JP6297984B2 - 光学フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、低ヘイズ、低複屈折性、高光線透過率などの優れた光学特性を有し、かつ高剛性、高表面硬度および高靭性を併せ持ち、さらに該フィルム用の連続生産性に優れたメタクリル系熱可塑性樹脂組成物よりなる光学フィルムに関する。
メタクリル酸メチルを主に含有する単量体を重合して成るメタクリル系樹脂は、透明性が高く、耐侯性に優れ、表面硬度が高いなどの特長を有していることから、様々な分野で使用されている。このメタクリル系樹脂は、比較的に低複屈折性であるので光学用途においても使用されている。ところが、ピックアップレンズなどの精密光学部材、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(FPD)に用いられる光学部材においては、メタクリル系樹脂を高い精度で成形しないと部材のレタデーションが大きくブレ、信号の読み取り性能の低下、光漏れ、コントラストの低下、カラーシフトなどを引き起こすことがある。
メタクリル酸メチルを単独重合してなる樹脂は負の固有複屈折を有している。そこで、複屈折性の低いメタクリル系樹脂を得るために、正の固有複屈折を有する樹脂を与える単量体とメタクリル酸メチルとを共重合させる方法(特許文献1や特許文献2など)が提案されている。しかし、共重合させる方法では、樹脂の製造に用いられる単量体混合物の組成変更などに伴って、単量体用の貯蔵槽や回収装置などを新たに設置する必要が生じることがあり、設備投資が過大になりやすい。
メタクリル系樹脂の複屈折性を低くするために、正の固有複屈折を有する樹脂などをメタクリル系樹脂にブレンドする方法が知られている。このブレンド法は、共重合による方法に比べ、設備投資額が低く、樹脂の設計変更に柔軟に対応可能な点で優位である。しかし、大きく相異するガラス転移温度を有する2種以上の樹脂をブレンドする場合には、緩和挙動が発生しやすく、レタデーションが所望の値からずれてしまい、光学用途への使用に適した成形品を得ることが困難な場合がある。
メタクリル系樹脂とブレンドされる樹脂の例として、ポリビニルブチラール樹脂が知られている(特許文献3、特許文献4など)。ポリビニルブチラール樹脂は、メタクリル系樹脂との親和性が良く、ガラス転移温度の差が小さく、正の固有複屈折を有する。しかし、従来のポリビニルブチラール樹脂とメタクリル系樹脂とのブレンド物は、ヘイズが1.0%程度と高く、精密な光学設計を要する用途には向かない。
そこで本出願人らは鋭意検討の結果、メタアクリル樹脂とブレンドする樹脂としてアセタール化されたポリビニルブチラール樹脂を用いることで、上記の問題が解決できることを見出して新規な熱可塑性樹脂組成物を完成し、特願2011−164195号として特許出願した。
特開平6−25359号公報 特開平6−242301号公報 特開2008−133452号公報 WO2008/050738
本発明の目的は、低ヘイズ、低複屈折性、高光線透過率などの優れた光学特性を有し、かつ高剛性、高表面硬度および高靭性を併せ持ち、さらに連続生産性に優れた光学フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の含有量が特定範囲に調整されたポリビニルアセタール樹脂を、メタクリル系樹脂に特定の質量比でブレンドし、射出成形法で得られるダンベル試験片のヘイズおよび面内方向レタデーションが特定範囲内になる熱可塑性樹脂組成物は、低ヘイズ、低複屈折性、高光線透過率などの優れた光学特性を有し、かつ高剛性、高表面硬度および高靭性を併せ持ち、さらに連続生産性に優れていることを見出した。そして、この熱可塑性樹脂組成物を延伸されたフィルムに成形すると、レタデーションのブレが小さくなり、精密な光学用途にも適用可能な光学フィルムが容易に得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下のものを包含する。
〔1〕メタクリル系樹脂(A)と、
粘度平均重合度500以上2000以下のポリビニルアルコール樹脂を原料として得られる、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の含有量が100ppm以下であるポリビニルアセタール樹脂(B)と、
を質量比[(A)/(B)]99/1〜82/18で含有し、
該ポリビニルアセタール樹脂(B)が前記ポリビニルアルコール樹脂を炭素数4以上のアルデヒドと炭素数3以下のアルデヒドとでアセタール化して得られる樹脂であり、
アルデヒドでアセタール化されたビニルアルコール単位の総量が全繰り返し単位の55〜85モル%であり、かつ炭素数4以上のアルデヒドでアセタール化されたビニルアルコール単位/炭素数3以下のアルデヒドでアセタール化されたビニルアルコール単位のモル比が90/10〜0/100である、
射出成形法で得られるダンベル試験片のヘイズが0.5%以下になり、かつ射出成形法で得られるダンベル試験片の2mm厚部で測定した波長589nmにおける面内方向レタデーションが20nm以下になる熱可塑性樹脂組成物を、
溶融押出製膜した後に1.3倍以上延伸して得られる光学フィルム。
〔2〕ポリビニルアセタール樹脂(B)に含まれるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の量が0.1〜100ppmである〔1〕に記載の光学フィルム。
〔3〕ポリビニルアセタール樹脂(B)を構成するビニルエステル単位の量が5モル%未満である〔1〕または〔2〕に記載の光学フィルム。
〔4〕ポリビニルアセタール樹脂(B)のアセタール化度が55〜85モル%である〔1〕〜〔3〕のいずれかひとつに記載の光学フィルム。
〔5〕メタクリル系樹脂(A)を構成するメタクリル酸メチル単位の量が90質量%以上である〔1〕〜〔4〕のいずれかひとつに記載の光学フィルム。
〔6〕ポリビニルアセタール樹脂(B)は、前記ポリビニルアルコール樹脂をブチルアルデヒドおよびアセトアルデヒドで共アセタール化して得られる樹脂である、〔1〕〜〔5〕のいずれかひとつに記載の光学フィルム。
〔7〕前記の〔1〕〜〔6〕のいずれかひとつに記載の光学フィルムからなる偏光子保護膜。
〔8〕60℃、95%RHの環境下に1000時間放置された後で、偏光子との接着性が保たれかつ偏光子保護膜自体のヘイズの変化率が50%以下である前記〔7〕の偏光子保護膜。
〔9〕前記の〔7〕または〔8〕の偏光子保護膜を少なくとも1枚含む偏光板。
〔10〕前記の〔1〕〜〔6〕のいずれかひとつに記載の光学フィルムからなる位相差フィルム。
本発明の光学フィルムは、低ヘイズ、低複屈折性、高光線透過率などの優れた光学特性を有し、かつ高剛性、高表面硬度および高靭性を併せ持ち、さらに連続生産性に優れている。
本発明の光学フィルムの用途としては、位相差フィルム、偏光子保護膜、集光フィルム、プリズムフィルムなどが挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化に用いるアルデヒドと得られる延伸フィルムの位相差の関係を示す図である。
