JP5535433B2 - アクリル系熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、改善された靭性を持つ透明な成形体が得られるアクリル系熱可塑性樹脂組成物に関し、特に延伸した時、折り曲げた時、衝撃を受けた時、および/または長時間湿熱条件下に放置された時に、白化しない成形体が得られるアクリル系熱可塑性樹脂組成物に関する。また、本発明は、表面硬度および剛性と靭性とのバランスに優れた透明な成形体が得られるアクリル系熱可塑性樹脂組成物に関する。
ポリメタクリル酸メチルを主体とする熱可塑性重合体(メタクリル系樹脂)は透明性(可視光領域における全光線透過率が高いこと)および表面硬度に優れた特性を有しているため様々な分野で使用されている。ところが、このメタクリル系樹脂は用途により機械的特性、特に靭性が不足することがあり、その改善が求められている。
機械的特性を改善する方法として、エマルジョン重合により合成されたゴム層とメタクリル系樹脂層とからなるコア−シェル型粒子を、ポリメタクリル酸メチルを主体とする熱可塑性重合体(メタクリル系樹脂)にブレンドする方法が一般に用いられている。しかし、この方法により得られた組成物からなる成形体は耐衝撃性の改善はみられるものの靭性の改良は不十分であり、しかも、ゴム成分の配合により、表面硬度の低下、剛性の低下、耐熱性の低下を引き起こす。また、引張り時、折り曲げ時等の応力がかかった際に応力集中部が白化することがある。さらに、衝撃が加わったり、長時間湿熱条件下に放置された場合に白化することがある。また、該白化によって、透明性が失われ、成形体の有する意匠性・高級感が損なわれやすい。
メタクリル系樹脂の靭性を改善する他の方法として、メタクリル酸メチルにガラス転移温度を低下させる他のモノマーを共重合する方法が提案されている。しかし、この方法では剛性および耐熱性が大幅に低下するという問題がある。
メタクリル系樹脂に他のポリマーをブレンドすることにより得られるメタクリル系樹脂組成物が提案されている。
メタクリル系樹脂にブレンドする他のポリマーとして、例えば、特定組成のスチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデンなどのポリマーが提案されている。しかし、これらポリマーのブレンドでは靭性を十分に改良することができていない。
ポリエチレンオキサイドをブレンド用ポリマーとして用いることが提案されている。このポリエチレンオキサイドは、ポリメタクリル酸メチルとの混和性に優れ、靭性の改善が期待できるが、ガラス転移温度が低いため、ブレンド物の剛性・耐熱性の低下が避けられない。
また、靭性・耐熱性・透明性のバランスを改良することが期待できるポリマーとしてポリカーボネートが挙げられている。ビスフェノールAのポリカーボネートとポリメタクリル酸メチルとの透明な組成物は、例えば、ポリメタクリル酸メチルとポリカーボネートとをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液をヘプタンに添加して沈殿させ、該沈殿物をポリメタクリル酸メチルおよびポリカーボネートのガラス転移温度以上で熱処理することによって得られると報告されている。しかし、該組成物からなる成形体は表面硬度が低く、組成物の調製に溶剤を使用するため、溶剤除去に大きなエネルギーを必要とし、生産性が低い。また、ポリカーボネートとポリメタクリル酸メチルとを溶融混練する方法も報告されている。しかし、溶融混練によって得られた組成物は、ポリカーボネートとポリメタクリル酸メチルとが相分離して、真珠光沢を有した不透明成形体になる(非特許文献1)。
ポリメタクリル酸メチルと相溶する可能性のあるポリマーとしてポリビニルブチラールが挙げられる。
非特許文献2には、メタクリル酸メチル樹脂とポリビニルブチラールとは、相溶性が弱く、それらを混合して得られたものは、通常、相分離して2相構造となるが、分子量の低いメタクリル酸メチル樹脂を用いた場合には相溶して単一相になる可能性があると記載されている。非特許文献2の図5にはビニルアルコール単位を様々な量で含有するポリビニルブチラール50質量部とメタクリル酸メチル樹脂50質量部とのブレンド物を溶媒に溶解して、キャスト成形して得られたフィルムの光学顕微鏡観察像が示されている。このフィルムはメタクリル酸メチル樹脂が様々な大きさの分散相となった相分離構造を有している。
非特許文献3には、重量平均分子量12万のポリメタクリル酸メチルと、ポリビニルブチラールとを様々な割合で溶融混練してブレンド物を得たことが記載されている。ポリビニルブチラールの割合が多いブレンド物は、引張試験における破断時伸びが大きくなり、降伏挙動が観察され、靭性が改良されると非特許文献3に記載されている。しかし、非特許文献3に記載のポリビニルブチラールの割合が多いブレンド物は力学物性が不十分であった。一方、ポリビニルブチラールが50質量%未満混合されたブレンド物は、靭性の改良効果がほとんど見られず、力学物性も不十分であった。
さらに、特許文献1には、メタクリル系共重合体ブロックとアクリル系重合体ブロックとを含有するブロック共重合体、及び可塑化ポリビニルアセタール樹脂からなる樹脂組成物が開示されている。この樹脂組成物は、二枚のガラス板を接着するために用いられ、大気との接触による白化現象が抑えられているものであると特許文献1は記載している。しかし、この樹脂組成物は表面硬度が非常に低い。
Journal of Polymer Science PART B, Polymer Physics, Vol.25, 1459 (1987) Macromolecules, Vol.34, 4277 (2001) J. Ind. Eng. Chem., Vol.8, No.6, 530 (2002) 特開2003−40653号公報
本発明の目的は、メタクリル系樹脂が本来有していた透明性、高い表面硬度・高剛性・耐候性・耐熱性などの特長を保持しつつ、靭性の改良されたアクリル系熱可塑性樹脂組成物を提供することであり、特に延伸したり、折り曲げたり、衝撃が加わったり、長時間湿熱条件下に放置されたりした際に白化しないアクリル系熱可塑性樹脂組成物を提供することである。さらに、本発明の他の目的は、該アクリル系熱可塑性樹脂組成物の特長が効果的に発揮される成形体、特にフィルム(本発明において「フィルム」とは、厚さが、通常500μm以下のものである。)を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、メタクリル系樹脂とポリビニルアセタール樹脂とを、特定の条件下で溶融混練することによって、少なくともメタクリル系樹脂(A)が連続相を形成しており、アクリル系熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度のうちメタクリル系樹脂(A)に起因するガラス転移温度TgAPが、メタクリル系樹脂(A)単独でのガラス転移温度(TgA)とポリビニルアセタール樹脂(B)単独でのガラス転移温度(TgB)との間の値を示すアクリル系熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出した。そして、このアクリル系熱可塑性樹脂組成物は、メタクリル系樹脂が本来有していた透明性、高表面硬度、高剛性、耐候性、耐熱性などの特性を保持しつつ、且つ靭性が良好であることを見出した。そして、この組成物からなる成形体やフィルムを延伸したり、折り曲げたり、または衝撃を与えたり、長時間湿熱条件下に放置したりしても、ほとんど白化しないことを見出した。さらに、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物からなる成形体(フィルム)はメタクリル系樹脂だけからなるフィルムと比較して引裂き強度が高くなり、取扱い性が大きく改良されることを見出した。
本発明はこれらの知見に基づいてさらに検討し、完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とを含有してなるアクリル系熱可塑性樹脂組成物であって、少なくともメタクリル系樹脂(A)が連続相を形成しており、アクリル系熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度のうちメタクリル系樹脂(A)に起因するガラス転移温度TgAPが、メタクリル系樹脂(A)単独でのガラス転移温度(TgA)とポリビニルアセタール樹脂(B)単独でのガラス転移温度(TgB)との間の値を示すアクリル系熱可塑性樹脂組成物である。
該樹脂組成物は、メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とを、せん断速度100sec-1以上のせん断をかけながら樹脂温度140℃以上で溶融混練し、次いで120℃以下の温度に冷却することによって得られる。
