JP6310210B2 - 筆記具 - Google Patents

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Description

本発明は、筆記体を収納する軸筒と、この軸筒の端部開口に装着される端部部材とを備えた筆記具に関する。
従来から、筆記体を収納する軸筒と、この軸筒の端部開口に装着される端部部材とを備えた筆記具が利用されている。例えば、筆記体としてのボールペンは、筆記体であるボールペンリフィルを収納する軸筒を備えている。そして、この軸筒の後方の端部開口に、キャップ状の端部部材を装着し、この端部部材で軸筒の後方の端部開口を塞いでいる。
ここで、端部部材の外周面に、筒軸の軸方向に沿って延びる装飾溝を形成すれば、筆記具の意匠性を高めることができる。
前述の端部部材としては、射出成形で製造される合成樹脂製のものが多用されている。金型の内部に形成したキャビティに溶融樹脂を注入する射出成形で、端部部材を製造する場合、キャビティに溶融樹脂を注入するゲートの位置よっては、製造された端部部材の表面にウェルドマーク(「ウェルドライン」ともいう。)が生じることがある。
ここで、ウェルドマークが筒軸の軸方向に沿って延び、且つ、端部部材の外周面に形成した装飾溝とウェルドマークの位置とが重なってしまうと、装飾溝が形成された部位は、肉厚が薄くなったために強度が低下し、これに加えて、ウェルドマークが形成されて強度がさらに低下するので、端部部材に充分な強度が確保できない。
このため、装飾溝からずれた位置にウェルドマークが形成されるようにし、これにより、装飾溝が形成された端部部材にウェルドマークが生じても、端部部材の強度を確保することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−179753号公報
前述のような筆記具では、端部部材の表面にウェルドマークが生じるので、筆記具の外観品質が損なわれる、という問題がある。
特に、メッキがなされている筆記具は、成形品の表面の仕上がり状態に、外観品質が大きく左右されるので、端部部材の表面にウェルドマークが生じている場合、外観が不良とされ、製品検査に合格できない。
そこで、本発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、表面にウェルドマークが生じても、外観品質が損なわれることがない筆記具を提供することにある。
本発明は、前述の目的を達成するためになされたものである。以下に、本発明の特徴点を、図面に示した発明の実施の形態を用いて説明する。
なお、符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(第1発明)
(特徴点)
本発明の第1発明は、次の点を特徴とする。
すなわち、本第1発明は、筆記体(2)を収納する軸筒(3)と、この軸筒(3)の端部開口(5L)に装着される端部部材(7)とを備えた筆記具(1)であって、前記端部部材(7)は、射出成形で製造されたものであり、且つ、ウェルドマークが形成される部分(77)に装飾溝(74B) が設けられていることを特徴とするものである。
(第2発明)
(特徴点)
本発明の第2発明は、前述の第1発明において、次の特徴点を備えている。
すなわち、本第2発明は、前記端部部材(7)として、前記軸筒(3)の後端部開口(5L)に装着されることで、当該後端部開口(5L)を閉鎖するものを採用したことを特徴とする。
(第3発明)
(特徴点)
本発明の第3発明は、前述の第1又は第2発明において、次の特徴点を備えている。
すなわち、本第3発明は、前記装飾溝(74B) の内部が塗装されていることを特徴とするものである。
(第4発明)
(特徴点)
本発明の第4発明は、前述の第1又は第2発明において、次の特徴点を備えている。
すなわち、本第4発明は、前記装飾溝(74B) の表面に装飾部材が装着されていることを特徴とするものである。
(第1発明の効果)
以上のように構成されている本発明は、次のような効果を奏するものである。
すなわち、第1発明によれば、ウェルドマークが形成される部分に装飾溝を設けたので、装飾溝の内側面や底部にウェルドマークが形成され、ウェルドマークが目立たなくなり、端部部材にウェルドマークが生じても、筆記具の外観品質が確保され、これにより、前記目的が達成される。
なお、装飾溝が形成される部位の肉厚を他の部位と同じ寸法とする等によって、端部部材の強度は充分に確保できる。
(第2発明の効果)
本発明の第2発明によれば、前述した第1発明の効果に加え、次のような効果を奏することができる。
