JP3043106B2 - 水溶性ポリビニルアセタール樹脂の製造方法 - Google Patents

水溶性ポリビニルアセタール樹脂の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水溶性ポリビニルアセ
タール樹脂の製造方法に関し、より詳細には、原料ポリ
ビニルアルコール中に残存している酢酸ナトリウムをイ
オン交換して触媒として利用する水溶性ポリビニルアセ
タール樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリビニルアルコールは、各種フ
ィルムあるいはセラミック用バインダーとして広く用い
られてきている。しかしながら、ポリビニルアルコール
からなるフィルムは比較的硬く、用途によっては、より
柔軟なフィルムが望まれている。また、セラミック用バ
インダーとして用いる場合においても、ポリビニルアル
コールが比較的硬いため、取扱性が十分でないという問
題があった。
【0003】そこで、上記のような問題を解決するもの
として、例えば、特開昭62−156112号公報に、
冷水に速やかに溶解するポリビニルアセタール樹脂が提
案されている。ここでは、ケン化度98モル%以上のポ
リビニルアルコール、すなわち完全ケン化ポリビニルア
ルコールに対し、アセタール環におけるアルキル基の平
均鎖長が炭素数0.34〜1.70となるように、平均
重合度が比較的低いものをアセタール化することによ
り、ポリビニルアセタール樹脂が構成されている。
【0004】上記先行技術のポリビニルアセタールの製
造方法では、まずポリビニルアルコールを水に溶解し、
例えば塩酸または硫酸等の無機酸の存在下において、目
的とするアセタール化度を実現するように所定量のアル
デヒドを反応させ、しかる後、例えば水酸化ナトリウム
のようなアルカリで中和していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記先行技術の製造方
法では、ポリビニルアセタール樹脂を得るための触媒と
して、塩酸または硫酸等の無機酸が用いられていた。す
なわち、アルデヒドによるポリビニルアルコールのアセ
タール化は、該無機酸中のプロトンにより促進されてい
る。そして、アセタール化の後に、例えば水酸化ナトリ
ウムのようなアルカリで中和することにより、水溶性ポ
リビニルアセタール樹脂を得ていた。
【0006】しかしながら、上記先行技術の製造方法で
は、塩酸または硫酸等の無機酸を使用するため、周辺装
置における金属腐蝕が著しいという問題があった。しか
も、触媒として使用する無機酸を回収して再使用するこ
ともできなかった。また、上記方法で得られた水溶性ポ
リビニルアセタール樹脂の水溶液には、ナトリウムイオ
ンや塩素イオン等が不純物として含まれている。従っ
て、これらの不純物を除去するには、再沈法による精製
が用いられている。すなわち、ポリビニルアセタール樹
脂水溶液に樹脂の貧溶剤としての有機溶剤を加え、イオ
ン等の不純物を水中に溶解させ、樹脂を沈澱させ、それ
によって樹脂から不純物を分離していた。しかしなが
ら、このような方法では、危険な有機溶剤を用いる必要
があるだけでなく、水−有機溶剤混合物の後処理の問題
もあった。
【0007】よって、本発明は、上述した従来の水溶性
ポリビニルアセタール樹脂の製造方法の問題点を解消
し、周辺装置等の金属腐蝕が生じ難く、無機イオン等の
不純物を簡単に処理することを可能とする水溶性ポリビ
ニルアセタール樹脂の製造方法を提供することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
課題を達成し、適当な柔軟性を有する水溶性ポリビニル
アセタール樹脂を得るべく鋭意検討した結果、ポリビニ
ルアルコール中に不可避的に残存している酢酸ナトリウ
ムを陽イオン交換樹脂でイオン交換し、それによって生
成した酢酸を触媒として用いれば、先行技術の問題点を
解消し得ることを見出し、本発明をなすに至った。
【0009】すなわち、請求項1に記載の発明の水溶性
ポリビニルアセタール樹脂の製造方法は、ポリビニルア