なお、本発明においてガラス転移温度は損失正接(tanδ)の主分散のピーク温度である。損失正接(tanδ)の主分散のピーク温度は、実施例の欄に記載した方法によって測定する。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物は、メタクリル系樹脂が本来有していた透明性、高表面硬度、高剛性、耐候性、耐熱性などの特性を保持しつつ、且つ靭性が良好である。この組成物からなる成形体及びフィルムは、延伸したり、折り曲げたり、衝撃を与えたり、長時間湿熱条件下に放置されたりしても、ほとんど白化しない。さらに、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物からなる成形体(フィルム)はメタクリル系樹脂だけからなるフィルムと比較して引裂き強度が高くなっているので、取扱いが容易である。このような特長を有する本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物は、より広範囲の用途に使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物は、メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とを含有してなるものである。
本発明に用いられるメタクリル系樹脂(A)は、アルキルメタクリレートを含有する単量体混合物を重合することによって得られる。
アルキルメタクリレートとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ミリスチルメタクリレート、パルミチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレートなどが挙げられる。これらのアルキルメタリレートは単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。これらのうち、アルキル基の炭素数が1〜4であるアルキルメタクリレートが好ましく、メチルメタクリレートが特に好ましい。
アルキルメタクリレート以外の単量体としては、アルキルアクリレートが挙げられる。またアルキルメタクリレート及びアルキルアクリレートと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体が挙げられる。
アルキルアクリレートとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ミリスチルアクリレート、パルミチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレートなどが挙げられる。これらのうち、アルキル基の炭素数が1〜8であるアルキルアクリレートが好ましい。これらのアルキルアクリレートは単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
アルキルメタクリレート及びアルキルアクリレートと共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレンなどのジエン系化合物;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、ハロゲンで核置換されたスチレン、1−ビニルナフタレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレンなどのビニル芳香族化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのエチレン性不飽和ニトリル類;アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、無水マレイン酸、マレイン酸イミド、モノメチルマレエート、ジメチルマレエートなどを挙げることができる。これらのエチレン性不飽和単量体は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明に用いられるメタクリル系樹脂(A)は、アルキルメタクリレート単位の割合が、耐候性の観点から、50〜100質量%であることが好ましく、80〜99.9質量%であることがより好ましい。
また、メタクリル系樹脂(A)の耐熱性の観点から0.1〜20質量%の範囲でアルキルアクリレート単位を含有することが好ましい。
本発明に用いられるメタクリル系樹脂(A)は、強度特性および溶融性の点から、重量平均分子量(Mwと表記、以下同じ)が、好ましくは40,000以上、より好ましくは40,000〜10,000,000であり、特に好ましくは80,000〜1,000,000である。
本発明に用いられるメタクリル系樹脂(A)は、単量体が線状に結合したものであっても良いし、分岐を有するものであっても良いし、環状構造を有するものであっても良い。
本発明に用いられるメタクリル系樹脂(A)は、α,β−不飽和化合物を重合させることができる方法であれば特にその製法によって制限されないが、ラジカル重合によって製造されたものが好ましい。重合法としては、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合などが挙げられる。
重合時に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスγ−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、クミルパーオキサイド、オキシネオデカノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルクミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの過酸化物が挙げられる。重合開始剤は、全単量体100質量部に対して通常0.05〜0.5質量部用いられる。重合は、通常50〜140℃の温度で、通常2〜20時間行われる。
メタクリル系樹脂(A)の分子量を制御するためには、連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤としては、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、エチルチオグリコエート、メルカプトエタノール、チオ−β−ナフトール、チオフェノール等が挙げられる。連鎖移動剤は、全単量体に対し通常0.005〜0.5質量%の範囲で使用される。
本発明で用いられるメタクリル系樹脂(A)は、必要に応じて各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、加工助剤、帯電防止剤、着色剤、耐衝撃助剤、発泡剤、充填剤、艶消し剤などが配合されていてもよい。なお、熱可塑性樹脂組成物の力学物性および表面硬度の観点から軟化剤や可塑剤を多量には含まないことが好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂(B)は、通常、化1に表される繰り返し単位を有する樹脂である。
Figure 0005535433
化1中、nは、アセタール化に用いたアルデヒドの種類の数(自然数)、R1、R2、・・・・、Rnはアセタール化反応に用いたアルデヒドのアルキル残基または水素原子、k(1)、k(2)、・・・、k(n)はそれぞれR1、R2、・・・、Rnを含むアセタール単位の割合(mol比)、lは、ビニルアルコール単位の割合(mol比)、mはビニルアセテート単位の割合(mol比)である。ただし、k(1)+k(2)+・・・+k(n)+l+m=1であり、k(1)、k(2)、・・・、k(n)、l、及びmはいずれかがゼロであってもよい。各繰返し単位は、化1に示す配列順序によって特に制限されず、ランダムに配列されていてもよいし、ブロック状に配列されていてもよいし、テーパー状に配列されていてもよい。
本発明に用いられるポリビニルアセタール樹脂(B)は、例えば、ポリビニルアルコール樹脂とアルデヒドとを反応させることによって得ることができる。
ポリビニルアセタール樹脂の製造に用いられるポリビニルアルコール樹脂は、数平均重合度が通常200〜4,000、好ましくは300〜3,000、より好ましくは500〜2,000のものである。ポリビニルアルコール樹脂の数平均重合度が200未満であると、得られるポリビニルアセタール樹脂の力学物性が不足し、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物の力学物性、特に靭性が不足する傾向がある。一方、ポリビニルアルコール樹脂の数平均重合度が4,000を超えると本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物を溶融混練する際の溶融粘度が高くなり、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物の製造が困難になる傾向がある。
ポリビニルアルコール樹脂は、その製法によって特に限定されず、例えば、ポリ酢酸ビニル等をアルカリ、酸、アンモニア水等によりけん化することにより製造されたものを用いることができる。