本発明の光学フィルムの基材となる熱可塑性樹脂組成物は、射出成形法で得られるダンベル試験片のヘイズが0.5%以下、好ましくは0.3%以下になるものである。ダンベル試験片におけるヘイズがこの範囲にあると、フィルム化した後においても偏光子保護膜、位相差フィルムなどの光学素子を通過する光のうちの拡散光(斜め光)の割合が小さくなり、光漏れ、コントラストの低下などを抑制できる。
ヘイズは、JIS K7136に則って、例えば、日本電飾産業社製 ヘイズメーター NDH5000を用いて測定する。ダンベル試験片は、スクリューシリンダー温度240℃、金型温度70℃で射出成形して得る。金型は、1A形ダンベル試験片(厚さ2mm)を用いる。射出成型機としては、例えば、J75SAV(日本製鋼所製)が挙げられる。
また、本発明における熱可塑性樹脂組成物は、射出成形法で得られるダンベル試験片の2mm厚部で測定した波長589nmにおける面内方向レタデーションが20nm以下に、好ましくは10nm以下になるものである。レタデーションの測定法は、特に制限されない。例えば、大塚電子株式会社製RETS−1100を用いてレタデーションを測定する。なお、面内遅相軸方向の屈折率nx、遅相軸に面内で直交する方向の屈折率ny、面法線方向の屈折率nz、および厚さdにおいて、厚さ方向レタデーションは、|[(nx+ny)/2]−nz|×dで一般に定義される値であり、面内方向レタデーションは、(nx−ny)×dで一般に定義される値である。ダンベル試験片における面内方向レタデーションがこの範囲にあると、フィルム化した後も面内方向レタデーションまたは厚さ方向レタデーションが小さい偏光子保護膜などを容易に得ることができ、液晶ディスプレイなどにおいて光漏れやカラーシフトなどが抑制される。また、位相差フィルムのレタデーションを高精度で調整でき、レタデーションの面内方向または厚さ方向におけるブレを小さくできる。
さらに、本発明における熱可塑性樹脂組成物は、メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とを含有するものである。
本発明に用いられるメタクリル系樹脂(A)は、メタクリル酸エステルを含有する単量体混合物を重合することによって得られるものである。
メタクリル酸エステルとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、s−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ミリスチルメタクリレート、パルミチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレートなどが挙げられる。メタクリル酸エステルは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、アルキル基の炭素数が1〜4であるアルキルメタクリレートが好ましく、メチルメタクリレートが特に好ましい。
単量体混合物にはメタクリル酸エステル以外に、アクリル酸エステルが含まれていてもよい。
アクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ミリスチルアクリレート、パルミチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレートなどが挙げられる。アクリル酸エステルは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、アルキル基の炭素数が1〜8であるアルキルアクリレートが好ましい。
また、前記の単量体混合物には、メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルに共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体が含まれていてもよい。
当該エチレン性不飽和単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレンなどのジエン系化合物;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、ハロゲンで核置換されたスチレン、1−ビニルナフタレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレンなどのビニル芳香族化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのエチレン性不飽和ニトリル化合物;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、無水マレイン酸、マレイン酸イミド、モノメチルマレエート、ジメチルマレエートなどを挙げることができる。エチレン性不飽和単量体は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられるメタクリル系樹脂(A)は、メタクリル酸エステル単位の量が、耐候性の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。メタクリル酸エステル単位の量の上限は、好ましくは100質量%、より好ましくは99.9質量%である。また、耐熱性の観点から0.1〜20質量%の範囲でアクリル酸エステル単位を含有することが好ましい。
本発明に用いられるメタクリル系樹脂(A)は、強度特性および溶融性の点から、重量平均分子量(以下、Mwと表記することがある。)が、好ましくは40,000以上、より好ましくは40,000〜10,000,000であり、特に好ましくは80,000〜1,000,000である。
本発明に用いられるメタクリル系樹脂(A)は、単量体が線状に連なって結合したものであっても良いし、分岐を有するものであっても良いし、環状構造を有するものであっても良い。
本発明に用いられるメタクリル系樹脂(A)の製造法は、エチレン性不飽和化合物を重合させることができる方法であれば、特に制限されない。本発明に用いられるメタクリル系樹脂(A)は、ラジカル重合によって製造されるものが好ましい。重合法としては、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合などが挙げられる。
重合時に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスγ−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、クミルパーオキサイド、オキシネオデカノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルクミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの過酸化物が挙げられる。重合開始剤は、全単量体100質量部に対して、好ましくは0.05〜0.5質量部用いられる。重合時の温度は、好ましくは50〜140℃であり、重合時間は、好ましくは2〜20時間である。
