、外観にも優れ、難燃性や機械特性にも優れる。本発明の自動車用ワイヤーハーネスの製造方法によれば、製造ライン(ガイドプーリーなど)の汚損を抑えながら、上記の優れた特性ないし優位性を有する自動車用ワイヤーハーネスを得ることができる。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、(A)低密度ポリエチレン樹脂(成分(A)とも称す。)と、(B)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(成分(B)とも称す。)と、チオエーテル化合物(C)(成分(C)とも称す。)及びフッ素ゴム(D)(成分(D)とも称す。)の少なくとも1種を含有する。
成分(A)〜(D)や、後述の任意成分は、いずれも各成分として1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
以下に、本発明の樹脂組成物が含有する成分を説明する。
本発明の樹脂組成物は、(A)低密度ポリエチレン樹脂(成分(A)とも称す。)と、(B)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(成分(B)とも称す。)と、チオエーテル化合物(C)(成分(C)とも称す。)及びフッ素ゴム(D)(成分(D)とも称す。)の少なくとも1種を含有する。
成分(A)〜(D)や、後述の任意成分は、いずれも各成分として1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
以下に、本発明の樹脂組成物が含有する成分を説明する。
<(A)低密度ポリエチレン樹脂>
本発明の樹脂組成物は、ベース樹脂を構成する樹脂成分として、(A)低密度ポリエチレン樹脂を含む。本発明において「低密度ポリエチレン樹脂」とは、密度が0.929g/cm3以下のポリエチレン樹脂を意味する。例えば、「低密度ポリエチレン(LDPE)」や「超低密度ポリエチレン(VLDPE)」などが挙げられる。
本発明に用いる低密度ポリエチレン樹脂は、好ましくは密度範囲が0.870〜0.929g/cm3であり、より好ましくは密度範囲が0.910〜0.929cm3である。なお、ポリエチレンの密度は、JIS K 7112に準拠して決定することができる。
本発明の樹脂組成物は、ベース樹脂を構成する樹脂成分として、(A)低密度ポリエチレン樹脂を含む。本発明において「低密度ポリエチレン樹脂」とは、密度が0.929g/cm3以下のポリエチレン樹脂を意味する。例えば、「低密度ポリエチレン(LDPE)」や「超低密度ポリエチレン(VLDPE)」などが挙げられる。
本発明に用いる低密度ポリエチレン樹脂は、好ましくは密度範囲が0.870〜0.929g/cm3であり、より好ましくは密度範囲が0.910〜0.929cm3である。なお、ポリエチレンの密度は、JIS K 7112に準拠して決定することができる。
本発明の樹脂組成物中に含まれる成分(A)の含有量は、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中、5〜40質量部である。樹脂被覆材と導体との密着性を向上させる観点から、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中の成分(A)の割合は10〜35質量部であることが好ましく、15〜30質量部であることがより好ましい。
また、樹脂組成物中に含まれる(B)エチレン−酢酸ビニル共重合体の割合を多くすることで、被覆材の柔軟性と難燃性を向上させることができる。特に自動車用途の分野では、近年開発されているハイブリッド車や電気自動車の大電流化や配線取り回しの容易性や省スペース化などの観点から、柔軟性の向上が求められる。したがって、該樹脂組成物を導体周囲に被覆してなる絶縁電線に柔軟性を持たせる観点からは、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中、成分(A)の割合を5〜20質量部とすることが好ましく、5〜10質量部とすることがより好ましい。また、該樹脂組成物を導体周囲に被覆してなる絶縁電線に耐摩耗性を付与する観点からは、上記の成分(A)の割合を、20〜40質量部とすることが好ましく、30〜40質量部とすることがより好ましい。
また、樹脂組成物中に含まれる(B)エチレン−酢酸ビニル共重合体の割合を多くすることで、被覆材の柔軟性と難燃性を向上させることができる。特に自動車用途の分野では、近年開発されているハイブリッド車や電気自動車の大電流化や配線取り回しの容易性や省スペース化などの観点から、柔軟性の向上が求められる。したがって、該樹脂組成物を導体周囲に被覆してなる絶縁電線に柔軟性を持たせる観点からは、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中、成分(A)の割合を5〜20質量部とすることが好ましく、5〜10質量部とすることがより好ましい。また、該樹脂組成物を導体周囲に被覆してなる絶縁電線に耐摩耗性を付与する観点からは、上記の成分(A)の割合を、20〜40質量部とすることが好ましく、30〜40質量部とすることがより好ましい。
また、本発明で用いる成分(A)のメルトフローレイト(Melt Flow Rate;MFR)は、0.1〜20g/10分(荷重2.16kg、温度190℃)が好ましく、0.2〜10g/10分がより好ましい。
成分(A)のメルトフローレイトを上記の好ましい範囲とすることにより、樹脂組成物の調製時またはワイヤーハーネスの作製時に、混練機器や押出機の負荷をより抑えることができ、また樹脂組成物中の各成分の分散性もより高めることができる。
メルトフローレイト(MFR)は、試験機械はJIS K6760で定められた押出し形プラストメータ(メルトインデクサー)を用い、JIS K7210に準拠した方法で測定できる。
成分(A)のメルトフローレイトを上記の好ましい範囲とすることにより、樹脂組成物の調製時またはワイヤーハーネスの作製時に、混練機器や押出機の負荷をより抑えることができ、また樹脂組成物中の各成分の分散性もより高めることができる。
メルトフローレイト(MFR)は、試験機械はJIS K6760で定められた押出し形プラストメータ(メルトインデクサー)を用い、JIS K7210に準拠した方法で測定できる。
また、本発明で用いる成分(A)は、例えば高圧ラジカル法低密度ポリエチレンであってもよく、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンであってもよい。該ポリエチレンとしては、例えば特願2016−072380の記載を参照することができる。本発明で用いる成分(A)は、ポリエチレンの変性体(例えば酸変性体)であってもよい。
本発明で用いるポリエチレンは、常法により合成することができ、また市販品を用いることができる。市販品の具体例としては、例えば、東ソー株式会社製のペトロセン180R、ペトロセン170R、ペトロセン173R、住友化学株式会社製のスミカセンF218−0、スミカセンF200、スミカセンG401、日本ポリエチレン株式会社製のノバテック LF443、ノバテック LF280H、ノバテック LF448K1、NUC社製のNUC−9060、ENGAGE−8100、ダウ・エストラマー社製のNUCG−5130(いずれも商品名)などが挙げられる。
<(B)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂>
本発明の樹脂組成物は、ベース樹脂を構成する樹脂成分として、成分(A)と共に(B)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を含有する。本発明の樹脂組成物は、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中、成分(B)の割合が60〜95質量部である。樹脂被覆材と導体との密着性を向上させる観点から、当該成分(B)の割合は65〜90質量部であることが好ましく、70〜85質量部であることがより好ましい。
特に、該樹脂組成物を導体周囲に被覆してなる絶縁電線に柔軟性を持たせる観点からは、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中、成分(B)の割合を、80〜95質量部とすることが好ましく、90〜95質量部とすることがより好ましい。また、該樹脂組成物を導体周囲に被覆してなる絶縁電線に耐摩耗性を付与する観点からは、上記の成分(B)の割合を、60〜80質量部とすることが好ましく、60〜70質量部とすることがより好ましい。
なお、本発明に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体の重合の形態は、ブロック、ランダム及びグラフトのいずれでもよい。
本発明の樹脂組成物は、ベース樹脂を構成する樹脂成分として、成分(A)と共に(B)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を含有する。本発明の樹脂組成物は、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中、成分(B)の割合が60〜95質量部である。樹脂被覆材と導体との密着性を向上させる観点から、当該成分(B)の割合は65〜90質量部であることが好ましく、70〜85質量部であることがより好ましい。