すなわち、本第2発明によれば、軸筒の先端部開口に装着される端部部材は、筆記時に指で隠れるので、ウェルドマークが生じても、ウェルドマークが目立つことがないが、軸筒の後端部に装着される端部部材は、筆記時に指で隠れることがなく、ウェルドマークが生じると、ウェルドマークが目立ってしまう。
第2発明によれば、軸筒の後端部開口に装着される端部部材に対して、ウェルドマークが形成される部分に装飾溝を設けたので、ウェルドマークが生じても、当該ウェルドマークが目立つことがなく、この点から、筆記具の外観品質を確保することができる。
(第3発明の効果)
本発明の第3発明によれば、前述した第1又は第2発明の効果に加え、次のような効果を奏することができる。
すなわち、本第3発明によれば、装飾溝の内部を塗装したので、ウェルドマークが生じても、当該ウェルドマークが塗膜に隠蔽され、視認不可能となり、また、新たな色彩を筆記具に加えることもでき、これにより、筆記具の外観品質をより向上することもできる。
(第4発明の効果)
本発明の第4発明によれば、前述した第1又は第2発明の効果に加え、次のような効果を奏することができる。
すなわち、本第4発明によれば、装飾溝に装飾部材を装着したもので、ウェルドマークが生じても、当該ウェルドマークが装飾部材により隠蔽され、視認不可能となり、また、新たな色彩や形状を筆記具に加えることもできる。これにより、筆記具の外観品質を確保するだけでなく、筆記具の外観品質を向上することもできる。
本発明の一実施形態を示す二面図である。 前記実施形態に係る筆記具を示す断面図である。 前記実施形態に係るスペーサを示す斜視図である。 図3におけるIV線矢視図である。 前記実施形態に係る筆記具を示す先端筆記部露出状態の断面図である。 前記実施形態に係る後軸を示す断面図である。 図6における VII線矢視図である。 図6におけるVIII−VIII線断面図である。 図6におけるIX−IX線断面図である。 前記実施形態に係る第1ノック棒を示す四面図である。 前記実施形態に係る第2ノック棒を示す四面図である。 前記実施形態の要部を示す拡大断面図である。 前記実施形態に係る回転カムを示す斜視図である。 前記実施形態に係る回転カムを示す三面図である。 図12に示した要部の異なる状態を示す拡大断面図である。 前記実施形態に係るクリップを示す斜視図である。 前記実施形態に係るクリップを示す分解状態の側面図である。 前記実施形態に係る端部部材を示す斜視図である。 図18におけるXIX−XIX線断面図である。 本発明の変形例を示す斜視図である。 本発明の別の変形例を示す斜視図である。 図21に示した変形例を反対側から示す斜視図である。
以下に、本発明を実施するための形態である一実施形態に係るボールペン1について、図面を参照しながら説明する。
(ボールペン1の概略構成)
本実施形態に係るボールペン1は、筆記体として、例えば、黒色、赤色及び青色の3色のボールペンリフィル2を軸筒3内に収容した複式筆記具である。
なお、本実施形態において、ボールペン1の先端とは、筆記時において、ボールペンリフィル2の筆記ボールが位置する端部をいい、後端とは、前記「先端」とは反対側の端部をいう。また、ボールペン1における前方とは、先端に近づく方向をいい、後方とは、後端に近づく方向をいう。
図1(A)及び(B)は、ボールペン1の平面図及び側面図である。図1において、ボールペン1は、3本のボールペンリフィル2を収納する軸筒3を備えている。この軸筒3は、内部が中空とされるとともに、先端が先細りとされ、且つ、後端が平坦に形成された筒状部材である。
また、軸筒3は、先端側を形成する先軸4と、後端側を形成する後軸5と、先軸4及び後軸5の間の表面を形成する中軸6と、後軸5の後端に装着された端部部材である天冠7とに分解可能となっている。
先軸4は、図2に示すように、先細りとなった円錐状の先端部4Aを有し、この先端部4Aの後端側がストレートな円筒状に形成されたものとなっている。また、円錐状の先端部4Aの先端には、先端口4Bが開口されている。
軸筒3の内部に収納された3本のボールペンリフィル2のそれぞれは、その先端部分に、先端筆記部であるボールペンチップ2Aを備えたものとなっている。そして、3本のボールペンリフィル2うち、任意の1つのボールペンチップ2Aが先端口4Bを通じて外部へ突出可能となっている。
また、先軸4の内周面における後端近傍には、雌ネジ部4Cが形成されている。
後軸5には、ボールペンチップ2Aを先端口4Bから突出させるための3つのノック棒10が摺動可能に設けられる操作部5Aと、この操作部5Aから中軸6の内部を通って先軸4の後端の近傍まで延びる中子部5Bとが設けられている。