メタクリル系樹脂(A)の分子量を制御するためには、連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤としては、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、エチルチオグリコエート、メルカプトエタノール、チオ−β−ナフトール、チオフェノールなどが挙げられる。連鎖移動剤は、全単量体100質量部に対して、好ましくは0.005〜0.5質量部用いられる。
本発明に用いられるポリビニルアセタール樹脂(B)は、ビニルアルコール単位(式(I))、ビニルエステル単位(式(II))およびビニルアセタール単位(2個のビニルアルコール単位がアルデヒドでアセタール化されたもの : 式(III))を有する樹脂である。下記の式において、lはビニルアルコール単位のモル比であり、mはビニルエステル単位のモル比であり、k/2はビニルアセタール単位のモル比であり、kはアルデヒドでアセタール化されたビニルアルコール単位のモル比であり、Raはアセタール化に用いたアルデヒド(Ra−CHO)中のRaである。Rbはビニルエステル(RbCOOCH=CH2)中のRbである。ただし、lおよび/またはmはゼロであってもよい。ビニルアルコール単位、ビニルエステル単位およびビニルアセタール単位のみからなるポリビニルアセタール樹脂(B)においては、k+l+m=1である。各単位は、配列順序によって特に制限されず、ランダムに配列されていてもよいし、ブロック状に配列されていてもよいし、テーパー状に配列されていてもよい。また、繰り返し単位間の結合は、Head-to-Tailであってもよいし、Head-to-Headであってもよい。
Figure 0006297984
Figure 0006297984
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本発明に用いられるポリビニルアセタール樹脂(B)は、ポリビニルアルコール樹脂(以下、PVAと表記することがある。)をアルデヒドでアセタール化することによって得ることができる。
上記ポリビニルアルコール樹脂は、ビニルアルコール単位のみからなるホモポリマーであってもよいし、ビニルアルコールとこれに共重合可能なモノマーとからなるコポリマー(以下、PVAコポリマーと表記することがある。)であってもよい。さらに、分子鎖の途中、末端、または側鎖にカルボキシル基などの官能基が導入された変性ポリビニルアルコール樹脂であってもよい。これらポリビニルアルコール樹脂は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリビニルアルコール樹脂は、その製法によって特に限定されず、例えば、ポリ酢酸ビニルなどのビニルエステル系重合体をけん化することによって得られるものを用いることができる。ビニルエステル単位を形成するためのビニルエステル単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニルなどが挙げられる。これらの中でもポリビニルアルコール樹脂を良好な生産性で得ることができる点で酢酸ビニルが好ましい。
PVAコポリマーを構成する共重合可能なモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィン類;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピルなどのメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミドなどのアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミドなどのメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;エチレングリコールビニルエーテル、1,3−プロパンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテルなどのヒドロキシ基含有のビニルエーテル類;アリルアセテート、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテルなどのアリルエーテル類;ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基などのオキシアルキレン基を有する単量体;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン類;酢酸イソプロペニル、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オールなどのヒドロキシ基含有のα−オレフィン類またはそのエステル化物;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニルアミド類;フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸または無水イタコン酸などに由来するカルボキシル基を有する単量体;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などに由来するスルホン酸基を有する単量体;ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシブチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシエチルジメチルアミン、ビニロキシメチルジエチルアミン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドジメチルアミン、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルアミン、アリルエチルアミンなどに由来するカチオン基を有する単量体が挙げられる。
これら共重合可能な単量体の単位(以下、コモノマー単位と表記することがある。)の含有量は、PVAコポリマーを構成する全単量体単位100モル部の中で、好ましくは20モル部以下、より好ましくは10モル部以下である。また、共重合されていることのメリットを発揮するためには、0.01モル部以上がコモノマー単位であることが好ましい。
ビニルエステル系重合体の製造において使用される重合法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が挙げられる。その中でも、無溶媒あるいはアルコールなどの溶媒中で重合する方法である、塊状重合法や溶液重合法が好ましい。溶液重合法において使用される溶媒としてのアルコールには、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが通常用いられる。重合開始剤としては、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)などのアゾ化合物や、過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシカーボネートなどの過酸化物などが挙げられる。重合温度については特に制限はないが、通常、0℃〜200℃である。
