JP3740820B2 - 電線・ケーブル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はゴム・プラスチック組成物、及び当該組成物を用いて導体又は電線コア外周に被覆層を形成した電線・ケーブルに関するものである。特に、本発明は耐水性に優れた成形品及び電線・ケーブルを実現できるゴム・プラスチック組成物を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
電線・ケーブルの絶縁被覆材料としては様々なゴム材料やプラスチック材料が用いられており、ゴム材料としては天然ゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、シリコンゴム等があり、また、プラスチック材料としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド等がある。
【0003】
これらのゴム・プラスチックに無機充填剤を混和すると、耐水性が著しく低下する傾向にある。また、無機充填剤を大量に混和すると無機充填剤の分散性が悪化し、機械的特性が著しく低下する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
耐水性や機械的特性の改善のため、無機充填剤の表面をビニルシラン等により処理することが提案されているが、シランによる表面処理は酸性又はアルカリ性の環境下では加水分解しやすく、使用初期では良好な耐水性や機械的特性を示すが、日時が経るに従って当初の性能が発揮されなくなる。
【0005】
一方、含ふっ素エラストマ系共重合体は可撓性、熱安定性、耐熱老化性、電気絶縁性、耐油性、耐薬品性、難燃性等が優れており、従来より、電線・ケーブルの絶縁被覆材料として用いられてきている。また、含ふっ素エラストマ系共重合体は、その優れた耐熱性、耐油性及び耐薬品性等を活かしてガスケット、パッキン、ダイヤフラム、ホース等の種々の用途に用いられている。
【0006】
含ふっ素系エラストマ系共重合体は、それ自体高価であるため特性に悪影響を与えない範囲で出来るだけ多量の充填剤を配合して使用することが経済的に有利であるが、充填剤を多量に配合すると、含ふっ素エラストマ系共重合体中に充填剤が均一に分散性しにくくなり、成形品の機械的特性が著しく低下するという問題がある。
【0007】
また、含ふっ素エラストマ系共重合体被覆電線・ケーブルが使用される電気機器、自動車、航空機、船舶等の分野では優れた耐熱軟化防止性、即ち高度の耐カットスルー性が強く要求されるようになってきており、耐カットスルー性を良くするために充填剤を多量に配合すると、機械的特性が低下すると共に、絶縁破壊電圧が著しく低下してしまうという問題が新たに指摘されるようになった。
【0008】
本発明はかかる点に立ってなされたものであって、その目的とするところは前記した従来技術の欠点を解消し、耐水性に優れた充填剤を配合したゴム・プラスチック組成物からなる成形品及び電線・ケーブルを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の電線・ケーブルは、導体又は電線コア外周上にゴム又はプラスチックと無機充填剤とを含有するゴム・プラスチック組成物からなる被覆層が形成された電線・ケーブルにおいて、前記無機充填剤は両末端又は片末端にフロルアルキル基を有するふっ素系重合体で表面処理されたものであることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明においてゴム・プラスチックとしては、特に規定するものではなくあらゆるものを含む。ゴム系材料としては、例えば、天然ゴム、クロロプレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリル共重合体、エチレンプロピレンジエンゴム、ブチルゴム、ポリイソプレン、シリコンゴム、ふっ素ゴム、含ふっ素エラストマ共重合体(ふっ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロペン系共重合体、ふっ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロペン−テトラフルオロエチレン系共重合体、ふっ化ビニリデン−ペンタフルオロプロペン系共重合体、ふっ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン系共重合体、テトラフルオロエチレン−プロピレン系共重合体、テトラフルオロエチレン−プロピレン−ふっ化ビニリデン系共重合体など)などがあげられる。