JP6310053B2 - ラップフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、バランスの取れた特性を有し取扱い性に優れるラップフィルムに関する。
従来より、一般家庭やレストラン等において、食材や料理等の食品を、例えば冷蔵庫や冷凍庫内で保存する場合、または、電子レンジで加熱する場合などに樹脂製のラップフィルムが使用されている。食品包装用のラップフィルムとしては、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリスチレン系樹脂(スチレン・ブタジエンブロック共重合体等の熱可塑性エラストマーなど)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂(ナイロン)、またはエチレン・酢酸ビニル共重合体等の樹脂を主成分とする樹脂フィルムが主として用いられている。これらの樹脂フィルムとしては、未延伸フィルム、一軸延伸フィルムまたは二軸延伸フィルムがあり、また、積層フィルムもあって、これらが用途に応じて適宜選択されている。
これらのラップフィルムのうち、ポリ塩化ビニリデン系樹脂から形成されるラップフィルムは、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性(防湿性)及び透明性に優れ、更に電子レンジ加熱が可能であることから、鮮魚、生肉、加工肉、新鮮野菜、惣菜類等の包装に、酸素遮断、防湿等の目的で広く利用されている。
ラップフィルムを形成するポリ塩化ビニリデン系樹脂としては、フィルムの押出加工性、結晶性、透明性、軟化温度等の観点から、通常、塩化ビニリデンと、塩化ビニルなど塩化ビニリデンと共重合可能な他の単量体(以下、「共単量体」ということがある。)とを共重合させて得られる塩化ビニリデン共重合体が使用されている。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂から形成されるラップフィルムは、通常、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を、溶融押出し、次いで延伸を行うことにより製造され、紙管に巻き取られ化粧箱(カートン)中で保管される。ポリ塩化ビニリデン系樹脂に、可塑剤、安定剤、粘着付与剤等の各種添加剤を含有させることによって、押出加工性やフィルム特性を改善することが行われている。
ラップフィルムは、食品を、多くは食器に入れて密閉状態で保存するために使用されるものであるので、ラップフィルム同士または食器との高い密着性が求められる。しかし、ラップフィルムの食器との密着性が高すぎると、剥離性が低下して、食器からラップフィルムを剥がしにくくなることがあり、また、ラップフィルム同士の密着性が高すぎると、カートンからラップフィルムを引き出しにくくなることがある。他方、ラップフィルムの食器との剥離性が高すぎれば、密着性が低下して、食品を食器内で密閉状態で保存することができなくなることがある。したがって、ラップフィルムには、適度の密着性と剥離性とが求められ、密着性または剥離性の一方または両方が劣るラップフィルムは、取扱い性に問題があるものであるといえる。
また、ラップフィルムの摩擦力が大きすぎると、カートンからラップフィルムを引き出しにくいことがある(静摩擦力の影響)が、加えて、ラップフィルムが手にまとわりついて不快感を覚えたり、ラップフィルム同士が引っかかったりして、取扱い性が悪くなるとともに、食器に食品を盛ってオーバーラップしようとする際、ラップフィルムが、強い摩擦により食器に引っかかり、場合によっては食器が倒れることもある(動摩擦力の影響)。したがって、ラップフィルムには低摩擦性が求められる。
さらに、ラップフィルムは、通常、カートンから引き出され、カートン刃を使用して必要な長さにカットして使用されるものである。カートン刃等により、ラップフィルムをカットする際に、ラップフィルムがハリ・コシがなく、柔らかくて伸びやすいものであると、カット性が悪いと感じられ、また、カット線が直線状でなくなることもある。したがって、ラップフィルムには、快いカット性が求められ、そのため所定のハリ・コシが求められる。
ラップフィルムに求められる上記の諸特性を改良するために、種々の試みがされており、例えば特許文献1〜3に開示される改良がなされているが、所望される低摩擦性、密着性、剥離性及び所定のハリ・コシを併せて有するラップフィルムは見いだされていなかった。
特開平10−324809号公報 国際公開第99/45064号(EP1061099A1対応) 特開2004−202752号公報
本発明の課題は、低摩擦性、密着性、剥離性及び所定のハリ・コシを併せて有するラップフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決することについて鋭意研究した結果、特有の動摩擦力、特定範囲の面剥離強度、及び特有の弾性からなる特定のフィルム特性を有するラップフィルムであることによって、課題を解決することができることを見いだし、本発明を完成させた。
すなわち、本発明によれば、動摩擦係数が1.4以下、面剥離強度が7〜20N/25cm、かつ、突き刺しヤング率が17kPa以上であることを特徴とするラップフィルムが提供される。
また、本発明によれば、実施の態様として、以下(1)〜(4)のラップフィルムが提供される。
(1)ポリ塩化ビニリデン系樹脂から形成される前記のラップフィルム。
(2)ポリ塩化ビニリデン系樹脂が、塩化ビニリデン60〜99質量%と塩化ビニリデンと共重合可能な他の単量体40〜1質量%(塩化ビニリデンと該他の単量体との合計を100質量%とする。)とから形成される塩化ビニリデン共重合体である前記のラップフィルム。
