JP2000281721A - ポリビニルアセタール樹脂の製造方法及びポリビニルアセタール樹脂 - Google Patents

ポリビニルアセタール樹脂の製造方法及びポリビニルアセタール樹脂

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルカリ金属、アルカリ土類金属及びこれら
の金属イオンの含有を少なくし、且つ、工程の安全性を
維持し、高い生産性を発揮し得るポリビニルアセタール
樹脂の製造方法及びポリビニルアセタール樹脂を提供す
る。 【解決手段】 ポリビニルアルコールとアルデヒドとを
酸触媒の存在下でアセタール化させるポリビニルアセタ
ール樹脂の製造方法において、アセタール化反応の停止
剤としてグリシジルエーテル化合物を用いることを特徴
とするポリビニルアセタール樹脂の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリビニルアセタ
ール樹脂の製造方法及びポリビニルアセタール樹脂に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリビニルアセタール樹脂の製造
方法としては、沈殿法や溶解法が知られている。沈殿法
では、ポリビニルアルコール水溶液に酸触媒を用い、ア
ルデヒド化合物を加えて反応させ、生成したポリビニル
アセタール樹脂を析出させた後、水洗乾燥させる方法で
あり、又、溶解法では、ポリビニルアルコールを有機溶
媒に分散させ、酸触媒を用い、アルデヒド化合物を加え
て反応させ、生成したポリビニルアセタール樹脂を析出
させた後、水洗乾燥させる方法である。
【0003】上記沈殿法や溶解法のいずれの方法も、ア
セタール化反応の停止に際しては、停止剤として酸触媒
の中和剤が用いられる。ここで用いられる中和剤として
は、一般に、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化
物が用いられている(特開昭55−94911号公報
等)。しかしながら、中和剤として用いられたアルカリ
金属やアルカリ土類金属の水酸化物(以下、アルカリ金
属やアルカリ土類金属の水酸化物由来の金属及び金属イ
オンを金属分と略称する。)は、反応終了後、十分に製
品ポリビニルアセタール樹脂から水洗して除去する必要
があるが、水洗工程に長時間をかけても十分に除去する
ことが難しいものである。
【0004】特に、用いられるポリビニルアルコール
が、カルボン酸残基もしくは同塩残基、スルホン酸残基
もしくは同塩残基、硫酸残基もしくは同塩残基、リン酸
残基もしくは同塩残基、アルキルリン酸残基もしくは同
塩残基(但し、塩を構成する金属としては、リチウム、
ナトリウム又はカリウム等のアルカリ金属)等の少なく
とも1種からなる親水性基団を有する変性ポリビニルア
ルコールである場合、中和剤の金属分が、上記親水性基
団に化学的に結合したり、吸着したりして、水洗では十
分に除去することが困難であった。
【0005】上記のような金属分がポリビニルアセター
ル樹脂に付着したり、樹脂中に取り込まれたりして含有
されていると、これを用いた製品、例えば、塗工皮膜、
フィルム或いはシート等の透明性を低下させることがあ
り、或いは、セラミック電子部品用のバインダーやプリ
ント基板用接着剤として用いられた場合、得られるセラ
ミック電子部品やプリント基板の電気絶縁性が低下する
という問題点を有するものである。
【0006】本発明者らは、先に、特開平9−1247
34号公報に、ポリビニルアセタール樹脂の製造方法に
おいて、アセタール化反応の停止にアルカリ金属やアル
カリ土類金属の水酸化物を用いた後、残余の金属分を酸
にて除去する方法を開示した。上記発明では、得られる
ポリビニルアセタール樹脂は、含有する上記金属分が除
去され、これを用いた製品の透明性や電気絶縁性を低下
させると言う品質上の問題点は解決するが、ポリビニル
アセタール樹脂の精製工程において酸を用いることで前
記する水洗工程がどうしても工数を要するものとなる。
【0007】アセタール化反応の停止に際して、アルカ
リ金属やアルカリ土類金属の水酸化物以外の中和剤が用
いられる例としては、例えば、特開平4─55404号
公報には、エチレンオキサイド等のアルキレンオキサイ
ドが用いられるポリビニルアセタール樹脂の製造方法が
開示されている。しかし、エチレンオキサイド等のアル
キレンオキサイドは、引火点が非常に低く、爆発性もあ
り、毒性も強い危険物であって、取扱の難しいものであ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、叙上の事実
に鑑みてなされたものであって、その目的は、アルカリ