ポリビニルアルコール樹脂は、完全けん化されたものであってもよいが、部分的にけん化された部分けん化ポリビニルアルコール樹脂であってもよい。けん化度は80mol%以上のものを用いることが好ましい。
また、上記ポリビニルアルコール樹脂として、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、部分けん化エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂等の、ビニルアルコールとビニルアルコールと共重合可能なモノマーとの共重合体を用いることができる。さらに、一部にカルボン酸等が導入された変性ポリビニルアルコール樹脂を用いることができる。
これらポリビニルアルコール樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリビニルアセタール樹脂の製造に用いられるアルデヒドは特に制限されない。例えば、ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドを含む)、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒドを含む)、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒドは単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらアルデヒドのうち、製造の容易度の観点から、ブチルアルデヒドを主体とするものが好ましい。
ポリビニルアルコール樹脂のアセタール化をブチルアルデヒドを主体とするアルデヒドで行って得られるポリビニルアセタール樹脂(B)を特にポリビニルブチラールと呼ぶ。本発明では、ポリビニルアセタール樹脂中に存在するアセタール単位のうち、ブチラール単位の割合(下式参照)が0.9を超えて有するポリビニルブチラールが好ましい。すなわち、化1に示すポリビニルアセタール樹脂の構造式において、R1=C37(ブチルアルデヒドのアルキル残基)であるとき、k(1)/(k(1)+k(2)+・・・+k(n))>0.9であるものが好ましい。
ポリビニルアルコール樹脂とアルデヒドとの反応((共)アセタール化反応)は、公知の方法で行うことができる。例えば、ポリビニルアルコール樹脂の水溶液とアルデヒドとを酸触媒の存在下、アセタール化反応させて樹脂粒子を析出させる水媒法、ポリビニルアルコール樹脂を有機溶媒中に分散させ、酸触媒の存在下、アルデヒドとアセタール化反応させ、この反応液をポリビニルアセタール樹脂に対して貧溶媒である水等により析出させる溶媒法などが挙げられる。これらのうち水媒法が好ましい。
上記酸触媒は特に限定されず、例えば、酢酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸類;硝酸、硫酸、塩酸等の無機酸類;炭酸ガス等の水溶液にした際に酸性を示す気体、陽イオン交換体や金属酸化物等の固体酸触媒などが挙げられる。
本発明に用いられるポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、好ましくは55〜83mol%である。この範囲のアセタール化度を有するポリビニルアセタール樹脂を用いることによって、溶融加工または製造が容易で且つ安価に本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
なお、ポリビニルアセタール樹脂(B)のアセタール化度(mol%)は、以下の式で定義することができる。
アセタール化度(mol%)=
{k(1)+k(2)+・・・+k(n)}×2
/{{k(1)+k(2)+・・・+k(n)}×2+l+m}×100
ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、JIS K6728(1977年)に記載の方法に則って、ビニルアルコールユニットの質量割合(l0)および酢酸ビニルユニットの割合(m0)を滴定によって求め、ビニルアセタールユニットの質量割合(k0)をk0=1−l0−m0によって求め、これからビニルアルコールユニットのモル割合(l)および酢酸ビニルユニットのモル割合(m)を計算し、k=1−l−mの計算式によりビニルアセタールユニットの割合(k=k(1)+k(2)+・・・+k(n))を計算し、アセタール化度(mol%)={k(1)+k(2)+・・・+k(n)}×2/{{k(1)+k(2)+・・・+k(n)}×2+l+m}×100によって求めても良いし、ポリビニルアセタール樹脂を重水素化ジメチルスルフォキサイドに溶解し、1H−MMR、または13C−NMRを測定して算出しても良い。
ブチルアルデヒドでアセタール化された割合は特にブチラール化度と呼ばれる。化1に示すポリビニルアセタールの構造式において、R1=C37(ブチルアルデヒドのアルキル残基)であるとき、ブチラール化度は下式で定義される。
ブチラール化度(mol%)={k(1)}×2
/{{k(1)+k(2)+・・・+k(n)}×2+l+m}×100
本発明に用いられるポリビニルアセタール樹脂は、ブチラール化度が55〜75mol%であることがさらに好ましい。すなわち、0.55≦k(1)≦0.75であることが好ましい。ブチラール化度が上記範囲にあるポリビニルアセタール樹脂を用いると、力学特性、特に靭性に優れ、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物を容易に且つ安価に得ることができる。また、ブチラール化度が上記範囲にあるポリビニルアセタール樹脂を用いると、メタクリル系樹脂(A)の屈折率とポリビニルブチラールの屈折率との差が小さくなり、メタクリル系樹脂(A)の特長である透明性(高可視光線透過率・低ヘイズ)が保持されやすい。さらに、延伸した際、折り曲げた際、衝撃を受けた際および/または長時間湿熱条件下に置かれた際にほとんど白化しないという特長があらわれやすい。
また、好適なポリビニルアセタール樹脂は、ビニルアルコール単位を通常17〜45モル%(0.17≦l≦0.45)含み、ビニルアセテート単位を通常0モル%以上5モル%以下(0≦m≦0.05)、好ましくは0モル%以上3モル%以下(0≦m≦0.03)含む。
水媒法及び溶媒法等において生成したスラリーは、通常、酸触媒によって酸性を呈している。酸触媒を除去する方法として、該スラリーの水洗を繰り返し、pHを通常5〜9、好ましくは6〜9、さらに好ましくは6〜8に調整する方法;該スラリーに中和剤を添加して、pHを通常5〜9、好ましくは6〜9、さらに好ましくは6〜8に調整する方法;アルキレンオキサイド類等を添加する方法などが挙げられる。
上記酸触媒除去のために用いる化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属化合物やアンモニア、アンモニア水溶液が挙げられる。また、アルキレンオキサイド類としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド;エチレングリコールジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類が挙げられる。
次に中和により生成した塩、アルデヒドの反応残渣などを除去する。除去方法は特に制限されず、脱水と水洗を繰り返すなどの方法が通常用いられる。
残渣等が除去された含水状態のポリビニルアセタール樹脂は、必要に応じて乾燥され、必要に応じてパウダー状、顆粒状あるいはペレット状に加工され、成形材料として供される。パウダー状、顆粒状あるいはペレット状に加工される際に、減圧状態で脱気することによりアルデヒドの反応残渣や水分などを低減しておくことが好ましい。
本発明で用いられるポリビニルアセタール樹脂は、必要に応じて各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、加工助剤、帯電防止剤、着色剤、耐衝撃助剤、発泡剤、充填剤、艶消し剤などが配合されていてもよい。なお、熱可塑性樹脂組成物の力学物性および表面硬度の観点から軟化剤や可塑剤を多量には含まないことが好ましい。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物は、動的粘弾性測定においてガラス転移温度が少なくとも二つ観測される。一つは、熱可塑性樹脂組成物中のメタクリル系樹脂(A)に起因するガラス転移温度(TgAP)であり、もう一つは該熱可塑性樹脂組成物中のポリビニルアセタール樹脂(B)に起因するガラス転移温度(TgBP)である。
熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度が一つしか観測できない場合は、すなわちTgAP=TgBPとなる場合は、熱可塑性樹脂組成物中のメタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とが完全な相溶状態になっていることを示している。