ルコール中の残存物である酢酸ナトリウムを陽イオン交
換樹脂によりイオン交換して酢酸を生成させる工程と、
生成した上記酢酸を触媒として用いて、ポリビニルアル
コールをアルデヒドによりアセタール化する工程とを備
えることを特徴とする。また、請求項2に記載の発明
は、上記アセタール化後に、アンモニアで中和する工程
をさらに備える。
【0010】請求項1,2に記載の発明においては、ま
ず、ポリビニルアルコール中に残存している酢酸ナトリ
ウムが、陽イオン交換樹脂によりイオン交換されて、酢
酸が生成する。用いる陽イオン交換樹脂としては、強酸
性陽イオン交換樹脂が好ましい。強酸性陽イオン交換樹
脂としては、通常、スチレンとジビニルベンゼンの共重
合体に1〜2mmol/mlのスルホン酸基を導入し
た、いわゆるポリスチロールスルホン酸型樹脂が用いら
れる。
【0011】陽イオン交換樹脂によるイオン交換は、カ
ラム法またはバッチ法等により行われ得る。カラム法
は、カラムに陽イオン交換樹脂を充填し、これにポリビ
ニルアルコール水溶液を通液する方法である。カラム法
では、通液によりポリビニルアルコール中に通常0.5
〜1.5重量%の濃度で含有されている酢酸ナトリウム
が、酢酸にイオン交換される。
【0012】また、バッチ法は、ポリビニルアルコール
水溶液中に陽イオン交換樹脂を投入してイオン交換させ
る方法である。この場合、陽イオン交換樹脂と同時に次
工程で用いられるアルデヒドを投入して攪拌しつつ反応
させてもよい。バッチ法では、ポリビニルアルコール中
の不純物として0.5〜1.5重量%の濃度で含有され
ている酢酸ナトリウムが陽イオン交換樹脂によりイオン
交換されて酢酸が生成する。そして、バッチ法では、陽
イオン交換樹脂がポリビニルアルコール水溶液中に投入
されているため、前記のように生成した酢酸だけでな
く、陽イオン交換樹脂のイオン交換基中のプロトンも触
媒として用いられる。すなわち、本発明は、陽イオン交
換樹脂によりイオン交換されて生成した酢酸を触媒とし
て用いるものであるが、このようにして生成した酢酸だ
けでなく、陽イオン交換樹脂のイオン交換基中のプロト
ンをも触媒として利用する方法も包含するものである。
【0013】なお、上記イオン交換に用いられるポリビ
ニルアルコール水溶液としては、通常、1〜30重量
%、好ましくは5〜20重量%の濃度に調整されたもの
が用いられる。ポリビニルアルコール水溶液の濃度が3
0重量%を超えると、粘度が高くなり過ぎ、陽イオン交
換樹脂にポリビニルアルコール水溶液が付着してイオン
交換基を被覆し、陽イオン交換樹脂の活性を低下させる
からである。他方、ポリビニルアルコール水溶液の濃度
が1重量%未満では、生成する酢酸量が少なすぎ、反応
系に存在する酢酸濃度が低いためアセタール化に非常に
長い時間を要することになるからである。
【0014】本発明の製造方法では、上記のようにして
生成した酢酸を触媒として用いて、ポリビニルアルコー
ルがアルデヒドによりアセタール化される。このアセタ
ール化は、カラム法では、カラムから回収された酢酸を
含むポリビニルアルコール水溶液中に、アルデヒドを投
入し、該アルデヒドを酢酸の存在下においてポリビニル
アルコールと反応させることにより行われる。また、バ
ッチ法では、陽イオン交換樹脂を投入し、攪拌してイオ
ン交換反応を進めて酢酸を生成させ、しかる後アルデヒ
ドをポリビニルアルコール水溶液中に投入する方法、あ
るいはポリビニルアルコール水溶液中に陽イオン交換樹
脂及びアルデヒドを同時に投入して攪拌し、イオン交換
反応及びアセタール化を進める方法の何れを採用しても
よい。
【0015】また、上記アルデヒドとしては、ホルムア
ルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒドのよう
にポリビニルアルコールをアセタール化するのに従来よ
り用いられている適宜のアルデヒドが使用される。本発
明により得られる水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、
重合度300〜3500であり、かつケン化度が75〜