プラスチック系材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−オクテン共重合体、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン−アクリロニトリル−スチレン共重合体、塩素化ポリエーテル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル変成ポリ塩化ビニル、ポリふっ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシふっ素樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ふっ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロペン共重合体、1−ジヒドロパーフルオロプロペン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリビニルフルオライド、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアミドエラストマー、ポリカーボネート、変成ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフォン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリスルフォン、アクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体、メタクリル−スチレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、オキシベンゾイルポリエステル、フェノール樹脂、ポリアセタール、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂などがあげられ、これらを変性したものであってもよく、また、必要に応じて複数組合わせて使用することもできる。
【0012】
特に、含ふっ素エラストマを使用するときは、含ふっ素エラストマ系共重合体にふっ素樹脂をブレンドすることが好ましく、得られる成形品の機械的強度及び可撓性を考慮すると、含ふっ素エラストマ系共重合体50〜100重量%とふっ素樹脂0〜50重量%の割合でブレンドすることが好ましい。
【0013】
本発明において無機充填剤としては、クレー、タルク、炭酸カルシウム、ハイドロタルサイトの如き一般の充填剤、チャネルブラック、ファーネスブラック(SAF系、HAF系、FEF系、SRF系、GPE、ECF等)、サーマルブラック(FT、MT、アセチレンブラック等)に代表されるカーブンブラック、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム等の酸化物、水酸化物、炭酸化合物、硫化物、硝酸化物、塩化物等が挙げられる。炭酸カルシウムは、熱的安定性が良好で、多量に配合しても耐熱老化特性の低下が少ない点で最も好ましい。無機充填剤の粒径は、大きすぎると絶縁破壊電圧が低下し、小さすぎると耐熱性が低下する傾向にあるので、4μm以下、特に0.7〜1.5μmのものを使用することが好ましい。
【0014】
無機充填剤は、ゴム・プラスチック100重量部に対して5〜200重量部配合することが好ましいが、特に電線・ケーブルの絶縁体用途としては20〜120重量部配合することが好ましい。20重量部より少ないと性能向上の効果を得ることが困難で、120重量部より多いと機械的特性が低下する傾向にある。
【0015】
本発明においては、ゴム・プラスチックに特定のふっ素系重合体で表面処理した無機充填剤を配合することにより、無機充填剤がゴム・プラスチック中に均一に分散され易くなり、多量に配合しても機械的特性の低下を抑止できるのである。すなわち、ゴム・プラスチック中に無処理の無機充填剤を配合した場合、20〜30μmあるいはそれ以上の2次凝集体が形成され、機械的特性が低下する原因になっていたが、ふっ素系重合体で表面処理した無機充填剤を配合すると、充填剤は5μm以下にミクロ分散され、これによって、機械的特性の低下が抑止されることが確認された。
【0016】