このうち、後軸5の後端部である操作部5Aには、後軸5の外周面との間にシート状のものを挟持するためのクリップ部8の後端部が結合されている。
ここで、中軸6は、肉厚が一定の側壁を有するとともに、全体がストレートに延びる円筒状の部材である。
一方、後軸5は、中子部5Bの外径が操作部5Aよりも小さくされ、中子部5Bと操作部5Aとの境界部分に段差が形成された段付きの周面を備えている。
この操作部5Aと中子部5Bとの段差は、中軸6の側壁部分の肉厚に応じた寸法となっている。これにより、中子部5Bを内部に挿通させた中軸6が操作部5Aに連結されると、中軸6の外周面と操作部5Aの外周面とが連続面を形成するようになっており、ひいては、先軸4、中軸6及び後軸5の3つの外周表面が1つの連続面を形成するようになっている。
また、中子部5Bの内周面における先端近傍には、雌ネジ部5Cが形成されている。
先軸4及び中軸6の境界部分の内部には、先軸4と後軸5の中子部5Bとを連結する中ネジ管9が設けられている。
中ネジ管9は、全体が筒状の部材である。中ネジ管9の先軸4側の端部には、先軸4の雌ネジ部4Cと螺合する雄ネジ部9Aが形成されている。中ネジ管9の後軸5側の端部には、後軸5の雌ネジ部5Cと螺合する雄ネジ部9Bが形成されている。
先軸4及び後軸5は、中ネジ管9の雄ネジ部9Aを先軸4の雌ネジ部4Cと螺合するとともに、中ネジ管9の雄ネジ部9Bを後軸5の雌ネジ部5Cと螺合することで、互いに連結されるようになっている。
以上において、ボールペンリフィル2の後端部及びノック棒10の先端部の間には、両者を接続する棒状のリフィル尾栓2Bが設けられている。
そして、後軸5の内部には、リフィル尾栓2Bを後軸5の軸方向に沿って案内するスペーサ20が設けられている。
スペーサ20には、3本のボールペンリフィル2の各後端部が挿通されるとともに、当該後端部を案内するリフィルガイド部21と、コイルスプリング2Cの内部に挿通された状態のリフィル尾栓2Bを後軸5の軸方向に沿って移動可能に保持する尾栓保持部22と、図2中の右方に配置されたカム軸支シャフト31が連結される突起部27が設けられている。
ここで、スペーサ20は、図3に示すように、先端側(図3中の左方)に円筒状に形成された筒状部23を有するものとなっている。リフィルガイド部21は、図4に示すように、筒状部23の内部に形成された略十字形の穴である。
そして、リフィルガイド部21の略十字形における4つの腕のうち、図4中、上方、右方及び下方に位置する3つの腕は、3本のボールペンリフィル2の後端部がそれぞれ挿通されるリフィル挿通部24となっている。
図2に戻って、リフィル尾栓2Bは、図2の如く、コイルスプリング2Cの内径よりも小さい外径を有するとともに、コイルスプリング2Cの内部に挿通される円柱部2Dと、この円柱部2Dの後端部から径方向へ突出するとともに、コイルスプリング2Cの内径よりも大きい外径を有する鍔部2Eとを有するものとなっている。
スペーサ20の後端側の外周面には、図3の如く、径方向外側に開口された4つのU字形溝25が90度の間隔で周方向に並設されている。そして、リフィルガイド部21と4つのU字形溝25とを仕切る仕切り壁部21A には、図4の如く、大小二種類の丸孔26, 27が開口されている。このうち、大きな方の3つの丸孔26は、リフィル尾栓2Bの円柱部2Dが挿通可能な尾栓挿通孔28となっている。
前述した4つのU字形溝25のうち、尾栓挿通孔28を介して、リフィルガイド部21のリフィル挿通部24と連通している3つのU字形溝25は、リフィル尾栓2Bを保持する尾栓保持部22となっている。
そして、尾栓挿通孔28の内径は、リフィル尾栓2Bの円柱部2Dの外径よりも大きいが、コイルスプリング2Cの外径よりも小さいものとなっている。
換言すると、リフィル尾栓2Bの円柱部2Dは、尾栓保持部22から尾栓挿通孔28を通ってリフィルガイド部21の内部に進入可能となっている。
一方、コイルスプリング2Cは、図2の如く、尾栓挿通孔28を通ることができず、リフィル尾栓2Bの鍔部2Eと仕切り壁部21A との間で、圧縮状態にされて尾栓保持部22の内部に収納されている。
このようなコイルスプリング2Cは、その弾性力でリフィル尾栓2Bの鍔部2Eを後方へ向かって押圧し、ひいては、ノック棒10を後軸5の後端に向かって押圧している。以上において、コイルスプリング2Cは、ノック棒10を後軸5の後端に向かって付勢するノック棒用付勢手段となっている。