99.8モル%のポリビニルアルコールを、アセトアル
デヒド及び/またはブチルアルデヒドによりアセトアセ
タール化度Aモル%(但し、A≧0)及びブチラール化
度Bモル%(但し、B≧0)としたときに、 10≦(A+3B)≦50 の範囲でアセタール化することにより得ることができ
る。上式で示すアセトアルデヒド及び/またはブチルア
ルデヒドによるアセタール化度が約10モル%よりも低
い場合には、得られるポリビニルアセタール樹脂は水溶
性ではあるが可撓性に乏しく、実用的価値が乏しい。他
方、50モル%を超えるときには、水不溶性となり、バ
ッチ法の場合には陽イオン交換樹脂との分離が困難とな
る。
【0016】請求項2に記載の発明では、上述したアセ
タール化に続いて、得られた水溶性ポリビニルアセター
ル樹脂水溶液がアンモニアにより中和される。この場
合、前述したバッチ法で陽イオン交換樹脂及びアルデヒ
ドを同時に投入してイオン交換反応及びアセタール化を
進める場合には、アセタール化終了後を見計らって反応
系にアンモニアを投入し、しかる後陽イオン交換樹脂を
回収してもよい。
【0017】
【作用】本発明では、ポリビニルアルコール中に不可避
的に残存している酢酸ナトリウムがイオン交換により酢
酸に変換され、このようにして得られた酢酸を触媒とし
て用いることによりポリビニルアルコールのアセタール
化が行われる。従って、原料であるポリビニルアルコー
ルに新たに塩酸等の無機酸からなる触媒を添加する必要
がないため、周辺装置の金属腐蝕を防止することができ
る。また、使用した陽イオン交換樹脂は再生することに
より、再利用することができる。
【0018】さらに、請求項2に記載の発明では、アセ
タール化後に水溶性ポリビニルアセタール樹脂水溶液が
アンモニアにより中和されるため、ナトリウムイオン等
の不純物無機イオンを除去することができる。
【0019】
【実施例の説明】以下、実施例を挙げて本発明をより詳
細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定され
るものではない。実施例1 重合度=2000、ケン化度=88モル%、残存酢酸ナ
トリウム濃度=1.0重量%のポリビニルアルコール2
00gを水1600gに加え、90℃の温度で約2時間
攪拌して溶解させた。次に、上記ポリビニルアルコール
水溶液を45℃に冷却し、陽イオン交換樹脂(三菱化成
社製、商品名:ダイヤイオンSK1B)50mlを充填
したカラムに、SV10の流速で通液し、pH=約3.
5のポリビニルアルコール水溶液を得た。しかる後、得
られたポリビニルアルコール水溶液を35℃まで冷却し
た後、純度99%のブチルアルデヒド20gを加え、3
5℃で8時間反応させたところ、白濁した反応混合物を
得た。
【0020】得られた反応混合物を20℃まで冷却し、
攪拌下において5重量%濃度のアンモニア水17gを添
加し、透明な溶液を得た。得られた透明溶液をポリエチ
レンフィルム上に流延し、乾燥し、透明フィルムを得
た。得られたフィルムを、DMSO−d6 に溶解し、13
C−NMRを用いてアセタール化度を測定したところ、
ブチラール化度は10モル%であった。また、上記透明
溶液を5gサンプリングし、70℃で3時間真空乾燥し
て得られた固形物中のナトリウムイオン濃度を、原子吸
光装置で測定したところ、3ppmであった。
【0021】実施例2 重合度=500、ケン化度=98モル%、残存酢酸ナト
リウム濃度=1.2重量%のポリビニルアルコールを用
いたこと、並びにブチルアルデヒド20gに代えてアセ
トアルデヒド43gを用いたことを除いては実施例1と
同様にして、アセトアセタール化度31モル%のポリビ
ニルアセトアセタール水溶液を得た。また、上記ポリビ
ニルアセトアセタール水溶液を用いて、実施例1と同様
にして固形物を得、該固形物中のナトリウムイオン濃度
を測定したところ、7ppmであった。
【0022】実施例3 重合度=1000、ケン化度=98モル%及び残存酢酸
ナトリウム濃度=0.8重量%のポリビニルアルコール
を用いたこと、アルデヒドとしてブチルアルデヒド10
g及びアセトアルデヒド9gを用いたこと以外は、実施