特に、該樹脂組成物を導体周囲に被覆してなる絶縁電線に柔軟性を持たせる観点からは、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中、成分(B)の割合を、80〜95質量部とすることが好ましく、90〜95質量部とすることがより好ましい。また、該樹脂組成物を導体周囲に被覆してなる絶縁電線に耐摩耗性を付与する観点からは、上記の成分(B)の割合を、60〜80質量部とすることが好ましく、60〜70質量部とすることがより好ましい。
なお、本発明に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体の重合の形態は、ブロック、ランダム及びグラフトのいずれでもよい。
成分(B)中、成分(B)を構成する酢酸ビニル成分の含有割合は、40質量%以下である。樹脂被覆材と導体との密着性を向上させる観点から、当該酢酸ビニル成分の含有割合は30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。また、当該酢酸ビニル成分の含有割合は、7質量%以上が好ましく、9質量%以上であることがより好ましい。酢酸ビニル成分の含有割合を上記範囲内とすることで、本発明の樹脂組成物を用いて作製した樹脂被覆材が十分な引張強度や引張伸びなどの機械特性を獲得でき、さらに、絶縁電線の難燃性をより向上させることができる。
また、樹脂被覆材と導体との間に所望の密着力を付与する観点から、下記式により算出されるVA値は、好ましくは7〜30であり、より好ましくは8〜28であり、さらに好ましくは10〜25であり、10〜20であることも好ましい。
VA値=[成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中の成分(B)の割合(質量部)]×[成分(B)中の酢酸ビニル成分の割合(質量%)]/100
VA値=[成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中の成分(B)の割合(質量部)]×[成分(B)中の酢酸ビニル成分の割合(質量%)]/100
本発明で用いる成分(B)のメルトフローレイト(MFR)は、0.1〜10g/10分(荷重2.16kg、温度190℃)が好ましく、0.5〜5g/10分がより好ましい。
成分(B)のメルトフローレイトを上記の好ましい範囲とすることにより、樹脂組成物の調製時またはワイヤーハーネスの作製時に、混練機器や押出機の負荷をより抑えることができ、また樹脂組成物中の各成分の分散性もより高めることができる。
メルトフローレイト(MFR)は上述したのと同様にして決定できる。
成分(B)のメルトフローレイトを上記の好ましい範囲とすることにより、樹脂組成物の調製時またはワイヤーハーネスの作製時に、混練機器や押出機の負荷をより抑えることができ、また樹脂組成物中の各成分の分散性もより高めることができる。
メルトフローレイト(MFR)は上述したのと同様にして決定できる。
本発明に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)は、常法により合成することができ、市販品を用いてもよい。市販品の具体例としては、例えば三井デュポンポリケミカル社製エバフレックスV5961、エバフレックスV5274、及びエバフレックスEV170(いずれも商品名)を挙げることができる。
本発明の樹脂組成物中の、上記成分(A)及び(B)の総含有量は、樹脂被覆材と導体との密着性を向上させること、及び柔軟性と耐摩耗性を付与する観点から、7〜80質量%であることが好ましく、10〜75質量%であることがより好ましく、20〜70質量%であることがさらに好ましい。また、樹脂組成物中の、上記成分(A)及び(B)の総含有量は、30〜80質量%とすることも好ましく、40〜75質量部とすることも好ましく、50〜75質量部とすることも好ましい。
<(C)チオエーテル化合物、及び(D)フッ素ゴム>
本発明の樹脂組成物は、(C)チオエーテル化合物及び(D)フッ素ゴムの少なくとも1種を特定量含有する。これにより、該樹脂組成物を導体周囲に被覆した際に、導体と樹脂被覆材との密着力を制御することができ、被覆時(電線製造時)の皮膜形成性や被覆後の電線の加工性を高めることができる。
本発明の樹脂組成物中、上記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対し、成分(C)及び(D)の総含有量は0.05〜1質量部である。樹脂被覆材と導体との密着性を向上させる観点から、当該総含有量は0.1〜0.8質量部であることが好ましく、0.1〜0.5質量部であることがさらに好ましい。
本発明において、「成分(C)及び(D)の総含有量」とは、樹脂組成物が成分(C)及び(D)のいずれか一方のみを含む場合は、樹脂組成物中に含まれる当該一方の成分の含有量を意味し、成分(C)及び(D)の両方を含むときは、成分(C)及び(D)の含有量の合計を意味する。本発明の樹脂組成物は、成分(C)及び(D)のいずれか一方を含むことが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、(C)チオエーテル化合物及び(D)フッ素ゴムの少なくとも1種を特定量含有する。これにより、該樹脂組成物を導体周囲に被覆した際に、導体と樹脂被覆材との密着力を制御することができ、被覆時(電線製造時)の皮膜形成性や被覆後の電線の加工性を高めることができる。
本発明の樹脂組成物中、上記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対し、成分(C)及び(D)の総含有量は0.05〜1質量部である。樹脂被覆材と導体との密着性を向上させる観点から、当該総含有量は0.1〜0.8質量部であることが好ましく、0.1〜0.5質量部であることがさらに好ましい。
本発明において、「成分(C)及び(D)の総含有量」とは、樹脂組成物が成分(C)及び(D)のいずれか一方のみを含む場合は、樹脂組成物中に含まれる当該一方の成分の含有量を意味し、成分(C)及び(D)の両方を含むときは、成分(C)及び(D)の含有量の合計を意味する。本発明の樹脂組成物は、成分(C)及び(D)のいずれか一方を含むことが好ましい。
((C)チオエーテル化合物)
本発明に用い得る成分(C)は、チオエーテル結合を有する化合物であれば特に制限なく用いることができるが、その融点は60℃以下であることが好ましい。このようなチオエーテル化合物としては、電線被覆材の酸化防止剤として用いられるチオエーテル系酸化防止剤(チオエーテル結合を有する酸化防止剤)を挙げることができる。例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート(融点:40〜42℃)、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート(融点:48〜53℃)、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート(融点:65〜67℃)、2,2−ビス{[3−(ドデシルチオ)−1−オキソプロポキシ]メチル}プロパン−1,3−ジイル ビス[3−ドデシルチオプロピオナート](融点:46〜52℃、別名:ビス[3−(ドデシルチオ)プロピオン酸]2,2−ビス[[3−(ドデシルチオ)−1−オキソプロピルオキシ]メチル]−1,3−プロパンジイル)などが挙げられる。これらの中でも、長期熱安定性や耐抽出性向上の観点から、2,2−ビス{[3−(ドデシルチオ)−1−オキソプロポキシ]メチル}プロパン−1,3−ジイル ビス[3−ドデシルチオプロピオナート]が好ましい。
本発明の樹脂組成物には、市販品のチオエーテル系酸化防止剤を用いてもよい。市販品としては、例えば、アデカスタブAO−412S(商品名、ADEKA社製)が挙げられる。
本発明に用い得る成分(C)は、チオエーテル結合を有する化合物であれば特に制限なく用いることができるが、その融点は60℃以下であることが好ましい。このようなチオエーテル化合物としては、電線被覆材の酸化防止剤として用いられるチオエーテル系酸化防止剤(チオエーテル結合を有する酸化防止剤)を挙げることができる。例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート(融点:40〜42℃)、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート(融点:48〜53℃)、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート(融点:65〜67℃)、2,2−ビス{[3−(ドデシルチオ)−1−オキソプロポキシ]メチル}プロパン−1,3−ジイル ビス[3−ドデシルチオプロピオナート](融点:46〜52℃、別名:ビス[3−(ドデシルチオ)プロピオン酸]2,2−ビス[[3−(ドデシルチオ)−1−オキソプロピルオキシ]メチル]−1,3−プロパンジイル)などが挙げられる。これらの中でも、長期熱安定性や耐抽出性向上の観点から、2,2−ビス{[3−(ドデシルチオ)−1−オキソプロポキシ]メチル}プロパン−1,3−ジイル ビス[3−ドデシルチオプロピオナート]が好ましい。