金属、アルカリ土類金属及びこれらの金属イオンの含有
量を少なくし、且つ、工程の安全性を維持し、高い生産
性を発揮し得るポリビニルアセタール樹脂の製造方法及
びポリビニルアセタール樹脂を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明のポ
リビニルアセタール樹脂の製造方法は、ポリビニルアル
コールとアルデヒドとを酸触媒の存在下でアセタール化
させるポリビニルアセタール樹脂の製造方法において、
アセタール化反応の停止剤としてグリシジルエーテル化
合物を用いることを特徴とする。
【0010】請求項2記載の発明のポリビニルアセター
ル樹脂は、請求項1記載の発明のポリビニルアセタール
樹脂の製造方法によって得られるポリビニルアセタール
樹脂であって、アルカリ金属及びアルカリ土類金属並び
にこれら金属イオンの含有(合計)量が10ppm以下
であることを特徴とする。
【0011】本発明において用いられるポリビニルアル
コールは、純粋なビニルアルコールの重合体のみを指す
ものではなく、ポリビニルアルコール及びその変性体等
を総称するものであって、特に限定されるものではな
く、例えば、ポリ酢酸ビニルのけん化によって製造さ
れ、得られたポリビニルアルコール中に未けん化のまま
酢酸ビニルのアセチル残基等を残したポリビニルアルコ
ール、カルボン酸残基もしくは同塩残基、スルホン酸残
基もしくは同塩残基、硫酸残基もしくは同塩残基、リン
酸残基もしくは同塩残基、アルキルリン酸残基もしくは
同塩残基(但し、塩を構成する金属としては、リチウ
ム、ナトリウム又はカリウム等のアルカリ金属)等の少
なくとも1種からなる親水性基団を有する変性ポリビニ
ルアルコール等が挙げられる。尚、導入される親水性基
団は、後に行われるけん化及びアセタール化反応には関
与しないものである。
【0012】上記変性ポリビニルアルコールの調製方法
は、特に限定されるものではないが、例えば、酢酸ビニ
ルに、下記式(1)〜式(2)に示されるマレイン酸、
フマル酸、イタコン酸等のビニル系ジカルボン酸もしく
はこれらの塩、式(3)〜式(10)に示されるエチレン
スルホン酸、プロピレンスルホン酸、イソブチレンスル
ホン酸等のスルホン化ビニル系化合物もしくはこれらの
塩等のエチレン性モノマーを共重合させて、親水性基団
を有する酢酸ビニル共重合体を製造し、この酢酸ビニル
共重合体をけん化する方法が挙げられる。
【0013】
【化1】
【0014】又、ポリビニルアルコールの主鎖の形成
後、アルコール性水酸基に、親水性基団を導入する方法
が採られてもよい。上記親水性基団導入の一方法として
ハロゲン置換体を用いる方法が挙げられる。上記ハロゲ
ン置換体として、下記式(11)〜式(14)に示される1
−ハロゲノ−2−スルホヒドリルエチレン、1−ハロゲ
ノ−3−スルフヒドリルプロピレン、モノハロゲノ酢
酸、モノハロゲノメチルリン酸もしくはこれらの塩等の
ハロゲン置換体を用い、ポリビニルアルコールのアルコ
ール性水酸基と反応させることにより、ハロゲン(X)
の離脱に伴って親水性基団がポリビニルアルコールに導
入される。
【0015】上記反応は、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルスルホキシド等の溶媒中で行われ、副生するハロゲ
ンを中和するために、ピリジン、ピコリン等のピリジン
塩基;トリエチルアミン等のアミン類;エチレンオキサ
イド、プロピレンオキサイド等のエポキシ化合物を共存
させる。
【0016】
【化2】
【0017】上記親水性基団導入の1方法として、ハロ
ゲン置換体に替えて、2官能イソシアネートを用いる方
法が挙げられる。ポリビニルアルコールの水酸基と、下
記式(15)〜式(16)の化合物〔式(11)〜式(14)に
示される化合物のXを水酸基に置換したもの〕の末端の
水酸基とを、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ
ート等の2官能イソシアネートを介して架橋させること
により親水性基団を導入する方法である。
【0018】
【化3】
【0019】上記架橋は、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルスルホキシド等の溶媒中で式(15)〜式(18)
の化合物と2官能イソシアネートとを等モル反応させ、
上記化合物と−N=C=O基との間にウレタン結合を生
成させ、然る後、2官能イソシアネートの他方の−N=
C=O基とポリビニルアルコールの水酸基との間にウレ
タン結合を生成させて行なわれる。
【0020】これらのポリビニルアルコールの重合度
は、好ましくは200〜3500、鹸化度75〜99.