(3)ポリ塩化ビニリデン系樹脂が、塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体である前記のラップフィルム。
(4)ポリ塩化ビニリデン系樹脂は、分子量150,000以上である分子鎖の割合が21質量%未満である前記のラップフィルム。
本発明によれば、動摩擦係数が1.4以下、面剥離強度が7〜20N/25cm、かつ、突き刺しヤング率が17kPa以上であることを特徴とするラップフィルムであることによって、低摩擦性、密着性、剥離性及び所定のハリ・コシを併せて有するラップフィルムが提供されるという効果が奏される。
I.ラップフィルム
1.樹脂材料
本発明のラップフィルムを形成する樹脂としては、従来、一般家庭やレストラン等において、食品の保存や電子レンジ加熱をするために使用されているラップフィルムを形成する樹脂を使用することができる。具体的には、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリスチレン系樹脂(スチレン・ブタジエンブロック共重合体等の熱可塑性エラストマーなど)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂(ナイロン)、またはエチレン・酢酸ビニル共重合体等の樹脂が挙げられる。酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性(防湿性)及び透明性に優れ、更に電子レンジ加熱が可能であることから、ポリ塩化ビニリデン系樹脂が、好ましく使用される。
2.ポリ塩化ビニリデン系樹脂
本発明のラップフィルムを形成する樹脂として好ましく使用されるポリ塩化ビニリデン系樹脂としては、従来、ラップフィルムを形成するために使用されてきたポリ塩化ビニリデン系樹脂を使用することができる。具体的には、押出加工性やフィルム特性のバランスの観点から、塩化ビニリデンと塩化ビニリデンと共重合可能な他の単量体(共単量体)とから形成される塩化ビニリデン共重合体が好ましく使用される。
〔共単量体〕
塩化ビニリデン共重合体を形成する塩化ビニリデンと共重合可能な他の単量体(共単量体)としては、例えば、塩化ビニル; アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリルまたはアクリル酸ステアリル等のアクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜18);メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリルまたはメタクリル酸ステアリル等のメタクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜18);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;スチレン等の芳香族ビニル;酢酸ビニル等の炭素数1〜18の脂肪族カルボン酸のビニルエステル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル(アルキル基の炭素数1〜18);アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のビニル重合性不飽和カルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のビニル重合性不飽和ポリカルボン酸のアルキルエステル(部分エステルであってもよい。アルキル基の炭素数1〜18);などのほかに、ジエン系単量体、官能基含有単量体、多官能性単量体などを挙げることができる。これらの共単量体は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
塩化ビニリデン共重合体における塩化ビニリデンと共単量体との割合は、塩化ビニリデン共重合体の製造の観点、押出加工性やフィルム特性のバランスの観点などを考慮して適宜設定することができるが、好ましくは塩化ビニリデン60〜99質量%及び共単量体40〜1質量%(塩化ビニリデンと共単量体との合計を100質量%とする。)から形成される塩化ビニリデン共重合体であり、より好ましくは塩化ビニリデン70〜95質量%及び共単量体30〜5質量%、更に好ましくは塩化ビニリデン75〜92質量%及び共単量体25〜8質量%から形成される塩化ビニリデン共重合体である。
また、塩化ビニリデン共重合体を形成する共単量体の中でも、塩化ビニル、アクリル酸メチル、またはアクリル酸ブチルが好ましい。特に好ましい共単量体は、塩化ビニルであり、したがって、特に好ましいポリ塩化ビニリデン系樹脂は、塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体である。
〔分子量等〕