本発明の樹脂組成物には、市販品のチオエーテル系酸化防止剤を用いてもよい。市販品としては、例えば、アデカスタブAO−412S(商品名、ADEKA社製)が挙げられる。
((D)フッ素ゴム)
本発明に用い得る成分(D)としては、主鎖又は側鎖にフッ素原子を含有する、単独重合体若しくは共重合体のゴムが挙げられる。フッ素ゴムは、通常、フッ素原子を含有する単量体(モノマー)を(共)重合することにより得られる。
このような成分(D)としては、特に限定されるものではないが、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレン等のパーフルオロ炭化水素、及び、部分フッ素炭化水素(例えばフッ化ビニリデン)等の含フッ素モノマー同士の共重合体ゴム、さらにはこれらのパーフルオロ炭化水素及び/又は含フッ素モノマーとエチレン及び/又はプロピレンなどの炭化水素の共重合体ゴムが挙げられる。
具体的には、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体ゴム(FEPM)、テトラフルオロエチレン−フッ化(例えばヘキサフルオロ)プロピレン共重合体ゴム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体ゴム(FFKM)、フッ化ビニリデンゴム(FKM、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体ゴム)等が挙げられる。
さらには、上述の、パーフルオロ炭化水素及び/又は含フッ素モノマーとクロロプレン及び/又はクロロスルホン化ポリエチレンとの共重合体ゴムも挙げられる。
これらのフッ素ゴムの中でも、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体ゴム、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体ゴムが好ましく、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体ゴムがより好ましい。
本発明の樹脂組成物には、市販品のフッ素ゴムを用いてもよい。市販品としては、例えば、Viton FreeFlow10(商品名、ケマーズ社製)が挙げられる。
本発明に用い得る成分(D)としては、主鎖又は側鎖にフッ素原子を含有する、単独重合体若しくは共重合体のゴムが挙げられる。フッ素ゴムは、通常、フッ素原子を含有する単量体(モノマー)を(共)重合することにより得られる。
このような成分(D)としては、特に限定されるものではないが、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレン等のパーフルオロ炭化水素、及び、部分フッ素炭化水素(例えばフッ化ビニリデン)等の含フッ素モノマー同士の共重合体ゴム、さらにはこれらのパーフルオロ炭化水素及び/又は含フッ素モノマーとエチレン及び/又はプロピレンなどの炭化水素の共重合体ゴムが挙げられる。
具体的には、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体ゴム(FEPM)、テトラフルオロエチレン−フッ化(例えばヘキサフルオロ)プロピレン共重合体ゴム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体ゴム(FFKM)、フッ化ビニリデンゴム(FKM、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体ゴム)等が挙げられる。
さらには、上述の、パーフルオロ炭化水素及び/又は含フッ素モノマーとクロロプレン及び/又はクロロスルホン化ポリエチレンとの共重合体ゴムも挙げられる。
これらのフッ素ゴムの中でも、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体ゴム、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体ゴムが好ましく、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体ゴムがより好ましい。
本発明の樹脂組成物には、市販品のフッ素ゴムを用いてもよい。市販品としては、例えば、Viton FreeFlow10(商品名、ケマーズ社製)が挙げられる。
特に、樹脂組成物中の成分(B)の含有量が80〜95質量部である場合、該樹脂組成物からなる電線被覆材と導体との密着力を抑制する観点から、樹脂組成物中に含まれる成分(C)及び(D)の総含有量は、上記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対し、0.5〜1質量部であることが好ましく、0.7〜1質量部であることが好ましい。
また、樹脂組成物中の成分(A)の含有量が20〜40質量部である場合、該樹脂組成物からなる電線被覆材と導体との密着力を抑制する観点、及びブリーディングやブルーミング(以降では、これらを合わせて単に「ブリーディング」という)を抑制する観点から、上記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対し、成分(D)の含有量は1質量部以下が好ましく、0.8質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以下であることがさらに好ましい。またこの場合、成分(C)の含有量は0.7質量部以下が好ましく、0.5質量部以下であることがより好ましく、0.3質量部以下であることがさらに好ましい。
また、樹脂組成物中の成分(A)の含有量が20〜40質量部である場合、該樹脂組成物からなる電線被覆材と導体との密着力を抑制する観点、及びブリーディングやブルーミング(以降では、これらを合わせて単に「ブリーディング」という)を抑制する観点から、上記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対し、成分(D)の含有量は1質量部以下が好ましく、0.8質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以下であることがさらに好ましい。またこの場合、成分(C)の含有量は0.7質量部以下が好ましく、0.5質量部以下であることがより好ましく、0.3質量部以下であることがさらに好ましい。
また、上記VA値が15以上である場合、該樹脂組成物からなる電線被覆材と導体との密着力を抑制する観点から、樹脂組成物中に含まれる成分(C)及び(D)の総含有量は、上記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対し、0.5〜1質量部であることが好ましく、0.7〜1質量部であることがより好ましい。この場合の上記VA値は、30以下が好ましく、28以下がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中、前記成分(A)の割合が5〜20質量部、前記成分(B)の割合が80〜95質量部であり、前記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対する前記成分(C)及び(D)の総含有量が0.5〜1質量部であることも好ましい。
本発明の樹脂組成物は、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中、前記成分(A)の割合が5〜20質量部、前記成分(B)の割合が80〜95質量部であり、前記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対する前記成分(C)及び(D)の総含有量が0.5〜1質量部であることも好ましい。
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物は、上記成分以外に、本発明の効果を阻害しない範囲において、例えば下記の難燃剤、酸化防止剤、加工助剤、架橋助剤等の他の成分を含有してもよい。
本発明の樹脂組成物は、上記成分以外に、本発明の効果を阻害しない範囲において、例えば下記の難燃剤、酸化防止剤、加工助剤、架橋助剤等の他の成分を含有してもよい。
<難燃剤>
本発明には、本発明の奏する効果を阻害しない範囲で、難燃剤を含有することができる。このような難燃剤としては、例えば臭素系難燃剤やアンチモン系難燃剤が挙げられる。本発明は、臭素系難燃剤又はアンチモン系難燃剤の少なくともいずれか一方を含有することが好ましく、臭素系難燃剤及びアンチモン系難燃剤を共に含有することがより好ましい。また、臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの混合比率は、臭素元素とアンチモン元素のモル比において、樹脂組成物中に含有するアンチモン元素に対してモル比で2〜5倍モルの臭素量となる量の範囲内であるのが好ましい。すなわち、三酸化アンチモンの含有モル量に対して、2〜5倍モルの臭素量となる臭素系難燃剤を含有することが好ましい。
