JP3718364B2 - ポリビニルアセタール樹脂の製造方法及びポリビニルアセタール樹脂 - Google Patents

ポリビニルアセタール樹脂の製造方法及びポリビニルアセタール樹脂 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリビニルアセタール樹脂の製造方法及びポリビニルアセタール樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリビニルアセタール樹脂の製造方法としては、沈殿法や溶解法が知られている。沈殿法では、ポリビニルアルコール水溶液に酸触媒を用い、アルデヒド化合物を加えて反応させ、生成したポリビニルアセタール樹脂を析出させた後、水洗乾燥させる方法であり、又、溶解法では、ポリビニルアルコールを有機溶媒に分散させ、酸触媒を用い、アルデヒド化合物を加えて反応させ、生成したポリビニルアセタール樹脂を析出させた後、水洗乾燥させる方法である。
【0003】
上記沈殿法や溶解法のいずれの方法も、アセタール化反応の停止に際しては、停止剤として酸触媒の中和剤が用いられる。
ここで用いられる中和剤としては、一般に、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物が用いられている(特開昭55−94911号公報等)。
しかしながら、中和剤として用いられたアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物(以下、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物由来の金属及び金属イオンを金属分と略称する。)は、反応終了後、十分に製品ポリビニルアセタール樹脂から水洗して除去する必要があるが、水洗工程に長時間をかけても十分に除去することが難しいものである。
【0004】
特に、用いられるポリビニルアルコールが、カルボン酸残基もしくは同塩残基、スルホン酸残基もしくは同塩残基、硫酸残基もしくは同塩残基、リン酸残基もしくは同塩残基、アルキルリン酸残基もしくは同塩残基(但し、塩を構成する金属としては、リチウム、ナトリウム又はカリウム等のアルカリ金属)等の少なくとも1種からなる親水性基団を有する変性ポリビニルアルコールである場合、中和剤の金属分が、上記親水性基団に化学的に結合したり、吸着したりして、水洗では十分に除去することが困難であった。
【0005】
上記のような金属分がポリビニルアセタール樹脂に付着したり、樹脂中に取り込まれたりして含有されていると、これを用いた製品、例えば、塗工皮膜、フィルム或いはシート等の透明性を低下させることがあり、或いは、セラミック電子部品用のバインダーやプリント基板用接着剤として用いられた場合、得られるセラミック電子部品やプリント基板の電気絶縁性が低下するという問題点を有するものである。
【0006】
本発明者らは、先に、特開平9−124734号公報に、ポリビニルアセタール樹脂の製造方法において、アセタール化反応の停止にアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物を用いた後、残余の金属分を酸にて除去する方法を開示した。
上記発明では、得られるポリビニルアセタール樹脂は、含有する上記金属分が除去され、これを用いた製品の透明性や電気絶縁性を低下させると言う品質上の問題点は解決するが、ポリビニルアセタール樹脂の精製工程において酸を用いることで前記する水洗工程がどうしても工数を要するものとなる。
【0007】
アセタール化反応の停止に際して、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物以外の中和剤が用いられる例としては、例えば、特開平4─55404号公報には、エチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドが用いられるポリビニルアセタール樹脂の製造方法が開示されている。
しかし、エチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドは、引火点が非常に低く、爆発性もあり、毒性も強い危険物であって、取扱の難しいものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、叙上の事実に鑑みてなされたものであって、その目的は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びこれらの金属イオンの含有量を少なくし、且つ、工程の安全性を維持し、高い生産性を発揮し得るポリビニルアセタール樹脂の製造方法及びポリビニルアセタール樹脂を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明のポリビニルアセタール樹脂の製造方法は、ポリビニルアルコールとアルデヒドとを酸触媒の存在下でアセタール化させるポリビニルアセタール樹脂の製造方法において、アセタール化反応の停止剤としてグリシジルエーテル化合物を用いることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明のポリビニルアセタール樹脂は、請求項1記載の発明のポリビニルアセタール樹脂の製造方法によって得られるポリビニルアセタール樹脂であって、アルカリ金属及びアルカリ土類金属並びにこれら金属イオンの含有(合計)量が10ppm以下であることを特徴とする。