TgAP=TgA、TgBP=TgBとなる場合は、メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とが完全な非相溶の状態になっていることを示している。
これに対して、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂組成物中のメタクリル系樹脂(A)に起因するガラス転移温度TgAPが、メタクリル系樹脂(A)単独でのガラス転移温度(TgA)とポリビニルアセタール樹脂(B)単独でのガラス転移温度(TgB)との間の値である。すなわち、TgB<TgAP<TgA、又はTgA<TgAP<TgBの関係を満たしている。このような関係を満たすTgAPを持つ本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物は、メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とが部分的に相溶した状態になっていると考えられる。そして、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物は、少なくともメタクリル系樹脂(A)によって連続相が形成されているものである。
なお、本発明において、メタクリル系樹脂(A)が二以上のメタクリル系樹脂の組み合わせである場合は、その組み合わせたもののうちのいずれか一つのガラス転移温度をTgAとし、ポリビニルアセタール樹脂(B)が二以上のポリビニルアセタール樹脂の組み合わせである場合は、その組み合わせたもののうちのいずれか一つのガラス転移温度をTgBとし、上記関係、すなわちTgB<TgAP<TgA、又はTgA<TgAP<TgBの関係を満たしていればよい。
詳細な理由は明らかではないが、メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とが部分相溶である場合、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性、表面硬度及び剛性がメタクリル系樹脂とほぼ同等であり、且つ延伸した時、折り曲げた時、衝撃を受けた時および/または長時間湿熱条件下に置かれた時に白化し難くなっている。また、靭性、取扱い性なども優れている。
一方、メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とが完全相溶である場合は、樹脂組成物の表面硬度が低下傾向になる。また、メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とが完全相溶でTgB<TgAである場合には耐熱性が低下傾向になる。メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とが完全非相溶である場合は、強度が低下したり、白化したりするようになる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)との質量比(A)/(B)は、99/1〜51/49であることが好ましい。本発明の熱可塑性樹脂組成物の靭性、表面硬度および剛性の観点から、質量比(A)/(B)は、95/5〜60/40であることがより好ましく、90/10〜60/40であることが特に好ましい。
(B)の割合が1質量%を下回ると、本発明の熱可塑性樹脂組成物の靭性などの力学物性の改善効果が低下傾向になる。一方、(B)の割合が49質量%を上回ると、本発明の熱可塑性樹脂組成物の表面硬度(および剛性)が不足する傾向になる。
本発明の好ましい態様のアクリル系熱可塑性樹脂組成物は、JIS K7171にしたがって、長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの試験片を用いて歪み速度1mm/min.で試験した際の曲げ弾性率、および、JIS K7162にしたがって、1A形ダンベル状試験片を用いて歪み速度1mm/min.で試験した際の引張り弾性率、の少なくとも一方が2GPa以上であり、好ましくは、2.5GPa以上であり、さらに好ましくは2.7GPa以上である。
また、本発明の好適な態様のアクリル系熱可塑性樹脂組成物は、JIS K7171にしたがって、長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの試験片を用いて歪み速度1mm/min.で曲げ試験した際において、応力の降伏点を有している。なお、応力の降伏点は、固体において塑性変形がはじまる応力限界のことである。
さらに、本発明の好適な態様のアクリル系熱可塑性樹脂組成物は、温度60℃、湿度90%の条件下に、1500時間放置された前後におけるヘイズの変化(放置前のヘイズと放置後のヘイズとの差)が、1.0%未満である。
このような本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物を得るための製法は、メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とを、せん断速度100sec-1以上のせん断をかけながら樹脂温度140℃以上で溶融混練し、次いで120℃以下の温度に冷却する工程を含むものである。
さらに好適な製法では、メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とを、樹脂温度140℃以上で溶融混練する際に、せん断速度100sec-1以上のせん断を印加する段階と、該せん断をせん断速度50sec-1以下にする段階とをそれぞれ少なくとも2回経ることが好ましい。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物の製法では、メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とを、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、オープンロール、ニーダーなどの公知の混練機を用いて、各構成成分を溶融状態で混練することが重要である。これら混練機のうち、大きなせん断力が得られ、メタクリル系樹脂(A)が連続相を形成しやすく、生産性に優れ、せん断速度100sec-1以上のせん断を印加する段階と、該せん断をせん断速度50sec-1以下にする段階とをそれぞれ少なくとも2回含む工程を容易に作り出せることから、二軸押出機が好ましい。
溶融混練する際の樹脂温度は、140℃以上が必要であり、140〜270℃がより好ましく、160〜250℃が特に好ましい。
溶融混練する際に熱可塑性樹脂組成物に与える剪断は、剪断速度が100sec-1以上であることが必要であり、200sec-1以上であることが好ましい。
溶融混練した後、120℃以下の温度に冷却する。冷却は溶融状態のストランドを冷水を溜めた槽に浸すなどの方法で自然放冷に比べて急速に行うことが好ましい。急速冷却することによって、メタクリル系樹脂(A)が連続相を形成し、且つメタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とが部分相溶しやすくなる。さらに、分散相の大きさが非常に小さくなる。分散相の大きさは、通常、1μm以下、好ましくは200nm以下である。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物に、必要に応じて各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、安定剤、滑剤、加工助剤、帯電防止剤、着色剤、耐衝撃助剤、発泡剤、充填剤、艶消し剤などを添加してもよい。なお、熱可塑性樹脂組成物の力学物性および表面硬度の観点から軟化剤や可塑剤は多量に添加しないことが好ましい。
さらに、耐候性を向上させる目的で紫外線吸収剤を添加することができる。紫外線吸収剤の種類は特に限定されないが、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、または、トリアジン系のものが好ましい。紫外線吸収剤の添加量は、熱可塑性樹脂組成物に対して、通常0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%であり、さらに好ましくは0.1〜2質量%である。
なお、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物に添加される上記添加剤は、熱可塑性樹脂組成物を製造する際に添加してもよいし、後述する成形の直前に添加してもよい。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物は、例えば、ペレット形状や粉体形状の成形材料として使用される。そして、この成形材料を用いて、押出成形、射出成形、真空成形、圧空成形、ブロー成形、トランスファー成形、回転成形、パウダースラッシュ等公知の成形方法を行うことによって様々な成形体を製造することができる。本発明の好適な態様の成形体は、温度60℃、湿度90%の条件下に、1500時間放置された前後におけるヘイズの変化(放置前のヘイズと放置後のヘイズとの差)が、1.0%未満である。