本発明の樹脂組成物が難燃剤を含む場合、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対し、難燃剤を33〜45質量部含有することが好ましい。
本発明には、本発明の奏する効果を阻害しない範囲で、難燃剤を含有することができる。このような難燃剤としては、例えば臭素系難燃剤やアンチモン系難燃剤が挙げられる。本発明は、臭素系難燃剤又はアンチモン系難燃剤の少なくともいずれか一方を含有することが好ましく、臭素系難燃剤及びアンチモン系難燃剤を共に含有することがより好ましい。また、臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの混合比率は、臭素元素とアンチモン元素のモル比において、樹脂組成物中に含有するアンチモン元素に対してモル比で2〜5倍モルの臭素量となる量の範囲内であるのが好ましい。すなわち、三酸化アンチモンの含有モル量に対して、2〜5倍モルの臭素量となる臭素系難燃剤を含有することが好ましい。
本発明の樹脂組成物が難燃剤を含む場合、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対し、難燃剤を33〜45質量部含有することが好ましい。
(臭素系難燃剤)
本発明に用いられる臭素系難燃剤は、含臭素化合物であることが好ましい。すなわち本発明の樹脂組成物は難燃剤として含臭素化合物を含有するものが好ましい。臭素系難燃剤としては、例えば、臭素化N,N’−エチレンビスフタルイミド又はこれから導かれる化合物(これらをまとめて「臭素化N,N’−エチレンビスフタルイミド化合物」と称す。)、N,N’−ビス(ブロモフェニル)テレフタルアミド又はこれから導かれる化合物(これらをまとめて「N,N’−ビス(ブロモフェニル)テレフタルアミド化合物」と称す。)、臭素化ビスフェノール又はこれから導かれる化合物(これらをまとめて「臭素化ビスフェノール化合物」と称す。)、1,2−ビス(ブロモフェニル)アルカン等の有機臭素含有難燃剤が使用可能である。その中でも、例えば、臭素化N,N’−エチレンビスフタルイミド及び/又は1,2−ビス(ブロモフェニル)エタンを用いることが好ましい。
難燃剤として臭素化N,N’−エチレンビスフタルイミド、及び/又、は1,2−ビス(ブロモフェニル)アルキルを使用することにより、ブリーディングがほとんど生じない樹脂被覆材を形成することが可能である。
本発明の樹脂組成物に用いる臭素系難燃剤としては、市販の臭素系難燃剤を用いてもよい。市販品としては、例えば、サイテックス8010(商品名、アルベマール社製)が挙げられる。
本発明に用いられる臭素系難燃剤は、含臭素化合物であることが好ましい。すなわち本発明の樹脂組成物は難燃剤として含臭素化合物を含有するものが好ましい。臭素系難燃剤としては、例えば、臭素化N,N’−エチレンビスフタルイミド又はこれから導かれる化合物(これらをまとめて「臭素化N,N’−エチレンビスフタルイミド化合物」と称す。)、N,N’−ビス(ブロモフェニル)テレフタルアミド又はこれから導かれる化合物(これらをまとめて「N,N’−ビス(ブロモフェニル)テレフタルアミド化合物」と称す。)、臭素化ビスフェノール又はこれから導かれる化合物(これらをまとめて「臭素化ビスフェノール化合物」と称す。)、1,2−ビス(ブロモフェニル)アルカン等の有機臭素含有難燃剤が使用可能である。その中でも、例えば、臭素化N,N’−エチレンビスフタルイミド及び/又は1,2−ビス(ブロモフェニル)エタンを用いることが好ましい。
難燃剤として臭素化N,N’−エチレンビスフタルイミド、及び/又、は1,2−ビス(ブロモフェニル)アルキルを使用することにより、ブリーディングがほとんど生じない樹脂被覆材を形成することが可能である。
本発明の樹脂組成物に用いる臭素系難燃剤としては、市販の臭素系難燃剤を用いてもよい。市販品としては、例えば、サイテックス8010(商品名、アルベマール社製)が挙げられる。
本発明の樹脂組成物が臭素系難燃剤を含む場合、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対し、臭素系難燃剤を15〜35質量部含有することが好ましい。
(アンチモン系難燃剤)
アンチモン系難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウムが挙げられる。アンチモンは塩素(ハロゲン)と反応し、発生したガスが酸素を遮断するため炭化層の生成を促進し、かつフリーラジカルをトラップ(熱分解連鎖反応停止作用)すると考えられている。なかでもより安定した炭化層を形成する観点から、本発明においては、三酸化アンチモンを含有させることが好ましい。
本発明には、市販の三酸化アンチモンを用いてもよい。市販品としては、例えば、PATOX−C(商品名、日本精鉱社製)が挙げられる。
アンチモン系難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウムが挙げられる。アンチモンは塩素(ハロゲン)と反応し、発生したガスが酸素を遮断するため炭化層の生成を促進し、かつフリーラジカルをトラップ(熱分解連鎖反応停止作用)すると考えられている。なかでもより安定した炭化層を形成する観点から、本発明においては、三酸化アンチモンを含有させることが好ましい。
本発明には、市販の三酸化アンチモンを用いてもよい。市販品としては、例えば、PATOX−C(商品名、日本精鉱社製)が挙げられる。
本発明の樹脂組成物がアンチモン系難燃剤を含む場合、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対し、アンチモン系難燃剤を5〜15質量部含有することが好ましい。
(その他の難燃剤)
本発明の樹脂組成物は、上記臭素系難燃剤やアンチモン系難燃剤以外にも、絶縁電線の絶縁皮膜に通常用いることができる難燃剤を含有していてもよい。このような難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムといった金属水酸化物(水酸化物系難燃剤)が挙げられる。本発明の樹脂組成物が水酸化物系難燃剤を含んでいる場合、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対し、5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、上記臭素系難燃剤やアンチモン系難燃剤以外にも、絶縁電線の絶縁皮膜に通常用いることができる難燃剤を含有していてもよい。このような難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムといった金属水酸化物(水酸化物系難燃剤)が挙げられる。本発明の樹脂組成物が水酸化物系難燃剤を含んでいる場合、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対し、5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましい。
<酸化防止剤>
本発明の樹脂組成物は、酸化防止剤を含んでいてもよい。このような酸化防止剤としては、例えばフェノール化合物(フェノール系酸化防止剤)やイミダゾール化合物(イミダゾール系酸化防止剤)が挙げられる。
本発明の樹脂組成物が酸化防止剤を含む場合、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対し、酸化防止剤を2〜6質量部含有することが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、酸化防止剤を含んでいてもよい。このような酸化防止剤としては、例えばフェノール化合物(フェノール系酸化防止剤)やイミダゾール化合物(イミダゾール系酸化防止剤)が挙げられる。
本発明の樹脂組成物が酸化防止剤を含む場合、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対し、酸化防止剤を2〜6質量部含有することが好ましい。
(フェノール系酸化防止剤)
本発明の樹脂組成物に用い得るフェノール系酸化防止剤としては、例えば、トリエチレングリコール−ビス(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5,−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどがあり、これらの中でも、自動車用ワイヤーハーネスに高い耐熱性を付与する観点から、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル基もしくは3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル基を2個以上有するものが好ましく、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート及びペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)が特に好ましい。