ラップフィルムを形成する樹脂として好ましく使用されるポリ塩化ビニリデン系樹脂は、重合体の製造の観点、押出加工性やフィルム特性のバランスの観点から、重量平均分子量が、通常30,000〜300,000、多くの場合50,000〜200,000、所望により70,000〜150,000の範囲のものを使用することができる。さらに、本発明のラップフィルムにおける低摩擦性、密着性、剥離性及び所定のハリ・コシのバランスの観点から、ポリ塩化ビニリデン系樹脂としては、分子量150,000以上である分子鎖の割合が、すべての分子鎖の合計の質量に対して、21質量%未満であるポリ塩化ビニリデン系樹脂が望ましく、より望ましくは20質量%未満、更に望ましくは19質量%未満である。分子量150,000以上である分子鎖の割合は、下限値が特にないが、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量を適度な範囲内のものとする観点から、すべての分子鎖の合計の質量に対して、通常5質量%以上、多くの場合10質量%以上である。ポリ塩化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量及び分子量150,000以上である分子鎖の割合は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定するものである。
3.樹脂の調製
ラップフィルムを形成する樹脂の調製は、それぞれ常法によって行うことができる。
〔ポリ塩化ビニリデン系樹脂の調製〕
例えば、ラップフィルムを形成する樹脂として好ましく使用されるポリ塩化ビニリデン系樹脂、より好ましくは塩化ビニリデン60〜99質量%と共単量体40〜1質量%(塩化ビニリデンと共単量体との合計を100質量%とする。)とから形成される塩化ビニリデン共重合体は、塩化ビニリデンと共単量体との所定量を、通常、懸濁重合または乳化重合して調製することができる。懸濁重合法は、懸濁剤を含有する水性媒体中において、機械的撹拌により塩化ビニリデンと共単量体との混合分散油滴を形成した状態で、重合開始剤により重合を行う方法である。乳化重合法は、乳化剤(界面活性剤)と水溶性重合開始剤を使用して、水性媒体中の界面活性剤ミセル中で塩化ビニリデンと共単量体との重合を行う方法である。一般に、乳化重合法で製造されたポリ塩化ビニリデン系樹脂は、乳化剤(界面活性剤)の残存により樹脂の熱劣化を生じやすい。本発明のラップフィルムは、後に説明するように通常溶融押出成形によって製造されるので、懸濁剤を使用する懸濁重合法でポリ塩化ビニリデン系樹脂、例えば塩化ビニリデン共重合体を製造することが好ましい。懸濁剤や乳化剤の種類、使用量及び添加時期や、重合条件(温度、圧力等)などについては、通常採用されるものを採用することができる。
また、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の調製に際しては、重合を開始させるための重合開始剤を始めとして、通常、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の調製に当たって使用される種々の他の添加剤を含有させることができる。すなわち、得られるポリ塩化ビニリデン系樹脂の押出加工性を改善したり、ポリ塩化ビニリデン系樹脂から形成されるラップフィルムの諸特性を目的に応じてバランスよく改良したりするために、例えば、可塑剤、安定剤、抗酸化剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、フィラー(充填剤)、顔料などが挙げられ、用途に応じて、最適の組み合わせが選択される。他の添加剤としては、有機物質(他の重合体でもよい。)または無機物質のいずれも使用することができる。これら他の添加剤の種類、使用量及び添加時期については、通常採用されるものを採用することができる。
4.ラップフィルムの形成
本発明のラップフィルムは、従来、ラップフィルムを形成するために使用されていた樹脂を含有する樹脂組成物から形成することができる。例えば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂と、必要に応じて含有させる他の添加剤及び/または後に説明する他の重合体を含有するポリ塩化ビニリデン系樹脂の組成物(以下、「ポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物」ということがある。)から形成することができる。
〔ポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物〕
ラップフィルムを形成する樹脂として好ましく使用されるポリ塩化ビニリデン系樹脂を含有するポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物としては、ポリ塩化ビニリデン系樹脂から形成されるラップフィルム、すなわち、ポリ塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの諸特性を目的に応じてバランスよく改良するなどの目的で、例えば、可塑剤、安定剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、抗菌剤、フィラー(充填剤)、顔料などを、先に説明したようにして調製されるポリ塩化ビニリデン系樹脂に含有させて樹脂組成物とすることができる。より具体的には、懸濁重合によって調製されたポリ塩化ビニリデン系樹脂には、重合反応時に添加された安定剤、可塑剤その他の種々の成分が残存し、含有されているので、求めるポリ塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの諸特性に応じて、重合反応時に添加された種々の成分を更に追加して、または、重合反応時に添加されていない種々の成分を新たに、ポリ塩化ビニリデン系樹脂に配合して、所望の組成を有するポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物とすることができる。ポリ塩化ビニリデン系樹脂に配合される成分の量は、成分の種類及び求めるポリ塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの諸特性に応じて、適宜定めることができる。