ビニルエステル系重合体をけん化する際に触媒としてアルカリ性物質が、通常、使用される。アルカリ性物質としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。けん化触媒に使用されるアルカリ性物質のモル比は、ビニルエステル系重合体中のビニルエステル単位に対して、好ましくは0.004〜0.5、より好ましくは0.005〜0.05である。けん化触媒としてのアルカリ性物質は、けん化反応の初期に一括添加してもよいし、けん化反応の途中で追加添加してもよい。
けん化反応時に使用可能な溶媒としては、メタノール、酢酸メチル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらの溶媒の中でもメタノールが好ましい。使用される溶媒は含水率を調整されたものが好ましい。溶媒の含水率は、好ましくは0.001〜1質量%、より好ましくは0.003〜0.9質量%、さらに好ましくは0.005〜0.8質量%である。
ポリビニルアルコール樹脂は、可能な範囲で完全けん化されたものであるのが好ましい。けん化度は、耐熱性の観点から、好ましくは95モル%超、好ましくは98モル%以上、より好ましくは99モル%以上である。けん化度が低すぎると、ポリビニルアセタール樹脂(B)の熱安定性が不十分になり、熱分解や架橋ゲル化によって安定な溶融成形を行なうことが困難な場合がある。
けん化反応の後、生成したPVAを洗浄する。洗浄液としては、メタノール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ヘキサン、水などが挙げられる。これらの中でも、メタノール、酢酸メチル、水、もしくはこれらの混合液が好ましい。
洗浄液の使用量は、後述するアルカリ金属またはアルカリ土類金属の含有量を満足するように設定するのが好ましく、通常、PVA100質量部に対して、300〜10000質量部が好ましく、500〜5000質量部がより好ましい。洗浄温度としては、5〜80℃が好ましく、20〜70℃がより好ましい。洗浄時間としては20分間〜100時間が好ましく、1時間〜50時間がより好ましい。
本発明で使用するPVAにおけるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の含有量は、PVA100質量部に対して、好ましくは0.00001〜1質量部である。アルカリ金属またはアルカリ土類金属の含有量が0.00001質量部未満のPVAは工業的に製造が困難である。また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の含有量が1質量部より多い場合には、得られるポリビニルアセタール樹脂中に残存するアルカリ金属またはアルカリ土類金属の含有量が多くなり、分解、ゲル化により安定に溶融成形することができない場合がある。なお、アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属としては、カルシウム、バリウムなどが挙げられる。なお、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の含有量は、原子吸光法で求めることができる。
ポリビニルアセタール樹脂(B)の製造に用いられるポリビニルアルコール樹脂は、粘度平均重合度が、500以上2,000以下である。ポリビニルアルコール樹脂の粘度平均重合度が500未満であると、得られるポリビニルアセタール樹脂の力学物性が不足し、本発明の熱可塑性樹脂組成物の力学物性、特に靭性が不足する。ただし、ポリビニルアルコール樹脂の粘度平均重合度が大きすぎると本発明の熱可塑性樹脂組成物を溶融混練する際の溶融粘度が高くなる傾向がある。
なお、ポリビニルアルコール樹脂の粘度平均重合度(P)は、JIS K6726に準じて測定される。すなわち、ポリビニルアルコール樹脂を完全に再けん化し、精製した後、30℃の水中で極限粘度[η](dl/g)を測定し、その値から数式(i)によって算出される。
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ポリビニルアセタール樹脂(B)の製造に用いられるアルデヒドは特に制限されないが、少なくとも炭素数3以下のアルデヒドを用いることが必要である。
すなわち出願人らは、ポリビニルアルコール樹脂をアセタール化する際に、炭素数が3以下のアルデヒドを必須として用いることにより、延伸したフィルムにおいても面内レタデーションを小さすることができること見出した。図1にメタクリル樹脂とポリビニルアセタール樹脂との組成比に対する延伸フィルム成形後の位相差について、ブチルアルデヒドのみでアセタール化した場合と、ブチルアルデヒドとアセトアルデヒドとでアセタールした場合と、を比較した図を示す。アセタール化に際してブチルアルデヒドのみを使用した場合においては、ポリビニルアセタール樹脂の含有量に対して延伸フィルムの位相差がメタアクリル樹脂とポリビニルアセタール樹脂の組成比に比例しておらず、何らかの緩和現象が生じていると推定さる。そのため、配合比から期待される所望の位相差の値が得られず、性能が不安定になる可能性が大きいことが示唆される。
炭素数3以下のアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドを含む)、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒドを含む)、プロピオンアルデヒド、グリオキザールなどが挙げられる。炭素数3以下のアルデヒドは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これら炭素数3以下のアルデヒドのうち、製造の容易さの観点から、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒドを含む)またはホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドを含む)が好ましく、アセトアルデヒドがより好ましい。
炭素数4以上のアルデヒドとしては、例えば、ブチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、グルタルアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒドなどが挙げられる。炭素数4以上のアルデヒドは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これら炭素数4以上のアルデヒドのうち、製造の容易さの観点から、ブチルアルデヒドが好ましい。
また、ポリビニルアセタール樹脂の製造に用いられる炭素数4以上のアルデヒドと炭素数3以下のアルデヒドの組み合わせとしては、製造の容易さ、耐熱性及び力学物性の観点から、ブチルアルデヒドとアセトアルデヒドとの組み合わせが好ましい。