本発明には、市販のフェノール系酸化防止剤を用いてもよい。市販品としては、例えば、Irganox1010(商品名、BASF社製)が挙げられる。
本発明の樹脂組成物に用い得るフェノール系酸化防止剤としては、例えば、トリエチレングリコール−ビス(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5,−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどがあり、これらの中でも、自動車用ワイヤーハーネスに高い耐熱性を付与する観点から、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル基もしくは3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル基を2個以上有するものが好ましく、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート及びペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)が特に好ましい。
本発明には、市販のフェノール系酸化防止剤を用いてもよい。市販品としては、例えば、Irganox1010(商品名、BASF社製)が挙げられる。
本発明の樹脂組成物がフェノール系酸化防止剤を含む場合、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対し、フェノール系酸化防止剤を0.5〜2質量部含有することが好ましい。
(イミダゾール系酸化防止剤)
本発明の樹脂組成物に用い得るイミダゾール系酸化防止剤としては、2−スルファニルベンゾイミダゾール、2−スルファニルメチルベンゾイミダゾール、4−スルファニルメチルベンゾイミダゾール、5−スルファニルメチルベンゾイミダゾール及びこれらの亜鉛塩などが挙げられ、2−スルファニルベンゾイミダゾールが好ましい。
本発明には、市販品のイミダゾール系酸化防止剤を用いてもよい。市販品としては、例えば、ノクラック MBZ(商品名、大内新興化学社製)が挙げられる。
本発明の樹脂組成物に用い得るイミダゾール系酸化防止剤としては、2−スルファニルベンゾイミダゾール、2−スルファニルメチルベンゾイミダゾール、4−スルファニルメチルベンゾイミダゾール、5−スルファニルメチルベンゾイミダゾール及びこれらの亜鉛塩などが挙げられ、2−スルファニルベンゾイミダゾールが好ましい。
本発明には、市販品のイミダゾール系酸化防止剤を用いてもよい。市販品としては、例えば、ノクラック MBZ(商品名、大内新興化学社製)が挙げられる。
本発明の樹脂組成物がイミダゾール系酸化防止剤を含む場合、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対し、イミダゾール系酸化防止剤を1〜4質量部含有することが好ましい。
<加工助剤>
本発明の樹脂組成物は、加工助剤を含有することも好ましい。加工助剤としての好ましい例として金属石鹸(滑剤)が挙げられる。
本発明の樹脂組成物に用い得る金属石鹸(滑剤)としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどが挙げられる。
本発明には、市販品の金属石鹸を用いてもよい。市販品としては、例えば、シナカレッドZS−101(商品名、品川化工社製)が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、加工助剤を含有することも好ましい。加工助剤としての好ましい例として金属石鹸(滑剤)が挙げられる。
本発明の樹脂組成物に用い得る金属石鹸(滑剤)としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどが挙げられる。
本発明には、市販品の金属石鹸を用いてもよい。市販品としては、例えば、シナカレッドZS−101(商品名、品川化工社製)が挙げられる。
本発明の樹脂組成物が金属石鹸を含む場合、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対し、0.5〜2質量部含有することが好ましい。
<架橋助剤>
本発明の樹脂組成物は、架橋助剤を含有することも好ましい。架橋助剤としては多官能化合物が挙げられ、エチレン性不飽和結合(炭素−炭素二重結合)を分子中に2つ以上(好ましくは3つ以上、より好ましくは3〜6つ)有する化合物が好ましい。
架橋助剤の具体例としては、例えばポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどの(メタ)アクリレート化合物、トリアリルシアヌレートなどのアリル化合物、マレイミド化合物、ジビニル化合物などが挙げられる。
本発明には、市販の架橋助剤を用いてもよい。市販品としては、例えば、オグモントT200(商品名、新中村化学工業社製)が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対し、架橋助剤を1〜4質量部含有することが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、架橋助剤を含有することも好ましい。架橋助剤としては多官能化合物が挙げられ、エチレン性不飽和結合(炭素−炭素二重結合)を分子中に2つ以上(好ましくは3つ以上、より好ましくは3〜6つ)有する化合物が好ましい。
架橋助剤の具体例としては、例えばポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどの(メタ)アクリレート化合物、トリアリルシアヌレートなどのアリル化合物、マレイミド化合物、ジビニル化合物などが挙げられる。
本発明には、市販の架橋助剤を用いてもよい。市販品としては、例えば、オグモントT200(商品名、新中村化学工業社製)が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対し、架橋助剤を1〜4質量部含有することが好ましい。
<添加剤>
本発明の樹脂組成物には、各種の添加剤、例えば、銅害防止剤、紫外線吸収剤、分散剤、可塑剤、充填剤、顔料などを、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じ適宜配合することができる。このような添加剤として、例えば、亜鉛化合物が挙げられる。亜鉛化合物の具体例としては、硫化亜鉛や酸化亜鉛が挙げられる。
本発明の樹脂組成物には、各種の添加剤、例えば、銅害防止剤、紫外線吸収剤、分散剤、可塑剤、充填剤、顔料などを、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じ適宜配合することができる。このような添加剤として、例えば、亜鉛化合物が挙げられる。亜鉛化合物の具体例としては、硫化亜鉛や酸化亜鉛が挙げられる。
[樹脂組成物の製造方法]
本発明の樹脂組成物は、上述の成分(A)〜(D)、さらに必要に応じて、上述の任意成分を調合し、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等のバッチ式混練機あるいは二軸押出機などの通常用いられる混練装置で溶融混練することにより得ることができる。
本発明の樹脂組成物は、上述の成分(A)〜(D)、さらに必要に応じて、上述の任意成分を調合し、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等のバッチ式混練機あるいは二軸押出機などの通常用いられる混練装置で溶融混練することにより得ることができる。
[自動車用ワイヤーハーネス]
本発明の自動車用ワイヤーハーネスは、導体(導体束、ファイバ心線を含む)の表面に、本発明の樹脂組成物を架橋させた樹脂被覆材からなる層を有する。なお、本発明の自動車用ワイヤーハーネスは、導体と樹脂被覆材からなる層との間に中間層や遮蔽層を有していてもよい。
以下、自動車用ワイヤーハーネスを、単に「ワイヤーハーネス」と称することもある。
本発明の自動車用ワイヤーハーネスは、導体(導体束、ファイバ心線を含む)の表面に、本発明の樹脂組成物を架橋させた樹脂被覆材からなる層を有する。なお、本発明の自動車用ワイヤーハーネスは、導体と樹脂被覆材からなる層との間に中間層や遮蔽層を有していてもよい。
以下、自動車用ワイヤーハーネスを、単に「ワイヤーハーネス」と称することもある。
本発明のワイヤーハーネスの断面積が2sq(スケア、JIS規格)以下である場合、ワイヤーハーネスに耐摩耗性を付与する観点から、皮膜形成材料である本発明の樹脂組成物には、成分(A)のポリエチレン樹脂を多く配合することが好ましい。具体的には、本発明の樹脂組成物中の成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中、成分(A)の割合は、20〜40質量部であることが好ましく、30〜40質量部であることがより好ましい。また、ベース樹脂中の成分(A)の割合を上記範囲内とした場合、ブリーディングを抑える観点から、成分(C)のチオエーテル化合物の配合量を抑えて、成分(D)のフッ素ゴムを主体として用いて、電線被膜材と導体との密着力を制御することが好ましい。