例1と同様にして、ブチラール化度5モル%及びアセト
アセタール化度6モル%のポリビニルアセタール水溶液
を得た。
【0023】また、上記のようにして得たポリビニルア
セタール水溶液について、実施例1と同様にして固形物
を得、該固形物中のナトリウムイオン濃度を測定したと
ころ、6ppmであった。
【0024】実施例4 重合度=2000、ケン化度=88モル%、残存酢酸ナ
トリウム濃度=1.0重量%のポリビニルアルコール2
00gを水1600gに加え、90℃の温度で約2時間
攪拌し溶解した。得られたポリビニルアルコール水溶液
を45℃に冷却し、陽イオン交換樹脂(三菱化成社製、
商品名:ダイヤイオンPK216)50mlを該ポリビ
ニルアルコール水溶液に投入し、さらに35℃まで冷却
した。次に、陽イオン交換樹脂が投入されたポリビニル
アルコール水溶液に、純度99%のブチルアルデヒド2
0gを加え、35℃で6時間反応させたところ、白濁し
た反応混合物を得た。
【0025】得られた混合物を20℃まで冷却し、攪拌
下において5重量%濃度のアンモニア水17gを加え、
しかる後濾過により陽イオン交換樹脂を回収して透明な
溶液を得た。得られた透明溶液をポリエチレンフィルム
上に流延し、乾燥し、透明フィルムを得た。この透明フ
ィルムを、DMSO−d6 に溶解し、13C−NMRを用
いてアセタール化度を測定したところ、ブチラール化度
は10モル%であった。
【0026】また、上記のようにして得られた透明溶液
について、実施例1と同様にして固形物を得、該固形物
中のナトリウムイオン濃度を測定したところ、4ppm
であった。従って、実施例4では、実施例1に比べて2
時間程度短い時間で、目的とする水溶性ポリビニルアセ
タール樹脂の得られることがわかる。
【0027】実施例5 重合度=2400、ケン化度=80モル%及び残存酢酸
ナトリウム濃度=0.8重量%のポリビニルアルコール
を用いたこと、並びにアルデヒドとしてアセトアルデヒ
ド17gを用いたことを除いては、実施例4と同様にし
て、アセトアセタール化度12モル%のポリビニルアセ
トアセタールの水溶液を得た。また、上記のようにして
得られたポリビニルアセトアセタール水溶液について、
実施例1と同様にして固形物を得、該固形物中のナトリ
ウムイオン濃度を測定したところ、3ppmであった。
【0028】実施例6 重合度=300、ケン化度=98モル%、残存酢酸ナト
リウム濃度=1.2重量%のポリビニルアルコールを用
いたこと、アルデヒドとしてブチルアルデヒド11g及
びアセトアルデヒド36gを用いたことを除いては、実
施例4と同様にして、ブチラール化度=6モル%、アセ
トアセタール化度=25モル%のポリビニルアセタール
水溶液を得た。
【0029】また、上記のようにして得たポリビニルア
セタール水溶液について、実施例1と同様にして固形物
を得、該固形物中のナトリウムイオン濃度を測定したと
ころ、8ppmであった。
【0030】比較例1 重合度=2000、ケン化度=88モル%、残存酢酸ナ
トリウム濃度=1.0重量%のポリビニルアルコール2
00gを水1600gに加え、90℃の温度で約2時間
攪拌して溶解させた。この後、45℃に冷却し、これに
35重量%濃度の塩酸50gを加え、更に35℃まで冷
却した。次いで、純度99%のブチルアルデヒド20g
を加え、35℃で3時間反応させたところ、白濁した反
応混合物を得た。
【0031】この反応混合物を20℃まで冷却し、攪拌
下に10重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液190g
を加えて透明な溶液を得た。この溶液をポリエチレンフ
ィルム上に流延し、乾燥させて、透明なフィルムを得
た。このフィルムをDMSO−d6 に溶解し、13C−N
MRを用いてアセタール化度を測定したところ、ブチラ
ール化度は10モル%であった。また、上記透明溶液を
5gサンプリングし、70℃で3時間真空乾燥して得ら
れた固形分中のナトリウムイオン濃度を原子吸光装置で
測定したところ、58000ppmであった。
【0032】比較例2 重合度=2000、ケン化度=98モル%、残存酢酸ナ