特に本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物を、Tダイ法、カレンダー法、インフレーション法等の熱可塑性樹脂組成物に高いせん断力の掛かる溶融押出成形法および射出成形法に適用することが、透明性に優れ、改善された靭性を持ち、取扱い性に優れ、靭性と表面硬度および剛性とのバランスに優れ、延伸した時、折り曲げた時、衝撃を受けた時および/または長時間湿熱条件下に置かれた時に白化しにくい成形体を得るために好ましい。特にフィルム状成形体を得るためには経済性の観点等からTダイ法が好ましく用いられる。
溶融成形を行うにあたっての、好ましい樹脂温度は、160〜270℃である。成形後は、成形体を自然放冷に比べて急速に冷却することが好ましい。例えば、押し出された直後のフィルム状成形体を冷却ロールに接触させて急速冷却することが好ましい。このような急速な冷却を行うことによって、メタクリル系樹脂(A)が連続相を形成し、且つメタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とが部分相溶した成形体を得ることができる。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物からなる好適な態様のフィルムは、表面がJIS鉛筆硬度(厚さ100μm)で好ましくはHBまたはそれよりも硬く、より好ましくはFまたはそれよりも硬く、さらに好ましくはHまたはそれよりも硬い。表面が硬いフィルムは、傷つき難いので、意匠性の要求される成形品の表面の加飾兼保護フィルムとして好適に用いられる。さらに、本発明の好適な態様のフィルムは、温度60℃、湿度90%の条件下に、1500時間放置された前後におけるヘイズの変化(放置前のヘイズと放置後のヘイズとの差)が、1.0%未満である。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物を用いたフィルムは、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物からなる単層フィルムであっても良いし、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物と、他の樹脂や木製基材やケナフなどの非木質繊維からなる基材との積層フィルム(又は積層体)であってもよい。
積層フィルムでは、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物をフィルムの内層またはその一部に用いてもよいし、最外層に用いてもよい。フィルムの積層数に関しては特に制限はない。
積層フィルムに用いられる他の樹脂は、フィルムの意匠性の観点から、メタクリル系樹脂などの透明な樹脂が好ましい。
フィルムに傷がつきにくく、意匠性が長く持続するという観点から、最外層に用いる樹脂材料は、表面硬度および耐候性が高いものが好ましく、例えば、メタクリル系樹脂又は本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物が好ましい。
積層フィルムの製造方法は特に限定されないが、共押出し法により直接多層フィルムを製造する方法、単層で作製したフィルムを貼り合わせる方法等が挙げられる。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物は、各種の成形部品に適用することができる。該樹脂組成物の用途としては、例えば、広告塔、スタンド看板、袖看板、欄間看板、屋上看板等の看板部品やマーキングフィルム;ショーケース、仕切板、店舗ディスプレイ等のディスプレイ部品;蛍光灯カバー、ムード照明カバー、ランプシェード、光天井、光壁、シャンデリア等の照明部品;家具、ペンダント、ミラー等のインテリア部品;ドア、ドーム、安全窓ガラス、間仕切り、階段腰板、バルコニー腰板、レジャー用建築物の屋根等の建築用部品;航空機風防、パイロット用バイザー、オートバイ、モーターボート風防、バス用遮光板、自動車用サイドバイザー、リアバイザー、ヘッドウィング、ヘッドライトカバー、自動車内装部材、バンパーなどの自動車外装部材等の輸送機関係部品;音響映像用銘板、ステレオカバー、テレビ保護マスク、自動販売機、携帯電話、パソコン等の電子機器部品;保育器、レントゲン部品等の医療機器部品;機械カバー、計器カバー、実験装置、定規、文字盤、観察窓等の機器関係部品;液晶保護板、導光板、導光フィルム、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、各種ディスプレイの前面板、拡散板等の光学関係部品;道路標識、案内板、カーブミラー、防音壁等の交通関係部品;その他、温室、大型水槽、箱水槽、浴室部材、時計パネル、バスタブ、サニタリー、デスクマット、遊技部品、玩具、熔接時の顔面保護用マスク;パソコン、携帯電話、家具、自動販売機、浴室部材などに用いる表面材料等が挙げられる。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物を用いると、靭性と表面硬度および剛性とのバランスに優れ、さらに引裂き強度に優れるため取扱いが容易となり、しかも延伸した時、折り曲げた時および/または衝撃を受けた時に白化しないので意匠性に優れた成形体を得ることができる。本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物からなるフィルム状またはシート状成形体を、鋼材、プラスチックシート、木材、ガラス等からなる基材に接着、ラミネート、インサート成形、あるいはインモールド成形などで成形すると、それら基材の意匠性を向上させ、また基材を保護することができる。さらに、基材に複合させた本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物の上に紫外線(UV)または電子線(EB)の照射によって硬化してなるコーティング層を付与することによって、さらに意匠性と保護性を高めることができる。本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物と、鋼材、プラスチック、木材、ガラス等からなる基材とを共押し出しすることによって基材の意匠性を向上させることができる。また、優れた意匠性を活かして、壁紙;自動車内装部材表面;バンパーなどの自動車外装部材表面;携帯電話表面;家具表面;パソコン表面;自動販売機表面;浴槽などの浴室部材表面等にも好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによりなんら限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は、特に断りのない限り「質量部」を表し、「%」は、特に断りのない限り「質量%」を表す。
熱可塑性樹脂組成物等の成形材料の物性評価を以下の方法に従って行った。
(1)重量平均分子量
テトラヒドロフランを溶媒に用い、昭和電工株式会社製Shodex(商標)GPC SYSTEM11に、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー用カラムとしてShodex(商標)KF−806Lを繋ぎ、検出器としてShodex(商標)示差屈折率検出器RI−101を用いて測定した。試料溶液は、重合体を3mg精秤し、これを3mlのテトラヒドロフランに溶解し、0.45μmのメンブランフィルターでろ過することにより調製した。測定の際の流量は、1.0ml/min.とし、ポリマーラボラトリーズ製標準ポリメタクリル酸メチルで作製した検量線に基づいて、ポリメタクリル酸メチル換算分子量として重量平均分子量(Mw)を算出した。
(2)曲げ試験における弾性率、降伏点伸度、破断伸度、靭性および白化状態の観察
曲げ試験における弾性率、降伏点伸度、破断伸度は、JIS K7171に従い、株式会社島津製作所製オートグラフAG−5000Bを用いて、射出成形法で得られた長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの試験片を用いて歪み速度1mm/min.で測定した。
靭性は、試験片が破断するまでに要するエネルギーで評価した。
白化状態は、曲げ歪み20%における試験片の白化状態を目視で観察することにより行い、試験片の長さ方向の白化している部分の長さが2mm以上であるものを×、0.3mm以上かつ2mm未満であるものを△、0.3mm未満であるものを○、その中で全く白化が見られないものを◎として評価した。
(3)引張り試験における弾性率、破断伸度、靭性および白化状態の観察