また、本発明のワイヤーハーネスの断面積が3sq以上である場合、ワイヤーハーネスに柔軟性を持たせる観点から、皮膜形成材料である本発明の樹脂組成物には、成分(B)のエチレン−酢酸ビニル共重合体を多く配合することが好ましい。具体的には、本発明の樹脂組成物中の成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中、成分(B)の割合は、80〜95質量部であることが好ましく、90〜95質量部であることがより好ましい。
また、本発明のワイヤーハーネスの断面積が3sq以上である場合、ワイヤーハーネスに柔軟性を持たせる観点から、皮膜形成材料である本発明の樹脂組成物には、成分(B)のエチレン−酢酸ビニル共重合体を多く配合することが好ましい。具体的には、本発明の樹脂組成物中の成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中、成分(B)の割合は、80〜95質量部であることが好ましく、90〜95質量部であることがより好ましい。
[自動車用ワイヤーハーネスの製造方法]
本発明の自動車用ワイヤーハーネスは、導体上に本発明の樹脂組成物を押出被覆して樹脂組成物の層を設け、該樹脂組成物の層に、80〜250kGyの電子線を照射する工程を経て得ることができる。この電子線照射により樹脂組成物の層に架橋反応が生じ、樹脂被覆材層が形成される。
本発明の自動車用ワイヤーハーネスは、導体上に本発明の樹脂組成物を押出被覆して樹脂組成物の層を設け、該樹脂組成物の層に、80〜250kGyの電子線を照射する工程を経て得ることができる。この電子線照射により樹脂組成物の層に架橋反応が生じ、樹脂被覆材層が形成される。
導体としては、単線でも撚線でもよく、また裸線でも錫メッキ若しくはエナメル被覆したものでもよい。導体を形成する金属材料としては軟銅、銅合金、アルミニウム等が挙げられる。導体の周りに形成される樹脂被覆材からなる層の厚さは特に制限されないが、通常、0.15〜5mm程度である。
この導体径や導体の材質、被覆層の厚さなどは特に制限はなく、目的や用途に応じて適宜定められる。電子線照射による架橋反応は、通常の方法、及び条件で行うことができ、制限するものではない。電子線の照射条件は、照射量50〜450kGyが好ましく、80〜250kGyがより好ましく、80〜200kGyがさらに好ましく、80〜160kGyが特に好ましい。また、加速電圧は300〜3000keVであることが好ましく、500〜2500keVであることがより好ましい。
また、導体と被覆層、被覆層と被覆層の間に中間層や遮蔽層を設けるなどの多層構造をとってもよい。
この導体径や導体の材質、被覆層の厚さなどは特に制限はなく、目的や用途に応じて適宜定められる。電子線照射による架橋反応は、通常の方法、及び条件で行うことができ、制限するものではない。電子線の照射条件は、照射量50〜450kGyが好ましく、80〜250kGyがより好ましく、80〜200kGyがさらに好ましく、80〜160kGyが特に好ましい。また、加速電圧は300〜3000keVであることが好ましく、500〜2500keVであることがより好ましい。
また、導体と被覆層、被覆層と被覆層の間に中間層や遮蔽層を設けるなどの多層構造をとってもよい。
本発明の樹脂組成物を押出成形する際の条件は、本発明の樹脂組成物を押出することができれば特に限定されないが、押出機(押出成形機)への負荷を低減でき、しかも形状維持性をも確保できる点で、押出温度(ヘッド部)が100〜230℃が好ましく、120〜200℃がより好ましい。
また、押出成形のその他の条件は目的に応じて適宜に設定できる。
押出機のスクリュー構成は、特に限定されず、通常のフルフライトスクリュー、ダブルフライトスクリュー、先端ダブルフライトスクリュー、マドックスクリュー等を使用できる。
また、押出成形のその他の条件は目的に応じて適宜に設定できる。
押出機のスクリュー構成は、特に限定されず、通常のフルフライトスクリュー、ダブルフライトスクリュー、先端ダブルフライトスクリュー、マドックスクリュー等を使用できる。
導体の形状や材質は、一般に自動車用ワイヤーハーネスで用いられている形状、材質(銅、アルミニウムなど)であればどのような導体でもよい。
また、樹脂被覆層の厚みは、特に制限がない。本発明の樹脂組成物を使用した場合、樹脂被覆層の厚みを薄くしても可撓性、硬度、架橋度、難燃性、耐寒性及び耐熱性に優れる絶縁電線が得られるという利点がある。
また、樹脂被覆層の厚みは、特に制限がない。本発明の樹脂組成物を使用した場合、樹脂被覆層の厚みを薄くしても可撓性、硬度、架橋度、難燃性、耐寒性及び耐熱性に優れる絶縁電線が得られるという利点がある。
本発明を以下の実施例および比較例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1〜8及び比較例1〜8]
実施例1〜8及び比較例1〜8の樹脂組成物を調製するための材料を、下記表1及び2に示す。使用した材料の詳細は下記のとおりである。なお、下記(1)〜(18)は、下記表1及び2中の(1)〜(18)に対応する。
実施例1〜8及び比較例1〜8の樹脂組成物を調製するための材料を、下記表1及び2に示す。使用した材料の詳細は下記のとおりである。なお、下記(1)〜(18)は、下記表1及び2中の(1)〜(18)に対応する。
<使用材料>
(成分(A):ポリエチレン(PE)樹脂)
(1):NUC−9060(商品名)、NUC社製、密度0.923g/cm3
(2):NUCG−5130(商品名)、ダウ・エラストマー社製、密度0.923g/cm3
(3):ENGAGE−8100(商品名)、NUC社製、密度0.870g/cm3
(4):HI―ZEX−5305E(商品名)、プライムポリマー社製、密度0.950g/cm3
(5):アドテックスL6100M(商品名)、日本ポリオレフィン社製、密度0.920g/cm3、マレイン酸変性
(成分(A):ポリエチレン(PE)樹脂)
(1):NUC−9060(商品名)、NUC社製、密度0.923g/cm3
(2):NUCG−5130(商品名)、ダウ・エラストマー社製、密度0.923g/cm3
(3):ENGAGE−8100(商品名)、NUC社製、密度0.870g/cm3
(4):HI―ZEX−5305E(商品名)、プライムポリマー社製、密度0.950g/cm3
(5):アドテックスL6100M(商品名)、日本ポリオレフィン社製、密度0.920g/cm3、マレイン酸変性
(成分(B):酢酸ビニル共重合体樹脂)
(6):エバフレックスV5961(商品名)、三井デュポンポリケミカル社製、酢酸ビニル成分の含有量:9質量%
(7):エバフレックスV5274(商品名)、三井デュポンポリケミカル社製
酢酸ビニル成分の含有量:17質量%
(8):エバフレックスEV170(商品名)、三井デュポンポリケミカル社製、酢酸ビニル成分の含有量:33質量%
(9):エバフレックスEV40LX(商品名)、三井デュポンポリケミカル社製、酢酸ビニル成分の含有量:41質量%
(10):エバフレックスEV45LX(商品名)、三井デュポンポリケミカル社製、酢酸ビニル成分の含有量:46質量%
(6):エバフレックスV5961(商品名)、三井デュポンポリケミカル社製、酢酸ビニル成分の含有量:9質量%
(7):エバフレックスV5274(商品名)、三井デュポンポリケミカル社製
酢酸ビニル成分の含有量:17質量%
(8):エバフレックスEV170(商品名)、三井デュポンポリケミカル社製、酢酸ビニル成分の含有量:33質量%
(9):エバフレックスEV40LX(商品名)、三井デュポンポリケミカル社製、酢酸ビニル成分の含有量:41質量%
(10):エバフレックスEV45LX(商品名)、三井デュポンポリケミカル社製、酢酸ビニル成分の含有量:46質量%
(成分(C):チオエーテル化合物)
(11):2,2−ビス{[3−(ドデシルチオ)−1−オキソプロポキシ]メチル}プロパン−1,3−ジイル ビス[3−ドデシルチオプロピオナート]、アデカスタブAO−412S(商品名)、ADEKA社製
(11):2,2−ビス{[3−(ドデシルチオ)−1−オキソプロポキシ]メチル}プロパン−1,3−ジイル ビス[3−ドデシルチオプロピオナート]、アデカスタブAO−412S(商品名)、ADEKA社製
(成分(D):フッ素ゴム)
(12):Viton FreeFlow10(商品名)、ケマーズ社製
(12):Viton FreeFlow10(商品名)、ケマーズ社製
(難燃剤)
(13):1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、サイテックス8010(商品名)、アルベマール社製
(14):三酸化アンチモン、PATOX−C(商品名)、日本精鉱社製
(13):1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、サイテックス8010(商品名)、アルベマール社製
(14):三酸化アンチモン、PATOX−C(商品名)、日本精鉱社製
(酸化防止剤)