また、ゴム・プラスチックに特定のふっ素系重合体で表面処理した無機充填剤を配合することにより、耐水性の低下を抑止できることも確認されており、耐水性の低いゴム・プラスチックに配合すると、耐水性を向上できる。
【0017】
本発明において、無機充填剤を表面処理するふっ素系重合体としては、両末端又は片末端にフロルアルキル基を有し、且つその構造式中にカルボキシル基、スルホン基、シラノール基、ヒドロキシ基のうち少なくとも1種を含むものであり、具体的には、次の化1〜化8で示されるものである。
【0018】
【化1】
【0019】
【化2】
【0020】
【化3】
【0021】
【化4】
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】
【化7】
【0025】
【化8】
【0026】
なお、化1〜化8におけるRFは、次の化9〜化12で表されるいずれかである。
【0027】
【化9】
【0028】
【化10】
【0029】
【化11】
【0030】
【化12】
【0031】
無機充填剤をふっ素系重合体で表面処理する方法は、特に限定されるものではなく、例えば湿式ブレンドのスラリー法、ドライブレンド式のヘンシェルミキサ法等を用いることができる。
【0032】
本発明においては、無機充填剤の外に架橋剤、架橋助剤、酸化防止剤、滑剤、加工助剤、安定剤、顔料、表面処理剤等を適宜必要に応じて適量ずつ配合することができる。架橋剤や架橋助剤を配合したときには加熱架橋、電離放射線照射架橋等により架橋することができる。なお、非架橋であってもよい。
【0033】
【実施例】
本発明の実施例を比較例と共に説明する。
【0034】
<実施例1>
エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(日本合成ゴム(株)製、EP−1)を100重量、架橋剤のジクミルパーオキサイドを2重量部、酸化防止剤のイルガノックス1010(チバガイギー社商品名)を0.2重量部、滑剤のステアリン酸を1重量部、無機充填剤として化3の化合物(RFは化10)でドライブレンド法で表面処理した平均粒径1.0μmの炭酸カルシウムAを80重量部それぞれ秤量し、これらを容量60mlの小型ミキサに投入し、120℃で混練りしてコンパウンドを得た。
【0035】
上記コンパウンドを、180℃に保持したプレスを用い、100気圧で10分間加圧架橋して厚さ1mm(10cm×10cm)の架橋シートを作製した。
【0036】
<実施例2>
無機充填剤として、化1の化合物(RFは化9)で表面処理した平均粒径0.8μmのミストロンベーパータルクAを60重量部使用した以外は実施例1と同様にして架橋シートを作製した。
【0037】
<実施例3>
無機充填剤として、化6の化合物(RFは化12)で表面処理した平均粒径0.8μmの焼成クレーを60重量部使用した以外は実施例1と同様にして架橋シートを作製した。
【0038】
<実施例4>
エチレン−プロピレン−ジエン共重合体に代えてエチレン−酢酸ビニル共重合体(三菱化学(株)製、X―501)を使用した以外は実施例1と同様にして架橋シートを作製した。
【0039】
<実施例5>
無機充填剤として、化1の化合物(RFは化9)で表面処理した平均粒径0.8μmのミストロンベーパータククAを60重量部使用した以外は実施例4と同様にして架橋シートを作製した。
【0040】
<実施例6>
エチレン−プロピレン−ジエン共重合体に代えて低密度ポリエチレン(日本ポリオレフィン(株)製、ジェイクレスLDW3000)を使用した以外は実施例1と同様にして架橋シートを作製した。
【0041】
<実施例7>
無機充填剤として、化6の化合物(RFは化12)で表面処理した平均粒径0.8μmの焼成クレーを60重量部使用した以外は実施例6と同様にして架橋シートを作製した。
【0042】
<実施例8>
エチレン−プロピレン−ジエン共重合体に代えて塩素化ポリエチレン(昭和電工(株)製、エラスレン401A)を使用し、安定剤として三塩基性硫酸鉛を5重量部使用した以外は実施例1と同様にして架橋シートを作製した。
【0043】
<実施例9>
無機充填剤として、化1の化合物(RFは化9)で表面処理した平均粒径0.8μmのミストロンベーパータククAを60重量部使用した以外は実施例8と同様にして架橋シートを作製した。
【0044】
<比較例1>
無機充填剤として、未処理の平均粒径1.0μmの炭酸カルシウムBを60重量部使用した以外は実施例1と同様にして架橋シートを作製した。
【0045】