引張り試験における弾性率は、JIS K7162に従い、株式会社島津製作所製オートグラフAG−5000Bを用いて、射出成形法で得られた1A形ダンベル状試験片を用いて歪み速度1mm/min.で測定した。破断伸度、靭性および白化状態の観察は、JIS K7162に従い、株式会社島津製作所製オートグラフAG−5000Bを用いて、射出成形法で得られた1A形ダンベル状試験片を用いて歪み速度5mm/min.で測定することにより評価した。靭性は、試験片が破断するまでに要するエネルギーで評価した。
白化状態は、引張り歪み10%における試験片の白化状態を目視で観察することにより行い、試験片の長さ方向の白化している部分の長さが10mm以上であるものを×、1mm以上かつ10mm未満であるものを△、1mm未満であるものを○、その中で全く白化が見られないものを◎として評価した。
(4)ガラス転移温度(Tg)
損失正接(tanδ)の主分散のピーク温度(Tg)は、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製EXSTAR6000 DMSを用いて、射出成形で得られた試験片を切断することによって得た長さ60mm×幅10mm×厚さ4mmの直方体試験片を曲げモード(両持ち梁測定)において、正弦波振動10Hz、昇温速度3℃/min.により測定した。
(5)熱可塑性樹脂組成物の表面硬度
JIS K7202−2に従い、射出成形で得られた100mm×100mm×厚さ4mmの平板を用いてロックウェル硬度(Mスケール)を測定した。
(6)熱可塑性樹脂組成物のヘイズ
JIS K7136に従い、厚さ4mmの試験片で測定した。
(7)透過電子顕微鏡によるモルフォロジー観察
射出成形で得られた試験片からウルトラミクロトーム(RICA社製ReichertULTRACUT−S)を用いて超薄切片を作製した後、熱可塑性樹脂組成物のポリビニルアセタール部分を四酸化ルテニウムの蒸気で電子染色し、試料を作製した。こうして作成した試料のモルフォロジーを株式会社日立製作所製透過電子顕微鏡H−800NAを用いて観察した。観察されたモルフォロジーにおいて非染色部(メタクリル系樹脂(A))が連続相を形成していたものを○、メタクリル系樹脂(A)が不連続であったものを×として評価した。
(8)耐湿熱性
射出成形で得られた100mm×100mm×厚さ4mmの平板を60℃、95%RHの条件下に1500時間放置した。該処理前後のヘイズの差(ΔH)により耐湿熱性を評価した。
〔ポリビニルアセタール樹脂〕
ポリビニルアルコール樹脂を溶解した水溶液に、アルデヒド化合物ならびに酸触媒(塩酸)を添加し、攪拌してアセタール化し、樹脂を析出させた。公知の方法に従ってpH=6になるまで洗浄し、次いでアルカリ性にした水性媒体中に懸濁させて攪拌しながら後処理し、再びpH=7になるまで洗浄し、揮発分が1.0%になるまで乾燥することにより、表1に示すポリビニルアセタール樹脂をそれぞれ得た。
ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、下記の手順にて求めた。
まず、JIS K6728(1977年)に記載の方法に則って、ビニルアルコールユニットの質量割合(l0)および酢酸ビニルユニットの質量割合(m0)を後記の方法によって求め、さらに、ビニルアセタールユニットの質量割合(k0)をk0=1−l0−m0によって求めた。
次に、l=(l0/44.1)/(l0/44.1+m0/86.1+2k0/Mw(acetal)およびm=(m086.1)/(l0/44.1+m0/86.1+2k0/Mw(acetal)を計算によって求め、k=1−l−mの計算式によりビニルアセタールユニットの割合(k=k(1)+k(2)+・・・+k(n))を計算し、最後に、アセタール化度(mol%)={k(1)+k(2)+・・・+k(n)}×2/{{k(1)+k(2)+・・・+k(n)}×2+l+m}×100によって求めた。
ここで、Mw(acetal)はアセタール化ユニットひとつあたりの分子量であり、例えば、ポリビニルブチラールのとき、Mw(acetal)=Mw(butyral)=142.2である。
また、ブチルアルデヒドとその他のアルデヒドとで共アセタール化した場合は、1H−NMR、または13C−NMRを測定し、各々のアセタール化度(mol%)を算出することができる。
〔l0およびm0の求め方〕
ポリビニルアセタール樹脂約0.4gを共せん付き三角フラスコに正確に量りとり、ピリジン/無水酢酸(体積比92/8)の混合液10mlをピペットで加えて溶解し、冷却器をつけて温度50℃の水浴上で120分間加熱した。冷却後ジクロロエタン20mlを加えてよく振り混ぜ、さらに水50mlを加え、栓をして激しく振り混ぜた後、30分間放置した。生成した酢酸をN/2水酸化ナトリウム溶液でフェノールフタレインを指示薬として激しく振り混ぜながら微紅色をするまで滴定し、その滴定量をa(ml)とする。別にブランク試験を行い、これに要したN/2水酸化ナトリウム溶液の滴定量をb(ml)とし、次の式により求めた。
0=2.2×(b−a)×Fl/(sl×Pl
式中の、s1:ポリビニルアセタール樹脂の質量、Pl:純分(%)、Fl:N/2水酸化ナトリウム溶液の力価である。
また、ポリビニルアセタール樹脂約0.4gを共せん付き三角フラスコに正確に量りとり、エタノール25mlを加えて85℃で溶解し、N/10水酸化ナトリウム溶液5mlをピペットでよく振り混ぜながら加え、冷却器をつけて温度85℃の水浴中で60分間還流させた。冷却後、N/10塩酸5mlをピペットで加えてよく振り混ぜ、30分間放置した。過剰の塩酸をN/10水酸化ナトリウム溶液でフェノールフタレインを指示薬として微紅色を呈するまで滴定し、その滴定量をc(ml)とした。別にブランク試験を行い、これに要したN/10水酸化ナトリウム溶液の滴定量をd(ml)として、次の式により求めた。
0=0.86×(c−d)×Fm/(sm×Pm
式中の、sm:ポリビニルアセタール樹脂の質量、Pm:純分(%)、Fm:N/10水酸化ナトリウム溶液の力価である。
Figure 0005535433
実施例1
メタクリル系樹脂(A−1:クラレ製PARAPET G、Mw=100,000、Tg=121℃)90部、およびポリビニルアセタール樹脂(B−1)10部を、日本製鋼所製二軸混練押出機TEX−44α(L/D=40)を用いてシリンダー温度220℃、スクリュー回転数200rpmで混練し、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。押出機内の最大剪断速度は300sec-1であり、バレルとスクリューエレメントとのクリアランスが大きい部分でのせん断速度は45sec-1であった。スクリューは上記の回転数において、300sec-1のせん断と45sec-1のせん断とが交互に2回ずつ掛かる構成のものを用いた。その際の押出機のダイ直前で測定した樹脂温度は232℃であった。
得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを、日本製鋼所製J50E2を用いて、シリンダー温度240℃で射出成形し、プラスチックJIS 1A型ダンベル状試験片、長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの直方体試験片および100mm×100mm×厚さ4mmの平板試験片を得た。さらに、長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの直方体試験片を切断することにより、長さ60mm×幅10mm×厚さ4mmの直方体試験片を得た。
これらの試験片を用い、曲げ試験における弾性率、破断伸度、靭性および試料の白化状態、引張り試験における弾性率、破断伸度、靭性および試料の白化状態、熱可塑性樹脂組成物のメタクリル系樹脂(A)に起因するガラス転移温度(TgAP)、表面硬度、ヘイズ、耐湿熱性を測定し、それらの結果を表2に示した。また、モルフォロジーを観察し、表2にその結果を示した。
Figure 0005535433
比較例1
実施例1で用いた熱可塑性樹脂組成物のペレットに代えて、メタクリル系樹脂(A−1:PARAPET G)のみからなるペレットを用いて実施例1と同様にして試験片を製
造した。その結果を表2に示した。
実施例2〜7
メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)の種類および/または配合量を表2に示す処方に変えた以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得、さらに該ペレットを用いて試験片を製造した。それらの結果を表2に示した。
実施例2における押出し機の最大剪断速度は300sec-1であり、熱可塑性樹脂組成物の押出し機のダイ直前で測定した樹脂温度は233℃であった。
実施例3における押出し機の最大剪断速度は300sec-1であり、熱可塑性樹脂組成物の押出し機のダイ直前で測定した樹脂温度は232℃であった。
実施例4における押出し機の最大剪断速度は300sec-1であり、熱可塑性樹脂組成物の押出し機のダイ直前で測定した樹脂温度は231℃であった。