8モル%である。重合度が200未満のポリビニルアル
コールや変性ポリビニルアルコールの合成はしにくく、
3500を超えると水溶液の粘度が高くなり過ぎて均質
なアセタール化反応がしにくくなる。又、けん化度75
モル%未満では、水への溶解性が十分でないことがあ
り、99.8モル%を超えるけん化度は得られにくい。
【0021】ポリビニルアルコールが変性ポリビニルア
ルコールである場合、その変性度は、特に限定されるも
のではないが、好ましくは、上記親水性基団を有するモ
ノマーユニットの含有割合は、10モル%以下である。
10モル%を超えて変性する必要は少なく、又、このよ
うな変性ポリビニルアルコールの合成自体も難しい。
【0022】上記ポリビニルアルコールのアセタール化
に用いられるアルデヒドは、特に限定されるものではな
いが、例えば、ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒ
ドを含む)、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒド
を含む)、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、
アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアル
デヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシ
ルアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタ
ールアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズ
アルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチル
ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、
m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアル
デヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げら
れる。これらのアルデヒドは、単独で用いられてもよ
く、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。中で
も、アセトアルデヒド及び/又はブチルアルデヒドでア
セタール化されたポリビニルアセタール樹脂が塗工皮膜
や接着フィルム、合わせガラス用中間膜等として好適に
用いられる。
【0023】ポリビニルアルコールとアルデヒドとのア
セタール化反応に用いられる触媒は、塩酸、硫酸、硝
酸、リン酸又は臭化水素酸等の無機酸や有機スルホン酸
等の有機酸が用いられる。
【0024】ポリビニルアルコールのアセタール化度
は、好ましくは55〜80モル%である。アセタール化
度が55モル%未満では、耐水性が低下することがある
ため、アセタール化度はより高くすることが好ましい
が、80モル%を超えてポリビニルアルコールをアセタ
ール化することはしにくくなる。
【0025】本発明のポリビニルアセタール樹脂の製造
方法において、ポリビニルアルコールとアルデヒドとの
アセタール化反応の停止剤として用いられるグリシジル
エーテル化合物は、特に限定されるものではないが、例
えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリ
セロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリ
グリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエー
テル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテ
ル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポ
リプロピレングリコールジグリシジルエーテル、エチレ
ングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリ
コールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテ
ル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエ
ーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、se
c−ブチルフェノールグリシジルエーテル、2−メチル
オクチルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの
グリシジルエーテル化合物は単独で用いられてもよい
が、2種以上が併用されてもよい。
【0026】停止剤として用いられるグリシジルエーテ
ル化合物の使用量は、特に限定されるものではないが、
好ましくは、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化
反応液が、pH6程度となるように添加される。上記反
応液のpHが6未満の場合は、反応液中の酸触媒が未だ
十分に中和されていないことがあり、反応系は、酸触媒
により脱アセタール化反応が進行するおそれがある。な
お、pHが6となっているところへ、更に過剰のグリシ
ジルエーテル化合物が添加されても、生成したポリビニ
ルアセタール樹脂と反応することはなく、pHが6以上
となることもなく、中和後の水洗によってポリビニルア
セタール樹脂から総てを容易に洗い流すことができる。
【0027】上記アセタール化反応のグリシジルエーテ
ル化合物による停止反応の温度は、反応液の温度が低過
ぎると、ポリビニルアセタール樹脂の粒子が収縮してい
るので、該樹脂中の酸触媒を中和させるのに長時間を要
し、反応液の温度が高過ぎると、ポリビニルアセタール
樹脂が溶液中でブロッキングすることがあるので、好ま
しくは30〜70℃程度の温度で行われる。
【0028】上記アセタール化反応のグリシジルエーテ
ル化合物による停止反応の時間は、特に限定されるもの
ではないが、余り短いとポリビニルアセタール樹脂の粒
子内部まで完全に洗浄することがしにくくなり、中和反
応が十分に進行しないことがあり、余り長いと効果が飽
和して効率的な処理とならないので、好ましくは1〜1
0時間程度である。
【0029】上記のようにして得られる本発明のポリビ
ニルアセタール樹脂は、アルカリ金属及びアルカリ土類
金属並びにこれら金属イオンの含有量が10ppm以下
である。
【0030】本発明のポリビニルアセタール樹脂の製造
方法は、ポリビニルアルコールとアルデヒドとを酸触媒
の存在下でアセタール化させるポリビニルアセタール樹
脂の製造方法であって、アセタール化反応の停止剤とし
てグリシジルエーテル化合物を用いるものであるので、
アセタール化反応の停止に際して、過剰のグリシジルエ
ーテル化合物が添加されても、生成したポリビニルアセ
タール樹脂と反応することはなく、中和後の水洗によっ
てポリビニルアセタール樹脂から酸触媒と共に総ての含
有物を容易に洗い流すことができるものであるので、工
程管理が極めて容易であり、水洗工程が著しく短縮でき
るものであり、生産性を飛躍的に向上させることができ
る。更に、本発明のポリビニルアセタール樹脂の製造方
法においては、酸触媒の中和にアルカリ金属やアルカリ
土類金属の水酸化物が用いられないので、得られるポリ
ビニルアセタール樹脂にこれらの金属分は含有されず、
これを用いたポリビニルアセタール樹脂製品の透明性や
電気絶縁性を極めて良好に付与し得るものである。
【0031】本発明のポリビニルアセタール樹脂の製造
方法は、特に、導入された親水性基団にこれら金属分が
取り込まれ易い変性ポリビニルアルコールを原料源にし
たポリビニルアセタール樹脂の製造方法に好適に用いる
ことができる。更に、アセタール化反応の停止剤として
用いられるグリシジルエーテル化合物自体、引火点が高
く、爆発性もなく、毒性も極めて低いものであるので、
工程の安全性も極めて良好に保持し得るものである。
【0032】本発明のポリビニルアセタール樹脂は、上
記するように、酸触媒の中和にアルカリ金属やアルカリ
土類金属の水酸化物が用いられないので、得られるポリ
ビニルアセタール樹脂にこれらの金属分が含有されず、
これを用いたポリビニルアセタール樹脂塗工皮膜や塗工
皮膜、合わせガラス用中間膜等のフィルム或いはシート
等の透明性を低下させることがなく、又、セラミック電
子部品用のバインダーやプリント基板用接着剤として用
いられた場合、得られるセラミック電子部品やプリント
基板の電気絶縁性を極めて良好に付与し得るものであ
る。
【0033】
【発明の実施の形態】以下に実施例を挙げて本発明を更
に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定
されるものではない。
【0034】(実施例1)5リットルのセパラブルフラ
スコに水2790gを入れ、これにポリビニルアルコー
ル(重合度2000、けん化度98.5モル%)220
gを加えて完全に溶解させた。得られたポリビニルアル
コール水溶液の液温を20℃に保持し、これに35重量
%濃度の塩酸650gを加えた後、液温を11℃まで下
げ、アセトアルデヒド143g及びn−ブチルアルデヒ
ド3gを加えて2時間反応させ、白色粉末を析出させ
た。
【0035】上記反応系を30℃に昇温し、この温度に
5時間保持した後、中和剤としてエチレングリコールグ