ここで、ボールペン1は、ノック棒10が前方へ操作されると、図5に示すように、ノック棒10に押圧されて、リフィル尾栓2Bが前進し、リフィル尾栓2Bの鍔部2Eにコイルスプリング2Cを圧縮させながら、ボールペンリフィル2のボールペンチップ2Aを先端口4Bから外部へ突出させるようになっている。
換言すると、ボールペン1は、3つのノック棒10のうち、一のノック棒10が軸筒3の前方に向かって摺動操作されると、当該ノック棒10に接続されたボールペンリフィル2のボールペンチップ2Aが、軸筒3の先端口4Bから突出して筆記が可能な状態となるように形成されたものである。
そして、コイルスプリング2Cは、ノック棒10が前方へ操作されると、リフィル尾栓2Bの鍔部2Eと仕切り壁部21A との間でさらに圧縮され、ノック棒10を元の位置に戻す弾性力を発生させるものとなっている。
図1に戻って、後軸5の操作部5Aにおける周面には、図1に示すように、当該後軸5の軸方向に沿って延びる開口された複数のガイドスリット32が開口されている。これらのガイドスリット32は、ボールペンリフィル2の数に応じて3箇所設けられ、当該後軸5の周方向に沿って90度間隔に並設されている。
後軸5の内周面には、図6〜図9に示すように、ガイドスリット32の長手方向側縁に沿った部位から径方向内側へ突出する一対のガイドレール33が設けられている。ガイドレール33は、ガイドスリット32に対応した数だけ設けられている。具体的には。ガイドレール33は、3つのガイドスリット32に対応して後軸5全体で3対設けられている。
図6〜図9には、3つのノック棒10は、いずれも図示されていないが、これら3つのノック棒10の各々は、複数対のガイドレール33のうち、一対をなすガイドレール33の間にそれぞれ配置され、当該一対のガイドレール33に案内されることによって、後軸5の軸方向に沿って摺動可能となっている。
なお、一対のガイドレール33の互いに対向する部分には、図7に示すように、ノック棒10の後述する被案内突条11を案内するために、後軸5の軸方向に沿って延びる案内溝33B がそれぞれ形成されている。
後軸5の内周面におけるガイドスリット32が形成されていない部位34には、当該部位34から径方向内側に突出するリブ35が形成されている。このリブ35は、後軸5の軸方向に沿って延び、ガイドスリット32とほぼ同じ全長を有するものとなっている。
リブ35における先端側(図6における左方)の部位であるリブ先端側部36は、図8に示すように、後軸5の径方向における内側の内縁36A がガイドレール33の内縁33A よりも外側に位置している。
リブ35における後端側(図6における右方)の部位であるリブ後端側部37は、図9に示すように、後軸5の径方向における内側の内縁37A がガイドレール33の内縁33A よりも内側に位置している。
リブ先端側部36とリブ後端側部37との境界部分には、図6に示すように、リブ先端側部36からリブ後端側部37へ突き出た段差部38が設けられている。この段差部38は、後軸5の後端部に形成された後端内面5Dよりも、後軸5の前方に位置している。
ここで、後端内面5Dは、後軸5の後方の端部に設けられているとともに、後軸5の前方を向いた面となっている。
後端内面5Dには、図6及び図7に示すように、先端縁に凹凸が形成された正面カム部39が設けられている。
ここで、正面カム部39は、図7の如く、後端内面5Dの周縁に沿って延びる円形の正面形状を有するものである。
また、正面カム部39には、凹凸として、図6の如く、逆V字形の山部39A と、V字形の谷部39B とが設けられている。
ここで、リブ35の段差部38は、正面カム部39の先端縁、すなわち、逆V字形の山部39A の頂上よりも、後軸5の前方に位置している。
図5に戻って、クリップ部8は、図5に示すように、その長手方向がリブに沿うように後軸5に設けられている。
ノック棒10は、図5の如く、後軸5の軸方向に沿って延出した棒状部材である。このようなノック棒10としては、第1ノック棒10A 及び第2ノック棒10B の2種類が設けられている。
第1ノック棒10A は、図8に示すように、3つガイドスリット32のうち、図8中の左方に位置するガイドスリット32A に配置されるものである。一方、第2ノック棒10B は、図8中の下方及び右方に位置するガイドスリット32B に配置されるものとなっている。
図10(A)〜(D)は、第1ノック棒10A の正面図、側面図、背面図及び底面図である。第1ノック棒10A の両側の側面には、図10に示すように、その後端近傍において側方へ突出する被案内突条11が設けられている。