〔他の重合体〕
本発明のラップフィルムを形成する樹脂組成物には、所望により、樹脂成分として、ラップフィルムを形成する樹脂(主たる樹脂成分)のほかに、更に他の重合体を含有することができる。例えば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムを形成するポリ塩化ビニリデン系樹脂の組成物には、所望により、樹脂成分として、ポリ塩化ビニリデン系樹脂のほかに、他の重合体を含有することができる。これにより、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の押出加工性を改善したり、該ポリ塩化ビニリデン系樹脂から形成されるポリ塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの諸特性を目的に応じてバランスよく改良したりすることができる。ポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物に含有される他の重合体としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンとアクリル酸、メタクリル酸またはそれらのアルキルエステルとの共重合体、または、MBS樹脂(メタクリル酸メチル・ブタジエン・スチレン共重合体)などが挙げられる。これら他の重合体を含有させる場合のその含有量は、特に限定されないが、ポリ塩化ビニリデン系樹脂100質量部に対して、通常0.1〜20質量部であり、多くの場合1〜15質量部である。ポリ塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム以外のラップフィルムにおいて、含有される他の重合体の種類や含有量は、同様にして適宜選定することができる。
〔ラップフィルムの厚み〕
本発明のラップフィルムの厚みは、特に限定されないが、通常1〜50μm、好ましくは4〜45μm、より好ましくは7〜40μmの範囲である。厚みが大きすぎると、カット性が不十分となったり、フィルムの手触り感が劣ったりすることがある。厚みが小さすぎると、フィルムが破れやすくなることがある。
II.ラップフィルムのフィルム特性及び官能評価
1.ラップフィルムのフィルム特性
本発明のラップフィルムは、動摩擦係数が1.4以下、面剥離強度が7〜20N/25cm、かつ、突き刺しヤング率が17kPa以上である、特有のフィルム特性を有することを特徴とする。これらのフィルム特性の趣旨及び測定方法は、以下のとおりである。
〔動摩擦係数〕
本発明のラップフィルムは、触覚接触子を使用して測定する動摩擦係数が1.4以下であることによって、低摩擦性で優れた感触を有することができる。すなわち、本発明のラップフィルムの動摩擦係数は、触覚接触子を使用して測定する動摩擦係数である。触覚接触子とは、幾何学的指紋パターンを模し、指先相当の硬度を有する接触子であって、ラップフィルムを取り扱うヒト指腹部構造の触感に相応する摩擦感が得られるので、本発明のラップフィルムにおいて、動摩擦係数を測定するのに好適であることが見いだされた。
本発明のラップフィルムは、上記の動摩擦係数を有することにより、ラップフィルムを手で触っても、ラップフィルムがまとわりつく感触がなく、取扱い感が優れている。動摩擦係数が大きすぎると、ラップフィルムがまとわりつく不快感を感じることがある。ラップフィルムの動摩擦係数は、下限値が特にないが、ツルツル感やテカリが生じる懸念があることから、通常0.02以上、多くの場合0.05以上であることが好ましい。
触覚接触子を使用して測定する動摩擦係数の測定方法は、以下のとおりである。すなわち、ラップフィルムを皺が入らないよう緊張状態で摩擦測定機のテーブル表面に固定し、触覚接触子を荷重20g重で、ラップフィルム表面を200mm/分で移動させて、ラップフィルムと触覚接触子との摩擦力を測定し、動摩擦係数を算出する。測定は23℃、50%RHの雰囲気中で行い、試験回数5回の平均値とする。
〔密着力〕
本発明のラップフィルムは、密着力の指標である面剥離強度が7〜20N/25cmの範囲であることによって、適度な密着性と剥離性を有することができる。面剥離強度が小さすぎると、密着性が不足する場合があり、面剥離強度が大きすぎると、剥離性が悪化する場合がある。ラップフィルムの面剥離強度は、好ましくは8〜18N/25cm、より好ましくは9〜15N/25cmの範囲である。
ラップフィルムの面剥離強度は、以下の方法によって測定して評価する。すなわち、底面積25cm、質量300gのアルミニウム製の円柱状の治具2本のそれぞれの底面に、ラップフィルムを、皺が入らないように緊張させながら固定する。次に、ラップフィルム面が相互にぴったり重なり合うように、2本の円柱状の治具を鉛直方向に重ね合わせ、1分間圧着する。続いて、株式会社オリエンテック製の引張圧縮試験機テンシロンRTC−1210Aを使用して、100mm/分の速度でラップフィルム面に垂直の方向に引き離すときに生じる最大応力(単位:N)をラップフィルムの面剥離強度とする。測定は23℃、50%RHの雰囲気中で行い、試験回数5回の平均値とする。
〔突き刺しヤング率〕
本発明のラップフィルムは、突き刺しヤング率が17kPa以上であることによって、ハリ・コシを有するものとなり、快いカット性を有することができる。すなわち、突き刺しヤング率が小さすぎると、例えばカートンに入れたラップフィルムを引き出してカートン刃で切断するときに、カットの感触が頼りないものであったり、ラップフィルムに伸びが発生してまっすぐに切断できなかったりすることがある。ラップフィルムの突き刺しヤング率は、より快いカット性の観点から、18kPa以上が好ましく、19kPa以上がより好ましい。ラップフィルムの突き刺しヤング率は、上限値が特にないが、ヤング率が高すぎると、カットに要する力も高くなるため、ラップフィルムをカットし難く感じる場合があることから、通常40kPa以下、多くの場合35kPa以下、ほとんどの場合30kPa以下である。