【0011】
本発明において用いられるポリビニルアルコールは、純粋なビニルアルコールの重合体のみを指すものではなく、ポリビニルアルコール及びその変性体等を総称するものであって、特に限定されるものではなく、例えば、ポリ酢酸ビニルのけん化によって製造され、得られたポリビニルアルコール中に未けん化のまま酢酸ビニルのアセチル残基等を残したポリビニルアルコール、カルボン酸残基もしくは同塩残基、スルホン酸残基もしくは同塩残基、硫酸残基もしくは同塩残基、リン酸残基もしくは同塩残基、アルキルリン酸残基もしくは同塩残基(但し、塩を構成する金属としては、リチウム、ナトリウム又はカリウム等のアルカリ金属)等の少なくとも1種からなる親水性基団を有する変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。尚、導入される親水性基団は、後に行われるけん化及びアセタール化反応には関与しないものである。
【0012】
上記変性ポリビニルアルコールの調製方法は、特に限定されるものではないが、例えば、酢酸ビニルに、下記式(1)〜式(2)に示されるマレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のビニル系ジカルボン酸もしくはこれらの塩、式(3)〜式(10)に示されるエチレンスルホン酸、プロピレンスルホン酸、イソブチレンスルホン酸等のスルホン化ビニル系化合物もしくはこれらの塩等のエチレン性モノマーを共重合させて、親水性基団を有する酢酸ビニル共重合体を製造し、この酢酸ビニル共重合体をけん化する方法が挙げられる。
【0013】
【化1】
Figure 0003718364
【0014】
又、ポリビニルアルコールの主鎖の形成後、アルコール性水酸基に、親水性基団を導入する方法が採られてもよい。
上記親水性基団導入の一方法としてハロゲン置換体を用いる方法が挙げられる。
上記ハロゲン置換体として、下記式(11)〜式(14)に示される1−ハロゲノ−2−スルホヒドリルエチレン、1−ハロゲノ−3−スルフヒドリルプロピレン、モノハロゲノ酢酸、モノハロゲノメチルリン酸もしくはこれらの塩等のハロゲン置換体を用い、ポリビニルアルコールのアルコール性水酸基と反応させることにより、ハロゲン(X)の離脱に伴って親水性基団がポリビニルアルコールに導入される。
【0015】
上記反応は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の溶媒中で行われ、副生するハロゲンを中和するために、ピリジン、ピコリン等のピリジン塩基;トリエチルアミン等のアミン類;エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のエポキシ化合物を共存させる。
【0016】
【化2】
Figure 0003718364
【0017】
上記親水性基団導入の1方法として、ハロゲン置換体に替えて、2官能イソシアネートを用いる方法が挙げられる。
ポリビニルアルコールの水酸基と、下記式(15)〜式(16)の化合物〔式(11)〜式(14)に示される化合物のXを水酸基に置換したもの〕の末端の水酸基とを、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の2官能イソシアネートを介して架橋させることにより親水性基団を導入する方法である。
【0018】
【化3】
Figure 0003718364
【0019】
上記架橋は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の溶媒中で式(15)〜式(18)の化合物と2官能イソシアネートとを等モル反応させ、上記化合物と−N=C=O基との間にウレタン結合を生成させ、然る後、2官能イソシアネートの他方の−N=C=O基とポリビニルアルコールの水酸基との間にウレタン結合を生成させて行なわれる。
【0020】
これらのポリビニルアルコールの重合度は、好ましくは200〜3500、鹸化度75〜99.8モル%である。重合度が200未満のポリビニルアルコールや変性ポリビニルアルコールの合成はしにくく、3500を超えると水溶液の粘度が高くなり過ぎて均質なアセタール化反応がしにくくなる。
又、けん化度75モル%未満では、水への溶解性が十分でないことがあり、99.8モル%を超えるけん化度は得られにくい。
【0021】
ポリビニルアルコールが変性ポリビニルアルコールである場合、その変性度は、特に限定されるものではないが、好ましくは、上記親水性基団を有するモノマーユニットの含有割合は、10モル%以下である。
10モル%を超えて変性する必要は少なく、又、このような変性ポリビニルアルコールの合成自体も難しい。
【0022】
上記ポリビニルアルコールのアセタール化に用いられるアルデヒドは、特に限定されるものではないが、例えば、ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドを含む)、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒドを含む)、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタールアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒドは、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。中でも、アセトアルデヒド及び/又はブチルアルデヒドでアセタール化されたポリビニルアセタール樹脂が塗工皮膜や接着フィルム、合わせガラス用中間膜等として好適に用いられる。