これらの被案内突条11は、ガイドレール33に設けられた前述の案内溝33B に案内されるものであって、後軸5の軸方向に延びているとともに、厚さが案内溝33B の幅に対応している。
第1ノック棒10A には、後軸5の後端内面5Dに対向する後端面12と、ガイドスリット32から外部に露出する露出側面13とが設けられている。
第1ノック棒10A の先端には、図10(B)における下方の面から下方へ突出する接続部14が設けられている。第1ノック棒10A は、この接続部14の先端面でリフィル尾栓2Bの後端に接続されるようになっている。
露出側面13の先端近傍には、第1ノック棒10A を第2ノック棒10B と識別するための識別溝13A が設けられている。
第1ノック棒10A の後端には、露出側面13を図10中の上方へ膨出させる指掛かり部15が設けられている。この指掛かり部15は、使用者が軸筒3の前方に向かって第1ノック棒10A を容易に摺動できるように、使用者の指を係止させるものである。
また、第1ノック棒10A の後端には、図10(B)における下方の面から下方へ突出する係合部16が設けられている。
第1ノック棒10A の係合部16は、図10(D)に示すように、後述する回転カム40の傾斜面41A に対応するために、図10(D)中、左斜め下方を向いた傾斜面16A を有するものとなっている。
第1ノック棒10A の後端面12には、図10(B)の如く、後軸5の後端内面5Dに向かって突出する当接突起部17が設けられている。
また、第1ノック棒10A の後端面12には、露出側面13を後方へ延長する表面突起部18が当接突起部17と離間して設けられている。
図11(A)〜(D)は、第2ノック棒10B の正面図、側面図、背面図及び底面図である。第2ノック棒10A は、図11に示すように、第1ノック棒10A と同様の被案内突条11、後端面12、露出側面13、接続部14、指掛かり部15、係合部16、当接突起部17及び表面突起部18を備えたものとなっている。
第2ノック棒10A における第1ノック棒10A との相違点は、次の2点である。
(1)第2ノック棒10A には、識別溝13A が設けられていない点。
(2)第2ノック棒10B の係合部16は、後述する回転カム40の傾斜面41B に対応するために、第1ノック棒10A と異なり、図11(D)中、左斜め上方を向いた傾斜面16B を有している点。
以上のようなノック棒10は、ガイドスリット32の長手方向に沿って後方へ摺動されると、図12に示すように、当接突起部17の後端が後端内面5Dに当接する位置まで摺動可能とされている。このように、当接突起部17が後端内面5Dに当接した状態では、露出側面13とガイドスリット32の後端縁 との間に、図12の如く、隙間Gが形成されるようになっている。
ここで、表面突起部18は、その後端が当接突起部17の後端よりも後方に延び、且つ、当接突起部17の後端が後端内面5Dに当接する位置までノック棒10が後方へ摺動されると、当該表面突起部18の後端とガイドスリット32の後端縁との間に隙間Gが形成されている。
さらに、後軸5の後端内面5Dには、径方向における外側の周縁からノック棒10へ向かって突出する立ち上がり部5Eが設けられている。
立ち上がり部5Eは、ノック棒10側の当接突起部17が後端内面5Dに当接する位置にノック棒10が配置されている状態で、当接突起部17及び表面突起部18の間に挟まれるように形成されている。
図2に戻って、後軸5の内部には、図2に示すように、当該後軸5の内部で回転可能、且つ、軸方向に沿って往復動可能に配置された回転カム40が設けられている。
すなわち、カム軸支シャフト31の先端部分には、尾栓保持部22の突起部27を内部に嵌合させる嵌合凹部31A が設けられている。
後軸5の後端内面5Dの中央部分には、カム軸支シャフト31の後端側を支持する軸受孔5Fが設けられている。
回転カム40には、後軸5の軸方向に沿って回転カム40を貫通するシャフト挿通孔42が設けられている。
カム軸支シャフト31は、先端部分の嵌合凹部31A がスペーサ20側の突起部27と嵌合することで、先端部分がスペーサ20に支持され、後端部分が後軸5側の軸受孔5Fに挿通されて後軸5に支持されている。
このようなカム軸支シャフト31は、その中間部分が回転カム40のシャフト挿通孔42に挿通され、回転カム40を回転自在に支持している。
カム軸支シャフト31の先端近傍部分の周囲には、後軸5の後端に向かって回転カム40を付勢するカム用付勢手段としてのコイルスプリング43が巻回されている。
図13は、回転カム40の斜視図であり、図14(A)〜(C)は、回転カム40の正面図、側面図及び背面図である。