ラップフィルムの突き刺しヤング率は、以下の方法によって測定する。すなわち、引張圧縮試験機を使用して、径43mmのリングにラップフィルムを固定し(ラップフィルムの面積14.5cm)、JIS Z1707に規定される直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を50mm±5mm/分の速度で押し付け、このときに得られる応力曲線から、ヤング率を算出して、ラップフィルムの突き刺しヤング率(単位:kPa)とする。測定は23℃、50%RHの雰囲気中で行い、試験回数5回の平均値とする。
2.ラップフィルムの官能評価
本発明のラップフィルムは、先に説明したフィルム特性を併せ有するものであることによって、いずれも官能評価に属するまとわりつき感、密着性、剥離性及びカット性を測定し評価することによって、ラップフィルムにおける効果を確認することができる。
〔まとわりつき感〕
ラップフィルムのまとわりつき感に関する官能評価は、以下の方法によって実施して評価する。すなわち、熟練した評価者10名(男女を含む。)が、長さ及び幅30cmの大きさに切り出したラップフィルムを手で触って、ラップフィルムがまとわりつく感触の有無及び度合いと、取扱い性の良否に基づいて、1点〜10点の1点刻み(1点が全くまとわりつき感がなく、最も優れるとし、10点がまとわりつき感があり、最も不良とする。)で、各々評価する。評価者10名の平均点に基づき、以下の評価基準により、ラップフィルムのまとわりつき感の評価とする。まとわりつき感の評価が、「◎」であれば、ラップフィルムのまとわりつき感が全く感じられず、取り扱いが極めて容易であるといえる。評価が「○」であれば、ラップフィルムがまとわりつく感じが少しあるが、取り扱いが容易であるといえる。評価が「×」であれば、ラップフィルムがまとわりつく不快感があり、取り扱いに問題があるといえる。
<評価基準>
◎: 3.0点以下
○: 3.0点超過8.0点未満
×: 8.0点以上
〔密着性〕
ラップフィルムの密着性に関する官能評価は、以下の方法によって実施して評価する。すなわち、熟練した評価者10名(男女を含む。)が、長さ及び幅30cmの大きさに切り出したラップフィルムを使用して、開口部の直径11cmの磁器の開口部を覆う際に感じる密着性について、1点〜10点の1点刻み(10点が最も優れた密着性であり、1点が最も密着性不良であるとする。)で、各々評価する。評価者10名の平均点に基づき、以下の評価基準により、ラップフィルムの密着性の評価とする。密着性の評価が、「◎」であれば、ラップフィルムは密着性が優れ、取り扱いが極めて容易であるといえる。評価が「○」であれば、ラップフィルムは密着性が良好であり、取り扱いが容易であるといえる。評価が「×」であれば、ラップフィルムは密着性が劣り、取り扱いに問題があるといえる。
<評価基準>
◎: 8.0点以上
○: 3.0点超過8.0点未満
×: 3.0点以下
〔剥離性〕
ラップフィルムの剥離性に関する官能評価は、以下の方法によって実施して評価する。すなわち、熟練した評価者10名(男女を含む。)が、長さ及び幅30cmの大きさに切り出したラップフィルムを使用して、開口部の直径11cmの磁器の開口部を覆うように密着させた後に、ラップフィルムを磁器の開口部から剥がす際に感じる剥離性について、1点〜10点の1点刻み(10点が最も優れた剥離性であり、1点が最も剥離性不良であるとする。)で、各々評価する。評価者10名の平均点に基づき、以下の評価基準により、ラップフィルムの剥離性の評価とする。剥離性の評価が、「◎」であれば、ラップフィルムは剥離性が優れるといえる。評価が「○」であれば、ラップフィルムは剥離性が良好であるといえる。評価が「×」であれば、ラップフィルムは剥離性が劣り、取り扱いに問題があるといえる。
<評価基準>
◎: 8.0点以上
○: 3.0点超過8.0点未満
×: 3.0点以下
〔カット性〕
ラップフィルムのカット性に関する官能評価は、以下の方法によって実施して評価する。すなわち、熟練した評価者10名(男女を含む。)が、株式会社クレハ製のカートンに収納したラップフィルムを手で引き出してカートン刃で切断する際のカット性(フィルムが伸びることなく、軽い力でまっすぐに切断できるか否か)について、1点〜10点の1点刻み(10点が最も優れたカット性であり、1点が最もカット性不良とした。)で、各々評価する。評価者10名の平均点に基づき、以下の評価基準により、ラップフィルムのカット性の評価とする。カット性の評価が、「◎」であれば、ラップフィルムは快いカット性がありカット性が優れるといえる。評価が「○」であれば、ラップフィルムはカット性が良好であるといえる。評価が「×」であれば、ラップフィルムはカット性が劣り、取り扱いに問題があるといえる。
<評価基準>
◎: 8.0点以上
○: 3.0点超過8.0点未満
×: 3.0点以下
III.ラップフィルムの製造方法