(15):ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、フェノール系酸化防止剤、Irganox 1010(商品名)、BASF社製
(16):イミダゾール系酸化防止剤、2-スルファニルベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ノクラック MBZ(商品名)、大内新興化学社製
(15):ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、フェノール系酸化防止剤、Irganox 1010(商品名)、BASF社製
(16):イミダゾール系酸化防止剤、2-スルファニルベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ノクラック MBZ(商品名)、大内新興化学社製
(加工助剤)
(17):ステアリン酸亜鉛、シナカレッドZS−101(商品名)、品川化工社製
(17):ステアリン酸亜鉛、シナカレッドZS−101(商品名)、品川化工社製
(架橋助剤)
(18):トリメチロールプロパントリメタクリレート、オグモントT200(商品名)、新中村化学工業社製
(18):トリメチロールプロパントリメタクリレート、オグモントT200(商品名)、新中村化学工業社製
<樹脂組成物ペレットの製造>
下記表1及び2に示す組成に従い、1.7リットルのバンバリーミキサーを用いて180℃で溶融混練し、混合物を排出し、押出機を通して造粒して、実施例1〜8および比較例1〜8の樹脂組成物ペレットを得た。
下記表1及び2に示す組成に従い、1.7リットルのバンバリーミキサーを用いて180℃で溶融混練し、混合物を排出し、押出機を通して造粒して、実施例1〜8および比較例1〜8の樹脂組成物ペレットを得た。
<絶縁電線の製作>
上記で得られた各樹脂組成物ペレットを、温度を130〜190℃に設定した押出機を用いて導体上に押出被覆した。形成した樹脂組成物の層を電子線照射により架橋反応させた。こうして、断面積が3mm2(≒3sq)の銅からなる導体の周囲に、0.7mmの厚さの絶縁皮膜を有する絶縁電線を得た。
なお、電子線による架橋は、加速電圧800keVにて、160kGyの条件で行った。
上記で得られた各樹脂組成物ペレットを、温度を130〜190℃に設定した押出機を用いて導体上に押出被覆した。形成した樹脂組成物の層を電子線照射により架橋反応させた。こうして、断面積が3mm2(≒3sq)の銅からなる導体の周囲に、0.7mmの厚さの絶縁皮膜を有する絶縁電線を得た。
なお、電子線による架橋は、加速電圧800keVにて、160kGyの条件で行った。
[性能評価]
上記のようにして製造した各絶縁電線を用いて、下記の性能評価を行った。
上記のようにして製造した各絶縁電線を用いて、下記の性能評価を行った。
<表面平滑性>
各絶縁電線の表面平滑性(押出外観)を、下記のように測定した。
レーザー顕微鏡(LASER MICROSCOPE VK−X250、KEYENCE社製)を用い、触針先端曲率半径2μm、触針平均位置における静的測定力0.75mNの条件で、各絶縁電線の表面を、長さ方向に沿ってそれぞれ測定した。測定はそれぞれ3回ずつ行い(N=3)、その平均値を算術平均粗さRa(μm)とした。算出された算術平均粗さRaを、下記の基準により評価した。なお、評価A及びBを合格とした。
−評価基準−
A:Raが2μm未満
B:Raが2μm以上3μm未満
C:Raが3μm以上
各絶縁電線の表面平滑性(押出外観)を、下記のように測定した。
レーザー顕微鏡(LASER MICROSCOPE VK−X250、KEYENCE社製)を用い、触針先端曲率半径2μm、触針平均位置における静的測定力0.75mNの条件で、各絶縁電線の表面を、長さ方向に沿ってそれぞれ測定した。測定はそれぞれ3回ずつ行い(N=3)、その平均値を算術平均粗さRa(μm)とした。算出された算術平均粗さRaを、下記の基準により評価した。なお、評価A及びBを合格とした。
−評価基準−
A:Raが2μm未満
B:Raが2μm以上3μm未満
C:Raが3μm以上
<押出加工性>
前述した条件で導体上に長さ5000m分押出成形した後の、押出口に堆積した樹脂カス(ダイスカス、目ヤニ)、及び絶縁電線に付着した樹脂カスを、以下の基準で評価した。評価A及びBを合格とした。なお、押出成形により得た絶縁電線は順次エアガンによって付着した樹脂カスを除去した。用いたエアガン(商品名:AG45、栗田製作所製)は、先端径:φ2.0、エアー圧:0.5MPaとした。
−評価基準−
A:5000m製造後、押出口、及び絶縁電線に樹脂カスが堆積・付着しなかった。
B:5000m製造後、押出口に樹脂カスが堆積したが、エアガンによる噴射後に絶縁電線に樹脂カスの付着が見られなかった。
C:5000m到達後、押出口に樹脂カスが堆積し、且つエアガンによる噴射後に絶縁電線に樹脂カスの付着が見られた。
前述した条件で導体上に長さ5000m分押出成形した後の、押出口に堆積した樹脂カス(ダイスカス、目ヤニ)、及び絶縁電線に付着した樹脂カスを、以下の基準で評価した。評価A及びBを合格とした。なお、押出成形により得た絶縁電線は順次エアガンによって付着した樹脂カスを除去した。用いたエアガン(商品名:AG45、栗田製作所製)は、先端径:φ2.0、エアー圧:0.5MPaとした。
−評価基準−
A:5000m製造後、押出口、及び絶縁電線に樹脂カスが堆積・付着しなかった。
B:5000m製造後、押出口に樹脂カスが堆積したが、エアガンによる噴射後に絶縁電線に樹脂カスの付着が見られなかった。
C:5000m到達後、押出口に樹脂カスが堆積し、且つエアガンによる噴射後に絶縁電線に樹脂カスの付着が見られた。
<ブリーディング>
樹脂組成物を押出被覆した絶縁電線前駆体(電子線照射前)(長さ:200mm)を、40℃で1時間保温した。絶縁電線前駆体表面(樹脂組成物の層の表面)に接するように、SUS304丸棒(φ20×300mm、以下、「SUS棒」ともいう。)を、絶縁電線前駆体の長手方向に対して垂直方向の位置関係で、絶縁電線前駆体の長手方向に10往復(1往復:200mm×2回)させ、SUS304丸棒に付着した各絶縁電線由来の付着物の量(絶縁電線の表面ブリード成分の付着)を評価した。なお、ブリード成分の付着は目視により観察し、評価A及びBを合格とした。
−評価基準−
A:ブリード成分の付着が全くなかった。
B:ブリード成分の付着面積が、絶縁電線前駆体とSUS棒との接触面積に対し半分未満であった。
C:ブリード成分の付着面積が、絶縁電線前駆体とSUS棒との接触面積に対し半分以上であった。
樹脂組成物を押出被覆した絶縁電線前駆体(電子線照射前)(長さ:200mm)を、40℃で1時間保温した。絶縁電線前駆体表面(樹脂組成物の層の表面)に接するように、SUS304丸棒(φ20×300mm、以下、「SUS棒」ともいう。)を、絶縁電線前駆体の長手方向に対して垂直方向の位置関係で、絶縁電線前駆体の長手方向に10往復(1往復:200mm×2回)させ、SUS304丸棒に付着した各絶縁電線由来の付着物の量(絶縁電線の表面ブリード成分の付着)を評価した。なお、ブリード成分の付着は目視により観察し、評価A及びBを合格とした。
−評価基準−
A:ブリード成分の付着が全くなかった。
B:ブリード成分の付着面積が、絶縁電線前駆体とSUS棒との接触面積に対し半分未満であった。
C:ブリード成分の付着面積が、絶縁電線前駆体とSUS棒との接触面積に対し半分以上であった。
<密着力>
絶縁被覆層と導体との密着力は、日本自動車技術会規格JASO D618に準じた方法で測定した。
絶縁電線75mmのうち、先端から25mmまで絶縁被覆層を取り除いて導体を露出させ、引張速度は室温(23℃)にて250mm/分とし、導体を引っ張った時の、樹脂被覆層が導体から抜け落ちるまでの最大引張力を計測した。計測結果を、以下の基準で評価した。なお、評価A及びBを合格とした。
−評価基準−
A:最大引張力が10N以上40N未満
B:最大引張力が40N以上80N未満
C1:最大引張力が10N未満
C2:最大引張力が80N以上
絶縁被覆層と導体との密着力は、日本自動車技術会規格JASO D618に準じた方法で測定した。
絶縁電線75mmのうち、先端から25mmまで絶縁被覆層を取り除いて導体を露出させ、引張速度は室温(23℃)にて250mm/分とし、導体を引っ張った時の、樹脂被覆層が導体から抜け落ちるまでの最大引張力を計測した。計測結果を、以下の基準で評価した。なお、評価A及びBを合格とした。
−評価基準−
A:最大引張力が10N以上40N未満
B:最大引張力が40N以上80N未満
C1:最大引張力が10N未満
C2:最大引張力が80N以上
<難燃性>
国際標準化機構(ISO)19642に基づいて、傾斜燃焼試験を実施した。各絶縁電線から切り出した長さ600mmの電線試料を用意し、試料を水平に対して約45度傾斜させて支持した。口径10mmのブンゼンバーナーを用いて、還元炎50mmの先端を試料上端から500±5mmの箇所に30秒間又は導体が露出するまで当て、炎を静かに取り去った後の残炎時間を測定し、以下の基準で評価した。なお、評価A及びBを合格とした。
−評価基準−
A:残炎時間が5秒未満
B:残炎時間が5秒以上30秒未満
C:残炎時間が30秒以上