回転カム40は、図13及び図14に示すように、円筒状の本体40A の外周面から径方向外側へ突出する3つの凸部44が形成されたものである。これらの凸部44は、回転カム40の本体40A の外周面において、その周方向に並設されている。
ここで、3つ凸部44のうち、図14(C)における右方に位置している凸部44は、第1ノック棒10A に対応した第1凸部44A となっており、図14(C)における上方及び左方に位置している残りの凸部44は、第2ノック棒10B に対応した第2凸部44B となっている。
そして、第1凸部44A には、図13の如く、対応するノック棒10である第1ノック棒10A に形成された係合部16の傾斜面16A に対応して傾斜しているとともに、当該傾斜面16A に係合する傾斜面41A が設けられている。
第2凸部44B には、対応するノック棒10である第2ノック棒10B に形成された係合部16の傾斜面16B に対応して傾斜しているとともに、当該傾斜面16B に係合する傾斜面41B が設けられている。
回転カム40の後端面には、図13及び図14(B)の如く、後軸5側の正面カム部39と噛み合う当接部45が設けられている。
換言すると、当接部45は、正面カム部39側の逆V字形の山部39A に対応したV字形の谷部45A と、正面カム部39側のV字形の谷部39B に対応した逆V字形の山部45B とを備えたものとなっている。
また、凸部44の先端には、対応するノック棒10が前方へ前進した際に、図15に示すように、当該ノック棒10の後端部に設けられた係合部16を係止する係止部46が設けられている。
ここにおいて、ノック棒10の後端部に設けられた当接突起部17は、回転カム40に突設された凸部44の係止部46に係合部16が係止されている状態で、係止部46よりも後方へ突出する保護突起となっている。
以上において、回転カム40は、ノック棒10が前方へ前進すると、凸部44に形成された傾斜面41が、ノック棒10の係合部16に押圧され、これにより、回転カム40自身が回転するとともに、後軸5側の正面カム部39に当接部45が案内されて、コイルスプリング43の付勢力に抗して前進するように形成されている。
また、回転カム40は、ノック棒10の係合部16がさらに前進して、凸部44の側方を通り過ぎると、コイルスプリング43の付勢力によって、回転カム40自身が元の軸方向位置まで後退するとともに、正面カム部39に当接部45が案内されて、元の回転角度位置まで反転するようになっている。
さらに、回転カム40は、元の回転角度位置、換言すると、ノック棒10の係合部16を係止可能な位置まで反転し、この結果、図15の如く、係止部46が係合部16を係止するように形成されている。この状態では、ノック棒10に接続されたボールペンリフィル2のボールペンチップ2Aは、先軸4の先端口4Bから外部へ突出するようになっている。
また、この状態において、図15に示されていない他のノック棒10が軸筒3の前方に向かって摺動されると、回転カム40が再度回転して、係止部46による係合部16の係止が解除され、図15に示されているノック棒10に接続されたボールペンリフィル2のボールペンチップ2Aは、コイルスプリング2Cの付勢力によって、先軸4の先端口4Bの内部に没入して元の位置に復帰するように形成されている。
クリップ部8は、図16及び図17に示すように、後軸5の外周面との間でシート状のものを挟持するためのクリップ本体部81と、ボールペン1の装飾を行う部品であるクリップ飾り部82とが組み合わされたものである。
クリップ本体部81は、後軸5の外周面との間でシート状のものを挟持する挟持部81A と、後軸5に固定されるリング状の被固定リング部81B とを備えたものとなっている。
クリップ飾り部82は、透明な合成樹脂で宝石を模した飾り部82A と、後軸5に固定されるリング状の被固定リング部82B とを備えたものとなっている。
ここで、図12に戻って、後軸5の後端部5Gには、図12の如く、後端部5Gから後方へ突出する円筒状の固定部5Hが設けられている。固定部5Hの外周面には、雄ネジ部5Jが形成されている。この雄ネジ部5Jには、内周面に雌ネジが形成された天ネジ管83が螺合するようになっている。
クリップ部8は、被固定リング部81B, 82Bの内部に固定部5Hが挿通され、且つ、被固定リング部81B, 82Bが後軸5の後端部5Gと天ネジ管83との間に挟み込まれた状態で、天ネジ管83を雄ネジ部5Jに螺合することで、後軸5への固定がなされている。