本発明のラップフィルムは、それ自体公知のラップフィルムの製造方法によって製造することができ、その製造方法は特に限定されない。通常、ラップフィルムを形成する樹脂を含有する樹脂組成物を、溶融押出する工程、及び所望により更に一軸または二軸延伸する工程を含むラップフィルムの製造方法によることができる。より具体的には、ポリ塩化ビニリデン系樹脂などの樹脂と、必要に応じて含有させる他の添加剤及び/または他の重合体とを、ヘンシェル高速ミキサー、羽根ブレンダー、リボンブレンダー等の公知の乾燥混合装置を使用して、通常は常温〜80℃の温度で、場合によっては80℃を超える温度に加熱して、混合する方法、または、押出機の機上ホッパー装置内でスクリューフィーダー等を使用してこれらの原料を混合する方法によって、粉体混合物の原料として押出機に供給したり、あるいは、一旦ペレットに押出加工した原料を押出機に供給したりして、シート状に溶融押出する。溶融押出は、シリンダー内で原料を加熱溶融させ、Tダイまたは環状ダイ(サーキュラーダイ)から押し出して平板状フィルムまたは管状フィルムを得る。管状フィルムは、所望により押出軸方向に切開してシングル厚みまたはダブル厚みの平板状フィルムとしてもよい。
続いて、平板状フィルムまたは管状フィルムを、テンター法、ドラム法、インフレーション法などそれ自体公知の延伸方法によって一軸または二軸延伸することによって、ポリ塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム等のラップフィルムを得ることができる。延伸方法は、特に限定されるものではないが、インフレーション法が好ましい。なお、管状フィルムは、延伸後、所望により押出軸方向に切開してシングル厚みまたはダブル厚みの平板状フィルムとしてもよい。延伸倍率は、適宜定めることができ特に限定されないが、縦方向(「MD」ということがある。)及び横方法(「TD」ということがある。)共にそれぞれ、通常2〜6倍、好ましくは2.5〜5.5倍である。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を更に説明するが、本発明は、本実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例における樹脂原料及びラップフィルムの特性または物性の測定方法は、以下のとおりである。
〔フィルム厚み〕
ラップフィルムの厚みは、株式会社テクロック製の0.001mm目盛のダイヤルゲージを使用して測定した。
〔重量平均分子量及び分子量150,000以上である分子鎖の割合〕
ラップフィルムを形成する重合体の重量平均分子量及び分子量150,000以上である分子鎖の割合は、以下の方法によりゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって行った。すなわち、昭和電工株式会社製のShodex GPC−104を使用して、カラムとして昭和電工株式会社製のLF−404を使用して測定した。分子量は分子量既知の単分散ポリスチレンを標準物質として用いて算出するものとし、得られた分子量分布から、重量平均分子量及び分子量150,000以上である分子鎖の割合を計算した。
ラップフィルムがポリ塩化ビニリデン系樹脂から形成されるものである場合は、ラップフィルム5gを温度50℃のテトラヒドロフラン300mlに溶解させて、メタノールでポリ塩化ビニリデン系樹脂を析出させ、洗浄、乾燥した。得られたポリ塩化ビニリデン系樹脂7.5mgを温度50℃のテトラヒドロフラン300mlに溶解させた後、室温に冷却後、0.2μmのフィルターでろ過したろ液を液体クロマトグラムに注入して、測定を行った。
〔塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体における塩化ビニリデン:塩化ビニルの割合〕
ポリ塩化ビニリデン系樹脂が、塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体である場合の該共重合体における塩化ビニリデン:塩化ビニルの割合は、NMRによって測定し質量割合を算出した。すなわち、高分解能プロトン核磁気共鳴装置(株式会社JEOL RESONANCE製「FT−NMR JNM−EX270」)を使用して、重水素化テトラヒドロフラン(THF)に塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体を5質量%溶解した溶液について測定を行い、テトラメチルシランを基準とした化学シフトを横軸としたスペクトルを得て、塩化ビニリデン:塩化ビニルの質量割合を算出した。
〔動摩擦係数〕
ラップフィルムの動摩擦係数は、触覚接触子を使用して測定する動摩擦係数とし、以下の方法によって測定した。すなわち、株式会社トリニティラボ製の静動摩擦測定機であるハンディトライボマスターTL201Tsを使用し、接触子として触覚接触子を使用した。測定は、ラップフィルムを皺が入らないよう緊張状態で摩擦測定機のステンレス製テーブルの表面に固定し、触覚接触子を荷重20g重で、ラップフィルム表面を200mm/分で移動させて、ラップフィルムと触覚接触子との摩擦力を測定し、動摩擦係数を算出した。測定は23℃、50%RHの雰囲気中で行い、試験回数5回の平均値とした。なお、ラップフィルムとしては、製造後常温下で1月以上養生したものを使用した(以下、同様である。)。
〔密着力〕
ラップフィルムの密着力は、以下の方法によって面剥離強度を測定して評価した。すなわち、底面積25cm、質量300gのアルミニウム製の円柱状の治具2本のそれぞれの底面に、ラップフィルムを、皺が入らないように緊張させながら固定した。次に、ラップフィルム面が相互にぴったり重なり合うように、2本の円柱状の治具を鉛直方向に重ね合わせ、1分間圧着した。続いて、株式会社オリエンテック製の引張圧縮試験機テンシロンRTC−1210Aを使用して、100mm/分の速度でラップフィルム面に垂直の方向に引き離すときに生じる最大応力(単位:N)をラップフィルムの面剥離強度とした。測定は23℃、50%RHの雰囲気中で行い、試験回数5回の平均値とした。