ポリビニルアルコール樹脂とアルデヒドとの反応、すなわちアセタール化反応は、公知の方法で行うことができる。例えば、ポリビニルアルコール樹脂を水に溶解させ、酸触媒の存在下にアルデヒドと反応させて樹脂粒子を析出させる方法(水媒法); ポリビニルアルコール樹脂を有機溶媒に分散させ、酸触媒の存在下にアルデヒドと反応させ、得られた反応液を水などの貧溶媒に添加して樹脂粒子を析出させる方法(溶媒法)などが挙げられる。これらのうち水媒法が好ましい。
アセタール化に用いられるアルデヒドは、すべてを同時に仕込んでも良いし、1種類ずつを別々に仕込んでも良い。アルデヒドの添加順序および酸触媒の添加順序を変えることで、ポリビニルアセタール樹脂中のビニルアセタール単位のランダム性を変化させることができる。
アセタール化反応に用いられる酸触媒は特に限定されず、例えば、酢酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸類;硝酸、硫酸、塩酸などの無機酸類;炭酸ガスなどの水溶液にした際に酸性を示す気体、陽イオン交換体や金属酸化物などの固体酸触媒などが挙げられる。
本発明に用いられるポリビニルアセタール樹脂(B)のアセタール化度は、好ましくは55〜85モル%、より好ましくは55〜83モル%である。
なお、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、JIS K6728(1977年)に記載の方法に則って決定することができる。
先ず、アセタール化されなかったビニルアルコール単位の質量比(l0)および酢酸ビニル単位の質量比(m0)を滴定によって求める。アセタール化されたビニルアルコール単位の質量比(k0)をk0=1−l0−m0によって算出する。これらから、アセタール化されなかったビニルアルコール単位のモル比(l)および酢酸ビニル単位のモル比(m)を計算し、k=1−l−mによって、アセタール化されたビニルアルコール単位のモル比(k)を算出する。
または、ポリビニルアセタール樹脂を重水素化ジメチルスルフォキサイドに溶解し、1H−MMR、または13C−NMRを測定して、アセタール化されなかったビニルアルコール単位のモル比(l)、ビニルエステル単位のモル比(m)およびアセタール化されたビニルアルコール単位のモル比(k)を算出する。ただし、k0+l0+m0=1、k+l+m=1である。
そして、 k/(k+l+m}×100 によって、アセタール化度を、算出する。
また、複数のアルデヒドでアセタール化した場合、アルデヒドごとのアセタール化度は、次に示すような方法で求めることができる。たとえば、ブチルアルデヒド、アセトアルデヒドおよびホルムアルデヒドでアセタール化して得られるポリビニルアセタール樹脂において、ブチルアルデヒドでアセタール化されたビニルアルコール単位のモル比k(BA)、アセトアルデヒドでアセタール化されたビニルアルコール単位のモル比k(AA)、ホルムアルデヒドでアセタール化されたビニルアルコール単位のモル比k(FA)、アセタール化されなかったビニルアルコール単位のモル比l、およびビニルエステル単位のモル比mであるとしたとき、ブチルアセタール化度(ブチラール化度とも呼ばれる。)は、 式:k(BA)/{k(BA)+k(AA)+k(FA)+l+m}×100で求められる。アセトアセタール化度は、式:k(AA)/{k(BA)+k(AA)+k(FA)+l+m}×100で求められる。ホルムアセタール化度(ホルマール化度とも呼ばれる。)は、式:k(FA)/{k(BA)+k(AA)+k(FA)+l+m}×100で求められる。なお、アルデヒドごとのアセタール化度は、1H−NMRまたは13C−NMRによって、アセタール化したアルデヒドの比率を測定することによって算出することができる。ただし、k(BA)+k(AA)+k(FA)+l+m=1 である。
ポリビニルアセタール樹脂が、ポリビニルアルコール樹脂を炭素数4以上のアルデヒドと炭素数3以下のアルデヒドとでアセタール化して得られたものである場合には、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、連続生産性の観点から、好ましくは55〜85モル%であり、より好ましくは60〜83モル%であり、さらに好ましくは70〜83モル%である。この範囲のアセタール化度を有するポリビニルアセタール樹脂を用いることによって、溶融加工または製造が容易でかつ安価に本発明における熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
本発明に用いられるポリビニルアセタール樹脂(B)は、炭素数4以上のアルデヒドと炭素数3以下のアルデヒドとでアセタール化して得られる樹脂であることが好ましい。本発明に用いられるポリビニルアセタール樹脂(B)は、力学物性および耐熱性の観点から、炭素数4以上のアルデヒドでアセタール化されたビニルアルコール単位/炭素数3以下のアルデヒドでアセタール化されたビニルアルコール単位のモル比が、好ましくは90/10〜0/100、より好ましくは80/20〜0/100、さらに好ましくは50/50〜0/100、特に好ましくは40/60〜1/99である。このようなポリビニルアセタール樹脂(B)を用いることで、ポリビニルアセタール樹脂が、本来有している強度・弾性率や表面硬度、表面の平滑性、透明度などの特長を保持しつつ、力学物性および耐熱性に優れた成形品を得ることができる。
ポリビニルアセタール樹脂を構成するビニルエステル単位の量は、好ましくは5モル%未満、より好ましくは2モル%以下、さらに好ましくは1モル%以下である。ビニルエステル単位が多すぎる場合には、耐熱性の低下、連続生産性の低下などが起きやすい。
なお、アセタール化することによっても重合度が変化することはないため、ポリビニルアルコール樹脂と、そのポリビニルアルコール樹脂をアセタール化して得られるポリビニルアセタール樹脂(B)の重合度は同じである。したがって、ポリビニルアセタール樹脂(B)の重合度は、500以上2000以下である。ポリビニルアセタール樹脂(B)の重合度が低すぎると、ポリビニルアセタール樹脂(B)の力学物性が不足し、特に靭性が不足する傾向がある。ポリビニルアセタール樹脂(B)の重合度が高すぎると、熱成形する際の溶融粘度が高くなり、成形品の製造が困難になる傾向がある。
水媒法及び溶媒法などにおいて生成したスラリーは、通常、酸触媒のために酸性を呈しているので、酸触媒を除去することが好ましい。酸触媒の除去方法として、スラリーを、pHが、好ましくは5〜9、より好ましくは6〜9、さらに好ましくは6〜8になるまで水洗を繰り返す方法、スラリーに中和剤を添加して、pHを好ましくは5〜9、より好ましくは6〜9、さらに好ましくは6〜8にする方法や、アルキレンオキサイド類などを添加する方法が挙げられる。
酸触媒除去のために用いられる中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属化合物;水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属化合物;アンモニア、アンモニア水溶液が挙げられる。酸触媒除去のために用いられるアルキレンオキサイド類としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド;エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル類が挙げられる。