リシジルエーテル710gを加えて反応液のpHを6と
し、更に、液温を60℃に昇温し、この温度に5時間保
持した。然る後、白色粉末を濾過、水洗し、乾燥してポ
リビニルアセタール樹脂を作製した。
【0036】(実施例2〜10)表1に示す、重合度、
けん化度及び変性度のポリビニルアルコール、アルデヒ
ドを用いて、表1に示す、アセタール化度、中和剤等の
反応条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にして
ポリビニルアセタール樹脂を作製した。
【0037】(比較例1)実施例1と同様にアセタール
化反応を行い、中和剤として20重量%濃度の水酸化ナ
トリウム水溶液によって中和し、触媒及びアルデヒドを
除去し、濾過、水洗し、乾燥してポリビニルアセタール
樹脂を作製した。
【0038】(比較例2〜6)表1に示す、重合度、け
ん化度及び変性度のポリビニルアルコール、アルデヒド
を用いて、表1に示す、アセタール化度、中和剤等の反
応条件に変更したこと以外は、比較例1と同様にしてポ
リビニルアセタール樹脂を作製した。
【0039】実施例1〜10及び比較例1〜6で得られ
たポリビニルアセタール樹脂の性能を評価するため、以
下に示す方法でアセタール化度及び金属分含有量を測定
した。評価結果は表1及び表2に示す。
【0040】〔アセタール化度の測定〕得られたポリビ
ニルアセタール樹脂をDMSO−D6 に溶解し、13C−
NMRを用いてアセタール化度を測定した。
【0041】〔金属分含有量の測定〕セイコー電子工業
社製、「原子吸光装置SAS−727型」を用いて金属
分含有量を測定した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】表1より明らかなように、実施例1〜10
のポリビニルアセタール樹脂はいずれも、金属分含有量
が3ppm以下であり、その半数は1ppmと極めて微
量であって、これらのポリビニルアセタール樹脂を用い
た製品は、透明性に優れたものであり、又、その電気絶
縁性に優れたものであった。これに対して、比較例1〜
6のポリビニルアセタール樹脂は、表2に示すように、
70ppmと極めて高濃度で金属分を含有しており、中
でも、ポリビニルアルコールを出発物質として用いた比
較例4〜6のポリビニルアセタール樹脂は、120pp
m、220ppm及び170ppmと更に高濃度の金属
分含有量を示し、これらのポリビニルアセタール樹脂を
用いた製品は、透明性及び電気絶縁性において問題のあ
るものであった。
【0045】
【発明の効果】本発明のポリビニルアセタール樹脂の製
造方法は、上述のように構成されているので、中和後の
水洗によってポリビニルアセタール樹脂から酸触媒と共
に総ての不要な含有物を容易に洗い流すことができるも
のであるので、工程管理が極めて容易であり、水洗工程
が著しく短縮できるものであって、生産性を飛躍的に向
上させることができ、且つ、得られるポリビニルアセタ
ール樹脂にアルカリ金属やアルカリ土類等の金属分の含
有が殆どない。更に、アセタール化反応の停止剤として
用いられるグリシジルエーテル化合物自体、引火点が高
く、爆発性もなく、毒性も極めて低いものであるので、
工程の安全性も極めて良好に保持し得るものである。
【0046】本発明のポリビニルアセタール樹脂は、上
述のように構成されているので、アルカリ金属やアルカ
リ土類等の金属分の含有が殆どなく、これを用いたポリ
ビニルアセタール樹脂塗工皮膜や塗工皮膜、合わせガラ
ス用中間膜等のフィルム或いはシート等の透明性を低下
させることがなく、又、セラミック電子部品用のバイン
ダーやプリント基板用接着剤として用いられた場合、得
られるセラミック電子部品やプリント基板の電気絶縁性
を極めて良好に付与し得るものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリビニルアルコールとアルデヒドとを
    酸触媒の存在下でアセタール化させるポリビニルアセタ
    ール樹脂の製造方法であって、アセタール化反応の停止
    剤としてグリシジルエーテル化合物を用いることを特徴
    とするポリビニルアセタール樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のポリビニルアセタール樹
    脂の製造方法によって得られるポリビニルアセタール樹
    脂であって、アルカリ金属及びアルカリ土類金属並びに
    これら金属イオンの含有(合計)量が10ppm以下で
    あることを特徴とするポリビニルアセタール樹脂。
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Cited By (6)

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