天冠7は、図12の如く、軸筒3の後端部開口、具体的には、固定部5Hの端面5Kに形成された開口5Lを閉鎖する端部部材である。この天冠7は、射出成形で製造されたものであり、図18及び図19に示すように、内部が中空の円錐台状に形成されるとともに、底面が開口されたキャップ状部材である。
天冠7の軸筒3の後方に位置する後端面71には、その中央部分を貫通するとともに、内部に段差面72を有する段付孔73が形成されている。
また、天冠7の外周面には、軸筒3の内部に収納された3本のボールペンリフィル2の位置に対応して、装飾溝74A〜74Cが形成されている。
装飾溝74A〜74Cの内部は、それぞれ対応するボールペンリフィル2の筆記色と同じ色の塗料で塗装されている。なお、装飾溝74A〜74Cの内部に施される塗装の代わりに、装飾溝74A〜74Cの内部に嵌合される装飾部材を作製し、これらの装飾部材を装飾溝74A〜74Cに装着するようにしてもよい。
天冠7の底面開口を囲む端縁部7Aのうち、図18中の上方に位置する部位には、クリップ部8の被固定リング部81B, 82Bとの干渉を回避するために、端縁部75を部分的に切り欠いた「 ]」字形状の逃げ部75A が設けられている。
ここで、天冠7は、射出成形で製造するにあたり、逃げ部75A における「 ]」字の背の中央に開口されたゲート76を有する図示しない金型を利用し、この金型の内部に溶融樹脂を射出することで製造されたものとなっている。
このため、天冠7の外周面におけるゲート76と対向する部分77には、ウェルドマークが形成される。そして、このウェルドマークが形成される部分77には、装飾溝74B が設けられている。
天冠7の装飾溝74A〜74Cの裏側となる内周面には、装飾溝74A〜74Cが形成された部分の肉厚を確保するために、内周面を内側に膨らませた膨出部75B が形成されている。
図12に戻って、天冠7の段付孔73には、図12に示すように、後端部に鍔部78A が形成されたキャップ部材78が挿通されている。このキャップ部材78は、先端部が開口され、その内部にカム軸支シャフト31の後端部31B をきつく嵌合させるものとなっている。
天冠7は、段付孔73に挿通され、且つ、カム軸支シャフト31の後端部31B にきつく嵌合しているキャップ部材78の鍔部78A が、段付孔73の段差面72を係止することで、後軸5の後端への固定がなされている。
(実施形態の効果)
前述のような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、ウェルドマークが形成される部分77に装飾溝74B を設けたので、装飾溝74B の内側面や底部にウェルドマークが形成され、ウェルドマークが目立たなくなり、天冠7にウェルドマークが生じても、ボールペン1の外観品質を確保することができる。
さらに、装飾溝74B の内部を塗装したので、ウェルドマークが生じても、当該ウェルドマークが塗膜に隠蔽され、視認不可能となり、また、新たな色彩を筆記具に加えることもでき、これにより、ボールペン1の外観品質を確保するだけでなく、ボールペン1の外観品質を向上することもできる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲における変形及び改良などをも含むものである。
例えば、前記実施形態では、天冠7を射出成形で製造するにあたり、1箇所のゲート76を有する金型を利用したが、これに限らず、複数箇所のゲート76を有する金型を利用してもよい。例えば、図20に示すように、装飾溝74A 及び装飾溝74C の前方2箇所にゲート76を設けてもよく、このようにしても、ウェルドマークが形成される部分77と、装飾溝74B との位置を一致させることができる。
また、前記実施形態では、装飾溝として、天冠7の外周面に、その周方向に沿って90度間隔に並設されている装飾溝74A〜74Cを採用したが、これに限らず、図21に示すように、天冠7の外周面において、その周方向に沿って120度間隔に並設されている装飾溝74D〜74Fでもよい。
装飾溝として、装飾溝74D〜74Fを採用する場合、図22に示すように、天冠7の底面開口を囲む端面76B における装飾溝74E から等距離となる2箇所にゲート76を設けるのが好ましい。このようにすれば、ウェルドマークが形成される部分77と装飾溝74E との位置を一致させることができる。
さらに、前記実施形態では、ゲートとして、天冠7の底面開口を囲む端面76B から、天冠7の側壁に沿った方向に溶融樹脂を注入するゲート76を採用したが、図22に示すように、天冠7の内周面76Cの端縁近傍の部分から、天冠7の側壁に交差する方向に溶融樹脂を注入するゲート76D を採用してもよい。