次に、触媒残渣、中和剤残渣、中和により生成した塩、未反応のアルデヒド、アルカリ金属、アルカリ土類金属、副生物などを除去して、ポリビニルアセタール樹脂を精製する。
精製方法は特に制限されず、脱液と洗浄を繰り返すなどの方法が通常用いられる。精製に用いられる液としては、水や、水にメタノールやエタノールなどのアルコールを加えた混合液などが挙げられる。中でも、ポリビニルアセタール樹脂を中和した後に、水とアルコール(メタノール、エタノールなど)との混合液で、pHが好ましくは5〜9、より好ましくは6〜9、さらに好ましくは6〜8になるまで、脱液と洗浄を繰り返す方法が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を効率よく低減でき、ポリビニルアセタール樹脂を安定に製造することができる点で好ましい。水/アルコールの混合比率は、質量比で50/50〜95/5であることが好ましく、60/40〜90/10であることがより好ましい。水の割合が少なすぎると、ポリビニルアセタール樹脂の混合液中への溶出が多くなる傾向がある。水の割合が多すぎると、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の除去効率が低下する傾向がある。
ポリビニルアセタール樹脂(B)に含有するアルカリ金属またはアルカリ土類金属の量は、100ppm以下、好ましくは70ppm以下、より好ましくは50ppm以下である。100ppm超の場合、高温下でゲルが発生し、連続生産性が損なわれる点でコスト的に不利になる。なお、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の含有量が0.1ppm未満のものは、それを得るために長時間の洗浄を要するので製造コストが高くなり、工業的な生産が難しい傾向がある。
残渣などが除去された含水状態のポリビニルアセタール樹脂(B)は、必要に応じて乾燥され、必要に応じてパウダー状、顆粒状またはペレット状に加工され、成形材料として供される。パウダー状、顆粒状またはペレット状に加工する際に、減圧状態で脱気することによりアルデヒドの反応残渣や水分などを低減しておくことが好ましい。
本発明に用いられるポリビニルアセタール樹脂(B)は、水分率が好ましくは0.005〜2%、より好ましくは0.01〜1%である。水分率が、0.005%未満のものは製造が難しく、過度な熱履歴を経ることがあるため、着色を起こすなどして、品質が低下する場合がある。一方、水分率が2%を超えると、通常の成形方法では安定な熱成形を行なうことが困難な場合がある。なお、水分率はカールフィッシャー法で測定することができる。
さらに、本発明に用いられるポリビニルアセタール樹脂(B)の主分散ピーク温度TαBは、好ましくは85℃〜125℃、より好ましくは90℃〜120℃である。TαBが85℃未満の場合、耐熱性に優れた成形品の提供が難しい場合がある。一方、TαBが125℃を超えると成形加工性が低下する場合があり、使用範囲が制限される場合がある。
なお、主分散ピーク温度(Tα)は、動的粘弾性測定によって求めることができる。例えば、株式会社レオロジー製DVE RHEOSPECTOLER DVE−V4を用いて、長さ20mm×幅3mm×厚さ120〜200μmの試験片を正弦波振動10Hz、昇温速度3℃/分の条件において測定した損失正接(tan δ)から求めることができる。主分散ピーク温度(Tα)は、損失正接(tan δ)の主分散のピークを示す温度である。広義にはガラス転移温度(Tg)と呼ばれることがある。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)との質量比(A)/(B)が、99/1〜82/18、好ましくは97/3〜85/15である。
ポリビニルアセタール樹脂(B)の割合が少なすぎると、本発明における熱可塑性樹脂組成物からなる成形品の靭性などの力学物性が低下する傾向がある。一方、ポリビニルアセタール樹脂(B)の割合が多すぎると、本発明における熱可塑性樹脂組成物からなる成形品のレタデーションのブレが大きくなる傾向がある。
本発明における熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂組成物中のメタクリル系樹脂(A)に起因する主分散ピーク温度(TαAP)が、当該樹脂組成物の材料であるメタクリル系樹脂(A)単独での主分散ピーク温度(TαA)と当該樹脂組成物の材料であるポリビニルアセタール樹脂(B)単独での主分散ピーク温度(TαB)との間の値であることが好ましい。すなわち、TαB<TαAP<TαA、又はTαA<TαAP<TαBの関係を満たしていることが好ましい。
本発明における熱可塑性樹脂組成物は、連続相がメタクリル系樹脂(A)によって形成されていることが好ましい。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、四酸化ルテニウムで染色された分散相が電子顕微鏡にて視認できる場合がある。染色された分散相には、ポリビニルアセタール樹脂(B)が含まれていると考えられる。該分散相は非常に小さいかまたは無い方が好ましい。分散相の平均径は、通常、1μm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下である。なお、分散相の平均径が0nmという場合には、ポリビニルアセタール樹脂(B)がメタクリル系樹脂(A)に完全相溶して、視認可能な分散相がないことを含む。
なお、熱可塑性樹脂組成物の相構造の観察は、例えば、ウルトラミクロトーム(RICA社製Reichert ULTRACUT−S)を用いて超薄切片を作製し、次いで四酸化ルテニウムで電子染色し、株式会社日立製作所製透過型電子顕微鏡H−800NAを用いて行なう。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とを、上述の質量比にて、溶融混練することによって得られる。溶融混練手段としては、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、オープンロール、ニーダーなどの公知の混練機が挙げられる。これらの中でも、生産性に優れ、効率的な溶融混練ができることから、二軸押出機が好ましい。溶融混練する際の樹脂温度は、好ましくは170℃以上、より好ましくは180〜280℃、さらに好ましくは200〜260℃である。
本発明における熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、安定剤、滑剤、加工助剤、帯電防止剤、着色剤、耐衝撃助剤、充填剤、艶消し剤などを添加してもよい。なお、熱可塑性樹脂組成物の力学物性および表面硬度の観点から軟化剤や可塑剤は多量に添加しないことが好ましい。