<比較例2>
無機充填剤として、未処理の平均粒径1.0μmの炭酸カルシウムBを60重量部使用した以外は実施例4と同様にして架橋シートを作製した。
【0046】
<比較例3>
無機充填剤として、未処理の平均粒径0.8μmのミストロンベーパータルクBを60重量部使用した以外は実施例6と同様にして架橋シートを作製した。
【0047】
表1は、実施例1〜9及び比較例1〜3の配合を纏めて示したものである。また、表1には、上記各例の架橋シートについて無機充填剤分散性及び耐水性を評価した結果を併せて示した。
【0048】
無機充填剤分散性は、架橋シートをミクロトームにて極薄切りし、断面を走査型電子顕微鏡で観察し、無機充填剤の凝集体の大きさが5μm以下のものを○、5〜10μmのものを△、10μm以上のものを×として判定した。
【0049】
耐水性は、50℃の温水中に60日間浸漬後の吸水量(wt%)を測定し、その値を示した。
【0050】
【表1】
【0051】
<実施例10>
ふっ化ビニリデン−六ふっ化プロピレン共重合体(ムーニ粘度ML1+10(100℃):50)を80重量部、エチレン−テトラフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(融点:225℃、メルトインデックス:30)を20重量部、架橋助剤のトリアリルイソシアヌレートを1重量部、滑剤のステアリン酸バリウムを1重量部、無機充填剤として化1の化合物(RFは化9)でドライブレンド法で表面処理した平均粒径1.0μmの炭酸カルシウムCを70重量部それぞれ秤量し、これらを容量3リットルのニーダーに投入し、250℃で混練し、含ふっ素エラストマコンパウンドを得た。
【0052】
この含ふっ素エラストマコンパウンドを、ヘッド温度が300℃、第1シリンダー温度が250℃、第2シリンダー温度が280℃に設定されたL/D=22の40mm押出機内に投入し、断面積が75mm2 の銅撚線の外周上に厚さ0.4mmとなるように押し出し被覆し、次いで10Mradの電子線を照射して架橋を行ない、含ふっ素エラストマ被覆電線を製造した。
【0053】
<実施例11>
ふっ化ビニリデン−六ふっ化プロピレン共重合体(ムーニ粘度ML1+10(100℃):50)を100重量部、架橋助剤のトリアリルイソシアヌレートを1重量部、滑剤のステアリン酸バリウムを1重量部、無機充填剤として化6の化合物(RFは化9)でドライブレンド法で表面処理した平均粒径1.0μmの炭酸カルシウムDを100重量部それぞれ秤量し、これらを容量3リットルのニーダーに投入し、250℃で混練し、含ふっ素エラストマコンパウンドを得た。
【0054】
この含ふっ素エラストマコンパウンドを実施例10と同様にして断面積が75mm2 の銅撚線の外周上に厚さ0.4mmとなるように押し出し被覆、架橋することにより含ふっ素エラストマ被覆電線を製造した。
【0055】
<実施例12>
ふっ化ビニリデン−六ふっ化プロピレン共重合体(ムーニ粘度ML1+10(100℃):50)を70重量部、エチレン−テトラフルオロエチレン−1,1−ジヒドロパーフルオロプロペン−1共重合体(融点:225℃)を30重量部、架橋助剤のトリアリルイソシアヌレートを1重量部、滑剤のステアリン酸バリウムを1重量部、無機充填剤として化6の化合物(RFは化10)でドライブレンド法で表面処理した平均粒径1.5μmの炭酸カルシウムEを60重量部それぞれ秤量し、これらを容量3リットルのニーダーに投入し、250℃で混練し、含ふっ素エラストマコンパウンドを得た。
【0056】
この含ふっ素エラストマコンパウンドを実施例10と同様にして断面積が75mm2 の銅撚線の外周上に厚さ0.4mmとなるように押し出し被覆、架橋することにより含ふっ素エラストマ被覆電線を製造した。
【0057】
<実施例13>
テトラフルオロエチレンープロピレン共重合体(ムーニ粘度ML1+10(100℃):100)を80重量部、エチレン−テトラフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(融点:225℃、メルトインデックス:30)を20重量部、架橋助剤のトリアリルイソシアヌレートを1重量部、滑剤のステアリン酸バリウムを1重量部、無機充填剤として化2の化合物(RFは化10)でドライブレンド法で表面処理した平均粒径0.8μmのタルクを80重量部それぞれ秤量し、これらを容量3リットルのニーダーに投入し、250℃で混練し、含ふっ素エラストマコンパウンドを得た。