実施例5における押出し機の最大剪断速度は300sec-1であり、熱可塑性樹脂組成物の押出し機のダイ直前で測定した樹脂温度は230℃であった。
実施例6における押出し機の最大剪断速度は300sec-1であり、熱可塑性樹脂組成物の押出し機のダイ直前で測定した樹脂温度は229℃であった。
実施例7における押出し機の最大剪断速度は300sec-1であり、熱可塑性樹脂組成物の押出し機のダイ直前で測定した樹脂温度は230℃であった。
実施例8
メタクリル系樹脂(A−2:メタクリル酸メチル92質量%およびアクリル酸メチル8質量%からなるモノマーをラジカル重合して得られたMw=45000、Mw/Mn=2.5の樹脂、Tg=116℃)75部及びポリビニルアセタール樹脂(B−1)25部に配合処方を変えた以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得、さらに該ペレットを用いて試験片を製造した。それらの結果を表3に示した。その際の最大剪断速度は300sec-1であった。熱可塑性樹脂組成物の押出し機のダイ直前で測定した樹脂温度は225℃であった。
実施例9
メタクリル系樹脂(A−3:メタクリル酸メチル92質量%およびアクリル酸メチル8質量%からなるモノマーをラジカル重合して得られたMw=15,000、Mw/Mn=2.7の樹脂、Tg=116℃)75部及びポリビニルアセタール樹脂(B−1)25部に配合処方を変えた以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得、さらに該ペレットを用いて試験片を製造した。それらの結果を表3に示した。その際の最大剪断速度は300sec-1であった。この際、ペレットを作製するときのシリンダー温度は180℃に設定した。また、熱可塑性樹脂組成物の押出し機のダイ直前で測定した樹脂温度は225℃であった。
実施例10
メタクリル系樹脂(A−1)75部及びポリビニルアセタール樹脂(B−4)25部に配合処方を変えた以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得、該ペレットを用いて試験片を製造した。それらの結果を表3に示した。その際の押出し機の最大剪断速度は300sec-1であり、熱可塑性樹脂組成物の押出し機のダイ直前で測定した樹脂温度は231℃であった。
実施例11
メタクリル系樹脂(A−6:クラレ製PARAPET HR−F、Mw=90,000、Tg=135℃)75部及びポリビニルアセタール樹脂(B−1)25部に配合処方を変えた以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得、さらに該ペレットを用いて試験片を製造した。それらの結果を表3に示した。その際の押出し機の最大剪断速度は300sec-1であり、熱可塑性樹脂組成物の押出し機のダイ直前で測定した樹脂温度は236℃であった。
比較例2
実施例1で用いた熱可塑性樹脂組成物のペレットに代えて、メタクリル系樹脂(A−2:メタクリル酸メチル92質量%およびアクリル酸メチル8質量%からなるモノマーをラジカル重合して得られたMw=45000、Mw/Mn=2.5の樹脂)のみからなるペレットを用い、射出成形およびプレス成形の温度を220℃に変更した以外は、実施例1と同様にして試験片を製造した。その評価結果を表3に示した。
比較例3
実施例1で用いた熱可塑性樹脂組成物のペレットに代えて、メタクリル系樹脂(A−3:メタクリル酸メチル92質量%およびアクリル酸メチル8質量%からなるモノマーをラジカル重合して得られたMw=15,000、Mw/Mn=2.7の樹脂)のみからなるペレットを用い、射出成型およびプレス成形の温度を200℃に変更した以外は実施例1と同様にして試験片を製造した。試験片は非常に脆く、物性測定は不可能であった。
比較例4
実施例1で用いた熱可塑性樹脂組成物のペレットに代えて、メタクリル系樹脂(A−4:アルキルアクリレート単位を含んでなる軟質重合体層とアルキルメタクリレート単位を含んでなる硬質重合体層との組み合わせからなり且つ最外層が硬質重合体層である多層構造重合体[1] 16質量部、およびメタクリル系樹脂 84質量部からなるコア−シェル型粒子含有メタクリル系樹脂組成物)のみからなるペレットを用いて、実施例1と同様にして試験片を製造した。評価結果を表3に示した。
比較例5
実施例1で用いた熱可塑性樹脂組成物のペレットに代えて、メタクリル系樹脂(A−5:アルキルアクリレート単位を含んでなる軟質重合体層とアルキルメタクリレート単位を含んでなる硬質重合体層との組み合わせからなり且つ最外層が硬質重合体層である多層構造重合体[1] 28質量部、およびメタクリル系樹脂 72質量部からなるコア−シェル型粒子含有メタクリル系樹脂組成物)のみからなるペレットを用いて、実施例1と同様に試験片を製造した。評価結果を表3に示した。
比較例6
メタクリル系樹脂(A−1:PARAPET G)20部及びポリビニルアセタール樹脂(B−1)80部に配合処方を変えた以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物のペレットを得、該ペレットを用いて試験片を製造した。それらの結果を表3に示した。その際の押出し機の最大剪断速度は300sec-1であり、熱可塑性樹脂組成物の押出し機のダイ直前で測定した樹脂温度は227℃であった。
Figure 0005535433
フィルムの物性評価を以下の方法に従って行った。
(1)フィルムの可視光線透過率
株式会社日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計U−4100を用いて厚さ100μmのフィルムの波長380nmから780nmにおける透過率を測定し、JIS R3106に従って算出した可視光線透過率を測定した。
(2)フィルムのヘイズの測定
JIS K7136に従い、厚さ100μmの試験フィルムで測定した。
(3)フィルムの引張り試験における弾性率、破断伸度、靭性
厚さ100μmのフィルムから引張試験時にMD方向に延伸されるようにプラスチックJIS1A型ダンベル形状試験フィルムを打抜き、株式会社島津製作所製オートグラフAG−5000Bを用いて、歪み速度5mm/min.で試験を行い、試験フィルムの弾性率、破断伸度、靭性を測定した。靭性は、試験フィルムが破断するまでに要するエネルギーで評価した。
(4)フィルムの引裂き強度
株式会社島津製作所製オートグラフAG−5000Bを用いて、JIS K6252規格に準拠した切込みなしアングル型試験フィルムを打抜き、引張り速度5mm/min.で切込みなしアングル型試験フィルムを引裂いた際の、厚さ換算した最大引裂き強さ(単位:N/mm)で評価した。測定は厚さ100μmのフィルムで行った。
(5)フィルムの表面硬度
JIS K5400にしたがって、厚さ100μmのフィルムの鉛筆硬度を測定した。
(6)フィルムの白化状態の観察
厚さ100μmのフィルムをTD方向に折り目がつくように180°折り曲げた際に、目視評価により、折り曲げた部分が全く白化しないものを○、折り曲げた部分の一部が白化したものを△、折り曲げた部分全体が白化したものを×として評価した。
(7)フィルムの透過電子顕微鏡によるモルフォロジー観察
フィルムからウルトラミクロトーム(RICA社製ReichertULTRACUT−S)を用いて超薄切片を作製した後、熱可塑性樹脂組成物のポリビニルアセタール部分を四酸化ルテニウムの蒸気で電子染色し、試料を作製した。こうして作成した試料のモルフォロジーを株式会社日立製作所製透過電子顕微鏡H−800NAを用いて観察した。観察されたモルフォロジーにおいて非染色部(メタクリル系樹脂(A))が連続相を形成していたものを○、メタクリル系樹脂(A)が不連続であったものを×として評価した。
(8)フィルムの耐湿熱性
厚さ100μmのフィルムを60℃、95%RHの条件下で1500時間処理し、処理前後のヘイズの差(ΔH)により耐湿熱性を評価した。
実施例12
実施例1で製造したペレットをプラスチック工学研究所製GT−40を用いて幅500mmのTダイよりシリンダー温度およびTダイ温度が220℃の条件で押出成形することにより、厚さ100μmの熱可塑性樹脂組成物のフィルムを得た。得られたフィルムの可視光線透過率、ヘイズ、引張り弾性率、引張り破断伸度、靭性、引裂き強度、表面硬度、白化状態、耐湿熱性およびモルフォロジー観察の結果を表4に示した。
実施例13〜18
実施例1で製造したペレットの代わりに、実施例2〜7で製造したペレットをそれぞれ用いた以外は、実施例12と同様の方法にてフィルムを作製し、得られたフィルムの可視光線透過率、ヘイズ、引張り弾性率、引張り破断伸度、靭性、引裂き強度、表面硬度、白化状態、耐湿熱性およびモルフォロジー観察の結果を表4に示した。
比較例7