さらに、耐候性を向上させる目的で紫外線吸収剤を添加することができる。紫外線吸収剤の種類は特に限定されないが、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、または、トリアジン系のものが好ましい。紫外線吸収剤の添加量は、熱可塑性樹脂組成物に対して、通常0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%であり、さらに好ましくは0.1〜2質量%である。
なお、本発明における熱可塑性樹脂組成物に添加される上記添加剤は、原料となるメタクリル系樹脂(A)または/およびポリビニルアセタール樹脂(B)に添加してもよいし、熱可塑性樹脂組成物を製造する際に添加してもよいし、熱可塑性樹脂組成物を成形する際に添加してもよい。
本発明の光学フィルムは、前記の熱可塑性樹脂組成物を、Tダイ法、カレンダー法、インフレーション法などのような方法で熱可塑性樹脂組成物を溶融押出製膜後に1.3倍以上に延伸して得ることができ、比較的経済的で高品質な製品を得られる点で、Tダイ法が好ましく用いられる。
溶融製膜を行うにあたっての、好ましい樹脂温度は、160〜270℃である。低温での製膜では粘度が上昇しフィルムの表面性など悪化、高温での製膜では樹脂のゲル化などの問題が生じる。
この溶融押出フィルムの延伸する条件は特に限定されるものではないが、延伸温度は樹脂のガラス転移温度に対してプラス、マイナス30℃の範囲で行うのが好ましい。また、延伸倍率は、1.3〜2.5倍の範囲で選択することが好ましい。
本発明の光学フィルムは、低複屈折性を活かした各種の成形品を得ることができる。例えば、偏光子保護膜、位相差フィルムなどが挙げられる。
本発明の成形品、光学用素子、偏光子保護膜、または位相差フィルムは、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物から成るものである。本発明の成形品、光学用素子、偏光子保護膜、または位相差フィルムは、60℃、95%RHの環境下に1000時間放置された前後での、ヘイズの変化率〔(放置後−放置前)/放置前×100〕が50%以下、より好ましくは30%以下であるものが好ましい。また、本発明の偏光子保護膜は、60℃、95%RHの環境下に1000時間放置された後でも、偏光子との接着性が保たれるものが好ましい。
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は、特に断りのない限り「質量部」を表し、「%」は、特に断りのない限り「質量%」を表す。
熱可塑性樹脂組成物などの成形材料の物性評価を以下の方法に従って行った。
(重量平均分子量)
テトラヒドロフランを溶媒に用い、昭和電工株式会社製Shodex(商標)GPC SYSTEM11に、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー用カラムとしてShodex(商標)KF−806Lを繋ぎ、検出器としてShodex(商標)示差屈折率検出器RI−101を用いて測定した。試料溶液は、重合体を3mg精秤し、これを3mlのテトラヒドロフランに溶解し、0.45μmのメンブランフィルターでろ過することにより調製した。測定の際の流量は、1.0ml/分とし、ポリマーラボラトリーズ製標準ポリメタクリル酸メチルで作製した検量線に基づいて、ポリメタクリル酸メチル換算分子量として重量平均分子量(Mw)を算出した。
(アセタール化度)
ポリビニルアセタール樹脂(B)の組成は、13C−NMRスペクトルを測定することで、ブチルアルデヒドでアセタール化されたビニルアルコール単位(表中では、ブチルアセタール単位と表記する。)の全繰返し単位に対するモル%およびアセトアルデヒドでアセタール化されたビニルアルコール単位(表中では、アセトアセタール単位と表記する。)の全繰返し単位に対するモル%を算出した。
(アルカリ金属又はアルカリ土類金属の含有量)
ポリビニルアセタール樹脂(B)を、白金るつぼ及びホットプレートで炭化し、次いで電気炉で灰化し、残渣を酸に溶解して、原子吸光光度計を用いて測定した。
(主分散ピーク温度(Tα))
プレス成形機(TBP−40、東邦マシナリー製)を用い、熱可塑性樹脂組成物のペレットより、温度240℃で厚み200μmのシートを成形し、長さ20mm×幅3mmに切り出して試験片を作製した。
株式会社レオロジ製、DVE RHEOSPECTOLER DVE−V4を用いて、長さ20mm×幅3mm×厚さ200μmの試験片を、チャック間距離10mm、正弦波振動10Hzおよび昇温速度3℃/分の条件で測定し、損失正接(tanδ)の主分散ピーク温度(Tα)を求めた。
(ダンベル試験片の作製)
熱可塑性樹脂組成物のペレットを射出成形機(J75SAV、日本製鋼所社製)を用いて、スクリューシリンダー温度240℃、金型温度70℃で、1A形ダンベル試験片(厚さ2mm)に成形した。
(ヘイズ)
JIS K7136に従い、1A形ダンベル試験片のヘイズを日本電飾産業製 ヘイズメーター NDH5000を用いて測定した。
(レタデーション)
大塚電子株式会社製RETS−1100を用いて、1A形ダンベル試験片の2mm厚部および得られた光学フィルムで、測定波長589nmの光における面内方向レタデーション(Re)を測定した。
(引張り試験における、弾性率、破断伸度および靭性)
引張り試験における弾性率、破断伸度は、JIS K7162に従い、株式会社島津製作所製オートグラフAG−5000Bを用いて、1A形ダンベル試験片を歪み速度1mm/分で測定することにより評価した。靭性は、試験片が破断するまでに要するエネルギーで評価した。
(表面硬度)
JIS K5600−5−4に従って、1A形ダンベル試験片の鉛筆硬度を東洋精機製鉛筆硬度試験機(No.C−282700200)を用いて測定した。
(可視光線透過率)
株式会社島津製作所製 UV−VIS−NIR SPECTROPHOTOMETER Solidspec−3700を用いて1A形ダンベル試験片の波長380nmから780nmにおける透過率を測定し、JIS R3106に従って算出した可視光線透過率を算出した。
(連続生産性)
連続生産性の指標として、ゲル評価を行った。二軸押出し機で得た各組成のペレットを260℃で2時間熱処理した。そのペレット50mgをテトラヒドロフラン50mlで溶解し、この溶液をメンブランフィルターでろ過した。このフィルターを真空乾燥で溶媒を除去して、重量増加分からゲル分を評価した。ゲル分が1%未満を〇、1%以上3%未満を△、3%以上を×として評価し、連続生産性の指標とした。
(偏光子との耐湿熱接着性評価)
A4版大の偏光板を60℃、95%RHの環境下に1000時間放置した。 その後に偏光子と偏光子保護膜との剥がれ面積を算出し、その面積が1.0%以下であるものを「接着性が保たれている」とした。
製造例1 〔メタクリル系樹脂〕
メタクリル酸メチル単位91質量%およびアクリル酸メチル単位9質量%からなるメタクリル系樹脂(A−1)をバルク重合法により作製した。作製したメタクリル系樹脂は、重量平均分子量(Mw)が100,000、主分散ピーク温度TαAが128℃であった。
製造例2 〔ポリビニルアセタール樹脂〕