【0058】
この含ふっ素エラストマコンパウンドを実施例10と同様にして断面積が75mm2 の銅撚線の外周上に厚さ0.4mmとなるように押し出し被覆、架橋することにより含ふっ素エラストマ被覆電線を製造した。
【0059】
<実施例14>
テトラフルオロエチレンープロピレン共重合体(ムーニ粘度ML1+10(100℃):100)を100重量部、架橋助剤のトリアリルイソシアヌレートを1重量部、滑剤のステアリン酸バリウムを1重量部、無機充填剤として化3の化合物(RFは化11)でドライブレンド法で表面処理した平均粒径0.8μmの焼成クレーを100重量部それぞれ秤量し、容量3リットルのニーダーに投入し、250℃で混練し、含ふっ素エラストマコンパウンドを得た。
【0060】
この含ふっ素エラストマコンパウンドを実施例10と同様にして断面積が75mm2 の銅撚線の外周上に厚さ0.4mmとなるように押し出し被覆、架橋することにより含ふっ素エラストマ被覆電線を製造した。
【0061】
<実施例15>
ふっ化ビニリデン−六ふっ化プロピレン共重合体(ムーニ粘度ML1+10(1
0℃):50)を100重量部、架橋剤のジクミルパーオキサイドを2重量部、架橋助剤のトリアリルイソシアヌレートを1重量部、滑剤のステアリン酸バリウムを1重量部、無機充填剤として炭酸カルシウムDを100重量部をそれぞれ秤量し、これらを容量3リットルのニーダーに投入し、150℃で混練して含ふっ素エラストマコンパウンドを得た。
【0062】
この含ふっ素エラストマコンパウンドをヘッド温度が100℃、第1シリンダー温度が80℃、第2シリンダー温度が100℃に設定されたL/D=22の40mm押出機内に投入し、断面積が75mm2 の銅撚線の外周上に厚さ0.4mmとなるように押し出し被覆し、その後、蒸気圧18気圧の高温の蒸気管内に1分間さらして架橋させることにより、含ふっ素エラストマ被覆電線を製造した。
【0063】
<比較例4>
ふっ化ビニリデン−六ふっ化プロピレン共重合体(ムーニ粘度ML1+10(100℃):50)を100重量部、架橋助剤のトリアリルイソシアヌレートを1重量部、滑剤のステアリン酸バリウム1重量部、無機充填剤としてステアリン酸カルシウムで表面処理した平均粒径1.0μmの炭酸カルシウムFを100重量部それぞれ秤量し、これらを容量3リットルのニーダーに投入し、250℃で混練して含ふっ素エラストマコンパウンドを得た。
【0064】
この含ふっ素エラストマコンパウンドを実施例10と同様にして断面積が75mm2 の銅撚線の外周上に厚さ0.4mmとなるように押し出し被覆、架橋することにより含ふっ素エラストマ被覆電線を製造した。
【0065】
<比較例5>
ふっ化ビニリデン−六ふっ化プロピレン共重合体(ムーニ粘度ML1+10(100℃):50)を70重量部、エチレン−テトラフルオロエチレン−1,1−ジヒドロパーフルオロプロペン−1共重合体(融点:225℃)を30重量部、架橋助剤のトリアリルイソシアヌレートを1重量部、滑剤のステアリン酸バリウムを1重量部、無機充填剤としてアミノシランで表面処理した平均粒径1.5μmの炭酸カルシウムGを50重量部それぞれ秤量し、これらを容量3リットルのニーダーに投入し、250℃で混練し、含ふっ素エラストマコンパウンドを得た。
【0066】
この含ふっ素エラストマコンパウンドを実施例10と同様にして断面積が75mm2 の銅撚線の外周上に厚さ0.4mmとなるように押し出し被覆、架橋することにより含ふっ素エラストマ被覆電線を製造した。
【0067】
<比較例6>
テトラフルオロエチレンープロピレン共重合体(ムーニ粘度ML1+10(100℃):100)を70重量部、エチレン−テトラフルオロエチレン−1,1−ジヒドロパーフルオロプロペン−1共重合体(融点:225℃)を30重量部、架橋助剤のトリアリルイソシアヌレートを1重量部、滑剤のステアリン酸バリウムを1重量部、無機充填剤として平均粒径1.9μmの炭酸カルシウムHを80重量部それぞれ秤量し、これらを容量3リットルのニーダーに投入し、250℃で混練して含ふっ素エラストマコンパウンドを得た。
【0068】
この含ふっ素エラストマコンパウンドを実施例10と同様にして断面積が75mm2 の銅撚線の外周上に厚さ0.4mmとなるように押し出し被覆、架橋することにより含ふっ素エラストマ被覆電線を製造した。
【0069】
<比較例7>