〔突き刺しヤング率〕
ラップフィルムの突き刺しヤング率は、以下の方法によって測定した。すなわち、株式会社オリエンテック製の引張圧縮試験機テンシロンRTC−1210Aを使用して、径43mmのリングにラップフィルムを固定し(ラップフィルムの面積14.5cm)、JIS Z1707に規定される直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を50mm±5mm/分の速度で押し付け、このときに得られる応力曲線から、ヤング率を算出して、ラップフィルムの突き刺しヤング率(単位:kPa)とした。測定は23℃、50%RHの雰囲気中で行い、試験回数5回の平均値とした。
〔まとわりつき感〕
ラップフィルムのまとわりつき感に関する官能評価は、以下の方法によって実施して評価した。すなわち、熟練した評価者10名(男女を含む。)が、長さ及び幅30cmの大きさに切り出したラップフィルムを手で触って、ラップフィルムがまとわりつく感触の有無及び度合いと、取扱い性の良否に基づいて、1点〜10点の1点刻み(1点が全くまとわりつき感がなく、最も優れるとし、10点がまとわりつき感があり、最も不良とした。)で、各々評価した。評価者10名の平均点に基づき、以下の評価基準により、ラップフィルムのまとわりつき感の評価とした。
<評価基準>
◎: 3.0点以下
○: 3.0点超過8.0点未満
×: 8.0点以上
〔密着性〕
ラップフィルムの密着性に関する官能評価は、以下の方法によって実施して評価した。すなわち、熟練した評価者10名(男女を含む。)が、長さ及び幅30cmの大きさに切り出したラップフィルムを使用して、開口部の直径11cmの磁器の開口部を覆う際に感じる密着性について、1点〜10点の1点刻み(10点が最も優れた密着性であり、1点が最も密着性不良であるとした。)で、各々評価した。評価者10名の平均点に基づき、以下の評価基準により、ラップフィルムの密着性の評価とした。
<評価基準>
◎: 8.0点以上
○: 3.0点超過8.0点未満
×: 3.0点以下
〔剥離性〕
ラップフィルムの剥離性に関する官能評価は、以下の方法によって実施して評価した。すなわち、熟練した評価者10名(男女を含む。)が、長さ及び幅30cmの大きさに切り出したラップフィルムを使用して、開口部の直径11cmの磁器の開口部を覆うように密着させた後に、ラップフィルムを磁器の開口部から剥がす際に感じる剥離性について、1点〜10点の1点刻み(10点が最も良好であり、1点が最も不良とした。)で、各々評価した。評価者10名の平均点に基づき、以下の評価基準により、ラップフィルムの剥離性の評価とした。
<評価基準>
◎: 8.0点以上
○: 3.0点超過8.0点未満
×: 3.0点以下
〔カット性〕
ラップフィルムのカット性に関する官能評価は、以下の方法によって実施して評価した。すなわち、熟練した評価者10名(男女を含む。)が、株式会社クレハ製のカートンに収納したラップフィルムを手で引き出してカートン刃で切断する際のカット性(フィルムが伸びることなく、軽い力でまっすぐに切断できるか否か)について、1点〜10点の1点刻み(10点が最も優れたカット性であり、1点が最もカット性不良とした。)で、各々評価した。評価者10名の平均点に基づき、以下の評価基準により、ラップフィルムのカット性の評価とした。
<評価基準>
◎: 8.0点以上
○: 3.0点超過8.0点未満
×: 3.0点以下
[実施例1]
常法に従って調製した塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体を、真空ホッパーを備える径90mmの単軸押出機を使用して、温度180℃で環状に溶融押出し、温度10℃の冷却槽で急冷した後、室温でインフレーション二軸延伸を行って、厚み10μmのラップフィルムを得た。このラップフィルム中の塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体は、塩化ビニリデン:塩化ビニルの質量割合(以下、「VD:VC比」ということがある。)が85:15であり、分子量測定を行ったところ、重量平均分子量(以下、「Mw」ということがある。)が98,000で、分子量150,000以上である分子鎖の割合(以下、「分子量15万以上の割合」ということがある。)が18.6質量%であった。以下、VD:VC比、Mw及び分子量15万以上の割合を総称して、「樹脂組成」ということがある。
このラップフィルムについて、動摩擦力、密着力及び突き刺しヤング率(以下総称して、「フィルム特性」ということがある。)を測定し、また、まとわりつき感、密着性、剥離性及びカット性につき官能試験による評価(以下、「官能試験評価」ということがある。)を行った。ラップフィルムについてのフィルム特性及び官能試験評価の結果を、樹脂組成とともに、表1に示す。
[実施例2]
塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体の構成を変更してラップフィルムを得た。ラップフィルム中の塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体は、VD:VC比が85:15、Mwが98,000で、分子量15万以上の割合が18.8質量%であった。このラップフィルムについてのフィルム特性及び官能試験評価の結果を、樹脂組成とともに、表1に示す。
[比較例1]
塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体の構成を変更してラップフィルムを得た。ラップフィルム中の塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体は、VD:VC比が83:17、Mwが104,000で、分子量15万以上の割合が21.7質量%であった。このラップフィルムについてのフィルム特性及び官能試験評価の結果を、樹脂組成とともに、表1に示す。
[比較例2]
塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体の構成を変更してラップフィルムを得た。ラップフィルム中の塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体は、VD:VC比が82:18、Mwが120,000で、分子量15万以上の割合が27.3質量%であった。このラップフィルムについてのフィルム特性及び官能試験評価の結果を、樹脂組成とともに、表1に示す。
[比較例3]
塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体の構成を変更してラップフィルムを得た。ラップフィルム中の塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体は、VD:VC比が85:15、Mwが115,000で、分子量15万以上の割合が25.1質量%であった。このラップフィルムについてのフィルム特性及び官能試験評価の結果を、樹脂組成とともに、表1に示す。
[比較例4]
塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体の構成を変更してラップフィルムを得た。ラップフィルム中の塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体は、VD:VC比が86:14、Mwが123,000で、分子量15万以上の割合が28.2質量%であった。このラップフィルムについてのフィルム特性及び官能試験評価の結果を、樹脂組成とともに、表1に示す。
[比較例5]
塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体の構成を変更してラップフィルムを得た。ラップフィルム中の塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体は、VD:VC比が83:17、Mwが118,000で、分子量15万以上の割合が26.8質量%であった。このラップフィルムについてのフィルム特性及び官能試験評価の結果を、樹脂組成とともに、表1に示す。
Figure 0006310053
表1から、動摩擦係数が1.4以下、面剥離強度が7〜20N/25cm、かつ、突き刺しヤング率が17kPa以上である実施例1及び2のラップフィルムは、低摩擦性であることからラップフィルムがまとわりつく感じが全くなく、快いカット性がありカット性が優れ、しかも、密着性及び剥離性が損なわれることなくいずれも良好であることが確認され、低摩擦性、密着性、剥離性及び所定のハリ・コシをバランスよく併せ有するラップフィルムであることが分かった。
これに対して、動摩擦係数と面剥離強度が大きすぎる比較例1のラップフィルムは、ラップフィルムがまとわりつく感じは少しであったが、剥離性が「×」であり、取り扱いに問題があるものであることが分かった。他方、動摩擦係数が大きすぎ面剥離強度が小さすぎる比較例2のラップフィルムは、ラップフィルムがまとわりつく感じは少しであったが、密着性が「×」であり、取り扱いに問題があるものであることが分かった。
また、突き刺しヤング率が小さすぎる比較例3のラップフィルムは、ハリ・コシがなく、快いカット性が得られず、取り扱いに問題があるものであることが分かった。
さらに、動摩擦係数が大きすぎる比較例4のラップフィルムは、ラップフィルムがまとわりつく不快感があり、取り扱いに問題があるものであることが分かった。また、動摩擦係数と面剥離強度が大きすぎる比較例5のラップフィルムは、ラップフィルムがまとわりつく不快感があり、剥離性が「×」であることから、取り扱いに問題があるものであることが分かった。
本発明は、動摩擦係数が1.4以下、面剥離強度が7〜20N/25cm、かつ、突き刺しヤング率が17kPa以上であることを特徴とするラップフィルムであることによって、低摩擦性、密着性、剥離性及び所定のハリ・コシを併せて有するラップフィルムを提供することができるので、産業上の利用可能性が高い。

Claims (3)

  1. 分子量150,000以上である分子鎖の割合が18.6質量%以上18.8質量%以下であるポリ塩化ビニリデン系樹脂から成るラップフィルム。
  2. 動摩擦係数が1.4以下、面剥離強度が7〜20N/25cm、かつ、突き刺しヤング率が17kPa以上であり、
    前記動摩擦係数は、まず、ラップフィルムを皺が入らないよう緊張状態で摩擦測定機のステンレス製テーブルの表面に固定し、次に、接触子として触覚接触子を使用した株式会社トリニティラボ製の静動摩擦測定機であるハンディトライボマスターTL201Tsを使用し、触覚接触子を荷重20g重で、ラップフィルム表面を200mm/分で移動させて、ラップフィルムと触覚接触子との摩擦力を23℃、50%RHの雰囲気中で測定して、算出したものであることを特徴とする請求項1記載のラップフィルム。
  3. ポリ塩化ビニリデン系樹脂が、塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体である請求項1または2記載のラップフィルム。
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