表1に示す粘度平均重合度およびけん化度を有するポリビニルアルコール樹脂の水溶液に、表1に示すアルデヒドならびに酸触媒としての塩酸を添加し、攪拌することによって、アセタール化反応を行った。該反応の進行に伴って樹脂が析出した。公知の方法に従ってpH6になるまでスラリーを洗浄し、次いでアルカリ性にした水性媒体中に懸濁させて攪拌し、次いでpH=7になるまで洗浄した。その後、揮発分が1.0%になるまで乾燥することによって、表1に示す繰返単位を有するポリビニルアセタール樹脂(B−1)〜(B−4)を得た。得られたポリビニルアセタール樹脂のアルカリ金属(Na)含有量を表1に示す。
Figure 0006297984
実施例1
メタクリル系樹脂(A−1)92部、ポリビニルアセタール樹脂(B−1)8部および酸化防止剤(スミライザーGP、住友化学社製)0.5部を、二軸混練押出機(TEX−44α、L/D=40、日本製鋼所社製)を用いてシリンダー温度240℃、スクリュー回転数200rpmで混練して、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いて、各試験用の試験片を作製した。
得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを、幅500mmのTダイを設置した押出成形機(プラスチック工学研究所製、GT−40)を用いて、厚さ100μmのフィルムを作製し、さらに一方向に2倍の延伸を行い50μmの光学フィルムを得た。
得られたフィルムは、ヘイズが0.2%、面内方向レタデーションが<1nmであった。
なお、フィルムのヘイズはJIS K7136に則って、日本電飾産業製 ヘイズメーター NDH5000を用いて測定した。
フィルムの面内方向レタデーションは、大塚電子株式会社製RETS−1100を用いて測定波長589nmにて測定した。
評価結果を表2に示す。
実施例2〜3、比較例1〜4
表2に示す処方に変えた以外は実施例1と同じ手法にて熱可塑性樹脂組成物のペレットを得、光学フィルムを得た。評価結果を表2に示す。
Figure 0006297984
表2からわかるように、メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とを特定の配合比率で溶融混練してなる熱可塑性樹脂組成物用いて溶融押出製膜した後に延伸した光学フィルムは、低ヘイズ、可視光線透過率が高いといった光学特性に優れ、低レタデーションであり、靭性が高く、連続生産性にも優れたものであることがわかる。
実施例5
[偏光板の作製]
実施例1で得た光学フィルムを偏光子保護膜として用いた。
偏光子保護膜を、60℃、95%RHの恒温高湿槽の中に1000時間放置した。放置後のヘイズは0.2%であった。この偏光子保護膜は、耐湿熱性が高いことがわかった。
[偏光子の作製]
厚さ70μmのポリビニルアルコール樹脂(重合度1700、ケン化度99モル%)製のフィルムを、ヨウ素1部、ヨウ化カリウム10部、ほう酸5部及び水100部からなる染色浴に浸漬して染色した。次いで染色されたフィルムを30℃で4倍に一軸延伸して、偏光子を得た。
[接着剤組成物の作製]
アセトアセチル基変性したポリビニルアルコール樹脂(アセチル化度13%)100質量部と、メチロールメラミン20質量部とを水に溶解させ、次いで濃度0.5質量%になるように水で希釈して、アクリル系接着剤組成物を得た。
[偏光板の作製]
偏光子の両面にアクリル系接着剤組成物を塗布し、次いで上記の偏光子保護膜を貼り合せて、偏光板を作製した。
(偏光子との耐湿熱接着性評価)
得られた偏光板をA4版大に切り出した。これを60℃、95%RHの環境下に1000時間放置した。 その後、偏光子と偏光子保護膜の接着界面を観察したところ、全く剥がれがなく(剥がれ面積0%)、接着性が保たれていることがわかった。また、当該偏光板は、60℃、95%RHの環境下に1000時間放置前後でのヘイズ変化率が50%以下であった。

Claims (12)

  1. メタクリル系樹脂(A)と、
    粘度平均重合度500以上2000以下のポリビニルアルコール樹脂を原料として得られる、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の含有量が100ppm以下であるポリビニルアセタール樹脂(B)と、
    を質量比[(A)/(B)]99/1〜82/18で含有し、
    該ポリビニルアセタール樹脂(B)が前記ポリビニルアルコール樹脂を炭素数3以下のアルデヒドと任意で炭素数4以上のアルデヒドとでアセタール化して得られる樹脂であり、アルデヒドでアセタール化されたビニルアルコール単位の総量が全繰り返し単位の55〜85モル%であり、かつ炭素数4以上のアルデヒドでアセタール化されたビニルアルコール単位/炭素数3以下のアルデヒドでアセタール化されたビニルアルコール単位のモル比が90/10〜0/100である、
    射出成形法で得られる1A形ダンベル試験片(厚さ2mm)のヘイズが0.5%以下になり、かつ射出成形法で得られる1A形ダンベル試験片(厚さ2mm)の2mm厚部で測定した波長589nmにおける面内方向レタデーションが20nm以下になる熱可塑性樹脂組成物を、
    溶融押出製膜した後に1.3倍以上延伸して得られた、
    面内方向レタデーションが10nm以下である光学フィルム。
  2. 熱可塑性樹脂組成物が、メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)と を質量比[(A)/(B)]97/3〜92/8で含有する請求項1に記載の光学フィル ム。
  3. ポリビニルアセタール樹脂(B)に含まれるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の量が0.1〜100ppmである請求項1または2に記載の光学フィルム。
  4. ポリビニルアセタール樹脂(B)を構成するビニルエステル単位の量が5モル%未満である請求項1〜3のいずれかひとつに記載の光学フィルム。
  5. ポリビニルアセタール樹脂(B)のアセタール化度が55〜85モル%である請求項1〜のいずれかひとつに記載の光学フィルム。
  6. メタクリル系樹脂(A)を構成するメタクリル酸メチル単位の量が90質量%以上である請求項1〜のいずれかひとつに記載の光学フィルム。
  7. ポリビニルアセタール樹脂(B)は、前記ポリビニルアルコール樹脂をブチルアルデヒドおよびアセトアルデヒドで共アセタール化して得られる樹脂である、請求項1〜のいずれかひとつに記載の光学フィルム。
  8. 請求項1〜のいずれかひとつに記載の光学フィルムからなる偏光子保護膜。
  9. 60℃、95%RHの環境下に1000時間放置された後で、偏光子との接着性が保たれかつ偏光子保護膜自体のヘイズの変化率が50%以下である、請求項に記載の偏光子保護膜。
  10. 請求項またはに記載の偏光子保護膜を少なくとも1枚含む偏光板。
  11. 請求項1〜のいずれかひとつに記載の光学フィルムからなる位相差フィルム。
  12. 請求項1〜7のいずれかひとつに記載の光学フィルムの製造方法であって、熱可塑性樹 脂組成物を溶融押出製膜した後に1.3倍以上延伸する工程を含む製造方法。
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