テトラフルオロエチレンープロピレン共重合体(ムーニ粘度ML1+10(100℃):100)を50重量部、エチレン−テトラフルオロエチレン−1,1−ジヒドロパーフルオロプロペン−1共重合体(融点:225℃)を50重量部、架橋助剤のトリアリルイソシアヌレートを1重量部、滑剤のステアリン酸バリウムを1重量部、無機充填剤として未処理の平均粒径0.8μmのクレーを150重量部をそれぞれ秤量し、これらを容量3リットルのニーダーに投入し、250℃で混練して含ふっ素エラストマコンパウンドを得た。
【0070】
この含ふっ素エラストマコンパウンドを実施例10と同様にして断面積が75mm2 の銅撚線の外周上に厚さ0.4mmとなるように押し出し被覆、架橋することにより含ふっ素エラストマ被覆電線を製造した。
【0071】
表2は、実施例10〜15及び比較例4〜7の配合を纏めて示したものである。
【0072】
【表2】
【0073】
表3は、各例の含ふっ素エラストマ被覆電線についての評価結果を示したものである。なお、特性試験は次の4項目について行った。
【0074】
絶縁破壊電圧:含ふっ素エラストマ被覆電線を70cmの長さに切断し、その両端末の被覆層を剥ぎ取り、両端を結合する。これを水中に浸漬し、試験試料と水との間に1.5kVを1分間課電後、1kV/分の割合で昇圧して試験試料の絶縁破壊電圧を求めた。
【0075】
無機充填剤の分散性:含ふっ素エラストマ被覆電線の被覆の一部を切り取り、これをミクロトームにて極薄切りし、断面を走査型電子顕微鏡で観察し、無機充填剤の凝集体の大きさが5μm以下のものを○、5〜10μmのものを△、10μm以上のものを×と判定した。
【0076】
引張特性:含ふっ素エラストマ被覆電線から銅撚線を抜き取ったチューブをJISC3005に準じて引張試験を行なった。
【0077】
耐カットスルー性:90°エッジの上に含ふっ素エラストマ被覆電線を置き、電線に所定の荷重をかけて200℃で5分間予熱した後10分間保持し、導通したときの荷重を求めた。
【0078】
【表3】
【0079】
表3からわかるように、比較例4の含ふっ素エラストマ被覆電線は耐カットスルー性が良好であるが、無機充填剤の分散性が悪いため、絶縁破壊電圧が低く、機械的特性も悪い。比較例5の含ふっ素エラストマ被覆電線はカットスルー性も悪く、また、無機充填剤の分散性が悪いため、絶縁破壊電圧が低く、機械的特性も悪い。比較例6の含ふっ素エラストマ被覆電線は、カットスルー性が良好であるが、無機充填剤の分散性が悪いため、絶縁破壊電圧が低く、機械的特性も悪い。比較例7の含ふっ素エラストマ被覆電線はカットスルー性は良好であるが、絶縁破壊電圧が低い。
【0080】
これに対して、本発明の実施例10〜15の含ふっ素エラストマ被覆電線はいずれも無機充填剤の分散性がよく、その結果絶縁破壊電圧が20kV以上の優れた結果を示し、更にカットスルー性も500g以上と良好であった。その上、本発明の含ふっ素エラストマ被覆電線は、勿論試験結果を示さないが含ふっ素エラストマ自身が本来有する可撓性、熱安定性、耐熱老化性、電気絶縁性、耐油性、耐薬品性、難燃性等も兼備している。
【0081】
【発明の効果】
本発明の電線・ケーブルは、特定のふっ素重合体で処理した無機充填剤を混和するゴム又はプラスチック組成物を使用するものであり、耐水性及び機械的特性優れた成形品を実現できる。また、含ふっ素エラストマ組成物に特定のふっ素樹脂重合体を混和すると、耐水性、機械的特性に加えて高い絶縁破壊電圧値を有し、且つカットスルー性も良好である。しかも、本発明の電線・ケーブルは、可撓性、熱安定性、耐熱老化性、電気絶縁性、耐油性、耐薬品性、難燃性等も優れたものである。
Claims (4)
- 導体又は電線コア外周上にゴム又はプラスチックと無機充填剤とを含有するゴム・プラスチック組成物からなる被覆層が形成された電線・ケーブルにおいて、前記無機充填剤は両末端又は片末端にフロルアルキル基を有するふっ素系重合体で表面処理されたものであることを特徴とする電線・ケーブル。
- 前記ふっ素系重合体は、両末端又は片末端にフロルアルキル基を有し、且つその構造式中にカルボキシル基、スルホン基、シラノール基、ヒドロキシ基のうち少なくとも1種を含むものである請求項1記載の電線・ケーブル。
- 前記ゴム又はプラスチックは含ふっ素エラストマである請求項1記載の電線・ケーブル。
- 前記含ふっ素エラストマは、含ふっ素エラストマ系共重合体50〜100重量%とふっ素樹脂0〜50重量%とのブレンドである請求項3記載の電線・ケーブル。
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