実施例1で製造したペレットの代わりに、メタクリル系樹脂(A−1:PARAPET G)のみからなるペレットを用いた以外は、実施例12と同様の方法でフィルムを作製し、各種測定、観察を行った。結果を表4に示した。白化状態は、180°折り曲げる際にフィルムが破断したため、評価が不可能であった。
Figure 0005535433
実施例19および20
実施例1で製造したペレットの代わりに、実施例10及び11で製造したペレットをそれぞれ用いた以外は、実施例12と同様の方法にてフィルムを作製し、得られたフィルムの可視光線透過率、ヘイズ、引張り弾性率、引張り破断伸度、靭性、引裂き強度、表面硬度、白化状態、耐湿熱性、モルフォロジー観察の結果を表5に示した。
比較例8
実施例1で製造したペレットの代わりに、比較例2で用いたメタクリル系樹脂(A−2)のみからなるペレットを用いた以外は実施例12と同様にしてフィルムを作製しようとしたが、樹脂が非常に脆く、フィルム状の成形体を得ることができなかった。
比較例9
実施例1で製造したペレットの代わりに、比較例3で用いたメタクリル系樹脂(A−3:Mw=15,000)のみからなるペレットを用い、押出し機のシリンダーおよびTダイの温度を200℃に変更した以外は実施例12と同様にしてフィルムを作製しようとしたが、樹脂が非常に脆く、フィルム状の成形体を得ることができなかった。
比較例10〜12
実施例1で製造したペレットの代わりに、比較例4〜6で用いたペレットをそれぞれ用いた以外は実施例12と同様の方法にてフィルムを作製し、得られたフィルムの各種測定、観察を行った。結果を表5に示した。
比較例13
メタクリル系樹脂(A−1)0.9gおよびポリビニルアセタール樹脂(B−1)0.3gをテトラヒドロフラン10.8gに溶解し、25℃で撹拌して、質量比:メタクリル系樹脂(A−1)/ポリビニルアセタール樹脂(B−1)=75/25の混合溶液を得た。この混合溶液を、底辺を10cm×10cmに仕切ったポリエチレンテレフタレート製のフィルム上に流し込み、25℃で風乾し、次いで真空乾燥することにより、テトラヒドロフラン含有率が0.03%のフィルムを得た。得られたフィルムの厚さは104μmであった。得られたフィルムのメタクリル系樹脂(A)に起因するガラス転移温度(TgAP)を測定したところTgAP=121℃であり、TgAP=TgAであった。得られたフィルムの可視光線透過率、ヘイズ、引張り弾性率、引張り破断伸度、靭性、引裂き強度、表面硬度、耐湿熱性、モルフォロジー観察の結果を表5に示した。白化状態は、180°折り曲げる際にフィルムが破断したため、評価が不可能であった。
比較例14
細かく粉砕したメタクリル系樹脂(A−1)4.5gおよび細かく粉砕したポリビニルアセタール樹脂(B−1)1.5gを混合し、230℃に加熱した半径20mmのパラレルプレートに挟んで、下側のプレートは固定したまま、上側のプレートのみ15rpmで回転させて一定の剪断を10分間印加した。このときのパラレルプレートの間隔は4mmであり、パラレルプレートと上記樹脂との間に空隙はなかった。この条件では、樹脂に印加される剪断速度は、2π×(15/60)/(4/20)≒7.9(sec-1)であると計算される。このようにして溶融混練した樹脂組成物を熱プレスすることにより、厚み105μmのフィルムを得た。得られたフィルムのメタクリル系樹脂(A)に起因するガラス転移温度(TgAP)を測定したところTgAP=121℃であり、TgAP=TgAであった。
得られたフィルムの可視光線透過率、ヘイズ、引張り弾性率、引張り破断伸度、靭性、引裂き強度、表面硬度、耐湿熱性、モルフォロジー観察の結果を表5に示した。白化状態は、180°折り曲げる際にフィルムが破断したため、評価が不可能であった。
Figure 0005535433

Claims (16)

  1. メチルメタクリレート単位80〜99.9質量%およびアルキルアクリレート単位0.1〜20質量%を含有するメタクリル系樹脂(A)と
    ポリビニルアセタール樹脂(B)と
    を含有するアクリル系熱可塑性樹脂組成物であって、
    少なくともメタクリル系樹脂(A)が連続相を形成しており、
    アクリル系熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度のうちメタクリル系樹脂(A)に起因するガラス転移温度TgAPが、メタクリル系樹脂(A)単独でのガラス転移温度(Tg)とポリビニルアセタール樹脂(B)単独でのガラス転移温度(Tg)との間の値を示し、
    前記のガラス転移温度は損失正接(tanδ)の主分散のピーク温度であり、
    該損失正接(tanδ)の主分散のピーク温度は、射出成形で得られる試験片を切断して長さ60mm×幅10mm×厚さ4mmの直方体試験片を得、該直方体試験片を曲げモード(両持ち梁測定)において、正弦波振動10Hz、昇温速度3℃/min.により測定して得られる値である、
    アクリル系熱可塑性樹脂組成物。
  2. メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)の質量比(A)/(B)が99/1〜51/49である請求項1に記載のアクリル系熱可塑性樹脂組成物。
  3. メタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)が40000以上である請求項1又は2に記載のアクリル系熱可塑性樹脂組成物。
  4. ポリビニルアセタール樹脂(B)のアセタール化度が55〜83mol%である請求項1〜3のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂組成物。
  5. ポリビニルアセタール樹脂(B)が、ポリビニルアルコール樹脂を(共)アセタール化して得られたスラリーのpHを6〜8に調整した後に乾燥処理を施して得られたものである請求項1〜4のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂組成物。
  6. ポリビニルアセタール樹脂(B)が、ポリビニルブチラールである請求項1〜5のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂組成物。
  7. JIS K7171にしたがって、長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの試験片を用いて歪み速度1mm/min.で試験した際の曲げ弾性率、および、JIS K7162にしたがって、1A形ダンベル状試験片を用いて歪み速度1mm/min.で試験した際の引張り弾性率、の少なくとも一方が2GPa以上である請求項1〜6のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂組成物。
  8. JIS K7171にしたがって、長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの試験片を用いて歪み速度1mm/min.で曲げ試験した際において、応力の降伏点を有する請求項1〜7のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂組成物。
  9. メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とを、せん断速度100sec-1以上のせん断をかけながら樹脂温度140℃以上で溶融混練し、次いで120℃以下の温度に冷却する工程を含む、請求項1〜8のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂組成物の製法。
  10. メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とを、樹脂温度140℃以上で溶融混練する際に、せん断速度100sec-1以上のせん断を印加する段階と、該せん断をせん断速度50sec-1以下にする段階とをそれぞれ少なくとも2回経る、請求項9に記載のアクリル系熱可塑性樹脂組成物の製法。
  11. 請求項9または10に記載の製法によって得られたアクリル系熱可塑性樹脂組成物。
  12. 請求項1〜8および請求項11のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂組成物からなる成形体。
  13. 温度60℃、湿度90%の条件下に、1500時間放置された前後におけるヘイズの変化が、1.0%未満である、請求項12に記載の成形体。
  14. 請求項1〜8および請求項11のいずれかに記載のアクリル系熱可塑性樹脂組成物からなるフィルム。
  15. ポリビニルアセタール樹脂(B)がポリビニルブチラールであり、表面がJIS鉛筆硬度でFまたはそれよりも硬い、請求項14に記載のフィルム。
  16. 温度60℃、湿度90%の条件下に、1500時間放置された前後におけるヘイズの変化が、1.0%未満である、請求項14または15に記載のフィルム。
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