【0023】
ポリビニルアルコールとアルデヒドとのアセタール化反応に用いられる触媒は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸又は臭化水素酸等の無機酸や有機スルホン酸等の有機酸が用いられる。
【0024】
ポリビニルアルコールのアセタール化度は、好ましくは55〜80モル%である。アセタール化度が55モル%未満では、耐水性が低下することがあるため、アセタール化度はより高くすることが好ましいが、80モル%を超えてポリビニルアルコールをアセタール化することはしにくくなる。
【0025】
本発明のポリビニルアセタール樹脂の製造方法において、ポリビニルアルコールとアルデヒドとのアセタール化反応の停止剤として用いられるグリシジルエーテル化合物は、特に限定されるものではないが、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、sec−ブチルフェノールグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらのグリシジルエーテル化合物は単独で用いられてもよいが、2種以上が併用されてもよい。
【0026】
停止剤として用いられるグリシジルエーテル化合物の使用量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化反応液が、pH6程度となるように添加される。
上記反応液のpHが6未満の場合は、反応液中の酸触媒が未だ十分に中和されていないことがあり、反応系は、酸触媒により脱アセタール化反応が進行するおそれがある。なお、pHが6となっているところへ、更に過剰のグリシジルエーテル化合物が添加されても、生成したポリビニルアセタール樹脂と反応することはなく、pHが6以上となることもなく、中和後の水洗によってポリビニルアセタール樹脂から総てを容易に洗い流すことができる。
【0027】
上記アセタール化反応のグリシジルエーテル化合物による停止反応の温度は、反応液の温度が低過ぎると、ポリビニルアセタール樹脂の粒子が収縮しているので、該樹脂中の酸触媒を中和させるのに長時間を要し、反応液の温度が高過ぎると、ポリビニルアセタール樹脂が溶液中でブロッキングすることがあるので、好ましくは30〜70℃程度の温度で行われる。
【0028】
上記アセタール化反応のグリシジルエーテル化合物による停止反応の時間は、特に限定されるものではないが、余り短いとポリビニルアセタール樹脂の粒子内部まで完全に洗浄することがしにくくなり、中和反応が十分に進行しないことがあり、余り長いと効果が飽和して効率的な処理とならないので、好ましくは1〜10時間程度である。
【0029】
上記のようにして得られる本発明のポリビニルアセタール樹脂は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属並びにこれら金属イオンの含有量が10ppm以下である。
【0030】
本発明のポリビニルアセタール樹脂の製造方法は、ポリビニルアルコールとアルデヒドとを酸触媒の存在下でアセタール化させるポリビニルアセタール樹脂の製造方法であって、アセタール化反応の停止剤としてグリシジルエーテル化合物を用いるものであるので、アセタール化反応の停止に際して、過剰のグリシジルエーテル化合物が添加されても、生成したポリビニルアセタール樹脂と反応することはなく、中和後の水洗によってポリビニルアセタール樹脂から酸触媒と共に総ての含有物を容易に洗い流すことができるものであるので、工程管理が極めて容易であり、水洗工程が著しく短縮できるものであり、生産性を飛躍的に向上させることができる。更に、本発明のポリビニルアセタール樹脂の製造方法においては、酸触媒の中和にアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物が用いられないので、得られるポリビニルアセタール樹脂にこれらの金属分は含有されず、これを用いたポリビニルアセタール樹脂製品の透明性や電気絶縁性を極めて良好に付与し得るものである。
【0031】
本発明のポリビニルアセタール樹脂の製造方法は、特に、導入された親水性基団にこれら金属分が取り込まれ易い変性ポリビニルアルコールを原料源にしたポリビニルアセタール樹脂の製造方法に好適に用いることができる。
更に、アセタール化反応の停止剤として用いられるグリシジルエーテル化合物自体、引火点が高く、爆発性もなく、毒性も極めて低いものであるので、工程の安全性も極めて良好に保持し得るものである。
【0032】
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、上記するように、酸触媒の中和にアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物が用いられないので、得られるポリビニルアセタール樹脂にこれらの金属分が含有されず、これを用いたポリビニルアセタール樹脂塗工皮膜や塗工皮膜、合わせガラス用中間膜等のフィルム或いはシート等の透明性を低下させることがなく、又、セラミック電子部品用のバインダーやプリント基板用接着剤として用いられた場合、得られるセラミック電子部品やプリント基板の電気絶縁性を極めて良好に付与し得るものである。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0034】