また、前記実施形態では、端部部材として、軸筒の後端部開口に装着される天冠7を採用したが、これに限らず、軸筒の先端部開口に装着される端部部材を採用してもよい。
さらに、前記実施形態では、筆記具として、軸筒内部に複数の筆記体が収納された複式筆記具を採用したが、これに限らず、軸筒内部に1つの筆記体が収納された筆記具を採用してもよい。
また、筆記体としては、ボールペンリフィルに限らず、他の種類のリフィルでもよく、例えば、シャープペンシルリフィルでもよい。
1 ボールペン 2 ボールペンリフィル 2A ボールペンチップ
2B リフィル尾栓 2C コイルスプリング 2D 円柱部
2E 鍔部 3 軸筒 4 先軸
4A 先端部 4B 先端口 4C 雌ネジ部
5 後軸 5A 操作部 5B 中子部
5C 雌ネジ部 5D 後端内面 5E 立ち上がり部
5F 軸受孔 5G 後端部 5H 固定部
5J 雄ネジ部 5K 端面 5L 開口
6 中軸 7 天冠 7A 端縁部
8 クリップ部 9 中ネジ管 9A 雄ネジ部
9B 雄ネジ部 10 ノック棒 10A ノック棒
10B ノック棒 11 被案内突条 12 後端面
13 露出側面 13A 識別溝 14 接続部
15 指掛かり部 16 係合部 16A 傾斜面
16B 傾斜面 17 当接突起部 18 表面突起部
20 スペーサ 21 リフィルガイド部 21A 壁部
22 尾栓保持部 23 筒状部 24 リフィル挿通部
25 U字形溝 26 丸孔 27 突起部
28 尾栓挿通孔 31 カム軸支シャフト 31A 嵌合凹部
31B 後端部 32 ガイドスリット 32A ガイドスリット
32B ガイドスリット 33 ガイドレール 33A 内縁
33B 案内溝 34 当部位 34 部位
35 リブ 36 リブ先端側部 36A 内縁
37 リブ後端側部 37A 内縁 38 段差部
39 正面カム部 39A 山部 39B 谷部
40 回転カム 40A 本体 41 傾斜面
41A 傾斜面 41B 傾斜面 42 シャフト挿通孔
43 コイルスプリング 44 凸部 44A 凸部
44B 凸部 45 当接部 45A 谷部
45B 山部 46 係止部 71 後端面
72 段差面 73 段付孔 74A 装飾溝
74B 装飾溝 74C 装飾溝 74D 装飾溝
74E 装飾溝 74F 装飾溝 75 端縁部
75A 逃げ部 75B 膨出部 76 ゲート
76B 端面 76C 内周面 76D ゲート
77 部分 78 キャップ部材 78A 鍔部
81 クリップ本体部 81A 挟持部 81B 被固定リング部
82 クリップ飾り部 82A 飾り部 82B 被固定リング部
83 天ネジ管 G 隙間

Claims (3)

  1. 筆記体を収納する軸筒と、
    この軸筒の端部開口に装着される端部部材と、
    を備えた筆記具であって、
    前記端部部材は、射出成形で製造されたものであり、且つ、該端部部材の外周面において該筆記具の長手方向に沿ってウェルドマークが形成される部分に該長手方向に沿った装飾溝が設けられているとともに、
    前記端部部材の内周面には、前記装飾溝が形成された部分を内側に膨らませた膨出部が形成されていることを特徴とする筆記具。
  2. 筆記体を収納する軸筒と、
    この軸筒の端部開口に装着される端部部材と、
    を備えた筆記具であって、
    前記端部部材は、射出成形で製造されたものであり、且つ、該端部部材の外周面において該筆記具の長手方向に沿ってウェルドマークが形成される部分に該長手方向に沿った装飾溝が設けられているとともに、
    前記筆記体として各々が所定の筆記色を有する複数本のボールペンリフィルが前記軸筒に収納され、
    前記装飾溝が前記端部部材の周方向に沿って複数形成されるとともに、前記装飾溝の内部がそれぞれ対応する前記ボールペンリフィルの筆記色と同じ色に塗装されていることを特徴とする筆記具。
  3. 筆記体を収納する軸筒と、
    この軸筒の端部開口に装着される端部部材と、
    を備えた筆記具であって、
    前記端部部材は、射出成形で製造されたものであり、且つ、該端部部材の外周面において該筆記具の長手方向に沿ってウェルドマークが形成される部分に該長手方向に沿った装飾溝が設けられているとともに、
    前記端部部材には、端縁部を部分的に切り欠いた「]」字形状の逃げ部が設けられていることを特徴とする筆記具。
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