トリウム濃度=1.2重量%のポリビニルアルコールを
用いたこと、並びにブチルアルデヒド20gに代えてア
セトアルデヒド43gを用いたことを除いては比較例1
と同様にして、アセトアセタール化度31モル%のポリ
ビニルアセトアセタール水溶液を得た。また、上記ポリ
ビニルアセトアセタール水溶液を用いて、比較例1と同
様にして固形分を得、該固形分中のナトリウムイオン濃
度を測定したところ、59000ppmであった。
【0033】さらに、このようにして得られた11重量
%のポリビニルアセトアセタール水溶液500gに、イ
ソプロピルアルコール1000gを加えて、樹脂を沈澱
させ、比較例1と同様にして固形分を得、該固形分中の
ナトリウムイオン濃度を測定したところ、約3000p
pmであった。
【0034】
【発明の効果】以上のように、本発明では、ポリビニル
アルコール中に残存している酢酸ナトリウムをイオン交
換することにより酢酸を得、該酢酸をアセタール化の触
媒として用いている。従って、従来法では、塩酸または
硫酸等の無機酸からなる触媒を添加する必要があった
が、本発明によれば別途触媒を添加することなく水溶性
ポリビニルアセタール樹脂を製造することが可能とな
る。
【0035】よって、塩酸や無機酸等による周辺装置の
金属腐蝕が生じ難いため、製造装置の煩雑な洗浄作業や
補修作業の頻度を低減することができる。しかも、アセ
タール化後にアンモニアにより水溶性ポリビニルアセタ
ール樹脂水溶液を中和しているため、ナトリウムイオン
等の無機イオンをほとんど含有していない高純度の水溶
性ポリビニルアセタール樹脂を簡単に得ることができ
る。さらに、使用した陽イオン交換樹脂は再生すること
により再利用することができる。
【0036】従って、本発明によれば、水溶性ポリビニ
ルアセタール樹脂を効率よくかつ安価に提供することが
可能となる。なお、本発明により得られたポリビニルア
セタール樹脂では、アセタール環の立体障害効果によ
り、ポリビニルアルコールの硬さの主たる原因である結
晶化、並びに水酸基相互の分子間水素結合の形成が阻害
されている。従って、本発明により得られるポリビニル
アセタール樹脂は柔軟性を有しかつ水溶性であるため、
有機溶剤の使用による環境問題を引き起こすことがな
く、種々の用途に好適に用いることができる。
【0037】また、無機イオン等の不純物イオンを含ま
ない高純度の水溶性ポリビニルアセタール樹脂を得るこ
とができるため、本発明により得られるポリビニルアセ
タール樹脂は、例えばセラミックコンデンサーの製造に
際し用いられているセラミックグリーンシートのための
水溶性バインダーとして好適に用いることができる。同
様に、水性インクジェット記録用コーティング剤や親水
性付与添加剤等に用いることもできる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 8/28 C08F 6/06 C08F 16/38

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリビニルアルコール中に残存している
    酢酸ナトリウムを陽イオン交換樹脂によりイオン交換し
    て酢酸を生成させる工程と、生成した前記酢酸を触媒と
    して用い、前記ポリビニルアルコールをアルデヒドによ
    りアセタール化する工程とを備えることを特徴とする、
    水溶性ポリビニルアセタール樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアルコール中に残存している
    酢酸ナトリウムを陽イオン交換樹脂によりイオン交換し
    て酢酸を生成させる工程と、生成した前記酢酸を触媒と
    して用い、前記ポリビニルアルコールをアルデヒドによ
    りアセタール化する工程と、前記アセタール化の後に、
    アンモニアにより中和する工程とを備えることを特徴と
    する、水溶性ポリビニルアセタール樹脂の製造方法。
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