(実施例1)
5リットルのセパラブルフラスコに水2790gを入れ、これにポリビニルアルコール(重合度2000、けん化度98.5モル%)220gを加えて完全に溶解させた。得られたポリビニルアルコール水溶液の液温を20℃に保持し、これに35重量%濃度の塩酸650gを加えた後、液温を11℃まで下げ、アセトアルデヒド143g及びn−ブチルアルデヒド3gを加えて2時間反応させ、白色粉末を析出させた。
【0035】
上記反応系を30℃に昇温し、この温度に5時間保持した後、中和剤としてエチレングリコールグリシジルエーテル710gを加えて反応液のpHを6とし、更に、液温を60℃に昇温し、この温度に5時間保持した。
然る後、白色粉末を濾過、水洗し、乾燥してポリビニルアセタール樹脂を作製した。
【0036】
(実施例2〜10)
表1に示す、重合度、けん化度及び変性度のポリビニルアルコール、アルデヒドを用いて、表1に示す、アセタール化度、中和剤等の反応条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂を作製した。
【0037】
(比較例1)
実施例1と同様にアセタール化反応を行い、中和剤として20重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液によって中和し、触媒及びアルデヒドを除去し、濾過、水洗し、乾燥してポリビニルアセタール樹脂を作製した。
【0038】
(比較例2〜6)
表1に示す、重合度、けん化度及び変性度のポリビニルアルコール、アルデヒドを用いて、表1に示す、アセタール化度、中和剤等の反応条件に変更したこと以外は、比較例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂を作製した。
【0039】
実施例1〜10及び比較例1〜6で得られたポリビニルアセタール樹脂の性能を評価するため、以下に示す方法でアセタール化度及び金属分含有量を測定した。評価結果は表1及び表2に示す。
【0040】
〔アセタール化度の測定〕
得られたポリビニルアセタール樹脂をDMSO−D6 に溶解し、13C−NMRを用いてアセタール化度を測定した。
【0041】
〔金属分含有量の測定〕
セイコー電子工業社製、「原子吸光装置SAS−727型」を用いて金属分含有量を測定した。
【0042】
【表1】
Figure 0003718364
【0043】
【表2】
Figure 0003718364
【0044】
表1より明らかなように、実施例1〜10のポリビニルアセタール樹脂はいずれも、金属分含有量が3ppm以下であり、その半数は1ppmと極めて微量であって、これらのポリビニルアセタール樹脂を用いた製品は、透明性に優れたものであり、又、その電気絶縁性に優れたものであった。
これに対して、比較例1〜6のポリビニルアセタール樹脂は、表2に示すように、70ppmと極めて高濃度で金属分を含有しており、中でも、ポリビニルアルコールを出発物質として用いた比較例4〜6のポリビニルアセタール樹脂は、120ppm、220ppm及び170ppmと更に高濃度の金属分含有量を示し、これらのポリビニルアセタール樹脂を用いた製品は、透明性及び電気絶縁性において問題のあるものであった。
【0045】
【発明の効果】
本発明のポリビニルアセタール樹脂の製造方法は、上述のように構成されているので、中和後の水洗によってポリビニルアセタール樹脂から酸触媒と共に総ての不要な含有物を容易に洗い流すことができるものであるので、工程管理が極めて容易であり、水洗工程が著しく短縮できるものであって、生産性を飛躍的に向上させることができ、且つ、得られるポリビニルアセタール樹脂にアルカリ金属やアルカリ土類等の金属分の含有が殆どない。
更に、アセタール化反応の停止剤として用いられるグリシジルエーテル化合物自体、引火点が高く、爆発性もなく、毒性も極めて低いものであるので、工程の安全性も極めて良好に保持し得るものである。
【0046】
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、上述のように構成されているので、アルカリ金属やアルカリ土類等の金属分の含有が殆どなく、これを用いたポリビニルアセタール樹脂塗工皮膜や塗工皮膜、合わせガラス用中間膜等のフィルム或いはシート等の透明性を低下させることがなく、又、セラミック電子部品用のバインダーやプリント基板用接着剤として用いられた場合、得られるセラミック電子部品やプリント基板の電気絶縁性を極めて良好に付与し得るものである。

Claims (1)

  1. ポリビニルアルコールとアルデヒドとを水に溶解し、酸触媒の存在下でアセタール化してポリビルアセタール樹脂を析出させるポリビニルアセタール樹脂の製造方法であって、アセタール化反応の停止剤としてグリシジルエーテル化合物を用いることを特徴とするポリビニルアセタール樹脂の製造方法。
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