国際標準化機構(ISO)19642に基づいて、傾斜燃焼試験を実施した。各絶縁電線から切り出した長さ600mmの電線試料を用意し、試料を水平に対して約45度傾斜させて支持した。口径10mmのブンゼンバーナーを用いて、還元炎50mmの先端を試料上端から500±5mmの箇所に30秒間又は導体が露出するまで当て、炎を静かに取り去った後の残炎時間を測定し、以下の基準で評価した。なお、評価A及びBを合格とした。
−評価基準−
A:残炎時間が5秒未満
B:残炎時間が5秒以上30秒未満
C:残炎時間が30秒以上
<引張特性>
絶縁電線の被覆材料を採取し、日本工業規格(JIS)K7161に基づき、以下の基準で評価した。
各絶縁電線から導体を抜き取った管状サンプルを作製し、つかみ距離60mm、標線間距離20mm、引張速度200mm/min(室温、23℃)で、引張強度(破断強度、MPa)及び破断伸び(%)を測定した。なお、「破断伸び(%)」とは、サンプル破断時の標線間距離の増加分を、初めの標線間距離に対して百分率で表した値を言う。したがって、破断伸び100%は、標線間距離が2倍になったことを意味する。測定した引張強度及び破断伸びを、下記評価基準で評価した。なお、評価A及びBを合格とした。
−評価基準−
A:引張強度20MPa以上、かつ破断伸び400%以上
B:引張強度15MPa以上20MPa未満、及び/又は破断伸び300%以上400%未満
C:引張強度15MPa未満、及び/又は破断伸び300%未満
絶縁電線の被覆材料を採取し、日本工業規格(JIS)K7161に基づき、以下の基準で評価した。
各絶縁電線から導体を抜き取った管状サンプルを作製し、つかみ距離60mm、標線間距離20mm、引張速度200mm/min(室温、23℃)で、引張強度(破断強度、MPa)及び破断伸び(%)を測定した。なお、「破断伸び(%)」とは、サンプル破断時の標線間距離の増加分を、初めの標線間距離に対して百分率で表した値を言う。したがって、破断伸び100%は、標線間距離が2倍になったことを意味する。測定した引張強度及び破断伸びを、下記評価基準で評価した。なお、評価A及びBを合格とした。
−評価基準−
A:引張強度20MPa以上、かつ破断伸び400%以上
B:引張強度15MPa以上20MPa未満、及び/又は破断伸び300%以上400%未満
C:引張強度15MPa未満、及び/又は破断伸び300%未満
得られた結果を下記表1及び2にまとめて示す。下表中の配合量の記載は、質量部(質量比)である。
<表の注>
表中の各成分の含有量は質量部である。空欄、及び「−」は該当する成分が含まれないことを意味する。
表中の各成分の含有量は質量部である。空欄、及び「−」は該当する成分が含まれないことを意味する。
表2から、本発明の規定を満たさない樹脂組成物を用いた絶縁電線は、少なくとも3つの評価項目が不合格であった。
これに対して、表1から明らかなように、本発明の樹脂組成物を用いて作製した絶縁電線は、全ての評価項目が合格であった。このことから、本発明の樹脂組成物は、自動車用ワイヤーハーネスの樹脂被覆材層として好適に用いることができることがわかる。
これに対して、表1から明らかなように、本発明の樹脂組成物を用いて作製した絶縁電線は、全ての評価項目が合格であった。このことから、本発明の樹脂組成物は、自動車用ワイヤーハーネスの樹脂被覆材層として好適に用いることができることがわかる。
Claims (11)
- 下記成分(A)及び(B)を含有し、かつ下記成分(C)及び(D)の少なくとも1種を含有してなり、
(A)低密度ポリエチレン樹脂、
(B)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、
(C)チオエーテル化合物、
(D)フッ素ゴム、
成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中、成分(A)の割合が5〜40質量部、成分(B)の割合が60〜95質量部であり、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対する成分(C)及び(D)の総含有量が0.05〜1質量部であり、
成分(B)中の酢酸ビニル成分の割合が40質量%以下である、樹脂組成物。 - 前記成分(B)中の酢酸ビニル成分の割合が7質量%以上である、請求項1記載の樹脂組成物。
- 前記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対し、前記成分(C)の含有量が0.7質量部以下、前記成分(D)の含有量が1質量部以下である、請求項1又は2記載の樹脂組成物。
- 前記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中、前記成分(A)の割合が20〜40質量部、前記成分(B)の割合が60〜80質量部であり、前記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対する前記成分(C)の含有量が0.5質量部以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中、前記成分(A)の割合が5〜20質量部、前記成分(B)の割合が80〜95質量部であり、前記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対する前記成分(C)及び(D)の総含有量が0.5〜1質量部である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 下記式により算出されるVA値が15以上であり、前記成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対する前記成分(C)及び(D)の総含有量が0.5〜1質量部である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
VA値=[成分(A)及び(B)の総含有量100質量部中の成分(B)の割合(質量部)]×[成分(B)中の酢酸ビニル成分の割合(質量%)]/100 - 前記樹脂組成物が、前記成分(A)〜(D)以外に、難燃剤、酸化防止剤、加工助剤、及び架橋助剤の少なくとも1種を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 自動車用ワイヤーハーネスに用いる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物を架橋してなる樹脂被覆材。
- 絶縁皮膜が請求項9に記載の樹脂被覆材を有する、自動車用ワイヤーハーネス。
- 導体上に、請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物を押出被覆して樹脂組成物の層を設け、該樹脂組成物の層に80〜250kGyの電子線を照射する工程を含む、自動車用ワイヤーハーネスの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020095633A JP2021187970A (ja) | 2020-06-01 | 2020-06-01 | 樹脂組成物、樹脂被覆材、自動車用ワイヤーハーネス及び自動車用ワイヤーハーネスの製造方法 |
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JP2020095633A JP2021187970A (ja) | 2020-06-01 | 2020-06-01 | 樹脂組成物、樹脂被覆材、自動車用ワイヤーハーネス及び自動車用ワイヤーハーネスの製造方法 |
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JP2020095633A Pending JP2021187970A (ja) | 2020-06-01 | 2020-06-01 | 樹脂組成物、樹脂被覆材、自動車用ワイヤーハーネス及び自動車用ワイヤーハーネスの製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023089826A1 (ja) * | 2021-11-22 | 2023-05-25 | 古河電気工業株式会社 | 樹脂組成物、樹脂被覆材、絶縁電線、自動車用ワイヤーハーネス及び自動車用ワイヤーハーネスに用いる絶縁電線の製造方法 |
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2020
- 2020-06-01 JP JP2020095633A patent/JP2021187970A/ja active Pending
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WO2023089826A1 (ja) * | 2021-11-22 | 2023-05-25 | 古河電気工業株式会社 | 樹脂組成物、樹脂被覆材、絶縁電線、自動車用ワイヤーハーネス及び自動車用ワイヤーハーネスに用いる絶縁電線の製造方法 |
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